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1. 防火対策
隣接する生産林の野焼きによる延焼や不審火に対する対策活動である。【ド ライバー1】の項目でも述べたように、隣接する生産林の火入れの延焼が境界 線の水路を越えて飛び火するケースがある。これは水路の両脇に植生する草が 水路上まで覆うほどに茂っている状態が飛び火を助長し、着火しやすい草類を 介して延焼が拡大する。その為、飛び火の予防として境界線の水路脇の下草狩 りを定期的に実施し、境界線の水路幅の空間を十分に確保することで飛び火を しにくい状態を確保する。
また不審火に関しては、乾季の煙草の不始末等による森林火災が発生する事 例もあることから、村でのルール作りを行い、不審火の発生に繋がるような行 動に注意し、乾季には住民同士で注意喚起が行える様な体制を整える。
2. 違法伐採の認識促進と禁止勧告
保護林であるため、如何なる樹木においても伐採は禁止されている。これは、
【ドライバー2】、【ドライバー3】及び【ドライバー5】に関する対策である。
外部からの違法伐採の為に侵入してくる人や団体に対して、保護林のでの森林 伐採は違法であるという認識を促し、伐採を禁止する。また、保護林内の村落 の住民には住居用の建材利用の為や、家屋の屋根に利用するニッパヤシの葉の 採集の為の個人レベルの伐採が、現在でも少量みられる。この対策として、マ ングローブなどの樹木やニッパヤシの伐採を全面禁止する村内でのルール作 りとルール順守を実施する。また、本地域が保護林である事、REDD プラス 事業を実施している事、違法伐採には法令に則り厳罰が処せられる内容を明記 した看板を設置し、違法伐採の禁止を勧告する。
3. 森林のパトロール及び観察
違法伐採や開拓を抑制するための森林パトロールを実施する。これは、【ド ライバー1】、【ドライバー2】、【ドライバー3】、【ドライバー5】への対策活動 である。スンガイ・バタン村及びスンガイ・スギハン村のクロンポックを中心 としたパトロールチームを作り、対象地内の定期的なパトロールを実施する。
パトロールでは、外部からの侵入者の確認や侵入者への適切な勧告・説明の実 施、森林火災や違法伐採の有無の確認を行う。また、森林減少・劣化の進行の 可否の確認、森林回復・自然成長及び植林エリアの観察も同時に行う。
4. 村林の持続可能な森林管理
上記 2 の項目で記載した通り、住民レベルで生活利用の為の伐採は、完全 に無くなってはいない。本REDDプラス事業を遂行するためにも、住民レベ
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ルの伐採を完全になくす必要がある。しかし、住民の生活には木材等の利用は 必要不可欠である。その為、スンガイ・バタン村の村落面積として与えられて
いる 200ha の中に、住民が生活で利用するための循環型の村林を造成し、持
続可能な村林管理を行う仕組み作りを行う。
スンガイ・バタン村は地元OKI県行政によって、スンガイ・バタン村住民 の居住区域として 200haが確保されているが、実際の居住スペースは約 5ha であり、残りの約195haについては特に活用されていない。この195haにつ いては、保護林区域から外され居住区域とされている為、森林の利用は可能で あり、村林の造成は違法ではない。195haの限られた村林面積の中で、約1,000 人の住民の生活を賄い続けるには、伐採と植林を繰り返し継続して森林の利用 が出きる持続可能な森林管理体制を作り上げることが必要である。
5. 境界線の明確化
【ドライバー5】で述べたように、生産林会社の誤った認識で保護林内に開 発が及んでいる地域があり、誤認を正す必要がある。今後OKI県林業局と共 に、生産林会社の認識改善の働きかけを行い、境界線の改善及び保護林内に進 出している部分の後退を要求していく。
6. 排水及び水流供給の為の溝掘り
【ドライバー4】に対する対策である。現在、人為的または自然的な地形変 化で水が溜まっているエリアに溝を掘り、干満による水流の供給し、滞留して いる水の循環を改善する。
2) 植林及び育成・管理活動
森林伐採や森林火災により、裸地・荒廃地となった土地に、植林活動を実施す る。植林する樹種については、その土地の植生調査を実施し、土地に適した樹種 を選定する。生物多様性や環境に対する影響に配慮した植林を行う。
また、植林した樹木の森林の育成管理を行う。具体的には、枯死や流出した部 分での補植活動と、樹木の成長を阻害する下部植生である下草刈りの作業である。
インドネシア林業省に確認を行ったところ、保護林内での樹木の伐採は禁止され ているが、樹木の成長の促進のための草の刈り取りは認められている。植林した 樹木が下草よりも大きく成長するまでは、下草刈りのメンテナンスが必要となる。
3) モニタリング活動
モニタリングは、作成するモニタリングプランに沿ってスンガイ・バタン村及 びスンガイ・スギハン村のクロンポック(作業グループ)を中心とした住民が実施
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する。その為、モニタリングに関する技術や収集したデータの整理、報告書の作成 方法などの技術移転を事前に実施する。
4) シルボフィッシャリー普及活動
前出の「4.4 森林減少のドライバー」の項で前述したように、南部地域のドラ イバーは養殖池開発による森林の伐採であり、現在ほとんどのエリアは既に養殖 池へと転換されてしまっている。その為、このエリアでの活動は、森林減少への ドライバー対策というよりも、現在養殖池になっている部分に対するシルボフィ ッシャリー導入による森林回復・炭素吸収固定能の強化への取り組みがメインと なる。シルボフィッシャリー導入により、現在の養殖池で、住民が十分な水産養 殖物を収穫できることが、これ以上の新規養殖池の開拓に対する防止策、つまり ドライバーへの対策にもなる。
シルボフィッシャリーに関しては、まだ知名度が低い為、以下に本事業で実施 するシルボフィッシャリーの普及目的と技術の説明を記述する。
1. 目的
南部地域の保護林域内では、マングローブを開墾し養殖場に転換されている。
保護林域内であるため森林の再生は必須である。しかし、養殖業で生計を立てて いる住民が多数いるため、養殖池全体を完全な森林に戻すことは難しく、現実的 ではない。その為、シルボフィッシャリーを利用した、森林の再生と地元住民の 生活基盤の安定の両立を目的としている。
2. 概要
シルボフィッシャリーとは、林業(Silviculture)と水産業(Fishery)を組み合 わせた言葉である。養殖池の中にマングローブを植林し、森林と養殖業を複合さ せた自然共生型の養殖技術を普及させる。
3. 養殖池の現状
現在行われている養殖方法は、マングローブ林を皆伐し作られた池で行われて いる半集約型養殖である。半集約型養殖では、池の中に稚エビを大量に放流し、
飼料やpH調節のための石灰の大量に投入する。また集約型養殖のエビは病気の蔓 延のリスクが高い為、抗生物質の投入が行われる。これらの投入物は池の底に堆 積し汚泥となり、水質と土壌汚染の原因となる。また、飼料や薬剤の投入は、資 金的な負担も大きい。
開墾直後はエビ養殖が可能であったが、水質・土壌汚染が原因で、1~5 年で収 穫量が激減し、エビの養殖業自体が出来なくなり、現在は、劣悪な環境でも養殖
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できる魚の養殖に転換されている。魚は、エビに比べ3~5分の1程度の価格で取 引される為、養殖業従事者が収入の激減による貧困に直面するという問題も起き ている。
図 4-13 集約型養殖場の変遷
4. シルボフィッシャリー技術
シルボフィッシャリーでは、養殖池の土地整備を行い、養殖を行う水路とマン グローブを植林する盛り土部分を造成する。養殖池の中心部分にマングローブを
●合成飼料・抗生物質・水質調整剤の大量投入。
●池の管理・エビの管理の資金的負担が大きい。
●飼料や薬剤が汚泥となり、池の底に堆積。
集約型のエビ養殖の拡大
(ブラックタイガー)
集約型養殖の開始
その結果・・・
●水質や土壌などの環境汚染
●エビ自体の養殖ができなくなった
●エビの養殖ができず、安価な魚や海藻の養殖に転換
●収入が激減し、地元住民の貧困化が問題に やがて池は、死んだ土地に・・
●保護林の海岸域には、マングローブ林。
●マングローブ周辺には、海洋生物の住処。
マングローブの原生林
養殖場開発のための伐採
●マングローブ林の皆伐。
●土地の区画分けを行い、養殖場の造成。