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─都道府県の取り組みに大きな格差─

ドキュメント内 消費生活年報2010 (ページ 123-127)

ない状況が全国的にみられ、小学校入学を機 に利用できないケースが各地で起きている。

財政面からみた学童保育の取り組み状況 は、国の補助基準注3を「超えている」都道府 県が半数以上ある一方で、「下回る」が1割 あり、施設当りの運営費補助額には3倍の差 があるなど大きな格差がみられる。また、実施 している市区町村の学童保育運営費は、国の 枠組みの3倍前後と過重な負担をしている。

市区町村では、解消が課題となる大規模施 設をかかえ、また、国の補助対象外の9人以 下の小規模施設等があり、補助が無いなか

「児童数の減少により閉鎖が余儀ない」など 格差が拡大している。

学童保育は第2種社会福祉事業として都道 府県に届出義務注4があるが、届出数の把握 率には差があり、指導監督は低率にとどま る。全国的に待機児童が問題となるなか、市 区 町 村 が 把 握 し て い る 中 途 退 所 児 童 は 3万8千人にのぼり、質の拡充に課題があ る。一方で、都道府県は市区町村の実施実態

(指導員数、中途退所児童数など)の把握率 が低く、市区町村との連携の取れた消費者の 利用環境は未整備である。

市区町村は1万件を超えるケガ・事故の報 告(2008年度)を受けているが、都道府県の 把握は101件にとどまるうえ、保険の請求件 数の把握も無く、広域的に安全を守る環境整 備に問題がみられた。

これらを踏まえ、必要とする全ての子ども が、どこに住んでいても安全な生活の場とし て利用できる制度・システム構築に向けた環 境整備のあり方などについて検討を重ね、行 政へ向けて以下の6つの提言をまとめた。

【提言】

①市区町村との連携を強化し、社会的基盤と しての環境を整備する

②必要とする子どもが利用できるように学童 保育サービスの空白自治体を解消する

③第2種社会福祉事業の届出を徹底し、研修 を通して質を拡充する

④消費者へ情報提供を行い、利用に際して契 約書等を交付する

⑤ケガ・事故情報を広く収集・活用する

⑥学童保育にも災害共済給付制度を適用する

⑴実施状況(2009年5月現在)

・管内の市区町村の実施率が100%の都道府 県は、10府県。一方、50%台もあり実施状 況に大きな格差。未実施は195区町村で、

37都道府県(78.7%)にわたっている。

・40人以下の施設は48.1%にとどまり、71人 以 上 の 大 規 模 施 設 は1,543か 所(12.6%)

で、全都道府県にわたり、うち8都道府県 は各50か所を超える。

・市区町村が把握している待機児童は7,539 人。中途退所児は3万8千人で、全都道府 県にわたる。

学童保育は子育て世代の就労継続の上で高 いニーズがあるが、実施が市区町村の努力義 務にとどまるため、財政的、政策的な判断で 未実施の区町村が全国的にみられる。そのた め、就学前に保育所(自治体に実施義務があ る)を利用していた子どもが小学校入学を機 に利用できないケースがおきている。

⑵運営費

・補助が国の基準を上回る都道府県が半数以 上(53.2%)、下回るが1割ある。1施設 あたりの補助額には3倍の差がみられる。

注3)公費の枠組は、国、都道府県、市区町村は同率(各 1/6で公費分を3/6とし、残りの3/6を保護者負担。

政令市・中核市は道府県負担0で2/6負担)、2009 年度予算では、開設日250日、36人~70人運営費モ デルは公費242.6万円(各80.9万円)、運営費総額 176億2200万円、24,153か所分。

注4)都道府県知事(政令市・中核市長)は、学童保育 事業(20人以上)の開始後1ヶ月以内に第2種社 会福祉事業の届出を受け、その後は指導監督、許 可の取消し等が可能となる。

7.学童保育サービスの環境整備に関する調査研究

・市区町村の年間運営費の1施設あたりの負 担額は299万円(49.2%)であり、国の補 助基準額80.9万円の3.7倍である。

1ヶ月の1施設あたり(利用児童数40.1人)

の運営費(指導員の人件費や光熱水費など)

の平均は50.7万円であり、子どもの生活環境 の確保、指導員の処遇は運営費からみても厳 しい状況にある。保育士資格や施設の最低基 準等があり全国的に実施されている保育所と 比べて条件整備が遅れている。

⑶第2種社会福祉事業の届出状況

・都道府県で、届出施設数の回答があったの は36府県(76.6%)、対象施設の届出率は 25.5%~100%と大差。届出総施設は7,450 か所であり、都道府県総施設の54.6%(20 人以上届出対象施設の63.7%)にとどまる。

・市区町村では、対象施設数の記入がある自 治 体 は63.3%。 届 出 先 で あ る 政 令 市 は 86.7%、中核市は80.7%。届出施設は6,548 か所であり、総施設の53.3%にとどまる。

・「施設への立ち入り調査を行った」3.4%、

政令市は20.0%、中核市は6.5%。「届出の 無い施設へ届出を促した」7.2%、政令市 は20.0%、中核市は9.7%。

指導監督や質を確保する上で重要な、立ち 入り調査や無届施設への届出の促進は低率で あった。

⑷指導員数の把握、研修事業

・都道府県の指導員数の把握は38.3%にとど まり、延べ19,722人。

・ほとんどの都道府県(95.7%)が研修を実 施し(1回~22回)、延べ回数は210回、延 べ参加人数は23,292人。

研修内容は「障害児への対応」80.0%、「学 童保育・指導員の役割」77.8%など。

・市区町村では、「常勤指導員数を把握」は 82.8%(19,185人)、「非常勤等指導員数を 把握」84.6%(26,329人)、指導員の総合計 45,514人。常勤指導員に比べて非常勤等指 導員が多く、1.4倍である。

・研修を実施している市区町村は54.1%(延 べ2,429回)。

⑸学童保育が拡充しない理由

・学童保育が拡充しない理由として、都道府 県調査では、「施設建物の確保が困難」

97.9%、「指導員の確保が困難」91.5%、「国 の補助金額が低く、自治体の持ち出し金額 が多い」87.2%、「市区町村の実施責任が

『利用推進の努力義務』にとどまっている」

63.8%、「保育所のように最低基準が決め られていない」53.2%が半数を超えている

(図)。

図 学童保育の内容が充実しない主な理由(都道府県調査より)

施設建物の確保が困難 指導員の確保が困難 国の補助金額が低く、自治体の持ち出し金額が多い 市区町村の実施責任が「利用推進の努力義務」にとどまっている 保育所のように最低基準が決められていない 都道府県の財政措置が不安定 国の財政措置が不安定

97.9

0% 50% 100%

0.0 2.1

91.5 4.3 4.3

87.2 8.5 4.3

63.8 31.9 4.3

53.2 40.4 6.4

48.9 46.8 4.3

34.0 59.6 6.4

無回答 いいえ

はい

⑹学童保育利用の適正化への取り組み

・都道府県調査では、「管内の窓口等で施設の 状況や入所の手続きを情報提供している」

23.4%。「学童保育事業に関する苦情相談の 窓口を開設している」12.8%。

市区町村に対する指導項目は、「窓口等で施 設の状 況や入 所 手 続きを情 報 提 供」は 19.1%、「利用者に一方的に不利な内容の誓 約書の是正」は4.3%、「契約書等に中途解 約の清算の規定の明示」は2.1%。「入所手 続き時に、契約書を交付」を指導している は8.5%にとどまる。

・市区町村調査では、「入所の受付をしている」

は、市区町村が59.2%、施設34.8%、運営主 体36.1%。「入所の決定をしている」は、市区 町村が68.1%、施設14.8%、運営主体36.2%。

「窓口等で施設の状況や入所手続きを情報提 供している」85.4%。「入所手続き時に、契約 書を交付している」13.0%にとどまる。

自治体の利用受付への関与は、自治体や運 営主体によって差があり、自治体の窓口等で 消費者に対して全施設に関する情報提供や入 所手続きができる状況には無い。利用者に不 利益が無いように、契約内容の明文化や契約 書の交付の取り組みは低率で未整備である。

⑺ケガ・事故件数・把握

・都道府県のケガ・事故件数の把握は、「市区 町村から報告を受けている」が29.8%、「件数 を集計している」は14.9%にとどまる。2008年 度のケガ・事故総件数101件(うち入院1件、

死亡0件)。傷害保険や賠償責任保険の請求 件数を把握している都道府県はない。

・市区町村調査では、2008年度のケガ・事故 の総報告件数は11,034件(うち、入院件数 110件、死亡件数0件)。

市区町村には1万件超のケガ・事故の報告が あるが、都道府県は101件(1%)に過ぎない。

2008年7月に、学童保育中に児童2名が死亡 する痛ましい水難事故が発生しているが、調

査では死亡事故の報告は無く、現状収集・報 告体制のネットワークに漏れがみられる。

⑻ケガ・事故の具体例・傷害保険

・市区町村から寄せられたケガ・事故の事例 4,804件から、発生場所をみると、「校庭・

園庭(球技中、ブランコなど固定遊具)」

44.9%、「生活室・保育室」20.2%、「遊戯室」

13.5%でのケガ・事故が多い。

・71人以上の大規模施設では通院日数1週間 以上のケガ・事故が多く、支払われた保険 金額は5,000円以上が60.7%であり、人数が 多い施設で重症化の傾向がある。

・傷害保険等で問題と感じているのは、「小学 生の集団活動中のケガ・事故であるが、災 害共済給付の適用を受けられない」「補償範 囲が限定され、保育活動のすべてをカバー できる保険がない」「保険料が高いので、補 償が十分な保険に入れない」が上位である。

学童保育の事故は「校庭・園庭」で起こる ことが多く、災害共済給付制度が適用される 小学校との共通性がみられる。

調査研究の結果・要望を受け、厚生労働省 雇用均等・児童家庭局育成環境課健全育成係 から都道府県等の児童健全育成担当係に対 し、事務連絡「放課後児童クラブの運営に 当っての留意について」(平成22年3月18日)

が発出され、第2種社会福祉事業の届出の徹 底、契約書の是正や、ケガ・事故への対応等 について周知された。なお、これに合わせて 本調査の報告書(概要版)が資料として送付 され、活用されている。

また、厚生労働省育成環境課健全育成課長 からは「放課後児童健全育成事業(放課後児 童クラブ)における事故防止等について」(平 成22年3月23日)において、事故の報告様式 が示されるなど、学童保育における事故の実 態把握等へ向けた取り組みが進められている。

(情報部)

ドキュメント内 消費生活年報2010 (ページ 123-127)