エノス−モルモンの言葉
モーサヤ 9 − 22 章 ゼニフとその民の歴史
はじめに
モーサヤ 9 章から 24 章では,ゼラヘムラの地からリーハ イ・ニーファイの地へ行った,ゼニフの率いる民の歴史が詳 しく述べられている。記録されているのは,紀元前 200 年 ごろから,ゼラヘムラの地へ戻った紀元前 121 年ころまでの 約 80 年である。これは,モーサヤ 1 世,ベニヤミン,モーサ ヤ 2 世の各王がゼラヘムラの地を治め,ゼニフ,ノア,リムハ イがリーハイ・ニーファイの地を治めていたのと同じころであ る。
ノア王が統治していたとき,預言者アビナダイが民に悔い 改めるよう警告した。また,神に背いたために民は間もなく 滅亡するだろうと預言した。さらにアビナダイはその教えの 中で,救い主が神であって御父と一つであられることと,贖 罪の過程で救い主が大きな犠牲を払われることも明らかに している。アビナダイの言葉を研究することにより,救い主 の犠牲に対する感謝の念を新たにし,贖罪の意味をいっそ う深く理解することができる。
アビナダイの殉教は大きな勇気を示している。アビナダイ の証によってアルマは改宗に導かれたが,アビナダイ自身は 命を犠牲にすることとなった。アビナダイが教え導いた出来 事について深く考えながら,一人の義人が将来の世代の人々 に与えた影響について考える。アビナダイによって改宗した 人として知られているのはアルマただ一人であるが,このア ルマを通して以後数世代にわたって預言者たちが生まれ,そ の預言者たちが民をイエス・ キリストの来臨に備えさせるこ とになったのである。あなたもアビナダイのように,真理を証 し,義にかなった生活を送ることにより,家族や知人に大き な影響を及ぼすことができる。
注解
モーサヤ 9 章の前の挿入文
• モーサヤ 9 章の要約の前に挿入された見出しは,預言者 ジョセフ・スミスに与えられた原本の記録の一部である( 11 ページにある「ニーファイ第一書 ― ニーファイの統治と務 め」の注解 参照)。「次の第 9 − 22 章がそれに相当する」
という言葉は,モルモン書が 1879 年版で章の形式をとって 出版されたときに付け加えられた。
モーサヤ 9 章 ゼニフの記録
• モーサヤ 9:1 − 4 とオムナイ 1:27 − 29 は両方とも,ニー ファイ・リーハイの地を再び領地にするためのゼニフの最初 の旅の話である。しかし,モーサヤ 9:1 − 2 には最初の旅 で内乱が起きて,ゼラヘムラの地へ戻らざるを得なかった理 由が述べられている。ゼニフは戦争を好まず,レーマン人の
間で平和に暮らすことを望んだ。モーサヤ 9 − 10 章はゼニ フが書いたものであり,モルモンによる要約や所見は含まれ ていない。モーサヤ 8 章が記録されたのは紀元前 121 年で あり,モーサヤ 9 章の記録は紀元前 200 年であることに注 目する。この記録は 80 年さかのぼって,ゼラヘムラをベニ ヤミンとモーサヤが統治していた時代にリーハイ・ニーファ イの地に起きた事柄について述べている。
モーサヤ 9:16 − 18;10:10 − 11 ,19 「主の力を受 けて」
• ゼニフは,レーマン人との戦いでは,「主の力を受けて」
戦ったと記している(モーサヤ 9:16 − 18;10:10 − 11 , 19 参照)。ゼニフの民は数のうえではとうていかなわなかっ たもののレーマン人の攻撃に打ち勝ち,死傷者も比較的少な かった。勝因は神への忠実さだった。主は彼らの叫びを聞 かれ,力をお与えになった。神の民に力を授けることが神の 深い憐れみの一つであることは,モルモン書の随所に書か れている。ゼラヘムラでベニヤミンの民がレーマン人に勝っ たのは,「主の力を頂いて」戦ったからである(モルモンの言 葉 1:14 )。
アルマ書の中でニーファイ軍が勝利を収めたのは,軍隊の 大きさではなく,戦うときに神が助けてくださると信じる力の ためであった(アルマ 2:27 − 31;43:49 − 51;56:56 参 照)。わたしたちの戦いは肉体を使う戦いではないかもしれ ないが,「主の力を頂いて」という言葉から,わたしたちも敵 対するものに打ち勝つ力を授かるために神に助けを求める ことができることが分かる。
モーサヤ 9 − 22 章 ゼニフとその民の歴史
• モーサヤ書は,話の筋が入り組んだり,過去の出来事が突 然挿入されたりするため分かりにくいことが多い(付録 397 ページの表「オムナイ書からモーサヤ書に記された,過去に さかのぼる記述」を参照)。モーサヤ書の 9 章から 22 章に 書かれている歴史は,約 80 年前にさかのぼるものであり,ゼ ニフとそれに従う少数の者がゼラヘムラの地を出てニーファ イの地へ戻る話が書かれている。その記録にはゼニフ王,ノ ア王,リムハイ王の歴史が含まれる。モーサヤ 25 章ではゼ ニフの一行がゼラヘムラの民と再び合流し,モルモン書の歴 史の流れに戻る。
モーサヤ 10:11 − 17 偽りの言い伝え
• レーマン人はエルサレムを出た最初の旅に関する出来事に ついて,ゆがめられた言い伝えを真実だと信じるようになっ た。こうした偽りの言い伝えが代々受け継がれ,レーマン人 はニーファイ人に対する根深い偏見や「尽きることのない憎
しみ」を抱いていた(モーサヤ 10:17 )。末日の啓示の中 で,サタンは偽りの言い伝えを利用して「光と真理を取り去 る」と主は警告しておられる(教義と聖約 93:39 。教義と 聖約 123:7 − 8 も参照)。こうした言い伝えのために,レー マン人はニーファイ人を殺し,略奪し,滅ぼしたり奴隷にした りすることを企てるのを正当化していたのである(モーサヤ 10:17 参照)。
• 十二使徒定員会のリチャード・G・スコット長老は,民族 的,文化的なしきたりが神の計画や標準と相いれない場合 になすべきことを教えている。自分の生活をよく吟味して,
どのような伝統が主の教えと異なるかを見極めるよう勧告し ている。
「皆さんの天の御父は,皆さんをある特別な血 統の下に 生まれるように選ばれました。その血統を通して,人種や文 化,慣習を受け継いでいます。その血統は豊かな受け継ぎ を約束するとともに,大いなる喜びの基となります。しかし ながら,皆さんには,そうした受け継ぎの中に,主の幸福の 計画に反するがゆえに捨てなければならないものがないか どうかを決める責任がゆだねられているのです。
皆さんは,ある慣習が主の教えに反していてそれを捨てな ければならないとき,どうやってその決定を下すことができ るのか,疑問に思うかもしれません。わたしは自分でも,自 分の不適切な慣習を幾つか克服するために努力しています から,それがどれほど難しいことか,よく分かります。……
しきたりや慣習はわたしたちが生まれながらに受け継ぐもの です。それを客観的に評価することは,決してたやすいこと ではありません。主が皆さんにどのような生き方を望んでお られるのか理解するために,聖文や預言者の勧告を注意深 く研究してください。それに応じて,自分の生活のあらゆる 面を評価し,変更を加えてください。だれか皆さんの尊敬す る人の助けを仰いでください。不動のものと思われていた確 信や慣習を,主の計画と相いれないからという理由で,捨て ることのできた人がいるはずです。……
皆さんの文化では,夫が威張り散らしたり,独裁的であっ たりして,家族の大切な決断を独りでことごとく行うように なっていないでしょうか。もしそうなら,そのような在り方は 軌道修正する必要があります。夫と妻が対等のパートナーと して,夫婦のために,家族のために,一致して決断を下すの です。……
先祖から受け継がれてきたいかなるものであっても,次の ような慣習があれば,捨て去る必要があります。
知恵の言葉に反するようなもの。
多くの場合,家系で決められるような地位の権力によって,
人を強制的に従わせることを前提にしているようなもの。
身分階級制度を助長するようなもの。
ほかの文化との衝突を引き起こすようなもの。」(『聖徒の 道』1998 年 7 月号,93 − 94 参照)
モーサヤ 11:2 − 19 ,27 ノアは「自分の心の望むま まに」歩んだ。
• そばめについて話し合うためには,109 ページにあるヤコ ブ 1:15 の注解を参照する。
• モルモンはノア王の悪行を明確に描いている(モーサヤ 11:2 − 19 ,27 参照)。後に,モーサヤは王による統治を 廃止するおもな理由として,ノア王の例を引き合いに出した。
「一人の悪い王が犯させる罪悪は何とひどいことか。また,
滅亡の何と大きいことか。まことに,ノア王を思い出しなさ い。」(モーサヤ 29:17 − 18 )ノア王が肉欲を満たすために 利己的な統治をほしいままにしたことは,そのような人の行 く末について,現代の読者に警告を与えるものである。
モーサヤ 11:20 預言者アビナダイ
• 十二使徒定員会の M・ラッセル・バラード長老は,アビナ ダイが勇気を持ち,進んで主に従ったことを強調している。
「アビナダイは主イエス・キリストに対する証を勇敢に述べ たので,邪悪なノア王の怒りを買いました。そしてこの偉大 な宣教師は,自身の証と信仰のために究極の犠牲を払いま した。しかしその前に,アビナダイの純粋な証は一人の信じ る者の心に響きました。ノア王の祭司だったアルマは『自分 の罪 ……を悔い改め,〔イエスをキリストとして受け入れ,〕
人々の中をひそかに巡って,アビナダイの言葉を教え始め た 』のです(モーサヤ 18:1 )。アビナダイの救い主に対す る力強い証と,ただ一人それを信じたアルマによって,多くの 人がイエス・ キリストの福音に改宗しました。」(『リアホナ』
第 20 章