• 検索結果がありません。

Hausdorff 空間

ドキュメント内 PDF 幾何学序論講義ノート (ページ 194-197)

第 3 章 位相空間 175

3.4 Hausdorff 空間

2.11節で注意したように, 一般の位相空間において点列の極限は必ずしも一意に定まる わけではない. 一意に定まるための一つの条件を与える.

定義 3.4.1. 位相空間XHausdorff(ハウスドルフ)空間 である

def任意の相異なる 2点x, y ∈Xに対し, xの近傍U yの近傍V , U ∩V = となるものが存在する.

167. 位相空間X Hausdorff空間である任意の相異なる2点x, y ∈Xに対し,x

を含む開集合Oyを含む開集合O0 で, O∩O0 = となるものが存在する.

注意 . Hausdorffであるというのは位相的性質である. すなわち

168. X, Y を同相な位相空間とする. X がHausdorffであればY もそうである. 例 3.4.2. 距離空間はHausdorff空間である. 実際X を距離空間, x, y ∈X, x 6=yとす ると, ε=d(x, y)/2>0で, Uε(x)Uε(y) =.

3.4.3. 離散空間はHausdorff空間である. 実際X を離散空間, x, y ∈X, x 6=yとす ると, {x},{y}は開集合で, {x} ∩ {y}=. (もちろん離散距離空間と思ってもよい.) 例 3.4.4. 元を二つ以上含む密着空間はHausdorffでない.

定理 3.4.5. Hausdorff空間においては, 点列の極限は, 存在すれば, 一意的である. 証明. 証明は定理 2.11.3 のものと同じ. (実際, 証明のポイントは距離空間がHausdorff であることを示すことであった. というより, もちろん, Hausdorff空間というのはこの証 明がうまくいくような空間として考えられたもの.)

定理 3.4.6. Hausdorff空間において, 1点は閉集合である.

証明. X をHausdorff空間, x ∈X とする. 任意のy∈ X\ {x}に対し, x6= yであるか ら, xの近傍U と, yの近傍VU ∩V =となるものがある. とくにx6∈ V であるか らV ⊂X\ {x}となり, yX \ {x}の内点.

定理 3.4.7. Hausdorff空間の部分空間もHausdorff.

証明. X をHausdorff空間, A⊂X を部分空間とする. a, b∈A, a6=bとすると, a ∈O, b ∈O0, O∩O0 = となるX の開集合O, O0 がある. U =A∩O, V = A∩O0とおく と, U, VAの開集合で, a∈U, b∈V,U ∩V =. よってAは Hausdorff.

定理 3.4.8. X, Y を空でない位相空間とする. このときX×Y がHausdorff ⇔X, Y と もにHausdorff.

証明. )問159より, X,YX×Y の部分空間と同相であるから, 定理3.4.7と問 168 よりどちらもHausdorff.

) (x1, y1)6= (x2, y2) X×Y とする. x1 6=x2 としてよい. X はHausdorffだから xi を含む開集合OiO1∩O2 =となるものが存在する. Oi×Y は(xi, yi)を含む開 集合で, (O1×Y)(O2 ×Y) =である.

注意 . 無限個の直積に対しても同様なことが成り立つ. 証明もほぼ同じ.

定理 3.4.9. X を位相空間とする. このとき, X が Hausdorff 対角線集合 ∆ = {(x, x) x ∈X}X×X の閉集合.

証明. x, y X に対し, x 6= y (x, y) 6∈ (x, y) c である. より一般に, A, B ⊂X に対し, A∩B=∅ ⇔(A×B)∆ =∅ ⇔A×B⊂c である. よって

X がHausdorff⇔ ∀(x, y)c,∃U ∈ U(x),∃V ∈ U(y) :U ×V c

⇔ ∀(x, y)c : (x, y)は∆cの内点

cは開集合.

169. (この exerceise は位相とは直接は関係ない.)X, Y, Z を集合, f: Z X,

g: Z →Y を写像とする. 写像(f, g) : Z X×Y を(f, g)(z) = (f(z), g(z))により定 める. またA X, B Y を部分集合とする. このとき, (A×B)Im(f, g) = ∅ ⇔ f1(A)∩g1(B) = であることを示せ.

3.4.10. X を位相空間, Y をHausdorff空間, A⊂ X とし, f, g: X →Y を連続写像 とする. このとき次が成り立つ.

1. X の部分集合

C :={x∈X f(x) =g(x)} は閉集合である.

2. fgが部分集合A上一致すれば, Aa上一致する.

証明. 1. Y が Hausdorff なので対角線集合 ∆YY ×Y の閉集合である.写像

(f, g) : X →Y ×Y は連続だからC = (f, g)1(∆Y)は閉集合. 2. fgA上一致すればA⊂C である. Cは閉集合だからAa ⊂C.

3.4.11. R1次元ユークリッド空間とする. 連続関数f, g: RRQ上一致する ならばf =gである.

3.4.12. X を位相空間, Y をHausdorff空間とする. 写像f: X Y が連続ならばグ ラフ

Γf :={(x, y)∈X×Y y=f(x)}X ×Y の閉集合. (cf. 問題集91)

証明. f ×1Y : X ×Y Y ×Y は連続であり (問 160), Y がHausdorff のとき ∆ = {(y, y) y∈Y}Y ×Y の閉集合である. よってΓf = (f ×1Y)1(∆)は閉集合.

170. 3.4.12はもう少し精密化できる. Xを位相空間, Y Hausdorff空間とする.

写像f: X →Y が点a∈ X で連続ならば, 任意のb∈ Y (b6=f(a))に対し, (a, b)はΓf の外点である.

171. Y が密着空間のとき, f: X Y は連続だがΓf は閉ではない例を挙げよ. (ち なみにこのとき, 任意のf は連続.Γf が閉集合になることはあるか?

172. (X,O)をHausdorff空間とし, O0 O より強いX の位相とする. このとき,

(X,O0)もHausdorff.

173. Rにザリスキ位相をいれるとHausdorffではない.

ドキュメント内 PDF 幾何学序論講義ノート (ページ 194-197)