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直積と直和

ドキュメント内 PDF 幾何学序論講義ノート (ページ 187-192)

第 3 章 位相空間 175

3.2 直積と直和

定義 3.2.1. (X,OX), (Y,OY)を位相空間とする. 直積集合 X ×Y に, 部分集合の族 B = {U ×V U ∈ OX, V ∈ OY} が生成する位相をいれた位相空間を XY の直積 空間(product space), あるいはデカルト積(Cartesian product) といい, この位相 を直積位相(product topology)という.

普通, とくにことわらなければ, 直積集合には直積位相をいれる.

命題 3.2.2. B={U ×V U ∈ OX, V ∈ OY}は直積位相の開基である. すなわち, 直積 位相の開集合はX の開集合とY の開集合の直積の和集合で書けるもの全体である. 証明. 直積位相は Bの生成する位相であるから, 定理 3.1.11よりB は準基である, すな わち,

Bˆ: = (

U ⊂X ×Y U = \

i∈F

Bi, F:有限集合, Bi ∈ B )

が開基である. Bˆ=Bであることを示そう. B ⊂ Bˆ を示せばよい. X ∈ OX, Y ∈ OY で あるからX ×Y ∈ Bである(0個の元の共通部分). Ui×Vi ∈ B (1 ≤i n)に対し, 有限個の開集合の共通部分は開集合であるから,

\n i=1

(Ui×Vi) =

\n i=1

Ui

!

×

\n i=1

Vi

!

∈ B.

注意 . 問題集197を使ってBが開基の条件をみたすことをチェックしてもよい. 定理 3.2.3. X, Y, Z を位相空間, pX: X ×Y →X, pY : X×Y →Y を射影とする.

1. X×Y の直積位相は,pXpY がどちらも連続になるような最弱の位相である. 2. pX, pY は開写像である.

3. 写像f: Z →X×Y が連続である⇔pX◦f, pY ◦f がどちらも連続. 証明. X×Y の直積位相をOとする.

1. pX: (X×Y,O)→X, pY : (X ×Y,O)→Y が連続であることは明らか.

O0 X × Y の位相で pX: (X × Y,O0) X, pY : (X ×Y,O0) Y がど ち ら も 連 続 で あ る も の と す る. O ≤ O0 で あ る こ と を 示 そ う. O B = {U ×V U ∈ OX, V ∈ OY} が生成する位相, すなわち, B を含む最弱の位相

であったから, B ⊂ O0 であることを示せばよい. U ∈ OX, V ∈ OY とすると, 仮 定からpX1(U), pY1(V)∈ O0 である. よって

U ×V = (U ×Y)(X×V) =pX1(U)∩pY1(V)∈ O0.

2. 開基の元の像が開集合であることを示せばよいが, pX(U×V) =U, pY(U ×V) = V であるから明らか.

3. 連続写像の合成は連続なのでは明らか.

pX◦f,pY ◦f がどちらも連続であるとする. 開基の元の逆像が開集合であることを 示せばよい. U ∈ OX,V ∈ OY とすると,仮定から(pX◦f)1(U),(pY◦f)1(V) OZ である. よって

f1(U ×V) =f1((U ×Y)(X ×V))

=f1(U ×Y)∩f1(X ×V)

=f1 pX1(U)

∩f1 pY1(V)

= (pX ◦f)1(U)(pY ◦f)1(V)∈ OZ.

3.2.4. (X, dX), (Y, dY)を距離空間とする. X×Y 上の距離 d((x, y),(x0, y0)) = max{dX(x, x0), dY(y, y0)} を考える.

X×Y の距離dの定める位相と直積位相は一致する. 問93で見たように, 距離dの定める位相と,p

d2X+d2Y, dX+dY の定める位相は同じ であったから, これらの定める位相と直積位相も同じ.

特にR2 =R×Rのユークリッド位相と直積位相は一致する. 証明. まず

Uε((x, y)) =Uε(x)×Uε(y) である事に注意する. 実際,

(x0, y0)Uε((x, y))⇔d((x, y),(x0, y0)) = max{dX(x, x0), dY(y, y0)}< ε

⇔dX(x, x0)< ε かつ dY(y, y0)< ε

⇔x0 Uε(x)かつ y0 Uε(y)

(x0, y0)Uε(x)×Uε(y) である.

Od を距離dの定める位相, OP を直積位相とする.

ε 近傍全体は Od の開基であり, Uε((x, y)) = Uε(x) ×Uε(y) ∈ OP であるから, Od ⊂ OP.

一方, {U ×V U ∈ OX, V ∈ OY} OP の開基であるから, OP ⊂ Od を示すには, U ×V ∈ Od を示せばよい.

(x, y) U ×V とする. ある εi > 0 が存在し, Uε1(x) U, Uε2(y) V となる. ε = min1, ε2}とおくと, ε >0で,

Uε((x, y)) =Uε(x)×Uε(y)Uε1(x)×Uε2(y)⊂U ×V となるので, U ×V ∈ Od.

157. 対角線写像∆ : X →X×X は連続である.

158. pX: X×Y →X が閉写像とはならない例を挙げよ.

159. y0 Y とする. 写像iy0: X →X× {y0}iy0(x) = (x, y0)により定める. iy0 は同相写像であることを示せ. ただし, X × {y0}にはX×Y からの相対位相をいれる. 問 160. X1, X2, Y1, Y2を位相空間とする.

1. fi: Xi Yi を連続写像とする. このとき, (f1×f2) (x1, x2) = (f1(x1), f2(x2)) で与えられる直積空間の間の写像

f1×f2: X1×X2 →Y1×Y2

は連続である.

2. X1Y1, X2Y2が同相であればX1×X2Y1×Y2は同相である.

161. (0,1) × [0,1) と [0,1] × [0,1) は 同 相 で あ る こ と を 示 せ. た だ し (0,1),[0,1),[0,1]R1次元ユークリッド空間の部分空間.

注意 . (0,1) と[0,1]は同相ではない (後の節参照). X ×ZY ×Z が同相であって も, XY が同相になるわけではない. 別の言い方をすれば, XY は同相ではないが, X×ZY ×Z が同相となることもある.

問題集 . 203, 204, 205, 206

定義 3.2.5. {(Xλ,Oλ)}λΛ を位相空間の族とする. 直積集合Q

λΛXλ に, 部分集合

の族 [

λ∈Λ

pλ1(O) O∈ Oλ

が生成する位相 (この位相を直積位相 という) をいれた位相空間を, 族{(Xλ,Oλ)}λΛ

の直積空間または弱位相による直積空間という. ただしpλ: Q

Xλ→Xλは標準的射影.

直積集合には普通とくにことわらなければ直積位相をいれる. 命題 3.2.6.

B = (Y

λΛ

Aλ ある有限集合L⊂Λが存在して,λ ∈LならばAλ ∈ Oλ, λ6∈LならばAλ =Xλ

)

は直積位相の開基である. 証明. S

λΛ

pλ1(O) O∈ Oλ の元の有限個の共通部分としてあらわされる部分集合 全体がBである.

直積位相は定理 3.2.3と同様な性質をみたす(問題集201を参照).

問題集 . 200, 201 注意 . 直積集合Q

λΛXλには, Bbox:=

(Y

λΛ

Oλ ∀λ∈Λ : Oλ ∈ Oλ

)

が生成する位相(これを箱位相(box topology) という)をいれることもできる. Λが 有限集合の場合は箱位相と直積位相は一致するが, 一般には箱位相の方が直積位相よりも 強い. 一般には箱位相では問題集201(4),(5)に相当することが成立しない.

定義 3.2.7. {(Xλ,Oλ)}λΛ を位相空間の族とする. 非交和X =`

λΛXλに, 位相 O ={O⊂X ∀λ∈Λ : O∩Xλ∈ Oλ}

= (

O= a

λ∈Λ

Oλ Oλ∈ Oλ

)

を与えた位相空間(X,O)を族{(Xλ,Oλ)}λΛの位相和という. 定理 3.2.8. X = `

λΛXλを位相和, iλ: Xλ X を標準的包含写像とする. 位相和の 位相は, 全てのiλが連続となるような最強の位相である.

証明. O を位相和の位相とする. 明らかにiλ: (Xλ,Oλ) (X,O)は連続である. 実際, O ∈ Oとすると, i1λ (O) =O∩Xλ ∈ Oλ.

O0 X の位相で, 任意の λ Λ に対し iλ: (Xλ,Oλ) (X,O0) が連続である ものと する. O0 ≤ O であ る こと を 示 そう. O ∈ O0 とす る. 各 λ Λ に対 し, O∩Xλ =i1λ (O)∈ Oλであるから, O∈ O である.

162. iλは開写像かつ閉写像である. 問 163.XλX =`

Xλの開かつ閉集合である.

164. Rを1次元ユークリッド空間とし, Rの部分空間A, BA ={x∈R x > 0}, B = {x∈R x 0}により定める. このとき, 恒等写像 id : A`

B Rは連続である が, 同相写像ではない. (実は位相和A`

BとRは同相ではないことも分かる.) 問 165. (X,O)を位相空間とする. 集合としてX = `

Xλ と非交和に分かれていると し, 各XλOからいれた相対位相をOλとする. このとき,

Oが族 {(Xλ,Oλ)}の位相和の位相である 任意のλに対しXλが(X,O)の開集合 である.

問題集 . 202

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