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波動

ドキュメント内 チャレンジ・ガイド II (ページ 34-47)

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縦波では,媒質の密度に変化が生じる。上の規則にしたが って縦波を横波で表すとき,波の変位の傾きが負でその絶対 値が最も大きいところは,媒質の密度は最大になり,逆に,

傾きが正でその絶対値が最も大きなところは,媒質の密度は 最小になる。前者の位置を密(compression)な位置,後者 の位置を疎(rarefaction)な位置という。これら疎密の位置 が波の速度で伝わる縦波は,疎密波(density wave)とも呼 ばれる。

自然界における縦波と横波

自然界に存在する波の中で,弦を伝わる波は横波であるが,物 質中を伝わる波は縦波が多い。

図1.3のように,固体中は縦波と横波の両方が伝わるが,図1.4 のように,気体中および液体中は,縦波だけが伝わる。したがっ て,空気中を伝わる音波は縦波であることがわかる。ただし,真 空中も伝わる光波は横波であることに注意しておこう。

1.3 正弦波

波動の中で,特に媒質が単振動する波を正弦波(sinusoidal wave)という。

例題 1.1 正弦波の式

波動が存在しないとき,原点 O にある媒質は,O を中心に振幅A,周期T で単振動し,

時刻tにおける変位は,

T t A t

y 2

0) sin ,

( 

と表される。この振動がx軸正方向に速さvで伝わるとき,波がないとき位置xにある媒 質の時刻t における変位を求めよ。

【解答】

縦波の進行方向:

y

x

図1.2

縦波の変位

縦波

横波

図1.3

A B

C

縦波

A 横波 B

C

図1.4

32 原点での変位が位置xまで伝わるのにかか る時間はx/vであるから,時刻tにおける位置 xの媒質の変位y(t,x)は,時刻tx/vにおけ る原点の変位に等しい(図 1.5)。したがって

) , (t x

y は,

/ ,0

) ,

(t x yt x v

y  



 

 

v

t x Asin2T

 

 

 

 

x T

Asin2 t (1.2)

と書ける。ここで,vT

を用いた。 ■

波数と位相速度

正弦波の式(1.2)において,正弦関数の角度部分 

 

 

 

x T

2 t を位相(phase)という。こ こで,(1.2)式をもう少し便利な形に書き直すために,波数(wave number)

 2

k (1.3) を導入する。また,波の角振動数(angular frequency)

2

/T を定義し,これらを波 の基本式(1.1)に用いると,

vk

(1.4) を得る。こうして正弦波の式(1.2)は,

) sin(

) ,

(t x A t kx

y

 (1.5) と書き直される。正弦波の式(1.5)は,これからの考察で便利なものとなる。

例題 1.2 x方向への進行波と位相速度

原点Oにある媒質の時刻tにおける変位が一定の振幅Aと一定の角振動数

により,

t A t

y( ,0) sin

と表されるとする。この振動が,x方向へ波数kで進行する正弦波の式を求めよ。また,

この波の同位相の点が動く速度(これを位相速度(phase velocity)という)vkの表式を求 めよ。

【解答】

位置xでの媒質の変位は,時間x/vだけ後の時刻の原点x 0での変位に等しい。した がって,時刻tにおける位置xの媒質の変位は,波の速さをvとして(1.5)式を用いて,

 ( / , ) )

,

(t x yt x v 0

y 

 

  v t x

Asin

Asin(

tkx) (1.6) v

時刻

  v

t x の波形

時刻tの波形

x x

y

y O

図1.5

33 を得る。波の式(1.6)において,同位相の点は,

kx

t 一定

で与えられるから,この式の両辺を時間tで微分して位相速度

dt vkdx は,

0

dt kdx

∴  

dt vk dx

k

v

弦を伝わる横波の速さ

弦を伝わる横波の速さは,次の例題1.3で示すように,

uS (1.7) で与えられる。

例題 1.3 横波の速さ

張力Sで張られた線密度

の弦を水平右向きに伝わる横波を考える。横波とともに速さ uで動く観測者が見ると,波形は静止し,弦は波形に沿って左向きに速さuで動いている。

図1.6のように,波形の頂点で重なる半径rの円(これを波形の頂点での曲率円(osculating

circle)といい,rを曲率半径(radius of curvature)という)を考えると,頂点部分の弦

は,速さuで半径r の円運動をしている。このことを用いて,弦を伝わる横波の速さ(1.7) 式を導け。

【解答】

図1.7に示されている弦の頂点部分(半径rの 扇形の微小な弧の部分)ABに,円運動の方程 式を適用する。扇形の微小な中心角を2

(1) とすると,AB部分の質量は

r2

2

r

,円 の中心方向(鉛直下方)の加速度はu2/r,両 側からAB 部分に作用する張力の鉛直下方成分 の和は2Ssin

2S

となるから,円運動の方 程式より,

r u

図1.6

 

 

r

S S

A B

u

O

図1.7

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S

r r u 2 2

2  ∴

uS

1.4 波の反射と透過

波が異なる媒質の境界面に垂直に入射する場合,一部はそのまま透過するが,一部は反 射する。波が反射するとき,反射端に,どのような力が作用するかで,反射波の位相がず れる場合とずれない場合がある。反射端で,力が全く作用しない反射を自由端反射

(reflection of a free end),強い力が作用して反射端の媒質が全く動くことのできない反射 を固定端反射(reflection of a fixed end)という。

入射波が境界面に入射し,透過波が存在する場合,一般に,境界面の透過側の方が振動 しやすい場合は自由端反射になり,逆に振動しにくい場合は固定端反射になる。その中間 的な反射は起こらない。

自由端での反射では,反射波の変位は入射波の変位に等しく,固定端では,反射波の変 位は入射波の変位の逆符号となる。変位が等しいとき,「位相のずれは 0」であり,変位が 逆符号になるとき,「位相は

ずれる」。一方,透過波の位相はずれない。

すべての波が端点ですべて反射する全反射(total reflection)では,0と

の中間の位相 変化が起こり得る。

波の重ね合わせ

2 つ の 波 が 重 な る と き , 媒 質 の 変 位 に 関 し て重 ね 合 わ せ の 原 理(principle of superposition)が成り立つ。

正弦波の干渉と定在波

2つの波が重ね合わさり,強め合ったり弱め合ったりする現象を波の干渉(interference)

という。2つの波が同位相で重なると強め合い,逆位相で重なると弱め合う。また,媒質 の振動の振幅が位置x で決まり,各点の媒質がすべて同位相で振動する波を定在波

(standing wave)という。定在波において,振幅が最大となる位置を腹(loop or antinode), 振幅が最小となる位置を節(node)という。

例題 1.4 正弦波による定在波の形成 図 1.8 のように,振幅A,角 振動数

,波数kの進行波

) sin(

) ,

(t x A t kx

y1

x軸正方向に向かって進み,

0

x にある壁で反射するとき,

領域x≦0に定在波が生じる。

壁での反射が自由端反射である 場合と固定端反射である場合の

y

0 x

0 t

図1.8

A

A

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それぞれについて,領域x≦0での定在波の式を求め,波長

を用いて腹の位置と節の位置 の座標を定めよ。また,自由端反射と固定端反射のそれぞれの場合について,T 2

/

を 周期として,時刻t 0,T/4,T/2における定在波の波形を作図により描け。ただし,反射 による振幅の減衰はないものとする。

【解答】

自由端反射と固定端反射の場合,反射波の式は,

) sin(

) ,

(t x A t kx

y2 

 (+符号は自由端反射,符号は固定端反射)(1.8) と書けるから,三角関数の和積公式

2

2

2

  

sin sin cos

sin 

 (1.9)

を用いて,入射波と反射波の合成波は,

 (, ) ( , ) )

,

(t x y t x y t x

y 1 2



:固定端反射

:自由端反射 t

kx A

t kx

A

cos sin

sin cos

2

2 (1.10)

と書ける。

(1.10)式の最右辺において,sin

t(cos

t )は振動を表す項であり,2Acoskx

(2Asinkx)は,位置xにおける振幅を表している。したがって,n 0,1,2,として,

(i) 自由端反射の場合

腹の位置:kxn

x  2 n

 , 節の位置: 

 

 

 2

n 1

kxx

2 2 1



 

 

n

(ii) 固定端反射の場合

腹の位置: 

 

 

 2

n 1

kxx

2 2 1



 

 

n , 節の位置:kxn

x  2 n

となる。

上の結果より,反射端x0が腹になるか節になるかを見ると,次のことがわかる。自由 端反射と固定端反射では,腹の位置と節の位置が逆転し,自由端反射では,反射壁の位置 が腹に,固定端反射では,反射壁の位置が節になる。また,隣り合う腹どうし,隣り合う 節どうしの間隔はともに

/2であり,隣り合う腹と節の間隔は

/4である。

自由端反射では,壁での位相変化がないので,反射波は,入射波を領域x 0まで延長し,

延長した波をそのままy軸に関して折り返せばよい。固定端反射では,壁で変位の符号が 反転するので,反射波は,入射波を領域x 0まで延長し,延長した波をx軸に関して反転 し,その上でy軸に関して折り返せばよい。こうして,定在波の波形を図1.9のように得る。

ここで,入射波は細い実線で,反射波は点線で,合成波である定在波は太い実線で描かれ ている。

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■ 1.5 弦の共振

両端を固定した弦を弾くと,両端を節とした定常波が生じ,共振した状態になって音を 発する。これがバイオリンなどの弦楽器である。こ

の場合,弦に入射した振動は,固定された一端 P で反射して,入射波と反射波が重なり端Pを節とす る定常波を生じる。一方,他端 Q に向かった反射 波は,端 Q でも固定端反射するため,そこでも Q を節とする定常波となる。したがって,両端 P, Q がともに節となる定常波のみが残る。

図1.10 のように,強く張られた弦の両側の固定 端間に,腹が1つの定在波が出来ているとき,その 振 動 を 基 本 振 動 ( fundamental harmonic oscillation),腹が2個のとき,2倍振動(second

harmonic oscillation),・・・,腹がn個のとき,n

入射波

反射波

入射波

合成波 反射波

合成波 y

x

y

x

x

y y

x

x

y y

x

0 0

0 0

0 0

0

t t0

/4 T

t tT/4

/2 T

t tT/2

自由端反射 固定端反射

図1.9

1/2

2/2

3/2

L

基本振動

2倍振動

3倍振動

図1.10

37

倍振動(n-th harmonic oscillation)といい,これらの振動を固有振動(proper oscillation)

という。

例題 1.5 弦の固有振動

張力Sで張られた線密度

の弦の長さをLとするとき,この弦にn 倍振動ができている とする。そのときの振動数fnを求めよ。

【解答】

波長

nは,隣り合う節間の距離が

n/2であるから,

2 n n

L

より,

n L

n

 2

となる。いま弦を伝わる横波の速さがvS/

と書けるから,n倍振動の振動数は,

n n

f v

 

S L n

2 ■

1.6 ホイヘンスの原理と波の回折

ある時刻において,位相の等しい点をつないでできる面を波面(wave front),波面に垂 直な線を射線(ray)といい,波は射線に沿って伝播する。波面が平面の波を平面波(plane wave),波面が球面になる波を球面波(spherical wave)という。

ホイヘンスの原理

図 1.11 のように,ある瞬間の波面上の各点から,これらの点を波源とする素元波

(elementary wave)が無数に生じ,これらの波に共通する面(包絡面)が次の波面となる。

このようにして波が伝播するという考え方をホイヘンスの原理(principle of Huygens)と いう。

射線 波面

波源 素元波の波源

図1.11

波面

図1.12

ドキュメント内 チャレンジ・ガイド II (ページ 34-47)