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これより,波の速度u は,

ドキュメント内 チャレンジ・ガイド II (ページ 111-115)

m k k p u E

2

 

となり,uは波数kすなわち波長に依存する。このような波は,「分散のある波」と呼 ばれる。

波束の群速度vgは,

m v p m

k dk

vgd

    (2.16) となる。すなわち,粒子の速度vは位相速度uと異なり,波束の群速度vgに等しい。

これは何を意味するのであろうか。粒子は個々のド・ブロイ波ではなく,波長あるい は振動数がわずかに異なる波の合成

波と考えれば理解できる。波長あるい は振動数のわずかに異なる2つの波 を重ね合わせると,音波のうなりの場 合と同様に,図2.11のように,いくつ もの波束ができる。ここで,波長のわ ずかに異なる波を3つ,4つ,・・・

と重ね合わせていくと,1か所だけで強め合 い,他のところは次第に打ち消されていく。

こうして,波長がわずかに異なる波を無限に 連続的に重ね合わせると,図 2.12 のように,

1か所の近傍だけで大きな振幅をもち,他の と こ ろ は す べ て 消 え て し ま う波 束(wave packet)ができる。この波束が動く速さ(す なわち群速度)は,(2.16)式で与えられる。こ

うして,ド・ブロイ波における粒子は,図2.12のような波束で与えられると考えられる。

ただし,波長の異なるド・ブロイ波は,その速度が異なるため,ある瞬間に1つの波束 が形成されても,すぐに壊れてしまい,次に別のところに波束が形成される。したがっ て,波束を粒子とみなすと,粒子は出来ては消え,また別の場所にできるということを 繰り返すことになる。この問題を解決するには,量子力学の完成を待たねばならない。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【発展終】

y

t

図2.11 0

図2.12

108 例題 2.2 電子線回折

電子の波動性により,電子線を結晶に入射させると,X線の場合と同様に回折現象を起こ す。また,結晶内の平均的電位(これを結晶の内部電位とよぶ)は真空中より高くなって いるため,電子線は結晶表面で加速されて屈折する。

図 2.13 のように,真空中で,電圧V 130Vで加 速された電子を結晶の原子面と角

45で入射させ たところ,入射電子は図のように反射され,強い反射 電子線が観測された。反射電子線の回折次数をn3 として,結晶の内部電位V0を求めよ。ただし,電子 は真空中でほぼ静止した状態で加速されたとし,原子 面間隔をd 2.01010 mとする。ここで,強め合う ときの回折次数nとは,隣り合う原子面で反射された 反射電子線間の経路差が,結晶中での電子波の波長の n倍に等しいことを示している。

電子の質量をm 9.11031kg,電子の電荷の大きさをe 1.61019C,プランク定数 をh 6.61034 Jsとする。

【解答】

真空中で電圧V で加速された電子の運動量pは,

m mv p

eV 2 2

1 22

 ∴ p  2meV となるから,真空中の電子線のド・ブロイ波長は,

meV h p

h

 2

となる。結晶中の電子は,静止状態から電圧VV0で加速されたことになるから,そのド・

ブロイ波長

は,

)

( 0

2meV V h

 

 となる。

結晶内での電子線が原子面となす角を

とす ると,波の屈折の法則より,

V V0 1

 

 

cos

cos

電子線が強め合う条件(ブラッグ条件)は(図 2.14),

図2.13

電子線

d

図2.14

電子線

d

   

109

2dsin 2d 1cos2 n

これらより

とcos

を消去して,

2

2 2 2 0

4 sin

d n V V

となる。この式にを代入し,与えられた数値を用いて,

0 22 2 2

≒ 2

4 V sin

me h d

Vn   19V

を得る。 ■

【発展】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

2.5 不確定性原理

粒子がド・ブロイ波の波束であると考えると,粒子はわずかに波長の異なる波全体が 1つの粒子を表していることになる。そうすると,波長によって粒子の運動量が決まる から,粒子の運動量は1つに定まらないことになる。つまり,粒子の運動量にはある程 度の不確かさ(uncertainty)がある。さらに,波束は空間的にある程度の広がりをもつ から,粒子の位置にも不確かさがある。

運動量の不確かさと位置の不確かさの間にどのような関係があるか,2つの波の重ね 合わせを例として考えてみよう。

波数k,角振動数でx軸方向に伝わる波と,同じ振幅Aで,波数と角振動数がわず かに異なる値k,をもち,同じ向きに伝わる波の合成波は,

) sin(

)

sin(kx t A kx t

A

y 

  



 

  

 

 

 

  

 

  k k x t

t k x

A k

2 2

2

2 2

   

sin cos

と表される。

まず,時刻tを固定して考えよう。そのとき,振幅がゼロの隣り合う点の間が波束であ り,そこに粒子が存在すると考えられる。kk

kとおくと,粒子の存在する領域の 幅xは,

  

xk

2 (~

は,

程度ということを示す)より,

k

x~2

x

ph (2.17) となる。(2.17)式は,粒子の運動量の幅(不確かさ)

pが大きくなると位置の幅(不確 かさ)xは小さくなり,逆に,運動量の不確かさ

pが小さくなると位置の不確かさx が大きくなることを示している。つまり,粒子の位置と運動量を同時に正確に決めるこ とはできないという不確定性関係(uncertainty relation)が成り立つことを示している。

位置xを固定しても同様に,時刻の不確かさtとエネルギーの不確かさ

Eの間に,

110 不確定性関係

h E t

 (2.18) が成り立つ。

これらの不確定性関係を出発点にとる原理を不確定性原理(uncertainty principle)と いう。

例題 2.3 水素原子の最小半径と最低エネルギー

不確定性原理を用いて,水素原子の最小半径r0と最低エネルギーE0を求めよ。

【解答】

水素原子において,原子核からクーロン力を受けて核のまわりを,運動量の大きさp 半径rの円運動をする電子のエネルギーEは,電子の質量をm,電子の電荷をe,クーロ ンの法則の比例定数を

4 0

1



k とすると,

r ke m E p2 2

2 

 (2.19) 円運動する電子の運動量の不確かさを

p,半径の不確かさを

r とすると,電子のエネ ルギーが小さくなり,半径r と運動量pがどんなに小さくなっても,r

rp

pであ るから,そのときの水素原子のエネルギーEは,不確定性関係

x

phを用いて,

2 4 2 2

4 2 2

2 2

2 2

2

2 2 2

1 2

2 h

me k h

me k h

p kme p m

h ke m p r

ke m

E p   

 

 

 ~

  

) ( )

(

これより,

h pkme4

のとき,最低エネルギーと最小半径は,

0

E 2 24 2h

me

k ,  

p r h

r0

2 2 kme

h

一方,(2.4), (2.5)式より,ボーアモデルによる水素原子の基底状態のエネルギーは

2 4 2 2 1

2 h

me E

k

,そのときの半径(ボーア半径)

2 2

2

0 4 kme

a h

であるから,数値係数4

2 を無視する範囲で一致する。 ■

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【発展終】

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