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蒸気養生過程におけるコンクリート製品の 乾燥現象に関する研究

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(1)

2019 年度修士論文

蒸気養生過程におけるコンクリート製品の 乾燥現象に関する研究

首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 都市基盤環境学域

学修番号 18851511 大野 優実

指導教員 宇治公隆

(2)

I

目次

1

章 序論

・・・ 1

1.1 研究背景 ・・・ 2

1.1.1 プレキャストコンクリート製品 ・・・ 2

1.1.2 促進養生 ・・・ 4

1.1.3 混和材料 ・・・ 6

1.1.4 プレキャストコンクリートの中性化に対する抵抗性の照査 ・・・ 6

1.2 研究の目的 ・・・ 7

1.3 論文の構成 ・・・ 9

参考文献 ・・・ 11

2

章 既往の研究

・・・ 13

2.1 蒸気養生を実施したコンクリートの諸物性 ・・・ 14

2.1.1 蒸気養生条件の相違によるコンクリートの物性 ・・・ 14

2.1.2 蒸気養生後の二次養生によるコンクリートの物性 ・・・ 15

2.2 乾燥がコンクリートの物性に及ぼす影響 ・・・ 17

2.2.1 乾燥を受けたコンクリート ・・・ 17

2.2.2 乾燥収縮現象 ・・・ 17

2.2.3 細孔構造の不均質化 ・・・ 17

2.2.4 強度特性に及ぼす影響 ・・・ 17

2.3 中性化および塩害によるコンクリートの化学的劣化 ・・・ 19

2.3.1 中性化による劣化 ・・・ 19

(1) メカニズ ・・・ 19

(2) 中性化による鉄筋コンクリートの劣化 ・・・ 20

2.3.2 中性化進行速度の支配的要因 ・・・ 20

(1) 細孔構造 ・・・ 20

(2) セメントの種類 ・・・ 21

2.3.3 塩害による劣化 ・・・ 22

(1) メカニズ ・・・ 22

(2) 塩化物イオン量と拡散係数 ・・・ 22 (3) 塩害による鉄筋コンクリートの劣化 ・・・ 23

2.3.4 塩化物イオン拡散係数の支配的要因 ・・・ 23

(3)

II

2.4 混和材 ( 高炉スラグ微粉末 ) の反応熱 ・・・ 24

2.4.1 水和熱に及ぼす養生温度の影響 ・・・ 24

2.4.2 養生温度および粉末度の相違よる反応率の変化 ・・・ 25

参考文献 ・・・ 26

3

章 粉末度の異なる高炉スラグ微粉末を使用した蒸気養生コンクリートの

細孔構造及び諸物性

・・・ 29

3.1 はじめに ・・・ 30

3.2 実験概要 ・・・ 30

3.2.1 使用材料 ・・・ 30

3.2.2 計画配合 ・・・ 31

3.2.3 養生条件と供試体諸元 ・・・ 32

3.2.4 蒸気養生条件 ・・・ 33

3.3 試験項目 ・・・ 32

3.3.1 フレッシュ試験 ・・・ 34

3.3.2 温度測定 ・・・ 35

3.3.3 細孔径分布測定試験 ・・・ 36

3.3.4 圧縮強度試験 ・・・ 37

3.3.5 曲げ強度試験 ・・・ 38

3.3.6 促進中性化試験 ・・・ 39

3.3.7 質量変化測定 ・・・ 40

3.4 コンクリートのフレッシュ性状 ・・・ 41

3.5 蒸気養生中の温度履歴 ・・・ 42

3.6 細孔構造の比較 ・・・ 45

3.6.1 深さ方向の細孔構造 ・・・ 46

3.6.2 総細孔量および 40nm 以上の細孔量 ・・・ 52

3.7 圧縮強度および曲げ強度 ・・・ 53

3.7.1 高炉スラグ微粉末の比表面積の違いが蒸気養生コンクリートの圧縮強

度および曲げ強度に及ぼす影響 ・・・ 55

3.8 中性化性状 ・・・ 60

3.8.1 高炉スラグ微粉末の比表面積の違いが蒸気養生コンクリートの中性化

性状に及ぼす影響 ・・・ 61

3.9 質量減少率 ・・・ 64

3.9.1 高炉スラグ微粉末の比表面積の違いが蒸気養生コンクリートの質量減

少率に及ぼす影響深さ方向の細孔構造 ・・・ 64

(4)

III

3.10 まとめ ・・・ 66

参考文献 ・・・ 68

4

章 蒸気養生過程におけるコンクリートの水分逸散機構

・・・ 69

4.1 はじめに ・・・ 70

4.2 実験概要 ・・・ 70

4.2.1 使用材料 ・・・ 70

4.2.2 計画配合 ・・・ 71

4.2.3 養生条件と供試体諸元 ・・・ 72

4.3 試験項目 ・・・ 73

4.3.1 フレッシュ試験 ・・・ 73

4.3.2 温度測定 ・・・ 73

4.3.3 細孔径分布測定試験 ・・・ 74

4.4 コンクリートのフレッシュ性状 ・・・ 75

4.5 蒸気養生中の温度履歴 ・・・ 76

4.6 蒸気養生過程における乾燥が細孔構造に及ぼす影響 ・・・ 78

4.6.1 小型供試体の型枠側面全体の細孔構造 ・・・ 79

4.6.2 小型供試体の打ち込み面からの深さ方向別の細孔構造 ・・・ 83

4.7 まとめ ・・・ 88

参考文献 ・・・ 89

5

章 供試体寸法の違いが蒸気養生コンクリートの乾燥に及ぼす影響

・・・ 87

5.1 はじめに ・・・ 92

5.2 実験概要 ・・・ 92

5.2.1 使用材料 ・・・ 92

5.2.2 計画配合 ・・・ 93

5.2.3 養生条件と供試体諸元 ・・・ 94

5.3 試験項目 ・・・ 95

5.3.1 フレッシュ試験 ・・・ 95

5.3.2 温度測定 ・・・ 96

5.3.3 細孔径分布測定試験 ・・・ 97

5.3.4 圧縮強度試験 ・・・ 99

5.3.5 促進中性化試験 ・・・ 101

5.4 コンクリートのフレッシュ性状 ・・・ 103

(5)

IV

5.5 蒸気養生中の温度履歴 ・・・ 104 5.6 供試体寸法の違いが蒸気養生コンクリートの細孔構造に及ぼす影響・・ 107

5.6.1 供試体寸法の違いによる蒸気養生コンクリートの細孔構造の比較・ 107

5.7 供試体寸法の違いが蒸気養生コンクリートの諸物性に及ぼす影響・・・ 112

5.7.1 圧縮強度に及ぼす影響 ・・・ 112

5.7.2 中性化性状に及ぼす影響 ・・・ 113

5.8 まとめ ・・・ 115

参考文献 ・・・ 116

6

章 結論

・・・ 117

6.1 蒸気養生過程におけるコンクリートの乾燥現象に関する研究 ・・・ 118

6.1.1 蒸気養生中のコンクリートの乾燥 ・・・ 118

6.1.2 細孔構造 ・・・ 119

6.1.3 圧縮強度・曲げ強度 ・・・ 119

6.1.4 中性化性状 ・・・ 120

6.1.5 質量変化率 ・・・ 120

(6)

1

第 1 章

序論

(7)

2

1.1

研究背景

1.1.1

プレキャストコンクリート製品

(1)

概要

プレキャストコンクリート (precast concrete) とは,日本工業規格:コンクリー

ト用語 (JIS A 0203) において, 「工場又は工場現場内の製造設備によって,あらか

じめ製造されたコンクリート部材または製品」 1) と記載されており,コンクリー トの硬化後に運搬され使用されるコンクリート部材や製品のことを指す.この うち,管理された工場で継続的に製造されるものを工場製品という 2)

日本におけるプレキャストコンクリートの大部分は工場製品であり,工場製 品の大部分は JIS マーク表示認定工場で製造されている.日本のプレキャストコ ンクリートが占めるセメント消費量は,全生産量の 15 %程度であり,欧米諸国 と比較して低い割合に留まっている 3) .プレキャストコンクリートを有効活用す ることは,均一な品質のものを経済的に入手することが可能となるほか,工期短 縮などメリットが多いため,利用割合の増加が今後期待される.

-1.1 にプレキャストコンクリート製品の種類を示す 4) .日本工業規格: JIS

A 5361 の構造別製品群規格によると,無筋コンクリート製品 (URC 製品 ) ,鉄筋

コンクリート製品 (RC 製品 ) およびプレストレストコンクリート製品 (PC 製品 ) に 分類されており,各構造形式の共通事項を規定した本体規格と用途別製品群規 格としての付属書からそれぞれ構成されている.これらの規格は,従来の仕様規 定型の規格と異なり,性能規定型の規格となっている.プレキャストコンクリー トが利用されている構造物は多岐に渡り,比較的大型のものとして,擁壁類,暗 きょ類などが挙げられ,小型のものとして,路面排水側溝類,舗装・境界ブロッ ク類等がそれぞれ代表例として挙げられる.一般に,大型のプレキャストコンク リートは取り替えが困難であり,小型のものは取り替えも容易であるとされる.

-1.1

プレキャストコンクリート製品の構造区分

JIS A 5361

構造の種類(略号) 製品例

プレキャストコンクリート

無筋コンクリート (URC)

‐積みブロック

‐張りブロック

‐境界ブロック

‐インターロッキングブロット

鉄筋コンクリート (RC)

‐鉄筋コンクリートくい

U

型側溝

‐L型擁壁

‐鉄筋コンクリートボックスカルバート

プレストレストコンクリート (PC)

‐道路橋用橋げた

‐合成床版用プレキャスト板

PRC

ボックスカルバート

‐プレストレストコンクリート管

(8)

3

プレキャストコンクリート製品は,現場打ちのコンクリートと製造時の環境 や設備が異なるため,プレキャストコンクリート独自の特徴を有する.そのため,

プレキャストコンクリート製品の有効活用にあたり,その長所および短所を把 握することはきわめて重要である.プレキャストコンクリートの特徴を以下に 示す.

【長所】

• 現場で材料の貯蔵集積所や練混ぜ設備が不要となり,汚染の心配が少なくな る.

• 材料を常時大量に購入するため,品質が均一なものを経済的に入手できる.

• コンクリートの打込みを作業の容易な場所で行うことができる.

• 高性能なコンクリート製造設備および機器を備えることが可能であり,強カ で特殊な締固め方法や養生方法を採用できる.

• 工期を短縮することができる.

• 工事を機械化しやすく,安全性の向上,省力化,能率化,急速化を図ること ができる.

• 気象作用の影響をほとんど受けない作業体制が可能であり,寒冷地の施工に おいて特に有利である.

• 地中に埋設する場合などに掘削幅などの土工量を減少できる.

• 実物実験が容易であるため,製品の品質を直接確認できる.

• JIS によって標準化されているものが多いため,入手および使用が容易であ る.

【短所】

• 継手が弱点となりやすい.

• 大寸法のものを運搬する場合,道路や運搬機械などにおいて制約を受ける.

【その他】

• 一般に薄い断面のものが多く,粗骨材の最大寸法は 40mm 以下 ( 通常は 20 ま たは 25mm 以下)である.

• 早期脱型による製造効率の向上を目的とし,常圧蒸気養生などの促進養生が

実施される.

(9)

4

1.1.2

促進養生

(1)

概要

促進養生とは,コンクリートの硬化および強度発現を促進させるために行う 養生であり,材齢初期のコンクリートに熱エネルギーを加えることで水和反応 を促進させるものである.促進養生の方法は,常圧蒸気養生と高温高圧蒸気養生 ( オートクレーブ養生)の二つに分類されおり,プレキャストコンクリートを製 造する工場では,経済的な観点から,一般に常圧蒸気養生を採用している.

蒸気養生とは,温度管理が可能な蒸気養生槽内において,打設したコンクリー

トに対して所定の時間を経過させた後,型枠ごとに水蒸気を噴霧することで熱

エネルギーを加えるものである.これにより,セメント粒子が水分と接して生じ

る水和反応は,熱エネルギーの増加により促進される.そのため,早期に所定の

強度を得ることができ,通常の湿潤養生の場合と比較して,型枠の稼働率を向上

させることができる.また,コンクリートの打設後すぐに製品を取り扱うことが

可能となるため,製品の保管スペースの縮小や,工期短縮といった付随するメリ

ットが非常に多く,経済性,生産性の向上に大きく貢献する 5) .しかし,成形直

後の蒸気噴霧や急速な温度上昇およびきわめて高温の養生を行うことは,コン

クリートに悪影響を及ぼす.また,高温状態にあるコンクリートを蒸気養生室か

ら取り出して急冷すると,コンクリート表面にひび割れを発生させる恐れがあ

6) .また,同一配合の標準養生したコンクリートと比較して,蒸気養生したコ

ンクリートは長期強度及び耐久性が低下する傾向にある 7)

(10)

5

(2)

常圧蒸気養生

本研究で実施したのは,常圧蒸気養生である.

-1.2 に常圧蒸気養生の標準的 な方法 8) を示す.常圧蒸気養生のプロセスは,前置き ( 前養生 ) 工程,温度上昇 ( 昇 温 ) 工程,最高温度保持工程および温度降下 ( 降温 ) 工程で構成される.これらの工 程はいずれも温度および時間で管理される.蒸気養生条件は対象となるプレキ ャストコンクリート製品によって異なる.

-1.2

常圧蒸気養生の標準的な方法

土木学会コンクリート標準示方書 工場製品

ACI-517.2R-87

コンクリートの促進養生

(プレキャスト部材および PC

部材の場合)

練混ぜ後に通気する までの時間

・2~3 時間

•水セメント比が小さければ短くてよいが,大きければ長く.

・コンクリートの 凝結時間とするとよい.

温度上昇勾配

•20℃/h

以下 ・11~44℃/h

最高温度

•65

特に決めていない

保持時間

特になし

特に決めていない

降温 ・大気の温度差と大差なくなるまで徐々に下げる.

•製品にひび割れが生じないように下げる.

(3)

蒸気養生後の養生

(

二次養生

)

蒸気養生を実施した後に続けて行う養生を,二次養生という.二次養生として

気中保管 ( 気中環境にて保管すること ) を行った場合,乾燥の影響を受けてコンク

リート内部の湿分が失われ,水和反応が停滞すると考えられ,細孔構造の形成が

進行せず,強度増進も行われない.しかし,蒸気養生を実施したのちにも,水中

養生など十分に水分が供給される湿潤環境において養生することで,結合材の

水和反応は継続され,細孔構造は緻密になるとされている.しかし,一般にプレ

キャストコンクリート製品の製造にあたっては,二次養生に気中養生を行って

いる場合が多い.この理由としては,限られたスペースの中に水中養生槽の設置

が困難であることや,散水などを行うと表面の色むらが生じ,外観が悪くなりや

すいこと,プレキャストコンクリート製品であれば,全表面に散水することが困

難であることなどが挙げられる.

(11)

6

1.1.3

混和材料

工場製品に用いられる混和材には,膨張材,無水石こうなどを主成分とする, 高強度用混和材,高炉スラグ微粉末,フライアッシュ,けい酸質微粉末などがあ る.これらは,土木学会コンクリート標準示方書により, 「工場製品に特有な配合, 締固め,促進養生などに適した使用方法,製品の品質への影響,使用効果などを 十分に確認した上で適切に使用しなければならない」 9) と記載されている.

1.1.4

プレキャストコンクリートの中性化に対する抵抗性の照査

一般に普通ポルトランドセメントを用い,水セメント比 50 %以下のコンクリ ートを入念に施工し,かぶりが 30mm 以上の場合は中性化に関する照査を行わ なくてもよいとされている 10) .しかし,混合セメントを用いる場合は,中性化 に関する照査を行わなければならない.プレキャストコンクリート製品の主な 照査方法および耐久性能に関しては, 「想定される劣化作用に対して,供用期間 において所要の耐久性能があることを信頼性のある照査方法で照査する,また は,配合,養生条件などの使用が類似したものの実績によって類推して照査する」

11) とされている.なお,ここでいう仕様とは,水セメント比やかぶりなどが相当

する.

(12)

7

1.2

研究の目的

前述したように,プレキャストコンクリート製品は,蒸気養生の実施により,

脱型に要する強度を早期に得ることができ,型枠の稼働率を向上させ,工期短縮 など,経済性,生産性の向上に貢献する.一方で,同一配合の標準養生したコン クリートと比較して,蒸気養生したコンクリートは疎な細孔構造となり,長期強 度および耐久性が低下する.この要因として,高温養生により,セメント硬化体 の組織が粗大化することや,セメント粒子の周囲を水和物の半透膜が被覆し,そ の後の水和反応が妨げられることなどが挙げられている.一般に蒸気養生コン クリート中には末水和のセメント粒子が多く残っており,養生が不足している ことも大きな要因のひとつである.また,蒸気養生中および蒸気養生後のコンク リートの乾燥による影響も挙げられている 12) 13) .蒸気養生中,コンクリートの 温度がセメントの水和熱の影響で養生槽内の温度よりも高くなり,コンクリー トの相対湿度が低下することで引き起こる乾燥による影響,脱型後の気中保管 により,コンクリート表層部の相対湿度の低下から引き起こる乾燥による影響 も考えられる.これらの乾燥を受けた蒸気養生コンクリートは,水和反応の停滞 と乾燥収縮によるマイクロクラックの影響により,疎な細孔構造となってしま い,中性化や塩害に対するコンクリートの耐久性を損なってしまう 14) 15)

このような背景から,本学では水セメント比や前置き時間,二次養生条件が,

蒸気養生コンクリートの細孔構造や中性化特性などに及ぼす影響の検討を行っ ている 13) 14) 15) .本学における既往の研究により,水セメント比を低くすること で耐久性が向上することが明らかとなった.また,蒸気養生後の二次養生におい て,水中養生をすることで水分が補給され乾燥による影響を防ぎ,細孔構造は緻 密化した.また, 2 回蒸気養生を行うことでも細孔構造は緻密化し耐久性は向上 することが明らかとなった.

しかし,蒸気養生後に湿潤養生を行うことが所要の性能を確保する上で重要 であると考えられるが,蒸気養生コンクリートは脱型後において,気中保管され る場合が多いというのが現状であり,また,本学で提案する二次養生は,養生水 槽を用いる実験的なものであり,工場のストックヤードに養生水槽を設置する ことは困難であることや,出荷日数の関係等の工場の実状を考慮できていない という問題がある.そこで,蒸気養生中の乾燥抑制に着目し,蒸気養生工程にお ける最高温度保持工程および降温工程において散水することが提案された.蒸 気養生中の散水によって,乾燥が抑制され,細孔構造が緻密化し,圧縮強度,曲 げ強度,中性化抵抗性も上昇することが分かった 14)

そこで本研究は,蒸気養生中の乾燥抑制に着目し,蒸気養生過程において蒸気

養生槽内温度とコンクリート温度に差が生じることで,コンクリート表層部が

乾燥する現象を細孔構造の観点から考察した.また,蒸気養生コンクリートの供

(13)

8

試体寸法が細孔構造およびその他性能に及ぼす影響について考察した.加えて,

蒸気養生中のコンクリートの乾燥抑制に着目し,水和熱低減効果が期待できる

高炉スラグ微粉末を使用することによる乾燥抑制効果および諸物性への影響を

検討した.

(14)

9

1.3

論文の構成

本論文は全 5 章で構成されている.

1

章は,本研究の背景および目的を示している.

2

章は,既往の研究をとりまとめたものである.

3

章は,粉末度の異なる高炉スラグ微粉末が,プレキャストコンクリート

製品の細孔構造,強度および中性化性状に及ぼす影響についてとりまとめたも のである.養生方法は,蒸気養生を実施し,脱型後に気中保管をするものに加え,

5 日間封緘養生した後に脱型し,気中保管するものの 2 ケースとした.配合は,

水セメント比 40 %で,結合材に普通ポルトランドセメント,高炉スラグ微粉末 の比表面積が異なる 2 種類 ( 比表面積: 3000(g/ ㎠ ) , 4000(g/ ㎠ )) を使用し, 3 水準 の配合で比較検討した.本実験結果により,各条件での細孔構造の相違,各条件 での圧縮強度および曲げ強度の差,中性化速度係数の相違が明らかとなった.ま た,細孔構造と圧縮強度,細孔構造と中性化速度係数の相関が明らかとなった.

4

章は,蒸気養生過程におけるコンクリートの水分逸散機構を明らかにす

るため,蒸気養生中のコンクリートおよび養生槽内の温度を測定し,各側面(開 放面,型枠側面,型枠底面)の細孔構造を比較した.実験より,蒸気養生コンク リートは蒸気養生中の最高温度保持工程および降温工程において,コンクリー トと蒸気養生槽内の温度差が大きくなり,この間に通常の蒸気養生コンクリー トは乾燥することが示唆された.また,蒸気養生コンクリートの細孔構造は,打 込み面,型枠側面,型枠底面でばらつきを生じており,特に,開放面,型枠側面 の打込み面近傍は蒸気養生中の乾燥の影響を受けやすく,疎な細孔構造になる ことが明らかとなった.また,側面上部の一部表層 (10-20mm) よりも側面下部の

表層 (0-5mm) の 100nm 以上の粗大な細孔量が多く,疎な細孔構造になることか

ら,蒸気養生過程において型枠側面からも水分逸散の影響が示唆された.

5

章は,蒸気養生中のコンクリート温度は,断面厚などの形状寸法によっ

ても異なることから,蒸気養生過程において供試体寸法の違いがコンクリート

の乾燥に及ぼす影響を検討したものである.第 4

章の養生方法を用いて,部材

厚さの大きい供試体 (500×500×500mm) に対し同様の実験を行い,

3

章,

4

章で

対象とした 100×100×400mm の小型供試体と比較検討した.実験より,大型の蒸

気養生コンクリートは,水和熱が大きくなることや保温性が高まることから,小

型の蒸気養生コンクリートと比較して,コンクリートと養生槽内の温度差が大

(15)

10

きくなり,蒸気養生過程の後半である降温工程においてコンクリートと蒸気養 生槽内の温度差が生じ始め,その温度差は降温工程終了時にかけてさらに大き くなることが明らかとなった.小型供試体と大型供試体の蒸気養生中の蒸気圧 の推移を比較すると,小型供試体,大型供試体共に最高温保持工程以降に蒸気圧 比が 100% を下回る.つまり,養生槽の蒸気圧よりもコンクリート表層部の蒸気 圧が大きくなり,コンクリートが乾燥すると考えられる.また,降温工程以降,

大型供試体は小型供試体と比較して蒸気圧比がさらに低下し,冷却工程にかけ て 20% 程度低い値を示した.この間に,コンクリート表層部から急速に水分が 逸散する蒸気圧比の状況になっていると推察された.つまり,供試体寸法が大き くなると,蒸気養生中の養生槽内とコンクリートの温度差が大きくなり,それに 伴い,蒸気圧差が大きくなり乾燥の影響が大きくなることが明らかとなった.ま た,大型の蒸気養生コンクリートの細孔構造は,打込み面および側面上-上の細 孔量が多く,100nm 以上の粗大な細孔が多い。側面上-中から底面にかけては,細 孔量,細孔構造ともに同程度となっており,打込み面および側面上-上と比較し て密な細孔構造となっている。つまり,打込み面から深さ 50mm 程度までの型枠 側面は,蒸気養生過程の水分逸散による乾燥の影響を受けやすいと言え,供試体 寸法に寄らず同様の結果となった。

6

章は,本研究で得られた知見を取りまとめたものである.

(16)

11

参考文献

1) 日本工業規格: JIS A 0203-2014 コンクリート用語

2) 村田二郎,國府勝郎,辻幸和:わかり易い土木講座 10 コンクリート工学 ( Ⅰ) 施工, p254-258

3) 日本コンクリート工学協会:コンクリート技術の要点 ’98 , pp.219-221 4) 日本工業規格: JIS A 5361-2016 プレキャストコンクリート製品 5) 後藤幸正,尾坂芳夫:ネビルのコンクリートの特性, p.245-249

6) 土木学会: 2012 年度制定 コンクリート標準示方書【施工編:特殊コンク リート】 pp.355-356

7) 住吉宏,窪山潔,今橋太一,塩谷勝:コンクリートの組織や物性に及ぼす蒸 気養生の影響,セメント技術年報, vol.35 , pp.290-293 , 1981.12

8) 日本コンクリート工学協会:コンクリート技術の要点 ’98 , pp.225-226 9) 土木学会: 2012 年度制定 コンクリート標準示方書【施工編:特殊コンク

リート】 pp.350

10) 村田二郎,國府勝郎,辻幸和:わかり易い土木講座 10 コンクリート工学 ( Ⅰ) 施工, p143

11) 日本工業規格: JIS A 5361-2010 プレキャストコンクリート製品 - 要求性能 とその照査方法

12) 杉村六郎:コンクリートの促進養生,コンクリートジャーナル, vol.12 , No.8 , 1974.8

13) 小池悠介,宇治公隆,上野敦,大野健太郎:蒸気養生条件の相違が混和材を 用いたコンクリートの細孔構造に及ぼす影響,修士論文, pp.85-117

14) 鳥海秋,宇治公隆,上野敦,原洋介:蒸気養生中の散水がコンクリート製品 の強度特性および細孔構造に及ぼす影響 土木学会第 72 回年次学術講演会 15) 寺川麻美,宇治公隆,上野敦,大野健太郎:プレキャストコンクリート製品

の細孔構造に及ぼす養生条件の影響 コンクリート工学年次論文集, vol.34 ,

No.2 , pp.469-474 , 2012

(17)

12

(18)

29

第 3 章

粉末度の異なる高炉スラグ微粉末を使用した

蒸気養生コンクリートの細孔構造および諸物性

(19)

30

3.1 はじめに

第 3 章では,水和熱低減効果の期待できる高炉スラグ微粉末を使用し,蒸気 養生過程において蒸気養生槽内温度とコンクリート温度に差が生じることで,

コンクリート表層部が乾燥する現象への乾燥抑制効果を検討する.

具体的には,粉末度を変化させた蒸気養生コンクリートおよび現場打ち模擬 コンクリートの細孔構造,圧縮強度,曲げ強度,中性化性状を比較検討した.

3.2 実験概要

3.2.1 使用材料

使用材料を表 -3.1 に示す.結合材には,普通ポルトランドセメント ( 密度:

3.16g/cm 3 ,比表面積: 3280cm 2 /g) を用いた.混和材料は,比表面積の異なる 2 種 類の高炉スラグ微粉末 ( セラメント 3000( 密度: 3.16g/cm 3 ,比表面積: 3280cm 2 /g) セラメント 4000( 密度: 3.16g/cm 3 ,比表面積: 3280cm 2 /g)) を用いた.骨材には,

細骨材に砕砂(表乾密度: 2.63g/cm 3 ) ,粗骨材に砕石 ( 表乾密度: 2.66g/cm 3 )を用 いた. AE 剤に BASF ポリゾネス社製マイクロエア 202( 主成分:アルキルエーテ ル系陰イオン活性剤),高性能減水剤に BASF ポリゾネス社製レオビルド

8000ss( ポリカルボン酸エテール系化合物)を用いた.

表 -3.1 使用材料

結合材

普通ポルトランドセメント,密度

3.16 g/cm 3

,比表面積

3280cm 2 /g

混和材

高炉スラグ微粉末

3000

セラメント

3000,密度:3.16g/cm 3

,比表面積:3280cm

2 /g

高炉スラグ微粉末

4000

セラメント

4000,密度:3.16g/cm 3

,比表面積:3280cm

2 /g

細骨材 砕砂,表乾密度:2.63g/cm

3

粗骨材 砕石,表乾密度:

2.66g/cm 3

混和剤

AE

剤:アルキルエーテル系陰イオン活性剤 高性能減水剤:ポリカルボン酸エテール系化合物

(20)

31

3.2.2 計画配合

コンクリートの計画配合を表 -3.2 に示す.水結合材比は 40 %とした.練混ぜ は, 50 リットル用コンクリートミキサを使用した(写真 3.1 ).混和材の置換率 は,普通ポルトランドセメントに対して 50mass %とした.試料は,円柱供試体 (Φ100×200mm サミットモールド缶 ) ,角柱供試体 (100×100×400mm 鋼製型枠)を 作製した.

表 -3.2 コンクリートの配合

写真 3.1 コンクリートミキサ

配合名

粗骨材の

最大寸法

Gmax(mm

)

スランプ

(cm)

空気量

(%)

水結合材比

W/C(%)

細骨材率

s/a(%)

単位量(kg/m3

セメント スラ

細骨材 粗骨材

AE

高性能減水剤

W C S G (ℓ)

OPC40

20 8±2.5 4.5 40 43

167 425

-

736 987

0.

0191

2.975

BB3000 168.

3

212.5 212.

5

728 976

0.

0192

1.700

BB4000 168

3

212.5 212

5

728 976

0

0192

1.700

(21)

32

3.2.3 養生条件と供試体諸元

図 -3.1 に養生条件,表 -3.3 に供試体諸元を示す.

養生条件は 2 水準とし,蒸気養生後,脱型し,その後気中保管するものを s40- d , 5 日間封緘養生を行った後,脱型し,その後気中保管するもの n40-5r-d とし た.これらの養生条件で,配合ごとに全 6 種類の供試体を作製した.

図 -3.1 養生条件

表 -3.3 供試体諸元

種類

W/C(%

)

混和材 養生条件

一次養生 二次養生 記号

蒸気養生(s)

40

蒸気養生

気中保管

(R.H.

60%) (d)

s40-d

高炉スラグ微粉末

3000 s40-d3000

高炉スラグ微粉末

4000 s40-d4000

現場打模擬

(n)

封緘養生

(5

日間)

(5r)

n40-5r-d

高炉スラグ微粉末

3000 n40-5r-d3000

高炉スラグ微粉末

4000 n40-5r-d4000

(22)

33

3.2.4 蒸気養生条件

蒸気養生における温度履歴を図 -3.2 に示す.比較的大型のプレキャスト製品 に適用される一般的な工程で行った.前置き時間 2 時間,昇温速度 15 ℃/hで 3 時 間,最高温度 65 ℃ ,最高温度保持時間 3 時間,降温速度 5 ℃/hで 9 時間,冷却時 間 3 時間とした.蒸気養生は,実際にプレキャストコンクリート製品に使用さ れる蒸気養生槽 ( 写真 3.2) で実施した.

表 -3.4 に積算温度算出表を示す.蒸気養生を行うことで,コンクリートに 805 ℃× h の積算温度が付加されたことになる.

図 -3.2 蒸気養生工程

写真 3.2 蒸気養生槽

(23)

34

表 -3.4 蒸気養生の積算温度算出表

種類

積算温度(℃×h)

前置き工程 昇温工程 最高温保持工程 降温工程 冷却工程 合計 蒸気養生

40 127.5 195 382.5 60 805

3.3 試験項目

3.3.1 フレッシュ試験

蒸気養生を実施する場合,コンクリートの練上がり温度も硬化体の物性に影 響するため,コンクリートのフレッシュ性状を把握することは重要である.そこ で,フレッシュ試験として, JIS A 1101 , JIS A 1128 , JIS A 1156 に従い,練上が り温度測定,スランプ試験,空気量試験,を行った ( 写真 -3.3 ,写真 -3.4) .

写真 -3.3 空気量測定 写真 -3.4 スランプ試験

(24)

35

3.3.2 温度測定

高炉スラグ微粉末を使用したことによる水和熱低減効果,それに伴う蒸気養 成中の乾燥抑制効果を検討するために,蒸気養生中のコンクリート温度および 養生槽内温度を測定した.

測定方法は,養生槽内の中央,左右の 3 か所に温度センサを設置し,その測定 結果の平均値を,養生槽内の温度とした.供試体の温度は,コンクリートの表面 の中央部と,供試体中心部の 2 か所に温度センサを埋め込んで測定した ( 写真 - 3.5 ,写真 -3.6) .

写真- 3.5 蒸気養生槽内温度測定

写真 -3.6 供試体温度測定

(25)

36

3.3.3 細孔径分布測定試験

細孔径分布測定用に, 100×100×40mm の角柱供試体を,全 6 種類の供試体諸元 ごとに 2 本ずつ作製した.試験日は,脱型時 ( 養生条件によって異なり,材齢 1 日,材齢 5 日 ) ,出荷時 ( 材齢 14 日 ) ,強度保障時 ( 材齢 28 日 ) および材齢 91 日と した.なお,各試験日で用いた供試体は,角柱供試体 1/2 本分である.

乾燥による影響が,コンクリート表層部 (0 ~ 10mm) に顕著に表れることから,

表層からの深さ 30mm を 5mm 幅で 6 等分にスライスしたものを 80mm×80mm の 大きさにカットした後,細分化したものを試料とし,供試体諸元ごとに各材齢で 測定を行った.なお,測定で使用する表面は,型枠側面で 1 面のみとし,その他 の 5 面は,気中保管前にエポキシ樹脂でシールした ( 図- 3.3 ).

図 -3.3 細孔径分布測定用試料

(26)

37

3.3.4 圧縮強度試験

比表面積の異なる高炉スラグ微粉末を使用し,蒸気養生中の乾燥を抑制した ことで,蒸気養生コンクリートの圧縮強度発現にどのような影響を及ぼすのか を把握するため,圧縮強度試験を行った(写真 3.7 ,写真 3.8 ).

試験は, JIS A 1108 に準拠し,供試体は, Φ100 × 200mm の円柱供試体を全 6 種 類の供試体諸元ごとに 3 体ずつ作製した.試験日は,脱型時(養生条件によって 異なり,材齢 1 日,材齢 5 日),出荷時(材齢 14 日),強度保障時(材齢 28 日)お よび材齢 91 日とした.

写真 3.7 研磨機 写真 3.8 圧縮試験機

(27)

38

3.3.5 曲げ強度試験

比表面積の異なる高炉スラグ微粉末を使用し,蒸気養生中の乾燥を抑制した ことで,蒸気養生コンクリートの曲げ強度発現にどのような影響を及ぼすのか を把握するため,曲げ強度試験を行った.(写真 3.9 )

試験は JIS A 1106 に準拠し,供試体は, 100 × 100 × 400mm の角柱供試体を全 6 種類の供試体諸元ごとに 3 体ずつ作製した.試験日は,脱型時(養生条件によ って異なり,材齢 1 日,材齢 5 日),出荷時(材齢 14 日),強度保障時(材齢 28 日)および材齢 91 日とした.

写真 3.9 曲げ強度試験機

(28)

39

3.3.6 促進中性化試験

比表面積の異なる高炉スラグ微粉末を使用し,蒸気養生中の乾燥を抑制した ことで,蒸気養生コンクリートの中性化性状にどのような影響を及ぼすのかを 把握するために,促進中性化試験を行った.

試験は, JIS A 1152 , JIS A 1153 に準拠し,供試体は 100 × 100 × 400mm の角柱 供試体を全 6 種類の供試体諸元ごとに 1 体作製した.試験方法は,材齢 56 日ま で所定の養生を行った後,型枠側面を除く全 5 面を,エポキシ樹脂でシールし た.(図 -3.4 )その後,供試体を二酸化炭素濃度 5.0 %,温度 20 ℃ ,湿度 60 %の促 進中性化試験機槽内に入れた.なお,中性化深さの測定は,促進材齢 1 , 4 , 8 週 で実施した.

図-3.4 促進中性化試験概要

(29)

40

3.3.7 質量変化測定

セメント硬化体は,乾燥により水和が停止することがわかっている.また,乾 燥履歴によらず水和が停止した時の水和率とその時の自由水量には強い相関性 があることが分かっている 1 )

以上のことから,比表面積の異なる高炉スラグ微粉末を使用し,水和熱を低減

したことで,蒸気養生中のコンクリートの乾燥が抑制されているのか確認する

ため,コンクリートの質量を測定した.供試体は, 100 × 100 × 400mm の角柱供

試体を全 6 種類の供試体諸元ごとに 3 体作製した.測定日は,脱型時(養生条件

によって異なり,材齢 1 日,材齢 5 日),出荷時(材齢 14 日),強度保障時(材齢

28 日)および材齢 91 日で,各供試体の質量を測定し,質量減少率を求めた.

(30)

41

3.4 コンクリートのフレッシュ性状

供試体記号を表- 3.5 に示す.

フレッシュコンクリートの試験結果は表- 3.6 に示すとおりである.スランプ は 8.5 ~ 10 ㎝,空気量は 4.9 ~ 5.2 %,練上がり温度は 15 ~ 18.5 ℃ であった.フレ ッシュ性状に大きな差は生じなかった.

表- 3.5 供試体記号一覧

種類

W/C

(%)

混和材 養生条件

記号 一次養生 二次養生

蒸気養生

(s)

40

蒸気養生

気中保管

(R.H.

60%) (d)

s40-d

高炉スラグ微粉末

3000 s40-d3000

高炉スラグ微粉末

4000 s40-d4000

現場打模擬

(n)

封緘養生

(5

日間)

(5r)

n40-5r-d

高炉スラグ微粉末

3000 n40-5r-d3000

高炉スラグ微粉末

4000 n40-5r-d4000

表-3.6 フレッシュ試験結果

供試体記号

sl(㎝) Air(%)

温度(℃)

s40-d 10.5 4.9 18.5

s40-d3000 8.5 5.2 16

s40-d4000 10.0 5.2 15

n40-5r-d 10.5 4.9 18.5

n40-5r-d3000 8.5 5.2 16

n40-5r-d4000 10.0 5.2 15

(31)

42

3.5 蒸気養生中の温度履歴

前述したように蒸気養生コンクリートの細孔構造は同一配合の標準養生コン クリートと比較して,粗大になることがわかっている 1) .また,細孔構造の粗大 化の原因は乾燥にあるという知見もあり 2) ,中でも蒸気養生中の乾燥が細孔構造 粗大化に顕著な影響を及ぼす可能性がある.

蒸気養生中の乾燥のメカニズムとして,供試体温度が養生槽内温度よりも高 くなり,それに伴いそれぞれの蒸気圧に差が生じ,結果蒸気圧勾配が生じ相対湿 度が低下するためだと考えられる.そこで,本検討では蒸気養生中の養生槽内温 度,供試体温度を測定した.測定結果を図 -3.5 から図 -3.7 に示す.

図- 3.5 に一般的な蒸気養生コンクリートである s40-d の蒸気養生中の養生槽 内温度およびコンクリート温度の測定結果を,図- 3.6 に s40-d3000 の測定結果 を,図- 3.7 に s40-d4000 の測定結果を示す.図- 3.5 より, s40-d は,最高温度保 持工程から供試体温度が養生槽内温度を上回り,降温時には,供試体温度が養生 槽内温度に遅れて下降している.これは,セメントの水和が著しく,水和熱量が 大きくなったためだと考えられる.この間にコンクリート表層部に蒸気圧勾配 が生じ,相対湿度が低下し,乾燥していることがわかる. 図- 3.6 , 図- 3.7 より,

s40-d3000 , s40-d4000 ともに,降温工程から供試体温度が養生槽内温度を若干上

回っているが, s40-d と比較して,その差が小さくなっている.特に, s40-d3000

では,供試体中心部温度と供試体表面温度の温度差がほとんど生じていない.こ

れは,高炉スラグ微粉末の水和熱低減効果によるものであり,比表面積が小さい

ほど,低減効果は大きい.以上のことから,高炉スラグを混和材として用いるこ

とで,蒸気養生中の水和熱を低減し,養生槽内温度が供試体温度を上回ることに

よる乾燥を抑制できることが確認できた.また,比表面積が小さいほど,その効

果は大きくなることがわかった.

(32)

43

図-3.6 s40-d3000 の温度履歴

図 -3.5 s40-d の温度履歴

(33)

44

図 -3.7 s40-d4000 の温度履歴

(34)

45

3.6 細孔構造の比較

蒸気養生コンクリートの細孔構造が疎となることを,蒸気養生中の水和熱を 抑制することで改善できるかを確認した.深さ方向の細孔構造,総細孔量および 40nm 以上の細孔量に着目し,比較検討した.表- 3.7 に供試体記号一覧を示す.

表 -3.7 供試体記号一覧

種類

W/C

(%)

混和材 養生条件

記号 一次養生 二次養生

蒸気養生

(s)

40

蒸気養生

気中保管

(R.H.

60%) (d)

s40-d

高炉スラグ微粉末

3000 s40-d3000

高炉スラグ微粉末

4000 s40-d4000

現場打模擬

(n)

封緘養生

(5

日間)

(5r)

n40-5r-d

高炉スラグ微粉末

3000 n40-5r-d3000

高炉スラグ微粉末

4000 n40-5r-d4000

(35)

46

3.6.1 深さ方向の細孔構造

(1) 高炉スラグ微粉末の使用の有無および比表面積の違いによる比較

図- 3.8 に s40-d3000 ,図- 3.9 に n40-5r-d3000 ,図- 3.10 に s40-d4000 ,図- 3.11

に n40-5r-d4000 の表面からの深さ方向に細孔直径ごとの細孔量を積み上げたグ

ラフを示す.各図中の (a) は脱型時 ( 材齢 1 日, 5 日 ) , (b) は出荷時 ( 材齢 14 日 ) , (c) は材齢 28 日である.

図- 3.8 に着目すると,高炉スラグ微粉末 3000 を使用し,蒸気養生を施した

s40-d3000 は,脱型時点での表層部の細孔構造は,深さ方向の総細構造との偏り

が少ない.これは,蒸気養生中の乾燥抑制効果によるものだと推察できる.しか し,図- 3.9 の同一配合で封緘養生を施した n40-5r-d3000 と比較して,表層部の 細孔構造が疎となり,細孔量も多くなった.これは,脱型時の材齢の差もあり,

また,高炉スラグの水和活性度が低く,材齢 1 日では水和反応が不十分である ことが考えられる.材齢が進行するにつれて,細孔量も減少していき, s40-d3000

と n40-5r-d3000 の減少傾向が同等となり,材齢 28 日での細孔量に大きな差が生

じていない.しかしながら,材齢 28 日時点での s40-d3000 の細孔構造は, n40-

5r-d3000 と比較して,深さ方向に不均質となり, 100nm 以上の細孔量が多くなっ

ている.蒸気養生中の乾燥が抑制されたとしても,高炉スラグ微粉末の活性度が 低く,その後の気中保管で十分に水分補給がされずに,水和反応が停滞したこと が細孔の粗大化の原因だと考えられる.

図- 3.10 に着目すると,高炉スラグ微粉末 4000 を使用し,蒸気養生を施した

s40-d4000 は,脱型時点での表層部の細孔構造と深さ方向の総細構造との偏りが

ほとんど生じていない.また,材齢が進行するにつれて, 図- 3.11 の同一配合で

封緘養生を施した n40-5r-d4000 と細孔構造に大きな差が生じなかった.蒸気養

生中の乾燥が抑制されたことに加えて,高炉スラグ微粉末 3000 よりも,高炉ス

ラグ微粉末 4000 の方が,比表面積が大きく,水和活性度が高いため,材齢進行

後も水和反応が良好に進んだことで,細孔構造が緻密化したと推察できる.しか

しながら, s40-d3000 同様,材齢 28 日時点での 100nm 以上の細孔量が多くなっ

ている.蒸気養生中の乾燥が抑制されたとしても,高炉スラグ微粉末の活性度が

低く,その後の気中保管で十分に水分補給がされずに,水和反応が停滞したこと

が細孔の粗大化の要因だと考えられる.

(36)

47

(a) 脱型時(材齢 1 日)

(b) 材齢 14 日

(c) 材齢 28 日

図 -3.8 s40-d3000 の細孔構造

(a) 脱型時 ( 材齢 1 日 )

(b) 材齢 14 日

(c) 材齢 28 日

図-3.9 n40-5r-d3000 の細孔構造

(37)

48

(a) 脱型時(材齢 1 日)

(b) 材齢 14 日

(c) 材齢 28 日

図-3.10 s40-d4000 の細孔構造 図 -3.11 n40-5r-d4000 の細孔構造 (a) 脱型時 ( 材齢 5 日 )

(b) 材齢 14 日

(c) 材齢 28 日

(38)

49

(2) 深さ方向の細孔径分布

図- 3.12 に s40-d3000 , 図- 3.13 に n40-5r-d3000 , 図- 3.14 に s40-d4000 , 図- 3.15

に n40-5r-d4000 の強度保障時 ( 材齢 28 日 ) 時点の深さ方向の細孔直径別分圧入量

を示す.

図- 3.12 ,図- 3.13 に着目する.養生条件によらず, 200nm 付近で最も細孔容 積が大きい傾向を示している.蒸気養生を施した s40-d3000 と封緘養生を施した

n40-5r-d3000 の表層部分 (0 ~ 10mm) の細孔径分布が同等であった.また,細孔直

径 400 ~ 1000nm 付近の粗大な細孔容積は, s40-d3000 と比較して n40-5r-d3000 の 方が大きい.以上のことから,高炉スラグ微粉末を混和材として使用した場合,

水和熱低減効果によって蒸気養生中の乾燥を抑制することで,同一配合の封緘 養生と同等の細孔径分布になることが確認できた.

図- 3.14 ,図- 3.15 に着目する.養生条件によらず, 200nm 付近の細孔容積は

小さいが,細孔直径 400 ~ 1000nm 付近の粗大な細孔容積が大きくなり,細孔直

径による細孔容積のばらつきは小さい分布となった.また,高炉スラグ微粉末

3000 を使用した s40-d3000( 図- 3.12) と比較して, s40-d4000 は,深さ方向の細孔

径分布にばらつきが少ない.以上のことから,高炉スラグ微粉末 4000 を混和材

として使用したことで,水和熱低減効果によって蒸気養生中の乾燥を抑制され

たことで,同一配合の封緘養生と同等の細孔径分布になることが確認できた.更

に,高炉スラグ微粉末 3000 と比較して,高炉スラグ微粉末 4000 は水和活性度

が高いことから,気中保管後も水和反応が良好に進み,深さ方向にばらつきの少

ない均質な細孔径分布になることが確認できた.

(39)

50

図- 3.13 n40-5r-d3000 の深さ方向の細孔直径別分圧入量

図- 3.12 s40-d3000 の深さ方向の細孔直径別分圧入量

(40)

51

図-3.14 s40-d4000 の深さ方向の細孔直径別分圧入量

図- 3.15 n40-5r-d4000 の深さ方向の細孔直径別分圧入量

(41)

52

3.6.2 総細孔量および 40nm 以上の細孔量

図- 3.16 に,比表面積の異なる,高炉スラグ微粉末を混和材として使用した 3000 シリーズ( s40-d3000 , n40-5r-d3000) , 4000 シリーズ (s40-d4000 , n40-5r-d4000) の総細孔量および 40nm 以上の細孔量のグラフを示す.

3000 シリーズ, 4000 シリーズともに,脱型時は材齢の違いもあり,s40-d の

細孔量が n40-5r-d に比べ大きくなっている.材齢初期では,養生条件によらず,

比表面積の小さい 3000 シリーズの細孔量が多いが,材齢が進行するにつれて,

総細孔量, 40nm 以上の細孔量ともに同等の値となっている.蒸気養生中の水和 熱を抑制することで,蒸気養生を施したコンクリートの細孔構造が改善される ことが確認できた.

図-3.16 総細孔量および 40nm 以上の細孔量

(42)

53

3.7 圧縮強度および曲げ強度

比表面積の異なる高炉スラグ微粉末を混和材として使用することで,蒸気養 生中のコンクリートの乾燥を抑制し,その結果,コンクリートの強度にどのよう な影響を及ぼすのかを確認した.

表- 3.8 に供試体諸元一覧を,表- 3.9 に圧縮強度,曲げ強度および圧縮強度に 対する曲げ強度の比の一覧を, 図- 3.17 に材齢進行に伴う圧縮強度の変化を, 図 - 3.18 に材齢進行に伴う曲げ強度の変化を示す.

種類

W/C

(%)

混和材 養生条件

記号 一次養生 二次養生

蒸気養生

(s)

40

蒸気養生

気中保管

(R.H.

60%) (d)

s40-d

高炉スラグ微粉末

3000 s40-d3000

高炉スラグ微粉末

4000 s40-d4000

現場打模擬

(n)

封緘養生

(5

日間)

(5r)

n40-5r-d

高炉スラグ微粉末

3000 n40-5r-d3000

高炉スラグ微粉末

4000 n40-5r-d4000

脱型時 14日 28日 14日 28日 14日 28日

s40-d 27.3 39.6 40.4 3.1 3.7 1/13 1/11

n40-5r-d 30.8 40.6 47.6 3.5 4.8 1/12 1/10

s40-d 3000 12.1 21.2 23.2 2.9 3.3 1/7 1/7

n40-5r-d 3000 13.7 23.1 25.3 3.3 3.7 1/7 1/7

s40-d 4000 15.0 27.0 28.8 3.3 3.7 1/8 1/8

n40-5r-d 4000 18.1 28.1 31.3 3.7 4.2 1/8 1/8

圧縮強度 曲げ強度 曲げ強度/圧縮強度

記号

表- 3.9 コンクリートの強度

表- 3.8 供試体記号一覧

(43)

54

図- 3.17 圧縮強度

図-3.18 曲げ強度

(44)

55

3.7.1 高炉スラグ微粉末の有無および比表面積の違いが蒸気養生を施したコン

クリートの圧縮強度および曲げ強度に及ぼす影響 (1) 圧縮強度および曲げ強度の比較

図- 3.17 ,図- 3.18 から,蒸気養生を施したコンクリートは,現場打ち模擬コ ンクリートと比較して,材齢初期から圧縮強度および曲げ強度が低下している ことが分かる.これは,材齢の違いもあり,蒸気養生コンクリートは材齢 1 日で 圧縮強度を測定しているため,養生が不十分であることが要因としてあげられ る.また,混和材の一部を高炉スラグ微粉末で置換した s40-d3000 , s40-d4000 , n40-5r-d3000 , n40-5r-d4000 は,普通ポルトランドセメントを使用した s40-d , n40- 5r-d と比較して,圧縮強度が低い値を示している.これは,高炉スラグ微粉末の 水和活性度が,普通ポルトランドセメントと比較して低く,養生が不十分である ことが考えられる.一方,曲げ強度に関しては,大きな差は生じなかった.これ は,一般に,曲げ強度は乾燥の影響により低下することが知られており 4) ,蒸気 養生中に乾燥による影響を受けた s40-d の曲げ強度が低下したこと,蒸気養生中 の乾燥による影響が最小限に抑えられた s40-d3000 および s40-d4000 の曲げ強度 が増進したことが推察される.

材齢の進行に伴う強度の増進に着目する ( 図 -3.22) . 図- 3.19 より,高炉スラグ 微粉末を使用していない s40-d , n40-5r-d 間には,圧縮強度および曲げ強度の増 進に大きな差を生じた.特に,材齢 14 日以降の強度増進は,圧縮強度で s40-d

は n40-5r-d の 1/10 程度となり,曲げ強度も 1/3 程度となり,材齢進行に伴う強

度増進が停滞していることが分かる.一般に,材齢初期に乾燥を受けたコンクリ ートは曲げ強度が増進しないことが知られており 5) , s40-d は,材齢初期に蒸気 養生中に乾燥していたため,強度増進が停滞したと考えられる.一方, 図- 3.20 , 図- 3.21 より,高炉スラグ微粉末を使用することで,養生方法の違いによる強度 増進の差が,圧縮強度,曲げ強度ともに小さくなっていることが分かる.特に比 表面積の小さい高炉スラグ微粉末 3000 を使用した s40-d3000 は, n40-5rd3000 と の間に,材齢 14 日以降の強度増進の差がほとんど生じていない.これは,高炉 スラグ微粉末の水和熱低減効果により,蒸気養生中のコンクリートの乾燥が抑 制されたこと,更に,比表面積を小さくするほど,水和熱低減効果が大きくなり,

それに付随してコンクリートの乾燥抑制効果が大きくなったことが推察される.

(45)

56

図- 3.19 普通ポルトランドセメントを使用した場合の強度

図- 3.21 高炉スラグ微粉末 4000 を使用した場合の強度

図-3.20 高炉スラグ微粉末 3000 を使用した場合の強度

(46)

57

図-3.22 圧縮強度増進

(47)

58

(2) 強度と細孔構造の関係

本学の既往の研究より,強度と細孔量には相関関係があることが分かってい る.本研究では,高炉スラグ微粉末を混和材として使用した蒸気養生コンクリー トの場合の,強度と細孔量の相関を確認した. 図 -3.22 に,材齢 28 日における圧 縮強度と総細孔量の関係,図 -3.23 に,材齢 28 日における曲げ強度と総細孔量 の関係を示す.

図 -3.22 から,圧縮強度と総細孔量の相関は得られなかった.線形近似曲線に

よる決定係数は 0.00001 を示した.細孔量がコンクリート表層部のみの測定だっ たことに加え,ばらつきがあったことが要因と考えられる.

図- 3.23 から,曲げ強度と総細孔量は穏やかな相関関係が認められた.線形近 似曲線による決定係数は 0.155 であった.曲げ強度は,コンクリート表層部の細 孔構造の影響を受けやすいことに起因していると推察される.

図- 3.23 圧縮強度と総細孔量の関係

(48)

59

図- 3.24 曲げ強度と総細孔量の関係

(49)

60

3.8 中性化性状

中性化とは,コンクリート中の水酸化カルシウムが劣化因子である二酸化炭 素と反応して,炭酸カルシウムに変わることを中性化という.鉄筋コンクリート においては鉄筋腐食進行の原因となるため,コンクリートの耐久性に大きな影 密を及ぼすことがわかっており 6) ,こういった背景から,コンクリートの中性化 性状を把握することは非常に重要である.そこで,比表面積の異なる高炉スラグ 微粉末を混和材として使用することで,蒸気養生中のコンクリートの乾燥を抑 制し,その結果,コンクリートの強度にどのような影響を及ぼすのかを確認した.

一般に,コンクリートの中性化深さと中性化材齢との関係は, 式 3.1 に示す √t 則に従うとされている.ここでの中性化速度係数とは,中性化に対する抵抗性を 表す指標であり,この値が大きいほど中性化が進行しやすく,抵抗性が低いとさ れている.

y=α√t ・・・・・・・・・・・・・・・・・・式 3.1 y :中性化深さ( mm )

α :中性化速度係数( mm /週)

t :促進期間(週)

コンクリートの中性化深さの測定結果一覧を表- 3.10 に示す.

表- 3.10 中性化速度係数一覧

4週速度係数 1週 4週 (mm/√週) s40-d3000 10.585 17.95 9.3 n40-5r-d3000 9.47 16.2 8.37

s40-d4000 7.485 16.98 8.29 n40-5r-d4000 8.199 15.12 7.69

記号 促進材齢

(50)

61

3.8.1 高炉スラグ微粉末の比表面積の違いが蒸気養生を施したコンクリートの

中性化性状に及ぼす影響 ( 1 ) 中性化速度係数

中性化深さと促進材齢の関係を図- 3.24 に, 式 3.1 より算出した中性化速度係 数を図- 3.25 に示す.なお,高炉スラグ微粉末を使用したコンクリートは,通常 の促進中性化試験を適用すると,強度発現が遅くなることから,中性加速度が大 きく出ることが分かっている 7) .そのため,本実験は,高炉スラグ微粉末を使用 したコンクリートのみで中性加速度係数を算出した.

本学の既往の研究より,蒸気養生を施した普通コンクリートは,同一配合の封

緘養生を施したコンクリートと比較して,中性化深さおよび中性加速度係数は

大きくなることが分かっている.高炉スラグを使用した場合,養生条件の違いに

よる中性化性状の変化は小さい.蒸気養生中の乾燥による影響を抑制されたこ

とが起因していると推察される.比表面積の小さい s40-d3000 は s40-d4000 と比

較して,若干中性化深さおよび中性化速度係数が大きくなった.これは,比表面

積が小さいほど水和反応性が低いためである.

(51)

62

図- 3.25 中性化深さと促進材齢の関係

図-3.26 中性化速度係数

(52)

63

( 2 ) 中性加速度係数と細孔構造の関係

コンクリートの中性化速度係数と細孔構造には相関関係があり,結合材が同 一の場合,中性加速度係数と細孔直径 40nm 以上の細孔量間に強い相関性がある ことが分かっている 8) .そこで,比表面積の異なる高炉スラグ微粉末を混和材と して使用したことで,中性化速度係数と細孔構造間の相関性に及ぼす影響を確 認した.図- 3.26 に,各供試体の中性加速度係数と材齢 28 日の 40nm 以上の細 孔量の関係を示す.

図より,中性加速度係数と 40nm 以上の細孔量は穏やかな相関関係が認められ た.線形近似曲線による決定係数は 0.2934 であった.

図-3.27 中性化速度係数と 40nm 以上の細孔量の関係

(53)

64

3.9 質量減少率

3.9.1 高炉スラグ微粉末の有無および比表面積の違いが蒸気養生を施したコン

クリートの質量減少率に及ぼす影響

図 -3.27 に,各供試体の材齢進行に伴う質量減少率を示す.

質量減少率は,材齢 28 日で, n40-5r-d4000 が一番小さく, s40-d4000 が一番大 きくなった.養生条件ごとにみると,封緘養生の場合の質量減少率は,比表面積 の小さい高炉スラグ微粉末 4000 を置換した n40-5r-d4000 が一番小さく,比表面 積の大きい高炉スラグ微粉末 3000 を使用した n40-5r-d3000 が一番大きくなった.

すなわち,高炉スラグ微粉末 4000 は,封緘養生の場合,普通コンクリートと同 等もしくはそれ以上に質量減少しにくいことが分かる.一方蒸気養生の場合の 質量減少率は,普通コンクリートの s40-d が一番小さく, n40-5r-d4000 が一番大 きくなった.以上のことから,高炉スラグ微粉末を混和材として蒸気養生コンク リートの使用する場合,質量減少率の観点から,比表面積の大きいものを使用し た方が,自由水の逸散が少ないことが分かる.

-3.0%

-2.5%

-2.0%

-1.5%

-1.0%

-0.5%

0.0%

0.5%

1.0%

0 10 20 30 40

質量減少率 (%)

材齢(日)

s40-d s40-d3000 s40-d-4000

n40-5r-d n40-5r-d3000 n40-5r-d4000

図- 3.28 質量減少率

図 -3.7 s40-d4000 の温度履歴
表 4.4  フレッシュ試験結果
図 -4.11 材齢 14 日における細孔構造
図 -4.14 材齢 14 日における細孔構造
+3

参照

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