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第 2 章 既往の研究

5.5 蒸気養生中の温度履歴

前述したように蒸気養生コンクリートの細孔構造は同一配合の標準養生コンク リートと比較して,粗大になることがわかっている 1).また,細孔構造の粗大化 の原因は乾燥にあるという知見もあり 2),中でも蒸気養生中の乾燥が細孔構造粗 大化に顕著な影響を及ぼす可能性がある.

蒸気養生中の乾燥のメカニズムとして,供試体温度が養生槽内温度よりも高く なり,それに伴いそれぞれの蒸気圧に差が生じ,結果蒸気圧勾配が生じ相対湿度 が低下するためだと考えられる.そこで,本検討では蒸気養生中の養生槽内温度,

供試体温度を測定した.測定結果を図-5.8に示す.

第 4 章で示したように,一般的な蒸気養生コンクリート(小型(100×100×

400mm))は,最高温度保持工程から脱型まで(5:00-20:00まで)蒸気養生槽内温度よ

りも高い温度になっている.つまり,蒸気圧勾配が生じ,相対湿度が低下し,乾 燥していることがわかる.

図-5.8 蒸気養生中の温度履歴(小型(100×100×400mm)) 0

10 20 30 40 50 60 70 80

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

温度()

時間(h) 養生槽内温度

コンクリート中心部温度 コンクリート表層部温度

105

次に,大型(500×500×500mm)の蒸気養生コンクリート,養生槽内温度の温度履 歴を図-5.9に示す.

部材厚が大きくなることで,セメントの水和熱が大きくなること,保温性が高 まることで,コンクリート温度,特にコンクリート中心部は蒸気養生槽内温度と の温度差が最大で約40℃の差が生じている.コンクリート表層部の温度も,養生 槽内温度と20℃~ 30℃の温度差を示しており,小型(100×100×400mm)の場合は冷 却工程にかけてコンクリート中心部温度と表層部温度の差が小さくなっていくの に対し,大型の場合はこの温度差は小さくならない.コンクリート温度は表層部,

中心部にかかわらず,蒸気養生過程のより後半である降温工程の開始時に蒸気養 生槽内との温度差を生じはじめ,冷却工程にかけてその温度差はさらに広がって いく傾向を示した.供試体寸法が大きくなるほど温度差は大きくなり,蒸気養生 過程の後半にその影響が出やすくなると考えられる.つまり,小型の場合と比較 して,相対湿度が低下している時間が蒸気養生過程においては短いが,温度差が 大きいこと,温度差が減少しない影響を考慮すると,蒸気養生過程における乾燥 の影響は供試体寸法が大きくなるほど大きいと言える.

0 10 20 30 40 50 60 70 80

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

温度()

時間(h)

埋込型ひずみゲージ(上)温度 ℃ 埋込型ひずみゲージ(中)温度 ℃ コンクリート側面温度(上) ℃ コンクリート側面温度(中) ℃ コンクリート側面温度(下) ℃ 養生槽温度(中) ℃

図-5.9 蒸気養生中の温度履歴(大型(500×500×500mm))

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図-5.10 に小型と大型の蒸気養生中の蒸気圧比(養生槽内の蒸気圧/コンクリー ト表層部の蒸気圧)の推移を示す.なお,どちらも相対湿度は 100%であると仮定 した.図より,小型,大型共に最高温保持工程以降(5h以降)に蒸気圧比が100%を下 回っている.つまり,養生槽の蒸気圧よりもコンクリート表層部の蒸気圧が大きく なり,コンクリートが乾燥しはじめたと考えられる.また,降温工程以降(8h 以降), 大型は小型と比較して蒸気圧比がさらに低下し,冷却工程にかけて 20%程度の違 いを示している.この間に,コンクリート表層部から急速に水分が逸散する蒸気圧 比の状況になっていると推察される.

以上のことから,供試体寸法が大きくなると,蒸気養生中の養生槽内とコンクリ ートの温度差が大きくなり,それに伴い,蒸気圧差が大きくなるところで乾燥しや すくなると言える.

図-5.10 蒸気養生中の温度履歴(大型(500×500×500mm))

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5.6 供試体寸法の違いが蒸気養生コンクリートの細孔構造に及ぼす