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(1) 質量減少率と細孔構造の関係

既往の研究より,細孔直径50nm以上の細孔量は,コンクリート中の水分の逸 散に支配的な影響を及ぼすとされている9).そこで,比表面積の異なる高炉スラ グ微粉末を混和材として使用したことで,質量減少率と細孔構造間の相関性に 及ぼす影響について確認した.図-3.28 に,各供試体の質量減少率と材齢 28 日 の細孔直径50nm以上の細孔量の関係を示す.

図より,質量減少率と50nm以上の細孔量は良好な相関関係が認められた.線 形近似曲線による決定係数は0.7901であった.

図-3.29 質量減少率と50nm以上の細孔量の関係

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3.10 まとめ

(1) 蒸気養生中のコンクリートの乾燥

結合材に普通ポルトランドセメントを使用し,蒸気養生を施したコンクリー トは,蒸気養生中のセメントの水和が著しく,水和熱量が大きくなるため,蒸気 養生中の最高温度保持工程から供試体温度が養生槽内温度を上回り,降温時に は,供試体温度が養生槽内温度に遅れて下降する.その結果,コンクリートの相 対湿度が低下し,蒸気からの水分供給が得られず,蒸気養生後期には自由水の蒸 発が生じ,コンクリートは乾燥してしまう.結合材の一部を水和熱低減効果のあ る高炉スラグ微粉末に置換することで,蒸気養生中の供試体と養生槽内の温度 差を小さくすることができ,特に,比表面積が小さい高炉スラグ微粉末を使用す ることで,水和熱低減効果が大きくなり,養生槽内温度が供試体温度を上回るこ とによるコンクリートの乾燥を抑制できることがわかった.

(2) 細孔構造

結合材に普通ポルトランドセメントを使用し,蒸気養生を施したコンクリー トは,同一配合で封緘養生を施したものと比較して,コンクリート表層付近表層 の細孔量が多く,深さ方向に細孔構造の不均質化が見受けられ,また,材齢進行 後も,総細孔量の減少傾向も停滞することが分かっている.これは,蒸気養生中 の乾燥による影響で,コンクリートの表層部の組織形成が不十分であり,気中保 管後もコンクリート内部の自由水が逸散し水和反応が停滞することで深さ方向 に細孔構造の不均質化が生じ,疎な細孔構造になったと推察できる.結合材の一 部を水和熱低減効果のある高炉スラグ微粉末に置換することで,表層部の細孔 構造と深さ方向の総細構造との偏りがほとんど生じず,また,材齢が進行するに つれて,同一配合で封緘養生を施したものと細孔構造に大きな差が生じなくな る.高炉スラグ微粉末の比表面積を小さくすると,蒸気養生中の乾燥抑制効果は 大きくなるが,水和活性度が低いため,細孔構造が緻密化しにくい.

(3) 圧縮強度・曲げ強度

蒸気養生を施したコンクリートは,現場打ち模擬コンクリートと比較して,材 齢初期から圧縮強度および曲げ強度が低下する.これは,材齢の違いもあり,蒸 気養生コンクリートは材齢 1 日で圧縮強度を測定しているため,養生が不十分 であることが要因としてあげられる.また,混和材の一部を高炉スラグ微粉末で 置換したコンクリートは,養生方法によらず,普通ポルトランドセメントを使用 したコンクリートと比較して,圧縮強度が低い値を示す.これは,高炉スラグ微 粉末の水和活性度が,普通ポルトランドセメントと比較して低く,養生が不十分

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であることが考えられる.一方,曲げ強度に関しては,結合材の違いによる大き な差は生じなかった.一般に,曲げ強度は乾燥の影響により低下することが知ら れており,高炉スラグ微粉末を結合材として一部を置換したことで,蒸気養生中 の乾燥による影響が最小限に抑えることで,曲げ強度は増進することが分かっ た.

材齢の進行に伴う強度の増進は,普通コンクリートの場合,蒸気養生を施すと,

材齢初期の乾燥の影響で,強度増進が停滞する.高炉スラグ微粉末を混和材とし て一部を置換することで,蒸気養生中の乾燥が抑制され,養生方法の違いによる 強度増進の差が生じにくくなる.更に,比表面積を小さくするほど,水和熱低減 効果が大きくなり,それに付随してコンクリートの乾燥抑制効果が大きくなる ことで,強度増進が停滞しにくくなることが分かった.

(4) 中性化性状

高炉スラグを使用した場合,養生条件の違いによる中性化性状の変化は小さ い.蒸気養生中の乾燥による影響を抑制されたことが起因していると推察され る.また,高炉スラグ微粉末の比表面積が小さいほど,水和反応性が低いため,

若干中性化深さおよび中性化速度係数が大きくなる.

(5) 質量減少率

高炉スラグ微粉末を混和材として蒸気養生コンクリートの使用する場合,質 量減少率の観点から,比表面積の大きいものを使用した方が,自由水の逸散が少 ないことが分かった.

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参考文献

1) 住吉宏,窪山潔,今橋太一,塩谷勝:コンクリートの組織や物性におよぼす 蒸気養生の影響,セメント技術年報,Vol.35,pp.290-293,1981. 12

2) 大森淑孝,河野俊夫:蒸気養生コンクリートの耐久性におよぼす諸要因の影 響,セメント技術年報40,pp.431-434,1986

3) 高羅信彦,伊代田岳史,足立一郎,魚本健人:乾燥が自由水量の変化と細孔 構造の形成に与える影響,土木学会第55回年次学術講演会,V−257, pp.514-515,2000

4) 箕輪勉,国府勝郎:コンクリートの曲げ強度および引張強度に対するセメン トの種類および養生条件の影響,セメント・コンクリート論文集,Vol51, pp824-827,1997.12

5) 伊代田岳史,魚本健人:若材齢時の乾燥がセメント硬化体の内部組織形成と 物理特性に与える影響,コンクリート工学年次論文集,Vol.25,No.1, pp.551-556,2003

6) 村田二郎,國分勝郎ほか:わかりやすい土木講座10コンクリート工学(Ⅰ)施 工,p.134

7) 土木学会編:混和材を使用したコンクリートの物性変化と性能評価研究小委 員会報告書,pp.204-205 2007

8) 関健吾,宇治公隆,上野敦,原洋介:蒸気養生を実施したコンクリートの細 孔構造および中性化性状,土木学会第65回年次論文学術講演会,pp.605-606, 2010

9) P.Kumar Mehta and Paulo J.M. Monteiro:CONCRETE Microstructure, Properties, and Materials:3rd, McGraw-Hill p.39 2005.

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第 2 章