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3.6.1 深さ方向の細孔構造
(1) 高炉スラグ微粉末の使用の有無および比表面積の違いによる比較
図-3.8 にs40-d3000,図-3.9 に n40-5r-d3000,図-3.10 に s40-d4000,図-3.11
に n40-5r-d4000 の表面からの深さ方向に細孔直径ごとの細孔量を積み上げたグ
ラフを示す.各図中の(a)は脱型時(材齢1日,5日),(b)は出荷時(材齢14日),(c) は材齢28日である.
図-3.8 に着目すると,高炉スラグ微粉末 3000 を使用し,蒸気養生を施した
s40-d3000は,脱型時点での表層部の細孔構造は,深さ方向の総細構造との偏り
が少ない.これは,蒸気養生中の乾燥抑制効果によるものだと推察できる.しか し,図-3.9 の同一配合で封緘養生を施した n40-5r-d3000 と比較して,表層部の 細孔構造が疎となり,細孔量も多くなった.これは,脱型時の材齢の差もあり,
また,高炉スラグの水和活性度が低く,材齢 1 日では水和反応が不十分である ことが考えられる.材齢が進行するにつれて,細孔量も減少していき,s40-d3000
とn40-5r-d3000の減少傾向が同等となり,材齢28日での細孔量に大きな差が生
じていない.しかしながら,材齢 28 日時点での s40-d3000 の細孔構造は,
n40-5r-d3000と比較して,深さ方向に不均質となり,100nm以上の細孔量が多くなっ
ている.蒸気養生中の乾燥が抑制されたとしても,高炉スラグ微粉末の活性度が 低く,その後の気中保管で十分に水分補給がされずに,水和反応が停滞したこと が細孔の粗大化の原因だと考えられる.
図-3.10 に着目すると,高炉スラグ微粉末 4000 を使用し,蒸気養生を施した
s40-d4000は,脱型時点での表層部の細孔構造と深さ方向の総細構造との偏りが
ほとんど生じていない.また,材齢が進行するにつれて,図-3.11の同一配合で 封緘養生を施した n40-5r-d4000 と細孔構造に大きな差が生じなかった.蒸気養 生中の乾燥が抑制されたことに加えて,高炉スラグ微粉末3000よりも,高炉ス ラグ微粉末4000の方が,比表面積が大きく,水和活性度が高いため,材齢進行 後も水和反応が良好に進んだことで,細孔構造が緻密化したと推察できる.しか しながら,s40-d3000同様,材齢28日時点での100nm 以上の細孔量が多くなっ ている.蒸気養生中の乾燥が抑制されたとしても,高炉スラグ微粉末の活性度が 低く,その後の気中保管で十分に水分補給がされずに,水和反応が停滞したこと が細孔の粗大化の要因だと考えられる.
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(a) 脱型時(材齢1日)
(b) 材齢14日
(c) 材齢28日
図-3.8 s40-d3000の細孔構造
(a) 脱型時(材齢1日)
(b) 材齢14日
(c) 材齢28日
図-3.9 n40-5r-d3000の細孔構造
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(a) 脱型時(材齢1日)
(b) 材齢14日
(c) 材齢28日
図-3.10 s40-d4000の細孔構造 図-3.11 n40-5r-d4000の細孔構造 (a) 脱型時(材齢5日)
(b) 材齢14日
(c) 材齢28日
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(2) 深さ方向の細孔径分布
図-3.12にs40-d3000,図-3.13にn40-5r-d3000,図-3.14にs40-d4000,図-3.15
にn40-5r-d4000 の強度保障時(材齢28 日)時点の深さ方向の細孔直径別分圧入量
を示す.
図-3.12,図-3.13 に着目する.養生条件によらず,200nm 付近で最も細孔容 積が大きい傾向を示している.蒸気養生を施したs40-d3000と封緘養生を施した
n40-5r-d3000の表層部分(0~10mm)の細孔径分布が同等であった.また,細孔直
径400~1000nm付近の粗大な細孔容積は,s40-d3000と比較してn40-5r-d3000の 方が大きい.以上のことから,高炉スラグ微粉末を混和材として使用した場合,
水和熱低減効果によって蒸気養生中の乾燥を抑制することで,同一配合の封緘 養生と同等の細孔径分布になることが確認できた.
図-3.14,図-3.15 に着目する.養生条件によらず,200nm 付近の細孔容積は 小さいが,細孔直径 400~1000nm 付近の粗大な細孔容積が大きくなり,細孔直 径による細孔容積のばらつきは小さい分布となった.また,高炉スラグ微粉末 3000を使用したs40-d3000(図-3.12)と比較して,s40-d4000は,深さ方向の細孔 径分布にばらつきが少ない.以上のことから,高炉スラグ微粉末4000を混和材 として使用したことで,水和熱低減効果によって蒸気養生中の乾燥を抑制され たことで,同一配合の封緘養生と同等の細孔径分布になることが確認できた.更 に,高炉スラグ微粉末 3000 と比較して,高炉スラグ微粉末 4000 は水和活性度 が高いことから,気中保管後も水和反応が良好に進み,深さ方向にばらつきの少 ない均質な細孔径分布になることが確認できた.
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図-3.13 n40-5r-d3000の深さ方向の細孔直径別分圧入量
図-3.12 s40-d3000の深さ方向の細孔直径別分圧入量
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図-3.14 s40-d4000の深さ方向の細孔直径別分圧入量
図-3.15 n40-5r-d4000の深さ方向の細孔直径別分圧入量
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3.6.2 総細孔量および40nm以上の細孔量
図-3.16 に,比表面積の異なる,高炉スラグ微粉末を混和材として使用した 3000シリーズ(s40-d3000,n40-5r-d3000),4000シリーズ(s40-d4000,n40-5r-d4000) の総細孔量および40nm以上の細孔量のグラフを示す.
3000シリーズ,4000 シリーズともに,脱型時は材齢の違いもあり,s40-dの
細孔量がn40-5r-dに比べ大きくなっている.材齢初期では,養生条件によらず,
比表面積の小さい 3000 シリーズの細孔量が多いが,材齢が進行するにつれて,
総細孔量,40nm以上の細孔量ともに同等の値となっている.蒸気養生中の水和 熱を抑制することで,蒸気養生を施したコンクリートの細孔構造が改善される ことが確認できた.
図-3.16 総細孔量および40nm以上の細孔量
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