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第 6 章
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6.1 蒸気養生過程におけるコンクリートの乾燥現象に関する研究 本研究により得られた知見を以下に示す.
6.1.1 蒸気養生中のコンクリートの乾燥
(1) 供試体寸法の影響
蒸気養生コンクリートは,蒸気養生中にコンクリート表層部と養生槽内の温度 差から生じる蒸気圧勾配によってコンクリート中の水分が逸散し,乾燥する.ま た,蒸気圧比の推移から,通常の蒸気養生コンクリートは,最高温度保持工程以 降に蒸気圧比が 100%を下回り,養生槽の蒸気圧よりもコンクリート表層部の蒸 気圧が大きくなることでコンクリートが乾燥すると考えられる.また,供試体寸 法が大きくなると,蒸気養生中の養生槽内とコンクリートの温度差が大きくなり, それに伴い,蒸気圧差が大きくなるところで乾燥しやすくなる.
(2) 結合材の影響
使用材料により,蒸気養生過程におけるコンクリートの温度履歴は異なり,結 合材に普通ポルトランドセメントを使用し,蒸気養生を施したコンクリートは,
蒸気養生中のセメントの水和が著しく,水和熱量が大きくなるため,蒸気養生中 の最高温度保持工程から供試体温度が養生槽内温度を上回り,降温時には,供試 体温度が養生槽内温度に遅れて下降する.その結果,コンクリートの相対湿度が 低下し,蒸気からの水分供給が得られず,蒸気養生後期には自由水の蒸発が生じ,
コンクリートは乾燥する.結合材の一部を水和熱低減効果のある高炉スラグ微粉 末に置換することで,蒸気養生中の供試体と養生槽内の温度差を小さくすること ができ,特に,比表面積が小さい高炉スラグ微粉末を使用することで,水和熱低 減効果が大きくなり,養生槽内温度が供試体温度を上回ることによるコンクリー トの乾燥を抑制できることが示された.
6.1.2 細孔構造
(1) 供試体寸法の影響
蒸気養生コンクリートの細孔構造は,型枠側面の打込み面付近と底面付近で細 孔構造が異なる.蒸気養生中の乾燥による細孔構造への影響は,コンクリート表 層部で顕著であり,コンクリート表層部の0-10mmの部分に大きく影響する.ま た,打込み面からの深さ 100mm は,表層部から内部にかけて細孔量が減少して 行き、細孔構造が不均質になることから,型枠側面からの水分逸散もなされると
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示唆された.また,供試体寸法によらず,蒸気養生中の乾燥の影響を受けやすい のは打込み面からの深さ約100mmということが明らかとなった.
(2) 結合材の影響
結合材の一部を水和熱低減効果のある高炉スラグ微粉末に置換することで,表 層部の細孔構造と深さ方向の総細構造との偏りがほとんど生じず,また,材齢が 進行するにつれて,同一配合で封緘養生を施したものと細孔構造に大きな差が生 じなくなる.高炉スラグ微粉末の比表面積を小さくすると,蒸気養生中の乾燥抑 制効果は大きくなるが,水和活性度が低いため,細孔構造が緻密化しにくい.
6.1.3 圧縮強度・曲げ強度
(1) 供試体寸法の影響
蒸気養生を施したコンクリートは,現場打ち模擬コンクリートと比較して,材 齢初期から圧縮強度および曲げ強度が低下する.これは,材齢の違いもあり,蒸 気養生コンクリートは材齢1日で圧縮強度を測定しているため,養生が不十分で あることが要因としてあげられる.大型の蒸気養生コンクリートは蒸気養生過程 における乾燥の影響が打込み面からの深さ方向に差が生じることで,コンクリー ト上部と下部で圧縮強度に10-15N/mm²程度の差が現れる.特に上部は蒸気養生中 の乾燥による影響が上部の方が大きく,若材齢時に疎な細孔構造となり,その後 のセメントの水和反応が停滞したことで,強度増進も停滞する.
(2) 結合材の影響
混和材の一部を高炉スラグ微粉末で置換したコンクリートは,養生方法によら ず,普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートと比較して,圧縮強度が 低い値を示す.これは,高炉スラグ微粉末の水和活性度が,普通ポルトランドセ メントと比較して低く,養生が不十分であることが考えられる.一方,曲げ強度 に関しては,結合材の違いによる大きな差は生じなかった.一般に,曲げ強度は 乾燥の影響により低下することが知られており,高炉スラグ微粉末を結合材とし て一部を置換したことで,蒸気養生中の乾燥による影響が最小限に抑えることで,
曲げ強度は増進する.
材齢の進行に伴う強度の増進は,普通コンクリートの場合,蒸気養生を施すと,
材齢初期の乾燥の影響で,強度増進が停滞する.高炉スラグ微粉末を混和材とし て一部を置換することで,蒸気養生中の乾燥が抑制され,養生方法の違いによる 強度増進の差が生じにくくなる.更に,比表面積を小さくするほど,水和熱低減