93. 定数係数線形同次微分方程式 37
S 3 . 定数係数線形同次微分方程式
線形微分方程式y(n)
+
aly(n‑l)+
… 十an‑1Y'+αnY = R(x)の左辺の係数がすべて定数であるとき,これを定数係数線形微分方程式とい う.特に,右辺の関数R(x)がOであるとき,これを定数係数線形同次微分方 程式という.きて,
f(D) = Dn
+
alDn‑1+
…+
anーlD+αn とおき,同次徴分方程式f(D)y = 0
の解法を考える.まず ,f(D)の形が簡単な場合について解法を述べる.明ら かに,次のことが成り立つ.
A Dny =0の一般解は
Uニ Cl
+
C2X十・・・十CnXn‑1B (D α)ny = 0の一般解は
y = (Cl
+
C2X+
…+
CnXn‑1)eaX[
証明]
(D一α)ny=
0 (D一α)n[e町 e‑aXyJ=O~ 2公式 (2)(p.36)によって
eax{ (D +α)一α}n[e‑ax y] = 0 Dn[e叫 y]=0 したがって,上の解法Aによって
e‑axy = Cl
+
C2X + ・・・+ CnXn‑1 y = (Cl+
C2X+
…+
CnXn‑1)eaX0
例1微分方程式
y" ‑6y' + 9y = 0
ゴ
解法『基礎解析学コース微分方程式~ (矢野健太郎 ・石原 繁 共 著 / 裳 華 房 )
38 第3章 線 形 微 分 方 程 式
は次のようになる.
(D2 ‑ 6D + 9)y = 0 ゆえに,解法Bによって, 一般解は
(D‑3)2y=O y = (Cl + C2X)e3X 0
C (D α)(D ‑s)y = 0 (αキs)の一般解は y = Cleax
+
C2efJX[証明] 上 の 解 法Bによって ,(D一α)y= 0の一般解は y = Cleax
である (Clは任意定数).また ,(D‑s)y=Oの一般解は y = C2efJX
である (C2は任意定数).さて,
(D一α)(D‑β)[Cleax] = (D ‑s)(D一α)[Cl eaX]
=(D ‑s){(D‑α)[ Cl eaX] }
= (D ‑s)O = 0
(D‑α)(D ‑s)[ C2 efJX] = (D一α){(D ‑s)[C2efJX] }
=(D α)0 = 0
解 法
ゆえに ,Cleaxと C2e紅 は (D一α)(D‑β)y = 0の解である.したがって,
定 理3.1(p.32)によって ,y = Cl eax
+
C2 e向 は (D一α)(D‑s)y = 0の 解 である.ところが,αキ3であるから ,eaxとefJxは1次独立でーある.ゆえに,解 y= cleax
+
C2e釘 は2階 微 分 方 程 式 (D一α)(D‑β)y =0の 一 般 解 である.
。
例2 微分方程式
y" + 3y' ‑4y = 0 は次のようになる.
(D2
+
3D ‑4)y = 0 ゆえに,解法Cによって, 一般解は(D
+
4)(D ‑l)y = 0 y = cle‑4x十C2ex0
~ 4.逆 演 算 子
S 4 . 逆演算子
定数係数線形微分方程式
y"
+
b y'+
c y = F(x) は,演算子 f(D)= D2+
bD+
cを用いてf(D)y = F(x)
43
となる.この微分方程式の特殊解(1つの解)を求めるとき,上の方程式を変 形して
= 守f(LTF(z)D)
と書き直せれば便利である こ こ で , 記 号 市 内 演 算 子f(D)が指示する 演算の逆算を表すものであって
f(D)
す」‑
f(D)が成り立つ.ただし,右辺は単位演算子1である. まず,最も簡単な徴分演算子Dについて,微分方程式
Dy = F(x) は 〆=F(x)を意味するから,
y =
f
F(x)命は1つの解である.したがって,
占 的 )
=f
F(x)ゐと定める つまり,古をDの逆演算子と 川 こ れ はzで積分することを 意味する.すなわち,
(1)
主 的 )
=f
F(x)命44 第3章 線 形 微 介 方 程 式
逆演算子について次の公式が成り立つ.
( 2 )
市 yeι77E76X
(f(α)キ0)( 3 )
岩戸(刈
=eax市匂
[e‑axF(x)](.4 )
詰戸(心
=e町 fe‑叩 (x)ぬ[
証明
] (2) 32公式(1)(p.36)によって f(D)e町 =f(α)eax さて ,f(α)キOであるから,両辺を f(α)で割lってfla)f(D)eax=eax :. f(D)[;la)eaxJ=eax
市 e a z =7 1 r
( 3 ) 32公式 (2)(p.36)を利用する.まず,
f(D)j eax
す Jだ て[e‑axF(x)]
f
= eax f(D +α)τJtて[e‑axF(x)]l " '
f(D +α) L'" 1 ¥"" 1 J J ‑' "J ¥L/ I '‑'1 f(D +α)ところが,f(D+α)
万 己 了
=1であるから,上の式の右辺は次のように なる.f(D)
j
le~ 叫 す 」 六 てf(D+
α) [LIeV 自 F(x)L ¥oA,./]JJf
= eax e吋 (x)= F(x) ゆえに,Zすf(D+
ι
寸α) [Le~ 目 Fi ('~/J x)]=寸
f」
(D) F(z)市
yF(x)=e山 市h y [ e
吋 (x)] ( 4 ) 上の公式 (3)でf(D)=D‑αとすれば,‑L F ( x ) = e a z
11 6
吋 (x)]=♂ 古
[e目 的 )]一α (D+α)α
長 戸 ( ド
eaxfe町 F(x)命 。
S 6. 連立微分方程式 57
S 6 . 連立微分方程式
この節では独立変数を tとする.2つの未知関数 x
=
x(t), y=
y(t)に関 する定数係数の線形微分方程式の組,たとえばすなわち,
(1)
の解法を考える.
日
dt‑
2x+
y = edx 十 ヱι, du +4x=O dt ' dt
( ( D ‑ h = e t
(D
+
4)x+
Dy = 0 ただし ,D =三dι
t である.例 題1 上の連立微分方程式 (1)を解け.
[解 答 (D‑2)x + y = e' . ① (D + 4)x + Dy = 0・ ② Uを消去するために ,D.①一②を作れば,
{D(D ‑2) ‑(D + 4)}x = De' (D2 ‑3D ‑4)x = e' (D十l)(D‑4)x = e' この微分方程式の一般解は
x = c
,
e叫 c2e4t‑ ~ e'である.この③を①に代入してUを求めれば,
y = e' ‑(D‑
斗 ,
e‑'+c2e4t‑~
e'J③
y = 3c
,
e‑'ー 2c2e4'+ ヤ ④
ここで,③と④を組み合わせれば,求める一般解となる.
0
[別解] 上の解で得られたように
x = c
,
e叫ω 4 t t e t
③ である.次に ,xを消去するために, (D + 4)・① (D ‑2)・②を作れば,58 第3章 線 形 微 分 方 程 式
(D2 ‑3D ‑4)y =一5et この微分方程式の一般解は
u=Mt+b264t+tet ⑤
である.ここで,③と⑤を組み合わせると,任意定数 Cl,C2, bl, b2を含み,任意定 数が多過ぎる.そこで,③と⑤を①に代入して, Cl, C2, bl, b2の関係を求めれば,
次のようである.
(D‑
斗
le‑t+ c2e4t ‑~
etJ+
れ t+MHtet=et(bl一3Cl)e‑t+ (b2 + 2c2)e4t = 0 b1一3Cl= 0,ゐ+2C2 = 0
b1=3cl, b2= ‑2c2 これを⑤に代入すれば,④を得る. 0
例 題2 連立徴分方程式(1)を初期条件
r
t = 0,のもとで解け.
[解答] 例題1で求めたように,微分方程式(1)の一般解は 1一6
一
一Z 5y =一
τ 」
t I ̲ ̲4t 1 x = Cle 十 C2e 一百e",
① y = 3Cl e‑t ‑2c2e4t
+ ヤ
である.これに初期条件 t=O, x = ‑ l U =一立を代入すれば,
6'
Cl + C2 = 0, 3C12C2= t 1 1 Cl=‑3' の=τ これを一般解①に代入すれば,求める解は次のようである.
x = ‑~ 3~ e‑t + '3~ ~ e4t ‑~ 6 et U =‑e t 2Jt一一一 +一56t
3 ν 6
第 4
~ 1.
1階微分方程式
微分方程式
(1)
級 数 に よ る 解 法
ま
=f(日 )
で右辺の関数 f(x,y)が平面上の点 (Xo,yo)で第l章 定 理l.1(p. 5)の条 件をみたしているとする.微分方程式(1)の解で初期条件rx = xo, y = YoJ
を満足するものが点(Xo,Yo)の近{秀でただ1つ存在する.この解を求めるた めに,解Uを点 x=x,。を中心とするテイラ一級数の形
( 2 ) Y = Ao
+
Al(X ‑xo)+
A2(X ‑xo)2+
… + An(x ‑xo)n+ …
で表して,解Uを求めることを考える.明らかに,初期条件によって Ao=yoである.まず, (2)の両辺をxで微 分して
表
=A1+
2Aix ‑Xo)+
凶 (Xー 仙+ηAn(X ‑xo)nー1+
…
である.これと (2)を(1)に代入して,係数Al,A2,…を決定する.このよ うにして, (2)の右辺の係数を求めて,解を作ることができる.この解法を,
X ‑Xoのベき級数による解法という.なお,得られた級数 (2)は点 X=Xo の十分小さい近傍で収束する.
特に,初期条件rX
=
0, Y=
YoJのもとで徴分方程式(1)を解くときには,求める解UをX=Oを中心とするべき級数
y=Ao+A1X 十A2X2+・・・
+
Anxn+ . . .
で表してUを求める.このような解法を Zのべき級数による解法という.
66 第4章級数による解法
例 題1 徴 分 方 程 式 y' ‑2xy = x を,xのべき級数による解法で解け.
[解 答 y= Ao + Al X + A2 X2
+…+
An̲1Xn‑1 + Anxn+…
① とおけば,y' = Al + 2A2x
+
3A3X2+… 十
(n‑l)An‑1 Xn‑2十
nAnxn‑1+ …
これと①を問題の微分方程式に代入すれば,次のようになる.
{Al
+
2A2x+
3A3X2+… 十
(n‑1)An̲1Xn‑2十
ηAnxn‑1+… }
‑2(Aox + A1X2 + A2X3
+…+
An̲2Xn‑1 + An̲1Xn+…
)=x Al + (2A2一
2Ao)x+ (3A3一
2Al)X2+…+
(nAn一
2An̲2)Xn‑1十 …
= x したがって,両辺の係数を比較してAl = 0, 2A2一2Ao = 1, 3As ‑2Al = 0 , ・・・ nAn‑2An‑2 = 0 ,
A1=O, A2=
す
(1+
2Ao),ん = す
A1, An=す
Anーししたがって nが奇数ならばAnは
A2m+l = 0 ( n = 2m
+
1 ) となる .nが偶数ならば,Anは次のようになる.A2=
す ( 1 十
2Ao), A2m =会 ん
m‑2 ( m ;;;; 2)・A2m= m(m ̲ Al)…2
叫 ん = 石 r z
1‑ l (
+ 2Ao) ( mミ1)これらのAnを①に代入して,一般解は次のように求まる.
1 ι‑ワAo/? l 1 1 ¥
y=Ao十一一一一~
(
¥x' + ,.,2A! , X~ ' + . ‑‑3;f,! ‑x~. "+…
+‑' m‑:‑::.! ‑‑~ x.m + ..1 ./1 . 1.. ? 1 A . 1 氏 1
y=
ーす + c ¥
\Á'~l +
ど +flx''2!~ +fix.'3 ・ 山 !十一+「
zm+~ ・・)/ここで c=
す
(1+ 2Ao)は任意定数である この一般解はU=t ← +
ceIと書きカかミえられる.なお,問題の微分方程式は1階線形微分方程式であるから,一 般解の公式(p.13)によって
y =
e
J吋 f x e ‑
J2凶 命+ c ) = 〆 ( f x e 刈 + c )
y=
ー す
+c〆
O~ 4. ベッセル関数 81
~
4 . ベッセル関数
2階線形微分方程式
(1)
Z 2 t 与
+x生 +
(X2 α2)y = 0仏r"' ~ dx
をベッセルの微分方程式という.ここで, α>0である.ベッセルの徴分方程 式とその解であるベッセル関数は物理数学でしばしば登場する.
点 x=Oはこの微分方程式の確定特異点(p.70)である AoキOとして ( 2 ) y = xA(Ao
+
Al x+
A2x2+ … +
AnXn+…)
とおき,微分方程式(1)の解を求めることにする.まず,この (2)の両辺を 微分すれば,次のようである.
〆 =A
んxH+( A
+ 1)A1x^ +( A
+ 2)A2xH1+ …
+
(A+
n)AnXλ+n‑l+ …
y" = (A ‑l)AAoxH
+
A(A+ l )
AIXト l+ (A + l)(A + 2)A2Xλ+
…
+ (A + n ‑l)(A + n)Anx山 ー2+
…
これらと (2)を微分方程式(1)に代入すれば,次のようである.{ (A ‑l)AAox^
+
A(A+
1)A1 X H l+ (A + l)(A + 2)A2XH 2
+ …
+ (A + n ‑l)(A + n)AnxHn
+ …}
+ {AAox^ + (A + 1)A1x
川+
(A + 2)A2xH 2+
…+
(A+
n)AnXHn+ …}
+ {AOXH2十AIXH3
+
A2XH4+ … +
An‑2x山 + … }
一{Aoclx^
+
Al CI XH 1+
A2c1 XH2+
…+Anαclx 左辺を整理して(A2 ‑cI)Aox^
+
{(A+
1) 2 ‑
cI}A1x川+[{(A+2)2一αcI}A2
+
Ao]xH+ . … . 一 .
+ [{ (A + n)2 ‑cI}An + An̲2]XHn+…
=0となる.ゆえに,
82 第4章 級 数 に よ る 解 法
( 3 ) (;12 ‑ J!
) A
o = 0 , {(;1+1)2‑J!}A1=O {(;1+
2)2 ‑J!}A2+
Ao = 0, ( 4 ) {(;1+
n)2 ‑J!}An+
An‑2 = 0 ,さて,仮定によって AoキOであるから, (3)の第1式によって (5) ;12 ‑ J! = 0 ,・ ;1 =:tα
また, (3)の第2式で(;1
+
1)2 ‑J!キOであるから,(6) Al = 0 で、ある.
;
1=α の場合と;1=一αの場合を考える.次のように形式的な計算をして Anを求める.
λ=α の場合 上の(4)の第1式,第2式,…に;1=α を代入すれば,An が次のように求まる.
An=O
( n
は奇数) (7) Aω= ( ‑ 1 ) ρ l Ao(η=2ρ)4Pρ!(1 +α)(2 +α)…(ρ+α)
λ α の場合 上の(4)の第1式,第2式,…に;1=一αを代入すれ ば,Anが次のように求まる.
( 8 )
An=O
( n
は奇数) Aω= (‑1)P‑;L 1 Ao(η=2ρ)1 ̲α)(2一α)…(ρ‑α)
さて, (2)に;1=α と(7)を代入して Ao=lとすれば,微分方程式(1) の特殊解
( 9 )
Yl=xa~l 一
1 ‑ ""l
.l.一上-
4(1 +α) , x2+~ , 4, ?~
22.!(I. 1 +α)(2 +α) ,1 ,x4l f+)
を得る.
次に, (2)に;1=一αと(8)を代入して ,Ao=1とすれば,徴分方程式(1) の特殊解