線形微分方程式の級数解法
1 線形微分方程式
2階線形微分方程式
L[w ] d
2
dz 2
w (z)+P(z) d
dz
w(z )+Q(z)w (z)=0 (1)
通常点
1. [定義]通常点 z0 :P(z),Q(z )がz=z0の周りで正則な点z0.
2. [解]通常点z0 の周りでの解はべき級数展開できて
w (z)= 1
X
k =0 c
k (z0z
0 )
k
(2)
確定特異点
1. [定義]p(z)=(z0z0
)P(z),q (z)=(z0z
0 )
2
Q(z)がz=z0の周りで正則である点z0 .
2. [解]確定特異点z=z0 の周りの解は
w
1
(z)=(z0z
0 )
1 1
X
k =0 c
(1)
k (z0z
0 )
k
(3)
w
2
(z)=(z0z
0 )
2 1
X
k =0 c
(2)
k (z0z
0 )
k
(4)
もしくは
w
1
(z )=(z0z
0 )
1 1
X
k=0 c
(1)
k (z0z
0 )
k
(5)
w
2 (z )=w
1
(z )log (z0z
0
)+(z0z
0 )
2 1
X
k =0 c
(2)
k (z0z
0 )
k
(6)
という形で求められる.
2 正則点z = 0の周りの解
P(z), Q(z)が
P(z)= 1
X
k=0 p
k z
k
(7)
Q(z)= 1
X
k =0 q
k z
k
(8)
とベき級数で展開される場合には解は
w (z)= 1
X
k =0 c
k z
k
(9)
と求められる.上式(9)を元の微分方程式(1)に代入し,各項比較により係数ckを決定する.
3 確定特異点 z = 0の周りの解
P(z), Q(z)が
P(z )= 1
z p(z)=
1
z 1
X
k =0 p
k z
k
(10)
Q(z)= 1
z 2
q(z )= 1
z 2
1
X
k=0 q
k z
k
(11)
とベき級数で展開される場合には解は,
L[w ]=z 2
w 00
+zp(z)w 0
+q (z)w=0 (12)
の解を
w (z)= 1
X
k=0 c
k z
+k
(c
0
6=0) (13)
と仮定し(12)に代入する. 実際,(13)を(12)に代入して
L[w ]=z
1
X
l=0 n
l
X
n=0 c
l0n f
n
(+l0n) o
z l
=0 (14)
を得る.したがってcl を決める方程式
l
X
n=0 c
l0n f
n
(+l0n)=0 (15)
が得られ,これからすぐ にclが求められる.ただしfnは
f
0
(+k )=(+k )(+k01)+p
0
(+k )+q
0
(16)
f
n
(+k )=(+k )p
n +q
n
(n1) (17)
である.
(16)はとして2つの根12を持つ.このとき解は以下のような構造をとる.
1.
1 0
2
6=正整数の場合.
w
j (z)=
1
X
k=0 c
(j)
k z
j+k
(c (j )
0
6=0 ;j=1;2) (18)
2.
1 0
2
=m(正整数または0)の場合. =1に対する解は
w
1 (z )=
1
X
k =0 c
(1)
k z
1 +k
(c (1)
0
6=0) (19)
となる.第2の=2に対する解は(19)のような形には求まらない.
第2の解を求めるには「Frobenius(フロベニウス)の方法」として知られた一般的な方法がある.参考 文献として以下のものをあげるに止める.
「常微分方程式」(東大出版会)田辺行人,藤原毅夫著
「特殊関数」(岩波全書)犬井鉄郎著
Frob eniusの方法は一般に確定特異点の周りの級数解を求める上で大変重要である. このように解かれ る微分方程式としてよく知られたものには,以下のようなものが挙げられる.
ルジャンド ル(陪)微分方程式(軌道角運動量の固有関数)
球ベッセル微分方程式(3次元井戸型ポテンシャルの動径波動関数)
ラゲールの微分方程式(水素様原子(クーロンポテンシャル場)におけるの動径波動関数)
エルミート微分方程式(1次元調和振動子)
ルジャンド ル(陪)関数,ラゲール多項式,エルミート多項式などが現れる多くの場合には第1の解が(境 界条件を満足する)必要な解になっているので,第1の解のみに関心がある.
ベッセル関数については少し事情が異なる. 球ベッセル関数が現れる井戸型ポテンシャルでは, 第1 の 解,第2の解がそれぞれr=0, r=1での境界条件を満足する解になっている. したがって両方の解を知 らなくてはならない.
4 フロベニウスの方法
c
lを決める方程式(15)
l
X
n=0 c
l0n f
n
(+l0n)=0
において,102=m(正整数または0)の場合を検討しよう. (15)でc06=0であるから,まずが
c
0 f
0
()=0)f
0
()=(01)+p
0 +q
0
=0)=
1
;
2
(20)
と求まる.以下順に
c
1 f
0
(+1)+c
0 f
1
()=0)c
1が決まる: (21)
c
2 f
0
(+2)+c
1 f
1
(+1)+c
0 f
0
()=0)c
2 が決まる: (22)
111
c
l f
0
(+l)+c
l01 f
1
(+l01)+111+c
0 f
l
()=0)c
lが決まる: (23)
という具合に(f0
(+k )6=0(kl )であれば), ck
(k=1;2;111l )が決められる.
1 0
2
=m(0または正整数)の場合には,=1に対するc(1)
k
を決めるには,上の方法によればよい. し かし,次に=2 に対するc(2)
k
を決めるとき,(20)(23)に対応する式は
c (2)
f
0 (
2
)=0)c (2)
6=0 (24)
c (2)
1 f
0 (
2
+1)+c (2)
0 f
1 (
2
)=0)c (2)
1 が決まる: (25)
c (2)
2 f
0 (
2
+2)+c (2)
1 f
1 (
2
+1)+c (2)
0 f
0 (
2
)=0)c (2)
2 が決まる: (26)
111
c (2)
m01 f
0 (
2
+m01)+c (2)
m02 f
1 (
2
+m02)+111+c (2)
0 f
m01 (
2
)=0)c (2)
m01が決まる: (27) とここまでは第1の場合を真似ることができる.しかし次に現れる
c (2)
m f
0 (
2
+m)+c (2)
m01 f
1 (
2
+m01)+111+c (2)
0 f
m (
2
)=0 (28)
が一般にf0(2+m)=f0(1)=0と両立するかどうかは保証されない.
一般に以下のことがいえる.( この辺の事情は一般的に考えると理解し難しい. むしろ以下に示す例で見たほうがわかり易い.)
1. m>0の場合には(28)がf0(2+m)=f0(1)=0と両立することがある.このときは第2の解は有 限個のべき項からなる式となる.
2. m>0の場合で第1の場合の除く大半の場合には,
c (2)
0
()=(0
2
) (29)
と選ぶと
L[w (z;)]=(0
2 )f
0 ()z
=(0
1 )(0
2 )
2
z
(30)
L hn
@
@ w (z;)
o
=
2 i
= h
@
@
L[w (z;)]
i
=
2
=0 (31)
となる.したがって
@
@ w (z;)
=2
(32)
は第2の独立な解になる.
3. m=0(
1
=
2
=
0
)の場合には,
c (2)
0
()=c (1)
0
(33)
と選べば
L hn
@
@ w(z ;)
o
=
0 i
= h
@
@ (0
0 )
2
c (1)
0 z
i
=
2
=0 (34)
となる.したがって
@
@ w (z;)
=0
(35)
は第2の独立な解になる.
5 例題 1
(z 2
+3z 3
)w 00
+5z w 0
+3(102z)w=0 (36)
の確定特異点z=0の周りの級数解を求めよう. 解の形を
w (z)= 1
X
n=0 c
n z
+n
(37)
と仮定する.
L[w (z)]=(+3)(+1)c
0 z
+ 1
X
n=1
f3(+n)(+n03)c
n01
+(+n+3)(+n+1)c
n gz
+n
(38)
z
の係数から
1
=01;
2
=03: (39)
[=
1
=01:第1の解] cn
=03
(n01)(n04)
n(n+2) c
n01 ゆえに
c
1
=0; and c
2
=c
3 111=0
ゆえに
w
1
=z 01
[=
2
=03:第2の解]
c
0
=(0
2
)=(+3)
とおく.
c
n
() = 03
(+n)(+n03)
(+n+3)(+n+1) c
n01 ()
= (03) n
+1
+n+1 1
(+3)111(02)
(+n+3)111(+n02)
2(+3) (40)
@
@ c
n ()=c
n ()
2
1
+1 +
1
+3 0
1
+n+1 +
3
X
l=02 (
1
+l 0
1
+n+l )
3
(41)
=
2 を代入すると@
@ c
n
()は 0n5 のみ0 でないことが分かる.また
c
n ()
=2
は c2=0180のみ0でない.
c =(+3);
1
c
2
=0180;
c
3
=0311801(+3);
c
4
=04051(+3);
c
5
=01621(+3); 111111
ゆえに
z
2
=01801lnz1 1
z +z
03
(1+30z+441z 2
0540z 3
0405z 4
0162z 5
) (42)