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博 士 論 文 概 要

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Academic year: 2021

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早稲田大学大学院国際情報通信研究科

博 士 論 文 概 要

論 文 題 目

人体通信を用いた人体部位 及び形状識別に関する研究

Study on Body Parts and Body Figure Identification Employing Intra-Body Communication

申 請 者

小林 直

KOBAYASHI Nao

国際情報通信学専攻 無線・衛星通信研究Ⅱ

2 012 年 7 月

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近 年 , ユ ビ キ タ ス コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 発 展 と 共 に 情報端末の軽量化,小 型化が注目を浴びている.情報端末の軽量化,小型化技術が発展する事でウェアラブル 情報端末の使用形態が幅広くなり,様々な情報端末を身に付けた生活が考えられる.こ のように複数の情報端末を身につけた場合,端末間を接続するBody Area Network(BAN)

の構築が必要となる.BAN を構築する事で,省電力かつ身につけた複数の情報端末の 連携・運用・管理が容易になる.このBANを構築するために提案された近距離無線通 信技術に人体通信がある.人体通信は人体を信号の通信伝達媒体に用いて,体に装着し た人体通信端末と体の外部,または体の内部の端末との短い距離を結ぶ近距離無線通信 である.人体通信のメリットとして,人体を通信媒体とするので,ケーブルが不要であ る事,信号は人体内部または人体表面を通るため,電磁波ノイズや障害物等からの影響 を受けにくい事,他の無線通信技術と違い外部に発信する事を目的としていないので,

送信電力及び消費電力が低い事等が挙げられる.

本論文は人体通信の特徴を活かした人体部位識別方式について評価した筆者の一連 の研究結果をまとめたものである.以下に各章の概要を述べる.

第1章 序論

第1章は序論であり,研究背景及び論文の構成について述べる.

第2章 人体通信技術

第2章では人体通信と他の近距離無線通信との違いを示し,人体通信の特徴及び各種 方式について述べる.また,各研究機関における人体通信の研究動向及び本論文で用い る人体通信技術であるIntra-Body Communication(IBC)を利用した研究例を複数紹介す る.そして,本論文の実験に用いている人体に装着するプローブの性能を評価し,電磁 解析シミュレーションに用いる時間領域差分法(FDTD: Finite-Difference Time-Domain

method)の概要について述べる.さらに,人体部位識別方式の類似研究,システムとし

て,複数の事例を紹介し,本論文で述べる人体通信を用いた人体部位特定方式との差異 について述べる.

第3章 手首識別方式

第3章では,人体の手首の動きを識別する手首の動き識別方式について述べる.手首 の動き識別方式は手首の縦方向及び横方向の傾きを識別することを目的としている.手 首の動き識別方式を用いる事で,携帯電話等の小型端末を持った手首の動きに合わせた 機械操作,空間上での文字の記述,手の形状認識等といった新しいヒューマンマシンイ ンタフェースで活用が期待できる.手首の動き識別方式は人体にプローブを装着した状 態で定在波比(Voltage Standing Wave Ratio : VSWR)を計測し,手首と手の傾きの違い から手首の位置を識別する.本方式の評価として,最初に,プローブを装着する手首に

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複数の装着箇所を設け,装着箇所による VSWR の違いを求める.次に,手首上面にプ ローブを装着した状態におけるVSWRの計測実験とFDTD法を用いた電磁解析シミュ レーションにより,人体手部を評価する.評価対象としては,手首の角度が異なる三種 のモデルを用いており,実験結果及びシミュレーションモデルそれぞれにおいて,モデ ルによって定在比が異なる事を示す.続いて,手首に設けた複数の装着箇所における縦 方向及び横方向に手首を動かした時の VSWR を計測し,識別率の観点から評価する.

本評価結果から,縦方向の動きにおいてはプローブを手首の上面及び下面に装着,横方 向の動きにおいてはプローブを手首左側面及び右側面に装着する事で縦方向及び横方 向の動きが識別可能である事を示す.

さらに,手首の動き識別方式のアプリケーション例として,手の形状認識技術の評価 をする.本技術は手の形状を認識する事を目的としており,手話の認識,手の形状をキ ーとして認証を行うシステム,空間上での指識別方式等といった新しいサービスへの可 能性を持っている.本論文では手の形状認識としてジャンケンの形状を用いて評価して おり,評価結果から,手首の動き識別方式同様,VSWRを用いる事でグー,チョキ,パ ーそれぞれの認識が可能であることを述べる.

第4章 指識別方式

第4章では,人体部位識別方式として,指識別方式について述べる.指識別方式は人 体の指の識別を目的としており,本技術を実社会に用いる事で様々なサービスや福祉シ ステムの利便性の向上が期待できる.例えば,ボタンで操作をする機器に対し,ボタン の代わりに指を用いる事で,複数のボタンを使い分ける必要がなくなり,機器のユーザ インターフェースを単純化する事が可能になる.

指識別方式の評価として,FDTD法を用いた電磁解析シミュレーションから各指の電 界強度を計算する.計算結果から,指識別方式に最適なプローブ及び指事に電界強度が 異なる事を明らかにし,指識別方式が実現可能であることを示す.続いて,実験では,

実際に手首両側面にリストバンド型プローブを装着し,手首から指先で触れるボタン型 のプローブまでの到達時間差及び最大受信電力差,各周波数における位相差及び受信電 力差を計測し,評価する.評価方法として,正準判別分析を用いて指を正しく識別でき る確率である識別率を定義し,識別に有効なパラメータを求める.識別結果から,到達 時間差及び最大受信電力差を用いた指識別方式,位相差及び受信電力差を用いた指識別 方式が実装可能である事を示す.また,到達時間差及び最大受信電力差を用いた指識別 方式に関しては,実システムを想定した場合に考えられる問題とその解決策である差分 時間増幅法について述べ,差分時間増幅法を用いる事で,到達時間差及び受信電力差を 用いた指識別方式が実現可能である事を示す.

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さらに,指識別方式を用いたアプリケーションとして,拡張キー入力方式(Enhanced Key Input Scheme : EKIS)を評価する.EKISは,携帯端末上にある電極等に指で触れた 際に,それがどの指で触れているか人体通信を用いて識別する事を目的としている.本 技術を用いる事でキー入力の迅速化及び簡略化等が可能になり,携帯電話等の片手で操 作する小型端末の操作性の向上が期待できる.本論文では二つの電極を持つ 2 種類の EKIS 端末を用いて,電極に人差指で触れるモデル,電極に中指で触れるモデル,電極 に人差指と中指それぞれで触れるモデル,電極に触れないモデルの四種を評価し,識別 結果から,EKISが実現可能である事を示す.

第5章 掌識別方式

第5章では,指識別技術を応用した掌識別方式について述べる.本方式を用いる事で,

手に携帯電話や PDAといった小型端末を持たずに,掌上をタブレットやキー入力デバ イスとして用いる事が可能になる.また,掌上での機器操作,使用者の掌情報とキー入 力情報の併用も可能であり,強固なセキュリティシステムを構築する事が出来る.さら に,キー入力を行う場所及びキーとする情報を使用者が独自に決定する事で,使用者特 有の情報を作成する事も可能になる.本論文では掌識別方式として,単スポット認識の 観点から,掌上に設けた複数の観測点を識別するパームタイピング方式を評価する.評 価方法として,ペン型プローブを用いて,掌上に設けた観測点に複数回触れ,その識別 率を求める.また,識別には指識別方式で効果的であった位相差を用いており,識別結 果からパームタイピングが実現可能である事を示す.

さらに,掌識別方式を用いたアプリケーションとして,掌上に文字を記述し,認識す る事を目的としたパームライティングを評価する.本技術を用いる事で,掌上をメモ帳 として利用するだけじゃなく,掌上に記述された筆跡情報と使用者の掌の情報を組み合 わせた特有の情報も作成する事ができるようになる.本技術の評価方法として,パーム タイピングは単スポット認識として評価したが,パームライティングは掌上軌跡認識の 観点から評価する.また,文字の認識方法として,既存のOCRソフトを用いた文字認 識及びダイナミックタイムワーピング距離を用いた文字認識をそれぞれ行い,評価結果 から掌識別方式が実現可能である事を示す.

第6章 結論

第6章では研究の成果をまとめ,結論を述べる.

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