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博 士 論 文 概 要

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Academic year: 2022

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(1)

早稲田大学大学院理工学研究科

博  士  論  文  概  要

論   文   題   目

On Leopoldt’s conjecture for non-abelian extensions

(非可換拡大のレオポルト予想について)

申    請    者

久保寺 範和

氏    名

数理科学専攻  整数論研究 専攻・研究指導

(課程内のみ)

200410

(2)

研究の背景

年代、フェルマーがディオファントス著「算術」の余白に「より大きい 自然数 に対し、 を満たす自然数は存在しない」と記述した。

所謂フェルマーの定理である。クンマーは「イデアル類群」を調べることにより、

フェルマーの定理の解決に取り組んだ。以後、イデアル類群およびその位数であ る類数を調べることは整数論の主要な研究テーマとなっている。現在、様々な類 数公式が得られている。

本論文では、類数公式に関する予想である 予想と 予想が 成立する体の無限族の構成し、 予想が成立するための十分条件を与えて いる。

研究概要

年代、 関数の研究を始めた。 は久保 田富雄と共に、関数を構成し、進類数公式を得た。これに関連して進単 数基準がではないであろうという、 予想を得た。 予想は様々 に言い換えがなされており、例えば代数体と素数に対する 予想は次 のように言い換えられる:を代数体の単数群とし、正の有理整数に対して

とする。このとき任意の正の有理整数に対し て、 となる有理整数が存在する。

岩澤健吉は、 予想は素イデアルの分岐次数の条件がついた上の有限 次拡大体の存在と同値になることを示している。このような体の存在は類対 論では示せず、整数論の重要な問題の つとなっている。

予想は、により有理数体上的な拡大体については 解決された。現在まで 予想については、様々な研究者の結果があるが、

有理数体上 な拡大体の場合について大きな進歩は見られない。本論文で は、有理数体上 な拡大体で、 予想を満たす無限族を構成し、ま た 予想が成立するための十分条件とその十分条件を満たす有理数体上

な拡大体を与えた。

また岩澤健吉は、有限次代数体の無限次ガロア拡大体でガロア群が進整数 環 の加法群と同型となる 拡大についての次の類数公式を得た:

拡大½ 次中間体 のイデアル類群のシロー部分群 の位数 に対し 、 が十分大きいとき! ½ ½½ となる。ただ し 、½½½は岩澤不変量と呼ばれる整数である。

上記の類数公式の½および½不変量は総実な# $ 拡大に 対して共にであろうという予想がある。予想は、2次体

(3)

の場合においても解決されておらず、有理数体上 な拡大体で 予想を満たす例はほとんど知られていない。本論文では、予想を満た す なガロア拡大体の無限族も構成した。

本章では、以上の素数に対して、分岐条件のついた埋め込み問題を解くこ とにより、ガロア群が位数¿の非可換群

と同型になる拡大体で、予想または 予 想を満たすガロア拡大体の無限族を構成している。

以下の定理は、以上の素数に対しガロア群がと同型となる有理数体上の ガロア拡大体で、予想が成り立つような例を構成している。

有理数体上素数冪次の なガロア拡大体で予想を満たすよう な例は、小松によるガロア群が四元数群となる有理数体上のガロア拡大体を具体 的に構成したものがある。これに対し本論文では、以上の素数冪位数の群をガ ロア群とする拡大体の無限族で、その# $ 拡大が予想を満た すものを与えている。また上記の体の無限族は、分岐条件のついた埋め込み問題 の結果を使用して初めて得られた。

定理 を奇素数とし 、 ¾かつ乗数と はならない素数とする。´½µ 拡大の とする。また

の部分体で次巡回拡大となるものが唯一存在し、これをと記す。

(ただし、の原始乗根である。) ´ ½µとする。このとき次の条件

(*)をみたすガロア拡大 が存在する。

(*) ・

で分岐する素イデアルはの上のもののみ

このに対して となる。すなわち予想 が成立する。

さらに奇素数に対して、上記をみたすは無数に存在するので、ガロア群が

と同型で岩澤不変量がとなるような有理数体上のガロア拡大体は無数に存在 する。

また、 な拡大体に関する 予想は、三宅克哉の研究結果の他、

大きな進歩は見られない。以下の定理では、以上の素数に対し 、ある虚次 体上のガロア群がと同型となるガロア拡大で、 予想が成り立つような 拡大体の無限族を構成している。さらに、構成方法に埋め込み問題を使用してお り、このような構成方法による 予想を満たす体の例は本論文が初めてで ある。

(4)

定理 を虚二次体とし、の類数とする。を以下の条件の1つを 満たす素数とする。

$ かつ

$$ かつ、で不分岐

´½µ

´½µ

拡大の とす る。このとき以下の条件 を満たすガロア拡大体が存在する。

、かつ、で分岐する素イデアルはの上 のもののみである。

このに対し 、予想が成立する。

Æ

本章では、 予想を満たす十分条件を示している。その条件を満たす有 理数体上 な拡大体の例を与えている。 予想は、有理数体上 な拡大体の場合に示されて以後、大きな進歩は見られない。現在、多くの研究者 は、 予想を示すのには新たなアイデアが必要と考えている。本論文では 素イデアルの分岐次数の条件のついた拡大体を、埋め込み問題を用いて構成する ことにより、 予想の十分条件を導き出しでいる。埋め込み問題を用いる ことにより、 予想を満たす条件を示したのは、本論文が初めてである。

定理 を素数とし 、を1の原始乗根を含む有限次代数体とする。

の単数群とする。の整数環 のイデアル に対して、

とする。

となるのイデアル が存在し、かつ

となる。 とする。ただし 、によって完備化したものである。

をみたすの素イデアルが存在したとする。このとき、任 意の有理整数に対し、有理整数が存在して となる。す なわちに関する予想が成立する。

の上の素イデアルが唯一の場合、上記の定理が成立することは三木博雄によっ て示されており、定理はその拡張となっている。

また、有理数体上 な拡大体 ¿  (ただし以下の 正の有理整数とする)は、定理の条件を満たしており、従ってに関する

予想が成立する。このように定理の条件は 予想を満たすか否 かを判別するのに有用である。

(5)

5

研 究 業 績

                   

種  類  別      題名、    発表・発行掲載誌名、    発表・発行年月、    連名者(申請者含む)

論文    

“A  suf f i ci ent   condi t i on  f or  Leopol dt ʼs  conj ect ure”,   J ournal   of   Number  Theory  111,   no. 1,   81- 85( 2005)  

  

 “Greenbergʼs  conj ect ure  and  Leopol dt ʼs  conj ect ure”,   Proceedi ngs  of   J apan  Academy,   Seri es  A,   Mat hemat i cal   Sci ences,   vol ume  76,   no. 7,   108- 110( 2000)  

 

(6)

6

研 究 業 績        

種  類  別      題名、    発表・発行掲載誌名、    発表・発行年月、    連名者(申請者含む)

講演  “Leopol dt 予想をみたすある non- Gal oi s 拡大体について”,  日本数学会 2003 年 度年会  代数学分科会,   2003 年 3 月 25 日 

  

“Leopol dt 予想をみたすある non- Gal oi s 拡大体について”,   2002 年度早稲田大 学整数論シンポジウム,   2002 年 3 月 20 日 

 

   “ある非可換 l - 拡大の Zl -拡大の岩澤不変量について”,   日本数学会 1999 年度 秋季総合分科会  代数学分科会,   1999 年 9 月 27 日 

   以上   

 

参照

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