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博 士 ( 工 学 ) 長 谷 川

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 長 谷 川    輝

     学位論 文題名

Stereoselective Synthesis of Nitrogen Heterocycles   and Bioactive Compounds by Radical Reactions      (ラジ カル反 応を利 用する 含窒 素複素環化合物および      生理活 性物質 の立体 選択的 合成 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  結合 形成 反応 は、有 機合 成に おい て最 も重要な反応であり、これまでに様々 な 手法 が開 発さ れてい る。 その ーっ とし てラジカル反応があるが、ラジカル活 性 種は 非常 に高 い反応 性を 持つ こと から 、しばしぱ、その反応性を制御するこ とが困難とされてきた。しかしながら近年、ラジカル反応は、有機合成への様々 な 応用 手法 が開 発され 、位 置お よび 立体 選択的な結合形成を可能とする反応と し て注 目さ れて いる。 とく に、 分子 内ラ ジカル環化反応による環状化合物の合 成 にお いて 、そ の優位 性が 示さ れて いる 。また、低温条件下によるラジカル反 応 が開 発さ れ、 分子間 結合 形成 反応 にも 利用されるようになってきた。これら の 多ジ カル 反応 におい て見 られ る高 い立 体選択性は、不斉炭素を有する有機化 合物の合成法としても非常に重要である。

  本論 文に おい て、筆 者は まず 、窒 素ラ ジカルの分子内環化反応を用いて、含 窒 素複 素環 化合 物の立 体選 択的 な合 成を 検討した。さらに、窒素ラジカルのタ ン デム 環化 反応 により 多環 状化 合物 の効 率の良い合成法を開発することができ た 。次 に、 分子 間での ラジ カル 付加 一ト ラッピング反応を用ることにより、有 効な薬理活性を示すことが知られているMatrix Metalloproteinase Inhibitorの有 用な合成法を開発することができた。

本論文は以下に示すように六章から構成されている。

第一章では、序論として本研究の背景および目的について述べた。

第 二章 では 、窒素 ラジ カルの分子内環化反応による、ピ口リジンアルカ口イ

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ド の合成研究の結果を述べた。N‑メチル‑4‑アルケニルアミンから発生させた窒 素ラジカルの分子内環化反応により、trans―2,5−ジアルキルピ口1」ジンアルカ口 イ ドが 立体 選択 的に 得ら れた。 本手法を用いることにより、既存の合成法より も 、 非 常 に 効 率 よ く ピ 口 リ ジ ン ア ル カ 口 イド が 合 成 で き る こ と を 示 し た 。

  第三 章で は、 ラジ カル 反応 条件 下での高効率かつ高立体選択的なアリール基 の新規1.4―転位反応について述べた。N‑ベンジル・4一アルケニルアミンのラジカ ル 反応 を行 った とこ ろ、 相当 するN‑ベンジルピロリジンは全く得られずに、フ ェ ニル 基が1.牛転位した生成物であるN‑メチルピ口リジンのみが得られた。さ ら に、 この 生成 物は 単一 のジ アス テレオマーとして得られ、分子内環化反応に 続 く ア リ ー ル 基 の 転 位 反 応 が 立 体 選 択 的 に 進 行 す る こ とを 明 ら か に し た 。

  第四章では、5‑exo,5‑exo夕ンデム環化反応による、ピロリジジンの立体選択 的な合成について述べた。すなわち、〃一アリルおよび〃―プ口パルギルアミンの タンデム環化反応により、1,2,5ー三置換ピロリジジンが立体選択的に得られる´こ とを 見出 した 。ま た、 この タン デム 環化反応が、非常に早い環化反応速度を示 し、 それ ぞれ の環 化段 階に おい て高 い立体規則性を保って進行することを明ら かにした。

  第五章では、5‑exo,6‑exo夕ンデム環化反応による、インドリジジンの立体選 択的な合成について述べた。一般に、6‑exo環化反応は1,5一水素シフトと競争す る ため 困難 とさ れて いるが 、ア ルケ ン部位がスチレン型になっている基質にお い ては 効率 よく5‑exo。6‑exo夕 ンデ ム環化反応が進行し、インドリジジンが得 られることを新規に見出した。

  第 六 章 で は 、 分 子 間 ラ ジ カ ル 付 加 一 ト ラ ッ ピ ン グ 反 応 に よ るMatrix Metalloproteinase (MMP) Inhibitorの中間体の合成、ならびにMMP Inhibitorへの 誘 導に つい て述 べた 。ま ず、 オキ サゾ リジ ノンフマル酸エステルに対するラジ カ ル付 加― トラ ッピ ング 反応 によ り、 目的 とするアンチ付加体を高立体選択的 に 得た 。ま た、 今回 新た に開 発し たア シル オキサゾリジノンからヒドロキサム 酸 へ の 転 換 反 応 に よ り 、 効 率 よ くMMP Inhibitorを 得 る こ と に 成功 し た 。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査

副査 副査 副査 副査

教 授    徳 教 授    宮 教 授    原 助教授   折 助教授   仙

田 昌 生 浦 憲 夫      正治 登 一 彦 北 久 典

     学位論文題名

Stereoselective Synthesis of Nitrogen Heterocycles   and Bioactive Compounds by Radical Reactions      (ラジカル反応を利用する含窒素複素環化合物および      生理活性物質の立体選択的合成)

  結合 生成 反応 は有 機合 成に おいて 最も 重要 な反 応であり、これまで様々な手法 が 開発 され てい る。 その ひと つとし てラ ジカ ル反 応があるが、ラジカル活性種は 一 般に 高い 反応 性を 持っ ため 反応性 およ び選 択性 の制御が非常に困難とされてき た。´しかしながら、近年、ラジカル反応においても様々な新規手法が開発される よ うに なり 、位 置お よび 立体 選択的 な結 合形 成が 可能となってきた。特に、環状 化 合物 の合 成に おい て、 分子 内ラジ カル 環化 反応 による位置および立体選択的な 合 成法 が有 用な 手段 とな って いる。 また 、低 温条 件下による高立体選択的なラジ カ ル反 応が 開発 され 分子 間結 合生成 反応 にも 利用 されているが、この手法はキラ ル 炭 素 を 有 す る 有 機 化 合 物 の 不 斉 合 成 法 と し て 重 要 に な っ て い る 。   本論 文は 、窒 素ラ ジカ ルの 分子内 環化 反応 を用 いる含窒素複素環化合物の立体 選 択的 な合 成、 なら びに 分子 間ラジ カル 付加 ート ラッピング反応を用いる薬理活 性 物質MamxMetallopr(ぬinaseInhibitorの合成に関する成果をまとめたものであ る 。本 論文 は6章 から 構成 され てい るが 、著 者が 見出 した 新規結 果、 開発 した 新 規手法ならびに評価できる成果などについて以下に述べる。

  1)著 者の 研究 室で 見出 され たア ミニ ルラ ジカ ルの 分子 内環化 反応 につ いて 詳 細 に検 討し 、よ り高 収率 で進 行する 改良 法を 開発 した。さらに、この方法を利用 して、天然アルカロイドであるヶ.ロ恥−2,ふジアルキルピロリジンの立体選択的な合 成法を開発した。

  2)ア ミニ ルラ ジカ ルの分子内環化反応の応用に関する研究を行っている際に、

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アルー ル基が高 効率かつ高 立体選択 的に1,牛 転位する新規反応を見出した。すな わち、N‑ベンジル‑4‑アルケニル アミンの ラジカル 反応を行ったところ、相当する N‑ベンジ ルピ口リ ジンは全く 得られず に、フウ ニル基が1,牛転位した生成物であ るN‑メチ ルピロリ ジンのみが 単一のジ アステレ オマーと して高立 体選択的 に得ら れるこ とを見出 した。また 、この転 位反応が 広い適用 範囲をも つ反応で あること を明ら かにした 。これらの 成果は、 著者の注 意深い研 究と卓越 した実験 技術によ って生み出されたものであり、高く評価している。

  3)N‑アリ ルおよびN‑プ口パルギ ル4,アル ケニルア ミンの5‑exo,5‑exo夕ンデ ム環化反応によって、1,2,5一三置換ピ口リジジンが立体選択的に得られることを見 出した 。また、 このタンデ ム環化反 応が非常 に速い速 度および 高い立体 選択性で 進行す ることを 明らかにし た。これ らの環化 反応を用 いること によって 通常では 合成困 難なアル カロイドを 一段階で 合成する ことに成 功し、本 成果も高 く評価で きるところである。

  4)通 常 のラ ジ カ ル反 応 では比 較的困難 とされて いる5‑exo,6exo夕 ンデム環 化反応 を新たに 開発した。すなわち、6‑exo環化反応は一般に1,ふ水素シフトと競 争する が、アル ケン部位を スチレン 型にした 基質を用 いること によって 高効率で 5‑exo,6‑exo夕ン デム環化反応を進行させることに成功し、インドリジジンの高立 体選択的合成に応用した。

  5)分 子 間ラ ジ カ ル付 加 ―トラ ッピング 反応によ るMatrix Metalloprotelnase (MMP) Inhibitor中間体 の合成な らびにMMP Inhibitorへの 誘導反応 に成功し た。

まず、 オキサゾ リジノンフ マル酸エ ステルに 対するラ ジカル付 加―トラ ッピング 反応に より、目 的とするア ンチ付加 体を高立 体選択的 に得た。 また、今 回新たに 開発し たアシル オキサゾリ ジノンか らヒド口 キサム酸 への転換 反応によ って効率 よ くMMP Inhibitorを 得 る ことに 成功した。 なお、こ の研究は 、著者が アメリカ の ノー ス ダコ 夕 大 学に 留 学しSibi教授の下 で1年間特 別研究学 生として 指導を受 け て行 っ たも の で あり 、 これ らの成果 は国際的 な学術誌 に2編の論 文として すで に発表されている。

  これを 要するに 、著者はア ミこルラ ジカルの 分子内環 化反応を 巧みに利 用して 各種の ピロリジ ン、ピロリ ジジンお よびイン ドリジジ ンなどを 高立体選 択的に合 成する 手法を開 発し、さら に分子間 ラジカル 付加一ト ラッピン グ反応を 利用して 薬理活性物質であるMatrix Metalloproteinase (MMP) Inhibitorの合成に成功したも のであ り、有機 工業化学な らびに有 機合成化 学の発展 に寄与す るところ 大なるも のがある。

  よって 、著者は 、北海道大 学博士( 工学)の 学位を授 与される 資格ある ものと 認める。

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