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博士(理学)浅利 徹 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(理学)浅利   徹 学位論文題名

共生渦鞭毛藻 Syrn ろ iodin ぬ rn sp. が生産する血管収縮物質 Zooxanthellatoxin ‑ A  o) 構造

学 位 論 文 内 容 の要 旨

  近年、海洋生物から多くの新規な構造、特異な生理活性をもつ化合物群が単藤されて いる。しかし、これら海洋由来の生理活性天然物の生物起源や生合成経路の解明は、海 中の生物系の食物違銭・共生が複雑に入り組んでいるため、かなり困難である.しかし、

将来的に、培養、遺伝子工学による医薬・農薬の大量供給のためには必須である。我々 は、 こ れら の 解明 を 目指 し て、 へん形動物 うず虫頬に 農するヒラ 虫の一種イJphls‑

colops sp.の体内に共生する渦一毛蕊SyJみiロd′ロ′ロJ|sp.の培養を行い、その結果、こ の藻体が新 規血管収縮 物質を生産 しているこ とを見いだし、Zooxanthellatoxln‑A.B

(以下ZT‐A,Bと 略記する)と命名した。ZT‑Aは、Ca2゛イオンの存在下で7x l0‑7Mの 濃度 で ウサ ギ 大動 脈 摘出 様 本を 収縮させる 。分子式C| 。H zs205↑NSNa(分子 量 2898)をもち、一・アミノ醸などの既知のユニットを舎まない、大量環マクロライド構 造を有する全く新規な直鐘状ポリオール化合物であると推定された。我々は、ZT‐Aの特 異な生理活性と構造に興味を持ち、ZT‑A関連の研究の第一歩として最も基礎になる構造 解 析 を 行 っ た 。 以 下 に ZT− Aの 単I・ 構 造 決 定 の 詳 細 に つ い て 記 餓 す る 。   沖縄県サタンピーチで採取したヒラ虫イ.phiscロlops sp.から渦鞭毛藻Syibiodiロ´ u.

sp.を 分Iし 、1%ES培 地 含 有 の 天 然 海 水 で 明12時 間 、 暗12時 間 の サ イ ク ル で 、 20−25℃の条件下 、30ー40日間静I培養し た。吸引渡 過で藻体を 収集し、海 水1L当た り0. 7‑0.9g(湿量量)の蕋体を得た。ZT−Aの単Ilは以下のように行った。なお、各段 階で のZT‑Aの 追 跡 は、 血 管収 縮活性 を指標とし て行った。 収集した蟇 体476.6Eを、

70%エタノールで抽出し、濃縮後、酢酸エチル、プタノールで願に分配した。プタノー ル画分の残査を逆相系ポリスチレンカラム(CHP‐20P)で分離し、次いで、イオン交換カ ラム(DEAE SephadexA‐25)を用いて精製した。脱塩精製後、高速液体クロマ卜グラフ

6 ‑

(2)

cuILured zooxanlhella

Symbiodinium sp.  ( 湿靈: 丑476.6g     170%EtOH抽 出

   2) 遠 心 分 離 く 3000 rpm 4 C 1() min) EtOH可 溶部

    1EtOAc分配 ,     2) BuOH分配 BuOH可 溶部

  CHP二20P column(0・80Et0・H 40Et○H溶出 部

    DEAE Sephadex A‑25 (1/30Mphosphate buffer.pH6.9     HPLC (ODS018MNaCI含 有MeOH‑water, 75:25) Zooxanlhellatoxin‑A (ZT‑A) 1244 mg

Zooxanlhellaioxln‑B (ZT‑B)  814mg

図1ZT‑A..Bの単離

イ ー(ODSカ ラ ム 、02ll NaCI含 有lleOH‑'rater 80zo)で 分 取 し 、ZT‑A(1244ig) ZT‑B814g) を 単Iし た 。  ( 図1

  ZT‑Aの構造決定には、主として高分解能核磁気共鳴装I(NHR)を用いたが、232個も     ●

のプロ卜ンが存在するため、そのままではシグナルの童なりが滋しく構造解析は困難で あった。そこで、遇ヨウ索酸ナトリウムによる分解反応を行い小さなフラグメントとし、

各々の構造を決定した後、最後にそれらの結合様式を決定する方法を用いた。分解反応 は、O Nal04(20 eq.),lleOH‐vater(1:1),0℃,10分間@Nal04 (3 eq.),HeOH‑

vater(I:l),O℃,IO分間@Nal04(80 eq.),HeOH‑iater(1:1),0℃,2時間の 3種 の 条 件 で 行 い、Oの 条 件 か ら フ ラ グ メ ン トA‑Gの7個 、 @ か ら フ ラ グ メ ントH、

@から フラグメントSの合tf9個の分解生成物をシルカゲルカラムを用いて積製・単■

した。NMRの瀾定溶媒は童メタノールを使用したが、網塑が不.十分なものやシグナルの 童なり のた めに 構造 解析が 困雛 であ った フラグ メン トB、C、F、Sは 、完全アセチル 化を行い、測定溶媒を1メタノールから童ベンゼンに変えて測定した。IH,|'C‑NHR. DQF‑COSY,TOCSY,HMQC.HlIBC.NOE等の測定方法を駆使して、各フラグメントの構造を 決定し た。 これ らの 構造か ら、ZT‐Aの8削に相 当す る部 分構造 が明 らかとなった。

(図2)この段階で構造が確認できなかった箇所は、C1‑C5,C66,C78.C96‐C106.Cl ‐ C4.位の合l十22個の炭素であった。次に、各フラグメントがどの様に結合しているかを

7  ‑

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ZT‑AのTOCSY.HHQC.HHBCス ペ ク ト ル (CDsOD.CD,OD‐C5D,N 1:1の2租の 測定溶 媒 を検討した)を用いて解析した。その結果、Cl‐C13.C14−C104,C105ーCl ‑C25 の結合 様 式 が 決 定 され た 。ここ で、ZトAの舎 まれて いる140個全 ての 炭素 原子が 帰Iされ た ことが、マススペクトルと|sC‐NlIRの両方によって確昭された。ラクトンの結合位1は、

ZT‑AをlMKOH/lleOHで 姐 理 し た と き に 分 子量 が18増加 し、か っ、 量メ タノ ール中 で み5. 43に巍潤されていたC81位のオキシメチンプロトンが加水分解後にd4.38に高磁 拐シフトしたことから鉦明した。スルホン酸エステルは、ZT―Aの塩酸加水分解混合液を イオ ンク ロマ ト分析 に供 し、 スル ホン酸イオンを1分子検出したことと、C59位のオキ シメチンプロトンが64. 70と他のオキシメチンプロトンより低磁栃に亀潤されたことか ら決定した.C13 ‑ C14.C104‑C105位の結合の証明が最後に残されたが、前項@の分解反 応. での 一童 物とし てCl‑C78から なるフ ラグ メン トJが単 一さ れたことにより、C13‑

C14の結合が示され、ZT‐Aの全体構造が決定された.  (図2)なお、2つのテトラヒド ロフ ラン 琿と スピロ 環上 の1換蓋 の相対配Iについては、プロトン閏の結合定数の位と NOE一定から決定した・

  以 上 の こ とか ら 、ZT‑Aは2本 の 炭 素 鑓 から な る62員 環マク ロラ イド 構造 を有す る 極めて特炙な構造であることが明らかになった。

Fal2 Zooxanthellatoxin‑Aの構造

8 ‑

(4)

学 位 論 文 審 査 の 要旨 主査   教授   村井章夫

副査    教授    高杉光雄(地環研)

副査   助教授   鈴木   稔(地環研)

副査   助教授   中村英士

学 位 論 文 題 名

共生渦鞭毛藻Sy rrt ろlodin 砒rn sp .が生産する血管収縮物質 Zooxanthellatoxln ‑ A の 造

  本 論 文 は 総 ペ ー ジ 数130の 和 文 論 文 で あ り 、 共 生 渦 鞭 毛 蕊 が 生 産 する 血 管 収縮 物 質 と し て 単鷲 さ れた 巨 大 分子Zoxanthellatxin ‑Aの 構造 に ついて諭 述されて おり、別 に 拳 考 諭文3編 が 添え ら れ てい る 。

  近 年 、 海 洋 生 物 か ら 。 多 く の 新 規 な 構造 、 特異 な 生 理活 性 を もつ 化 合物 群 が 単鷲 さ れ て い る 。 申 請 者 は 、 海 洋 由 来 の 生 理 活 性 天 然 物 の 生 物 起 源 の 解 明 を 目 指 し て 、 へ ん 形 動 物 渦 虫 額 に 麗 す る ヒ ラ 虫 の 一 種Amphiscoloヒ 量sp. の 体内 に 共生 す る 渦鞭 毛 藻 墨 ヱmbiodinium sp.の培養 を行った 。すなわち ヒラ虫Amhiscoloヒ量sp.か ら渦鞭毛 蕊 Sybiodinigsp.を 分 離 し、1ES培 地 含 有の 天 然海 水 で 静置 培 養 した 。 その 結 果 、 海 水1L当 た り07‑09g( 湿 重 量 ) の 蕊 体を 得 た。 そ し てこ の 藻 体が 新 規血 瞥 収 鑛物 質 を 生 産 し て い る こ と を 見 い 出 し 、  その 本 体物 質 を 単IしてZooxanthellatoxin‑A B( 以 下ZT ‑ABと 略 記 す る ) と 命 名 し た 。 す な わ ち 収 集 し た 藻 体476.6gか らZT‑A

1244 mg) お よ ぴZT‑B814m名 )を 単 鷲 した 。ZT‑Aは、Ca2゛ イオ ン の存 在 下7x 10‑ 7Mの 濃 度 で ウ サ ギ 大 動 脈 摘 出 標 本 を 収 縮 さ せ る 。ZT ‑Aの 分 子 式 をC14aH 232‑

s7NSNa( 分 子 量2396) を も っ も の と 決 定 し た 。 構 造 決 定 に は 、 主 と し て 高 分 解 能 核 磁 気 共 鴫 装 置 (NHR) を 用 い た が 、232個も の プロ ト ン が存 在 する た め 、. そ の ま ま で は シ グ ナ ル の 童 な り が 激 し く 構 造 解 析 は 困 難 で あ っ た 。 そ こ で 過 ヨ ウ 素 酸 ナ ト リ ウ ム に よ る 分 解 反 応 を 行 っ て 小 さ な フ ラグ メ ント と し 、各 々 の構 造 を 決定 し た 後、

最 後 に そ れ ら の 結 合 様 式 を 決 定 す る 方 法 を 用 い た : す な わ ち3種 の 異 な る 条 件 下 で

‑ 9 ‑

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の過ヨウ 素亀ナトリ ウムによる 亀化反応に よって合計9儡の分 解生成物を 糟孤・単1 した。種々 の謝定溶媒 を多用し、tHーNMR,13C̲NMR,DQF‑COSY,TOCSY,HHQC,HHBC およびNOE等の測定方 法を廳使し て、各分解 生成物の構造を決定した。これらの構造 から、ZT‑Aの8翻に相当 する部分構 造を明らか にした。次に、各フラグメントがどの 様に結合しているかをZT‑A自身のNMRスペクトルを用いて解析し、各フ・ラグメントの 培合様式 を決定した 。またスル ホン亀エス テルの存在 をイオンク ロマト分析 および NHRによって決定し、  さらにラクトンの結合位置を種々の反応によって証明した。  こ のようにし てZT‑Aが2本 の炭素顛か らなる62量蕨 マクロライドを有する極めて特異な 構造であることを明らかにした。

  この研究 経過およぴ 結果強現段 階で考えら れる世界で 最も水準の 高いものと 、趣 めて膏い 評価を得て いる。審壷 量一同は本 論文の提出 者浅和  徹が 博士(理学 )の 学位を受けるのに十分な★格があるものと認定した。

    HO ZT‑Aの 構造

‑ 10―

参照

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