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博士(工学)浅倉邦彦 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)浅倉邦彦 学位論文題名

変調超格子のミニバンド構造に関する研究 学位論文内容の要旨

  近年、超 格子によって構成される電子波エネルギーフイルタを、量子カスケードレーザ や共鳴トン ネルデパイスの高性能化のために利用することが検討されている。特に従来の 周期的な超 格子のポテンシャル包絡をガウス関数に従って変一した超格子(ガウス型変覇 超格子)は 、非常に優れたエネルギー選択性を持っため、電子波エネルギーフイルタを実 現するため のポテンシャル構造として有望視されている。

  ガウス型 変一超格子は従来の周期的な超格子と比較して、エネルギー通過城における透 過確率が大 幅に向上するが、構造パラメータの段定によっては、透遇確率が極靖に減少す るエネルギー領域が現れる場合があり、周期的超格子に比較し特性が劣化することもある。

ガウス璽変 翻超格子の効率的な設計法の確立のためには、上述の問題を含め、構造パラメ ータと実現される特性の関係を体系的に把握しておく必要がある,が、現状では十分な研究 はなされて いない。

  本論 文で は、 有効 質 量近 似一 次元 シュ レデ イン ガー 方程 式に よっ てモデ ル化される AlIGal.IAs系化合物半導体によるガウス型変蠹超格子について、変一方法とエネルギーフ イルタ特性 について詳細に麗査し、基本特性を明らかにしている。特にガウス型変調超格 子と従来の 周期的超格子のミニバンド構造には、単純かつ規貝U的な関係が存在することを 明らかにし ており、股計のために有効な指針となりうることを示している。また、微細半 導体作製に 伴って生じる材料組成の乱れを考慮したモデ少による特性計算を行い、材料組 成にある程 度の乱れを伴う場合においても、周期的超格子に比較して優れた特性が維持さ れることを 明らかにしている。

  以下に本 驗文の構成を示す。

  第1章 で は 、 本 研 究 の 背 景 と 目 的 を 述 ぺ 、 本 鎗 文 の 構 成 を 示 し て い る 。   第2章では、有効質量近似ー次元シュ レデインガー方程式の等価回路表現に基づぃた、

有限長超格 子およぴ無限周期超格子の解析手法について述ぺる。そして、有限周期超格子 のエネルギ ー通過域におけるりップル特性は、単一バリア及ぴ二童バリア構造から概ね見 積もること ができること、有限周期超格子のミニバンド構造は、無限周期のものからほぼ 正確に見積 もることができることを述ぺている。またこれらをiほ合し、有限周期超格子の エネルギー 透通特性は、その1周期分の 特性から概ね見積もることができることを明らか にしている 。

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  第3章では、優れたエネルギーフイルタ特性を示すガウス型ポテンシヤル包絡をもつ変 調超格子、およぴ各種変調超格子のパラメータと特性の関係を詳細に翻査し、ポテンシャ ル包絡が緩やかに変化し、かつ外部ポテンシャルと滑らかに接続されるように変齏操作を 施 す こ と に よ り 平 坦 な エ ネ ルギ ー 通 過域 が 形 成さ れ る こと を 明 ら かに し て いる 。   第4章では、多数のシミュレーションに基づき、ガウス型変一超格子のミニバンド構造 は、 透過確 率がほぼ1とな るエネルギー通過域、ほぼ0となるエネルギー阻止域の他に、

多数の鋭い共鳴準位で構成される準通過域の3帯域に分類されることを示している。また、

準通過域の形成はある単純な規員u性に従っていることを明らかにし、影像パラメータの利 用により、ガウス型変翻超格子のミニパンド構造が容易に見積もられることを明らかにし ている。準通過城の形成は電子波エネルギーフイルタにとってあまり好ましくないため、

ここで示すミニバンド構造の推定法は、優れた電子波エネルギーフイルタを設計する上で 有効な指標となりうることを示している。

  第5章では、結晶成長過程における材料組成の乱れを加味したモデルにより、ガウス璽 変調超格子のエネルギーフイルタ特性への影Iを検討し、材料組成に若干の乱れを伴う場 合においても周期的超格子と比較して、優れた特性が維持されることを明らかにしている。

  第6章 で は、 本 論 文 の結 諭 を 述べ る と とも に 、 今後 の 翻 ほに つ い て述 ぺ て いる。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

変調超格子のミニバンド構造に関する研究

  近年、 超格子 によって 構成さ れる電子 波エネ ルギーフイルタを、量子カスケードレー ザや共 鳴トン ネルデバ イスの 高性能化 のために 利用す ることが検討されている。特に従 来の周 期的な 超格子の ポテン シャル包 絡をガウ ス関数 に従って変調した超格子(ガウス 型変調 超格子 )は、非 常に優 れたエネ ルギー選 択性を 持っため、電子波エネルギーフィ ル タ を 実 現 す る た め の ポ テ ン シ ャ ル 構 造 と し て 有 望 視 さ れ て い る 。   ガウス 型変調 超格子は 従来の 周期的な 超格子 と比較して、エネルギー通過域における 透過確 率が大 幅に向上 するが 、構造パ ラメータ の設定 によっては、透過確率が極端に減 少する エネル ギー領域 が現れ る場合が あり、周 期的超 格子に比較し特性が劣化すること もある 。ガウ ス型変調 超格子 の効率的 な設計法 の確立 のためには、上述の問題を含め、

構造パ ラメー タと実現 される 特性の関 係を体系 的に把 握しておく必要があるが、現状で は十分 な研究 はなされ ていな い。

  本 論 文 では 、 有 効質 量近似 一次元シ ュレデ ィンガー 方程式 によって モデル化 される AlエGalIxAs系化合 物半導 体によるガウス型変調超格子について、変調方法とエネルギー フイル タ特性 にっいて 詳細に 調査し、 基本特性 を明ら かにしている。特にガウス型変調 超格子 と従来 の周期的 超格子 のミニバ ンド構造 には、 単純かつ規則的な関係が存在する ことを明らかにしており、設計のために有効な指針となりうることを示している。また、

微 細半 導 体 作製 に 伴 って生 じる材料 組成の 乱れを考 慮したモ デルに よる特性 計算を 行 い、材 料組成 にある程 度の乱 れを伴う 場合にお いても 、周期的超格子に比較して優れた 特性が 維持さ れること を明ら かにして いる。

  以下に 本論文 の構成を 示す。

  第 1章 で は 、 本 研 究 の 背 景 と 目 的 を 述 べ 、 本 論 文 の 構 成 を 示 し て い る 。   第2章では 、有効質 量近似 一次元シュレディンガー方程式の等価回路表現に基づぃた、

有限長 超格子 および無 限周期 超格子の 解析手法 につい て述べる。そして、有限周期超格 子のエ ネルギ ー通過域 におけ るりップ ル特性は 、単一 バリア及び二重バリア構造から概 ね見積 もるこ とができ ること 、有限周 期超格子 のミニ バンド構造は、無限周期のものか

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らほぼ正確に見積もることができることを述べている。またこれらを総合し、有限周期 超格子のエネルギー透過特性は、その1周期分の特性から概ね見積もることができるこ とを明らかにしている。

  第3章では、優れたエネルギーフイルタ特性を示すガウス型ポテンシャル包絡をもつ 変調超格子、および各種変調超格子のパラメータと特性の関係を詳細に調査し、ポテン シャル包絡が緩やかに変化し、かつ外部ポテンシャルと滑らかに接続されるように変調 操作を施すことにより平坦なエネルギー通過域が形成されることを明らかにしている。

  第4章では、多数のシミュレーションに基づき、ガウス型変調超格子のミニバンド構 造は、透過確率がほぼ1となるエネルギー通過域、ほぼ0となるエネルギー阻止域の他 に、多数の鋭い共鳴準位で構成される準通過域の3帯域に分類されることを示している。

また、準通過域の形成はある単純な規則性に従っていることを明らかにし、影像パラメ ータの利用により、ガウス型変調超格子のミニバンド構造が容易に見積もられることを 明らかにしている。準通過域の形成は電子波エネルギーフィルタにとってあまり好まし くないため、ここで示すミニバンド構造の推定法は、優れた電子波エネルギーフイルタ を設計する上で有効な指標となりうることを示している。

  第5章では、結晶成長過程における材料組成の乱れを加味したモデルにより、ガウス 型変調超格子のエネルギーフイルタ特性への影響を検討し、材料組成に若干の乱れを伴 う場合においても周期的超格子と比較して、優れた特性が維持されることを明らかにし ている。

  第6章では、本論文の結論を述べるとともに、今後の課題にっいて述べている。

  これを要するに、著者は、変調超格子に関する多くの重要な性質を明らかにし、電子 波エネルギーフイルタヘの応用に関する有益な新知見を得たものであり、光量子エレク トロニクスの分野に貢献するところ大なるものがある。

  よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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