• 検索結果がありません。

博 士 ( 工 学 ) 寺 尾 貴 道

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 工 学 ) 寺 尾 貴 道"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 工 学 ) 寺 尾 貴 道

学 位 論 文 題 名

希 釈 ハ イ ゼ ン ベ ル グ 反 強 磁性 体 の 動 的性 質 学 位 論文 内 容 の 要旨

  磁 性体 の研 究は 、古 くか ら物 性物 理学 分野の中心課題のーっであると共に磁気メモりや 磁気 ディ スク 等の 応用 分野 にみ られ るよ うに工学的にも極めて重要なものである。磁性体 中の 磁性 原子 を非 磁性 原子 で希 釈し た物 質である希釈磁性体の物理的性質は、パーコレ―

ショ ン、 相転 移、 ラン ダム 磁場 効果 など 、様々な観点から興味の対象となっている。特に 希釈磁性体は、理想的ナょパーコレーション構造をもっ系として注目されている。すなわち、

磁性 原子 の濃 度が パー コレ ーシ ョン 臨界 濃度よりも高ければ、交換相互作用によって結合 した スピ ンの 無限 大ク ラス ター が存 在す る。特に磁性原子の濃度が臨界濃度に十分近けれ ば、 パー コレ ーシ ョン の相 関長 は十 分長 くなり、その範囲内でスピンのネットワークはフ ラクタル(自己相似)になっていると見なせる。

  希 釈ハ イゼ ンベ ルグ 反強 磁性 体の 動的 性質にっいて、自己相似性が系の動的性質にどの よう な影 響を 及ば すの であ ろう かと いう 観点からの研究はほとんどなされていなかった。

ハイ ゼン ベル グ磁 性体 には 、イ ジン グ磁 性体には存在しないスピン波励起という励起状態 が存 在す る。 また 現実 の希 釈磁 性体 はそ のほとんどが希釈反強磁性体である。本論文はス ピン 波励 起が 希釈 、フ ラク タル とい う効 果によって、どのような動的性質を示すのかとい う問 題に っい て研 究し たも ので ある 。特 に等方的な希釈ハイゼンベルグ反強磁性体におけ るエ ネル ギ一 状態 密度 およ び分 散関 係に っいて、大規模数値計算とスケーリング理論の立 場か ら調 べた 。希 釈反 強磁 性体 の動 的性 質に関しては、中性子非弾性散乱実験によって、

その 散乱 強度 すな わち 動的 構造 因子 を通 して詳しく調べる事が出来る。本論文では、動的 構造 因子 に関 する 新し い数 値計 算法 の開 発を行い、それを適用することによって様々な濃 度領 域に おけ る希 釈ハ イゼ ンベ ルグ 反強 磁性体の動的構造因子の詳細な振る舞いを明らか にし た。 この 計算 結果 をも とに して 、最 近得られた中性子散乱実験の結果に新しい理論的 解釈を与えた。

  本論文の構成は以下のようになっている。

  第 1章 で は 、 こ れ ま で の 研 究 の 背 景 と 本 論 文 の 目 的 が 述 べ ら れ て い る 。     −774−

(2)

  第2章で 、希 釈反 強磁 性体の 構造 を記 述す るバ ーコ レー ショ ン・ ネッ トワ ークの基本的 性 質、 およ び自 己相 似性 を動 的性 質に 顕著 に反 映した物理現象である異常拡散およびフラ ク トン 励起 にっ いて 述べ られ てい る。 また 、希 釈反強磁性体の基本的性質にっいても述べ る。

  第3章で は、 本論 文の主題のーっである反強磁性フラクトンの動的性質にっいて述べる。

ス ケー リン グ理 論お よび 大規 模計 算機 シミ ュレ ーションの結果から、反強磁性フラクトン の フラ クト ン次 元の 値が 求め られ てい る。 この 結果から従来調べられてきた格子振動フラ ク ト ン 等 と は 異 な る ユ ニ バ ー サ リ テ ィ − ・ ク ラ ス に 属 する 事 が 明 ら か に さ れ て いる 。   第4章で は、 希釈 ハイ ゼンベ ルグ 反強 磁性 体の 動的 構造 因子 に関 する 数値 計算結果につ い て述 べる 。ま ず臨 界濃 度の 系に おい て、 反強 磁性フラクトンが唯一っの特徴的長さで記 述できるという単一長さスケーリング(single−length−scaling)仮説を満たす事を明らかに す る。 また 動的 構造 因子 の漸 近的 なエ ネル ギー と波数依存性を明らかにした。また、臨界 濃 度よ りも 高い 濃度 を持 つ系 にお ける 動的 構造 因子にっいても調べた。その結果従来の予 想と異なルマグノンーフラクトン・クロスオーバーにおいて動的構造因子のエネルギ一依存 性 には2重 ピー クが 存在 しない 事が 明ら かに なっ た。 また 実験 的に 観測 され ている動的構 造因子の2重ピークに関する物理的起源にっいても議論する。

  第5章で は、 大規 模行 列の固 有値 解析 の数 値計 算ア ルゴ リズ ムで ある 強制 振動子法の、

非 対称 行列 の場 合へ の拡 張に っい て述 べる 。ま た、動的構造因子のェネルギ−・波数依存 性に関する数値計算のアルゴリズム開発にっいて述べる。これらのアルゴリズムを用いて、

第3章 、 第4章 に 述 べ た希 釈ハ イゼ ンベ ルグ 反強 磁性 体に 関す る大規 模計 算が 初め て可 能 となった。

  第6章 で は 、 本 論 文 で 得 ら れた 結 果 を 総 括 し 、 今 後 の 課 題 に っ い て 言 及 し て い る 。

ー‑ 775

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

希釈ハイゼンベルグ反強磁性体の動的性質

  磁 性体の研 究は、古 くから物 性物理学 分野の中 心課題のー つである と共に磁 気メモり や 磁 気ディス ク等の応 用分野に みられる ように工 学的にも極 めて重要 なもので ある。磁 性体 中 の磁性原 子を非磁 性原子で 希釈した 物質であ る希釈磁性 体は、理 想的なパ ーコレー ショ ン構造 をもつ系 として注 目されて おり、様々な観点から興味の対象とナょっている。この系 に おいて、 磁性原子 の濃度が 臨界濃度 に十分近 ければ、パ ーコレー ションの 相関長は 十分 長くナ ょり、そ の範囲内 でスピン のネットワークはフラクタル(自己相似)構造をとる。本 論 文は、希 釈ハイゼ ンベルグ 反強磁性 体の動的 性質にっい て、主に 自己相似 性が系の 動的 性 質にどの ような影 響を及ば すかとい う観点か らの研究成 果をまと めたもの であり、 その 主要な成果は次のように要約される。

@ 希釈 ハ イ ゼン ベ ルグ 反 強 磁性 体 に おい て 、系 の 自 己相 似 性を反 映した励 起状態で ある 反 強磁性フ ラクトン のスペク トル次元 の値を大 規模計算機 シミュレ ーション によって 明ら か にした。 その結果 、反強磁 性フラク トンは従 来調べられ てきた格 子振動フ ラクトン など と は 異 な る ユ ニ パ ー サ リ テ ィ − ・ ク ラ ス に 属 す る 事 を 明 ら か に し た 。

@ 臨界 濃 度 の希 釈 ハイ ゼ ン ベル グ 反 強磁 性 体に お い て、 中 性子非 弾性散乱 実験の散 乱強 度 に対応す る物理量 である動 的構造因 子を数値 的に調べた 結果、反 強磁性フ ラクトン は唯 一っの特徴的長さで記述できるという単一長さスケーリング(single―length−scaling)仮説 を 満たす事 を明らか にした。 また、臨 界濃度よ りも高い濃 度を有す る系に関 して調べ た結 果、従 来の予想 と反しマ グノン― フラクト ン・クロ スオーパー において動的構造因子には2 重 ピークが 存在しな い事を明 らかにし た。また 実験的に観 測されて いる動的 構造因子 に関 し 、 そ の エ ネ ル ギ ー ス ペ ク ト ル の 物 理 的 起 源 に っ い て 明 ら か に し た 。

◎ 大規 模 行 列の 固 有値 解 析 の数 値 計 算ア ル ゴリ ズ ム であ る 強制振 動子法に 対して、 非対 称 行列の場 合への拡 張を行っ た。また 、動的構 造因子に関 する数値 計算アル ゴリズム を強 制 振動子法 の立場か ら新たに 開発した 。これら を用いる事 によって 上記@と ◎の新知 見を 得 る事が可 能になっ た。これ らの新し いアルゴ リズムは今 後工学の 様々な分 野に応用 され るであろう。

  こ れを要す るに、著 者は、希 釈ハイゼ ンベルグ 反強磁性体 にっいて そのスピ ン波励起 の 動 的性質の 新知見を 得たもの であり、 応用物理 学に対して 貢献する ところ大 なるもの があ る。

  よ っ て 著者 は 、 北海 道 大学 博 士 (工 学 )の 学 位 を授 与 され る資格 あるもの と認める 。

− .776

彦 朗

   

   

和 信

谷 村

山 田

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

参照

関連したドキュメント

[r]

   本 研究 は明治 初期の 建築関 連史 料のう ち,建 築設計 図書の 一部 である 建築仕 様書(以下,仕様 書 )に注 目し たもの である 。仕様 書は従 来, 個々の

PGD2 や PGE2 の投 与によりNA 代 謝回転の亢 進が再現さ れた。従って IL‑1 による交感神経 系の 活性化には 脳内 PGE2 が、脳 内NA 作働性神 経系の活性

  2 . 気 液 界面 の 速 度分 布関数 が局所平 衡分布 とほば等 しくを るほど弱 い凝縮過 程に おい ては, 気液界面 における 衝突流束 Jcoll と飽和状態での流束Jeq

   第2 章 では 、鉄 鋼材 料の エ口 ージョン摩耗の基本的な実験手法及び摩耗量 の評価法を 提 案している。汎用 性の高い試験法を用い、軟鋼材を対象として、単位粒子

[r]

[r]

   第七章では、実際にトンネル過程における動的挙動の効果を検証し得る実験系として、磁性体 /p 型GaAs 偏光 エレ クト ロル ミネ ッセ ンス 測定 につ いて 初期 実験の 結果 と併 せて