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博 士 ( 工 学 ) 相 沢 貴 子

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 相 沢 貴 子

学 位 論 文 題 名

消 毒 副 生 成 物 か ら み た 塩 素 処 理 の 評 価 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  水道における塩素処理は、病原性微生物を消毒する等、水道水の安全を確保するために 行われてきた。しかし、都市への人口集中や工業化が原因でもたらされた水道原水の水質 悪化は塩素注入率の増加を招き、その結果、塩素と有機物とが反応して生成するトリハロ メタン等塩素処理副生成物が水道水に存在することが明らかになった。また、環境汚染に 起因する化学物質も水道原水中に流入すると塩素処理の影響を受けて、水道水中では原体 とは異なる副生成物に変化することも顕在化してきた。このように水源汚染がもたらす化 学物質のみならず様々な塩素処理副生成物が水道水中から検出されるようになるとともに、

これらの毒性影響も明らかになり、水道水を飲料することによる健康影響リスクの制御と 管理が求められるようになってきた。このような水道水を飲料することによる健康影響リ スクの低滅には、水源環境の整備と原水水質を考慮した浄水システムの見直しという工学 的な対策が図られるべきであると考える。

  本研究の目的は、水道は飲料水の安全性を確保するものであり、そのためには消毒は必 須であるという立場から、塩素処理で生成する副生成物の特性と毒性影響、ならびに浄水 処理における制御性を明らかにしたうえで、塩素処理副生成物からみた浄水プロセスの水 質 管 理 の あ り 方 、 な ら び に 水 源 管 理 の あ り 方 を 提 示 す る こ と に あ る 。   水道の塩素処理副生成物の評価にあたっては、副生成物の種類が多く、それらの生成原 因も複数の要因が関与するので、個々の物質に対して管理目標を設定するのが難しく、そ のため水道での管理指標を設定する必要があった。水道水の実態調査結果から、検出され た主要な塩素処理副生成物は、疎水性物質がトリハロメタン、親水性物質がハロ酢酸であ り 、 こ れ ら は 全 有 機 ハロ ゲ ン 化合 物 (TOX) の構 成 比 の20〜30% と 最 も高 い こ と、

両者は発ガン性等の毒性影響がほぼ同等であること、さらに高度浄水プロセスでの処理性 に差異が 認めら れること 等から 双方を塩 素処理 副生成物の水質管理指標物質に定めた。

  塩素処 理副生成 物の生成 反応に は、塩素 注入率 、反応時間、pH、水温、有機物の質と 濃度等が関与する。水道原水と浄水プ口セスでは、これらの要因は刻々と変化するので水 道水中のT H¥I等 の濃度を 測定しても得られる情報としての価値は低い。そこで、副生成 物生成反応の各要因と要因間との関係と浄水プロセスでのこれらの変動範囲を明らかにし た上で、一定条件で原水を塩素処理し、生成した水質管理指標物質濃度を有機ハ口ゲン化 合 物 生 成 能 と し て 定 義 し 、 生 成 原 因 前 駆 物 質 の 質 と 量 の 評 価 指 標 と し た 。   水道水源や浄水プロセスで生成原因物質を効率良く制御するには、生成原因物質の物理 化学的性状から除去対象をどこに設定するか定めなけれぱならない。フミン質を構成する 化合物のTHM生 成能等の 測定結 果では、 水溶性 の芳香族 化合物が 水中の 主要な塩 素処理

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副生成物原因物質であり、除去対象であることを明らかにした。

  塩素処理副生成物を低滅する抜本的な対策は、公共用水域への各種排水の原因物質負荷 量の削減にある。水道水源での塩素処理副生成物原因の発生メカニズムとその挙動を水源 の種類毎に検討した。相模川水系をモデル河川として原因物質発生量の流出・流達解析を 行った結果、相模川本川では自然由来の生成原因物質負荷畳は全体の12.9%であり、残り が人為由来で、その内訳の主要な発生源は生活系が28.8%と最も多く、流域の生活排水処 理対策を実行することが水道の塩素処理副生成物原因物質の負荷削減策であることを明ら かにした。また、相模川上流の相模湖では、富栄養化で発生したラン藻類のllicrocystis sppの増殖が生成原因物質の増加に寄与していた。Kicrocystis aerugiosaの純粋培養実験 では、増殖初期は藻体が、滅衰期には細胞外代謝物と細胞分解物が生成原因物質になって いた。したがって、富栄養化が進んだ湖沼やダムが水源の場合は、藻類発生の監視と藻類 な らび に 細 胞内 から 排出する 有機物 の処理が 重要な対 策とな ることを 明らか にした。

  活性汚泥法は下水の主要な処理方法である。活性汚泥法では懸濁成分に起因する塩素処 理副生成物原因物質はほぼ除去できるが、溶解成分に起因する部分はほとんど除去できず、

生物処理の処理限界は約50%であった。したがって、下水の未普及地域が下水道の処理区 域になると、公共用水域に排出される塩素処理副生成物原因物質は約半分に低減されるが、

溶解性有機物に由来するものは依然除去されないまま公共用水域に残留するため、水道の 浄 水 プ ロ セ ス で 塩 素 処 理 副 生 成 物 対 策 を せ ざ る 得 な い こ と も 明 ら か に し た 。   一方、我国の水道水中には臭素を含んだ塩素処理副生成物がしぱしぱ検出される。有機 臭素化合物は、原水中の臭素イオンが塩素処理で酸化されて次亜臭素酸に変化し、次亜塩 素酸と競合反応して水中の有機物と反応して生成する。また、実際の水道原水の塩素イオ ン濃度を基に臭素イオン濃度を求めると、その上限値であるImg/l以下の条件下における塩 素注入 量と臭 素イオン 濃度の実測値から常温(20℃)時と最大時の塩素処理副生成物量を 塩素注入率の関数として予測する実験式を確立した。

  化学物質は製品化の事前審査で、環境中での易分解性が考慮されて使用が許可されるが、

浄水プロセスでの変化や制御性は考慮されていないのが現状である。開放系環境で使用さ れる化学製品のうち農薬とアクリルアミド系高分子凝集剤を環境汚染物質の対象として水 道 プ 口 セ ス で 塩 素 処 理 を 受 け た 場 合 の 聶 9生 成 物 の 評 価 を 行 っ た 。   農業地域を集水域とする原水と水道水からは多種類の農薬が検出された。水中の残留農 薬は通常の浄水処理では除去されず浄水に移行するものと、塩素処理で分解し、分解物が 浄水に移行するものに分類できた。とくに、有機リン系農薬は塩素で容易に分解され、原 体よりも毒性が高いオキソン体に変化し、残留塩素共存下での安定性も高いことを明らか にした。

  アクリルアミド系高分子凝集荊は各種の水処理に多用されている。高分子凝集荊を用い た凝集処理では、不純物のアクリルアミドモノマ―は凝集作用に関与せず、そのまま処理 水中に残留する。これらは水道水源のように微生物量の少ない環境下では分解が遅く、残 留し易いため、工場排水等が流入する水道原水では、諸外国の飲料水基準のアクリルアミ ドモノマー濃度0. 25ロg/lを上回ることがあった。水中の未凝集のアクリルアミド系高分子 凝集剤やモノマーは、塩素処理により分解され、主な副生成物として動物実験で毒性が確 認された2,3ージク口ロプロピオン酸等を生成した。また、水道原水中からは環境汚染に由 来するアルデヒドが検出されるが、塩素処理過程を経るとさらに酸化副生成物としてアル デヒド生成量が増加するので、これらの環境化学物質に対する監視体制の強化を指摘した。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

消 毒副生 成物から みた塩素処理の評価に関する研究

  本 論 文 は 、 飲 用 水 の 疫 学 的 安 全 性 を 確 保 す る た め に 最 も 重 要 な プ ロ セ ス で あ る 塩 素 処 理 の 際 、 水 中 の フ ミ ン 質 等 と の 反 応 に よ っ て 生 ず る 塩 素 化 有 機 化 合 物 等 の 反 応 副 生 成 物 の 種 類 、 特 性 と そ の 毒 性 、 な ら び に そ の 生 成 を 制 御 す る た め の 水 源 管 理 と 水 処 理 の 方 策 に つ い て 述べ た も ので あ る 。

  ま ず 、 浄 水 過 程 に お け る 塩 素 処 理 で 生 成 す る ト リ ハ 口 メ タ ン 類 や ク 口 口 酢 酸 な ど の さ ま ざ ま な 疎 水 性 ・ 親 水 性 の 有 機 塩 素 化 合 物 や ア ル デ ヒ ド 類 な ど の 酸 化 物 の 種 類 や 存 在 状 態 を 明 ら か に し 、 そ れ ら の 前 駆 物 質 と し て の フ ミ ン 質 や そ の 他 の さ ま ざ ま な 有 機 物 が 塩 素 処 理 に よ っ て 副 生 成 物 と し て の 塩 素 化 有 機 化 合 物 等 を 生 成 す る 過 程 を 明 ら か に し 、 そ の 生 成 能 を 評価 し た 。

  そ の 結 果 、 疎 水 性 有 機 ハ ロ ゲ ン 化 合 物 で あ る ト リ ハ ロ メ タ ン(THH)と 親 水 性 有 機 ハ ロ ゲ ン 化 合 物 で あ る 抱 水 ク ロ ラ ー ル 、 ト リ ク 口 口 酢 謹 、 ジ ク 口 口 酢 酸 な ら び に 有 機 ハ ロ ゲ ン 化 合 物 の 総 合 指 標 で あ る 全 有 機 ハ ロ ゲ ン 化 合 物(TOX) を 塩 素 処 理 副 生 成 物 の 水 質 管 理 指 標 と し て 選 択 し 、 さ ま ざ ま な 構 成 成 分 の 挙 動 を 、 得 ら れ た 生 成 機 構 に よ る 知 見 か ら 評 価 す る こ と に成 功 し た。

  つ い で 、 公 共 用 水 域 に 流 出 す る 前 駆 物 質 の 存 在 状 態 と 有 機 ハ ロ ゲ ン 化 合 物 の 生 成 の 関 係 を 多 く の 河 川 水 や 下 水 処 理 場 の 処 理 水 に つ い て 調 査 し 、 富 栄 養 化 し た 湖 沼 で の 藻 類 増 殖 と 有 機 ハ ロ ゲ ン 化 合 物 の 生 成 の 関 係 や 、 下 水 処 理 塲 に お け る 生 物 処 理 が 前 駆 物 質 の 生 成 と 抑 制 に ど の よ う に 関 わ っ て く る か を 明 ら か に し 、 ま た 、 河 口 域 に お け る 臭 素 の 存 在 が 他 の 流 水 域 の 水 に 比 してTHlclの 生成 量 を 大き く 増 す こと を 明 らか に し てそ の 機 構を 論 じ 、定 量 的 な 評 価 法 を 確 立 す る な ど 、 河 川 汚 濁 と 有 機 ハ ロ ゲ ン 化 合 物 の 生 成 の 関 係 を 広 汎 な 検 討 に 基 づ き 初め て 明 確に し た 。

  さ ら に 、近 年 新 たに 大 き ナ ょ問 題 と ナょ っ て きた 農 薬 や、 合 成 高分 子 凝 集荊 などの合 成有機 化 合 物 が ど の よ う に 水 系 に 存 在 し 、 塩 素 処 理 に よ っ て ど の よ う に 変 成 す る か 等 、 水 源 に お け る 微 量 合 成 有 機 化 合 物 の 塩 素 化 に よ って も た ら され る 状 態を 初 め て明 ら か にし . 、 リス ク 管 理の た め の道 筋 を 示し た 。

  こ れ を 要 す る に 本 論 文 は 、 こ こ 十 数 年 間 環 境 工 学 分 野 で そ の 重 要 性 が 急 速 に 認 識 さ れ て き た り ス ク 管 理 の 問 題 の 中 で 、 最 も 大 き な 問 題 と し て 取 り 上Iア ら れた 塩 素 処理 副 生 成物 に 関 わ る 評 価 と 制 御 の 方 法 を 系 統 的 に 提 案 し 、 こ の 分 野 の 知 見 を 格 段 に 拡 大 し た も の で 、 衛 生 工 学 、 水 環 境 工 学 の 進 歩 に 寄 与 す る と こ ろ 極 め て 大 で あ る 。 よ っ て 、 著 者 は 北 海 道 大 学 博 士( 工 学 )の 学 位 を授 与 さ れ る資 格 あ るも の と 認め る 。

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憲 信

保 中

授 授

教 教

査 査

主 副

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。 そして 本論 文で 与え た述 語の a ―決 定性 とr 一決

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   本論文では,まず第2

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