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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 蝦 名 康 彦      学位論 文題名

Para‑aortic Lymph Node /IetastasisinRelation to     Serum CA 125 Levels and Nuclear grade     in Endometrial Carcinoma

    ( 子 宮 体 癌 に お け る 術 前 血 清CA125値 , 核異型度と傍大動脈リンパ節転移との関連について)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

    緒  言

  子宮体癌において,傍大動脈リンバ節(PAN)転移は9〜12%に認められ,その予後は骨盤リ ンパ節(PLN)単独転移例よりも不良である.PAN転移の多くは顕微鏡的転移であるため,全例 に系統的リンバ節郭清を行い病理組織学的診断によるのが最も確実な方法である,しかし,術 前にPAN転移の正確な予測ができれば,治療・術式の個別化を図ることが可能となる.血清 CA125は子宮体癌,特に進行例や再発例において高値を示し,腫瘍マーカーとしての有用性が 報 告さ れて いる が,PAN転移の 予測 につ いて 検討し た研 究は これまでにない.そこで,

1)患者の閉経を考慮に入れて,PAN転移に関する血清CA125値のカットオフ値を設定し,

2)PAN転移 にっ いて血 清CA125値および他の病理組織学的因子の関連を明らかにし.PAN 転 移 の 術 前 予 測 の 可 能 性 に つ い て 検 討 す る こ と を 本 研 究 の 目 的 と し た .     対象と方法

  1987年3月から2000年10月までに治療した子宮体癌患者203名のうち,高齢等の理由により PAN郭清を行っていない18例,および血清CA125値を上昇させうる疾患を合併した5例を除外 した180例を対象とし,閉経前群(55例)と閉経後群(125例)の2群に分類した.術前の血清 CA125値測定 は,Centocor CA125キットあるいはCentocor CA125 11キッ卜を用いて行っ た.標準術式として,拡大子宮全摘術,両側付属器摘除術,PLNおよびPANの系統的リンバ節 郭清を行い,摘出標本について病理組織学的因子を詳細に検討した.本研究において,構造異 型度はFIGO分類(1982)の基準に基づき充実性増殖部の割合により,核異型度を加味せずにGl からG3に分類した.核異型度の分類法は,Kurman and Norris (1987)により提唱された基準 に基づいて判定した.統計学的解析は,Mann―WhitneyUtestまたはKruskal―Wallis testを 血清CA125値 の差 の検 討に ,ROC曲線をPAN転移に関するCA125値のカットオフ値を設定す るために用いた,また口ジスティック解析を用いて,PAN転移に関する多変量解析を行った.

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    結果

(1)術前の血清CA125値と病理組織学的因子との関連

  血 清CA125値 と 有 意 な 関 連 をも っ てい た の は, 手 術進 行 期 ,筋 層 浸潤 , 頚 部浸 潤 ,PLN 移 , PAN転 移 , 脈 管 侵 襲 , 腹 腔 細 胞 診 , 付 属 器 転 移 ( 閉 経 前 の み ) で あ っ た ,

(2)術前の血清CA125値とPAN転移との関連

  180例 中 ,PAN転 移 を14(7.8% ) に 認め ,1例 を除 い てPLN転 移を合併 していた .閉経前 群 に お い て ,PAN転 移 陽 性 例 の 術 前 血 清CA125値 は253.OU/mlで あ り , 陰 性 群(21.3U/mDに 比 較し て有意(p−−0.011)に高値 であった.閉経後群においても同様に,転移陽性例は172.4U/ml であり陰性例(17.3U/mDに比較して有意(pくO.OOl)に高値であった.

  PAN転 移 に 関 す る カ ッ ト オ フ 値 設 定 の た め ,ROC曲 線 に よ る 解 析 を 行 っ た .AUCは 閉 経 前, 閉経後と もに高値を 示した. 閉経前・ 閉経後の 各群にお いて,各々2つのカットオフ値(閉 経 前 で は70U/ml210U/ml, 閉 経 後 で は20U/ml60U/mDを 設 定 し た . こ れ ら に よ り 症 例 をC.A125レベル:10w,moderatehighの3群に分けた,

(3)PAN転移に関する多重口ジスティック回帰分析

  病理 組織学的 因子のうち 組織型, 構造異型 度,核異 型度につ いては, 術前の生検 内膜組織 を 用 い て診 断 可能 で あ る. さ らに筋 層浸潤の 程度に関 しては,M耐で術前 に推定が可 能である . よ っ てこ れ らの4因 子 にCA125レベ ル を 加え た5因 子を 用 い て,RN転 移 に関 す る 多重 口ジ ス テ イ ック 回 帰分 析 を 行っ た .多変 量解析に おいて,CA125レベルと 核異型度 が独立した 因子で あ っ た . こ れ に よ り 多 重 口 ジ ス テ イ ッ ク モ デ ル を 作 成 す る と , 血 清CA125レ ベ ル (low moderatehigh) と核異型 度(G1G2G3) によって ,RN転移 の予測確率の異なる9つの群に 分 け ら れ る . こ れ ら を ま と め てPAN転 移 危険 度 の異 な る3つ のrisk群 を 設け た , すな わ ち,

RN転 移 の 予 測 確 率 が2% 未 満 の10wrisk群 ,225% のintermediaterisk群 ,50% 以 上のhighrisk群とし た.実際の 対象で, それぞれ の群でのRN転移陽 性頻度を 検証すると , low−risk群で0.9%(1/106例),intermediate―risk群ではll.1%(7/63例),そしてhigh−risk では54.5%(6/11例)という結果であった,

4 PAN転 移 検 出 に 関 す る 多 重 口 ジ ス テ ィ ッ ク モ デ ル と ( 汀 ス キ ャ ン と の 比 較   対象 の うち , 術 前の 造 影CTスキャン 所見を確 認できた153例につい て,RN転 移検出に関 す る 多 重口 ジ ステ ィ ッ クモ デ ルとCTスキ ャ ン との 比 較を 行 っ た.R州 転 移に 関 す るCTスキ ャン の感 度は500% ,特異度は986%,偽 陰性率は500%であ った.一方,前述の多重口ジステ イッ クモデル を用いて,lowriskintermediateriskの 間にカッ トオフを 設けると ,PAN 移予測に関する感度は92.9%,特異度は633%であった.

      

  CA125は 免 疫組 織 化学的に, 正常子宮 内膜,子 宮内膜増 殖症,子 宮体癌な どの組織に 高頻度 に 発 現 し て お り ,子 宮 体 癌に お ける 血 清CA125値陽 性 率 は,2143%と さ れ る. 血 清CA125 値 の上昇と ,手術進 行期,筋 層浸潤の 程度,ル ンバ節転移 ,脈管侵 襲などの 病理組織学的因子 と が関連を 有すると 報告され ている.

  本 研究 に お いて ,PAN転移 に関する 多重口ジ スティッ ク解析を 行なった ところ,独 立因子は く ニA125レベル と核異型 度であっ た.筋層 浸潤の程 度は,単変量解析ではPAN転移に有意な関連 を 有してい たが,CA125レベルを 含む多変 量解析で 有意差を認 めなかっ た.これ はCA125レベ

(3)

ルが筋層浸潤と強い関連をもっているためであると考えられる.

  一方,核異型度は予後に関する独立因子のひとつであることを既に報告している,本研究で 得られたCニA125レベルと核異型度を組み合わせた口ジスティックモデルは,腫瘍の広がりと悪 性度を反映し,そのため子宮体癌におけるPAN転移について顕微鏡的な転移をも含めて予測が 可能となったものと考えられた,PAN転移の予測確率が2%未満のlow−risk群に対して,PAN 郭清を含まない縮小術式の採用が今後検討されなけれぱならない.

  患者の閉経状態を考慮して定めた血清CA125レペルと核異型度とをもとにして,CTスキャ ンより高い感度で子宮体癌のPAN転移の予測が可能であることが示唆された.しかし,本研究 にて用いた病理組織学的因子は摘出標本で検索したものであるため,今後は術前における生検 内膜組織の核異型度を用いた検討が必要である.

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(4)

学 位論文審査の要旨

     学位論文題名

Para ―aortic Lymph Node rvIetastasisinRelation to     Serum CA 125 Levels and Nuclear grade     in Endometrial Carcinoma

    ( 子 宮 体 癌 に お け る 術 前 血 清 CA125値 , 核異型度と傍大動脈リンパ節転移との関連について)

  子宮体癌において,傍大動脈リンバ節(PAN)転移は9〜12%に認められ,その予後は骨 盤リンバ節(PLN)単独転移例よりも不良である.PAN転移の多くは顕微鏡的転移である ため,全例に系統的リンバ節郭清を行い病理組織学的診断によるのが最も確実な方法であ る.しかし,術前にPAN転移の正確な予測ができれば,治療・術式の個別化を図ること が可能となる.そこで,患者の閉経を考慮に入れて,PAN転移に関する血清CA125値の カットオフ値を設定し,PAN転移について血清CA125値および他の病理組織学的因子の 関連を明らかにし,PAN転移の術前予測の可能性について検討することを目的とした・

  子 宮体 癌患者203名の うち ,高 齢等の理由によりPAN郭清を行っていない18例,お よび血清CA125値を上昇させうる疾患を合併した5例を除外した180例を対象とし,閉 経前群(55例)と閉経後群(125例)の2群に分類し,術前の血清CA125値を測定した.標 準術式として,拡大子宮全摘術,両側付属器摘除術,PLNおよびPANの系統的リンバ節 郭清を行い,摘出標本について病理組織学的因子を検討した.

  術前血清CA125値と有意な関連をもっていたのは,手術進行期,筋層浸潤,頚部浸潤,

PLN転移 ,PAN転 移, 脈管 侵襲, 腹腔細胞診,付属器転移(閉経前のみ)であった.

  術 前の 血清CA125値とPAN転移 との関連では,180例中,PAN転移を14例(7.8%)

に認め,1例を除いてPLN転移を合併していた.閉経前群において,PAN転移陽性例の 術前 血清CA125値 は253.OU/mlで あり,陰性群(21.3U/mDに比較して有意(p ̄0.011) に高値であった.閉経後群においても同様に,転移陽性例は172.4U/mlであり陰性例 (17.3U/ml)に比較して有意(pくO.001)に高値であった.

  PAN転 移に 関す るカッ トオ フ値 設定 のため ,ROC曲 線に よる 解析を行った.AUCは 閉経前,閉経後ともに高値を示した.閉経前・閉経後の各群において,各々2つのカット オ フ 値 (閉 経 前 で は70U/m1と210U/ml, 閉 経 後 では20U/m1と60U/mDを設 定し た.

こ れ ら に よ り 症 例 をCA125レ ベ ル :low,moderate,highの3群 に 分 け た . 郎敬

郎       一 和   征 嶋木 本 長吉 藤 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(5)

  病理組織学的因子のうち組織型,構造異型度,核異型度については,術前の生検内膜組 織を用いて診断可能である.さらに筋層浸潤の程度に関しては,MRIで術前に推定が可 能 である,よ ってこれら の4因子 にCA125レベ ルを加えた5因子を 用いて,PAN転移に 関する多重口ジステイック回帰分析を行った,多変量解析において,CA125レベルと核 異型度が独立した因子であった.これにより多重口ジスティックモデルを作成すると,血 清CA125レベル(low,moderate,Iiigh)と核異型度(Gl,G2,G3)によって,PAN転移の 予 測確率の異 なる9つ の群に分け られる.これらをまとめてPAN転移危険度の異なる3 つ のrisk群を設けた .すなわち ,PAN転移 の予測確率 が2% 未満のlow―risk群,2〜 25%のintermediate―risk群,50%以上のl:iigli−risk群とした.実際の対象で,それ ぞ れ の 群 で のPAN転 移 陽 性 頻 度 を 検 証す る と,low‑risk群 で0.9%(1/106例 ) , intermediate‑risk群で11.1%(7/63例),higli―risk群で54.5%(6/11例)であった.

  術前 の造影CTスキ ャン所見を 確認できた153例につ いて,PAN転移検出に関する多 重 ロ ジス テ ィッ ク モデルとCTスキ ャンとの比 較を行った .PAN転 移に関するCTス キ ヤンの感度は50.0%,特異度は98.6%,偽陰性率は50.0%であった,一方,多重口ジス ティックモデルを用いて,low−riskとintermediate−riskの間にカットオフを設けると,

PAN転移予測に関する感度は92.9%,特異度は63.3%であった.

  患者 の閉経状態 を考慮して 定めた血清CA125レベルと核異型度とをもとにして,CT ス キャンより 高い感度で 子宮体癌のPAN転移の予測が可能であることが示唆された・

  公開発表に際し,副査の吉木教授より,体癌で上昇している血清CA125の由来につい て,広い範囲を有するintermediate―risk群を細かく区分することのヌリットについて,

CT以外 の新しい画 像技術によ る転移病巣の検出について,腫瘍の分化度とCA125値と の関係などについて,続いて副査の藤本教授から,PAN単独転移の症例とlow‑risk群の 症例との関係,原発腫瘍のサイズ,リンバ節転移個数と血清CA125値との関連,組織分 化度・核異型度別の細胞当たりのCA125産生量などについて,それぞれ質問があった.

最後に主査の長嶋教授から,子宮体癌細胞の壊死と血清CA125値の上昇との関連につい て,子宮体癌のりンバ節転移と癌抑制遺伝子との関係に関する最近の知見あるいは研究の 動向についての質問があった・

  いずれの質問に対しても,申請者は,対象症例の統計学的解析結果,最近の文献情報,

自身の研究経験をもとに概ね妥当な回答をなしえた.

  審査員一同は,申請者のこれまでの研鑽と本研究の成果を高く評価し,申請者が博士(医 学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものと判定した.

参照

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