Title
東京都の用地費研究−地価高騰下の財政負担−
Author(s)
桜井, 良治
Citation
沖大経済論叢 = OKIDAI KEIZAI RONSO, 14(1): 1-117
Issue Date
1989-09-30
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/6784
東京都の用地費研究
一地価高騰下の財政負担一 桜井良治 はじめに 第1章道路用地費 第2章公共分譲住宅政策と用地費 第3章公営住宅用地費 第4章霊園用地費 第5章用地費財政 おわりに-用地費と情報公開一 はじめに 近年の地価高騰は、経済や社会全般に対してはかり知れないほど深い影響を 及ぼしていると思われる。地価の上昇は、財政の収支両面に対しても、大きな 影響を与えている。この論文では、主に財政支出の面から、東京都財政におけ る地価高騰による財政負担の問題を明らかにしたい。具体的には、道路・住宅・ 霊園の各々の用地費負担の急増とそれにかかわる様々な問題について、明らか にしたい。行政需要の高い都市基盤整備などの面において大都市の用地費負担 の問題が、典型的に示されていると考えられる。用地費をめぐる様々な制度上 の問題について、全面的に展開することは、本論文の任に余るところであるが、 緊急の課題として、財政調整制度特に地方交付税の配分における地価水準要因 の導入という問題については、考え方を示しておきたい。 昭和61年~62年をピークとする東京の地価上昇とその後の現在も含めた全国 への波及については、現下の経済・社会における最大の問題の一つである。 1最近の調査には、地価高騰の病弊が示されている。本論文の課題ではないの で、象徴的なものを指摘するにとどめたい。例えば、三和総研の試算によると、 6大都市の過去14年間の平均年間地価上昇率114%が今後30年間続くと仮定す れば、持ち家派と賃貸派の資産格差は8倍に開くことになる(三和総合研究所 「土地インフレの家計への影響」平成2年1月26曰)。また、朝日生命の調査 には、出崖率低下要因としての住宅コストの影響が示されている(朝日生命 『経済月報』1990年3月)。その分析と対策については、日本経済論の一環 として別個の論文で論じることができればと考える。本論文では、昭和末期の 地価高騰について、自治体の用地費負担の急増による都市基盤整備や社会資本 の供給の困難という点に課題を限定したい。そのことによって、現下の土地問 題の本質に少しでもせまることができればと考える。道路・住宅・霊園という三 つの対象は、用地費負担の面においても、それぞれ固有の問題をかかえている。 それらについても、必要な範囲で論じなければならないであろう。一見無関 係にみえる三つの対象についてあえて一つの論文で論じたのは、これらが共通 して自治体の用地費負担の問題を典型的に示していると考えたからである。地 価高騰下の自治体の財政負担について、その全体像に少しでも近づくことがで きればと考えたしだいである。 2
第1章道路用地費 I「環状5号線」問題 Ⅱ「道路率」と道路関係事業費 Ⅲ道路用地費の推移(7年間) Ⅳ小括 第1章道路用地費 I「環状5号線」問題 一用地費が事業費の98%-
地価高騰下の東京都における用地買収の実際例について、まず道路用地費から、
検討しよう。平成元年末の現時点において、最も先鋭な例として問題になって いるのが、環状5号線の用地買収費とそれにかかわる工事の遅滞の可能性であ る。問題になっている道路は、詳しくは、「環状第5の1号線」(通称名は「明
治通り」)である。起点を渋谷区恵比寿二丁目に発し、新宿区皮び豊島区を経
由し、北区滝野川二丁目に至る、延長約14km、計画標準副員27mの都市計画上
の幹線街路であり、都心を中心にほぼ半円状の環状道路である')。
環状第5の1号線(渋谷区東一丁目~広尾一丁目)(東地区)は、補助第20
号線(並木橋)から、補助第5号線(渋谷橋)までの、延長880m、標準副員
27~30mの区間で、昭和55年3月事業認可された。この箇所は、交通混雑緩和
対策、震災避難道路の指定から早期事業促進が要望されて、昭和55年度から用
地買収に入っている。本年度(平成元年度)も引き続き用地買収を実施するこ
とになっている。工事は昭和63年度、東一丁目から東二丁目の下水管等を実施
し、本年度(平成元年度)は、440mの街築及び舗装工事を実施する予定とな
っている2)。この道路は、副都心渋谷駅に通じる幹線道路である。近年までは、道幅が狭
いうえに、計画の遅れを反映して、両側の建て物は考朽化して更新されず、全
く東京の繁栄からは取り残された街路であった。活気のある商店街もなく、街 3表1-1路線別事業認可(承認)一覧 (注)L「環状第5の1号線」(渋谷区東一丁目~広尾一丁目)が当該の箇所である。 2.東京都第七建設事務所『事業概要』平成元年版54~55ページによる。 4 路線名 (箇所) 施工箇所 起点 終点 幅員 (、) 延長 (、) 当初の事業 認可年月日 建設省の 告示番号 放射第5号線 放射第5号線 環5の1~ 環5の1支1 新宿区 四谷 一丁目 新宿区 内藤町 区宿目 宿丁 新新二 新宿区 新宿 四丁目 40 40 2,140 285 39.8.21 2,335 61.10.16 1,664 44.3.31 1,115 上記と関連 放射第5号線 支線1 新宿区 新宿 三丁目 新宿区 新宿 四丁目 12 80 ” 放射第5号線支線1 新宿区内藤町 ~新宿二丁目 新宿区 内藤町 区宿目 宿丁 新新二 12 650 ’63. 1.20 89 放射第23号線 渋谷区富ケ谷二丁目 ~上原一丁目 区谷目 谷ケ丁 渋富二 渋谷区 上原 一丁目 25 535 605.27 875 放射第23号線 渋谷区上原一丁目 ~上原三丁目 渋谷区 上原 一丁目 渋谷区 上原 三丁目 25 270 63.6.30 1,480 放射第23号線 i11:谷区大山町 ~世田谷区北j五丁目 渋谷区 大山町 世田谷 区北沢 五丁目 25~28 290 63.6.30 1,481 環状第5の1号線 渋谷区東一丁目 ~広尾一丁目 渋谷区 東一丁 目 渋谷区 広尾 一丁目 27~30 880 55.3.6 254 61.3.1 556 環状第5の1 (渋谷区広尾一 広尾一渋谷区 丁目 渋谷区 広尾 -丁目 27~30 540 うじ 6.27 1,234 環状第6号線 (中目黒・1期) 目黒区 中目黒 四丁目 同左 30 305 59.3.6 396 63.3.8 426 環状第6号線 (中目黒.u期南) 区黒目 黒丁 目目二 目黒区 中目黒 四丁目 30 185 63.2.29 269
(平成元年7月1日現在) 1日及び建設省の些
「」
5 当初から 現在まで の事業認 可期間 (年度) 備考 49.3.26 445 54.2.26 236 59.3.7 437 61.10.16 (区域変 更)1,663 39~67 新宿御苑 トンネル 61~67 新宿高校 ” 62~68 新宿 関連御苑 60~64 63~69 63~69 54~65 新規事業 認可箇所 58~65 62~69路樹もなく、人影もまばらであった。土地が足りないといわれる東京において、 密集した低層木造建築等の立ち並ぶ低利用・未利用地域が幹線街路にそって存 在することは、驚きに値するものであった。 数年前からようやく片側に道路拡張のための用地買収が始まり、虫食い状態 ではあるが、しだいに整然とした区画が整地され、「事業用地」の看板が目立 ってふえてきたところである。それと並行して、整然とした中・高層の街並み が生まれつつあり、道路の空間とあいまって、新たな都市美を生みだしつつあ る。 ところが、地価高騰によって、この事業の進行が年々困難を増してきた。東 京都の平成元年11月16日までの調査でわかったところによると、東京都が10年 前の昭和54年度から道路の拡副工事を行っているとの道路の渋谷区並木橋周辺 の地域で、用地買収費が毎年膨張したので、工事費は19億円にすぎないのに、 用地買収費は約50倍の940億円に達してしまった。事業費全体に占める用地費 の割合が、前例のない98%という高率になってしまったのである。これは、渋 谷区並木橋周辺の延長1,450メートルにわたって、現在18メートルの道路を計 画副員27~30メートルに拡副する工事について、調べた結果である。用地買 収が本格化した数年前から地価の高騰期と重なり、この事業は平成7年度まで の17年がかりの見通しとなってしまった。用地買収費が毎年膨らみ、今年度ま でに313億円費やし、今後まだ646億円もかかることが、判明した3)。 東京都建設局からの聴取によって、恵比寿駅近くの渋谷橋から渋谷駅方面の 並木橋までの事業中の箇所約880メートル(当初事業計画昭和54年度から平成 2年度)についての事業の進行状況の概要が示された。それによれば、昭和63 年度までに、54%が執行され、平成1.2年度で残りの46%を執行することに なっている。平成元年度には、18%の執行が予定されている。事業費は、予算 でみると、全体で503億6,200万円である。昭和63年度までに270億6.900万円 が、すでに費やされており、平成1.2年度には、残事業として、232億 9,300万円が使われる予定になっている。全体計画503億6,200万円のうちわ けは、用地と補償493億7,200万円、構築と舗装9億9,000万円であり、98% が用地と補償にあてられていることになる。 別の例として、港区三田の「放射21号線」は、昭和55年度から平成7年度ま 6
での計画で、現在、延長960メートルにわたって拡幅工事が行われている。今 年度までに投入した費用は178億円で、今後さらに858億円もかかることが、 判明している。延長1メートル当たりの事業費でみると、1億800万円にもの
ぼり、明治通りの6,600万円以上の水準に達している9.
図1-1では、東京都の環状5号線などを例にとって、大都市の道路整備費の比較がなされている。幅員40メートルの道路を11,1建設した場合の事業費を
みると、東京都では1,854億円かかる。これは、大阪市の67倍、札幌市の265 倍にあたる。東京では他の都市と比較して、用地費の負担がはるかに大きいか らである。図1-11kmあたりの道路整備費比較(東京都は環状5号線)
● (億円) 2 1111 1hJ Ⅱ ユⅡI 福岡市 大阪市 札幌市 東京都 (注)1.各都市の建設中の道路を例にとって、幅員40mの道路を1km建設す ると仮定した場合の事業費の東京の例は、環状5号線(渋谷区)である。 2.地方都市の例は、地価高騰の地方への波及がまだ十分には反映され ていない段階での数値であろう。 3.東京都『データが語る今日の都財政』昭和63年10月20ページによる。 -7-図1-2環状5号線(渋谷橋~並木橋)周辺地図 巴"‘■、、_ ̄‘■P、五
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8図1-3環状第5の1号線道路計画図 Z I と=
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②。(ご■8】の。□〔一 曲誌 (注)東京都第七建設事務所『事業概要」平成元年版41~42ページによる。 -9-表1-2環状5号線と放射21号線の事業費 | ̄
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(注)1.事業箇所の設定範囲の相違などにより、本文の記述と 数値が異なる部分がある。 2.東京都建設局提供資料による。 ところで、前述の環状第5の1号線付近の基準地価格をみると、例えば、渋 谷駅から650メートル離れた商業地「渋谷区東1丁目128番4」の平成元年度の基準地価椿が、1平方メートルあたり1,360万円である5)。同じ副都心の新宿
駅から220メートルのところにある東新ビルの地価が1平方メートルあたb 3,360万円(順位2番)であるところからみて、この地価は「相対的に適正」と いわざるをえないのであろうか。基準地価格をもとに計算しているとはいえ、 市場価格に近い価格で買収しなければならないとすれば、買収価格は地価高騰 を反映して年々激増してゆくに違いない。 -10- 路線名等 4j業年度 §J業延長 現幅員 計画幅員 全事業費 平成元年度 以降の尊『業費 備考 環状第5の1号線(明治通り) 渋谷区並木橋周辺 昭和54年度 l 平成2年度 、 880 、 16~18 ITl 27~30 億円 504 億円 271 233億円 放射第21号線 港区三田 昭和59年度 平成 1 8年度 145 19 30 253 102 151図1-4基準地価格(環状5号線周辺)
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(注)渋谷区東1丁目128番4にある「渋谷5-4」の標準地では、1平方蕊lIilDilil1iiillli!
メートルあたり1.360万円となっている。 -11-Ⅱ「道路率」と道路関係事業伐 車の台数がふえ続ける東京において、現在、道路率(総面積に対する道路総
面積の比率)は、区部15%、多摩地域約5%という低水準である。そのため、
道路の延長・拡幅が急務となっている。現在、都市計画道路は、区部1,6991m多摩地域1.331k1,,島部10kmが決定されており、全路線が完成しても、区部の
場合で、道路率はようやく18%程度になるにすぎない6)。欧米の主要都市の30
%前後に比べれば小さいが、3%増えれば、街路樹を植えるスペースもできる であろうし、街並み全体に与える影響は、かなり大きいと思われる。 また、歩道が少なくて安心して歩けないことが、東京の道路の最大の欠陥の一つだが、「交通事故の危険を感じずに快適に通行できる空間7)」として、歩
行車自転車道なども、都市計画として、31路線.幅員4~30m、延長約18kmが決定
されている。都市計画道路事業の進行状況については、表1-3において、概要が示され
ている。 表1-3都市計画道路事業現況表 (平成元年3月31日現在見込) 完成延長 906km 1141m 6791m 又曾 599k 1331 503 132 696 10 40.0 3040 1413 248 1379 (注)東京都都市計画局『事業概要』平成元年版131ページによる。 表1-3によれば、平成元年3月31曰現在、区部における計画延長1,699kmのうち、完成延長は906kmにすぎず、未着手延長が679kmにものぼっており、
完成率は53.3%にすぎない。欧米の主要都市の道路率30%に近づくのは容易
でない状態である。表1-4には、都市計画道路の区部の計画のなかでも放射部とともに重要な
位置を占める環状部の計画について、示されている。平成元年3月末において、
-12- 区部 多摩部 島部 計 計画延長 完成延長 事業延長 未着手延長 完成率 1,699km 906km 1141,1 679km 53.3% 1,331 503 132 696 37.8 10 4 2 4 40.0 3,040 1,413 248 1,379 46.5計画延長245キロメートルのうち、完成しているのは143キロメートルにすぎ
ない。完成率は58.4%であり、都心の道路の混雑は、まだまだ続きそうであ る。 表1-4都市計画道路の整備状況 (単位:km,%) 完成率 3040 1414 906 53.3 1699 362 237 143 58.4 1092 526 48.2 503 37.8 80 30 37.5 410 35.7 1147 l(] (注)1建設局資料 2平成元年3月末見込み 3東京都『東京の土地1988(土地関係資料集)』11ページによる。 東京都の道路関係事業費の急増については、図1-5に示されている。地価 の高騰につれて後追い的に急増している。昭和63年度の2,122億円から平成元 年度の3,637億円へと、一挙に71%も激増していることから、今後の事業の 多難が予想される。 -13- 区分 計画 完成 完成率 合計 3,040 1,414 46.5 区部 放射部 環状部 補助線その他 多摩 東西道路 南北道路 その他 島し よ 1,699 362 245 1,092 1,331 104 80 1,147 10 906 237 143 526 503 62 30 410 5 0 53.3 65.5 58.4 48.2 37.8 59.6 37.5 35.7 50.0図1-5東京都の道路関係事業費の推移 3,637 億円 3,500 3,000 2,500 2,122 2,000 10891 10623 1,500 1,361
[
10137 1,0141,0441,047 990-r-1r弓[」
1.000L」
元年度 555657585960616263 柱)東京都都市計画局『事業概要』平成元年版133ページによる。 -14-Ⅲ道路用地費の推移(昭和58年から平成元年までの7年間) 表1-5にもとづいて、道路整備事業費と用地費の関係をみておこう。道路 整備費は、昭和58年には533億円であったが、平成元年度には、2,968億円 へと、5.6倍に急騰している。用地費は、昭和58年度の257億円から、こ の間に、8.7倍の2,244億円に増加している。事業費に占める用地費の割合 も、昭和58年度の48.3%から、平成元年度には75.6%に上昇している。 表1-5道路整備事業費と用地費の動向 (単位;億円、%、千''f、万円) 年地域別事業費a用地費bb/a買収面積1m単価 区部38131864489441423 58多摩1293703544483146 島しょ 224083620204 +533025764831126229 区部40882297562524438 多摩1497835558614136 島しょ 244104125004 +582931425391388226 区知51662945570595495 257.6 229.7 22.9 43.8 55.8 4.1 1640978596811 2820725182 708839315551588 65663949601273 20911293618694 1 6 島しょ 64.8 計2968.3 3.532.2 75.6213.8 (注)1 2 3 建設局資料 昭和58年から62年までは決算、昭和68年と平成元年は当初予算による。 東京都『東京の土地1988(土地関係資料集)』10ページによる。 -15- 年 地域別 事業費a 用地費b b/a 買収面積 1㎡単価 58 区部 多摩 島し よ 計 381.3 129.3 22.4 533.0 186.4 70.3 0.8 257.6 48.9 54.4 3.6 48.3 44.1 48.3 20.2 112.6 42.3 14.6 0.4 22.9 59 区部 多摩 島し よ 計 408.8 149.7 244 582.9 229.7 83.5 1.0 314.2 56.2 55.8 41 53.9 52.4 61.4 25.0 138.8 43.8 13.6 0.4 22.6 60 区部 多摩 島し よ 計 516.6 164.0 28.2 708.8 294.5 97.8 0.7 393.1 57.0 59.6 2.5 55.5 59.5 81.1 18.2 158.8 49.5 12.1 0.4 24.8 61 区部 多摩 島し よ 計 656.6 209.1 41.5 907.2 394.9 129.3 3.2 527.4 60.1 61.8 7.7 58.1 27.3 69.4 26.6 123.3 144.4 18.6 12 42.8 62 区部 多摩 島し よ 計 1,052.2 252.8 48.3 1,353.3 732.2 155.9 4.7 892.9 69.6 61.7 9.7 66.0 45.7 65.5 82.0 193.2 160.3 23.8 0.6 46.2 63 区部 多摩 島し よ 計 1,293.6 447.2 56.5 1,797.3 943.9 297.5 27 1,244.1 73.0 66.5 4.8 69.2 34.5 913 55.5 181.3 273.7 32.6 0.5 68.6 |工 区部 多摩 島し よ 計 2,194.8 708.7 64.8 2.968.3 1,732.6 510.0 2.3 2.244.9 78.9 72.0 3.5 75.6 60.3 121.3 32.2 213.8 287.4 42.1 0.7 105.0
同じく表1-5によってこの7年間の用地買収費の1平方メートルあたりの単価の 推移をみよう。昭和58年には1平方メートルあたり22万9千円であったのが、 平成元年度には、105万円へと、4.6倍に上昇している。区部の買収単価は、 昭和58年に42万3千円であった。ところが、地価高騰後の昭和61年度以降急 上昇し、平成元年度には、681倍の287万44千円に増大している。 仮に、昭和58年度から平成元年度までの地価上昇を、この間の消費者物価指 数並みの上昇率(約5%)であったと仮定すると、区部の平成元年度の買収単 価は、約44万円で済むこととなる。買収予定面積は約6万平方メートルだが、仮に、 その単価で買収できれば、おおよそ6.5倍の39万3千平方メートルの用地を買
収できるはずであると考えられる8)。
図1-6には、東京都区部に限定した道路整備事業費と用地費の推移が示さ 図1-6東京都区部道路整備事業費と用地費の推移(7年間) 2,194.8 億円 2,000 ■■ 1,732.6 1,500 1,000 5003812-/
.●。 '8魁一・・瀧澤巽塁窪窪潅
(注)1.近年の推移をみると、用地費の上昇分が事業費を押し上げていることが、 わかる。 2.表1-5にもとづいて、筆者が作製。 -16-れている。昭和60年代の地価高騰期に、事業費が急騰しているが、その内容が 用地費の膨張であることが、示されている。また、最近7年間の動向をみると、 事業費高騰の原因が用地費の膨張にあることが、みてとれる。 図1-7には、やはり東京都区部に限定した道路用地費の平米単価が、示され ている。地価高騰前の昭和60年には1平方メートルあたり49万5千円であった ものが、わずか4年後の平成元年度には、5.8倍の287万4,000円に急騰してい ろ。 7東京都区部道路用地費平米単価の推移(7年間) 図1 万円 300 28714 0 0 0 5 0 5 2 2 1 1平方メートルあたりの単価 100 4 50 元年 平成 顕年 昭和 ”年 加年 、年 切年 聞年 (注)1.昭和60年代の地価高騰期に、用地費単価が急上昇してい れる。 2.表1-5にもとづいて、筆者が作製。 るのが、よみと 17
表1-6高地価の大都市地域における代表的な道路整備事業の用地補償費の割合 路線字 泪地補償費割合(影 ■■ ブテkロロ ■■Ⅱ 葉状6号線(曰黒反日星 玉道路(板橋区板橋)(関連街路含む。 東京外かく環状道協(練馬反~和 争圧l= (注)月刊『道路セミナー』1989年8月号5ページによる。
表1-6によれば、環状5号線以外でも、用地補償費割合は脅威的な割合を
占めるに至っている。環状2号線(千代田区永田町)では99%に達しており、
このような現象が、東京では一般的になりつつある。全国の道路事業の平均で
は19%だが、地価高騰の地方波及にともなって、この割合はどんどん高まるこ
とが予想される。表1-7には、横浜市を例にとって、道路用地取得の困難な理由が示されて
いる。「代替地要求への対応困難」、「住民権利割合不調整」等の理由が大きく、
現行の用地買収方式の問題点を示している9)。また、「土地」と「その他」の
「補償価格不調整」を合わせると28%となり、最も大きな割合となる。高騰地
価が定着してしまった今日において、市場メカニズムを絶対化する買収方式を
続ければ、用地取得がますます困難になるのは、確実であろう。
-18- 路線名(所在地) 環状2号線(千代田区永田町) 環状6号線(目黒区目黒) 首都高速道路(板橋区板橋)(関連街路含む。) 東京外かく環状道路(練馬区~和光市) 用地補償費割合(” 9770 9977 (参考)全国道路事業平均 19表1-7横浜市における道路用地取得の問題点(用地買収方式による 用地取得不調理由) 由 件数比率(鋤 理 L土地補償価格不調整 2.その他補償価格不調整 10.2 17.8 23.8 17.8 2.3 19.1 0.9 8.1 100.0 3代替地要求への対応困難 4.移転先の確保困難 5.仮事業所要求への対応困難 6.住民権利割合不調整 7.道路事業そのものへの反対(環境問題等) 8.その他 合 計 (注)1.「都市計画道路の整備手法に関する調査」(昭和55-57年、横 浜市・都市計画協会) (月刊『道路セミナー』1989年8月号5ページによる) 2.その他の政令指定都市へのアンケート結果でも、上記と同じ問 題の指向が多かったと指摘されている。 Ⅳ小括 環状5号線について詳述したのは、用地買収問題の象徴であるからだけでな く、筆者の実家の位地する「渋谷区東」の界隈にあるなじみ深い道路だからで ある。「環状5号線」という聞き慣れない道路の名称について調べてゆくうち に、長年にわたる拡幅工事について見聞きしていた「明治通り」の一部だと知 って、たいへん驚いたしだいである。この道路の拡幅工事の進展につれて、歩 -19-
道を作り街路樹を植えることのできる貴重な空間が、「事業用地」として確保 されつつある。拡幅工事によって空間を広げつつある道路の両側の敷地と建物 は、「開発利益」を享受して、「付加価値」を高めつつある。それにみあった 整然とした中・高層建築に変わり、街全体が一新されつつある。しかし、地価 高騰に伴って、今後の事業の見通しが心配されるところである。 用地買収価格と補償額の算定及び買収手続き等の制度上の問題については、 別個の研究課題なので、本論文では詳述を避けたい。その問題点についてだけ
述べるとすれば、第一に、毎年高騰する市場価格に近い価格で買収する現行制
度はもはや限界に達している。行政サービスによって地価が上昇した分を計算し て、「開発利益」として、買収価格から差し引く制度を確立しなければならない'0!。第二に、現行制度の下では、売り措しんで「開発利益」をより多く享受し
たうえで手放す方が得をすることになり、このことが、事業の停滞をまねきが ちである。むしろ、売り惜しんだ場合、買収価格から、行政投資によってその 後に発生すべき「開発利益」(土地の値上がり分)・遅滞による道路利用者の 利便性の損失・街路形成の不備による地域の経済活動や生活におけるマイナス ・遅滞による行政コスト等を差し引いて計算するシステムを、早急に開発・導入すべきであろう。納税における延納利子税のようなシステムを、早急に開発
し法制化すべきである。第三に、異時点間で、旱売りする人と売り惜しみする人との間に土地の価格差が生じる場合、地価高騰下で事業が遅滞するほど、こ
の差が大きくなる。同一の事業目的に使われる同様の用地であるにもかかわら ず、いくつもの価格が形成された場合、事業の早期完成を前提として早売りした人は、完成時点の相場とかけ離れた価格で手放したことになり、不満が残る。
行政の側では、この価格差を知らせまいとして、情報公開に反した行動に出る ことになる。第四に、用地買収費用は、最終的には市民の零細な税金等でまか なわれていることを、忘れてはならない。地価の高騰する毎に資産(土地)を持つ地権者に対して逆転した所得の再分配が行なわれていることになる。税金
によってまかなわれる行政の施策によって地価が上昇した部分も存在するとすれば、この部分を固定資産税等によって徴収しない限り、二重に不合理である。
国会で成立したばかりの「土地基本法」にみられる「土地の公共利用優先」の基
本概念からしても、公共目的のための私権制限は当然であり、重要なことは、
-20-この理念の実現である。所有権を絶対化し、市場メカニズムを偏重する現行制 度には、問題が多い。 むろん、その前提として、事業の決定前の住民参加が拡大されなければなら ない。地権者のみでなく、街路の整備について経済的にあるいは生活上密接に 関係のある地域住民の合意形成が必要である。情報公開が徹底する必要があり、 買収価格を極秘とするような現行のやり方は、見直されるべきである。 <注> 1)東京都第一街路整備事務所『事業概要』昭和63年版49ページ 2)東京都第七建設事務所『事業概要』平成元年版40ページ 3)『読売新聞」1989年11月17日 4)前掲新聞 5)「平成元年東京都基準地価格」(『東京:都公報』平成元年10月3日 36ページ) 6)東京都都市計画局「事業概要』平成元年版130ページ 7)前掲、資料131ページ 8)東京都『東京の土地1988(土地関係資料集)』10~11ページ 9)榊正剛「道路法等の一部を改正する法律について」(『道路セミナー』 1989年8月号4ページ) 10)(財)曰本住宅総合センター『都市基盤施設整備に伴う開発利益の帰属とそ の適正化に関する調査」平成元年3月 (この報告書は、都市基盤施設整備により便益を集中的に享受する者に相応 の負担を求める視点から、受益の範囲と程度について定めるため、新駅設置 による開発利益の帰属と税制度等による公共還元の程度とその改善方向につ いて、検討したものである。) -21-
第2章公共分譲住宅政策と用地費
一多摩ニュータウン「四季の丘」分譲一 I多摩ニュータウン計画 Ⅱ「四季の丘」-戸建住宅分譲 a分譲計画 b最高倍率-4,706倍一 c新規購入希望者の辞退と政策転換 Ⅲ分譲価格と用地費 a分譲価格の水準 b用地取得費 Ⅳ多摩ニュータウン用地費の推移(23年間) V小括第2章公共分譲住宅政策と用地費
一多摩ニュータウン「四季の丘」分譲 I多摩=ユータウン計画東京都において、公共住宅を最も大規模に供給しているのは、多摩ニュータ
ウンである。歴史的にみても、多摩ニュータウンは、東京都の住宅政策を長年
にわたって実現してきた地域である。昭和30年代後半の核家族化現象の進行に
ともなう都市周辺部のスプロール現象を背景として、東京都は、住宅難の緩和
と多摩丘陵のスプロール化防止のため、多摩ニュータウン構想を具体化させて
いった。昭和38年7月には、大都市周辺に居住環境の良い住宅地を大量に供給
することを目的とする新住宅市街地開発法が制定公布され、構想の具体化を促
進した。昭和39年5月に基本方針が決定され、昭和41年12月に南多摩新都市開
発本部が設置され、事業が開始された。計画区域をこの地に設定した理由は、
大規模な用地が低廉な地価で確保される等の理由によるものであったり。
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Cu ピコ 23多摩ニュータウンの開発区域は、東京都の西南部における多摩丘陵一帯に位 置し、東西14キロメートル、南北2~3キロメートルの細長い形をしており、 総面積は約2975ヘクタール、行政区域のうえでは八王子、町田、多摩、稲城 の4市にあたる広大な地域を含んでいる。居住人口約30万人(人口密度約100 人/ヘクタール)を設定している。新住宅市街地開発事業、土地区画整理事業 及び関連公共施設整備事業によって、都市基盤の整備が行われている。新住宅 市街地開発事業は、用地買収のみでなく、宅地の造成、道路、公園、下水道等 の整備及び宅地の処分が主な内容となっている。 事業は東京都、住宅・都市整備公団、東京都住宅供給公社の三者が分担して おり、新住宅市街地開発事業認可(承認)済区域の総面積2,2241ヘクタール のうち、東京都は736.9ヘクタール、住宅・都市整備公団は、1,437.5ヘクタ ール、東京都住宅供給公社(昭和61年3月に事業を完了)は497ヘクタールをそ それぞれ施行している。 多摩ニュータウンは昭和40年12月28日、約2,962ヘクタールの区域について 新住宅市街地開発事業に関する都市計画決定がなされ、現在の計画区域は約 2,975ヘクタールである。そのうちの79%にあたる2,348ヘクタールが新住宅 市街地開発事業都市計画決定区域である。表2-1において、それぞれの事業 主体別の面積・人口が示されている。 多摩ニュータウンでの施策住宅の建設は昭和45年に開始された。48年までに 都営住宅3,122戸、公団住宅4,794戸、公社住宅666戸、合計8,582戸が建設
された2)。その後、住宅建設の方針について、地元市からの要望が出され、
49年10月14日に東京都・公団・公社及び地元市等で構成する「南多摩開発計画 会議」において、「多摩ニュータウンにおける住宅の建設と地元市の行財政に関する要綱3)」が決定された(54年3月9日一部改正)。要綱には、「緑とオ
ープンスペースは、住区面積の30%以上を確保する」、「賃貸と分譲の比率を 45:55とし、・都営住宅の戸数は、全体の20%以内とする」、「住宅の規模は3 LDK及び3DKを主体とする」、「戸建住宅の戸数は全体の10%以内とする」、 「都は、地元市の財政運営に支障が生ずると認められるときは、起債ならびに 関連公共公益施設整備費の償還費相当額を限度として地元市に対して補助金を 交付する」等の内容が、盛り込まれている。総じて、その内容は、-定規模以 -24-表2-1多摩ニュータウン事業別面積及び人口計画 (平成元年7月末現在) (注)1.新住宅市街地開発事業の区域内においては、都市計画人口の80%程度の居 住人口を予定している。 2.東京都南多摩新都市開発本部『事業概要』平成元年版11ページによる。 上の質の高い住宅を供給し、分譲住宅の比率を維持し都営住宅の比率を抑える ことによって、定住者の確保をめざしたものと思われる。また、オープンスペー スを確保して住環境を高めるとともに、人口の膨張を抑制して、地元市の負担 を軽減しようとするものであろう。 それ,以後、この要綱に基づいて、昭和49年12月から住宅建設を再開し、現在 までに合計32,490戸が建設された。一戸建分譲も、この要項の枠の中で行わ れてきたものと思われる。この相対的に地価の低かった時点で形成された要項 も、今日の予測しえぬほどの地価高騰下においては、部分的修正をまぬがれな いのであろうか。例えば、-戸建分譲を極力集合住宅の分譲に置き換えるべき であろうか。さらに、中堅所得者の新規購入者にとっては集合住宅も手が届か -25- 区分 面積(ha) 人口(人) 都市計画 人ロ 居住人口 摘要 都市計画決定区域 新住宅市街地開発事業 認可(承認)区域 新住宅市街地開発事業 東  ̄ 凪 都 住宅・都市整備公団 東京都住宅供給公社 小計 新住宅市街地開発事業 未認可(未承認)区域 計 736.9 1,437.5 49.7 2.224.1 123.6 2.347.7 96.500 174.700 10.500 281.700 23.300 305.000 73.700 143.400 8.600 225.700 16.000 241.700 14~18 20、 21住区 1~8 19住区 10~13 9住区 土地区画整理事業 都市計画決定区域 627.4 56,500 多摩,由木, 小野路,相原・小山 合計 2.975.1 298.200
なくなりつつあるとすれば、賃貸住宅を増やす規定に変えざるをえないのであ ろうか。 表2-2多摩ニュータウン内住宅建設戸数 (平成元年3月31日現在) 6664P 8176戸 2100戸 l6940P 12023 3527 6664 20199 5627 (注)東京都住宅局『事業概要』平成元年度91ページによる。 表2-2には、平成元年3月31日までの住宅建設戸数のうちわけが示されて いる。この時点では、分譲住宅の戸数は全体の48%を占め、賃貸住宅の52%を やや下回る程度となっている。
表2-3には、平成元年度の住宅建設計画が示されている。合計2,495戸の
うち、賃貸住宅の戸数は1,086戸(44%)であり、分譲住宅の戸数1,409戸
(56%)となっており、ほぼ前述の要項の基準通りとなっている。 多摩市における「低・中層」住宅281戸を分類外として、「中・高層」と 「低層」に分類すれば、八王子市の「14住区」における低層分譲住宅45戸のみ が「低層」に属し、他はすべて「中・高層」に属することになる。 -26- 種別 都 公団 公社 計 賃貸 6,664戸 8,176戸 2,100戸 16,940戸 分譲 12,023 3,527 15,550 計 6,664 20,199 5,627 32,490表2-3平成元年度多摩ニュータウン内住宅建設計画 (注)東京都住宅局『事業概要』平成元年度93ページによる。 Ⅱ「四季の丘」一戸蓮住宅分鐘 a・分譲計画 平成元年度における公共住宅分譲を象徴し、今後の公共住宅政策に教訓を与 えた出来事として、「四季の丘」住宅分譲を取り上げよう。 -27- 建設主体 市名 住区 規模 種別 P 数 入居予定 都 稲城市 八王子市 多城市 計 1 12 20 17 50 中 層 高層 ” 〃 賃貸 〃 〃 ” 90 200 12 80 382 2.3 2.3 2.3 公団 稲城市 多摩市 八王子市 計 1 11 12 15 39 高層 低・中層 中・高層 中・高層 賃貸 分譲 分譲 賃貸 分譲 賃貸 分譲 214 94 281 400 324 90 665 2,068 2.3 フ厄。 6月以降 2.3 元.8 2.3 公社 八王子市 計 14 14 低
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分譲 45 45 未 合計 2,495図2-2多摩ニュータウン施設住宅別建設図(平成元年3月末現在)
(西部地区) 公夛小 公i:,i完{壷
公 中 中 小小 小 小 中 小小小 公 公 隔市大沢一小 15二心=雪
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小 小 ’0, 中 公 公 凡例E鬮霞露9冊宮住宅 E==ヨ公団住宅 R顧覇公社住宅 、Ⅳ、宅地分限 「~~コは住区勝号及び地名行
(注)1.中央に「四季の丘」を含む南大沢の宅地分譲が示されている。 2.東京都南多摩新都市開発本部『事業概要』平成元年度135ページによそる。 南多摩新都市開発本部と東京都住宅公社は、平成元年9.10月に、多摩ニュ ータウン南大沢四丁目「四季の丘」の建物付宅地分譲を共同で実施することに なった。多摩ニュータウンは、都営住宅や公団住宅などの中高層住宅のほか、全体計画戸数の10%以内で一戸建住宅や宅地を供給することになっている。今
回の分譲は、東京都が多摩ニュータウンでは初めて一般公募により都内在住在勤者を対象に譲受者を募集するというものであった。建物付分譲で、住宅は東
京都住宅供給公社が建設分譲するものであった4)。
-28-所在地は「東京都八王子市南大沢四丁目」であり、交通は、新宿から快速で
41分の京王相模原線「南大沢駅」から徒歩約17分であった。都心から西南へ約
30mに位置する多摩ニュータウンには、すでに13万人を超える人々が生活して
おり、団地周辺は公園や緑地も多く、緑豊かな環境に恵まれ,ている。南大沢駅
前には大規模なショッピングセンター(平成3年秋、部分開業予定)や文化施
設も計画されており、今後の発展が確実な地域であった。申込期間は、「一般」
の場合、平成元年9月29日~10月9日まで(ほぼ同期間中にモデルルーム公開)
であり、抽選曰は10月19日であった5)。 表2-4「四季の丘」募集戸数等襲
募集戸数 宅地面積 18462,2~208.59㎡ 181.07m?~250.74mP 187331If~255.34㎡iliii妻iiiiiljflliiitiF
2戸 110.96㎡~120.13㎡ 、3.97㎡~138.70mP 12131mP~12425m? 146.86m? 40戸 2戸 1戸 212.14㎡ 7,295万円南多摩新都市開発本部・東京都住宅供給公社資料「多摩ニュータウン南大沢
『四季の丘』建物付宅地分譲について」(平成元年9月22日)2ページによ る。 (注)表2-4によれば、分譲価額は、-戸当り5,500万円台から7,600万円台に
設定されている。最多価格帯は、4LDK40戸の5,595万円~7,694万円(宅
地面積181.07m?~250.74㎡)である。 表2-5「四季の丘」分譲価額分布 J1ヵ円~6000万1コ (注)南多摩新都市開発本部・東京都住宅供給公社資料「南大沢四丁 目『四季の丘」建物付宅地分譲の概要」(参考資料1)による。 -29- 5,501万円~6,000万円 15戸 34% 6,001万円~6,500万円 10戸 22% 6,501万円~7,000万円 14戸 31% 7,001万円以上 6戸 13%表2-5によれば、分譲価額は、5,501万円から6,000万円が45戸のうち15 戸で最も多く、34%を占める。 表2-6「四季の丘」の全体計画(区画) 3年度 63年度 147 104 251 (注)1.宅地債券積立者向=将来特定の土地(宅地債券関連土地)を取得できるこ とを条件として住宅金融公庫が宅地債券の積立者を募集するもので、宅地 債券積立者は3年間7回にわたり約300万円を積み立てた後、宅地債券関 連土地を譲り受けできる制度。 2.南多摩新都市開発本部・東京都住宅供給公社資料「多摩ニュータウン南 大沢四丁目『四季の丘』建物付宅地分譲について」(平成元年9月22日) 1ページによる。 表2-6には、昭和63年度からの分譲の歴史が示されている。当団地は、昭 和59年度から造成を開始しており、平成3年度までに全区画の分譲を完了する 予定となっている。その間、住宅金融公庫では昭和59年度に第一次の、また昭 和62年度には第二次の宅地債券積立者の募集を行った。なお、第一次の債券積
立者に対しては、昭和63年度に譲渡済である6)。
昭和63年に45戸(宅地債券積立者向)がすでに分譲を行なっており、今回 (平成元年度)の45戸を終えた後、平成3年度には161戸(一般向102戸、宅 地債券積立者向59戸)が分譲される予定となっている。総計251戸の分譲とな る予定であった。 b・最高倍率-4,706倍- 前述のように、「四季の丘」の分譲価格は5,500万円台から7,600万円台で、 サラリーマンの年収をはるかに超えるものであった。しかし、近隣の市場価格 -30- 区分 63年度 元年度 2年度 3年度 合計  ̄ 般 45 102 147 宅地債券積立者向※ 45 59 104 合計 45 45 161 251と較べれば、半値以下ともいわれる「破格の安さ」であった。応募者は34,381
人で、平均倍率は764倍であった。最高倍率は4,706倍であり、これは、5,800
万円台の4LDK(土地185㎡)に対するものであった。比較的安いものに集 中したと考えられる。ニュータウン内では、平均倍率・最高倍率とも、過去最 高を記録した7)。…「破格の安さ」となった理由は、土地を取得した時期が古く、地価はその時
の基準をもとに、周辺の半値以下に算定されているからではないかとみられて いた8)。 都心から30km圏は、昭和50年代までは、遠距離通勤圏として敬遠されてきた 向きもあった。どちらかといえば、中堅所得者層までの都心に家を持てない階 層向けの、簡素な集合住宅を中心とした開発というイメージが定着していた。 ところが、昭和60年代の地価高騰期に入ってからは、可住範囲が501m圏から外 側へどんどん広がり始めた。30km圏において緑も多く計画都市として都市基盤 整備もすすみつつある多摩ニュータウンは、地価高騰期において一躍人気の出 てきた地域の一つである。都心に手が届かなくなったため、郊外の同じ距離 (例えば301m'圏)を比較した場合、計画的に開発されて緑も多く都市基盤も整 備された地域の万がはるかに住みやすいことに気がつき始め、圧倒的に価値が 高まったものと考えられる。 c・新規購入希望者の辞退と政策転換 ここで「新規購入希望者」の意味するところは、買い換えるべき持ち家を持 たず、基本的に頭金と年収によって支払われるローンのみによって購入しなけ ればならない人々のことである。 ところで、平成元年9月29日から10月8日までのモデルハウス公開中の来場 者は2万9,531人で、曰曜日の10月1日には、最高の7,416人を記録した。現地 事務所に相談に来た人のほとんどが買い換え組であった9)。この価格帯では新 規取得者の頭金とローンでは購入が困難であることを、うかがわせる。 抽選会場には、日本の住宅問題を象徴する出来事として、アメリカ・メキシ コなどの外国の放送局も含む100人を超す報道関係者がつめかけた'0)。海外の 不動産まで買い漁る「経済大国」における、一方での「金余り現象」の下での -31-他方での大量の「住宅難民」の存在を、いったいどう報道したのであろうか。 11月15日から契約会が開かれた。45戸の当選者のうち、8人はあらかじめ辞 退し、2人が契約当曰に銀行の融資条件を満たす資料を提出できずに、当曰辞
退した1,゜この価格帯では、「格安」であっても、給与所得者の新規取得は困
難であることが、判明した。 この事態をうけて、「中堅所得者層を対象にした住宅の大量供給」を住宅政 策の基本とする東京都住宅局から、「公的機関が、ほんの一部の人の資産を増 やすために一戸建てを造る必要はあるのか」という批判が出た。開発本部内で も、「たくさんの人が住める集合住宅を大量に建設すべきだ」と、-戸建見直 し論が高まった。このため、東京都は、多摩ニュータウンの住宅政策を大転換 して、代わりに中高層マンションを増やす方針を決めた。,南多摩新都市開発本部 によると、昭和63年末現在約4万2,000戸の住宅が建設を終え、そのうち一戸 建ては約2,500戸を占めている。同本部では、平成10年度までの計画戸数7万 7,000戸に-万戸前後上乗せするかわりに、一戸建て建設予定数7,700戸を大幅に削減することにした12)。
この決定は、地価が高騰して安定してしまった今日においては、やむをえな いものであろう。しかし、住環境の維持等の面から-戸建を一定の比率以内 で確保しようとする前述の「要綱」等に照らせば問題は残る。今後の政策は、 地価の水準にみあった質の高い中・高層住宅の建設を中心としたものになら ざるをえないであろう。しかし、集合住宅にしても、市場価格に近い価格で供 給すれば新規購入者は手が出せない。逆に、今回のように「格安」で供給すれ ば、所得再分配効果が大きくなり過ぎるとともに、異常な倍率に悩まされる ことになる。「一挙に大量に」安価な住宅を供給しないかぎり、市場価格に飲 み込まれてしまうのではないだろうか。公共分譲住宅のあり方自体が問われて いるように思える。 、分譲価格と用地費 a・分譲価格の水準 「四季の丘」の分譲価格について、特に、土地の占める割合と,平方メート ー32-ルあたりの土地の単価について明らかにすることによって、分譲価格の構成を 示したい。 表2-7分譲価額等(土地と建物の単価) 価積額 (注)南多摩新都市開発本部・東京都住宅供給公社資料「南大沢四丁目『四季の丘』 建物付宅地分譲の概要」(参考資料1)による。 表2-7によれば、土地の単価の最高はB-8の222,200円/mPである。 最低はC-4の177,700円/nfである。 土地の平均単価は19万3,733円/m8である。これを前提に仮定計算をすると、 例えば宅地面積212.14㎡の5LDKの場合、全体価額7,295万円のうち、 4,110万円が土地価額となる。土地価額は、全体の約56%を占めることになる。 次に地価高騰・安定下における公共一戸建分譲住宅の価格水準を検討するた めに、今回の「四季の丘」の分譲価格を、同じ多摩ニュータウン内における住 宅・都市整備公団の建物付宅地分譲と比較してみよう。 表2-8に明らかなように、「四季の丘」における土地面積の平均は203.99㎡、 価額の平均は3,952万円である。平均単価は1平方メートルあたり19万3,733円 である。これらは、同年1月に募集された同地域の住宅・都市整備公団の「鶴 牧・南野」及び「向陽台」地区の分譲とバランスをとった数字で設定されてい る。むしろ、同年1月から10月までに高騰地価の定着意識が広がったため、 「割安感」が高まって、今回のような事態になったと考えられる。建物につい -33- 区分 通商 段低 平均 土地 面積 価額 単価 1-4 J17 B-8 255.34㎡ 53,257,176円 222,200円/nP D-8 C-2 C-4 181.07㎡ 32,573,184円 177,700円/㎡ 203.99㎡ 193,733円/㎡ 建物 面積 価額 単価 A-2 A-2 1-3 146.86㎡ 30,290`000円 229,656円/㎡ J-3 J-3 A-7 103.97㎡ 22,600,000円 200,617円/㎡ 118.98㎡ 214,467円/㎡ 土地・建物 合計価額 土地…255.34㎡ 連物-124.25㎡ 1-4 76,963,922円 土地…184.36㎡ 建物…103.97㎡ J-3 55,950,724円
ては、平均床面積118.98㎡、平均価額2,538万円である。平均単価は1平方 メートルあたり21万4,467円で設定されており、これらも、住都公団の近隣の 分譲とほぼ同様の数字に設定されている。 表2-8 多摩ニュータウンにおける住宅・都市整備公団の建物付宅地分譲との比較
【
南多摩新都市開発本部・東京都住宅供給公社資料「南大沢四丁目 『四季の丘』建物付宅地分譲の概要」(参考資料2)による。 -34- (注) 南大沢四丁目 「四季の丘」 45区画今回募集 住宅・邸市整伯公団の分■ 団牧・南野 (多摩市住宅建設共同組合) 50区画元年1月募集 向陽台 (稲城市住宅連殿共同H1合) 38区画元年1月募築 土地 面積 段大 量′j、 平均 価額 n.高 段低 平均 平均単価 4,000万円未満 ~5,000万円未漬 5,000万円以上 255.34,' 181.07㎡ 203.99、P 53.257,176円 32,573.184円 39.519,770円 193,733円/㎡ 25区画(56%) 18区画(40%) 2区画(4%) 28L12㎡ 207.81wf 243.O9nf 53.277.2】0円 36.039,850円 45.330734円 186.479円/㎡ 5区画(10%) 40区画(80%) 5区画(10%) 25328㎡ 176.14,F 20846㎡ 48.492.080円 31.000.640円 38.366,779円 184,053円/㎡ 21区画(55%) 17区画(45%) -区画(-%) 連物 床面積 価額 段大 股’1、 平均 最高 最低 平均 平均単価 l46B6㎡ 103.97㎡ 11898㎡ 30,290.000円 22.600,000円 25.376,222円 214.467円/ITf 134.54㎡ 106.00,「 121.40、P 28.600.000円 2q136.000円 26.945,660円 22L959円/nF 13745㎡ 、 113.44、 124.89㎡ 25.635.000円 20,834.000円 22.881.658円 183,218円/㎡ 土地・連物合計価額 最高 遥低 平均 5.000万円 へ‐ 5500万円 5.501万円 6,000万円 6.001万円 ~ 6.500万円 6,501万円 ~ 7.000万円 7.001万円以上 76,963.922円 55,950.724円 64,895,992円 15P (34%) 10戸(22%) 14戸(31%) 6戸(13%) 73.960.500円 58.098.680円 72.276.394円 3戸(6%) 11戸(22%) 20Fi(40%) 16戸(32%) 69,793,840円 52,589.437円 61.248,437円 4P (11%) 10戸(26%) 10戸(26%) 14戸(37%) -F (-%)土地・建物合計価格の平均は6,490万円であり、これも、他と同様に設定さ れている。価格帯の分布をみると、相対的に安価な5,501万円~6,000万円の ところに15戸(34%)が分布している。 要するに、価格の面では、その他の公共分譲住宅と同様であり、特に「四季 の丘」だけが法外な値段であったわけではない。「四季の丘」の分譲価格がこ の水準に決定されたことについては、住宅政策上の観点から、他の公共住宅と のバランスを考慮に入れてなされたものと思う。また、用地費のみでなく、都市 基盤整備等の支出面をも考慮に入れて、この水準になったものと考えられる。 行政コスト等も含めて、どこまでを分譲価格に上のせするかは、重要な問題で ある。 もっとも、安価で良質な住宅を大量に供給する使命を持つ公共分譲住宅にお いて、この価格が相場になってしまったことは、それ自体が、今後の住宅政策 に大きな問題を提起しているように思える。 b・用地取得費 本論文のテーマは、地価高騰にともなう財政負担を明らかにすることである。 このテーマにそって、公共分譲住宅の最近の象徴的な事例である「四季の丘」 の分譲において生じた住宅政策上の問題を展開してきた。本来、ここでの課題 は、土地取得費のみを追求することではなく、分譲価格に反映されたと考えら れる財政負担を全体として明らかにすることにある.しかし、資料の制約があ るため、解明される範囲は限定的なものであった。 表2-9において、南大沢を含む西部地区の平成元年3月末現在までの用地 買収について、示されている。全体計画事業認可面樹A)は、535.4haである。 要買収面樹B)は448.6haであり、そのほとんどすべてにあたる448.Ohaが、買 収済面積である。従って、用地買収の進捗率(C/B)は、99.9%である。 -35-
表2-9多摩ニュータウン新住宅市街地開発事業等の進捗状況 平成元年3月末現在 20I5hal656hI656100%Uha2015ha100%Oha 5354haM86h448U999%U3ha3650h2682%394ba 7369ha6M2h6]36999%U3ha5665ha769%394ha L4375haL2310hl2243995%l6ha9290ha646%3UOha 東京都毎t;供給公社(497haIllh4lllm100%OhaI97halOO% 計22241ha1886.3hl8790996ha22hal5I52ha695% 街I80km987ha28629U%I7ha202km42.1%071, 河jll2111pnMlha426966%U1hal91kn1905%0041口、 整備事業 関連公共施設 3641km240.5km661%2551,1 (注)東京都南多摩新都市開発公社『事業概要』平成元年版47ページによる。 「四季の丘」で今回分譲された45戸について、土地の取得時期と取得費につ いて、明らかにしたい。東京都南多摩新都市開発本部の説明と資料によれば、 「四季の丘」を含む南大沢の用地は、昭和40年ごろから始まる多摩ニュータウ
ンの初期の大規模な用地取得事業の一環として、入手されたものである'3)。
筆者は、当初、「四季の丘」を取りあげるにあたっては、分譲価格の上昇は
地価高騰を直接反映したものではないかと考えていた。そこから、用地費負担
と今後の公共分譲住宅政策の見通しについて、議論を展開しようと思っていた -36- 区分墓鯛
(承認) 面積 A 用地買収 要買収 面積 B C 進tH率 C/B 元年度 計画面積 工事 工事済 面櫛延長 , 進捗率 D/A 元年度 計画 面積延長 新住事業 東京都 東部地区(17,18由Z) 西部地区(||鎧・20
計年揖i・濡吏鶴(
東京都住宅供給公社(9国Z 計 2015ha 535.4ha 736.9ha M37.5ha 49.7ha 2,224.lha 165.6ha 448.6ha 614.2ha u31.0ha 41.lha L886.3ha 165.61m 448.0比 613.61m l』24.31田 41.1ha L879.0ha 100% 99.9% 99.9% 99.5% lⅡ% 99.6ha Oha 0.3ha 0.3ha 1.6ha Oha 2.2ha 201.5ha 365.0ha 566.5ha 929.0ha 49.7ha 1,545.2ha 100% 68.2% 76.9% 64.6% 100% 69.5% Oha 39.4ha 39.4ha 30.0ha Oha 69.4ha 土地区画整理事業 多摩地区 由木地区 小野路地区 相原・小山地区 計 施行面積 幹線街路 施行面積 幹線街路 施行面積 幹線街路 施行面積 幹線街路 施行面積 幹線街路 222.0ha 11.51口、 201.7ha 9.1km 29.5ha 0.91口、 174.2ha 5.3k111 627.4ha 26.8km 4Mha 20.81m 43.0% 7.lha 218.6ha 11.5km 123.8ha 8.2km 29.5ha 0.9kl、 0.6ha 372.5ha 20.6km 98.5% 99.9% 61.4% 90.1% 100% 100% 0.3% 59.4% 876.9% 2.2ha 0km 23.4ha 0.5km 25.6ha 0.5km 関整 街路 48.0m 98.7ha 28.6h日 29.0% 1.7ha 20.2km 42.1% 0.7m、 傭事業 連公共施設 河川 流域下水道 21.1km 44.lha 32.2ha 42.61画 20.01画 96.6% 62.1% 0.lha 0.07ha 19.1km 74千,,B/日 22.0km 90.5% %% jj 55 17 0.04km 水道 364.1m 240.5km 66.1% 25.5kmので、この事実は、予想外であった。ただし、分譲価格の中には、土地取得後 の道路や公園等の都市基盤整備の費用も含まれており、この中にはその後の地 価高騰を反映した部分も存在すると考えられる。 東京都によれば、「四季の丘」を含む南大沢の土地は、ほとんどが、昭和40 年代の初頭に取得されている。 新住宅市街地開発法に基づいて施行される用地取得事業は、東京都、公団、 公社の三者によって、昭和39年10月以降に開始された。当時の三者の用地買収 の分担区域及び進捗状況は、図2-3のとおりである'4)。 図2-3多摩ニュータウン用地買収区域図 (注)1. 2. 左端の「西部地区40年度買収」区域に、南大沢「四季の丘」も含まれる。 東京都南多摩新都市開発本部『多摩ニュータウン開発の歩み』第1編 75ページによる。 表2-10に明らかなように、東京都の昭和39年、40年における買収面積は、 実際に執行された数字でみると、合わせて約112万坪になる。買収金額は執行 額でみると、合計約65億円であり、平均坪単価は5,815円となる。 -37-
「(東京都施行の)西部地区(現在の14~16,20.21住区)の買収計画面積 は約426haであったが、40年当時は、この地区はまだ事業決定されていなか ったため、40年10月、まず山林部分約355haの買収を開始し、45年度末まで
に山林部分の買収をほぼ完了した'5)」とされている。
表2-10東京都の用地買収状況;|空l箒i塵
】医 250000 6300000 (注)1.40年度執行金額は、立木等補償金※(24.640.866円)を含む。 2.用地買収費の財源は主として住宅金融公庫よりの借入金であり、現在まで に5428.780千円の融資をうけている。(融資額は造成費を含めて標準額 の80%、利子は年75%、5年以内に償還) 3.40年の「西部地区」には、南大沢の用地買収が-部含まれる。買収坪単価 は、上の表に記載されたように、5.824円の周辺になる。 4.東京都南多摩開発本部『多摩ニュータウン開発の歩み』第1編76ページによる。昭和40年度には、南大沢を含む多摩ニュータウンの西地区で、90万5,319坪の
用地買収が執行されている。買収金額は52億9,675万円であり、ここから「立
木等補償金」2,464万円を差し引いた52億7,211万円が用地買収費の実質であ
る。従って、平均坪単価は5,824円となる。なぜこの土地がもっと早く低価
格で供給されなかったのだろうかという疑問は残るが、当時としては、この買
収価格は、適正価格だったのであろう。買収方法については、「39年1月1日
現在の登記簿記載の地積を基準として価格を定め、買収する'6)」とされている。
-38- 上五一 」凹む1つ 予算|執行
|平均’
坪数 金額坪数|金額
39 東 西 小計 250,000坪 250.000 1,581506
円 1,581,500 95,936坪 95.936 537,762,108円 537,762.108 5.605円 40 東 西 小計 1.000,000 1,000.000 6,300,000 6.300,000 119,099 905J319.13 1,024,418.13 705.083,480 ※(鰯
6.001,836,877 5.920 24 5.835 合計 1,250.000 7,881.500 { 1,120.35413 東部215.035 西部905,319.13 ( 6,539,598.985 東部1242.845.588 西部5296.753,397 5.815補償については、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(37年6月19日 閣議決定)により、立木補償、建物移転補償、工作物移転補償、墳墓等移転に伴 う補償、居所移転に伴う補償、営業補償、農業補償を内容とするものであった。 表2-11には、昭和45年3月末現在における東京都、公団、公社の三者の用 地取得状況が、示されている。これによれば、この段階での東京都の買収済み 面樹B)は、合計504.5haにのぼっている。要買収面積(A)は合計579.2haなので 進捗率(B/A×100)は、871%に及んでいる。また、東部地区での進捗率は 99.9%に及んでおり、西部地区の82.0%よりすすんでいる。公団の進捗率は 99.5%、公社のそれは1000%なので、当初の要買収面積(事業計画面積の一 部)の買収は、昭和45年度の段階で、ほぼ完了していたことになる。 表2-11施行者の用地取得状況(45年3月末現在) (填位:ha、%) 東可地[ 11718住[) 序角泙地[