岡 山 医 誌 (1993) 105, 303∼316
同所性肝 移植 の実験 的研 究
肝 移 植 手 術 に お け る 血 漿 遊 離 ア ミ ノ 酸
の 変 動 と そ の 意 義 に つ い て
岡山大 学 医学部 第 一外科 学教 室(指 導:折 田薫三教 授)
松
田
忠
和
(平成4年12月25日 受稿)
Key words:同
所 性肝 移植,血 漿 中遊 離 ア ミノ酸
拒絶 反応
尿素 回路,Fischer比
緒 言 近 年,欧 米 で は 臨 床 肝 移 植 の 手 術 成 績 は 著 し い 向 上 を み て い る.し か し重 要 な 未 解 決 の 問 題 と し て 移 植 肝 が 機 能 して い る か 否 か の 判 定,即 ち移 植 肝 のviabilityの 判 定 の 確 立 は 重 要 な 問 題 と し て依 然 残 され て い る.と くに 肝 が,複 雑 多 岐 な 生 化 学 的 機 能 を有 し て お り,そ のviability の 判 定 に は,多 方 面 よ りの解 析 を要 し,容 易 で は な い と考 え られ る. ま た,最 近 重 症 肝 障 害 時 に は,ア ミノ酸 代 謝, と くに 肝 不 全 時 の 芳 香 族 ア ミ ノ酸(Aromatic Amino Acids, AAA)と 分 枝 鎖 ア ミノ酸(Branched Chain Amino Acids, BCAA)な どの 代 謝 異 常 が あ ら わ れ1),血 漿 中 遊 離 ア ミ ノ酸(Free
Amino Acids, FAA)パ ター ンが 特 異 な変 化 を
す る こ とが 明 らか に な っ て い る.そ こ で 今 回,
著 者 は 移 植 肝 のviabilityを 判 定 す る 目的 で,術
前 術 後,経 時 的 に 一 般 生 化 学 検 査,血 漿 中遊 離
ア ミ ノ酸,お よ び ア ミ ノ酸 代 謝 関 連 酵 素 で あ る
Ornithine carbamyl transferase (OCT),血 中
Ammonia, FAAパ タ ー ン に 影 響 を 与 え る と考
え ら れ る 血 糖 値,な ら び に 膵 ホ ル モ ン で あ る
Insulin (IRI), Glucagon (IRG), Catecholamine
を測 定,検 討 を 加 え,若 干 の 知 見 を得 た の で 報 告 す る. 実 験 材 料 お よ び 実 験 方 法 1. 実 験 モ デ ル 実 験 動 物 施 設 収 鑑 後2週 間,イ ヌ飼 糧CD-5(R) (日 本 ク レ ア)70Cal/kg/dayで 飼 育 し,健 康 と判 定 さ れ た体 重10.5±0.5kgの 雑 種 成 犬 を使 用 した.donor犬 はrecipient犬 よ りや や 小 さ め の もの を選 ん だ.実 験 群 は,① 肝 移 植 手 術 群 (Group 1)(n=6),② 自 己 肝 冷 阻 血 群
(Sham Op群, Group 2)(n=4),③ 単 開
腹 群(Group 3)(n=5)の3群 と し た.(図 1) 1) 肝 移 植 手 術 群(Group 1) 同 所 性 肝 移 植 手 技 は,Starzl法2)に 著 者 らが 改 良,工 夫 を加 え たStarzl変 法 で行 っ た3).改 良 の 要 点 は,門 脈-門 脈 吻 合 よ り前 に 肝 動 脈-肝 動 脈 吻 合 を行 うこ と,門 脈 血 流 う っ 滞 防 止 の た め の 門脈-下 大 静 脈 吻 合 を手 軽 に 閉 鎖 す る た め に ヘ モ ク リ ップ を 使 用 し た こ と,donor肝 灌 流 時,血 管 のspasmusに よ る 灌 流 不 全 防 止 の 目的 で,灌 流 液 に10% lidocaine hydrochloride 10 mlを 加 え た こ と の3点 で あ る. 術 前24時 間 は 絶 食 と し,recipient犬 に
atropine sulfate 0.5mgを 混 じ たpentobarbital sod. 25mg/kgを 静 注 して 導 入 し,気 管 内挿 管 の
上,笑 気2l/分,酸 素2l/分 で 調 節 呼 吸 し維
持 した.正 中 切 開 に て 開 腹 し,肝 を,下 大 静 脈,
門 脈,肝 動 脈 の み を残 して 遊 離 し た.さ らに 門
脈 ・下 大 静 脈 側 側 吻 合 に よ る シ ャ ン トを 作 成 し て,一 時 的 に 閉 腹 し た.
Group
1
(1) REJV:右 外頚動 脈 SVC:上 大静脈 IVC:下 大静脈 PCS:門 脈下大静脈短絡 PV:門 脈 RAV:右 副腎静脈 RFV:右 大腿静脈 HA:肝 動脈 A:大 動脈 GD:胃 十二指腸動脈 C:胆 管 D:十 二指腸 EX-S:体 外短絡 EX-F:胆 管 外〓 (2)① suprahepatic IVC (end to end) ② hepatic artery (end to end) ③ portal vein (end to end)
④ infrehapatic IVC (end to end) ⑤ closure of P-C shunt レ シ ピ エ ン ト犬 の 手 術 JVC:下 大静脈 PV:門 脈 SV:脾 静脈 HA:肝 動脈 A:大 動脈 GD:胃 十二指腸動脈 C:胆 管 D:十 二指腸 ドナ ー 犬 の 手 術 図1 肝 移植 手術 術 式 次 にdonor犬 に 同 様 の 方 法 で 麻 酔 を 行 い,肝 の 摘 出 を行 っ た.す な わ ち,肝 を周 囲 組 織 よ り 剥 離 の 上,門 脈 に カ ニ ュ レ ー シ ョ ン を行 い,10
% lidocaine hydrochloride添 加Lactate
Ringer液(pH 8)の4℃ 冷 却 液200ml/kgを 120cmの 落 差 で 注 入 し急 速 冷 却 灌 流 し た 後,肝 を 摘 出 し,4℃ 冷 却 生 食 水 内 に 単 純 浸 漬 保 存 し た.冷 阻 血 時 間 は,灌 流 開 始 よ り肝 動 脈 血 流 再 開 ま で と した. ま た 輸 血 用 犬 よ り300mlの 輸 血 用 血 液 を採 血 し た. 次 い で,recipient犬 の 手 術 に も ど り,右 大 腿 静 脈 よ りカ ニ ュ ー シ ョ ン し,下 大 静 脈 ・左 外 頚 静 脈 間 に シ リコ ン チ ュ ー ブ(内 径4mm)に よ る バ イバ ス を お き,遊 離 した 自 己肝 を摘 出 した. 肝 移 植 操 作 は 肝 上 部 下 大 静 脈 吻 合 よ りは じめ, 肝 動 脈 吻 合 終 了 後,肝 上 部 の ク ラ ンプ を解 除 し た,次 い で 門 脈 吻 合,肝 下 下 大 静 脈 吻 合 を 行 っ
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た 後,門 脈 ・下 大 静 脈 吻 合 をヘ モ ク リ ップ で 閉 鎖 し た.胆 管 は 外 瘻 造 設 と し た.術 中 術 後 の 輸 液 は,10%糖 液(Physiosol 3号(R))をglucose 10g/kg/dayを 経 口摂 取 可 能 とな る術 後48時 間 ま で均 一 な速 度 で 投 与 した.ま た術 中 はvital sign に 応 じてLactate Ringer液 を 投 与 し た.輸 血 は200ml∼300mlを 肝 血 流 再 開 と 同 時 に行 っ た. 術 後48時 間 以 降 は 犬 飼 糧CD-5(R)60Cal/kg/ dayを 投 与 し た.な お8日 ∼9日 生 存 し,拒 絶 反 応 で 死 亡 し た術 後 経 過 良 好 側6例 を検 討 対 象 と し,摂 食 状 態 不 良 の もの や,輸 血 量 が 多 か っ た もの や,他 病 死 し た も の は検 討 か ら除 外 し た. 免 疫 抑 制 剤 は 全 く使 用 して い な い.Group
2
IVC:下 大 静 脈 HA:肝 動 脈 PV:門 脈 C:胆 管 P-C shunt:門 脈 ・大 静 脈 短 絡 図2 肝 冷 阻 血 モ デル の 手術 術 式 2) 自 己肝 冷 阻 血 群(Group 2) 肝 冷 阻 血 時 間 が 肝 に 与 え る 影 響 を観 察 す る 目 的 で,移 植 肝 と 同 時 間 冷 阻 血 し た モ デ ル を作 成Sham Opと した.(図2)す な わ ち,Group 1
と全 く同 様 の 方 法 で 麻 酔,輸 血 輸 液,術 前 術 後 管 理 を行 っ た.上 腹 部 正 中 切 開 に て 開 腹 し,肝 を 周 囲 組 織 か ら遊 離 の上,門 脈 ・下 大 静 脈 間 に recipient犬 と 同 時 に シ ャ ン トを造 設,下 大 静 脈 -左 外 頚 静 脈 を シ リコ ンチ ュ ー ブ に て バ イ バ ス し,donor肝 摘 出 時 と 同 様 に ま ず 流 入 血 管 を遮 断,次 に 肝 上 下 部 下 大 静 脈 を 遮 断 の 上,門 脈 よ り4℃ 10% lidocaine hydrochloride 10ml添 加 乳 酸 加 リン ゲ ル 液200ml/kgに て120cmの 落 差 に て 灌 流,肝 下 部 下 大 静 脈 に て 切 開 を加 え 排 液 し た.さ らに 肝 をGroup 1の 平 均 冷 阻 血 時 間 に 等 しい 時 間(73.10分),冷 却 生 食 に 浸 漬 した ガ ー ゼ で 被 い,冷 却 阻 血 状 態 に保 っ た.そ の 後 肝 動 脈,肝 上 部 下 大 静 脈,門 脈,肝 下 下 大 静 脈 の 順 で 血 流 を 再 開 し,肝 血 流再 開 時 に200∼300mlの 輸 血 を した.ま た こ の 後 総 開 腹 時 間 がGroup 1 と等 し くな る ま で 開 腹 して お い た. 3) 単 開 腹 群(Group 3) 肝 移 植 手 術 お よ び 輸 血 糖 液 輸 液 が 肝 に 与 え る 影 響 を み るた めGroup 1,2と 同様 な 条 件 で 開 腹 の み行 い,ゆ っ く り200ml脱 血,輸 血 犬 よ り 200ml輸 血 し,同 一 時 間 開 腹 し続 け た もの を 単 開 腹 群 と した. 2. 検 査 項 目 3群 と も術 前 お よ び,術 後6時 間,12時 間,
24時 間,48時 間,96時 間,168時 間 と採 血 し 以 下 の 諸 検 査 に 供 し た.
1) 一 般 肝 機 能 検 査
s-GOT, s-GPT, T-Bilirubin, Albuminの 4項 目 を 採 血 後 直 ち に 遠 心 分 離 し た の ち 東 芝 製 自 動 生 化 学 分 析 装 置(TBA-360)に よ っ て 測 定 し た.血 中Ammoniaは 採 血 後 直 ち に5分 間 氷 冷 後,協 和 発 酵 製 デ タ ミナ ーNH3(R)を 使 用 し て 測 定 し た.Ornitine carbamyl transferaseは 武 田 法 に て 和 光 純 薬 製 キ ッ トで 測 定 し た.
2) 血 糖,血 中Insulin (IRI), Glucagon (IRG), Catecholamine 血 糖 はGOD・POD法 で,IRIはCephadex 法,IRGはDextranchacort法 に よ るRIAに て 測 定 し た.CatecholamineはHPLC法 で2 分 画 測 定 し た. 図3 Transaminase値 の 変 動 (拒 絶 反 応 時GOTは 有 意 に 上 昇 す る.) 3) 血 漿 中 遊 離 ア ミノ 酸 ヘ パ リ ン加 に て 採 血 し速 や か に 遠 沈 分 離 し, 血 漿1mlに3% sulfosalicylateに て 除 蛋 白後, 日立835-50型 高 速 ア ミ ノ酸 分 析 計 を 用 い て 測 定 した. 4) 肝 の 病 理 組 織 学 的 検 討 Group 1の 死 因 が 拒 絶 反 応 に よ る もの で あ る こ と を確 認 す る た め に 死 後 解 剖 し,肝 組 織 を採 取 し,10%ホ ル マ リ ン液 に て 固定,HE染 色 を 行 っ た.ま た,Group 2,3は168時 間 目 の 採 血 終 了 後 屠 殺 し,同 様 に 検 査 を 行 っ た. 図4 T-Bilirubin, Albuminの 変 動 (拒 絶 反 応 時T-Bilは 有 意 に 上 昇 しAlbは 低 下 し て い る.) 結 果 1. 手 術 成 績 肝 移 植 手 術 総 数 は27例 で,平 均 手 術 時 間 は4時 間22分,冷 阻 血 時 間73.10分,2日 以 上 生 存 例 は 16例,59.3%で1週 間 以 上 生 存 例 は,10例,37.0
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%で あ っ た.Group 2,3で は1例 の 術 死 も な か っ た. 2. 一 般 肝 機 能 検 査 の 経 時 的 変 化 1) 血 清transaminase (s-GOT, s-GPT) s-GOTはGroup 1お よ びGroup 2で は 術 後6時 間 目 に,お の お の512.0±321.6IU/l, 289.3±64.8IU/lとGroup 3に 比 し 著 明 な 上 昇 を 示 し た(P<0.005). Group 1で は そ の 後,徐 々 に 低 下 し,術 後96 時 間 で119.5±44.1IU/lと 最 低 値 を 示 し た が, 術 後168時 間 で は582.4±462.2IU/lと 再 上 昇 しGroup 2,3と 大 き な 差(P<0.05)が 認 め ら れ た.一 方s-GPTで もs-GOTと ほ ぼ 同 様 の 動 き を み せ た が 術 後168時 間 目 で はGroup 1 とGroup 2,3の 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た.(図3) 2) T-Bilirubin Group 1で は,術 後96時 間 目 ま で は1.0mg/dl 以 下 と 正 常 範 囲 で あ っ た が,術 後168時 間 目 で は 3.60±2.44mg/dlと,終 始1.0mg/dl以 下 を 示 し た 他 の2群 に 比 し 高 値 を 示 し た(P<0.05).(図 4) 3) Albumin Group 1で は 術 直 後 よ り減 少 し術 後48時 間 で 1.4±0.1g/dlと 最 低 値 と な り96時 間 目 に は 1.9±0.4g/dlに 回 復(P<0.05)し た が,168時 間 目 に は1.8±0.3g/dlと 減 少 傾 向 が み ら れ た. 方Group 2,3と も に 術 後 早 期 に 著 明 な 低 下 を み た が24時 間 目 に お い て 早 く もGroup 1と 比 べ,明 ら か な 回 復 を み せ た(P<0 .05)(図4) 4) 血 中Ammonia 血 中 ア ン モ ニ ア は,術 後6時 間 目 にGroup 1, 2と も に,各 々266.3±9.7μg/dl, 205.3±57.3 μg/dlと 上 昇 し た.Group 2で は168時 間 目 に は 85.8μg/dlと 正 常 域 に 低 下 し て い た が,Group 1で は168時 間 目 に は498.8±218.9μg/dlと Group 2に 比 し 急 上 昇 に 転 じて い た(P<0.025). (図5) な おGroup 3で は ほ と ん ど変 動 を 認 め な か っ た.5) Ornithine carbamyl transferase (OCT) OCTはGroup 1,2に お い て 術 後6時 間 目 に,各 々96.3±23.3U/ml, 75.0±25.9U/mlと 上 昇 し た が,96時 間 目 に は12.0±3.7U/ml, 9.0± 1.6U/mlと 低 下 し て い た.し か しGroup 1で は168時 間 目 に4154.0±434.2U/mlと 著 明 に 上 昇 し て い た(P<0.001). 図5 血 中 ア ン モニ ア の変 動 (拒絶 反 応 時NH3は 有 意 に上 昇 す る.)
図6 OCT (Omithine carbamyl transferase)の 変 動 (拒 絶 反 応 時 急 激 な 上 昇 をみ る.) Group 3で は 有 意 の 変 化 は 認 め ら れ な か っ た (図6) 3. 血 糖,血 清Insulin(IRI), Glucagon(IRG) お よ びCatecholamineの 経 時 的 変 化 Group 1に お い て は 血 糖 値 は 術 後6∼12時 間 に か け 上 昇 し,168時 間 目 に も84.8±36.3mg/dl と 比 較 的 よ く 維 持 さ れ て い た.IRIも 術 後6時 間 目 に 上 昇 し た が,Group 1と 他 の2群 に 大 き な 差 を 認 め な か っ た.血 中IRGお よ びCate cholamine値 はGroup 1に お い て168時 間 目 に は,各 々678.6±461.4pg/ml, 1.67±0.26ng/ml と 急 上 昇 し た(P<0.025). Group 2に お い て はIRGは12時 間 目 に 236.3±64.6pg/mlと 最 高 値 を 示 し,そ れ 以 後 は 上 昇 せ ず 推 移 し た.CatecholamineはGroup 1
と 同様 に,術 後12時 間 目 に1.54±0.23ng/mlと 上 昇 し た が そ の 後 急 速 に 低 下 し,168時 間 目に は 正 常 化 して い た.(図7,8) 図7 血 糖 値,IRI,IRGの 変 動 (拒 絶 反 応 時IRGの み 有 意 に 上 昇 して い る.) 4. 血 漿 遊 離 ア ミ ノ 酸 の 経 時 的 変 化 1) 総 ア ミ ノ 酸 量(TFPAA)
ア ミ ノ 酸 量(Total Free Plasma Amino Acids, TFPAA)はGroup 1に お い て は,術 後6時 間 目 に は193.3±23.0μmol/dlと 低 下 し た 後,168時 間 目 に は403.9±176.5μmol/dlと 急 激 に 上 昇 し た(P<0.05). 方Group 2,3に お い て もGroup 1と 同 様 に 術 後6時 間 目 に,各 々190.3±30.2μmol/ dl, 181.7±19.7μmol/dlと 低 下,徐 々 に 術 前 値 に 回 復 し,168時 問 目 に は,各 々280.5±27.0 μmol/dl, 318.0±30.9μmol/μlと な っ た が Group 1の 如 き急 激 な 上 昇 傾 向 は示 さなか った. (図9)
図8 Catecholamine (Adrenaline, Nora drenaline)の 変 動 (拒 絶 反 応 時Cathecolaineは 有 意 に 上 昇 す る.) 図9 総 ア ミノ酸 量 の変 動 (拒絶 反 応 時総 ア ミノ酸 量 は増加 す る.) 2) 分 枝 鎖 ア ミ ノ 酸(BCAA)
Valine(Val), Leucine(Leu), Isoleucine(Ile) の 分 枝 鎖 ア ミ ノ 酸(BCAA)の 変 化 を み る と, Group 1,2,3と も に,術 後6時 間 目 に は 各 々, 21.4±4.1μmol/dl, 17.6±4.7μmol/dl, 20.4±3.2μmol/dlと 低 下 し,以 後 徐 々 に 術 前 値 に 回 復 し た.術 後168時 間 目 に はGroup 1で 他 の2群 に 比 し て67,12±31.1μmol/dlと 高 い 傾 向 が み ら れ た が,有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た. (図10) 3) 芳 香 族 ア ミ ノ 酸(AAA)
Tyrosine (Tyr), Phenylalanine (Phe)の AAAの 変 化 を み る と,6時 間 目 よ り96時 間 目 ま
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で3群 間 に 有 意 の 差 を 認 め な か っ た が,168時 間 目 に はGroup 1で37.9±15.5μmol/dlと Group 2,3の12.0±0.8μmol/dl,9.8±1.6 μmol/dlに 比 し,著 明 に 上 昇 し て い た.(図11) BCAA濃 度 図10 BCAAの 変動 (拒絶 反 応 時 にBCAA濃 度 は特 に有 意の 上 昇 は して い な い.) 図11 AAA濃 度 の変 動 (拒絶 反 応 時AAA濃 度 は 著 明 に上 昇 して い る.) 4) Fischer比(BCAA/AAA) 〔Val〕+〔Leu〕+〔Ile〕/〔Phe〕+〔Tyr〕 の モ ル 比 を み る と,全 て の 群 に お い て,術 後24時 間 目 にGroup 1で1.41±0.25, Group 2で 1.70±0.22, Group 3で2.10±0.11と 最 低 値 を 示 し た が,96時 間 目 に は,Group 1で2.53±0.49, Group 2で2.73±0.38, Group 3で3.49±0.29 と い ず れ の 群 も 平 均 値 で2.5以 上 に 上 昇 して い た. し か し168時 間 目 に はGroup 2で3.75±0.39, Group 3で4.25±0.72と 高 値 を 維 持 し て い た が, Group 1で は1.53±0.50と 急 速 に 低 下 し て い た (P<0.005).(図12) 図12 Fischer比 の 変 動 (拒 絶 反 応 時Fischer比 は 急 激 に 低 下 す る.) 5) Ornithine(Orn), Citrulline(Cit), Ar ginine(Arg) つ ぎ に,尿 素 回 路 関 連 の ア ミ ノ 酸 で あ るOrnith ine(Orn), Citrulline(Cit), Arginine(Arg)の 変 化 を み て み る と,OrnはGroup 1,2で は6時 間 目 に は,各 々4.6±2.1μmol/dl, 3.0±0.5 μmol/dlと 術 前 値 に 比 し上 昇 し た(P<0.025). そ の 後 両 者 と も 徐 々 に 下 降 し96時 間 目 に は Group 1で は2.1±0.8μmol/dl, Group 2で は 1.7±0.4μmol/dlと ほ ぼ 術 前 値 に 回 復 し た が, 術 後168時 間 に は,Group 1で は14.2±7.1 μmol/dlとGroup 2の2.0±0.5μmol/dlに 比 し 著 明 に 上 昇 し た. 方,Citは,逆 に 術 後6時 間 目 に は,Group 1で は1.8±1.0μmol/dl, Group 2で は1.3± 0.6μmol/dlと 術 前 値 に 比 し 低 下 し,術 後,極 め て 緩 除 に 回 復 し,96時 間 目 に はGroup 1で 1.19±0.8μmol/dl, Group 2で1.2±0.2 μmol/dlと な っ た が,168時 間 目 に は,Group 1 で は0.6±0.3μmol/dlと 急 激 に 低 下(P< 0.001)し,Group 2で は1.8±0.3μmol/dlと 術 前 値 に 復 帰 し て お り 好 対 照 を 示 し た(P< 0.001). と こ ろ がArgは,術 後6時 間 目 にGroup 1
で は0.9±1.4μmol/dl, Group 2で は3.5±1.3 μmol/dlと い ず れ も 著 明 な 低 下 を 示 し た が(P< 0.005),徐 々 に 上 昇 し168時 間 目 に はGroup 1 で11.2±4.9μmol/dl, Group 2で9.9±2.0 μmol/dlと ほ ぼ 術 前 値 に 回 復 し て お り3群 間 い ず れ に も 有 意 差 を 認 め な か っ た.(図13,14) 図13 Orn(Ornithine), Cit(Citrulline)の 変 動 (拒 絶 反 応 時OrnとCitは 逆 の 動 き を示 す.) 6) Alanine(Ala) 各 ア ミ ノ酸 分 画 中,も っ と も変 動 の 幅 が 大 き か っ た の が,Alanine(Ala)で あ っ た.す な わ ち, 3群 と も術 後12時 間 後 に はGroup 1で は14.8±
5.2μmol/dl, Group 2で は17.5±5.2μmol/dl,
Group 3で は20.8±4.2μmol/dlと 低 値 を 示 し た が,徐 々 に 回復 し,96時 間 目 に は3群 と もに, ほ ぼ 術 前 値 に 回復 して い た.し か し,術 後168時 間 目に は,Group 1で のみ 急 激 に 上 昇 し,208.3± 96.3μmol/dlと な っ た(P<0.001).(図15) 5. 移 植 肝 の 病 理 組 織 学 的 検 討 術 後168時 間 目 に 屠 殺 し採 取 した病 理 組 織 像 で は,Group 1で は 中 心 静 脈,小 葉 周 辺 部 に リン パ 球 形 質 細 胞 浸 潤 が つ よ く肝 細 胞 壊 死 が 著 明 で あ っ た.Group 2,3に は 著 変 は 認 め な か っ た. (写真1,2) 図14 Arg(Arginine)の 変 動 (Argは 術 後 早期 に変 動 す るが拒 絶 反 応 時 に は大 き な変動 は認 め な い.) 図15 Ala(Alanine)の 変 動 (Alaは 拒 絶 反 応 時 に 上 昇 し て い る.) 考 察 最 近 の 肝 移 植 手 術 成 績 の 向 上 は 免 疫 抑 制 療 法 の 進 歩 の み に よ る もの だ け で な く,手 術 術 式 の 改 良,術 前,術 後 の 代 謝 管 理 等,肝 臓 病 学 お よ び肝 臓 外 科 学 の 進 歩 に 負 う と こ ろ も大 きい もの と考 え られ る.こ の よ う な 見 地 よ り,今 回 わ れ わ れ は,肝 移 植 後 の 肝 のviabilityに 関 して 検 討 を加 え る た め 代 謝,生 化 学 的 な 面 よ りの ア プ ロ チ を行 う た め,イ ヌ で の 肝 移 植 実 験 を行 っ た わ け で あ るが,Starzl変 法 と も い うべ き3)方法 を 開 発 し,こ の 方 法 に よ れ ば2人 の 術 者 で実 験 可 能 で あ っ た.ま た こ の 術 式 は,技 術 的 に 成 功 し た とい え る,2日 間 以 上 生 存 率 は59.3%と 諸 家 の 報 告 に 比 し4)5)6)7),劣る もの で は な く,実 験 モ デ ル作 成 法 と し て 有 用 で あ る と考 え られ た.肝
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臓 移 植 に お け る 成 否 の 重 要 な 鍵 は,技 術 的 問 題 が か な りの レベ ル ま で解 決 され た 現 在,そ の 移 植 肝 が 実 際 に 有 効 に機 能 して い るか 否 か の 判 定, 即 ちviability判 定 が 重 要 な課 題 と な る.こ れ を 実 験 的 に検 索 し て い く上 で,ま た と くに 代 謝 の 面 か ら検 討 す る場 合 に は,冷 阻 血 の 肝 に 与 え る 影 響,開 腹 手 術 そ の もの の 影 響,ブ ドウ糖 を投 与 す る こ と に よ る 影 響 等 を 考 慮 に 入 れ な け れ ば な ら な い.そ こ で 著 者 は 対 照 と して,純 粋 に 冷 阻 血 の み 加 え,血 流 障 害 の 心 配 の 全 くな い 自 己 肝 阻 血 モ デ ル,い わ ば 自 己 肝 移 植 モ デ ル と い う べ き も の を 作 成 し,さ ら に も う一 群 開 腹,脱 血, 輸 血 し,糖 負 荷 を加 え た 群 を作 成 し検 討 の 対 象 と した もの で あ る. 写真1 肝移 植 群(Group 1)168時 間 目の 肝組 織像 (HE染 色,×100)(中 心 静 脈,小 葉 周 辺 部 に リンパ 球 形 質 細 胞湿 潤 が つ よ く肝細 胞 壊 死が 著 明 で あ る.) 写 真2 肝 移 植 群(Group 1)168時 間 目 の 肝 組 織 像 (HE染 色,×400) ま ずviability判 定 の 方 法 と し て,一 般 的 肝 機 能 に つ い て 検 討 し て み た.Transaminase値 の 変 動 は,冷 阻 血 群 で 術 後 早 期 に 最 大300IU/l程 度 で あ り,移 植 群 の500U/l以 上 の 上 昇 は 寺 脇6),中 野7)ら の 報 告 に あ る 冷 阻 血 の み に よ る肝 細 胞 障 害 だ け で な く,血 管 吻 合 に よ る,あ る程 度 の 血 流 障 害 も関 係 して い る もの と考 え られ た. さ らに 術 後168時 間 目に は 拒 絶 反 応 由 来 と思 わ れ るTransaminase上 昇 を 認 め,組 織 学 的 に も Starzl8)やCalne9)の 報 告 の 如 き 拒 絶 反 応 に 起 因 す る所 見 が 認 め ら れ た. T-Bilirubinは,イ ヌ に お い て は 阻 血 の影 響 は 全 く受 け ず,168時 間 目 に よ うや く軽 度 の 上 昇 を 示 し た に す ぎず,他 の 長 期 生 存 犬 で も死 亡 直 前 まで3mg/dl以 下 を続 け た もの が 多 く,Uchida10) らの 報 告 に 見 ら れ る よ う な,拒 絶 反 応 に よ る10 mg/dl以 上 の 高 度 な上 昇 は 認 め られ ず,viability の 判 定 に は 有 用 で な い と思 わ れ た. Albuminは 移 植 例 で は 回 復 が お くれ,術 後 低 値 が 持 続 す る.こ れ は,手 術 に よ る侵 襲 や,阻 血 に よ る 肝 障 害 の み な らず,肝 の ア ミノ酸 プ ー ル の 大 きいAlanineの 変 動 か ら も推 察 され る よ うに11),ま た 圓 谷 らの 大 量 肝 切 除 術 後 の 血 中 ア ミ ノ酸 の 変 動 の 報 告 に み ら れ る よ うに12),血清 と肝 ア ミ ノ酸 プ ー ル と の 間 の 移 行 が 不 足 した りあ る い は 円 滑 に い っ て い な い こ と も一 因 と考 え られ た. 次 に 血 中 ア ミ ノ酸 パ タ ー ン の 変 動 に つ い て 検 討 し た.重 症 肝 障 害 時,ア ミ ノ酸 代 謝 異 常 が 見 られ る こ とは,古 くは1985年Rokitanskyの 報 告13)以 来 よ く知 られ て い るが,臨 床 の 場 に お い て 注 目 さ れ た の は1974年Fischer-派 の 血 漿 遊 離 ア ミ ノ酸 の 変 動 を肝 性 脳 症 の 発 症 の 立 場 か ら論 じた 画 期 的 な業 績 以 来 で あ る14)15).その 後 わが 国 で も,渡 辺16),佐 藤17)らの グ ル ー プ の精 力 的 な研 究 が 行 な わ れ て い る.一 方 肝 移 植 に お け る ア ミ ノ 酸 代 謝 の 異 常 に 関 す る報 告 は 臨 床 例 で の2, 3の 報 告 で み るの み で18)19),実験 的 に もGraftの primary non-functionに 関 して の 報 告 が 数 例 み ら れ る の み で あ る20)23).これ は ア ミノ酸 代 謝 に 与 え る 手 術 侵 襲 そ の もの の 影 響 と そ れ に よ る糖 代 謝 の 変 動,各 種 ホ ル モ ンの 影 響 等 が 複 雑 に か ら み あ っ て お り,こ れ ら を考 慮 の上,解 析 す る の が 困 難 で あ る こ と も原 因 の 一 つ と考 え ら れ る. そ こ で 今 回 わ れ わ れ が 作 成 し た実 験 系 は,手 術お よ び 阻 血 の 影 響,糖 負 荷 の 影 響 を考 慮 し た 上 で,行 な っ た もの で あ る. ま ず 総 ア ミ ノ酸 量(TFPAA)の 変 動 を み て み る と,術 後48時 間 まで の 早 期 に は 肝 移 植 群 で低 下 して い る も の の 対 照 群 で も 同様 の 変 動 を示 し て お り,早 期 に は 移 植 肝 の 機 能 さ え よ け れ ば, Fathら の い う18),肝 の ア ミ ノ酸 ク リア ラ ン ス が 早 期 よ り働 き,無 肝 状 態 で上 昇 し て い る と推 定 さ れ るTFPAAを 下 げ,ま た 手 術 侵 襲 に よ る 血 糖 植 の 上 昇,高Insulin,高Catecholamine状 態 もTFPAAの 低 下 に,関 与 して い る もの と考 え ら れ た.こ の こ と よ り逆 にFathら の 示 して い る ご と く総 ア ミ ノ酸 量 が 早 期 に 低 下 し な い 場 合 はprimary graft non-functionの 可 能 性 大 で あ ろ う と考 え ら れ た.拒 絶 反 応 時 に はTFPAA が 急 上 昇 し て い るが,こ れ は 肝 細 胞 壊 死 の 結 果 放 出 さ れ る ア ミ ノ酸 の 増 加 と肝 の ク リア ラ ン ス 低 下 に よ る もの と考 え られ た18).この 時 本 来 血 中 ア ミノ酸 を低 下 させ る作 用 の あ るGlucagon25)は 高 値 で あ る が,大 野 が 述 べ る が ご と く27),拒絶 反 応 時 に は 肝 細 胞 膜 障 害 の た めGlucagon rece ptorの 障 害 が お こ り, Glucagon作 用 が 生 じに くい も の と考 え られ た.次 に ア ミ ノ酸 パ ター ン の 変 動 に つ い て検 討 し て み る と,ま ずBCAAの 濃 度 は 早 期 に 低 下 す る.こ れ は 手 術 侵 襲 に よ る 高Insulin血 症 に よ り,Insulin依 存 性 のBCAA
が 筋 へ 早 急 に 取 り込 まれ る た め,血 中 濃 度 の 低 下 が 招 来 さ れ24)26),その 上 移 植 群,冷 阻 血 群 に お い て は 先 行 す る無 肝 状 態 がBCAAの 酸 化 を 促 進 す る た め28),こ の こ とが 術 後 のBCAAの 早 期 の低 下 を促 進 して い る と思 わ れ る.ま た拒 絶 反 応 時 に も 目立 っ た変 化 は な く,こ の パ ター ン は 劇 症 肝 炎 時 のBCAAの 動 き と よ く似 て お り17)29),これ はBCAAが 主 と して 筋 肉 内 へ の と り こみ が 大 で26),筋 肉 内 で処 理 さ れ 後 述 す るAla 等 へ の 転 換 に よ り,正 常 値 に 維 持 さ れ て い る も の と 考 え ら れ た.一 方Tryosine(Tyr)と Phenylalamine(Phe)のAAAの 濃 度 は,術 後 早 期 に は 移 植 群 と他 の 群 の 間 に 大 きな 差 は 認 め ら れ な か っ た.こ れ は 高 浜30),鬼 束20)ら の 無 肝 犬 の 実 験 で み ら れ る ご と く,無 肝 状 態 に よ るAAA の 上 昇 は 肝 全 摘 後3時 間 で よ うや く有 意 の 上 昇 を示 す こ と よ り,70分 ∼80分 程 度 の 無 肝 期 の 長 さ で は,移 植 肝 が 機 能 しは じめ る と,直 ち に 代 謝 され は じめ 正 常 値 を保 つ もの と考 え ら れ た. し か し,拒 絶 反 応 が お こ る と,急 激 に 上 昇 し た. こ れ はAAAは 肝 で処 理 さ れ る た め,拒 絶 反 応 に よ り,肝 のAAAの 処 理 能 の 低 下 に よ る も の と劇 症 肝 炎 時 と 同 様 にRosenら の 述 べ て い る如 く15)壊死 に 陥 った 大 量 の 肝 細 胞 に 由 来 して い る も の と考 え ら れ た. Fischerら に よ る と1)重症 肝 障 害 時 に は 以 上 述 べ たBCAA/AAAの モ ル 比(い わ ゆ るFischer 比)が 低 下 す る と報 告 し て い る.こ れ は 肝 性 脳 症 の 病 因 との 関 係 で 主 に 論 じ ら れ て き た が, Reilly19)ら は9例12回 の 肝 移 植 臨 床 例 につ い て, ア ミ ノ酸 パ タ ー ン に つ い て検 討 し,術 前 の モ ル 比 は全 例2.5以 下 で あ っ た が,成 功 例 で は,術 前 モ ル 比1.5±0.1が 術 後3.2±0.2と 上 昇 してお り, 逆 に 不 成 功 例 は1.2±0.1と 低 下 し て お り,術 後 2.5以 下 が 持 続 す る場 合 に は 再 移 植 を余 儀 な くさ れ た り,死 亡 して お り,術 後 の 肝 のviabilityの 良 い指 標 で あ る と述 べ て い る.ま た 中 島 ら も22)術 後 早 期 の モ ル 比 に つ い て 検 討 し,血 流再 開 後3 時 間 でviability良 好 群 は2.81以 上 の 値 を示 し, viability不 良群 で は2.27以 下 で,移 植 肝 のvia bility判 定 に 有 用 で あ る と述 べ て い る.著 者 の 成 績 で も拒 絶 反 応 に 伴 いAAAが 上 昇 す る こ と に よ り168時 間 目に は1.53±0.50と 低 下 して い た. こ の 変 化 は 今 回 の 成 績 に 含 め て い な い30日 以 上 の 生 存 例3例 も,死 亡 前 他 の 一 般 肝 機 能 の 変 動 に 先 が け て,モ ル 比 の 低 下 が み られ,viabilityの よ い指 標 と な る も の と考 え られ た.肝 移 植 時, 阻 血 お よび 拒 絶 反 応 に よ り肝 のmitochondriaに 障 害 が 起 こ る であ ろ うこ とは 容 易 に 想 像 で き る. 久 永 ら は23),これ を肝 のenergy charge level31), 即 ち 血 中 ケ トン体 比 で 見 る の が 早 期 予 後 の 判 定 に 有 用 で あ る と述 べ て い る.そ こ で著 者 はmito
chondriaの 拒 絶 反 応 時 の 障 害 をア ミノ酸 代 謝 の
面 か ら見 る た め に,尿 素 回路 関 連 ア ミ ノ酸 で あ
るOrnitine(Orn), Citrulline(Cit), Arginine (Arg)の 変 動 に つ い て検 討 を加 え た.OrnとCit は 図14の ご と く対 照 的 な 動 き を示 し,術 後 早 期
に は 阻 血 の 影 響 の た めGroup 1,2共 にOrn
は 上 昇 し,徐 々 に 下 降 し,Group 1で 拒 絶 反 応
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早 期 に は 減 少 し徐 々 に 増 加 して い っ た が,Group 1で は 拒 絶 反 応 時 に 急 激 な低 下 を き た し た.こ れ は,CO2とAmmoniaお よ びATP由 来 の リ ン 酸 が 縮 合 し, Carbamoyl phosphate synthetaseの 触 媒 に よ り, Carbamoyl ph osphateが 作 ら れ,OCTが こ れ に 作 用 してCarbamoyl部 分 をOrnに 転 移 してCitが 生 じ
る.32)こ のOCTが 術 後 早 期 に 軽 度 上 昇 し,さ ら に 拒 絶 反 応 時 高 度 に 上 昇 して い る.Ammonia も 同様 の 動 き を示 し(図16),Orn濃 度 と高 い 相 関 を 示 して い る.ま たArgの 上 昇 が み られ ない. 図16 OrnithineとAmmoniaの 相 関 関 係 OrnとNH3濃 度 は 高 い 相 関 関 係 を 認 め て い る.) (Arginine-glycine transamidaseの 作 用 で 腎 で Arg→Ornの 代 謝 で 低 値 を 保 っ て い る 可 能 性 も あ る が)以 上 の 肝 阻 血 や 拒 絶 反 応 時 のCitの 低 下 は 肝 のmitochondria障 害 の た め 尿 素 回路 の 第 二 段 階 の 反 応 に特 に 強 い 障 害 が 起 こ っ た た め と推 定 さ れ る.最 後 に 最 も変 動 の 幅 の 大 きか っ たAlaに つ い て検 討 し て み る と,術 後 早 期 に は 低 下 し,Group 1で 拒 絶 反 応 時 に 著 明 な 上 昇 を 示 した.こ れ は,術 後 早 期 に は 高Insulin状 態 の た めBCAAを 末 梢 に と り込 み,筋 肉 は こ れ を異 化 してAlaを 放 出 す るが34)35),機 能 し は じ め た肝 に よ り,Coriのcycleに と り こ ま れ,ア ミノ 基 転 移 反 応 の 上Pyruvate→Glucose 6-P を経 てglucoseと な り,ま た,筋 肉 に も ど り, 解 糖 さ れPyruvateと な り ア ミ ノ基 転 反 応 の 上 Alaと な り再 び 血 中 に 放 出 さ れ る,い わ ゆ る glucose-alanine cycleに よ り36)糖新 生 に 利 用 さ れ,そ の 上 糖 輸 液 に よ りAlaの 放 出 が 抑 制 さ れ た もの と考 え ら れ た.一 方,拒 絶 反 応 時 に は, 肝 機 能 低 下 に よ る末 梢 の エ ネ ル ギ ー 欠 乏 状 態 と な る た め,筋 肉 にBCAAの と り こ み が 増 加 し Alaの 放 出 が 促 進 さ れ る と考 え られ た.こ の 状 態 は,高 浜30),三 浦36),鬼 束20)ら も,イ ヌ に よ る 無 肝 犬 の 実 験 に お い て,肝 全 摘 後 のAlaの 著 明 な 増 加 を確 認 して い る. 結 論 移 植 肝viability判 定 の 目 的 で,Starzl変 法 に よ る 肝 移 植 群,移 植 肝 と 同 時 間 の 冷 阻 血 時 間 を 肝 に 与 え た,自 己肝 移 植 群 と も い うべ き肝 冷 阻 血 群,こ れ ら2群 と 同 時 間 開 腹 し糖 負 荷 を 加 え た 群 の3群 の 実 験 モ デ ル を作 成 し,術 前,術 後6時 間 ∼168時 間(拒 絶 反 応 時)の 一 般 肝 機 能
検 査,血 中Ammonia, OCT,血 糖,IRI, IRG,
Catecholamineお よ び 血 漿 中遊 離 ア ミノ酸 の 測 定 を行 い,そ の 変 動 を観 察 し以 下 の 結 論 を 得 た. 1) s-GPTの 上 昇 は 術 後 比 較 的 長 期 に 続 き, 血 行 再 建 に 伴 う血 流 障 害 の可 能 性 が示 唆 され た. ま た,T-Bilは 拒 絶 反 応 の 時 に も高 度 上 昇 な く, Albuminは 術 後 低 値 が 持 続 して い る ためviabil ity判 定 に 有 用 で な い と考 え ら れ た. 2) 総 ア ミ ノ酸 量 は 早 期 に は上 昇 し な い が 拒 絶 反 応 時 に は 急 激 に 上 昇 し,肝 の ア ミノ酸 の ク リア ラ ン ス の低 下 に 起 因 す る もの と考 え られ, 肝viabilityの 早 期,ま た 拒 絶 反 応 時 の 良 い 示 標 と考 え られ た. 3) 血 漿 中 ア ミ ノ酸 パ タ ー ン で はBCAAは 早 期 に は 低 下 す る が,拒 絶 反 応 時 に は 有 意 の 変 化 を 認 め な か っ た.し か しAAAは 早 期 に は 大 き な 変 化 な く拒 絶 反 応 時 に は 急 激 な上 昇 を き た し,こ れ ら の モ ル 比 は 拒 絶 反 応 時 急 速 に 低 下 す る こ と に よ り,拒 絶 反 応 の 良 い示 標 で あ る と考 え られ た.
4) 血 漿 中Orn, Cit, Arg濃 度,血 中NH3),
OCTを 検 討 し,拒 絶 反 応 時Orn濃 度,血 中
NH3,OCTの 上 昇,Cit濃 度 の 低 下,Arg濃
度 の 不 変 が 観 察 さ れ,拒 絶 反 応 時 に は,肝mito chondria内 で の ア ミ ノ酸 代 謝,就 中 尿 素 回 路 の 第2段 階 で の 反 応 が 障 害 さ れ て い る 可 能 性 が 大 な る もの と思 わ れ た. 5) 測 定 さ れ た 血 漿 中 ア ミ ノ酸 の う ち,最 も 変 動 の 巾 が 大 きか っ た の はAlaで,特 に 拒 絶 反
応 時 に は 急 上 昇 を示 し た.こ れ は,肝 細 胞 障 害 に よ るエ ネ ル ギー 欠 乏 状 態 に よ る末 梢 よ りのAla の 放 出 の 亢 進 と, glucose-alanine cycleの 障 害 に 起 因 す る も の と推 察 され た. 稿 を終 え るに あ た り,御 指 導,御 校 閲賜 った 折 田 薫 三 教 授,岡 山大 学 医療 技術 短 期 大 学 部 三 村 久 教 授 に深 甚 な る謝 意 を捧 げ ます.ま た終 始,実 験 に御 協 力 い ただ い た大 野 靖 彦 学兄 に は心 か ら謝 意 を表 し ます.な お本 論文 の要 旨は 第19回 肝 臓 学 会総 会 にお い て発 表 した. 文 献
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