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血管移植に関する研究

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金沢学大十全医学会雑誌 第66巻 第3号 541−581 (1960) 541

血管移植に関する研究

金沢大学大学院医学研究科第一外科学講座(主任;

        小  林  次  夫

         (昭和35年12月27日受付)

ト部美代志教授)

 全身的疾患,例えば梅毒や動脈硬化症などの忌みら れる動脈瘤や,近来交通機関の急激な複雑化に伴って 著しく増加した外傷性動脈疾患などは,それらの疾患 の特質として保存治療法が困難iである.経過に多少の 差はあろうが究極的には破裂による大量出血という悲 惨な終末を告げることが多いのである.それにもかか わらずそれらの対策としては,極く最近まで姑息的療 法に終始せざるを得ない状態であった.しかし,一部 においてはすでに動脈の切除と補綴により,血管の 連続性を再建維持せしめようとする試みがなされ,

Carrel(i912)1)及びGuthrie(19192),19233))らに よる実験的研究等をあげることが出来るが,臨床的に は実用の段階には至らなかった.

 臨床的には,Coarctationの症例に同種動脈血管片 を端々吻合により移植したGross(1949)4)の報告を 嗜矢とするが,以来血管外科はめざましく進歩してき た.Grossはこの際移植片の保存法を重視し,特に移 植時動脈片の細胞が生存していることが必須条件であ るとし,B・S・S・溶液(Balanced salt solution)に自 家血清を加えた保存壷中に移植片を貯え,これにより 約1カ月は新鮮移植片としての使用が可能であるとの べた.これにならって,種々の保存液に貯える方法

(Peifce 19495), Moore 19566), Creech 19548), Gross 19517),Lam 195911)),或いは凍結法(Deweese 1959 エ。),Lam 195111)),及び凍結乾燥法(Marrangoni 1951 12),Pate 195313》, Humphries 195714), Gasper 195815),

Coleman 195516))等によって,動脈移植片を可及的 に新鮮に近い状態で,長期に保存し,使用に供しよう とする努力が払われたのであるが,このように保存し た動脈血を使用した臨床成績は,長期観察においても 新鮮動脈片を用いた場合に劣らぬことが示されたので

ある.

 一方Peirce(1952)17), DeBakey(1954)18)及び Shumacke「(1954)19)らは,これらの新鮮動脈片及び それに準ずる保存法を行った動脈片の移植成績を検討 し,移植血管は一時的には,血管の連続性を維持して

血流を保持するが,次第に移植血管自体の組織は死滅 し,宿主生体の組織でほとんどが置換される運命であ るとした.この考えに従ってGeza de Takats(1959)

20)は,牛の動脈片を1%Ficin(蛋白溶解酵素)によ って含有蛋白を溶解除去した後,FOfmalin固定を行 い,これを移植して実験的に良好な成績をあげたが,

臨床的に本法を応用して成功したとする報告もある

(Rosenberg 195723),1958, Hurwitt l 958)22)・また急 速凍結により低温保存した血管片を用いた血管移植に おいても,血管片の生きている状態(viable)は従来 考えていたほど重要でないことが確かめられた(Cole・

man 195124), Deterling 195325)).その結果,これら同 種及び異種動脈片の前処置法について種々考察がなさ れたのであるが,長期観察例においては種々の支障を みることが漸次明らかとなり,不成功の原因が,主と して移植片の退行変性,動脈瘤形成,破裂など移植片 自体の変化にあることが認められた.結局,血管移植 においては,たとえそれが新鮮同種片であっても生き た状態(viable)が,移行着床せしめられて移植の目 的が達せられるのではなく,移植片は宿主組織より移 植片周囲の補強並びに内膜の新形成がなされるまでの 期間,即ち移植片を支柱として宿主血管組織の機能を 充分果すような代用組織が完成するまでの期間,血管 の連続性を維持する物理的支柱としての必要条件を記 せばよいと考えられるに至った,このためには,移植 片は宿主体内に可成り長期に亘り,或いは永久に埋没 される運命にあるので,生体内で変化せず,しかも異 物としての反応が少ない材料を選ぶことが必要となっ てくることは容易に首肯されよう.かかる観点よりす れば,同種及び異種移植片は,それが支柱となって宿 主組織により周囲の補強がなされる場合,まず異種蛋 白に関する一連の生体反応を克服せねばならず,また 自家移植片はこのような問題を生じないかわりに,そ の適用において極度の制限をこうむらざるを得ない.

血管移植に関する各分野から検討が進むにつれて,生 理学的並びに臓器構造上の特色から,次第に人工合成  Studies on Blood Vessel Grafts. Tsuguo I(obayashi, Department of Surgery(Director:

Prof. M. Urabe), School of Medicine, University of Kanazawa.

(2)

材料の適用が妥当なことが注目されはじめたのであ

る.

 このような趨勢にあって1952年Blakemore 26)ら は,人工合成線維 Vinyon N を用いて代用血管と し,動物実験に使用して極めて優秀な成績を収めたの で,さらにこれを臨床的に応用して成功した.生体組 織を用いず,全くこれと異なる人工的に合成した物質 を血管に使用した最初の症例であった.これを契機と して,入工合成線維の急激な進歩がもたらされるとと もに,種々の新しい入工合成物が創製使用されて驚異 的な発展をみるに至ったのである.即ち1valon, Or・

Ion, Nylon, Dacron及びTeHonなどが相次いで登 場し,これらを材料とした合成代用血管の実験的乃至 臨床的研究が行われてきた.(Creech 195728), Shu−

macker 195729), Deterling 195530)).

 人工合成線維で作製した代用血管が,生体内にあっ ても変化せず,代用血管として長期に亘り支持組織と なって血管の連続性を維持し,血管の機能を果すと同 時に,周囲組織より侵入せる細胞によって,代用血管 の内外膜の形成が円滑に行われるならばまことに理想 的であるといわねばならない.

 しかし血管移植は,その臨床的応用が行われるよう になってからまだ日が浅く,未解決の問題が少なくな い.殊に同種及び異種移植片と合成血管との臨床的応 用に当っては,後者が優れていることが経験上明らか となっているが,その病態生理学的理由についてはな お明らかとされていない.そこで著者は数年来,保存 生体血管片としては70%Alcoho1内に浸漬した同種 及び異種血管片を用い,人工合成線維としてTetoron 代用血管を用いて犬について移植実験を行い,経時的 に肉眼的並びに組織学的に比較観察を行った.一方血 管移植の成否を解明するには,まず,これら諸種の移 植血管材料が宿主生体にいかなる作用を及ぼし,どの ような生体反応を惹起せしめるかを明らかにしょうと した.そのためには諸種の操作により処理した異種及 び同種血管片を,実験的に家兎皮下に埋没し,これに より発現する生体諸反応を観察し,代用血管材料とし て比較的多く用いられている,Nylon, Tetoron及び Ivalon等についても同様の操作を行うことにより発現 する諸反応を追求して比較したたところ,就中,これ ら埋没家兎血清中の蛋白分劃の変動において,両者闇 に著しい差異を認めたことなど,二,三の興味ある所 見を得た.一方これら基礎的実験によって得た知識を 臨床上に応用して,血管の再建乃至補修を要するよう な疾患,或いは緊急の事態に対処して,一応満足すべ き成果を収めることが出来たのでここに報告する.

血管移植動物実験

 1.70%Alcohol内保存同種及び異種動脈片移植実   験並びに成績

 (1) 移植血管の種類と作製法

 70%Alcoho1内保存同種及び異種動脈片:同種動 脈片としては,健康犬の胸部大動脈を大動脈弓部より 横隔膜部まで切除する.周囲の結締織を固定前に出来 る限り充分に,除去する.肋間動脈枝は結紮せずに直 ちに70%Alcoho1内に保存した.使用にあたり宿主 血管の内径と一致するものを選び,肋間動脈はその際 結紮した.固定後の方が肋間動脈分岐部を確認するの が容易であり,固定前に結紮すると,長期のAlcohoI 内保存中に結び目がゆるくなり,往々移植後思わぬ出 血に遭遇するからである.異種片としては,牛の内頸 動脈を使用した.これは分岐や分枝がなく,犬の腹部 大動脈と内径がほぼ一致しているからである.両者と もに可及的無菌的に採取し,速かに(採取後5分以内)

70%Alcoho1内に保存した.使用時,生食水で充分 Alcoho1を洗薬除去した後,移植に供した.

 (2)移植部位と短枝  a)移植部位に対する検討

 なるべく同一条件下に移植して,成績を比較出来る ように工夫した.胸部大動脈で移植を行うと,遮断時 間による障碍や,閉真後にみられる種々の合併症,特 に膿胸などは移植片に対して致命的影響を与える.ま た血流遮断の安全許容時間は,大動脈の部位により著 しく異なる72)73).胸部大動脈を遮断すると,脊髄の血 行阻害を招き,しばしば下肢の麻痺を発生するが,臨 床的見地からの遮断安全時間は,せいぜい20分程度に すぎない.移植手技を完全に遂行するためには少なく

とも20〜30分は要するので,常温下での移植実験にお いては胸部大動脈を,移植部位に用うることは種々の 困難を伴う.腎動脈分岐部以下の大動脈遮断安全時間 は,Giuse伍(1957)72)の述べている如く,4時間以 上に亘っても障害なく,大動脈を結紮しても,永久に 生存していることが報告されている.従って,腎動脈 分岐部以下の大動脈においては,長期遮断に耐え,生 体の血行障害による影響が僅少である.これにより移 植実験は腎動脈分岐部より総腸骨動脈分岐部までの間 で行った.

 b)手術手技に関する検討

 実験犬はRavona1或いはIsomytal 30〜50 mg/kg の割合で腹腔内に注入して麻酔し,仰臥位に固定し,

剃毛の上,皮膚を消毒する.正中切開で開腹し,後腹 膜を切開して腹部大動脈を露出する.

(3)

血 管移 植

543

 回腸二二動脈及び腰動脈2〜3対を結紮切断する と,大動脈は可動性となる.ついで出来るだけ血管外 膜組織を除去した.4〜6cmの長さを移植置換する場 合,外膜の除去は腎動脈分岐部より総腸骨動脈分岐部 まで行い,血管内膜の損傷を防ぐため,絹糸を巻きつ けたSatinsky氏大動脈遮断鉗子で,移植範囲の中枢 側及び末梢側において広範囲に大動脈血流を遮断し た.腹部大動脈を切断すると両端が,かなり退縮する ので,移植片の長さ%の長さの大動脈を切除すれば移 植完了時の緊張状態は良好とな一る.一縫合糸には,黒軟 質絹糸一:Ng・2付血管用丸針Nα2を用い,2点支持 を行った上,中枢側縫合をなし,ついで末梢側の縫合 を行った.二二にTetoronミシン糸を使用したが,

縫合部の緊密性を欠く欠点がある.縫合は輪状連続縫 合(Continuous over−and−over suture)を行った.

縫合終了後,生食水を出来るだけ細い注射針により移 植片に充満させ,内心に残存している空気を,縫合部 より駆逐し,さらに縫合不全の部を確認した。

 遮断解除は末梢血より行い,鉗子をはずして末梢動 脈内に停滞していた動脈血を逆流させて移植片歯腔を 充満させる.これにより,さらに詳細に確実に縫合部 の良否が検討される.次いで中枢側鉗子を極めて徐々 に除去する.縫合部からの一過性出血は免れないが,

予めGaUzeで軽くこの部を圧迫すれば,暫くにして 止血する.移植片周囲の血腫の発生を危惧して,原則 として後腹膜の閉鎖は行わなかった.腹壁は一次的に 閉鎖した.抗凝固剤,止血剤等は使用せず,Penicillin を20万単位/日を術後2日間使用した.

 (3)実験成績

 同種及び異種動脈移植片を用い,前述の方法に従っ て移植を行った犬19頭の成績は次の如くである(第1

表).

 a)70%Alcoho1内保存同種動脈片移植成績(第2   表)

 使用した同種動脈片のAlcoho1内保存;期間は大多 数が2,3カ月であるが,なかには8カ月以上保存し た移植片を用いたものもある,(No.63, No.64, No

90)

 術後経過について肉眼的並びに組織学的に観察する と,術後3〜7日(Nα19,:No.63, Nα20及び:No.

15)においては,移植片は周囲の血腫中に包埋され,

一部は線維素性膠着を営むが,容易に剥離し得る.内 面は一様に薄いFibrin膜で覆われ,殊に縫合部にお いて,縫合糸を中心とする凝血様の血栓膜の附着が組 織学的にも認められる(第10図).また縫合部附近では 宿主血管壁及び周囲組織に赤血球,淋巴球,好中球等 の浸潤が認められるが,移植片内面に向う鉢動脈側よ

りの新生内膜の延長増殖は未だ認められない.

 術後2週間においては(No。14),移植片の周囲は,

かなり厚い線維素一線維性の被膜でかこまれている が,癒着の状態はそれほど平心でなく,手指をもつて 剥離することが出来る.組織学的には,躰動脈の申,

外膜及び移植片周囲組織より結合織の新生及び移植片 線維間への侵入がおこりかけている.内膜側において も縫合部の小血栓は漸次移植片の方へ薄層をなして被 覆伸展をはじめ,Fibroblastsの増加が認められる が,これは未だ移植縫合部近傍にとどまり,移植片内 面の大部分はFibfinと赤血球より成る膜にて覆われ

る.

 術後1.5〜2カ月(No.29)移植片は周囲組織と輩固 に癒着し剥離出来ない.内面は肉眼的には平滑光沢あ る新生内膜をもつて覆われ,縫合糸を透見せしめる.

組織学的にも,移植片内面を覆う線維性一部肉芽様の 新生内膜,鉢血管よりなめらかに移行するのが認めら 第1表  各種移植片を用いての移植成績

移植血管の種類

移植数

開  存  例 開存 内膜形成 拡

幅数回不細細張

血栓

閉 塞

破 裂

不明逃

手術

亡1死

7・%Al・・h・1内保綱翻剥片1ユ218}5国 同2巨1・1

3

7・%A1・・h・1三保罎二二片1713国21 1い1

1

Tetoron布一層代用血管

13・112i5■3目2161 218

Tetoron布二層代用血管

112i7i2国

2

112

Tetolon布二層間

Polyethylene膜挾挿代用血管 8 5 4 1 1 2

Tetoron−Sleeve代用血管

gi211il1

5

q1

(4)

れ,縫合部を識別出来ない.鉢動脈より移植片に亘る 外膜の部にはかなり厚い結合織増殖が認められ,外方 より移植片中膜の線維間へ侵入する傾向を示している

(第11図).移植片の中膜は,概観的には躰動脈の弾力 線維並びに筋線維に著しい変化を認めないが,Wei・

gert氏弾力線維染色を施して観察すると,弾力線維 の萎縮,断裂がみられ,この部に対して外膜側より結 合織の侵入が起っているのが観察される.なお縫合絹 糸の周辺には,かなりの細胞浸潤と異物反応が認めら

れる.

 術後5〜9カ月 (No.30, No.64),移植片は周囲 組織の中に埋没され,肉眼的には鉢動脈と移植片とは 識別出来ない.組織学的観察でも,新生内膜及び外膜 の肉芽様の細胞浸潤はみられなくなり,勝砥性の緻密 な結合織が完成している.

 以上述べた9例(うち4例は術後早期剖検)に対比 して注目されねばならないのは,移植後における,保 存動脈片の拡張及び血栓形成の問題である.著者は術 後早期剖検例を除く8例中3例(No.28, No.87, No.

90)において移植片の拡張を認めた.これらは,いず れも術後4乃至9カ月を経過したもので,剖検前の大 動脈造影においても拡張像が証明せられた(第6図).

屠殺後肉眼的にみると,移植部の全体または一部(中 枢側)が紡錘形に拡張し,拡張部の壁は葬薄となって いるが,内膜の形成においては他例と変りがない(第1 図).従ってこの3例中2例において拡張部に血栓を 認めたことは,血栓形成の原因が内膜の異常によるの でなく,内藤拡張のため渦流形成を惹起して血栓がつ くられたと考えるべきであろう.この見解は移植片の 中枢側%だけが拡張した例(No・90)において,拡張 のない末梢側の移植片内腔に血栓がなく,拡張部に限 局した血栓が存在したことからも支持されよう.従っ てこの移植片拡張は,移植後の変化に基くことが想像 されるのであって,このような拡張部を組織学的に観 察すると,Van Gieson染色において明らかなように

(図12),移植片の中膜弾力線維層の萎縮断裂が高度 で,外膜側より盛んに膠原線維の侵入増殖がおこって いるのが観察される.移植片の中膜弾力線維層が殆ん 第2表  70%Alcoho1内保存同種動脈血移植成績(12例)

No.

14

15

19

20

28 29 30

42

63 64

黷W7

90

重㎏

8

10

13

13

16

14

12

18

10

8一10

12

8

♀♀♀♀♀

3

♂小O一公∪♀ 移植片1 保存期 20日

46日

48日

80日

60日

24日

60日

60日

286日

286日

50日

250日

死因剖検:

所  見

衰弱死

屠  殺

察間観期 15日

7日 3日 6日 126日

48日

161日

12日

4月

282日

186日

286日 移植 成否 開存

開存

開存

移  植  片  所  見 周囲との結合織と容易に剥離し得る.

全く認めない. 内膜の新生は

腹腔内は膿様物充満す.術後股動脈搏動触知,移植 片は完全に開存するも縫合部一部血栓認めるのみで

内膜全くなし.

内膜は開存していたが,内膜の新生なく,Fibrinの 附着もほとんど認めない.

周囲にかなり厚い血腫を形成する.

なし. 内壁に血栓附着

紡錘状に拡張す.内腔は宿主片と移植片とほとんど 識別し得ず,血栓形成全く認めず.

移植片は周囲結締織に囲続せられるも摘出するに内 腔の血栓形成なし.

内膜形成良好,縫合糸透見す.

術後動脈搏動触れなくなり再開腹後血栓除去,1週 目より歩かず次第に衰弱を認めたので,剖検.内膜 形成なし,血栓による内腔完全閉塞.

移植片変化せず.

内膜形成極めて良好.

軽度の腫脹を認めるも内膜の形成良好なり.

移植片(約8Cln)の中央部がくびれ,それより中枢側 は拡張,血栓多し.末梢側は拡張少なく血栓ほとん

ど附着せず全体に移植片菲薄となる.

(5)

血管移植

545

ど吸収されつくし,比較的うすい結合織層のみが内膜 と接するような部は特に拡張が高度であ1?た.このよ うに移植片の中膜の変性が速やかで,外膜よりの結合 織補強が間にあわないような例では,比較的早期に高 度の拡張と血栓形成が起り,移植片壁の丁丁化と丁丁 って破綻の危険が増大すると認められる.

 特異な経過をとった1例はN.42であり,術後股 動脈脈搏を触れなくなったので,直ちに再開腹し1縫 合をはずして血栓除去を行った.再手術後1週間は経 過良好であったが,再び血栓による閉塞症状を現わ し,結局12日目に死亡した.剖検では血栓による内膜 の完全閉塞を認めた.

 b)70%Alcoho1三保存異種動脈片移植成績(第3   表)

 実験に供した犬は7例で,その中1例は手術後後肢 麻痺が回復しないまま死亡した.本実験群に特異なこ

とは,2例(No.13, No.33)の破裂出血死をみたこと で,これは同種片の場合は1例も認めなかった現象で ある. 2例とも移植後比較的短期間内(13日,46日)

に起っている.Nα13は中枢側縫合部が破綻してい たが,移植片は剖検時,すでにかなりの変色と軟化を 来していたζとから,その原因が縫合不全によるもの でなく,むしろ移植片の軟化による断裂の結果と考え るのが妥当であろう.事実,No.33においては移植 片のかなり広範囲な断裂のため,移植片を中心として 鶏卵大の出血塊を形成していた.本丸は死亡当日まで 元気で摂食していた.長期生存(126日)したNo・16 の移植片においても,内膜の新生はかなり良好に認め られたが,大動脈造影によっても,屠殺後肉眼的観察

によっても,かなりの拡張を呈し,壁の菲薄化が認め られた.組織学的に新生内膜の形成は,同種移植片の 場合に較べて遙かに菲薄で,細胞浸潤がみられる.さ らに特徴的な所見は,中膜弾力線維層の断裂萎縮及び 走行の不整が目立ち,中膜相当部分が著しく薄くなる と共に,外膜は相対的に厚くなって,中等度の細胞浸 潤と毛細血管の増生を伴い,移植片の中膜側へ侵入し ている(第13図).これらの所見によってAlcohol内 保存異種動脈片は,移植後宿主生体内において,同種 移植片の場合に較べて退行変性が遙かに迅速且つ高度 に起り,宿主生体からの結合織反応の不充分な初期に 軟化融解する.従って淋動脈の血圧に堪えられなくな って破綻する場合が多く,幸いに生著し得ても,すで にかなりの拡張変形を免れない状態であることが理解

される.

 2.合成代用血管(TetorOH)移植実験並びに成績  (1)移植代用血管の種類と作製法

 a)Tetoron布一層及び二層代用血管

 Tetoron taffetaは帝国人造絹糸株式会社の好意に より提供されたものを使用した.その特質は別表のと おりである.大血管の場合は,内径の軽度の不一致は 縫合時の技術的操作により補正することが出来るが,

内径1・Ocm以下の動脈の移植に際しては,極めて僅 かの内径の差が血流の渦流形成を招き,ひいては血栓 附着,さらに血栓による内部の閉塞を来す危険があ る.特に腹部大動脈の腎動脈分岐以下,総腸骨動脈分 岐部に至る間では,実測上長さ4cm内外で両端内径 差が約1.5mm〜2.OmmのTaperを示す管が移植縫 合の際最も便利である.そこで中枢側も末梢側も内径 第3表  70%Alcoho1内保存異種(牛→犬)動脈片移植成績(7例)

重㎏

犬番号

10

11

12

13

16

33 34

12

12

12

8

15

12

12

♂♂εδ♀♀

6

片期植存移二間

384日

384日

384日

386日

388日

392日

392日

死因剖検 所  見 手術後衰弱死

腹腔内感染死 亡

出血破裂死

屠 殺

屠   殺

(破裂出血)

屠 殺

察間観期

6日 7日 13日

13日

126日

46日

52日 移植 成否

開明

開存

開存

移  植  片  所  見

移植片やや変色し軟化す.内膜新生所見全くなし.

術後後肢麻痺とれず,剖検せず.

移植片内耳に新生内膜組織認めず.周囲組織との分 離極めて容易.

移植片は中枢縫合部に破綻を来たす.淡褐色に着色 し柔軟化す.血栓形成なし.

内膜形成は良好なるも可成りの拡張を示していた,

血栓なし.

移植片の一部破裂し移植片の周囲に紡錘状の出血塊 を形成す.外周囲とは血栓により全く連絡なし.内 膜認めず.

内膜形成著明でなくほとんど移植片移植当時の色心 を呈,縫合糸明視す,ただし血栓瘤形成はない.

(6)

の等しい円筒とせずTaperを示す移植片を作製した.

予めTetoron布に下図をかき,二重に折り重ねて,

その一端をTetoron製ミシン糸(帝国念慮絹糸株式 会社製)を用い2条乃至3条にミシンで縫合した.こ の際両断端は,そのままでは吻合の際ほつれる傾向が あるので耐火を利用して熱し,断端のTetoron布を 融合させた.これは合成線維の特性を利用したもの で,この操作により強度が減弱することはない.消毒 はAutoclave(120 C。)により乾熱滅菌するか,また は約15〜30分の煮沸消毒を行ったが,布地の変性は全 く起らなかった.Teforonで二層のTaper移植片を作 製する場合も,布を二枚重ねた上,前記と同様の操作 により作製した.

 b)Tetoron布二層間Polyethylene三曲挿代用血    管(Tetofon二層間にPolyethylene膜;を挿入    したもの)

 Tetoron布二層移植片作製の際,2枚の布の間に透 明なPolyethylene膜を挿入し,同様の操作により Taper状の血管片を作製した. Tetoron布代用血管に おいては,移植後,周囲から細胞成分が布目を通して 侵入し,新生内膜の形成に参与するといわれている が,この点を組織学的に追求するために対照として,

Polyethylene膜を挿入することにより代用血管周囲 からの細胞成分侵入を阻止したものを作った.代用血 管作製に当り,一層及び二層にした場合はかなりの屈 曲性及び柔軟性を有しているが,三層とすると殆んど 柔軟性を失ってしまうことは,手術手技上留意されね ばならぬ.

 c)Tetoron−Sleeve代用血管=

 提供を受けたTetoron−Sleeveは有沢製作所の好意 によるもので,その物理的特性は別表(第8表)の如 くである.Braidedの織り方は,壁が厚くなるのが 欠点とされているが屈曲性があるので,屈曲部に.は Braidedを用いることが好都合とされる.表に示す如 く,比較的内径の小さいものでも壁はかなりの厚さを 有し,内径の0.6cmのものにおいては,0.34mmに 達する.断端のほぐれ防止のために婚で焼くと,移植 時吻合しようとする断端の壁の厚さは一層増加して,

吻合に.極めて不都合な状態を招くことに注意しなけれ ばならない,この消毒は上記Tetoron布地より作製 した代用血管片と同様に行った.

 (2)移植部位及び手技

 前部に述べたと同様の理由より,犬腹部大動脈腎動 脈分岐部以下において合成代用血管片を移植した.鉗 子除去の際の布目よりの出血は,少量であるが免れる ことは出来ない.予め宿主血液に移植片を漬けておく

所謂Preclottingは,手術操作を入念にし,鉗子除去 を慎重に行えばその必要は殆んどない.移植片内部に 残る空気に血液が接触すると凝固が促進されて,解除 後2〜3分位でしばしば血栓による完全閉塞を経験し た.解除三内腔に生食水を充満しておく方法は,血液 を直接空気に触れさせず,血栓形成を予防する意味か ら重要の操作と考えられる.術後Penicillin以外の 諸種薬剤の使用は原則として行わなかった.

 (3)実験成績

 実験犬59頭に対してTetoron布一層,二層,二層 間Polyethylene膜挾挿(三層)及びTetoron−Sleeve の4種の1代用血管を移植した成績を比較観察した.

(第1表)

 a)Tetoron布一層代用血管移植成績

 移植を行った30例の移植成績は第4表の如くで,術 後早期死亡の6例及び逃亡した2例を除き他の22例に ついては術後最長342日まで経過を観察し得た.

 術後2〜3日(No.49, No.51, No.79, No.92)

においては,移植代用血管が凝血を介して周囲組織と 臨画しているが,容易に剥離し得る.内面には血栓膜 をみるが,内膜は形成されない.組織学的には吻合部 に少量の凝血を見,内面には菲薄なFibrin層と少量 の遊走細胞を認める.代用血管周囲の線維素性凝血 様組織中には細胞浸潤とFibroblastsの侵入がみられ

る.

 術後1週間(No・98).代用血管の周囲にはかなり 輩固な結合織の新生がみられ,癒着が強い.内膜はま だ形成されないが,組織学的には吻合部を中心として 抹動脈内膜の肥厚がおこり漸次代用血管側へ移行しか けているのが観察された,この状態は術後2〜4週

(No.68, No.113)においてもあまり変化がない.

 術後2カ月(No・60, No・76)・代用血管の外壁の 結合織性補強は殆んど林血管の外膜と外観上は変らぬ 程に完成し,緻密に周囲組織と癒着する.組織学的に も所謂肉芽の性状でなく,よく器質化された厚さ2 mm前後の腓砥組織として認められる.内膜の新生が 吻合部より代用血管の中央に向って進行しているが,

まだ全面を覆うに至らず,概ね吻合部より5〜8mm の範囲にとどまる(第2図).弾力線維の再生が躰動脈 より起るとの説もあるが,著者の例においてはそのよ

うな所見に接することは出来なかった.

 術後6〜7カ月(:No・44,:No・50).代用血管移植 部の外膜の状態は,すでに変化しなくなるが,内膜は この頃に至って漸く完成し,代用血管の全内面が,厚 さほぼ一様で,よく器質化された平滑な結合織性の内 膜で覆われることが,組織学的にも証明される(第14

(7)

血 管移植

547

第4表  Tetoron布一層代用血管移植成績(30例)

重㎏

犬番号恥

44 45 46 47 48 49 50 51

52

53

54

55

56

59

60

61

75

76

79 68

一82

8

12

12

8

8

8

9

10

11

10

10

12

13

10

12

10

16

12

14

14

8

♀♂

3 8

3

3

♂♂♂δ$♀♀εε♂

8

♂εδ

8

代用血管のcm

馴麟柔霜

5

5

5

4

4

4

4 4

5

6

4

4

4

4

4

5

4

4

4

6

4

0。7〜0.5

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0。7〜0.5

0.7〜0.5

0.8〜0.9

0.8〜0.9

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.9〜0.6

0.9〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.7〜0.5

鵬L因剖検所見1移植成否

        【(日)

 5

169腹腔内感染死  1

 手術出血死 2

2

6屠

開 存

212 2

230 3

342

完全閉塞

完全閉塞

 手術出血死 3

 1

276屠

12

163

逃 亡

 手術出血死 2

56

43 116

89

2

26

衰 弱 死 腹腔内感染 衰弱死

逃 亡

屠 殺

 衰 弱死

7

開 存

完全閉塞

開 存

不成功

開 存

開 存

開・存 完全閉塞

代 用 血 管 所見 移植片と周囲組織とは密に癒着し,分離し 得ず.内膜は中央部にて僅かに.島興状に布 地露出す.

剖検せず.

剖検せず.

術後直ちに股動脈搏動なし.後肢麻痺回復 せざるため屠殺す.内腔は新鮮な血栓で完 全閉塞.

内腔は器質せる血栓にて完全閉塞.移植周 囲器質化せる血腫あり.剖検時股動脈搏動 触れ,運動障碍全く認めず.

手術出血多量,術後股動脈触れず.

内膜は平滑一様な状態を示す.縫合糸認め

られず.

内腔には新鮮血液の附着せる状態にして容 易に剥離し得る.

剖検時両側股動脈の搏動が充分に触知され

:た.代用血管内腔は淡褐色に器質化させる 血栓で完全に閉塞.X線写真で側副循環が 充分に発達.

剖検せず.

外観上結締織で周囲は完全に器質化して移 植片の存在部位を確認せず.内腔は光沢あ る硝子化を認めるも一部には褐色の斑点を 透見し得ず.

剖検せず,手術後歩行せず.

逃亡時元気.

剖検せず.

縫合部,中枢末梢部ともに宿主動脈の侵入 せる内膜を認める.中央部はほとんど Tetoron布地のまま.

腹腔内は膿様液にて充満,血管内腔は開存 するも全く内膜の新生を認めない.

逃亡時元気.

中央部より末梢部に鐡を形成し,内膜は縫 合部附近にのみ認める.鐡部に器質化した 血栓を認める.

移植片は全く変化せず.囲周に血腫を形成 せるも容易に剥離し得る.

開存内膜の新生はない.布地を露出する.

ビロード状の血栓完全閉塞.

(8)

89

92

98

104

107

109

110

113

143 13

10

14

12

13

18

12

16

15

♀δδ♂

3

♀♂♂

3 6

4

6

4

5

5

5

4

5

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

1.0〜0。8

0.8〜0.6

0.9〜0.6

0.8〜0.6 220 屠

殺  術後胃拡張 3

9屠

104

305

106

 手術出血死 4

14

134

衰 弱 死

屠 殺

開 存

開 存

一部開存

開 蓋 開 存 不成功

内腔は硝子様に光沢を有し平滑,布を透見 し得る.縫合部に縫合糸を透見せず.

移植の状態とほとんど変らない.

周囲との癒着強し.内膜新生全くなし.

中央部はほとんど正常布を露出するも縫合 部附近では新生内膜の侵入を認める.

内膜透明硝子化し,一部透見して斑状の褐 色斑を認めるも血栓形成の傾向なし.

移植片の周囲は血腫が紡錘状に取りまきほ とんど器質化す.内膜血栓は器質化するも 一部開孔す.

剖検せず.

布内面は全く変化なし.一部縫合部に血栓

あり.

内旨の約%は不整な血栓が形成され,大部 分は器質化する.血栓は縫合部を一部越え ている.

図,第15図).

 鍍銀標本(第16図)でみると,合成線維を支柱とし て一般に粗大な膠原線維が密に交錯し,細い格子線維 の増殖は著しくない.しかも合成線維の内外を連絡す るのは,布目を通るこれらの粗大な少数の膠原線維の みであるから,代用血管内外の結合織層は容易に剥れ 易く,その結合は合成線維と外膜とは密に癒着するの に対し,合成織維と内膜との癒合は遙かに弱い.この 所見は後節で詳述するように新生内膜の形成に対して 代用血管の有孔性(Porosity)がどれほど重要性を もつかの間題とも関連して興味あるところである.

Tetoron布代用血管においては,異物反応は非常に軽 度で,線維周囲の反応性の細胞浸潤は殆んどみられな いといってよい.

 術後305日の亭亭開存例最長期観察(No・107)にお いては,新生内膜は幾分厚味を増して硝子化するが

(第3図,第17図)内子の開存も充分で,大動脈造影 によると宿主の躰血管と全く内径差のない完全な移植 代用血管であることが観察された(第7図),

 しかし一方,本実群群において特徴的なことは,

Alcoho1内保存異種動脈移植片の場合に好発したよう な移植部の拡張,破綻は1例もないかわりに,術後血 栓形成による内寸の狭窄(N(L143,第8図),或いは 完全閉塞(No・109,:Nα48等)がかなりの率(30町 中5例)にみられたことである.殊に晩期血栓:の4例

(:No.48, No.52,:No.109, No.134)は,いずれも 術後経過100日以上340日に至るものであるが,全経過 を通じ股動脈脈搏をよく触れ,後肢の萎縮も著明なら

ず,大動脈造:影によって側副血行路の充分であること が証明された(第9図).これらの例の剖検において,

器質化された血栓による内腔の完全閉塞がみられた が,その原因としては,著者の使用したTetoron布 が,代用血管としての強度においては充分であるが,

布目の有孔性(Porosity)は梢ζ高度なため,一層の 布地を用いた場合には周囲に遅発性の出血乃至は血腫 を生ずることがあり,かかる血腫形成は出血による血 圧下降と相俊って血栓形成率を増加せしめるものと考 えられる.また布地の薄さおよび平織りの弾力性の欠 如は,宿主の運動または周囲臓器の圧迫による代用血 管の屈曲,鐡嚢形成を充分に避け得ず,同じく血栓形 成を助長するものと考えられる.その対策として最も 実施し易いことは,材料の布地を二重にして代用血管 を作製することである,この見地から著者はさらに次 の実験群を設けたのである.

 b)Tetoron布二層代用血管移植成績(第5表)

 実験犬12頭に対してTetoron布二層代用血管を移 植して術後経過を観察した。手術死及び逃亡の3頭を 除くと,移植9例中6例の薫蒸率で,一層代用血管の 場合に比し一段と優れた成績を得ることが出来た.肉 眼的並びに組織学的検索においても,移植後の治癒過 程において,Tetoron布一層の場合と殆んどかわるこ とがないのを認めた(第4図).早期血栓を作ったもの が2例(No・91, No・100)あったが, No.97のよう に,移植後6日で代用血管周囲にはかなり大きい血腫 を形成していたにもかかわらず,代用血管の圧迫変 形,或いは閉塞等の状態なく,内腔は完全に開通して

(9)

血管移植

549

いるのを認めた.これらの結果からみて,代用血管に は適度のPorosityを保つと共に,宿主体内の種々な 条件に堪えて屈曲変形しないだけの強度と弾力性が必 要である.

 c)Tetofon布二層間Polyethylene丁丁挿代用血    管移植成績(第6表)

 前掲b)項において述べたように代用血管の布目よ りの血液漏出が周囲血腫の形成,ひいては移植部血栓 閉塞の要因をなすとすれば,有孔性を全くなくした代 用血管を応用したら如何なる成績を得るであろうかと の問題が起る.一ま十一合成線維から作った代用血管の新 生内膜形成過程については,代用血管の外膜より布目 をとおして内壁へ侵入するFibrocytes或いは組織細 胞が主役を演ずるという考え方から,合成血管の有孔 性(Porosity)の必須を説くもの53)と,移植代用血管 の内膜は肱動脈内膜の増殖延長による考え方を主張す るもの32)とがあって,これらが相並んで報告されてい る現状である.著者はこの間の消息を明らかにする試

みとして二層のTetoron布子にPolyethyle獄e膜を挾 み,全くPorosityをなくした代用血管を作製し,こ れを8頭の犬に移植してその成績を検討した.8頭中 手術死と逃亡の3例を除くと,長期観察:に.供した5例 のすべてにおいて代用血管の内腔開存と機能保全が確 認され(第5図),その点からいえばすこぶる優秀な成 績とみなされる。従って代用血管布目の余りに粗大な ために,血液の過剰漏出が起り,周囲血腫が大量,且 つ長期に亘って形成されることを防止するのが血栓閉 塞防止の要訣であるとの見解は,実験的にも証明され たわけである.本実験群の代用血管内外の結合織増 殖,細胞侵入の消長においても,前掲の諸種合成血管 の場合と全くかわりがない.殊に,代用血管のPoro・

sityとの関連が重要視されている新生内膜の形成も,

術後80日(No・77)及び105日(No.81,第18図)に おいて,すでに充分完成されているのを認め得た.代 用血管の布目の大きいときは,その線維間隙を通して 外側膜よりFibrOCytesが侵入し,内膜形成に参与す

第5表  TetOfon布二層代用血管移植成績(12例)

犬番号

57 67 84 91

93 94 95 97 99 100

101

108 体重  kg 16

8

12

8

10

10

14

14

8

12

14

8 性

3

♂♂♂

3

3

$♀♂♂

代用血管のcm

醤1躍径乗霜

6

5

3

4

4

4

4

6

4

4

4

5

0.9〜0.7

0.7〜0.5

0.8〜0.6

0.6〜0.5

0.8〜0。6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.9〜0.7

0.9〜0.7

0.8〜0。6

鵬㈲

159

死因剖検所見

屠 殺

 手術出血死

1

4屠

33

18

衰 弱 死

屠 殺

 手術出血死 3

41

6

85 屠

逃 亡

4屠

216 37

移植成否

開 存

開存

完全閉塞

開 存

開 存

移 二二 管 所見

内膜平滑硝子様内面に一様に認められる.

縫合糸は一回忌これを透して認め剰る.

意識回復せず死亡.剖検せず.

内膜新生全くなし.血栓なし.2枚の Tetoron容易に分離す.

内腔は血栓で完全二二す.血栓は暗黒色を 呈し,周囲との組織と剥離困難

内面に新生内膜認めず,一部縫合部に硝子 様の内面侵入をみる部分あり.

剖検せず.

内面はビロード状のFibrin様物質が一様 に附着するも内腔はほぼ完全に開存する.

血腫が移植片の周囲を囲隠するも内心は完 全に開門し血栓:を認めず.但し内膜形成な

し.

逃亡時元気.

新鮮血栓により完全閉塞.

内山は平滑な内膜を認める.中枢縫合部に 小血栓(褐色)あり.

内腔血栓せず.完全に開存するも内膜新生 はほとんど認めず.Tetoron露出す.

(10)

ることを一応認めてもよいが,その主役を演ずるもの は,むしろ吻合置土動脈内膜の増生延長であるとみな

して差支えないと信ずる.

d)Tetoron−Sleeve代用血管移植成績(第7表)

 9頭の移植実験犬のうち,手術死及び逃亡を除いた 7頭についてみると,5頭において血栓形成による閉 塞を認め,開元は僅かに2頭にすぎない.唯一の開存 長期観察例(No・106)についてみると,新生内膜の

第6表  Tetoron布巾層間Polyethylene三三挿代用血管移植成績(8例)

犬番号

58

69 102

io3

77 80

81

111 代重  kg 13

14

12

12

12

8

9

18

3

3

3

8

代用血管のcm

寸言柔霧

5

6

6

5

6

5

5

6

0.8〜0.5

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.8〜0.6

0.7〜0.5

0.7〜0.5

1.0〜0.8

購㈲

245 死因

屠 殺  衰弱死9 80

121

80

312 105

150 屠 殺 逃 亡 屠 殺

逃 亡

移植成否

開 存

開 存

開 存

移 植 片 所 見

内膜は光沢ある平滑な新生内膜を認める.補翼 は容易に分離し得るも新生内膜と内側テトロン 周囲組織と外側テトロンは分離し得ず.

剖検せず,術後起立歩行し得ず.

縫合部のみ(中枢・末梢)新生内膜を認めるもほ とんどの部分は布地が全く露出されたままであ る.血栓なし.

逃亡時までは極めて元気であった.

薄い平滑な内膜が移植片内膜全体にみられた.

血栓は全くなく縫合部はほとんど透見されない.

新生内膜形成良好.

内膜部は褐色の透明でない部分を認めるも表面 平滑.血栓形成の傾向なし.

新生内膜形成極めて良好.血栓なし.

逃亡時極めて元気.

第7表  Tetoron−Sleeve代用血管移植成績(9例)

重 体

犬番号

65

60

72

73

74

83

96

105

106 7

14

8

8

7

8

8

6

6

3

3

♀♀♂

8

3

δ

鵬㈲

径㎝

鍵㎝

4

4

5

4

4

4

5

4

5 0.5

0.7

0.5

0.5

0.6

0.6

0.6

0.5

0.5 41

死 二

十  殺  手術出血 3 衰弱死

85 逃  亡

 衰弱死

3  屠  殺

1

106

 手術出血

2死

126

143

屠  殺

成否

開 存 完全閉塞

閉 塞

完全閉塞

完全閉塞 開 存

移 植 血 管 所 見

移植片の外周囲は壊死用物質と血腫とにより外膜形 成なし.内腔は開存しビロード状赤色をなす.

移植片は血液凝塊により完全閉塞す.この凝血塊は 縫合部より上下とも約1cmに及んでいる.

逃亡時元気.

術後股静脈触れず.歩行不可能のまま死亡.

移植完了後直ちに血栓形成,末梢動脈よりCatheter 挿入し勢望するも,間もなく完全閉塞,これを繰返 すも成功せず.

内膜淡褐色の血栓で完全に閉塞す.

剖検せず.

移植片内部は器質化せる組織により完全閉塞.剖検 時元気であった.股静脈搏動なし.

移植片の布目に血栓,血液片を附着せず.外周囲と の癒着著明,剥離容易ならず.

(11)

血 管移 植

551

第8表  Tetoron−Sleeveの物理的性質

内  径

 mm

5.0 6.0 7.0

m

9 重

4.32 7.15 8.05

肉  厚

 mm

0.32 0,34 0.35

抗 張 強 度  kg Straight Knot LoOP

16.23 20.12 24.06

100.5 112.2 128.8

190.0 219.6 266.4

形成は一応認められるが,前掲諸他の代用血管の場合 に比し,著しく層厚で脆軟の感を与えるものであっ た.このようにTetoron−Sleeve代用血管の移植群に おいて,血栓形成と閉塞が著しく高率であった理由と しては,その代用血管の製法において1)比較的太い 線維による布目の粗大な織方であること2)代用血管 が弾力性をもつよう線維を編みあげたために,壁が厚

く,そのため内径が一層狭くなっていること3)Taper のない中枢側,末梢側が同点の円筒面であるため,宿 主肱血管に適合させることが至難であること等があげ

られる.

 3.小  括

 中島32)はすでにAlcoho1内保存同種及び異種動脈 片の移植成績について比較検討を行い,同種片での長 一期生漆瘡において,弾力線維層の断裂や配列異常など

認あ,これらの変化をもつて移植血管の破綻や動脈瘤 形成の原因の一つとみなしている.これら退行変性に よる障碍は種々の保存同種動脈片が移植後,永久に血 管としての機能を果す上に致命的な欠点となる.私 が同種動脈片移植後の内膜形成過程を組織学的に観察 した結果では,早期に内壁に附着した小血栓が漸次器 質化して新生内膜を形成すると同時に,移植片中膜の 弾力線維層の変性部に向って周囲から結合織線維が侵 入してきて移植片を補強する.しかし長期生存例の観 察において,大動脈造影及び剖検によって,移植血管 部の拡張像をみ,組織学的にも移植片の壁が極めて薄 くなり弾力線維の著明な断裂減少によって,破裂出血 の危険を思わせるものが半数以上に達していた.即ち Alcohol内保存同種動脈片は移植後長い経過のうちに 次第に退行変性に陥る傾向があることを窺い得た,

 さらにAlcoho1内保存異種動脈片の場合には早期 に破裂による出血死亡を来すことが多く,比較的長期 間生存した1例においても著明な拡張像を認めた.中 島も述べている如く,移植初期において移植片は早く も変性軟化し,血圧に抗し得ず破裂に聾するものと考 えられる.上述の所見は,種々の方法で保存した同種 及び異種動脈片の移植に共通的にみられ,諸家の成績

もほぼこれと一致している.従ってこれらを臨床上に 使用することは危険が多いと考えねばならぬ.

 合成線維Tetoronを材料とする代用血管を移植し た例について検討するに,長期観察例において大動脈 造影所見及び病理組織学的観察によって拡張,破裂の 如き,致命的な危険を示したものはない.Tetoron布 一層及びTetoron−Sleeveの代用血管の場合,血栓に

よる内鼠の完全閉塞を来すものがある.

 血栓形成による代用血管内蓋の閉塞は,保存問題と 同種及び異種動脈移植片の拡張,破裂の問題と同様,

移植血管の機能上致命的な欠陥といわねばならぬ.

 血栓形成の原因・として種 々の原因が考えられるが,

TetOfon布一層代用血管の場合のように,布目の粗大 な合成線維を一層のまま使用するとプ術後布目を通し ての出血が多く,移植部周囲に血腫を形成すること,

及び大量の出血による宿主血圧の下降等があげられよ う,殊に代用血管周囲に,長期に亘り存在する血腫は 細菌感染による膿胸及び腹膜炎の併発等の重大な障碍 を来す場合は勿論であるが,それほどでない場合も,

蛋白質分解産物等の刺戟により,代用血管内腔の血栓 膜増生をもたらすなど,内膜新生過程に悪影響を及ぼ し,このことは同時に,血腫による代用血管の圧迫狭 窄と相侯って,大血栓の発育を促し,内腔の完全閉塞 を招来する可能性が増すことを予想せしめる.また現 在用いられている合成線維代用血管の材質中Tetoron,

Te且on等では拡張力の点では一応移植部の拡張及び 破裂の危険を考えなくてもよいと思われるが,弾力性 及び隠亡性の点では,な:おかなり検討の余地があると 考えられる.即ち著者の実験群中Tetoron布一層代 用血管の血栓形成例のうちには代用血管の圧迫屈曲,

鐵形成等が誘因となったと認められるもの(Nα109,

No・76)があり,その対策としてはこれら合成線維よ り代用血管を作製するにあたり,編織法にもさちに考 案を加え,適当な弾性,挽屈性を附与する必要が認め

られ,る.

 移植片と宿主血管との内径の不一致,殊に吻合部に おける狭窄も血栓形成の重大な因子と考えられている

(12)

が,比較的内径の太い場合よりも,0.5cm以下の小 内径の血管においては,この問題は一層重大となる.

移植片周囲の血腫形成と,それによりもたらされる内 腔の狭小化により早期に1附着したFibrin層がそのま ま血栓の母体となり,ますます内衣の狭小化を来し て,血栓形成を促進することが考えられる.この意味 から小血管の場合,宿主血管よりやや太目の移植片を 用い,移植片の血液透過性を出来るだけ最小限とする ことが希ましい.かかる意味でTetoron二層及び二 層間にPolyethylene膜を挿入して血液成分の透過性 を阻止した移植片を用いた場合の成績は,極めて良好 であった.即ちこれらにおける内膜形成は一様に平滑 で,血栓閉塞例は極めて稀であった.長;期観察例にお いても,動脈瘤形成,拡張,石灰化沈着等の所見は全 くみられなかった.

 Cfeech 28)及びPetry卿らは,移植片新生内膜形 成は,布目を通して周囲結合織が侵入して器質化する ことによると強調している.著者の実験身中Tetoron 布一層及び二層代用血管移植実験群の組織学的所見に よると,布目を通しての内外結合織線維の連絡は一応 認あられ,これが新生内膜の器質化に或程度有利に働 いていることは想像されるが,一方Tetoron並並層 間Polyethylene膜挾挿代用血管移植群においても布 目内外層の連絡が阻止されているにもかかわらず,内 膜の新生及び外膜結合織形成がそれぞれ別個に充分に 行われているのが観察されたことから,新生内膜の形 成は,移植片の中枢及び末梢癖馬吻合端よりの林動脈 内膜の連続的侵入が主体をなすものと考えたい.しか し移植片が,周囲組織を膠着し,代用血管壁を支柱と する移植部の壁が早期に強固に形成されるためと,移 植後,代用血管内壁に薄い血栓膜が附着し,これが母 体となって林動脈よりの内膜増生延長が進められるた めには,移植片肉外壁の適度の粗面性及び材質の軽度 の吸水性及び適宜⑱有孔性が必要な条件であることが 認められる.今後上記条件を心すような材質の改良に より一層安全に血管の機能を充分に代償するような代 用血管を得ることへの努力が必要である.

移植材料と生体及応

 前章において70%Alcoho1内に保存した同種,異 種血管及び人工合成線維で織った布を管状に加工した 代用血管を用い,実験的に血管移植をした成績につい て記した.統合的有機的機能を営んでいる生体内の一 器管を置換して,半永久的にその機能を代行しうるよ うな代用盲管は,その生体に適合するための種々の条 件を満足しなければならないのは当然である(Ingra・

ham 194756), Scales 195357), Dettinger 195758), Cre e

ch 195728))・現在までに報告されている同種及び異種 動脈片の移植成績が程度の差こそあれ入工合成代用血 管の成績に較べて実験的にも臨床的にも劣っているこ とは疑いのない事実である.このように,生体組織の 移植が成功しない理由に関して,一般的に,宿主の移 植に対する免疫反応が重要な因子とな:つているであろ うとの推定が述べられている.(Medawar 194343),19・

4444),Baxter 195145), Hardin 1954.46), Billingham 195647))この考えに従えば,抗原抗体反応の発現を阻 止するか,或いは抑制する操作が見出されれば,移植 器管の必着を延長せしめることが出来,或いは永久雨 着も実現するのではないかという想定が生れる.この ような意図の下に移植片や被移植体(宿主)に入信的 な操作を加え,移植片の永久生直を可能ならしめるた めの努力が器管移植の分野においてかなり前から試み られている.例えば皮膚移植等においてはかかる研究 は枚挙にいとまがない.しかし部位的並びに機能的に 最も容易と思われる皮膚の同種移植においてすら民話 期間の2〜3倍の延長は得られても永久生山の理想か らは遙かに遠い成績で,結局はすべて失敗に帰したと いっても過言ではない(石川,1960)71).

 生体組織移植の問題が未解決である現状において,

代用器品の形態並びに機能の面で支障がなければ,比 較的安定で,化学的性質からみても抗原性のない人工 合成物をもつて代用しようとする機運が旺んとなった わけである.血管外科の分野においても代用血管とし て,人工合成線維を利用することにより,同種並びに 異種の生体材料を用うるのに比し,極めて良好の成績 をあげつつあることは緒言においてすでに述べた.著 者は生体組織である保存血管と,代用血管として使用 されている入工合成物質とが生体内におかれた場合,

生体がどのような反応を示すかを比較しようとした.

家兎を使用し,皮下にそれらの物質を埋没して,2〜

3カ月に亘り経過を観察するとともに,宿主家兎の血 清蛋白の変動を追求し,さらに移植片による宿主の感 作状態を検討した.

 1.生体血管片による生体反応  (1)埋没材料

 i新鮮同種(家兎)血管片(以下新鮮同種片と略 す).健康家兎を屠殺し大動脈片を採取する.採取し た後滅菌生食水で充分に血球成分を洗い落し結合織成 分及び外膜を可及的に除去する.

 ii新鮮異種(犬)血管片(以下1新鮮異種片と略 す).健康雑犬を屠殺し同様に大動脈片を採取する(約 59の片とする).これら新鮮異種片を採取後約1時間

(13)

血 管 移 植 653

以内に家兎皮下に埋没した.

 iii O・1%Merzonin液内保存異種血管片(以下 Merzonin保存片と略す).上記同様採取し,直ちに 0.1%Merzonin液に保存する.埋没までの保存期間 は約30日以内とした.埋没時には滅菌生食水で充分洗 瀞した.

 iv 70%Alcohol内保存異種血管片(以下Alcoho1 保存片と略す).上記同様,採取後直ちに70%Alcohol 内に保存する;一一埋没までの保存期間は約30日とした.

埋没使用する際,.生食水で充分洗瀞した.

 v 1%Ficin処理異種血管片(以下Ficin処理片 と略す).上記同様採取後Geza de Takatsの方法に より,1%Ficinに浸け,血管の蛋白成分を除去した のち,1%Formalin液に18時間固定し,5%EthanoI 内に保存した.保存期蘭は約1カ月を限度して使用し た.なお使用時には生食水で充分洗干した.

 vi冷凍乾燥異種血管片(以下冷凍乾燥片と略す).

採取方法は前と同様で,採取後直ちにAceto丑を容れ た魔法瓶内にDry−iceを入れてこの中で冷凍し(一78

。C),その後減圧吸引装置により完全に乾燥させ,こ

れをAmpullaに封じて常温下に保存した.使用時は Ampulla内の処理血管片を直ちに皮下に埋没した.

 (2)埋没場所及び方法

 健康家兎雌雄を問わず体重3〜4kgのものを用い,

術前血清総蛋白量が近似であるものを選んだ.

 皮膚剃毛消毒後,皮下に達する皮膚切開を加え,移 植片3〜59を皮下に埋没し,一時的に縫合閉塞した.

埋没後抗生剤は使用しなかったが,感染例は全くみら れなかった.但し術後経過観察中衰弱の著しいもの,

蕨痩激しいものは検索対象から除外した.

 (3)検索事項及び成績  a)血清蛋白分劃の変動

 家兎背部皮下に各種の血管片を埋没後,経時的に採 血して,血清総蛋白量及び血清蛋白分劃Albumin,伽 Globulin, Y一(}lobulin及び(β十γ)Globulin値の変 動を測定した.(第9表〜第14表)

 各群に3〜5羽の家兎を用意し,各種血管片を埋没 して経過を観察し,衰弱著しく血清総蛋白量の異常に 低いものは除外した.Albumin及び各Globulin分劃 の場合は埋没前の値を100とし,A/G及びA/β十γの 第9表  新鮮同種片埋没後の血清蛋白及び各分劃の変動

埋没後 日 数

血清総蛋 白 9/d1

Alb。mi。1

%1・

Globulin  %

β γ

計 A/G Rド︵

十%

Yl︶ A/β十Y

i埋没前16・4141・6【14・・12・・6い8・4153・・i・・82139・・11・・3

3日 7日 14日 21日 42日 63日

塗り召4﹃04﹃O nOnOnOnりnOnり

43.3

43.2 40.0 41.3 43.6 42.4

12.6 10.5 10.3 12.3 12.9 12.6

21.6 20.3 23.5 19.9 20.5 24.4

22.5 26.0 26、2 26.5 23.0 20.6

56.7 56.8 60.0 58.7 56.4 57。6

0.76 0,76 0.67 0.70 0.77 0.73

44.1 46.3 49.7 46.4 43,5 45.0

0.98 0.93 0.80 0.89 1.00 0。94

(各数値は家兎青羽より得た測定値の平均値を示す)

第10表  新鮮異種片忌没後の血清総蛋白及び弟分劃の変動 埋没後

日 数

墨清替Alb・mi・〔 G ・b・1 ・% A/G

         α   β   Y   計      %9/d1

6・・147・8119・2116・9116・日52・21・・92

    A/β+γ β十Y

  % 33・・【1・44

3日 7日 14日 21日 42日 63臼

6.1 6.0 6.0 6.2 6.3 6.3

40.1 40.6 40.1 39.0 39.6

141・2

13.8 12.6 12.6 13.0 13.4 12。8

19.9 16.7 16.7 23.0 20.7 20.2

26.2 30.1 30。6 25.0 26。3 26.0

59.9 59.4 59.9 61.0 60.4 58.8

0.67 0.68 0.67 0.64 0.66 0.70

46,1 46.8 47.3 48と0 47.0 46.0

0689 0.89 0.85 0。81 0.84 0.90

(各数値は家兎数羽より得た測定値の平均値を示す)

参照

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