研 究 論 文
A
m o ni u m d i ni t r a m i de
の新合成法 とその物理化学的特性波 多野 日出男+,恩 田敏 男+,樵 野和 夫 * 宮崎繁文.+,松浦 新書*
出発物質 と して安価で入手 し易い棟梁を使い.中間体 ニ トF・尿素を鎧 て
.Ammo n i u m d i n i t r a m id e (
以後ADN
と暗記する)を合成することが出来た。 この方法によるとニ トt,尿素を 元に して約1 5 %
の収率であった。確箆は元素分析,熱分析,I R
吸収 スペ クトル等{・行った。物性はい くつかの有故溶剤に対する溶解度.吸湿性.密度及び生成熱などを抑定 した。殺後に
4
唖頬の結晶形状による感度を孤定 したところ,BA
M摩擦感度.静電気火花感度尊は大きな 轟は見られなか ったが,落槌感度では有意益が観卸されて.針状結晶を避ければより安全に取り扱えることが判 った。
I. 緒 官
固体推進薬用酸化剤 としては,硝酸 ア ンモニウム
( AN)
が考えられて きたが.A
Nには結晶転移点が存 在すること.及び推進薬の性能向上をはかるため等の 理由から現在は過塩素酸 アンモニウム( AP)
が主とし て利用されている。 しか しなが ら,A
Pは分子内に塩 紫原子を含んでいるため.燃焼時の生成ガス中に塩化 水糸が含まれるので多くの不都合をもたらしている。これに対 して.ニ トpセル ロース
( NC)
及びニ トF] 〆l)セI JI /( NG)
を主成分 とするダブルベース推進薬 は無煙性である。従って環境汚染の恐れはないが.更 なる性能向上が包まれている。それに平行 して.従来 のA
N系推進薬 も高性能化が要望 されている。このような事情から,現在新 しい高性能酸化剤に関 する研究が世界各国で行われているが,その中の 1つ が
ADN
である。ADN
は式N t hN( NO2 )
2で判るように.像税の際 に先億の原田となる‑p〆'/原子を分子内に含まず.その上,酸素,(ラ・/久は
+2 5. 8 %
と,大鹿の有効敢然 成分を抱えているので.高性能で且つ クt)‑I/な固体 推進薬用の有望な酸化剤 として注 目されて.現用固体1 9 9 6 年 6
月3
日受理●細谷火工株式会社 技術開発センター
〒
1 9 7
東京都あきる野市菅生大沢1 8 4 7 TEL O 4 2 5 T 5 9 ‑ 2 5 7 8
FAX 0 4 2 5 ‑ 5 9 ‑ 2 41 3
… 日産 自助串株式会社 研究開発センター
〒
3 5 0‑1
1埼玉RJll越市的場新町21 ‑ 1 TEL 0 4 9 2 ‑ 3 1 ‑1 1 1 2
FAj (0 4 9 2 ‑ 31 ‑l l 1 6
推進薬の無塵化及び比推力を著 しく増大させることが 期待できる。
ADN
の合成には,ニ トラ ミド又は ジニ トラ ミンを 経る方法L ・ 2 )
.及びアンIt.=ウムーN‑ニ トpウレク I/の .= トF,化に よる方法 ))などが知 られている。前 者はニ トラ ミドを得るまで煩雑なそ して長い工程を経 なければならずトの
.収率 も患い。後者の方法は前者の 改良法ではあるが.それでも操作がやは り煩雑である。一九 Davis等
7
)はニ トF・尿素が下記のように.=トNO2 Nt I CONT I
2‑NO2 NH2 +HCNO ( 1 )
ラミドとイソシ7ン虚に分解することを示 している。
この ニ トラ ミドは前述の ように
ADN
合成の中間体 と なるものであるか ら, ニ トf2原索に適当な条件下でNO
2+
試薬を作用 させれば.ジ三 トラ ミンが生成する 可能性がある。然る後にア ンモニアと反応 させればADN
を得ることが予想 される。ニ トt,尿熟 土,尿素を出発原料 とし.硝酸尿素を経 て合成できる。 これ ら‑適の反応を示す と次のように なる :
Nt I 2 C ONt I 2 + H NO3
‑ 〔 Nt l 2 C ONH2 ] ・[ H NO3 ] HZ S Ol
( 2 )
l NH2 C ONH2 ] ・l H NO3 ] 1 ‑NO2 NHCONH2 ( 3)
NO
2+ ,NH3 NO2 NHCONI I 2
ー( NO2 ) 2 NNHl +NH2 C ONH2 (
4)式
( 4 )
において,例えはN
OZ+洗薬にテ トラフルオp‑1 6 0
‑ 火薬学会故ほ う酸ニ ト。ニウ
ム ( NO2 BFl )
を使えばNO2 NHCONH2 +NO2 BFl +3 NH3
‑( NO2 )2 NNt l l +Nt I I BFl +Z m2 CONt I 2 ( 5)
となる。
NO2 +
鉄案 と しては無水硝酸 ( N
O2 ・ NO3 )
の使用 も 可能である。2 .
夷 験2 . 1
合 成2. I . 1
使用薬品ADN
合成に使用 した薬品は次の通 りである。アセ トニ トリルは五酸化リソを加えて蒸留を繰 り 返 し.五硬化 リt/が着色 しな くなるま{・茂け,次い で炭酸 カ リウムを加えて蒸留 し.更に再度蒸留 した。
ジクT2pメタンは硫&,水酸化ナ トlJウムで洗浄 し.次いで水洗後に無水塩化カルシウムで乾燥 し.
更に無水塩化 カル シウムで還流後燕留 して使用 した。
酢酸エチルは炭酸ナ トl)ウム飽和水再液.次いで 塩化ナ トlJサム飽和水溶液で洗浄 し,炭酸カ リウム で乾燥兼官 し.叔後に五酸化 I)‑/で乾燥,蒸留 した。
尿索,硝酸 (比延
1 . 3 8)
,硫酸,五酸化 リソ.顔 酸カ リウム,水酸化ナ トリウム,無水塩化カルシウ ム,塩化ナ トt)ウムはそのまま使用した。以上いずれ も和光純薬工薬(操)製の洗薬特級である。
テ トラフル オ F,ほ う酸 ニ ト
p .
=サム( Al dr i ch
Chem i C
al社架 純度 :8 5 %)
はそのまま使用 した。2 . I . 2
原料の合成硝酸尿素 :
1 00
nbの ど‑カーに硝酸 ( 33 %)5 0g
を と り,激 しく蛇押 しなが ら, これに尿索1 4 g
を少 しずつ加えて溶解 させ る。 この時,容や 内温度は殆 ど上昇 しないので.反応は室温で 行 うことが出来,冷却 も不要である。直ちに 白い結晶が析出す るので,添加1 0
分後に漣過 して結 晶を典め.十分液を除 きシ リカゲルの 入 った減圧 デシケーター中で乾燥す る。収丑2 3. 8g
,収率8 3 %,孤. p. 1 6 2
℃。ニ トp尿素 :温度計,蛇拝椴をつけた
2 0 0
dの三 ツ ロフラス コに溝硫酸84
tBAをと り‑ 3
℃に冷却 し,税拝 しなが ら上で得た硝酸尿素23. 8g
を 少丑ずつ加えて溶解 し.3 0
分授拝後に砕いた氷 1 5 0g
上に反応物を注 ぐ。 ニ トFZ尿素は白い 結晶 とな って析出す るので, これを凍過 して 集め.少丑の冷水で2
回洗い. シ t)カyJレ入 りの波
圧デシケーター中で乾換する。収丑1 6.
2g ,収率 8 0 %,m. p. 1 5 9 ℃ 。
2.1.3 ADNの合成
温度計,撹押機をつけた
2 0 0
tnAの三 ツロフラスコに括製 したアセ ト.=トリル
1 3 0
meを入れ,よく乾燥 した ニ トロ尿素 5g
を加えて メタノール ・ドライアイスー 浴中IC ・ ‑4 0
℃に冷却 し,故 しく披押 して懸鞠液 とす る。これにテ トラフルオF'ほ う酸ニ トpニウムを
8. 2g
(純 度85 %
として理陰丑の1 .1
倍)加える。 この際売掛 王 殆ど認められない。テ トラフルオt,ほ う酸ニ トT,ニウ ムの吸湿をなるべ く防 ぐため.添加時間は5
分奄鹿 と した。添加終了後
1 0
分程度で,悠帝 していたニ トp尿素は 殆ど溶解 し.液は透明 となる。 さらに‑4 0
℃に保って3. 5
時間拡搾するが,この間反応液が外気 と接触す る のを防 ぐためアルゴンガスをフラスコ中に流す。反応終了後約
4 . 8& (
計井丑の約1 . 5
倍)の7・/そこ ア ・ガスを帝人するが.叔初は温度の上昇を防 (・ため, ややゆっくり加えるようにする。 アンモニア ・ガスを 帝人 し終えたら.フラス・
コからバスを外 し,舵拝 と7 ルゴソガス帝人を持続させながら反応混合物が室温に なるまで放任 したのも,沌別 して多丑に生成 していi 白い結晶を分健する。 この結晶は2 5
mDのアIt=トニH)
ルで洗い.この洗液は,前の母液 と合わせ,減圧で4 0
℃ 以下で濃縮 して約1 5
nbとす る。濃縮液に
1 0 0
mbの酢酸エチルを加えてか きまぜ,汰T a b l e1 El e me n t a ry a n a l y s i s o f ADN ( wt %)
el e me n t s Ex p e r ime n t a l Th e o r e d
caC 0. 0 0( 0. 00 )
l0. 0 0
H3. 0 9( ‑0. 1 6
) 3. 2 5
N4 5. 1 0 ( ‑0
. 0 6 ) 4 5. 1 6 Kaya kL JGakk 8i 8 hi .
Vo)
.57.
No.4.1 996 11 6 1
‑L ll too 1
1
糾
(
I ) E U N V JIJ i
HH S N Y
YJl
1 1 1 1 3t ) l 1 2011 ] 501 1 011
W AVEN U MBE R ( Cn ‑I)
70lF i g.
21 血 e ds pe c
t r u m o fADN Ta bl e 2 Sol ub i l i t yo fADNi no r ga ni c s o l v
e J l t S (gi nl O Ogo f s o l v e n t )
So l v e nt s
Di c h l o r o me 仙a m e
0. 0 0 Ac e t o ni t r i l e 1 7
. 3 0 Et hy la c
e t a t e 0. 1 2
Et h a J 1 0 1 2 8 . 5 5
Me t h a L n O l 9 0 . 5 3 2‑Pr o p a n
o l 21 , 2 4 Bc nヱ e n e 0.
0 0 Ac e t o ne 8 4 . 9 7
駿物があれば沌過して取 り除 き,液は再び減圧で約
1 0 t
庇後にこの浪椿液にジクpPJクneに濃縮する。ー /3 0
dを加えると.租の
ADN
が析出す る。確過 してこれを典め シlJカゲル 入ったデシケーター中にて減
圧で乾燥する。得 られ
た租
ADN
は沃茨褐色で,m. p. 8 7
℃,収丘0. 9g
,.=トt,尿素に対す る収率1 11 5 %
である。少丑 のアセ トニ トリルに溶か し,ジクpt'
メタl/を加えて 沈殿 させ ると.殆 ど魚色の
m. p. 9 2
℃の細かい針状結 晶となる。また.結晶析出の醇に.この細
かい針状結 晶が7 I)そのように典 ま.?た濃集体
となる場合がある。
結晶の形状と感度 との関係は後述 す る。
前に述べた反応例は,現時点で痕 も適当と思 もので反応温度は
‑3 0℃一一4 0
℃程度の低温が よわれた く,反応時間は1.5‑3.5
時間が適当と考えられる。温度が高く,時間が長いと.得られる札ADN
の着色の度合いが著しく.純度が恐い 。低温ほ ど札ADN
の収率はTa b l e3 0b s e r y e dp r o p e r de so fe n e r ge t kma t e r ia 1 8
Su
bst a n c e( Mw) ADN( 1 2 4 ) H NF( 1 8 3 ) RDX( 2 2 2 ) HMX( 2 9 6 ) Cr
yst a ld e n s i t y( g / m
l)1 . 8 1 2 1 . 8 5 7 1 . 8 0
0 1 . 8 9 3 He a tO f f o r z m6 o n( 喝/ mo
I)‑1 4 6 ‑6 9 . 1
+4 9 . 8 十6 6 . 9
{・開始 して1 9 7
℃辺りで発熱の ど‑クとなっている。
この分解開始及び発熱 ビ‑クの温齢Im肝8) のそれ らよりは高温佃である。
KBr
錠剤法によるIR吸収スペ ク トル
( Fi g. 2)
(使 用蛾欝 :(秩)島酔製作所製赤外分光光度計
I R‑4 0 8 )
紘,放散31 0 0 c n‑
L付近に7 ミノ基の伸楯振動に基づ く吸収が.そ して波数
1 2 0 0 cn ‑
1
及び1 5 3 0 cd l ‑1
付近に ニ トF・基の伸縮振動に J:る強い吸収が改められる。
2 . 3
溶解度 :物Ta
性b l e2
は2 0
℃におけるい くつかの有機溶 剤1 0 0g
に対する
ADN
の溶解丑を示 したもので ある。 アル コール類及び7七 トl/には溶解性 はあるが.沈
殿剤 に使用 しているジクpf7}
タ./.及び
非極性のペ ソゼ ソには殆 ど痔解せ ず.小牧点以下
3
桁 日に低位の数値が来れ る に過 ぎなかった。
吸湿性
: ADN
の吸湿性を調べ るために次の ような 実験を行 っ
た。デ シケーター底部に塩化ナ ト lJウム飽和
水溶液の容器を碇 き.中板の上に は硝酸 ア・/モニウム
,
ADN ,
亜硝酸カ 1)ウム.酢酸7 1/モ.=ウ
ムの
4
唖群の物質を各 々1 . 5g
ずつ計丑 した秤丑 ピソを位 く。 このデシケー ターを
2 0
℃に保持して (相対湿度
7 5 %
に相当9) 経過 日放 と吸湿丑の幽岳を調べた
。Fi g. 3
Ilそ の結果を グラフ化 した ものである。国か ら,
ADN
は硝酸ア ンモニウムよりは少 し吸湿性が 強いことが
判 る。経験則か ら官えは,相対湿 度
7 0 %
を越えると潮解性を示す。そのため, 相対湿度
5 0%
以下 での環境で取り扱 うことが 盟ましい。
密度及び生成熱 :
Ta b l
e3
は結晶密度( 2 0
℃)と生 成熱を示す。裏には同一の方法で潤定 した他 の高エネル
ギー物質の謝定借を比較 としてい くつか掲げ
てある。密度の耐定には内容
群5 m
色の ピタノメータ‑を.分散剤にはデカヒ ド pナフタ L'ソ
を使用 し,約
1 g
の駄科丑で湘 定 した。裏から判 るように
ADN
は他の高エネ ルギー物質に比べて遜色のない南中度を示 し ている。
生成熱についてはポ・/
プ式の内容
凍3 0 0
nbの熟丑計を用い
,5
気圧の酸素雰囲気中で約2 . 8g
のADN
を抵F i g. 4 Ap h o t o
gr a p h
o fc o a g t h t e dADN ( we ts t a t e )
■‑■
l 帆
F i g.
石Am ic r o g r a p ho fc o a g u
l a t e dADN
溌 させて測定 したものを基にして計井 した。この嚢で.
RI )
ⅩとHMXの構成部分である}チ レ‑/・ニ トラミl / を1
つのセ グメン トと考えると,それぞれのセグメ
ン
ト数 と同 じように.それらの生成熱が
丁度
3:4
の比率 になっていることは興味深い。2 . 4
感 度次に
ADN
を取 り扱 うに当た り非常に重要な各唖感 皮について網べた。前述のADN
凝典体( Fi g.
4,Fi g. 5
)を解体す る と本来の針状結晶 ( F
⊂=コ
1 0 0〟m
F i g.6 Am ic r ogr a phofADN ( ne e dl e t y p e )
■ ■ ■
1 0 0 〟 m Fi g.7 Am ic r
ogr a p ho fADN ( pr is
ma dct y pe) ADN溶液に沈殿剤を添加 し
て析出させる際に温度の 昇降を行 うと柱状
のADN(
Fi g. 7)を得ることが出来
る。 これ ら
4
唖類 の結 晶形 状の感度 を開 べたのがTa bl e
4
である。発火点鉄換 :
1 0
℃間隔の復改の温度で・尭火選れ時間 を脚定 し.収小二乗法によって
4
秒待ち発火温 度に外挿 した。凝集体 と柱状 とでは同 じ故値で あった。凝集体を解体 した針状の場合は.2 3 0
℃ で殆 ど瞬間的に発火 したが,210
℃では徐 ・u=分解するのみで,発火の現象は見られなかった
2 2 0
℃では約1
秒の発火遅れを紀録 したの 。で, この温度を括狐内に記載 してある。
落槌感度就験
:判定は火薬学会規格
…
に よる。 こ の結果か ら見ると針状結晶を含む ものは
1 級
とな り.非針状結晶であれは3
級 となる。即 ち針状結晶を避ければ よ り安全に取 り扱 う都 が出来ると富え
BAM
摩擦感度就験 :判定はる。火薬学会規格
l l
Jによる。ADNの結晶は意外 と軟 らか く.摩擦に よる危
険性は さほど考慮する必要はない投球である。静電気
火花感度訳簸 :この式典は鹿に報告 されてい る
静電気火花感度就換
横 1 2
Jを用いて行 った。試行回数5
0
回のup皮 dow
n法I3Jを採用 し.そ の時
の5
0 %爆点のエネルギー債を示 してある。
こ
の結果か ら,結晶形状によって感度の大 きな 相違はない
ことが判る。
3. ADNの合成を新 しい方法で筑みて,その各qt
棒 的 物性 を郷定 したところ次の結論を得た。(1)安価な原料{・ある尿素か ら出
発 してADNを合成 出来ることを確認 した。
( 2)
ADNの針状結晶は衝撃には免感であるが,針状
結 晶を避ければより安全に扱 うことが出来る。( 3 )ADN
は吸湿性があるので相対線度50
96以下での 取 り救い文 献