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博 士 ( 農 学 ) 古 原 洋

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 古 原    洋

学 位 論 文 題 名

ス ル ホ ニ ル ウ レ イ 系 除 草 剤 抵 抗 性 イ ヌ ホ 夕 ル イ の 発 見 と      生 態 的 特 性 に 基 づ く 防 除 方 法 の 確 立

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  ス ル ホ ニ ル ウ レ ア 系 除 草 剤(SU剤 ) の 開 発 に よ り 、 水 稲 作 にお ける 雑草 防 除 の 問 題 は す べ て 解 決 さ れ た と考 えら れて きた 。し かし 、SU剤が 適正 に使 用 さ れた にも かか わら ず、 主要 な雑草 のー つで ある イヌホタルイに除草効果が不 足 す る 問 題 、 す な わ ち 残 草 問 題が1995年前 後よ り北 海道 各地 で発 生し た。 本 研 究は 、こ の問 題の 原因 解明 と合理 的な 防除 方法 の確立を目的に実施した。ま ず 、 北 海 道 に お け るSU剤 の 使 用状 況と 諸外 国に おけ る抵 抗性 雑草 の防 除方 法 を 概 観 し た 。 次 に 原 因 解 明 の ため にSU剤に 対す る感 受性 の検 定を 行い 、防 除 方 法を 確立 する ため に発 生分 布の把 握を 行う とと もに、抵抗性イヌホタルイに 有 効な 除草 剤を 探索 した 。さ らに、 これ ら除 草剤 を使用する時期と防除の継続 年 数に 関係 する 発芽 およ び種 子の生 存期 間を 検討 した。以下に主要な研究成果 を 要約 する 。

1) 残草 問題 が発 生し た北 海道 内の 水田 にお いて 採取し たイ ヌホ タルイをポッ   ト で 栽 培 し 、SU剤に 対す る反 応を 北海 道立 中央 農業 試験 場およ び農 林水 産 省 東北 農業 試験 場( 現東北 農業 研究 センター)で検討した。北海道岩見沢市、

中 富 良 野 町 お よ び 栗 山 町で 採 取 し た イ ヌ ホ タ ル イ はSU剤 に 抵 抗 性 を 示 し 、 半 数 致 死 量 は 感 受 性 イ ヌ ホ タ ル イ の40 ‑‑‑140倍 であ った 。これ は抵 抗性 イ ヌ ホ タ ル イ の 日 本 で初 めて の確 認と なっ た。 抵抗 性イ ヌホ タルイ は、 岩見 沢   市 な ど の1980年 以前 にお いて イヌ ホタ ルイ が高 密度 で発 生した 水田 に分 布   し て い た 。1970年代 に北 海道 のす べて の水 田で イヌ ホタ ルイが 発生 して い     ‑ 259−

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   たことから、北海道の全域で抵抗性イヌホタルイが発生すると考えられた。

2 )抵抗性イヌホタルイを採取した北海道岩見沢市の水田において各種除草剤    の除草効果を検討し、SU 剤と作用点の異なるクロヌプ口ップ、ベンフレセ    ート、ブロモブチド、ベンゾビシク口ン、モリネート、ピラゾレート、ピラ    ゾキシフウ ンおよびMCPB の 8 剤のい ずれがを含 む混合除草 剤により抵 抗 性イヌホタルイの防除が可能であることを明らかにした。なお、抵抗性イヌ    ホタルイが発生する水田では、他の雑草がほとんど発生しないことから、ブ    口モブチド、ペントキサゾン2 種混合フ口アブル剤で防除が可能であると考 えられた。

3 ) 15 ℃の低温条件下で抵抗性イヌホタルイの多くは発芽率が高く発芽速度も 速やかであること、また、生存率および発生個体数の経年変化について抵抗 性および感受性イヌホタルイに差異は認められないことを明らかにし、抵抗 性イヌホタルイが発生した水田では、除草剤の使用時期を逸しないように、

水稲移植直後からその発生に注意することが重要で、抵抗性イヌホタルイに 有効な除草剤でも、5 年以上の中・長期的に使用する必要があると推察した。

     以上のように、本研究では抵抗性イヌホタルイを日本で最初に発見し、こ

れに対する有効な除草剤を提示した。さらに、その使用上の留意点を生態的

特性から指摘した。現在、北海道以外にも宮城県(1999 年)、三重県、福岡

県(2001 年 )、 青 森県 お よび 茨 城県 (2002 年)で、抵 抗性イヌホ タルイが

発生しており、国内全地域で発生する可能性がある。今後、新たに抵抗性イ

   ヌホタルイが発生した地域における効果的な防除方法の検討に際して、本研

究で得られた知見は大いに役立っと考えられる。また、低温発芽性および種

子の生存期間に関する知見は、今後、発生が予想されている複合抵抗性雑草

   に 対 す る 耕 種 的 な 防 除 方 法 の 確 立 に 寄 与 す る と 期 待 さ れ る 。

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学位論文審査の要旨

主査   教授   岩間和人 副査   教,授   幸田泰則,

副査   教授   内藤繁男 副査   助教授   近藤哲也 副査   部長   森田弘彦

     ((独)農業技術研究機構北陸水田利用部)

学 位 論 文 題 名

スルホニルウレイ系除草剤抵抗性イヌホタルイの発見と 生態的特性に基づく防除方法の確立

  本 論文 は図13, 表20を含 み,7章か らな る総 頁数107 の 和文論文であり,別に参考 論 文5編が添えられている.

  スルホニルウレア系除草剤(SU斉|J)の開発により,水稲作における雑草剛徐の問題は す べて解決されたと考えられてきた.しかし,SU剤が適正に使用されたにもかかわらず,

主 要顔水田雑草のーつであるイヌホタルイに除草効果が不足する問題(残草問題)が1995 年 前後より北海道各地で発生した.本研究は,この問題の原因を解明するとともに生態的 特 性に基づく合理的な防除方法を確立した,

1. SU剤 抵 抗 性 イ ヌ ホ タ ル イ の 発 見 と 北 海 道 内 に お け る 発 生 分 布 の 調 査   残草問題が発生した北海道岩兒J沢市,中富良野町および栗山町で採取したイヌホタルイ のSU剤に 対す る反 応を 検討 し, これ らは 抵抗 性イ ヌホ タ ルイ であ ることを明らかにし た. 半数 致死 量は 従来 の感 受性 イヌ ホタ ルイの40〜140倍であ った.これは抵抗性イヌ ホタルイの日本で初めての発見であった.抵抗性イヌホタルイの発生が確認されたこれら の市 町は1980年以前においてイヌホ夕ルイが高密度で発生した 地域にあり,このような 地域は北海道内および道外の他市町村にも存在することから,抵抗性イヌホタルイは北海 道 の 全 域 お よ び 道 外 の 広 範 な 地 域 で 発 生 し て い る 可 能 性 が 高 い と 推 察 し た .

2. SU剤 抵 抗 性 イ ヌ ホ タ ル イに 有 効な 除草 剤の 探索

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  抵抗性イヌホタルイを採取した前述の岩見沢市の水田において各種除草剤の除草効果を 検討しISU剤と は作用点 の異なる ク口ヌ プ口ップ ベン フレセー ト,ブ口モブチド,ベ ンゾ ピ シ ク口 ン , モリ ネ ー ト, ピ ラゾレ ート,ピ ラゾキ シフェン およびMCPBの8剤 が 有効であり,これら除草剤のいずれかを合む混合除草剤により担抗性イヌホタルイの防除 が可能であることを明らかにした.また,抵抗性イヌホタルイが発生する水田では,他の 雑草がほ とんど 発生しな いことか ら,ブ 口モブチ ドとべ ン卜キサ ゾンの2種を混合した フ口アブル剤で防除が可能であることを指摘した.

3.  SU剤 抵 抗 性 イ ヌ ホ タ ル イ の 生 態 的 特 性 に 基 づ く 防 除 方 法 の 確 立   抵抗性 イヌホ タルイは 感受性 イヌホタ ルイに比べて,15℃の低温条件下での発芽率が 高く,発芽も速やかであった,また,生存率および発生個体数の経年変化につしゝては,抵 抗性イヌホタルイと感受性イヌホタルイに差異は認められなかった.このため,前述の抵 抗性イヌホ夕ルイに有効な除草剤を使用する際には,使用時期を逸しないように水稲移植 直後か らその 発生に注 意するこ とが重 要であり ,また5年以 上継続し て使用する必要が あることを指摘した,

  以上の 研究成果 は,SU剤 抵抗性イ ヌホタル イの発生が確認された北海道内地域のみな らず今後の発生が予想される道外地域における合理的な防除方法の確立に寄与する知見で あるとともに,その他の除草剤抵抗性雑草に対する耕種的な防除方法の確立にも寄与する ことの期待できる知見であり,実用的および学術的の両面から高く評価できる.よって審 査員一同は,古原洋が博士(農鞘の学位を受けるのに十分な資格を有するものと認めた.

参照

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