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博 士 ( 農 学 ) 柴 田 洋 一

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 柴 田 洋 一

学 位 論 文 題 名

物 理 除 草 の た め の 画 像 解 析 に よ る 作 物 検 出 手 法 の 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  本 論文 は621節 で 構成 さ れ 、図47、 表16、 引 用 文献81を 含 む 総頁 数158頁の 和 文 論 文で あ る。 他 に 参考 論 文13編 が添 え ら れて い る。

  北 海道 で は 、野 菜生 産の急速 な拡大に 伴って栽 培作業の 機械化、省 力化が緊 急 の 課 題 とな り 、国 の 緊急開発 事業によ って各種 の移植機 や収穫機が 開発され つつ あ る 。 さら に 除草 作 業におい ては、食 糧の安全 性、自然 生態系への 負荷の低 減な ど の 観 点も 加 わっ て 、無・減 農薬の新 しい除草 技術とし て畦間ぱか りか、株 間の 雑 草 を も取 り 除く 物 理的除草 機械の開 発が要望 されてい る。この実 現には、 高精 度 な 制 御機 能 を持 っ た除草装 置が必要 となるが 、その前 提として、 作物の位 置や 大 き さ を認 識 する イ ン テリ ジ ェ ント 化 され た 検 出手 法 を確 立 せ ねば な らな い 。   本 研究 は 、 野菜 畦の 上方から 撮影した 雑草が混 在する画 像から作物 のみを検 出 す る 画 像解 析 シス テ ムを構築 し、多種 の作物と 雑草に適 用でき、天 候など自 然環 境 条 件 の変 動 に対 応 できる柔 軟性のあ る処理ア ルゴリズ ムを開発し て、物理 的除 草 機 械 を 実 現 す る た め の 基 盤 と な る 技 術 を 確 立 し た も の で あ る 。    1章 は 緒 論 、 研 究 目 的 お よ び 研 究 動 向 に つ い て 述 パ た 。    2章 で はRGBカ ラ ー カ メ ラ と 画 像 処 理 装 置 を 用 い 、 作 物 畦 のRGB画 像 に つ い て 土と 植 物体 を 色 で分 離 し 、こ れ を2値化 し て作物 と雑草とを 大きさで 識別 す る 手 法を 開 発し 、 以 下の 結 果 を得 た 。

1) 土 と 植 物 体 ( 野 菜 と 雑 草 ) の 分 離 法 は 、RGB画 像 成 分 に よ る 画面 問 演算 の う ちGR法 が 最も 優 れて い る 。

22値 化 手 法 は 、 統 計 的 手 法 を 用い る 判別 分 析 法が 、 モー ド 法 、pタイ ル 法、

微 分 ヒ ス ト グ ラ ム 法 よ り 優 れ 、 か つ 、 照 度 の 変 化 に 柔 軟 に 対 応 で き る 。 3)作 物 と 雑草 の 分離 法 は 、2値化 し た物 体 の 面積 、 最大 水 平 ・垂 直 弦 長の 三 っ を 計 測 し、 各 々し き い値を設 定して、 条件をニ っ以上満 たしたもの を作物と みな す 方 法 が優 れ てい る 。本手法 は作物と 雑草の生 長速度差 により、レ タスで定 植か

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ら概 ね30日まで 、キ ャベ ツで40日程 度まで、ハクサイはそれ以上の期間で適 用 で き 、 機 械 除 草 を 行 う た め の 時 間 的 余 裕 は 十 分 に 確 保 で き る 。 4)本システムの精度は、照度の大きな影響を受け、暗い時ぱかりか明るすぎて もブルーミング現象によって性能が落ちるため、カメラにN.D.フイルタを装着 して検出精度を向上させる手法を見出した。4,OOOlxから60,OOOlxの広い照度範 囲で検出できる撮影方法は、1/64N.D.フイルタを装着し、自動露出よりもF値 およぴゲインを固定するマニュアル撮影が優れており、その検出誤差は、面積で 4%以内、両最大弦長で3%以内となった。

  第3章では、放射温度計となる赤外線カメラと画像処理装置を組合わせた熱画 像処理システムを構成し、土と植物を表面温度の違いによって分離した後、2章 と 同 様 に 雑 草 と 作 物 を 識 別 す る 手 法 を 開 発 し 、 次 の 結 果 を 得 た 。 1)赤外線カメラの検出温度を、植物の葉温を中心とするできるだけ狭い範囲と し、地温など領域外の温度を単一色として表すよう設定することにより、画像入 カと同時に土と植物体が分離できる。

2)日中は地温と葉温の差が大きくなって、検出は容易であるが、低水分土壌条 件下の夜間では、地温と葉温の差がなくなり、熱画像情報では作物を検出できな い時間帯が存在する。

3)地温および葉温は、気温、口射量、湿度およぴ風速と密接な関係にある。こ れらの気象要素の測定を熟画像収集と並行して行うことにより、赤外線カメラの 最適な検出温度領域を自動的に設定できる可能性がある。

4)2章のRGB画像 処理シ ステ ムは 、日 射量の 大き い高 照度 条件下 で検出精度 が劣り、低照度条件下で優れるが、3章の熱画像処理システムは、高照度条件下 で地温と葉温の差が大きくなって検出上効果的であるものの、低照度条件下で測 定 で き な い た め 、 両 シ ス テ ム の 性 能 は 互 い に 補 完 し 合 う 関 係 に あ る 。   第4章 ではファジィ推論手法を用いた作物検出法を確立した。2・3章で行っ     一  1

た雑草と作物の分離法は、作物を消去しなぃようにするため、時には雑草が残り 易いアルゴリズムを選択せざるを得ない。この問題を改善するため、植付けられ た作物の位置関係をもとにしたファジィ推論による識別手法を開発して、精度の 向上を図った。結果の概要を以下に述べる。

1)作物は格子状に配置されていることを前提とすれぱ、全ての作物には『設定 条問(株間)で隣合うニつの作物を結ぶ線分の端点から土90.の方向に別の作物個 体が存在し、その距離は株間(条冏)に等しい』′という規則性がある。しかし、

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畦間と株間にぱらっきがあるため、株間、条問およぴ物体を結ぶ角度を入力変数 とする3入力1出カのファジィ推論で評価し、画像内のすべての物体の組み合わ せの中で評価値の高いものを作物と判定する。

2)2‑3章 での 結果 を、本 手法 で補正すると作物の検出精度は大幅に向上する ぱかりか、作物検出アルゴリズムで雑草を完全に除去する必要がなくなる。した がって、形状、大きさ等特徴量のしきい値は緩やかに、また、大まかに設定でき、

作物が消去される危険性も減ってアルゴリズム全体が安定した手法になった。

  第5章では開発した手法を実用技術ヘ高めるための発展方向を検討し、以下の ように整理した。  ゛

1)本研究で検出した作物は、形を単純化し、除草爪による作物損傷を防ぐため に作物領域を僅かに拡大して除草部制御用コンピュータに伝えれば、株間除草に も充分対応できる。

2)自動化された物理除草機の作業能率を、慣行の機械除草作業と同程度とする には、作物検出の1画面当たり2秒以下の処理速度が必要であり、演算を並列処 理する機構が必要である。

3)本研究で開発した抽出手法は、物理除草だけではなく、薬剤のスポット散布、

収穫など多くの自動化技術に活用できものである。

  第6章は摘要であり、高性能な物理的除草機械の開発に連なる柔軟性のある作 物 検 出 技 術 を 確 立し、 野菜 作の 機械化 進展 に寄 与で きると 総括 して いる 。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

物理除草のため の画像解析による作物検出手法の研究

  本論文 は621節で 構成され 、図47、表16、 弓I用文献81を含む総 頁数158頁の和 文論文 である。 他に参考 論文13編が添 えられて いる。

  北 海 道 では 、 野菜 生 産の急速 な拡大に 伴って栽培 作業の機 械化、省 力化が緊 急 の 課題 で ある ば か りか 、除草 作業にお いては安全 性などの 要求も加 わって、 畦間 と 株 間 の 雑 草 を 取 り 除 く 高 精 度 な 物 理 的 除 草 機 械 の 開 発 が 要 望 さ れて い る 。   本 研 究 は、 野 菜畦 の 上方から 撮影した 雑草が混在 する画像 から作物 のみを検 出 す る画 像 解析 シ ス テム を構築 し、多種 の作物と雑 草に適用 でき、天 候など自 然条 件 の変 動 に柔 軟 に 対応 する処 理アルゴ リズムを開 発して、 物理的除 草機械を 実現 するた めの基盤 となる技 術を確立し たもので ある。

  1章 は 緒 論 お よ び 研 究 動 向 に つ い て 述 べ た 。 第2章 で はRGBカ ラ ー カ メ ラ と 画像 処 理装 置 を 用い て 、 作物 畦 のRGB画 像 につ い て土と植 物体を色 で分離し 、 こ れ を2値 化 し て 作 物 と 雑 草 を 識 別 する 手 法 を扱 い 、以 下 の 結果 を 得て い る 。 1) 土 と 植 物 体 ( 野 菜 と 雑 草 ) の 分 離 法 はRGBの 画 面 問 演 算 の う ちGR法 が 、 2値 化 手 法 は 判 別 分 析 法 が 最 も 優 れ 、か つ 、 照度 の 変化 に 柔 軟に 対 応で き る 。 2) 作 物 と雑 草 の分 離 法 は、2値 化 した 物 体 の面 積 、最 大 水 平・ 垂 直弦 長 の 三つ を 計測 し 、し き い 値を 越える 条件をニ つ以上満た したもの を作物と みなす方 法が 優 れ てい る 。作 物 と 雑草 の 生長 速 度 差に よ り 、本 手 法は 定 植 後概 ね30日 以 上に 適 用 で き 、 機 械 除 草 を 行 う た め の 時 間 的 余 裕 は 十 分 確 保 で き る 。 3) 本 シス テ ムの 精 度 は照 度 の大 き な 影響 を 受 け、 暗い時 ばかりか 、明る過 ぎて も ブル ー ミン グ 現 象に よって 性能が落 ちるため、 カメラにND.フィ ルタを装 着

宏男 彦夫

   

   

出 宗 日 和 郁 井尾 藤口 高寺 伊堀 授授 授授 教教 教教 査査 査査 主副 副副

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し、4,000 Ixから60,000 Ixの広い照度範囲で検出誤差を4%以内に止めて撮影す る手法を見出した。

  第3章では、放射温度計となる赤外線カメラと画像処理装置で熱画像処理シス テムを構成し、土と植物を表面温度の違いによって分離した後、2章と同様に雑 草と作物を識別する手法を扱い、次の結果を得ている。

1)赤外線カメラの検出温度を、植物の葉温を中心とするできるだけ狭い範囲に 設定することにより、画像入カと同時に土と植物体が分離できる。この検出温度 域は、葉温と密接な関係にある気温、日射量、湿度およぴ風速を熟画像収集と並 行して計測すれぱ、自動的に設定できる可能性がある。

2)日中は地温と葉温の差が大きくなって、検出は容易であるが、低水分土壌条 件下の夜間では、地温と葉温の差がなくなって、検出できない時間帯が存在する。

3)2章のRGB画像 処理シ ステ ムは 、日 射量の 大き い高 照度条 件下 で検出精度 は劣るが、3章の熱画像処理システムは、地温と葉温の差が大きくなって、逆に 検出が容易であり、両システムは補完し合う関係にある。

  第4章 では 、2‑3章 で行 った雑 草と作物の分離法を改善するため、作物は畦 問株間で規定される格子状に配置されていることを前提としてファジィ推論を適 用し、画像内のすべての物体の組み合わせの中で評価値の高いものを作物と判定 する手法を確立している。2‑3章での結果を本手法で補正すると、作物の検出 精度が大幅に向上するばかりか、作物検出のアルゴリズムで雑草を完全に除去す る必要がなぃため、しきい値を緩やかに設定できるし、作物が消去される危険性 も減 った ことか ら、 前章 までの アルゴリズムを安定した手法に改善できた。

  第5章では、開発した手法を実用技術へ高めるための発展方向を検討し、検出 した作物の形を単純化して、除草部制御用コンピュータに伝えれぱ、株間除草に も充分対応できることを示している。物理除草機の作業能率を慣行作業と同程度 とするためには、作物検出の1画面当たり2秒以下の処理速度が必要であり、演 算 を 並 列 処 理 す る 機 構 が 必 要 で あ る 。 第 6章 は 摘 要 で あ る 。   以上のように本研究は、高性能な物理的除草機械の開発に連なる柔軟性のある 作物検出技術を確立し、野菜作の機械化に寄与するところ大きいものがある。

  よって審査員一同は、別に行った学力確認試験の結果と合わせて本論文の提出 者柴田洋一は博士(農学)の学位を受けるのに十分な資格があるものと認定した。

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