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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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     博 士( 農学 )石 学 位 論 文 題 名

バラ科サンザシ属植物の組織培養系の確立と 種間雑種の育成に関する研究

学位論文内容の要旨

  サ ンサ シ属 (CrataegusL.) はバ ラ科 の落 葉低 高木 で 、種 の数 は約1000種あるとさ れる 。そ の多 くは北半球の冷温帯に分布し、アメリカ、中国、 日本、ヨーロッバ等に原 生している。そのうち、中国におけるオオミサンザシ(ビ.pirmatifida Bge.)は果樹と して 利用 され ているが、日本、アヌリカ、ヨーロッバでは観賞 樹としてしか利用されて いな い。 日本 には、アラゲアカサンザシ(ビ.maximowぬガSchneid丿とクロミサンザシ

¢ . む ′Dmsa瑚Maxim) が 北 海 道 に 自生 して おり 、ダ フリ カサ ンザ シ( ビ. 拗ぴjca KOehne. ) は 内 モ ン ゴ ル に 自 生 し 、 新 果 樹 と し て 利 用 す る 素 材 に 恵 ま れ て い る 。   そこで本研究では、中国において茎頂培養例が唯一知られているオオミサンザシの他、

ダフ リカ 、ア ラゲ アカ およ びク ロミ サン ザシなど、4種の茎頂 などの組織培養による植 物体 再生 系の 確立を目指した。更に、サンザシの果樹としての 利用の視点から、初めて 3種 果実 の成 分分 析を 行い 、 それ それ の種の持つ果実成分の特 徴を明らかにし、それら 3種 を両 親に 正逆 交雑 を実 施 し、6組 合せ の種 間雑 種を 育 成す るべ く、未熟胚培養を行 った 。最 後に 、胚培養でフラスコ内に育成中のサンザシの種間 雑種候補幼植物体を用い て、RAPD法による類縁関係およぴ雑種性識別を行った。

  本論文の要旨は、以下の通りである。

1、サンザシ属植物の組織培養系の確立

  オオ ミ、 ダフ リカ 、アラゲアカおよび クロミのサンザシ4種の各組 織(茎頂、葉、葉 柄、子葉、根、 胚軸、胚および葯)を培養し、茎頂、葉、葉柄、子葉お よび胚の外植片 から植物体を形 成した。植物体形成に関する初代培養、継代培養および 発根に適した培 地およぴ植物ホ ルモンの種類と濃度を明らかにした。この結果、サンザ シを用いて初め て組織培養によ る安定した植物体再生系を確立した。

2、サンザシ果実の成分分析

  オオ ミ、 ダフ リカ およびアラゲアカサンザシ3種の果実を用いた成分分析によると、

一般成分では、アラゲアカは 水分が低く、夕ンバク質、脂質、炭水化物および灰分がオ オミとダフリカより高かった 。アラゲアカはカルシウム、リン、カリウム、亜鉛、銅お よ びマ グネ シウ ムで もオオミとダフリカより高かった。p−カロテンはオオミが最も高 か った が、 ピタ ミンC、ロートコフェロ ール、アントシアニンはアラゲアカが最大で、

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特 にア ント シア ニン 含量 は極 端に 多く 、オ オミ の430倍量が含まれていた。全糖はダ フリカが最も高く、フル クトースおよぴグルコースの含量はアラゲアカがダフリカより 高かった。また、アラゲ アカはボリフウノール、シュウ酸およびクェン酸の量も最も高 く、3種の果実成分の特徴が初めて明らかになった。

  他の 果樹 に比 ぺて みる と、3種す べて で、p− カ ロテン、ピタミ ンCはりンゴ、スモ モおよぴアロニアより高 く、アラゲアカはタンバク質、ロートコフェロールもりンゴ、

スモモおよびアロニアよ り高かった。更に、アラゲアカのボリフェノール、シュウ酸お よぴクェン酸はアロニア より高く、今後サンザシの豊富な機能性成分の有効利用が望ま れる。

3、胚培養による種間雑種の作出

  交雑効率 を上げるために、花粉の発芽率および発芽条件を検討し た。3種共にホウ酸 濃 度と して100 mg/lで花 粉の 発芽率が 最も良好で、特に、アラゲアカの花粉発芽は他 の2種より優れていた。

  サ ン ザ シ3種 の 正 逆 交 雑 の 結 実率 は、 交配 後30日に 比ベ60日 は半 減し 、 受粉 不完 全 によ る落 果が 認め られ たが 、交配後60日で15.0〜33.3%の結実率が得られた。果実 あたりの種子数は高か ったが、種子当りの・胚形成率は低く、交雑組合せ当たり57.4〜 80.4% であ った 。未 熟胚 培養 によるシ ュートの形成は、3種の6組合せの種間雑種はと も に 交 雑 後100日 の 胚 が60目 よ り高 くな った 。特 に交 配後100日 のオ オミxアラ ゲア カ の組 合せ が最 も高 く、58.8%と なり 、ア ラ ゲア カxダフ リカの組合せが最も低く、

4.8%と なっ た。RAPD法に よっ てサ ンザ シ3種 およ ぴそ れそ れの 種間 雑種 候 補を 検定 し た と こ ろ 、 す べ て の 組 合 せ で 種 間 雑 種 で あ る こ と が 確 認 で き た 。

4、RAPD法による親子鑑定および類 縁関係の解析

  RAPD法 に よ り 多 型 の 検 出 さ れ た 増 幅DNA断 片 の サ イ ズ は 主 に2.2kbpか ら0.2kbp で 、 増幅DNA断 片全 体の86.6%を 占め てい た。 両親4種で 検出 され た多 型性 バン ドが 58.5% 、正 逆 交雑 は6組合 せの 種間 雑種 系 統の 多型 性バ ンドが66.2%を占めて いた。

雑 種の 多型DNAバ ンド は両 親よ り高 かっ た こと から 両親 の遺伝的差異が大きい ことを 示 し た 。 ま た 、GC含 量 の 影 響 に つい てみ ると 、両 親と 雑種 はと もに 増 幅DNAバ ンド と多型DNAパンドは70%GC含量の場 合が60%より高かった。

  RAPD分 析 法 を 用 い た サ ン ザ シ 両 親 の 識 別 は 、4種 サ ン ザ シに おけ る 増幅DNAのバ ンドバ ターンの種間差によって容易に区別でき、種およぴ種間 雑種の同定に有効である こ と が 明 ら か と な っ た 。 ま た 、Fl個 体で 検出 され た増 幅DNA断片 はす べて それ らの 親から 由来していた。このように親子鑑定には、交雑個体特有 のバンドがみられ、幼植 物 体で も明 確 に判 定す るこ とが 可能となった。RAPD分析法がサンザシ属の識別 ・同定 および 親子鑑定に応用できることが明らかになった。

  以上 のように、本研究はサンザシ属植物の組織培養による増殖法を確立して、未利用 だ った サン ザ シ果 実の 成分分析に よってアラゲアカサンザシなどの優れた遺伝資源を 明 らか にし た 。ま た、 それらを親 として用いて3親6組合せの種間雑種の育成に初めて 成功し た。これらの素材は中国においてはサンザシの新品種としての利用に、わが国の よ う な 果 樹 と し て 未 利 用 の 国 で は 新 果 樹 と し て の 利 用 に 道 を 拓 く も の で あ る 。     ―180−

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

大澤 喜多村 荒木 増田

学 位 論 文 題 名

勝次 啓介     肇     清

バラ科サンザシ属植物の組織培養系の確立と      種 間 雑 種 の 育 成 に 関 す る 研 究

  本 論 文 は5章 か ら な り 、 図59、 表20、引 用文 献230を含 む184ぺー ジの 和文 論文 で あ り 、 他 に 参 考 論 文 が5編 添 え ら れ て い る 。

  サ ンザ シ属 (Cra to egus L.)はバラ科の落葉低高 木で、種の数は約1000種あるとさ れ、 多く は北 半球 の冷 温帯 に分 布し てい る 。そ のう ち、 中国 におけるオオミサンザシ   (¢ pinnatifida Bge.)は果樹として利用されているが、日本、アメリカ、ヨーロッパ で は 観 賞 樹 と し て し か 利 用 さ れ て い な い 。 日 本 に は 、 ア ラ グ ア カ サ ン ザ シ ( 〇 , maximow也みSchneid丿 とク ロミ サン ザシrむ む めm鉛′ 微MaXim) が北 海道 に自 生し て おり、ダフリカサンザシ(£a劬けjcaKoehne.)は内モンゴルに自生し、新果樹として利 用する素材に恵まれている。

  そこで本研究では、中国において茎頂培養例が唯一知られているオオミサンザシの他、

ダフ リカ 、ア ラゲ アカ およ びク ロミ サンザシなど、4種の組織培養による植物体再生系 の確 立を 目指 した 。更 に、 サン ザシ3種の持っ果実成 分の機能性成分の特徴を初めて明 らか にし 、それら3種を両 親に正逆交雑を実施し、6組 合せの種間雑種を育成するべく、

未熟 胚培 養を行った。最後に、胚培養でフラスコ内に 育成中のサンザシの種間雑種候補 幼 植 物 体 を 用 い て 、RAPD法 に よ る 類 縁 関 係 お よ び 雑 種 性 識 別 を 行 っ た 。

1、サンザシ属植物 の組織培養系の確立

  オオミ、ダフリカ、アラグァカおよびクロミ のサンザシ4種の各組織(茎頂、葉、、葉 柄、子葉、根、胚軸、胚および葯)を培養し、 茎頂、葉、葉柄、子葉および胚の外植片 から植物体を形成した。植物体形成に関する初 代培養、継代培養および発根に適した培 地および植物ホルモンの種類と濃度を明らかに した。この結果、サンザシを用いて初め て組織培養による安定した植物体再生系を確立 した。

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2、サンザシ果実の成分分析

  オオ ミ、 ダ フリカおよびアラゲアカサン ザシ3種の果実を用いた成分 分析によると、

アラゲ アカは水分が低く、タンパク質、脂質、炭水化物、灰分 、カルシウム、リン、カ リウム 、亜鉛、銅およびマグネシウムでオオミとダフリカより 高かった。ローカロテン は オオ ミが 最 も高 かっ たが 、ビ タミ ンC、Q−トコフェロール、アント シアニンはアラ ゲ アカ が最 大 で、 特に アン トシ アニ ン含 量は 極端 に多 く、 オオ ミの430倍量が含まれ ていた 。全糖はダフリカが最も高く、フルク卜ースおよびグル コースの含量はアラグア カがダ フリカより高かった。また、アラゲアカはポリフェノー ル、シュウ酸およびクエ ン 酸 量 も 高 く 、 サ ン ザ シ3種 の 果 実 成 分 の 特 徴 が 初 め て 明 ら か に な っ た 。   他の 果樹 の 成分 と比 べる と、3種 すべ て で、ロ―カロテン、ビタミンCはりンゴ、ス モ モお よび ア ロニアより高く、特にアラゲ アカではQ−トコフェロール 、ポリフェノー ル 、 シ ュ ウ 酸 およ びク エ ン酸 も豊 富で 、こ れら 機能 性成 分の 有効 利用 が望 まれ る 。

3、 胚培 養 によ る種 間雑 種の 作出

  サ ン ザ シ3種 の 正 逆 交 雑 の 結 実 率 は、 交配 後30日 に比 べ60日は 半減 し、 受粉 不完 全に よる 落果 が認 めら れた が、 交配 後60日で15.0〜33.3%の結実率が得られた。 果実 あた りの 種子 数は 高か った が、 種子 当 りの胚形成率は低く、交雑組合せ当たり57.4〜 80.4%で あっ た。 未熟 胚培 養に よる シ ュートの形成は、3種の6組合せの種聞雑種 はと も に 交 雑 後100日 の 胚 が60日 よ り 高 くな った 。 特に 交配 後100日 のオ オミXアラ ゲア カの 組合 せが 最も 高く 、58.8% とな り 、ア ラグ アカXダ フリ カの 組合せが最も低 く、

4.8% と なっ た。RAPD法 によ って サン ザシ3種 お よび それ ぞれ の種 間雑 種候 補を 検定 し た と こ ろ 、 す べ て の 組 合 せ で 種 問 雑 種 で あ る こ と が 確 認 出 来 た 。

4、RAPD法による親子鑑定および類縁関係の解析

  RAPD法 に よ り 多 型 の 検 出 さ れ た 増 幅DNA断 片 の サ イ ズ は 主 に2.2kbpか ら0.2kbp で 、 増 幅DNA断片 全体 の86.6% を占 めて いた 。 両親4種 で検 出さ れた 多型 性 バン ドが 58.5% 、正 逆交 雑は6組 合せ の種 問 雑種 系統 の多 型性 バン ドが66.2%を占めていた。

雑種 の 多型DNAバン ドは 両親 より 高 かっ たこ とか ら両 親の 遺伝 的差 異が大きいことを 示 し た 。RAPD分 析 法を 用い たサ ンザ シ両 親の 識別 は、4種サ ンザ シに おけ る増 幅DNA のバンドパターンの種間差によ って容易に区別でき、種および種間雑種の同定に有効で あ る こ と が 明 ら か と な っ た 。 ま た 、Fl個体 で 検出 され た増 幅DNA断 片は す べて それ ら の 親 か ら 由来 し てい た。 この よう にRAPD分 析法 がサ ンザ シ属 の識 別・ 同 定お よび 親子鑑定に応用できることが明 らかになった。

  以上のように、 本研究はサンザシ属植物の組織培養による増殖法を確立して、果実の 成分分析によって アラゲアカサンザシなどの優れた遺伝資源を明らかにした。また、そ れ らを 親と して3親6組合 せの 種間 雑 種の育成に初めて成功した。これらの素材は中国 においてはサンザ シの新品種としての利用に、わが国のような果樹として未利用の国で は新果樹としての 利用に道を拓くものであり、高く評価できる。よって、審査員一同は、

石 嶺 が 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。

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