リン ゴの
Y字
形 棚整 枝 にお け る物 質 生産 と
栽 培 法 に関す る研 究
Sludiesol町 MalFfProducimandtt GIowingば
Apptt TRttTMinedttaYtth ttslem
倉 橋 孝 夫
1996年
沸 休 緒 論 第
Itt Y字
形棚整枝 に 第1節Y字
形棚 の 第2節
樹形 の構造 お ける樹形 と棚 の構造 構造 と栽植方法 お よび主幹形整枝樹 `お、じ'に
おける乾物生産 と器 官別分配 方法 ・・ ・・・ ●●●●●●●●●●●●o● ●・ ・・ 。 にお ける乾物生産の季節的変化 第3節
考 察 第 Ⅱ章Y字
形棚整枝樹 お よび主幹形整枝樹 1込 、じ'tとおける果実収量 と品質 の比較 第1節 材料 お よび方法 第2節
結 果 第3節
考 察 5 7 0 2 4 0 4 8 5 3 8 4 第 Ⅲ章Y字
形 棚 整 枝 樹 の 比 較 第 1節 材料 お よ び 第2節
結 果 第3節
考 察 第Ⅳ章 リ 第 1節 第2節 第3節
ンゴ `お、じ' 果 実 の生 長 若木 におt 考 察 ナる咤 物生産の季節変化 第V章
リンゴ `お、じ'に
お ける葉面積 と新梢の生育特性 お よびY字
形棚整 枝樹 と 主幹形整枝樹 の生育比較第1節 第
2節
第3飾
第4飾
第5節
第6節
新 梢 長 と葉 短 果 枝 と発 短 果 枝 と発Y字
形 棚 整Y字
形 棚 整 面積 および乾物 重の関係 育 枝 にお ける葉位別個葉 面積 の季節変化 育 枝 にお ける葉 面積 と新梢長 の季節変化 枝樹 と主幹形整枝樹 にお ける新梢長 と新梢数の年次変化 。 枝樹 と主幹形整枝樹 にお ける1樹当た りの葉 面積 の季節変化 にお ける最適葉 面積指数 よびLAIと
乾物生産 の 関係 49 53 56 59 62 64 84 92 98 103 考 察 第Ⅵ章Y字
形棚 整枝樹 お よび主幹形整枝樹 `お、じ'1こおける光環境 と果実 品質お よび 光 合成特性 の比較 第1節 材料 お よび方法 第2節
結 果 第3節
考 察 第Ⅶ章 リ 第1節 第2節
第3節
第4節
ンゴ Iお 、じ' 栽植密度 おLAIと
果 樹冠 占有面 実 品質の関係 積率 お よびLA
Iと 収量の関係 ・ 7 0 1 6 7 8 7 8 3 0 0 1 考 察 第 Ⅷ節Y字
形棚整枝樹 お よび主幹形整枝樹 `お、じ'に
お ける作業能率 の比較 第1節 材料 お よび方法 ・・・・・・・・・・ ・・・ ・・・・・・・・ ・・・ 第2節
結 果 第3節
考 察 第 Ⅸ章 総合考察 ・ 116 摘 要引用文 献 ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ッ・・ ・ ・・ ・・・ ・ ・・ ・・・ ・ ● ● ●126
勢 硼 倣 仰 植物 の物質生産 は
,光
合成 による生産 活動 と群落の維持・発達 のための消費活動 の収支 と して と らえ ることがで きる.そ
して,食
用作物 の近代 品種 にお ける収量の増加 は,葉
面 積 指数(LAl)の
増大,葉
面積拡大 の早期化,空
間 にお ける葉群配置の改 良 による光線 利 用 の効率化 と光合成産物 の収穫部位へ の分配割合を増加 させることによって もた らされ た とされて いる(Jensen,1982).ま
た,物
質生産 が最大 とな る植物群落 は,よ
り多 くの光 を捕捉 す る と同時 に,個
々の葉が よ り均等 に 日射エネルギーを受 けるよ うな構造を もった もので あ る (Monsiら,1953).
日本 に降 り注 ぐ太陽エネル ギーは年 間13.54× 10HG」,生
育期 間では9.03×10'lGJで
あ り,年
間の植物生産力 は379.5Mtで
,植
物 に利用 され,乾
物 のなか に固定 され るのはその1%弱
にす ぎな い (内嶋,1979).し
たが って,農
業 においては太陽エネルギーを効率 よ く 利 用す る栽培体系 を創造す る必要がある。 日本 の果 樹栽培 は,高
品質 でかつ外観 の優 れた果実 を大量 に生産 して商品化す るため に , 土地生産性 を可能 な限 り向上 させ ることを大 きな 目標 と している。整枝せん定 の主 な 目的 も高 品質果実を毎年安定 的に多収穫す る ことがで きる樹 に誘導す ることにある。そのため には,単
位 土地面積 当た りの光合成生産効率 を高め, さ らに,そ
の産物 の果実への分配率 が 高 くなる樹形をつ くる必要がある。具体的には,林
(1960)が 日本 ナ シで,高
橋 (1986)が ブ ドウで指摘 して いるよ うに,園
内に空 間を作 らないよ うに し,葉
を隅 々まで展葉 させ て 成 園率 を高め,早
期 に業 を展 開させて光合成期 間を長 くす る ことが大切 である. わが 国の リンゴ栽培 は明治初期 にアメ リカか ら多数の栽培 品種を導入 した ことによって 始 ま った (今 ら,1993).平
成5年度 の果樹生産 出荷統計 (農林水産省統 計情報部,1995)
に よれば,栽
培面積 は48,500ha,生産量 は101.1万tで,世
界 で も有数 の生産 国であ る。 さ らに,わ
が 国固有 の野生 リンゴ種であるマルバカイ ドウ (A/r97trs μ′ηわれ'Var・ ringo Asa ni)は 栽培 品種 と接 ぎ木親和性が高 く
,土
地適応性 も広 いため,初
期収量 や盛果期の収量が 多 く,わ
が 国の リンゴ台木 と して広 く用い られて きた (土屋 ,1987)。 ところが,樹
勢 が旺盛 な ため樹 が大 き くな り
,栽
培 管理 の省力化が難 しく,鳥
取県 を は じめ とす る西南暖地 で は栄養生長が旺盛 にな りす ぎて,開
花,結
実をみ るまでに7∼10年もかか るな ど栽 培が極 めて困難であ った,こ
うい う中で,イ
ギ リスのイ ース トモー リング試験場 で始 め られたわ い化栽培 は,昭
和40年代後半 か ら,M.26,M.9台
な ど中心に 日本各地 に急速 に普及 して き た。 このわい化栽培 は,各
種作業機械の使用 を容易 に して,栽
培管理 を省力化す るため に, 日標樹 高 は3∼2.5Ⅲ,結
実部位 を2.5∼ 2m以下 にす る主幹形整枝 (主幹形)の
並木植 え栽培 を基本 とす る.西
南 暖地 の 中国地方で も,昭
和50年頃 よ り山 口県 の友 清氏,鳥
取県の森安 氏 な どが先駆者 とな り,
リンゴのわい化栽培 を導入,普
及 させて きた。西南 暖地のわい化 栽培 で は,青
森県 な どの主産地 と比べ夏季が高温多湿な ため,新
梢 の生 長 は旺盛 で大木 と な り,果
実 の着色 は不 良 とな りやす く,肉
質が柔 らか いな どの特徴が ある (友清,1982)。 しか し,わ
い化栽培 では花 芽 の着生 は容易 で,収
量 が多 く単価 も高 いな ど生産 と経営が安 定 して いるため,水
田転作地や観光農 園 として増加 している,と
ころが,M.26台
,M.9台
を用 いた主幹形のわい化栽培 は,樹
齢が10年を過 ぎる と樹高を4冊以 上 に しな い と樹勢が落 ち着かない。 そのため,樹
冠 幅は広 くな り,樹
冠 内部へ の光 の透過 率が低 くな って,果
実 の 品質 は低下 し,作
業 性が劣 る。 また,主
幹形 のわい化栽培 は,樹
冠 占有面積率が低 いた め太 陽光線 の利用率が低 く,多
くの光 エ ネル ギー は光合成 に有効 に利用 され る ことな く通 路 に到 達 して しま う(」ackson,1970),さ らに,立
木仕 立 ての リンゴやモ モでは,樹
冠 の上 部 と下部 では受光環境が異な るため,果
実品質の較差が大 きい (小池,1984;末
澤 ら,19
91)な
ど,い
ろい ろな弊害が ある。 一方,棚
仕立 て につ いてみ る と,高
橋 (1989)は ブ ドウな どで行 われている平棚仕立てで は,園
を樹冠 で ほぼ完全 に覆 うことがで きるため,園
に降 り注 ぐ太陽エ ネルギーを ほぼ完 全 に利用す る ことができ,品
質 の揃 った果実が生産で きると報告 してい る.ま
た,
日本 ナ シ栽培 の大部分が棚仕立て とな ったのは,台
風 による落果 を軽減す るためであ ったが,立
木仕立 て ょ り収量が多 い ことが知 られてい る (岸本,1978).他
方,
リンゴ もナ ンと同様 に,強
風 による落果が多い,特
に西南暖地は台風 の常襲地帯 であ るため,強
風 による落果 を防止す る対策が特 に必要 である.そ
の意味で も リンゴを棚仕立 て にす れば,ナ
シと同様 に落果 は軽減 し,生
産 が安 定す る もの と考え られ る.2-これ らの こ とか ら
,わ
い性 台 を利 用 とノた リンゴ栽培 才こお い て,光
線 の効 率 的利 用 と樹 勢 維 持 の 両 面 を 満 たす 仕 立 て方 法 と して,筆
者 はY字
型 に配 置 した2本主 枝 に よ る波 状 棚 栽 培の
Y字
形 棚 整 枝(Y字
形)を
検 討 した。これ まで
,果
樹 の仕 立 て方 に関す る報 告 の 中で,Y字
形 の樹 形 を して い る の は, 山崎(1 987)によ るわ い性 台木 を利 用 した モモ の2本主 枝 整 枝 ′文 室 ら(1987)のカ キ `富有'の
2本
主 枝 仕 立 て,Huttonら (1987),Van den Endcら (1987),Van tteekら (1980)な どに よ る モ モ,
ナ シな どの機 械 収穫 を 目的 と したTatura trellisな どの報 告 が あ る
.わ
い性 台 リンゴを用い て検 討 した もの で はRobinsonら (1991a,1991b,1991c)の 報 告 が あ るが
,Y字
形 と主 幹 形 を物 質 生 産 の 面 か ら比 較検 討 した もの は まだ み あ た らな い. 果樹 の物 質 生 産 につ い て は,ブ
ドウで高橋(1986)が
,ナ
シで は小 豆 沢 ら(1983),イ
チ ジクで は株 本(1986),倉
橋 ら(1989a),
ク リで は荒 木(1981),キ
ウイ フル ー ツで は 末 沢 ら (1991)の報 告 が あ り,リ
ンゴで は鎌 倉 ら(1986),福
田 ら(1987,1991i1992119
93)(小
池 ら(1990)な
どの報 告 が あ るが,Y字
形 と主 幹形 リンゴ樹 につ い て,生
育,収
量,乾
物 生 産 や 光 環境 な どの物 質 生 産 的 な観 点か ら研 究 を行 った例 は見 当 た らな い。 ま た, 日本 の 西南 暖地 にお け る リンゴ栽 培 の研 究 も少 な い。 この よ うな状 況 か ら本 研 究 は西 南 暖 地 にお い て効 率 よ く リンゴ栽 培 を行 うに は どの よ うな栽 培 方 法 を とれ ば よいか を 明 らか に す るた め に,1984年
か ら10年 間 にわ た リー連 の研 究 を 行 って きた (倉 精 ら,1989b;1990,
1991,1992a,1992b,1994a i 1994b iと
995a,1995b,1995c,1995d).本
稿 は それ らの結 果 を総 合 的 に取 りま とめ た もの で あ る. 第 1章にY字
形 の樹 形 と棚 の構 造 につ いて述べ,第
Ⅱ章 で はY字
形 と主 幹 形 の リンゴ ` お、じ'に
お け る果 実 収 量 と品質 を,ま
た,第
皿章 で は整 枝 法 の違 いを純 生産 量 と果 実へ の 分 配 率 の 面か ら比 較 検 討 した 。第 Ⅳ章 で は リンゴの果 実 や樹 体 の乾 物 生 産 の季 節変 化 につ い て検 討 し,第
V,Ⅵ
章 で は,収
量,果
実 品質 お よび乾 物 生 産 の違 いが ど こか ら生 ず るか を 明 らか にす るた め に,第 V章
で は光 合 成 器 官 で あ る葉 面積 の拡 大 の季 節変 化 と,整
枝 法 に よ る葉 面 積 の拡 大 の違 い を 明 らか に し,第
Ⅶ章 で は光 環 境 と光 合 成特 性 の違 い を検 討 し′ た,第
Ⅶ 章 で は最 適LAIを
明 らか に し,第
Ⅷ章 で は作 業能 率 につ いて 比較 検 討 した. 本 研 究 を 遂 行 す る に 当 た り懇 篤 な る ご指導 と ご教 示 を賜 った 鳥取 大 学 教 授 田辺 賢 二 博 士,同高橋 国昭博 士 に哀心 よ り御礼 申 し上 げ る
.本
研究を遂行す るに当た り懇切 な る ご指導 を 賜 った島根大学教 授 山村 宏 博士 に厚 くお礼 中 し上げる、 また,本
稿 の ご校 閲 を賜 った島 根大学名誉教 授 内藤隆次博士 お よび島根県農 業試験場 主任研 究員村井 保博士 に対 し深 く 感謝の意を表す る。 また,研
究実施 に当た り適切 な ご助言 と御協 力 をいただいた島根 県農 業試験場果樹科長小豆沢 斉博士,鳥
取大学 田村文男 講 師には厚 くお礼 申 し上 げる.ま
た, 島根県農業試験場 果樹 科主任研究員 山本孝 司氏,安
田雄治氏,同
研究員持 田圭介氏,岡
本 敏氏,栂
野康行 氏,企
画推進課 専 門技術員今 岡 昭氏 には多 くの協力 を戴 い た.さ
らに, 島根県農業 試験場 果樹 科職 員 や元 職員並 びに鳥取大学 園芸研究室学生各位か らもご援助戴 いた.記
して深 く感謝 の意 を表す る.4-第
1章 リンゴのわ い化栽培 の樹形 は,側
枝 を主幹 に直 接配 置す る細型紡錘形 の主幹形が一般 的 に行 われて お り, この樹形や トレ リス棚 の構造 につ いては多 くの報告 (津川,1984,小
池, 1985;Forsheyら,1992)が
あ る。 ところが,Y字
形 にお ける樹 形 や棚 の構 造 につ いて報 告 した ものはみ あた らな い.本
章 では,栽
植方 法,樹
形 やY字
棚 の構造 につ いて述べ る. 第 1節Y字
形欄 の構 造 と栽 植 方 法 第1図にY字
形 と主 幹 形 にお け る樹 冠 の基本 構 造 を 示 した。Y字
形 は並 木 植 え の2本主 枝 と し,植
え 付 け間 隔 は条 間3´6m,株
間2mで,樹
列 の方 向 は受 光 効 率 の よ い南 北 方 向 と した。Y字
形 の樹 形 は,2本
の主 枝 を地 上0.6mから高 さ3.OmのY字
棚 の先 端 まで,地
表 面 に対 して約 50度 の角 度 で伸 ば し
,連
続 したV字
形 の棚 にな るよ うに設 計 した,一
方,主
幹形 は植 え 付 け間 隔 を条 間3.6Ⅲ,株
問2昴と し,樹
高 は翫 と した.Y字
形,主
幹 形 と も,島
根 県農 業 試 験 場果 樹 画場 に, `ム、じ'(台
木M.26/マ
ル バ カ イ ドウ,以
下M.26中
間 台木)を
約20cmのM.26中
間台木 が 半分 程度 地 面下 にな る よ うに して, 1984年3月 に植 え付 け た。 供 試 園 は 北 へ 1度,東
へ 4度 下 が る総 合 傾斜 5度 の 園で,防
風 と鳥 虫 害 防止 を兼 ね て 全体 を6×4mmメ ッシ ュの 白色 の寒 冷 しゃで覆 った.栽
培 管 理 は両 整 枝 法 と も島根 県 の栽 培 指針 に準 じて行 った. 第2図にY字
形 の 防 鳥 防 虫 用 の網 掛 け栽 培 が 可能 な兼 用 棚 を示 した。 棚 の高 さは老 人 や 帰 女 子 が 作 業 しや す い よ うに高 さを3mに制 限 した.網
棚 は,ブ
ドウ棚 の類 似 した もの で,囲
の周 囲,高
さ3mに周 囲 線 を 張 り,南
北2m,東
西1.8mご
とに幹 線 を張 った 。 そ して,植
え列 に対 して直 角 にな る よ うに幹 元 で鉄 パ イ プ2本 をY字
形 に組 み,パ
イ プの 上 端 を棚 の 幹 線 に 固定 した.さ
らに,Y字
形 のパ イ プ には横 通 しパ イ プ を通 し,縦
横 に針 金 (12番線)を
張 って,棚
面 をV字
形 の棚 と した. 造 構 の 棚 卜 / C 形 樹 女 υ キ サ お ア ﹂ 世 哄 整 帥 脚 形 ウ す YY宇
形 棚 整 枝 主 幹 形 整 枝 樹 局 (m) 3 2 第 1図Y宇
形 棚 整 枝 と主 幹 形 整 枝 に お け る樹 冠 の模 式 図 1.3m 3,6n:↑
周 囲線 (フイ ヤー) 幹線 (″10)↑
高 さ 3m↓
ン ゴY字
形 棚 (ネ ッ ト兼 用 棚) -6-← ―――周囲線控 え線 (申10) 周 囲柱(48.6°) ←― タンカー(P-1)
コンク リー ト曼 台 ← ―――隅柱控 え線 (ワイ ヤ ー) 隅柱 (60.5°) !` ぐ ` 中柱 (38.1') (19,と°) 第2図 リ ←ア
ン カ ー(P-2)
第
2節
樹形 の構造Y字
形 の樹形 の作 り方の概 要 は第3図に示 した.1.植
え付 け1年 目 苗木 は植 え付 け後,地
上 60cm程 度 でせん定 した.新
梢が20∼30cm伸 長 した頃,先
端 か ら 発生 した最 も生育 の よい新梢 を第1主枝 と し,先
端部 が垂 直 にな るよ うに支柱 に誘 引 し,第
1主枝 よ り下部 か ら反対方 向へ発生 した第1主杖 の1/2∼ 3/4の大 さの新梢 を第2主枝 と し,や
や斜 め に誘 引 した。2.植
え付 け2∼3年 目 冬 のせ ん定 時 には,両
主枝 とも全長 の3/4程度が残 るよ うに切 り返 して,先
端 を垂 直 に誘 引 した。主枝 の先端 の新梢 は,生
長 に応 じて垂直 にな るよ うに誘 引 し,主
枝 の上面か らで た新梢 は早 め にせん除す る。 そ して,横
や下か ら発生 した新梢 は,側
枝 にす るため に棚 面 へ水平 に誘 引 した。33植
え付 け4年 目∼若 木 地上約0.6mの 高 さで分岐 した2本の主枝 は,地
表面:こ対 して約50度の角度 で東 西に向 けて 伸ば し,主
枝 の先端が高 さ約 2.5mに 届 い た ところで さ らに2本に分岐 させて,棚
全面 に新梢 を発生 させ る よ うな構造 に した.側
枝 は,主
枝 の真横 ∼やや 下部 に発生 し,径
が主枝 の1′/ 2以下 の ものを1主枝 当た り20本程度残 した。4.成
木 成木 にな る と,第
4図の よ うな樹形 とな る。側枝 はせん定時 に隣接樹 と先端が交差 しない 程度 に切 り戻 した。 また,4∼
5年経 る と,主
枝基部か ら発生す る結 果枝 が少 な くな るので 主枝先端を強 く切 り返 し,新
梢 の発生 を促 した。1年間の新梢 の誘 引お よび夏季 せん定 の回 数 はY字
形が3回,主
幹形 は1回で あ った.1.植
え 付 け 時 新 梢 を 2本 に し、 先 端 を 上 向 き に誘 引 す る2.植
え 付 け 1年 目 の 夏 主 枝 の先 端 は 上 向 き に誘 引 し 側 枝 は棚 線 に 誘 引す る 主 枝 の先 端 は 2本 に 分 け て棚 面 が村 冠 で 100%埋 ま る よ う にす る4.成
園 時 第 3図Y宇
形 棚 整 枝 樹 の樹 形 の 作 り 方3.植
え 付 け 2年 目 の 夏第
3節
考 察M.26中
間台木 `込、じ'に
お ける主幹形 の植 え付 け間隔は,長
野県 (小池,1985)や
青 森 県 (青森県農 林部 リンゴ課,1993)で
は2×4mが
よい と して い る。 ところが,島
根 県 で は, 主産地 の青 森県や長野県 と比べて,平
均気 温が 高 く,雨
も多 いためか,新
梢 が伸 びす ぎを, ので,2.5× 5m程度 とやや広 い ほ うが よい よ うである.Y字
形 は主枝が2本で あ り,樹
冠 の下か ら作業が で きるため,主
幹形 よ り若千 樹 間隔を狭 く して条 間3.6Ⅲ X株 間2耐と した。 しか し,植
え付 けて4∼5年目ころに主 枝 の先 端が隣接樹 と交差 して くるので,条
間はやや長 くして,4.5∼
5× 2]程度の植 え付 け間隔が 良い. 土屋 (1987)に よれば,わ
い性台木 の 目標樹 高は,
ヨー ロッパ か ら導入 当時 には3.0∼2. 5mと してぃたが,実
際 に栽培 して みる と, 日本は雨が多 いため,樹
が予想 よ り大 き くな っ た。長野県や青森県 におけるM.9,M.26台
木 の主幹形 の園の樹 高 は,ほ
とん どが4団以 上 で あ る.島
根 県や鳥取県 な どの暖地 では5m程度 とさ らに高 く,作
業性 が非常 に悪 い。 そ こで,Y字
形 の棚 の高 さはlⅢ程度 の脚立 で,す
べ ての作業が安 全 に能率 良 くで きるよ うに3mと し, た, 樹列 の方 向 につ いて久米 ら(1987)は,
リンゴのヘ ッジロー仕立 ての東 西樹列植 えで は, 樹 冠 の上下 とも樹列 の南側 の光量が常 に北側 よ り高い と報告 して い る。Jackson(1972)イよリ ンゴの樹形 モデル と受光量 の調査 を行 い,列
方 向は,南
北が東西 よ り光 の利用効率が 良 い と報告 してい る。Y字
形 で は東西列方 向は,Y字
形棚 の片面 だけ よ く光 が 当た るの に対 し て,南
北列方 向ではY字
形 棚 の両面 と もほぼ 同 じよ うに光が 当た るので,Y字
形の樹 列 方 向 も主 幹形 と同様 に南北 向 きが良 い と考 え られ る。 樹形 の作 り方 につ いてみ る と,林
(1960)は 日本 ナ ンの収量 を高 め るため には,国
内に空 間を作 らな い よ うに して葉 を隅 々まで展葉 させ て,土
地 の利用効率 を100%ま で高め る。 そ して,早
く葉 を展葉 させ て太 陽光 線を受 け止 め る期 間を長 く して,葉
層 に適度 な厚 みを持 たせ る ことが大切であ ると報告 している.こ
うい う観 点か らY字
形 の樹 形 の作 り方 を考 え る と,せ
ん定 は適度 に弱 くして,若
木 の うちか らで きるだけ早 く棚 面を葉 で埋 め る。 その ために,主
枝 はせ ん定 の基本 であ る三角形の樹形 にす るので はな く,第
3図の よ うに先端 を 2本に分岐 させ て棚面を100%埋
め るよ うにす る.-10-リンゴもナ ンと同様 に
,強
風 による落果が多 い.特
に1台
風 の常襲地帯 で あ る西 南 暖地 で は,棚
仕 立 てに よって台風 による落果 を軽 減す るこ とが で きる もの と考 え られ る,ち
な み に,史
上 最 強 といわれ た1991年9月の台風19号の とき,島
根農試 の リンゴ園の落果 被害 は 網 で覆 われてい る こともあ って少 なか ったが,落
果率 は主幹形 の8%と
比べ る と,Y字
形 は第Ⅱ
章
Y宇
形棚整枝樹および主幹形整枝樹
`ふし
'に
おける
果実収量と
品質の比較
本章 で は,Y字
形棚 整 枝 と主 幹 形 整 枝 の並 木 植 え栽 培 を行 い,収
量,果
実 品 質 の年 次 変 化 につ いて 比 較 検 討 した。 第 1節 材 料 お よ び方 法 実験 には,島
根 県 農 業試 験 場 果 樹 圃場 の1984年春 植 え のM.26中
間 台木 樹 `ぶ、じ'を
Y字
形 区 (第5図)で
72本,主
幹 形 区 (第6図)で
は36本 用 い た.収
量 お よび果 実 品 質 の調 査 は 全 樹 につ い て行 い,葉
面積,樹
冠 占有 面 積 な どの調査 は各 年 に平 均 的 な3∼5村 を選 ん で行 った。 果 実 品質 の調 査 は,各
樹 か ら無 作 為 に20個 採 取 し,果
皮色 は表 面 色 を農 林水 産 省 果 樹 試 験 場 基 準 の カ ラー チ ャー ト値 で求 め た.果
肉硬 度 は果 実 縦 断 面 の赤 道 部 を マ グ ネ ス テ ー ラー硬度 計 (7/16イ ンチ プ ラ ンジ ャー)で
測定 した。 果 実 を 1/8程 度 の縦 断果 肉片 に して 果 皮 と果 心 を取 り除 き,ジ
ューサ ーで果 汁 を採 取 し,糖
度 は屈 折 糖 度 計 (ア タ ゴ製)で
測 定 し,満
定 酸 含 量 は0.1規定NaOHで中和 満 定 を 行 い,
リンゴ酸 含 量 に換算 し′て示 した。 平 均 果 重 は収穫 全 重量 を収 穫 個 数 で除 して 求 め た。 葉 面 積 を 測 定 す るた め に,落
葉 前 に樹 全 体 を透 明寒 冷 しゃで覆 い,全
葉 を 採 取 した,そ
して,そ
の約10%を
抽 出 して,葉
面積 を葉 面 積 計 (林 電工製AAC 400)で
測定 して乾 物 重 を 求 め,単
位 乾 物 重 当 た りの葉 面 積 を計算 した。 残 りの葉 はす べ て風 乾 して乾 物 重 を 求 め, これ らの値 を もとに全葉 面積 を算 出 した,樹
冠 占有 面 積 は,植
え 付 け 間 隔 で あ る3. 6m×2mの 長 方 形 を幹 が 中心 とな る よ うに地 面 に描 き, この 中 に投 影 され る面 積 と し,樹
冠 占有 面 積 率 は, この長方形 に 占め る樹冠 占有 面積 の割合 で示 した。第5図
9年
生M。26中間台木Y字
形樹 tお、じ'第6図
9年
生M.26中
間台木 主幹形樹 猛、げ13-第
2節
結 果1.収
量 の 年 次 変 化 整 枝 法 の違 い が 収量 に及 ぼす 影 響 につ い て年次 別 に調 査 した結 果 は第7図に示 す とお りで あ る。 収量 はY字
形 区,主
幹 形 区 と もに7年 生 まで は年 と と もに増加 し,5t/10a程
度 にな っ た。 8年 生 で は 台風 19号 の被 害 を受 け たた め にや や減 少 したが,9∼
10年 生 で は再 び収 量 は 増 加 した,Y字
形 区 と主 幹 形 区を 比較 して み る と,調
査 を 開始 して か ら8年 間つ ね にY字
形 区 が 多 か ったが,特
に8∼10年 生 で その差 が顕 著 で あ った,10年
生 にお け るY字
形 区 の収 量 は6.92t/10aで,主
幹 形 区 の約 1.2倍 で あ った。2.果
実 品質 の年 次 変 化 整 枝 法 の 違 いが 果 実 品質│こ及 ぽ す影 響 を第1表と第8図に示 した,平
均 果 重 と滴 定 酸 含 量 で は,整
枝 法 の違 い に よ る有 意 な 差 は認 め られ なか った。 しか し,果
皮 色 は 5年 生 時 を 除 き, 有 意 な 差 が 認 め られ,Y字
形 区 の方 が 高 か った。 糖度 は各 年 と もY字
形 区 の方 が 高 く,7∼
9年 生 で は有 意 な差 が認 め られ た.3.樹
冠 占有 面積 率,葉
面 積 指数(LAI)の
年 次変 化 第9図は整 枝 法 の違 い が 樹冠 占有 面 積率 の年 次 変 化 に及 ぼす 影 響 につ い て示 した もの で あ る。Y字
形 区 の樹 冠 占有 面 積 率 は4年 生樹 で75%程
度 に な り,そ
の後 も増加 し続 け,6年
生 樹 で90%程
度,10年
生 で は98%と
な り,成
園 に近 い状 態 にな った.そ
れ に対 して:主
幹 形 区 は,Y字
形 区 に比べ て相 当低 く,4年
生 で52%で
あ り,そ
の後 徐 々に増 加 したが,10年
生 で も約81%に
と どま った。 第10図に は 10年 生 `お、げ の5月22日 にお け るY字
形 の樹 冠 を示 したが, この 時点 で 園が 樹 冠 で ほぽ 完 全 に覆 わ れ て い た. 第H図
に は 10年 生 `お、じ'の
5月22日 にお け る主 幹 形 の樹 冠 を 示 したが,主
幹 形 で は樹 の 間 に空 い た空 間が 認 め られ る。 そ の原 因 は主 幹形 は作 業 す る ため の空 間 が必 要 な た め,樹
列 間 を空 け る必 要 が あ るか らで あ る. 整 枝 法 の違 いがLAIの
年 次変 化 に及 ぽす 影 響 につ い て示 す と第12図の とお りで あ る。LAIは
Y字
形 区,主
幹 形 区 と も樹 齢 と と もに増加 し,8年
生 で3程度 に な った.整
枝 法 で 比 較 して み る と,6年
生 まで はY字
形 区が 主幹 形 区 に比べ てや や高 い傾 向 に あ ったが,7年
14,へ
か'
ハ
-15-第1表 整枝法の違いがM.26中間台木樹 `応、じ
'の
果実品質の年次変化に及ぼす影響 ・ 霧 膵 ― 一 ― ― ― 鍔 Q― ― l半 ― ― 製 :。 ― ― ヽ とQie‐ ― 「 拌 ― 弾 ;」 ‐ ― ―lei?― ― ― 」 ∵ _ 1果重 (g) 309.4 344.4 ** 313.5 333.9 *Y字
形346.2 293.7
主幹形327.8 291。
9 有意 差Z NS NS
274.8 325。8 326.8 348.6 295,9 829,3 304.5 354.0 * NS * NS 9 0 一 ● * 3 3 * 7 9 3 2 * 6 7 ● ● * 3 2 * 3.0 1.9 ** 9 4 2 2 * ● ● * 3 2 * 3 . 2 . NS 果 色Y字
形 (カラー主幹形 チ ャー ト値
)有
意差= BriXl萱 (,巧 )Y字
形 15。 6 主幹形14.9
有意差= NS
0 0 4 3 * 8 7 4 3 * 4 2 ● ● S 4 4 N 5 . 5 , 嶋 13,上 12.8 NS 14.6 14.0 13.7 13.5 * NS 3 3 S ‘ ● N 0 0 2 1 3 3 S ● ● N 0 0 0 4 4 4 S ● ● N 0 0 4 4 S ● ● N 0 0 0 8 4 3 S ● ● N 0 0 0.38 0,38 NS 0.39 0.33 NS 0.46 0.40 NS リンゴ酸 (mg/100g)Y字
形 主幹形 有意差gZ**,P<0,ol,*;o.01<P<o.o5,NS,有
意 差な し主照
)
第8図Y字
形 区 と主幹形区 `お、じ',こ おける果実の比較Y訳
)
ヽ ︼ ゝ ヽ い0 0 0 8 7 6 ︵ ゞ ︶ 帯 欅 旧 悼 範 艘 揮 樹齢 (年) 第9図 整枝 法の違いが
M.26中
間台木樹 `ふ じ)の
樹冠 占有面積率の年次変化 に及ぼす影響許
"下噴
,√ ぱ
● 第10図Y字
形 区 にお ける樹列 間の空 間 (1994年5月 22日 ) 第11図 主幹形区にお ける樹列 問r7D空間 (1994年5月 22日 ) 18456781
樹齢 (年)
第12図 整枝法の違いが
M.26中
間台木樹 `ふ じ'LAIの
年次変化 に及ばす影響第
3節
考 察 果 樹 の仕 立 て方 には立木 仕 立 て,棚
仕 立 て,垣
根仕 立 てな どが あ るが,平
棚 仕 立 て につ い て高 橋(1980)は,樹
冠 占有 面積 率 の 面 で有 利 で あ る と報 告 し,ニ
ホ ンナ シで は金 戸 ら(1968),岸
本 ら(1971)が
,果
実へ の分 配 率 が 高 い た め収 量,平
均 果 重 で優 れ て い る と して い る.さ
らに,棚
仕 立 て は立 木 仕 立 て に比べ て,樹
高 が低 い た め作 業 が 安 全 に能 率 良 くで き る とい う利 点が あ る. リンゴの 収量 につ い て は,菊
池 ら(1987)が青 森 県 内の8∼11年 生 の わ い 化 密 植 リン ゴ園 に お ける 1お、じ'(M.26台
)の
10a当た り収量 を調 査 した結 果,最
大 が5.4tで
,最
小 が1.8 tであ り,平
均 が3,7tで
あ った.福
田 ら(1987)はM.26台
`ム、じ'を
用 いた 13年 間 の 台 木 試 験 結 果 か ら,4t以
上 の収 量 を あ げ たの は わず か2年間 の み で あ った と して い る。 また1 小 池 ら(1990)は,長
野 県 で はM.26台
`お、じ'で
4∼5t/10aを
目標 と して い る.本
結 果 で は , 主 幹 形 区 で 6年 生 以 降4∼5tの
収量 が 得 られ,ほ
ぼ長 野県 の 目標 収量 に近 い値 を得 た.こ
れ に対 して!Y字
形 区は6年生 が4.5t,7年
生 が5.9tであ り,1991年
に台風 19号 の被 害 を受 け た 8年 生 で は5.ltと
や や減 少 したが,10年
生 は6.9tと
,明
らか に主 幹 形 区 よ り高 収 量 が 得 られ,岸
本 ら(1971)の ナ ンの報 告 と一 致 した。 果 実 品質 につ い て み る と,文
室 ら(1987)は,カ
キ `富有'で
Y字
形 に類 似 した2本
主 枝 仕 立 て は大 果 が 多 く,品
質 の 変動 が少 な か った と報 告tノて い る。 ま た,岸
本 ら(1971)は
`長十 郎jの
棚 仕 立 て は立 木 仕 立 て に比べ 平 均 果 重が 大 きい と報 告 して い る.本
報 告 の平 均 果 重 はY字
形 区 と主 幹形 区 で は差 は認 め られ な か ったが,果
実 糖 度 は いず れ の年 もY字
形 区 の方 が 高 く,特
に7∼9年 生 で は有 意 に高 か った.こ
の よ うにY字
形 区 は主 幹 形 区 に比 べ て,果
実 品質 が優 れ る こ とが 明 らか とな った.Y字
形 区 は主 幹 形 区 に比べ て,収
量 や果 実 品質 が優 れ たが, この原 因 につ い てLAこ
と 樹 冠 占有 面 積 率 を 中心 に解 析 検 討 す る と次 の よ うで あ る.わ
い性 台 を利 用 した主 幹 形 並 木 植 え の リンゴ園 にお け るIッAIに
つ い て の報 告 は,8年
生M.9台
木 1お 、じ'の
4口X2m植
烹_ で2.39(福
田 ら,1991),9年
生M.26台
木 砿、じ'の
4m Xl.5m植
え で2.4(Koikeら,198
8)な
どが あ るが,い
ず れ も2.0∼ 2.5の 範 囲の報 告 で あ る。本 報 告 で は土 地 面積 当 た りの しが 3.7と な り
,従
来 の報 告 よ り高 か った。 また,樹
冠 占有 面 積 当 た りのLAIは
10年 生 村 で, 主 幹形 区が 4.5とY字
形 区 よ り1.2倍 高 か った。栽 植 本 数 や樹 齢 を考 慮 して も,本
結 果 の 値 が 先 の報 告 例 の値 よ りも高 い の は,西
南 暖地 の た め樹 の生 育 が著 し く旺雛 で あ る こ とに基 づ くもの と考 え られ る.こ
の よ うに,Y字
形 は主 幹 形 に比べ,土
地 面積 当 た りのLAと
は ほぼ 同 じで あ ったが,樹
冠 占有 面 積 当 た りのLAIは
低 か った。Y字
形 は棚 仕 立 て で あ るた め,冬
季 に は,結
果 枝 を 園全 体 に ゆ きわ た る よ うに整 枝 せA′ 定 し,夏
季 に は新 梢 が 混 まな い よ うに誘 引 して,園
内 に葉 層 を均 ― に配 置す る こ とが で き る。 それ に対 して,主
幹 形 で は作 業 をす るた め に列 間 に葉 層 のな い空 間 を とる必 要 が あ り, 樹 冠 占有 面 積 率 は50∼80%に
と どまる。 その た め,葉
層 の部 分 は縦 に厚 く,樹
冠 占有 面 積 当 た りのLAIが
著 し く高 くな って,無
効 葉 が多 くな る と考 え られ る.以
上 よ り,Y字
形 区が 主 幹形 区 よ り収量 が多 く,果
実 品質 が 優 れ たの は,Y字
形 区 が棚 仕 立 て で樹 冠 占有 面 積 率 が 高 く,葉
層 が 均 一 で 光 環境 が優 れ て い るた め と考 え られ る,第Ⅲ章
Y字
形棚整枚樹および主幹形整
器官別分配の比較
枝樹
`ふじ
'に
おける
乾物生産と
リンゴの物質生産 につ いて は,Forsheyら(1970,1983),鎌
倉 ら(1986),小
池 ら(1990), 福 田 ら(1987,1991,1992;1993)の
報告 が あるが,整
枝法(Y字
形 と主幹形)と
物質生産 の 関係 につ いて検討 した研究例 はみあた らない。 本章 で は,Y字
形 区が主幹形 区 に比べ!収
量が多か った原 因を物質生産の観 点か ら明 ら か にす るため に,両
整 枝樹 を解体 調査 して,各
々の乾物生産 と器 官別分配率 につ いて比較 検討 した。 第 1節 材料 お よび方法 実験 は1993年 に行 った。供試樹 には,島
根 県農業試 験場果樹 圃場 に1984年 春 定植 した10 年生 のM.26中
間台木Y字
形樹 (第 13図)と
主幹形樹 `お、じ'(第
14図)を
それ ぞれ5樹用 い た。 収穫 はH月
1∼15日 に行 い,果
実 品質 の調査 は11月 4日 に各樹 か ら無作為 に20果採 取 して 行 った。 その他 の調査 方法 は第 Ⅱ章 に準 じた。 1993年11月 16日 に各樹を掘 り上 げサ第15図の よ うに地上部 は葉,新
梢,旧
枝(5mm以下, 5∼10m田,10∼
20mm,20∼ 40mm,40m日 以上)に
分類 し,地
下部 は可能 な限 りていねい に掘 り 取 って水 洗 し,2H寺間程度風乾 して,旧
根 (2∼5mm,5∼
10mn,10∼20m団,20∼
40mm,40nlal 以 上,根
幹)と
新根 (2mm以 下)に
分類 した.地
上部,地
下部 と もそれ ぞれの生体重 を測定 後,約
200gを 採取 して,細
か く切 り刻み,電
気定 温乾 燥器 によ り,90℃
で3∼4日乾 燥 させ た後,105℃
で2∼3時間乾 燥 し,こ
れ を一定量 にな るまで くり返 して乾物 重 を測 定 して乾物 率 を求 めた。 各器 官の乾 物重 は生体重 に乾物 率を乗 じて求め,そ
れ らの合計 を1樹当た りの現存量 と し, 10a当た りの植 え付 け本数 の139本を乗 じて110a当
た りの換算現存量 と した。また,描
果 し た果実,夏
季せ ん定 した葉 や新梢 お よび生育 途 中で脱 落 した もの も回収 し,各
器官の乾物 - 22重 に加 え た。純生産量 は果実
,葉 ,新
梢,新
根 の乾物 重 に旧枝,旧
根 の 当年生 長部分 ぐ新 生 部)の
乾物 重 を加 え て算 出 した,旧
枝 〕 旧根 における当年生長部分 の乾物 重 は,平
均 的 な太 さの部分 を円板状 に切 り,当
年 と前年 ま での年輪幅か ら面積 比を求 めて計 算 した, 幹周 は接本部 よ り約 10cm上 部 を測定 した,葉
面積 は供試樹 の全葉 を採取 したの ち,そ
の 約10%を
抽 出 して,葉
面積計 (林電工製AAC-400)で
葉面積を測定 した,さ
らに これ を乾燥 し,乾
物 童 を測 定 して,単
位乾物 重 当た りの葉 面積を求め た。 この値 を もとに残 り の葉の乾物重か ら全葉 面積 を算 出 した。 また,樹
冠 占有 面積率 は第 Ⅱ章 の方法 で求 め た. 花 芽数 は満 開期 の4月21日 に測定 した。10年 生
M.26中
間台木Y字
形 樹 `込、じ`の収穫 直 前 の状況 (1993年11月1日 )第14図
10年
生M.26中
間台木主幹形樹 `お、げ の収穫 直前 の状況 (1993年11月1日)
-24-第15図 解体調査 した リンゴ樹 の各 器
A
B
C
D
E
F
G
H
葉 果 実 新 梢 旧枝(5m削以 下) 旧枝 (5∼ 10mm) 旧枝 (10∼20mm) 十日左抱(20-40mm)
旧枝 (40mm以上) 官 (1993年11月 17日 ) 旧根 (根 幹) 旧根 (40mm以上) 旧根 (20∼40mm) 旧根 (10∼ 20mD) 旧根 (5∼10m団) 旧根 (2∼ 5mm) 新 根 (2mm以 下) I 」K
IυM
N
0
25-第
2節
結 果1.生
育 と収量お よび果実 品質 の比較 第2表にはY字
形 区 と主幹形 区 にお ける生育状況,土
地 面積 当た りの葉面積指数(LAl)
お よび収量 な どを示 した,幹
周,平
均新梢長11樹
当た りの新梢数 で は, Y字
形 区,主
幹形 区の間で有意 差が認 め られ なか った.供
試5樹の調査結果か ら換算 した樹冠 占有面積 率 はY
字形 区が98.1%で
,主
幹形 区の81%よ
り1.2倍高 く,両
者 の間に有意差が認 め られ た。1極│ 当た りの葉面積 および土地 面積 当た りのLAIで
は有意 差が認め られなか った.10a当
た り の収量 はY字
形 区が6,945kgで,主
幹形 区 よ り20%以
上多 く,着
果数 と同様有意 に多 か った. また!葉
面積lm2当 た りの換算 収量 ではY字
形 区,主
幹形 区の間 に有意 差 は認 め られ なか っ た。1樹当た りの花芽数 はY字
形 区が710個で主幹形区よ り1.7倍多 く,有
意 差が認 め られ た.Y字
形 区│と主幹形 区の果 実 品質調査結果を第3表に示 した。平均果 童はY字
形 区,主
幹形 区 とも350g前 後 で ほぼ 同 じであ った.果
色指数値 はY字
形 区が3.9で主幹形 区の3.0よ り明 らか に高 く,果
実硬度 はY字
形 区が低 か った。果実糖度 はY字
形 区が14%で
,主
幹形 区の 13.5%よ りや や高か った。 満定酸度 には整枝法 の違 い による差異 は認 め られ なか った,2.乾
物生産 と器 官別分配 率 の比較Y字
形 区 と主幹形 区の10a当た り換算現存量 は第4表に示 し′た。換算現存量 はY字
形 区が 4,838kg/10aで,主
幹形 区 よ り16%多
く有意差が認め られ た,地
上部現存量では,Y字
形 区 が 3,766kg/10aで 主幹形 区 よ り15%多
く,ま
た,器
官別 にみ る と,果
実 はY字
形 区が 1,198 kg/10aで,主
幹形 区の835kg/10aに 比べ て43%も
多か ったが,葉 ,新
梢,旧
枝 には有 意 差が 認 め られなか った.地
下部 全体 の現存量 では整枝法 による差 は認 め られ なか ったが,新
根 にか ぎれば,Y字
形 区の方が有意 に多 く,主
幹形 区の1.7倍もの値を示 した.Y字
形 区 と主幹形区にお ける10a当 た りの換算純生産量を第5表に示 した,純
生産量 はY
字 形 区 が2,417kg/10aで あ り,主
幹 形 区の1,959kg/10aよ り23%多
か った,そ
の うち)地
上 部 の純 生 産 量 はY字
形 区が2,107kg/10aで,主
幹 形 区 の それ よ り22%多
か った。 器 官 別 の純 生 産 量 で は,果
実 と新 根 な どの新 生器 官 で は整 枝 法 に よ る有 意 差 を 認 め たが,旧
器 官 の 十日 枝 と旧根 で は有 意 差 は認 め られ な か った 。 第 6表 に はY字
形 区 と主 幹 形 区 の純 生産 の器 官別 分 配率 を示 した。純 生 産 の地 上 部 器 官 ヘの分 配 率 は
,Y字
形 区 が87.2%:主
幹 形 区が88.0%で
あ り,有
意 差 は認 め られ なか った 。 ま た,器
官 別 にみ る と:純
生 産 の果 実 へ の分 配 率 はY字
形 区が49.5%で
,主
幹 形 区 よ り有 意 に高 く,葉
へ の分 配率 はY字
形 区が14.3%,主
幹 形 区 が15.4%で
あ り,有
意 差 は認 め ら れ な か った.純
生 産 の新 梢 へ の分 配 率 はY字
形 区が9.0%で
主 幹 形 区 よ り有 意 に低 く,旧
オt
へ の分 配 率 もY字
形 区が14,4%で
主 幹 形 区の17.6%に比べ 有 意 に低 か った,地
下部 につ い て み る と,純
生 産 の 旧根へ の分 配 率 はY字
形 区が8,90/oで,主
幹 形 区 は9,2%で
あ り,有
意 差 は認 め られ なか った 。 しか し,新
根 はY字
形 区が4,0%で
主 幹 形 区 の2,9%に
比べ 有 意 に 高 か った。3.生
育 と乾 物 生 産 お よび器 官 別 分 配 率 の相 互 関係 第 7表 には整 枝 法 の違 い を無 視 して 全 供 試 樹 のLAI,収
量,純
生 産景:な どの 主 な生 育 調 査 項 目相 互│の単 相 関 を示 した 。幹 周 は総 新梢 長 お よび乾 物 童 との 間 に正 の有 意 な相 関が 認 め られ,総
新 梢 長 はLAI,乾
物 重 お よ び純 生 産 量 との 間 に 正の有 意 な 相 関が 認 め られ た 。 ま た,樹
冠 占有 面 積率 は1え量 お よ び果 実 乾物 童 との 間 に正 の有 意 な相 関 が認 め られ た.10
a当た りの換 算 収量 は果 実 乾物 重,全
乾物 重 お よび純 生産 量 との 間 に正 の有 意 な相 関 関係 が 認 め られ た,そ
して,全
乾 物 重 は純 生産 量 との 間 に正 の有 意 な相 関が認 め られ た。 第 3表 に は整 枝 法 の違 い を無 視 して,全
供試 樹 の生 育, LAI,収
量 な どの主 な生 育 調 査 項 目と純 生 産 の器 官別 分 配 率 との単相 関 を示 した.純
生 産 の果 実 へ の分 配 率 は樹 冠 占有 面 積 率 との 間 に正 の有 意 な相 関 が認 め られ た。 純 生 産 の新 梢 へ の分 配 率 は葉 へ の分 配 率 との 間 に正 の有 意 な相 関,樹
冠 占有 面 積率 お よび果 実 へ の分 配 率 との 間 に は負 の有 意 な相 関 が 認 め られ た。 また,純
生 産 の 旧枝 へ の分 配 率 は樹 冠 占有 面積 率,収
量f果
実 へ の分 配 率 と の 間 に負 の有 意 な相 関が認 め られ た。 旧根,新
根 へ の分 配 率 は どの要 素 と も有 意 な 相 関 関 係 が 認 め られ なか った, 27-第 2表 整 枝 法 の違 い が M.26中 間 台 木 樹 `お 、じ
'の
生 育 、LAIと
収 量 に及 ぼ す 影 響 (1993) 整 枝 法 樹 数 幹 周 平 均新 梢 数
樹 冠 占 有
葉 面 積
LAI
着 果 数収 量
収 量
花 芽 数 新 梢 長
/樹
面 積 面 積 率
/樹
/樹
/樹
/10a /葉
面 積m2 /樹
]∞ ︲Y宇
形 主 幹 形 有 意 差 X 本 1,380 1,156 NS % m2 98.1 28.31 81.0 26.52 ** NS 果kg
143.6 50.0
112.8 41.1 ホ* ** kg 61945 5,710 ** ・ 9 ・ 6嶋 3 3 6 3 2 nV︵Xv ・* m ・ ・ * 7 5 m︵S︺Rv C ・ ・^も 0 0 N 本55 Cm 14.0 15.5 嶋 kg/□ 2 1ョ 1.77 710.1 1.58 414.5 NS **Z**,P<0.01,*;0.01<P<0.05,NS,有
意 差 な し︲ ]Φ ︲ 第
3表
整 枝 法 の違 い がM26中
間 台 木 樹 `ム 、じ'の
果 実品 質 に及 ぼ す影 響 (1993) 整 枝 法1果
重果 色
Z
硬 度Br
値リ ン ゴ酸 g ibs % g/1ooml
Y字
形348.6±
4_4Y 3.9± 0.1 12_5± 0.1 14.0±0.3 o.35
主幹 形354.0±
8.5 3.0±
0.1 12.9± 0.1 13.5±0.2 0.35
Z農
林水 産 省 果 樹 試 験場 基準 カ ラ ーチ ャ ー ト値Y平
均値 ±標 準 誤 差 第4表
整 枝 法 の違 い が M.26中 間 台 木 樹 `お 、げ の 10a当 た り の器 官 別 乾 物 重 に及 ぼす 影 響 (1993) 封 色 」 二 吉 I(kg/10a) 地下 部(kg/10a)
総 合 計 果 実葉
新 梢
旧 枝
合 計
直 径
直 径
合 計
(kg/10a)
≧2mm <2mm
Y字
形 1,197.9 344。4 216.3 2,007.5 3)766.1 977.5 94.6 1,072_1 4,838.2
主 幹 形834.8 304.2 235_6 1,912.2 31286.8 832.7 54.9 887.6 4,174.4
有 意 差Z ** NS NS NS * hlS ** NS *
2**;P<0.01,*10.01<P<0.05,NS;有
意 差 な し第 5表 整 枝 法 の違 いが M.26中 間 台木 樹 `ム 、じ
'の
10a当 た り の器 官 別純 生産 量 に及 ぼす 影 響 (1993) 整 枝 法 地 上 部 (kg/10a) 地下 部 (kg/10a) 総 合 計 果 実 葉新 梢
旧 枝 合 計 合 計
(kg/10a)
直 径 ≧ 2mm 直 径 く2団 mY字
形 と,197.9 344.4
主 幹 形834.8 304,2
有 意 差X ** NS
216.3 235.6 NS 348.7 347.4 NS 2,107.3 1,722.0 * 214.7 182.3 NS 6 9 ● ● * 4 4 * 309.3 2,416.6 237.2 1,959… 2 NS * ︲い〇︲Z**IP<0.01,*,0.01<P<0.05,NS,有
意 差 な し 第 6表 整 枝 法 の違 いが M.26中 間 台 木 樹 `お 、じ'の
10a当 た り の器 官 別分 配 率 に及 ぼ す 影 響 (1993) 整 枝 法 地 上 部 (kg/10a) 果 実 葉 新 梢旧 枝 合 計 直 径 ≧ 2mm く2mm
Y字
形 主 幹 形 有 意 差 X 49.5 43.1 * 9.0 11.8 * 14.4 17.6 ネ 87.2 88.0 NS 12.8 12.0 NS ● ● * 4 2 * 9 2 &9.嶋 3 4 ● ●S 4 5 N=**;P<0.01〕
*,0.01<P<0.05,NS,有
意 差 な し︲ω卜︲ 第 7表 生育 と乾 物 生産 の各 項 目 と の単 相 関 (1993) 幹 月
平 均 総 新 梢 長 樹 冠 占
LAI
収 量果 実
総 乾物 重 新 梢 長
有面 積 率
/10a
乾 物 重 平 均 新 梢 長0.174
総 新 梢 長0,788帯
Z O。 129 樹 冠 占 有 面 積 率0.268 -0.468 -0.035
LAl o.591 -0.024 0.364オ
・ 0,053 収 量/10a o。
161 -0.375 0.411 0.767J4 0.578
果 実 乾 物 重0.208 0.519 0.360 0_855・
寺 0。 392 0.905・ * 総 乾 物 重0.753* -0.195 0_762・
0.308 0.668半
0。 8384 0.723キ 純 生 産 量0.606 -0.352 0.659・
0.551 0.668・
0.838・ 学 0.889無 0.952キ ・Z**,P<0.01,*;0.01<P<0.05
第 8表 生育 と 器 官 別 分 配 率 の各 項 目 と の単 相 関 (1993) 器 官 別 分 配 率 幹 周平 均 総 新 梢 長 樹 冠 占
LAI
収 量 器 官 別 分 配 率 新 梢 長有 面 積 率
/1oa
果 実葉
新 梢 旧 枝 地 下 部 (≧ 2mm) 果 実
0.601 -0.513 -0.387 0.894・
・-0.803 0.514
葉0.450 0.346 0.598 0.588 0.556 -0.242 0.196
新 梢0.454 0.541 0.449 o.863・
ヤ0.351 0.483 -0.906牌
0_871ヤ ・ 1日 枝0.457 0.457 0.016 -0.722孝
0.306 -0.682+-0.659半 0.〕35 0.490
地 下 部 ≧ 2nlⅢO.432 0.057 0.144 -0.234 0.419 0.192 0.306 -0.425 0.036 0.170
地 下 部 <2Ы 厠0.394 -0.353 -0.270 0,430 -0.014 0.269 0.393 0.050 0.359 0.251 -0.506
第
3節
考 察 村 田 ら(1976)は,作
物 の生産力 には広義 と狭義 の意 味があ り,広
義 には単位 土地 面積, 一定期 間当た りの純生産量 を意味 し,狭
義 には収量 と とノて収複 の対象 とな る部分のみを示 し,前
者 を乾物 生産力,後
者 を収量生産 力 と定義 して い る。果樹 の物質 生産 につ いて も同 様 で,収
量 生産力 は単位土地 面積 当た りの純生産量 と果実への分配率 に よって支配 され る。 まず,Y字
形 区 と主幹形 区の純 生産量 につ いて比較 してみ る と, Y字
形 区の換算純 生産 量 は2,416`Gkg/1oaで 主幹形 区の1,959.2kg/10aよ り23%多
く,純
生産量 と正 の相 関が認 め られ る生育項 目は,総
新梢長, LAI,収
量 であ った.こ
の うち, LAIを
比較 してみ る と,Y字
形 区は3.93で,主
幹形 区の3.68よ り6.8%高
か ったが,有
意 差 は認 め られなか った。 この よ うに, LAIに
有意 差が認 め られない に もかかわ らず,Y字
形 区の純 生産量 が多 く な った理 由 と して は,倉
橋 ら(1991,1994a)が
報告 している とお り,Y字
形 区 は主幹形 区 に比較 して,早
期 に樹冠 占有 面積率が 高 ま り,均
一 な葉 の配置 による良好な受光状態が得 られ,光
合成生産 が増加す るため と考 え られ る。 純生産 の果実へ の分 配率 につ いて考察す る と,林
(1960)は
, 日本 ナ シの果 実へ の分配 率 を高め るため には,果
そ う葉の比率を高めて,早
期 に葉数 を確保 し,枝
葉へ,の光合成産 物 の分配 を少 な くす る ことが大切 である と してい る。 また,ブ
ドウでは,適
当な長 さで生 長 を停 止す るよ うな新梢 を多 くす る ことが果実へ の分配率を高め る ことであ る と してい る (高橋,1986),こ れ らの報告 か ら果樹 の効率 的生産 を考 える と,純
生産量を高 め るため に 必要 な葉面積 を早期 に確保 したの ち,枝
・ 幹・根 な どの果実以外の器官へ の分配率 をで き るだけ低 くす るよ うな栽培が望 ま しい とい うことにな る,さ
らに,小
池 ら(1990)に よれば, 9年生M.26台
木 `ム、じ'の
普通着果樹 (葉果比57枚)に
お ける純生産 の果実へ の分配率 は49%で
あ るの に対 し,多
着果樹 (葉果比25枚)は 73%で
あ り,着
果量 が純生産 の果 実へ の 分配率 に大 きな影響 を及 ぼ してい る と報告 している. 本報告 で は,Y字
形 区にお ける純生産 の果 実へ の分配率 は49.5%で
,主
幹形 区の43.1%
に比べ有意 に高 く,生
体重 で ある収量 で比較す る と,Y字
形 区は6,945kg/10aで,主
幹形 区 の5,710kg/10aに 比べ22%多
か った。 したが って,Y字
形 区は小 池 ら(1990),福 田 ら(1991) の報告 と同様 に着果数が多か った ことも純生産の果実への分配率を高 くした要 因の一つ と - 32考 え られ る。 しか し
,主
幹形 で着 果量 を多 くす れば,果
実へ の分配率 は若千 高 くな るが,果
実 品質 は 著 しく低下す る もの と考 え られ る. また,純
生産の果実へ の分配率 に影響す る他の器官 につ いて検討 した結果,果
実へ の分 配率 は新梢 と旧枝へ の分配率 との 間に有意な負の相 関が認め られ た。本研究 では,純
生 産 の新梢への分配率 はY字
形 区が9,0%で
,主
幹形 区のH.8%よ
り有意 に低 く,ブ
ドウ (高橋,1986),イ
チ ジク (倉橋 ら,1989a),キ
ウイ フル ー ツ (末澤 ら,1991)な
どで は,新
梢 の 生 長が抑制 され るほど純生産の果実へ の分配率が高い とい う結果 と同様 の傾 向を示 して い る と考 え られ る. 次 に,純
生産 の旧器官へ の分配率 につ いてみる と,旧
根へ の分配 率 はY字
形 区,主
幹形 区が それ ぞれ8.9%と
9.2%で
差を認 めなか ったが,旧
枝 への分配率 はY字
形 区が14.4%で
, 主幹形 区の17.6%よ り有意 に少 な く,岸
本 (1978)が 日本 ナ ンで,株
本 (1986)が イチ ジクで 報告 してい る よ うに,材
の発育を抑えて,純
生産 の旧器官へ の分配率 を少 な くす る ことも, 果 実へ の分配率 を高め る要 因 と考 え られ る。 この よ うに新梢 や 旧枝 の現 存量 と純生 産量 に は整枝法 による有意差が認め られないに もかかわ らず,純
生産の分配率 に差が認め られ る こ とは,Y字
形 で は徒 長枝 を夏期せん定 し,新
梢 や 旧枝 を斜立状 の平 面棚 に誘 引す る こ と によ って,新
梢 や 旧枝 の消費生長 を抑制す るためではな いか と考 え られ る。 以上 の よ うに,本
研究実施期 間の10年間にY字
形樹 は主幹 形樹 よ り樹冠 占有 面積 率 の 高 い広が った樹冠 とな り,花
芽 着生 が優 れ,収
量 が多か った.こ
のY字
形 の優 れ た収量性 は, 主幹形 よ り年 間の純生産量 が多 く,純
生産の果実へ の分配率 の高い ことな らび に新梢や 旧 枝へ の分配率が低 いことに基づ くものである とみな され た. 33-第Ⅳ章
リンゴ
`ふじ
'に
おける乾物生産の季節的変化
第Ⅲ章でY字
形棚整枝樹は主幹形整枝樹よ り乾物生産が多 く,果
実への分配率が高い と 報告 したが,樹
体やそれぞれの器官が, どの時期 にどの程度の乾物を必要 としているのか を明 らかにす る必要がある.第
1節
では果実の生長について,第
2節
では若木 の器官別乾 物生産の季節変化 について検討 した. 第1節 果 実 の生長 果実 の生体 重の生長 は, S字
状 の シグモイ ド曲線を描 いて増加す る (横田,1982,瀧
下 ら,1903)と の報告 があるが乾物重 につ いては言及 した ものは少 ない.ま
た, 日本の西南 暖 地 に栽 培 され た リンゴにお ける果実の生長 に関す る報告 も見あた らない。 そ こで本節で は 暖地 にお ける リンゴ果 実の生長 を外形 の生長 と乾物 重 の増加量 の両 面か ら検討 した.1.材
料 お よび方法 供試料 は8年生M.26中
間台木Y字
形 樹 `お、じ.で
ある。 1991年4月22日か ら11月6日 まで 10∼15日 の間隔で,果
実10個の縦径 と横径 を経時的に測定 した,そ
して,同
時 に調査果 実 とほぼ 同様 の径 の果実 を5果採取 し,縦
径:横
径 を測定後,生
体 重,乾
物 重 を測定 した。 そ して,各
時期 の1果重,1果
乾物重 は,採
取 した果実の径 が経 時的 に調査 した果 実の径 と同 じにな るよ うに補正 して示 した。2.結
果 第16図 には8年生 リンゴ `お、じ'の
果径肥大の季節変化を示 した。果実の縦径,横
径 とも 二重のS字
曲線を描いて増加 した.生
育初期の5月 9日 か ら5月 29日 までは縦径が横径 より大 き く,そ
の後は横径が大き くなった。縦径,横
径 とも6月 中下旬 と7月下旬にやや停滞 した が,10月
上旬 まで増加 し続 け,そ
の後は収穫期までほぼ一定であった。 第17図には8年生 リンゴ `お、じ'の
1果重の季節変化を示 した.1果
重は6月 中旬までは緩 刀 ■や か に増加 し
16月
中旬 頃か ら増加 が 急 にな り,8月
下 旬 と9月下 旬 に や や 停 滞 した もの の 収 穫 期 まで増 加 が続 い た. 8年 生 リンゴ 1お、じ1の
果 実 乾物 率 の季 節変 化 を 示 した のが 第18図で あ る.満
開期 の4月 22日 の乾物 率 は23%と
高 く,そ
の後5月 29日 まで急 激 に低 下 した,そ
の後,5月
29日か ら8月 19日 にか けて徐 々に高 くな った ものの9月 19日 まで はやや低下 し,9月
19日か ら収穫直前 の 10月24日 にか けては再 び上昇 した。 第19図には8年生 リンゴ `お、じ'の
1果乾物 重の季節変化 を示 した.1果
乾物重 は6月 中旬 まで は緩やか に増加 し,6月
中旬か ら10月上旬 にか けては増加 がやや急 にな り,10月
9日 か ら24日 には著 しく増加 した. 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 9 8 7 6 5 4 3 2 1 ︵憂 ︶ 即 熙 5/1 5/31 6/30 7/30 8/29 9/28 10/28 月/日 第16図8年
生M.26中
間 台木 樹 `ふ じ'の
果径 肥 大 の季節 変化(1991)-35-400 350 300 ͡ 250 80 申瑚200 喋PH 150 100 50 0 4/11 5/11 6/10 7/10 8/9 9/8 10/8 11/7 月/日 第 17図
8年
生M.26中
間 台木 樹 `ふ じ'に
お け る1果 重 の季節 変化(1991) 25 5 0 第18図8年
生M.26中
間台木樹 【ふ じ'の
果実乾物率の季節変化(1991)A υ 4/11 5/11 6/10 7/10 3/9 9/8 10/8 11/7 月/日 第 19図
8年
生M.26中
間台木樹 tお、じ'に
おける1果乾物童の 季節変化 (1991) , 廷第
2節
若木 にお ける乾物生産 の季 節変化 リンゴの乾物生産の季節変化 につ いては,「 orsheyら(1983)が
8年生 `Mcln tosch'の 地 上部を解体 し,収
穫期 の乾物 重 は休眠期 の124%に
増加 していた と報告 してい るが,着
果樹 の地下部 も含 めた樹全体 における乾物生産の季節変化 につ いて検討 した ものはみあた らな い。本節では鉢植 えの4年生M。 9中間台木 樹 tお、じ'を
用 いて,年
間の生 育 と器 官別乾物 童 の季節変化 につ いて検討 した。1.材
料 お よび方法 供試樹 はM.9中
間台木樹 `ム、じ'で
,1990年
3月 に ドラム缶半切鉢35個を用 い植 え付 けた。 砂lm3当 た りとん糞堆肥 を100kgと 苦土石灰10kgを入 れて よ く混合 して作 った培 土 を1鉢
当 た りに0.00m3入 れ た。1鉢当た りの年 間施肥 は高度化 成(N:14, P:10,K14)20g,苦
土石灰50g,ナ
タネカス100gで あ った.ま
た,整
枝法 は主幹形 (第20図)と
したが,個
体 間 差 を少 な くす るために,植
え付 け時に母枝の長 さを80cmと し,2年
目は主 枝 の先 端 の母枝 長 を60cⅢに して,側
枝 はすべ てせ ん除 した。3年 目は主枝 の先端 の母枝長 を40cnに,側
枝 は4 0cHの母枝 を4本 と した.4年
目は主枝 の先端 の母枝 長 を20cmに,側
枝 は6本に制 限 した. 栽培 管理 は,島
根 県の基準 に基 づ いて行 い,着
果 は1樹当た り10果に制 限 した。解体調査 は1993年3月 22日,5月
25日,7月
1日,8月
6日,9月
16日,10月
21日,H月
22日 の7回で,各
5樹づつ行 ったが,各
調査 時期 の個 体 間差 を少 な くす るため に,1998年
3月22日 に接 ぎ木 部 の上10cmの幹周 を測定 し,各
区の幹周 の合計値が で きるだけ同 じにな る よ うに調整 した, 掘 り上 げた樹 は地上部を果実,葉 ,新
梢,旧
枝 (5mm以 下,5∼
10mm,10∼20mm,20田m以上) に,地
下部 を 旧根 (2∼5mm,5∼
10mm,10mm以上,根
幹)と
新根 (2m耐以下)に
分類 し,葉
面積や器 官別生体 重お よび乾物重 な どを測定 した,純
生産量 は各調査時期 の乾物 童か ら萌 芽直前 の3月 22日 の乾物重を差 し引いて算 出 した.2.結
果 第21図には4年生 リンゴ `お、じ'の
平均新梢長 の推 移を示 した。平均新 梢長 は4月 上旬 か ら急激 に増加 し,6月
中旬 にい ったん停止 し,そ
の後 わずか に伸長 して,7月
下旬 に停止 し - 38た。 第22図には1樹当た りの葉面積 の推 移を示 した