第20表
供試樹の生育状況 、花芽数と収量の差異(1992)
整枝法
樹高
樹冠 占有
LAI
花芽数袋掛け数
収穫果数
収
量
面積率
(1樹
当) (1樹
当) (1樹
当) (1樹
当) (10a当
)m % '孝
オ史
イ固
kg kg Y字
形V3.00± 0.02296.1± 2.6 3.09± 0.17 300.0± 51.4g147.5± 11.6 136。 4±7。4 44.4± 2.7 6,174 圭坤争形Y3.45±0.08 75.0± 2.3 2.95± 0.16 219.0±24.1 125。 1± 6.8 109.0±8。 1 33.3± 3.5 4,629
Z
平均値 ±標準誤差 V 9年生M.26中間台木樹 ̀お、し'
第21表
整枝法の違いが9年生M.26中間台木樹 ̀ム、じ' の受粉・摘果時間 に及ぼす影響(1992)
整 枝 法
第22表
整枝法の通いが9年生M.2o中 間台木樹 ̀ム、じ
'の
袋掛け・収穫・せん定時間 に及ぼす影響(1992)整枝法 袋掛けV寺間 収穫 時間
(10a当
) (1果 当ブ (loa当 ) (1果 当
)せん定 時間 (10a当)
Y字
形主幹形
hrimln sec l16:47± 6:41221±0.9 105:24± 6:33 22±1.3
hrimln sec 48:36± 3:42 9.2±0.2 43:49±3141 11.o±1,1
hr in11■
79:32± 8:01 49:25± 4:05
2
平均値士標準誤差第23表
整枝法の違いが9年生M.26中間台木樹 tお、じ〕の年間の主な作業時間に及ぼす影響(1992)
̲̲
´ ..…
― ロ
年間作業時間 収量lt当たりの推定年間作業時間
作業項 目
Y字
形主幹形
Y字
形 主幹形h 精神労働的作業
整枝・せん定
79.5
夏季 せん定 。誘 引
16.2
受粉・摘果 96.8 袋掛け 。除袋
140.4
.型V箕:幻
壁整 ̲̲̲̲̲即
̀聖
3:::! ―
一一
;:1子一 ―――惜
:一―
h
49。 1
4.0 87.2 127.1
h 12.9
2.6 15,7 22.7
h 10.6
0.9 18.8 27.5
小 計 429.8
第3節 考 察
果樹我 培 は経済行為 であ るか ら
,労
働生産性 を向上 させ る ことは極 めて重要 であ る。 し か し,高
橋 (1982)が指摘 した よ うに, 日本では,果
物 は限 りな く食 味,外
観 とも良好 で な ければ な らないため,高
品質果 実生産 が前提 とな る。 また,わ
が 国の よ うに耕地面積が 狭 い場 合 には土地生産性を高 め る ことも重要で ある。 このため,果
樹 の樹形 は高 品質多収 が可能 な よ うに,受
光効率 が高 く,か
つ 同化産物の果実への分配率が高 い もので,な
おか つ管理作業能率の良い ものが望 まれる.果樹 の樹形 には立 ち木仕立 て
,垣
根仕立て,棚
仕立 てな どが あ るが,薬
師寺(1973)は 立 ち木仕 立 ての 開心形 と垣根仕立 て に近 い並木植 え計画密植 の ウ ンシュウ ミカ ン園にお ける 収量 と労働生産性 を比較 して いる.こ
れ によれば,立
ち木 仕立 てで は,樹
園地 内に,果
実生産用 の空 間 と作業用 の空 間が必要で あるが
,収
量が最大 とな る樹冠 占有面積率 は84%で
ある と してい る。
しか し
,労
働生産性 を上 げ るためには, 自走式作業機械 の直進運転が で きる よ うに樹冠 間隔が2m程度空 いた垣根仕立 てが よいが,樹
冠 占有面積率が50%程
度 の ため,収
量 が低 く 作業性 と収量 の兼 ね合 わせが難 しい と報告 してい る。一 方,棚
仕 立 ては,立
ち木 や垣根仕立 て と異な り, 自走式 の作業機械 の運行 を含 め
,作
業 を樹冠 の下 か ら行 うこ とがで きる. そのため,生
産用 の空 間 と作業 用 の空 間を分 ける必要 が な く,樹
冠 占有 面積 率 が100%で最 大 収量 を得 る ことがで きる。Y字
形 区は並木 植 えで棚 仕立 てなので,ス
ピー ドスプ レヤー の よ うな作業機械 も直進で運行す ることがで き,立
木 仕立 ての主幹形 区 よ り労 働生産性 と 土 地生 産性 を ともに高める ことが可能 になる。次 に
,果
樹 の各種作 業労働 につ いて考察す る。高橋 (1982)によれば,果
樹 栽培 は,水
稲 や麦 類 と比較す る と単位土地 面積 当た りの労働時間が長 いだけでな く
,整
枝せ ん定,摘
果
,収
穫 な どは高度な技能 を要す る作 業が多 いため,極
めて機械化 し難 いのが特徴 である と して い る。 さ らに,高
橋 (1982)は 果樹 の作業を除車や薬剤散布 な どの 肉体労 働 的作業 と 比較 的頭脳 を働かせ,技
能 を要す るせ ん定や摘果 な どの精神 労働 的作業 とに分類 して い る。本 報告 にお いて もこの分類 に したが って作業 を分 けてみた
,そ
の結果,肉
体 労働 的作業 は ほ とん どが機械化 され,能
率化 されて いるため,全
労働時間 に 占め る割合 はY字
形 区,主
‑113
幹形 区 ともわずか
4%程
度 にす ぎなか った,そ
れ に対 して,精
神 労働 的作 業 は非 常 に長 く,Y字
形 区1主
幹形 区 と も96%程
度 とほ とん どの作業 時 間を 占めていた。 したが って,果
樹栽培 にお ける労働生産性 の 向上 には
,精
神労働 的作業 の省力化 を はか らな ければな らな い と考え られ る.Y字
形 区 と主幹形 区 にお け る精神労働 的作業 と作業能率 につ いてみる と,受
粉,摘
果 な どの作業時 間は作業者 の技能 に差がな い と仮定す ると,花
そ う数 あるいは果実数 と作業 中 の移動距雑 によって規定 され ると考え られる.人
工受粉 につ いてみ ると,主
幹形 区の作 業 は高 さ0.8〜 1.8mの脚立 を用 いて,脚
立 の足を樹冠 の 中に入れて登 り,花
に受粉 し,降
りて 移動す る とい う動作 を くり返 す ため,移
動距離が長 くな る。 これ対 して,Y字
形 区 は樹冠が平面 で結果部位 が低 いため
,ほ
とん どの作業が地上 または高 さ0.8m程 度の低 い脚立 で行 うことがで きるので移動距離 が短 くて済む。 この ように,Y字
形 区は主幹形 区 に比べ,脚
立 の移動や登 り降 りな どの作業 中の移動距離 が短 い と考 え られ
,そ
れ ぞれの作 業 に要す る 時 間は短 くて済 む。 したが って,Y字
形 区は花芽数が多 いに もかかわ らず,1花
芽 当 た りの 受粉 や結果 時 間が短 くな り,10a当た りでは差がでなか った もの と考 え られ る.収
穫 時間 も 受粉 や摘果作業 と同様の理 由で1収穫 果 当た りの時 間はY字
形 区が主幹形 区 よ り短か った。これ に対 して
,1果
当た りの袋掛 け時間はY字
形 区 と主幹形 区で 明 らかな差 は認 め られ なか った。 その理 由は,1果
当 た りの作業 時 間が受粉や摘果作 業 と比べ て長 いため,全
作 業 時 間 の 内に 占め る移動 時間の比率が低 く,そ
の差が現れ に くか ったため と考 え られ る。収穫作 業 につ いて付 け加 え るな らば,主
幹形 区では,樹
冠上部 の果 実を採取す るため には,脚
立の足を樹冠 の 中に入れ るが
,そ
の ときに脚立 の足が果実 に当た って,傷
が付いた り落 ちたりす る ことが あ る
,そ
れ に対 して,Y字
形 区では樹冠 の下か ら収穫 す るため に,傷
をつ け ず に収穫 で き る とい う利 点が ある.せ ん定作業 は
,樹
全体や枝 の各部位を眺めて, どの枝 を切 るか判断 し,そ
して,せ
ん定 の対象 とな る枝 まで移動 し,鋸
や鋏 で切 るとい う動作 を繰 り返す ため,主
に判断,移
動, せ ん定 の3つの要素 に分解 できる (佐藤 ら,1983).Y字
形 区の側枝数 は1樹当た り約 40本 と 主 幹形 区に比べ約2倍多 く,そ
の上 にせん定 と同時 に側枝や母枝 を棚 に結束 しな ければな ら な いので,主
幹形 区よ りせ ん定作 業時 間は長 くな る。 しか し,せ
ん定は作業の少 ない冬季刀 生
に行われるので
,時
間的余裕 が あ り,果
樹 園経営 に支 障を きたす ことは少な い.平成4年度農産物生産 費調査報告 (農林水産省統計情報部,1992)によれば,各果樹 の10a 当た りの年 間の作業時 間は
,岡
山県の 1マスカ ッ トオブア レキサ ン ドリア'が
882時間,鳥
取 県 の ̀二十世紀
'ナ
シが459時 間, 山梨県の ・白桃'が
364時 間,福
岡の 1富有'が
173時間な どとな ってお り, リンゴでは長野県 の有袋 ̀つが る
'が
455時 間,無
袋 ̀お、じ'が
364時 間で ある。本報 告 における
Y字
形 区の作業 時 間は446時 間で,主
幹形 区の370時 間 よ り長 く,鳥
取 県 の ̀二十世紀'ナ
シや長野県の ̀つが る' とほぼ 同様 で あ った。 しか し,重
要な のは単位収量 当た りの作業時間である。収量tt当た りの全作業時間は
,Y字
形 区が72.3 時 間で,主
幹形 区 よ り10%短
く,単
位 収量 当た りの労働 生産性 はY字
形 区が高 い こ とにな る.更 に付 け加 え るな らば
,果
樹 の精神労働的な作業の能率 は,作
業 者の技能 に よ って大 幅 に異な る。す なわ ち技能が高 い作業者 と低 い作業者では2倍以上 の開 きが あ るの は珍 しい こ とではない.そ
うい う観 点か らY字
形 区 と主幹形 区を比較す る と,Y字
形 区は主幹形 区 に 比べ技能 の差が現 れに くく,か
つ 技能 の修得が きわめて容易 であ る。主幹形 区は立体 的な ため,せ
ん定 に際 しての側枝 の配 置や受粉,摘
果作業 な どの判断が難 しく,思
案す る時 間 が長 くな りが ちである。 それ に比較 して,Y字
形 区は樹形が平面 的であ るた め,側
枝 の配 置や摘 果作業 な どが単純作 業 と して行 え るか ら,技
能 の低 い作業者 で も判断 に苦労す る こ とな く比較 的容易 にで きる。 そのために,Y字
形 区は主幹形 区 よ り栽培管理作 業 の能率 が 上 が るよ うに考え られ る。 また,本
報 にお ける主幹形 区の樹 高は,Y字
形 区 と同様 にネ ット棚下 で栽培 しているため3.4mで あったが
,現
地 リンゴ園では4m以上 が普通 で あるか ら,実 際の移動距雑 は さ らに長 くな る と考 え られ る。 この ことを考慮すれば
,主
幹形 の作業 時 間 はY字
形 よ りさ らに長 くな るか もしれない。以上 の よ うに