特 に7年生以 降有意 に高か った
.ま
た,光
環境 の良 いY字
形 区の果実 は糖 度,着
色 と も優 れ る傾 向が あ った。 この よ うに,Y字
形樹 は主幹形樹 に比べ,高
品質果実 を多 く収穫 す る こ とがで きた。これを乾物生産の面か ら検討す ると次のよ うになる。果実収量 は単位土地 面積 当た りの 純 生産量 と果実へ の分配率 に よって規定 され る (高橋
,1986).果
樹 の純 生産量 は,ブ
ドウで は高橋 (1986)が
,年
間純生産 量 は652.3〜 11713.4kg/10aで 平 均 で 1,045kg/10aで あ った と し, ̀二
十世紀'ナ
ンで は小豆沢 ら (1983)が,745,3〜 1,419.lkg/10aで 平均 1,053kg/10aと な った と報告 してい る。 また
,イ
チ ジクで は I桝井 ドー フ ィ ン'が
1,561〜 1,865kg/10a(株本
,1986), j蓬
莱 柿:で
1,015〜 1,225kg/1oa(倉橋 ら
,1989a),モ
モの ̀白鳳' は916kg/10a(佐藤 ら,1983)な
どの報告がある,こ
れ らの値 に比べ本報 告 の純生産量 はY
字 形 区が2,416.6kg/10a,主幹形 区が 11959.2kg/10aで 前者が 明 らか に多か った。
Y字
形 の純 生産量が多 くな った原因を検討す る.小
池 ら (1990)に よれば,長
野県 にお け る主幹形 リンゴ樹 の純生産量 は平均 して1,396kg/10aで,そ
の ときのLAIの
推定値 は2.0 であ り,本
報 の純 生産量が 高 いのはLAIが
高 いため と考 え られ る。 しか し,小
池 ら(1990)の純 生産量 も
LAIが
2と低 い こ とを考慮すれば,他
の果樹 に比べて高 い と言 える。 この よ うにみ る と, リンゴは葉 が小型 でかつ,シ
ンクである果実が遅 くまで着 いているため,乾物生産力 が 高 い とも考 え られ る。
次 に
,Y字
形 と主幹形 の生 産力 に差が生 じた原 因につ いて考察す る.リ ンゴ も他 の植物 と同様 に純生産量 はLAIに
比例 した。 したが って,単
に純生産量 を多 くしよ うとすれば,LAIを
高 めれば よいわ けで あるが,高
す ぎる と果実糖度が低 くな った り,着
色 が悪 くなる。す なわ ち
,高
品質 果実生 産 を前提 と して多収す る ことが で きる最適LAIが
存在す る。Y字
形 は葉 層 が平 面で 園全体 を覆 って い るため,主
幹形 に比べ,最
適LAIを
高 くす る こ とがで きる ことがY字
形 の純生産量 を高 くしてい る主 要 因で ある。 さ らに,必
要葉 面積 の 確 保が早 い短 果枝葉 の割合 が高 い ほ ど物 質生産 が多 く, Y字
形 は主幹形 区に比べ,平
均新 梢長が短 く,新
梢 数,特
に短果枝数が多 いため,葉
面積が早 期 に確保 され,純
生産量が多くな った もの と考 え られ る.
果実へ の分配率 につ いて み る と
,ブ
ドウの果実へ の分配率 は,平
均 で26,7%で,最
高 は7
48。
9%で
あ り (高橋,1986),ナ
シで は高生産樹が32.0%で,低
生産樹 は21.6%で あ り (小豆沢 ら,1983),イ
チ ジクで は 1桝井 ドー フ ィ ン'の
一文字整枝が37.3%で,開
心 自然形 は33.9%であ った と報告 (株本
,1986)し , 1蓬
莱柿'の
高生産樹 は17.8%であ った(倉橋 ら
,1989a).
リンゴで は小池 ら(1990)の報告 が あ り
,M.26台
̀お、じ'の
多着果樹 が73%,普
通着 呆 樹 が49%で
あ った。本報告 のY字
形 区 にお ける果 実へ の分配率 は49̲5%で,小
池 ら(1990) の多着果樹 よ り低 いが,普
通着果樹や高橋 (1986)がブ ドウで認 めた最高値 と同 じであ る. この よ うに,わ
い性台木 リンゴ樹 の果実への分配率が高いのは接 ぎ木親和性 に由来す る根 を含 め た他 の器官へ の分配率 が低 い こ とによるのか も しれな い。 また,同
じわ い性台木 で あ って も,Y字
形 区の果実へ の分 配率 は主幹形 区に比べ6.4%高か ったが,そ
の原 因はY字
形 区は主幹形 区に比べ新梢 が短 いため
,新
梢へ の分配率 が低 いだけでな く,旧
枝へ の分配 率 も低 く,そ
の結果 と して果実へ の分配率が高 まった もの と考え られ る。以上 のよ うに,Y字
形 の収量 が主幹形 に比べ て多 いの は,純
生産量が多 く,果
実へ の分 配率 の高 い ことに よ る ものである とみな され る。次 に
,Y字
形 の最適LAIに
つ いて検討す る。光エ ネルギーを捕捉す るLAIの
最大 値 で あ る最適LAIは ,イ
ネ, コムギ,ダ
イズ,パ
イナ ップルが8前後,
トウモ ロヨシ,カ
ンシ ョが6前後
,サ
トウキ ビ,バ
レイ ショが4.5程 度 である と報告 (田中,1982)さ
れて い る。果樹 で は ウ ンシュウ ミカ ンが8で (平野
,1986),本
報 の リンゴの ̀お、じ'は
5.5で あ り,
ウ ンシュウ ミカ ンよ り低 く
,
トウモ ロコシや カ ンショよ り若千低 い程度 である と考 え られ る.果
樹栽培 では内容成分の優れ るのは もちろん の こと,可
能 な 限 り外観 の優 れ た果 実 を 大量 に生産 しな ければな らないので,最
適LAIは
純 生産量 が最大 とな るLAIで
はな く,商 品価 値 の あ る果実が 多収 で きる
LAIで
な ければな らない。最大乾物 生産 のための リン ゴの最適LAIは
5.5であ ったが,本
報 のY字
形 区の ̀お、じ'Iこお ける果樹 園経 営上 の最適LAIは ,収
量,果
実 品質や花芽形成率 か らみて2.8〜 3であ った。オ ース トラ リアな どで 行 われ てい るTatura―trellisはY字
形 に よ く似 た樹形 で あ り,着
色 を良 くす る ため に,主
枝 の先端 を空 けるほ うが よい と (Forsheyら ,1992)さ れてい る。
Y字
形 ではで きるだ け棚 を葉で覆 って,園
内に降 り注 ぐ太 陽エネルギ ーを高率 に利用す る方 が よい と考 え られ る.そ して
,着
色 を良 くす るため には,Y字
棚 に葉をで きるだけ均― に配 置す る こ とが大 切 で, 過繁茂 にな るよ うな ときには,誘
引や夏季せ ん定 によ って, 1,Alを
必 要な数 値 まで下 げ るか,あ
るい は,果
実 の直上 の葉 を摘 葉 して果実 に直 接太陽光線 が 当た るよ うにす れば よ もヽ.総 括 す る と, リンゴの
Y字
形 棚 整 枝 樹 は,主
幹 形整 枝 樹 に比べ,乾
物 生 産 が 多 く,果
実へ の分 配率 が 高 い ため に
,高
品質 多 収 が 可能 とな った。Y字
形 の乾 物 生 産 が 高 くな った要 因は,主
幹形 に比べて樹冠 占有面積率が高 く,園
全体 に葉層がまんべんな く広が った樹冠 のため,受
光環境が優れ,そ
の うえに,早
期に葉面積が拡大す る短果枝葉や短い新梢が多 いため,葉
面積が早期 に拡大 したためであった。また,純
生産の果実への分配率が高 くな ったのは,新
梢の生育や材の発育が抑え られて,純
生産の新梢や旧器官への分配率が少な くな ったためであった。さらに,Y字
形が果実品質が優れたのは,光
環境の良い部分 に多 くの果実が着果 しているためであった。Y字
形棚整枝樹 における高生産多収の栽培管理を検討 してみると,若
木の時は,可
能な 限 り早 く樹を大 き くして,主
枝の先端を2本に分岐 させた樹形 に して,園
が出来 るだけ早 く 樹冠で埋まるようにす る。成木時に安定 して高収量を得 るためには,強
せん定をさけて, 樹勢を落ち着 けて,成
葉になるのが早い果そう葉の割合を高め,徒
長枝 は抜いて,長
い新 梢を誘引 し,葉
が国内に均一になるように配置 し,LAIは
3程度に して,そ
れを落葉期 ま で保つ ことが大切である.以上のように
,中
国地方のような暖地 において も,Y字
形棚整枝を行 うことによって高 品質果実を安定多収す ることが可能であることが示された。 また,作
業性の面か らも樹高 が低いため安全であるだけでな く,単
位収量当た りの作業時間が短 く,労
働生産性の向上に結びつ く仕立て方であることが認め られた。
ドキュメント内
リンゴのY字形棚整枝における物質生産と栽培法に関する研究
(ページ 120-124)