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海 産 汚 損 付 着 生 物 の 生 態 学 的 研 究

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(1)

海 産 汚 損 付 着 生 物 の 生 態 学 的 研 究

Ecological Studies on Marine Fouling Animals

By

Takesi KAZIHARA

目           

緒      論      3

第1章 ヌ  タ      .        5

    1・1  法                             5

    1・2    付着 ヌタの季節変化      8

    1・3    付着 に関与す る諸要因        g     1・4    水平 に浸漬 した板上での付着 ヌタと付着 生物 との関係      15

    1.5    ヌタ中 にみ られ たDiatomに ついて      17

      i  種      類      18

      ii季 節 変 化                            18

第2章  付着生物 の個体群 の生 態      21

    2・1  調 法                             21

    2・2    各種類 の季節消長 と生態      23

      i季 長                             23

      ii水 平 浸漬板の上下面 におけ る付着個体数      30

        iii各 種板 における付着数 の差      31

    2.3    代表的な付着生物の生態      32

      i  カンザシ ゴカイの生態,特 にカサ ネカンザ シと ヒ ト土 カンザ シについて … ……  32

      a  佐世保湾内におけ る分布      34

      b  カサネカ ンザシと ヒ トエカ ンザシの付着数比 の季節変化      34

      c  成      長      36

      d  密      度        39

(2)

     iiムラサキイガイの生態…・・………・…・・………・…・・…・43

      a 佐世保湾内における分布・・………・………・…・………・…… 46

        産卵期及び付着期…・…・………… ………・……・…・………・・……… 46

      b       c 成長及び死亡率・……・………・…………・………・… ■…… 47

        付着水深…・…・…………・………・…・・………48

      d      iiiシロボヤの生態…・…・……・・………・……・・…一…………・・………・・……・………・・5Q       a付着期……・・…………・……・…・………・…・・……一・・…・……・…………50

      b産 拶厚 期・。・・・…一・…。・・…。・・・・…。…。・・…。。・・・・・・・・・・・・・・・・・・…。・・…。・。・・・・・・・・… 50       c 成長及び寿命………・……・…………・……・・…・………・・一■………・・……・52

      d 付着及び生育に好適な水深層……・………・…・…・・………・55

      e 生残率及び増重率……・………・…・…・………・・………・………・・……… 55

      f 低塩素量海水に対する耐性………・………・・…・………・… 57

第3章 付着生物群集の生態,特に内湾における付着生物群の分布………・・………・・………・…・60

  3・1  調査方法及び調査水域の概況…・…・…………・……・…・………・・………・…・… 61

  3・2 佐世保湾………・・………・……・……・…………・……・・………・・………・・63

  3・3長崎湾………・・…・・………・…・…・…………・・……・…………・・67

第4章論議及び考察…………・・……・……・…・………・・………・・…・・………・………71

       付着ヌタと付着生物との関係………・……・……・……・………・…・… 71

  4.1        付着生物の付着及び生育と基盤との関係………,・………・…………・・……・………・72

  4.2        付着生物群集の遷移・・………・……・・……・………・…・・………… 73

  4.3      i 筏の付着生物群集における遷移・………・・……■ …・………・…………・…・∴・・73

     ii 内湾の各水域における付着生物群集の遷移………・……・…・…… 76

  4・4  付着生物の類型…………・・……・…………・一…・_____.._.._..__..__.77      i 生活型による分類……・…………・………・…..____..__.______.77

     ii形態と生育型による類型・・………・………・…・・……・・…………・…・・一 79   4・5  内湾の指標付着生物群・・………・………・一・……・……・・……… 82

     i 指標付着生物群………・…・・……・…………・・………・…・………・… 82

     ii 長崎湾における貝類遺骸の分布と付着生物の分布との比較……・…………・……・83

     iii内湾における付着生物の分布と環境:条件との関係・一・……・…・…・……… 86

第5章 産業上の諸問題と本研究の応用…・………・……・・………・・…………・………・88

  5・1防 除………一……・………・…・……・……・・…………・………・…88

  5・2  未利用資源としての利用………・…・・……・…・…・……… 89

  5・3  養殖漁場の管理上の問題と付着生物を指標とした真珠養殖漁場の価値判定・・… 90 要約………・…・…・………・……・……・…………・・………・…・……・・91

文献……・…………・………・…・……・…………・………・・………・……・…・・95

Summary ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…一t・一tttt;・・・・・・…一tt・・一・・一…・・一t…・一t一一・一・一・一............. .... loo 付   表1・1佐世保湾内灯浮標の付着生物調査,個体数及び重量・・…・……・……・…・107

       1・2 長崎湾内灯浮標の付着生物調査,個体数及び重量・…・………・…120

       E・1 佐世保湾内灯浮標の付着生物調査,付着の状態……・…・・……・・……・…ユ24        皿・2 長崎湾内灯浮標の付着生物調査,付着の状態・・…・…………・・………・…135

(3)

3

 海産の汚損付着生物の生物学的研究は,これらの防除対策の研究と関連して行なわれて きた.現在,汚損付着生物による被害の大きい産業は,船舶,海水利用工場,水産養殖業 等である.

 船舶の汚損付着生物の防除は最も早くから研究がはじめられ,有毒塗料の開発を中心 に研究が進められてきた.その際の生物学的研究の立場は,その開発に必要な資料を提供 する協力的なものである。

 海水利用工場での防除については,我国では最近になって研究が本格化してきた.研究 の基本的な態度は船舶の場合と異ならないが,有毒物の使用方法,生物の付着基盤の構造 や機構,主な加害生物種が異なるので,研究や対策の実施方法において船舶の場合とは変

ってくる.

 水産養殖業においては,生物学的にも経済的にも有毒物の使用が困難なため防除に関す る研究や対策は前二者におけるよりもおくれており,被害の大きい真珠養殖業においても,

付着を防ぐ:方法は考えられていない.ただ人力による掃除が専ら行なわれている.

 防除については特に前船産業ではかなりの成果をあげているが,現在まだ有効で実用的 な決定的対策は見出されていない.これは有毒物の開発に直接関与する基礎科学や技術の 発展度合にもよるが,それにもまして生物学的研究のおくれが大きな原因をなしていると 考えられる.

 従来の付着生物の応用的研究は上記の如く主として防除を目的としたもので,これらの 利用については殆んど考慮されなかった.しかし水産業の立場からは防除と共に利用方法 についても検討を加える必要がある.最近,魚礁の付着生物を魚礁効果の判定に利用する 試みがある25).かかる利用の仕方は付着生物の研究に新たな分野を開くものといえる.

 付着生物に関する産業的課題のための生物学的研究において,重要な分野としては生態 学的研究があるが,今までに得られている生態学的知識はかなり限られたもので,フジツ

ボ類に関する研究を除いては研究例は多くない.

 筆者は1956年以降九州北西域の内湾において,汚損付着生物のうちで顕微鏡的大きさの 生物及び穿孔性動物を除いた動物を主な対象として,これらの防除対策と利用面の開拓を 目的として生態学的研究をおこない,学問的にも応用的にもかなりの知見を得たので,こ こにそれらの結果をまとめ,今後の研究の基礎としたい.

 本論丈は,第1章付着ヌタ,第2章付着生物個体群の生態,第3章付着生物群集の生態,

第4章論議,第5章応用の5章よりなる.第1章では付着ヌタ(Detritusを主組成とす る付着微細物)を取扱った.これは生物の生態との関係は大きいが,生物とは異なるので 章を別にした.付着微細物に関する従来の研究は主として生物の付着期幼生との関係を論

じたものが多いが,ここでは1カ月以上浸漬した基盤上の付着ヌタの季節変化,付着に及 ぼす諸要因,生物の生育との関係について,また付着ヌタ中のDiatomの生態についての 知見を述べた.

 第2章には付着生物の個体群生態に関する観察及び実験の結果を記した.種々の基盤上 での付着生物の季節消長,基盤の色や浸漬状態と生物種類や付着量との関係,さらに九州 北西域の内湾に多数出現するが,生態についての研究の少ないカンザシゴカイ,ムラサキ

(4)

イガイ,シロボヤの生態について述べた.

 第3章では群集生態について,佐世保湾と長崎湾でおこなった調査結果を述べ,特に付 着生物群が湾口より湾奥にかけて,両湾とも同じような推移をすることを明らかにした.

 第4章では第3章までの結果についての論議と若干の考察をおこなった.しかし特に群 集生態に重点をおいて論議した.付着生物の群集生態に関しては少数の報告32・33・so)が あるが,これらでは群集生態についての基本的な問題点を明らかにしていないと思われる.

筆者は個体群及び群集についての観察結果を検討し,群集における最も重要な点は,付着 生物相互の付着場所をめぐる競合と相互のおれあいの関係であり,この関係の直接的な表 現が遷移現象であると考えた.それ故,ここでは遷移の要因,付着場所の問題に内在する 各種生物の運動型と摂餌方法による生物の分類について,さらに遷移遷因と関係の深い形 態や生育型による生物の類型を試み,この類型により群集の遷移過程を容易に推測し得る こと等を示し,群集生態における基本的な問題点の所在を明らかにすることにつとめた.

また内湾における付着生物の調査より,付着生物が内湾水域の指標生物になることと,内 湾の各水域での指標付着生物群を示した.なお従来最もよく研究されている,内湾の指標 生物群の一員である貝類遺骸群との比較を行ない,環:境の条件によっては付着生物群がよ

り適当な指標生物となることを述べた.さらに付着生物群の分布と関係の大きい環境条件 について考察した.

 第5章では,以上の結果の産業面への応用について述べた.防除に関しては数例の具体 的な対策を示し,また未利用資源としての利用法についても二,三の:方法をあげた.さら に真珠養殖漁場での調査例をあげ,付着生物群が指標生物として漁場の管理や価値判定の 好資料となるこどを示した.

 本研究の特質は,付着ヌタと付着生物との関係,加害の大きい付着生物の生態並びに付 着生物群集の生態についての基本的な問題点を明らかにし1応用面では生態的知識の具体 的な防除対策への応用と従来殆んど考慮されなかった利用面の開拓を試みたことである.

 本論を進めるに先立ち,本論文の取り早めについて多々御指導を賜わった東京大学檜山 義夫教授並びに長崎大学山田鉄雄教授に心から感謝の意を表する.

 また本研究を行なうにあたり有益な御助言を戴いた甲屋:猷博士,活水女子短大立:石新吉 教授に,端脚類,貝類及び海藻類のそれぞれの種類を同定していただいた最崎大学入江春 彦教授,同大学鎌田泰彦助教授及び同大学右田清治助教授に,またフジツボ類及びホヤ類 の生態について御示唆をいただいた京都大学瀬戸臨海実験所の内海冨士夫博士及び時岡隆 博士に,海水の濁度測定について御教示された内海区水産研究所 古川厚博士に・さらに 実験や調査に御協力下さった長崎大学 飯塚昭二氏・同大学練習船「あさぎり丸」船長森 田正司氏に厚く感謝する.また海洋観測資料を提供された長崎海洋気象台 小泉正美博士・

佐世保測候所々長.古本寿入氏に,灯浮標調査の許可と御便宜をいただいた第七管区海上 保安本部灯台早々長 菅田十蔵氏,同部灯台設客船「かいおう丸」乗組員一同・佐世保海 上保安部灯台挙々長 長島満塁並びに同軸職員各位,長崎県蔭ノ尾島航路標識事務所 島 内義夫氏に御礼を申し上げる.

(5)

海産汚損付着生物の生態学的研究 5

第1章  付  着

 海水に浸漬した基盤に付着する微細物(Slime)は, Bacteria, Diatom,その他の微 小生物や有機及び無機質のDetritusで構成され,その主組成の違いで粒状,ゼラチン状,

沈泥状等の形をしている98).

 我国では微細物がBacteriaやDiatomを主組成とする場合には「水垢」とか「ヨゴ レ」と呼ばれているが78・79),Detritusを主体としたものについては特別な名称はないよ うである.長崎県の漁業者は沿岸の小型桝網等に付着した沈泥状のDetritusを主組成と した付着微細物を単に「ヨゴレ」とか「ヌタ」または「ドタ」と呼んでいる.筆者は名称 により微細物の組成がわかるのが便利と考え,Detritusを主体とする付着微細物を付着 ヌタと仮称する.

 付着微細物の研究は主として付着生物の幼生の付着との関係について行なわれ,基盤浸 潰初期の微細物が少なく被膜状である時は,これが幼生の付着に有利に作用するが,特に BacteriaやDiatomを主組成とする微細物では,これらが多くなると生物の付着を妨げ

るようになることが報告されている■6・55・77・9■・94・98).

 このような関係では,付着生物の防除の面からでは微細物が少ない場合は不利であり,

多くなれぽ有利となるが,養殖生物の幼生を付着させる時には防除とは逆の利害を受ける ことになる.

 しかし微細物については,幼生の付着との      『 筏 関係では,ある程度の基礎的研究はあるが,・

これら以外についてはほとんど研究がおこな われていない.

 筆者は付着微細物は付着生物の幼生の付着 との関係のみではなく,生物の付着後の生活 時においても関係があるものと考え,付着生 物の生態研究の一環として付着微細物につい

ての観察を行なった.

 観察を行なった水域では微細物はDetri−

usを主組成とした,すなわち付着ヌタであ

った37・8■).

 ここでは付着ヌタの季節的変化,付着に関 与する要因,生物との関係及び付着生物の生 育に顕著な影響を及ぼす場合等について,ま

た付着ヌ肉冠に出現したDiatomの観察結果

を述べる.

1−1 観察方法

海底

一が読︐網竹シュロ綱 →冒H←  ︑沈石

60crn

 付着ヌタについての観察は,付着生物の生

態研究に採用した基盤浸漬実験において行な  第1図 試験網の浸漬状態(上図)と試験 つた.本実験は長崎県佐世保湾内の崎辺浦で      網の構造(下図)

(6)

1956年から1961年に行なったが,付着ヌタの観察は1958年以降の網浸漬と1960年から1961 年のポリエチレン板と木板の水平浸漬実験において行なった.

 網浸漬実験には,しゆう綱(径2mm)に,1m間隔に細竹(長さ60cm)を梯子状に結 びつけた枠を作り,各各にクレモナ白網(20番手9本7節,10×10目)を取つけた試験網

ρ告

Kuzyukusima

㎝鳥︒W

a 0

Sasebo Kb

c7

紬キ.

Sak ルa o

  一一一〇9t

Haiki Seto

一〇7

SASEBO WAN

K6go Saki

 I

129eltO,

Hari.o Seto

 1

129045t

一55。05豊

第2図 佐世保湾崎辺浦の位置

E

o

巴∠.

 第3図

F

f.一一

堰Ellk{lllZi・・一:::.:IJi一・1:;{ii

崎辺浦の地形(A)と潮汐流,落潮時;B.C.D.G,濫潮時;E.F.H

(7)

海産汚損付着生物の生態学的研究 7 を使用した.試験網の構造と浸漬の状態を第1図に示す.

 試験網の網地は,1959年までは表層から8m下まで各1m層ごとに,1959年以降は1m おきに,0−1,2−3,4−5,6−7mの4層に浸漬した.

 実験は毎月,1カ,月,2カ月,3ヵ月間浸漬した網をとり揚げるように計画した.1958 年には1回ではあるが,8カ月間浸漬もした.ここではこれらの浸漬網を浸漬期間により,

1カ,置網,2カ.月網等々と呼ぶ.      t  網をあげると,まず大型の付着生物を取り,次に小型生物と付着ヌタを一緒に網より落

とし,これを1,0.5,0.25,0.125mm目の飾でJ題画に箭分け,0.125mm目飾の濾過物を 付着ヌタとした.付着ヌタは少量のホルマリン液を加えて24時間放置後の沈澱量(cc)を

1  1ヵ月網

5010 A

筆00  B

Σooo

200 B

100 .グ〆

4 C

2

ムー一6

D−T+y yyy+rTy

エII  3ヵ月網

 IOO

A

B

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B

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 cE−aM 1一一/S一一,k一,,L一一Aノ

D  C C十 r 十CCC:十C

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A

2ヵ月網

\ノへ/へ

   IO 12 2 4 6 8 10 12

      ts 1

       調

第4図 蜥オ諮付着糧と付着

B

iS一一tS.s.b一

B

/6s 〉〈{r/fw,,,,..,t・ :一 tt.

51C

20g cloo

 1

A;ヌタの:量(cc)

B;付着生物(個体数),・一・Gammarids,△一△

 Caprellids,ロー[]巻貝, ×一× Jfytie二LS  eduliE, ×一・一×その他の二枚貝, ◇一◇

 SinioPelta costazii, O一一・O Polychaets C;付着生物(重量,g), ◆一一◆海藻, ▲一▲

 Styelα Plic(伽.■一■Bu,crt・1αneritinα,

 ◎一◎B.cσz軸煽。α

D;Serupulidae, r少量, +中量:, c多量 D rc十y r十ccrrc

tO t2 2 4 6 8 IO 1?

    S9

(8)

測定した.大型生物及び筋に残った小型生物は,種類別に個体数と重量*とを測定した.

 板は水深・50,150,250,400cm層に水平に1カ月から3カ月二三漬した.付着ヌタ及 び生物の測定法は網の場合と同じである.

 なお実験期間中は,実験水域の水温,塩素量,溶在酸素,透明度,濁度及びPlankton について毎週2〜3回の継続観測を行なった.

 実験水域の湾内の位置及び地形と潮汐流を第2,

3図に,透明度と濁度は第11図に,水温と塩素量は 第24,25図に,溶在酸素量は第38表に示す.

1−2  付着又夕の季節変化

 1ヵ月から3ヵ月網の各,月の平均ヌタ量の周年変 化では, 1ヵ月網と2ヵ月網では春と秋に,3カ月 網では秋から冬に付着量の山があり, 夏期は三者と も付着量が少ない(第4図).

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i23 4一 56 78  浸漬期聞(月)

第5図 1957年12月に浸漬した1ヵ月から8ヵ月網の    ・付着ヌタ量:

   1;平均量, 皿;水深別浸漬期間別の変化,

   皿;浸漬期間別の垂直変化

 浸漬期間が長くなるに従ってヌタの付着:量は:増加 するが,水深により擁立的な増加状態は異なってい る.1957年12月に浸潰した1カ,月網より8カ,月網の

   ゴ ユれ

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,st刀@3579 it ,st〟@3 s 第6図水深別の付着ヌタ量の季節     変化

   1;1ヵ月網,fl;2ヵ月網,

   頂;3ヵ月網

*一定時間濾紙上に放置した後の湿重量

(9)

海産汚損付着生物の生態学的研究 9 付着ヌタ量では,平均付着量(第5図一1)は浸潰期間が長くなるに従って漸増している.

しかし水深別では(第5図一皿),表層は変動が大きくて増減の傾向は明らかでないが,2 皿以深では漸増の傾向を示している.

 1〜3ヵ月網での水深別の付着量の季節変化は第6図の如く,各浸漬期間網とも表層の 変化が大きく深くなるにつれて変化は小さくなっている.

 また各月の各浸漬期間網の付着ヌタの垂直分布(第7図)は,表層が多く,深くなる程 少なくなる傾向がある.

 すなわち付着量の多い表層程,各月の変化も大きく,付着量の少ない下層では季節変動 は小さい.

付着ヌタ

L

水 深  km,

工1

(cc)

第ア図・月別倖手職タ量の垂直分布 1;1ヵ月網 皿;2ヵ月網 皿;3ヵ月網

1 ユ 3 4.∫ も   9q

    水 深  (m)

1−3  付着に関与する諸要因

各月の1〜3ヵ,月忌の付着ヌタを検鏡すると,毎月いずれの網のヌタも無定形のDetritus*一

*『jREy43)は. Seston・中の、 Abioseston・1にのet士itu6:・の:名称を使ろ てい1るデ1  をもちいた.

本論文ではこの用語

(10)

を主組成とし,これにDiatom等の微小生物が少量混在していた(第8図).

 また清水等8■)は,これらのヌタ中の有機物を分析し,有機物は主にDetritusに由来する と推定される結果を得た.これらのことより付着ヌタは,Seston中のDetritusを主体と して形成されたと考えられる**.

第8図 1ヵ月浸漬網の付着ヌタ,×50(上;1959.皿採集,下;1959.Xff)

**付着微細物がDetritusを主組成とする,いわゆる付着ヌタであるためには海水中のDetritus  量がある程度以上の濁度の大きい水域であろう.付着微細物の組成とSestonの組成や濁度との  関係については今後追求したい.

(11)

海産汚損付着生物の生態学的研究 11

−︵∠へ﹂

第9図 クレモナ糸にヌタの付着する状態 クレモナ糸(9本,未浸漬)

1時間浸漬(1960年3月14日)

1日間〃 (〃 年3月15日)

4.

5.

6.

4日間浸潰(1960年12月29日)

10日間〃 (〃 年1月3日)

28日間〃 (〃 年2月1日)

(12)

浸漬さ癖糸にヌタの捌する量は,糸の瀕や構造によって概り,ヌ置付醒

は吸水性の大きい糸に多く,また短繊維の糸よりも長繊維の糸に少ない53). ここで使用 したクレモナ網は合成繊維網ではヌタの付着しやすい短繊維の糸より作られた網である.

 使用した網糸と同じ大きさのクレモナ糸を実験水域の表層域に垂直に浸漬し,短期間間 隔で取りあげて観察すると,第9図に示す如く,浸漬直後は主に幹糸より突出した毛羽だ

った繊維にSestonがからみつき,時間の経過につれて三糸と突出繊維がSestonにより 結びつくような状態で付着量が増大している.短繊維の糸は同じ大きさの長繊維糸に比較 すると,付着面が拡大されている.

 またこの初期に付着した微細物の主組成はDetritusであった.これは浮游性Diatom が付着し難いことによるのではなく,Seston中に量的に多いDetritusの方が付着の機 会が大きいからであろう.

 本実験では毎月の使用網糸が一定しているので,ヌタ付着量を左右する条件のうちで主 な物理的要因は,上記の観察からするとSeston中のDetritus量と海水の流れ***であ ると考えられ,また風波も関係すると思われる.さらに浸漬期間が一カ月以上になると付 着生物量も大きくなり,生物の作用もヌタの付着に関係してくる.

 ここでは物i理的な要因として風と海水申のDetritus量をとりあげ,また生物も要因と 考えられるので,この三者の中でいずれが1ヵ月以上の浸漬網での付着ヌタの季節変化と

の関係が大きいかを検:討した.        ,

 風との関係 風波は機械的な脱落因ともなるが,逆に内湾では海水を境乱し一時的では あるがSeston:量を増加させ,また流れを強める等の作用でヌタ付着量を増加させること も考えられるゼ

 佐世保測候所の資料78)より作製した, 日平均風速の月合計の各月の値は第10図の如く

℃あった.これによると風はユ0月頃から冬にかけて強く,春から夏には弱くなる傾向を示 し,また特に1958年10月から1959年の4月までの間には1ヵ月おきに強い月と弱い,月が交 互にある.強い月では台風または突風があった.

t風の強弱の変化が明瞭な1958年10月から1959年4月の間において,表層から底層までの 各月の1ヵ月網の付着ヌタ量(第6図参照)は,風の強弱と相関があるとほ考えられぬ.

風100

0 5

(.Wの\§︶

一1−2三545678E)=LOII:L2:L 2 i545

,58 t59

第10図  各月の風速(佐世保測候所の資料より)

 ***実験水域の潮汐流は小潮時には速流計.(弱流用)では測定できない位である.周年的には表層 が中・底層よりもやや流れが大きいようである.流れについては長期間の観測をしていない.

(13)

海産汚損付着生物の生態学的研究 13  網を浸漬した状態では,かなりの力でゆさぶらないとヌタは網から多量:には脱落しない.

台風以外には脱落をおこす風波はないと思われる.しかし10,月から4,月までの問では,1 カ,月以上浸漬網のヌタ付着に及ぼした台風の影響は大きくない.

 また実験期間中,風により濁度が一時的にでも変化したと見られた場合は多くなかった.

周年的にも風と透明度(第11図)とはなんらかの相関関係があるとはいえない.

 風波はヌタの付着に対して全然関係が ないとはいえないが,少なくともヌタ付 着量の周年的変化に大きく影響する要因

とは考えられない.

 海水のDetritus量との関係 海水中 のDetritusの周年的変化の傾向を知る 目的で,次の如き方法で海水の濁度を測

定した.

 海水llに少量のホルマリン液を加え 数日聞放置した後に上澄液を捨て,残海 水を遠心分離器にかけてSestonを集め,

このSestonに一定量の濾過海水を加え てよく境はんし・光電比色計(660mμgr 2cm cuvette)でこの濁度を測定した.

この濁度は現場海水の濁度ではないし,

海水濁度

O.t 5

o,lo

aos

降 300 量 200

(mm)

  lOO

透明度  55■1・︒︒ρ

  tO tt 12 t 234S6089 IO U t2

  3s 3g

第11図 崎辺浦における海水濁度,透明度及  び降水量の季節変化

 濁度;一表層,○一〇中層,×一×底層

また濁度測定法としも適当な方法ではないが,Detritusの相対値として,その周年的変 化の傾向をみるのには差支えないと考えられる■o・エ7).

 表・中・底層の濁度,透明度及び降水量について,1958年11月から1959年12Eまでの各 月の値を第11図に示す.二水深層の濁度の季節変化は降水量のそれとほぼ同じ動きをして おり,透明度の変化は逆の関係である.       〆

 付着ヌタ量の季節変化,各月の垂直的変化(第4,6,12図参照)と濁度の変化とを比 較すると,秋には両者とも山があるが,他の季節では逆の関係になっている.また濁度は 周年的に表層よりも底層が大きいが,ヌタ付着量は逆:に表層で多い.さらに濁.度の上下層 での差の大きい7〜10月にはヌタ量の垂直差は小さく,逆に濁度の上下差の小さい季節に はヌタ:量のそれは比較的大きい等,両者の変動は一致していない場合が多い。

 かかる現象から付着ヌタはDetritusの付着したものではあるが,1カ月以上浸漬した 場合には,海水中に,ある程度のDetritusが存在する水域では,付着ヌタ量の季節的変化 は各月のDetritusの多少よりも他の要因に,より大きく影響されているものと考えられた  付着生物との関係 網に付着した生物で量の多いのはカンザシゴガイ, シロボヤ.

Gammaridsの三種であった3s).

 1〜3ヵ月網での付着ヌタ量の季節変化と生物量のそれとをみると(第4図参照),1・

2ヵ月網では春にはGammarldsが,秋から冬ではシロボヤが山とな:り,ヌタ量の山と対 応している.3ヵ月網ではヌタ量は秋から冬にかけて多くなり,これに対応しているのは

シロボヤで,Gammaridsの多い時期とは少しずれている.また1ヵ月網のヌ日量と小型 生物(主なものはGammarids)の月別のそれぞれの垂直分布では,両者はほぼ平行した

(14)

分布をしている(第12図).

 かかる現象から1ヵ月以上浸漬した網の付着ヌタ:量の季節変化は,風や海水中のDetritus よりも付着した生物量の変

化とより関連が大きいと推 察される.

 この際,生物量が多いこ とによりヌタ量が多くなっ たのか,この逆にヌタ量が 多いために生物量が大とな ったのかということが問題 になるが,ヌタ量の季節変、

化はDetritusのそれとは 大きく関遮していないので あるから,前者の因果関 係の方が大きいものといえ る.さらに第4,12図から すると,1ヵ月網では生物 量の増加はヌタ量の増大を

じ9     ぴの

付着生物・重量㊧付着ヌタ ㊥.       ︵

i23 LL 5678

    05

4     5

ζノ205︻ノα0︻ノト︶α

     6

メへど

7

/2345678

水深 (m)

8

x 50

i25} 漁、

50

k1・0) 涛齢派一x\

黶@    瓢、x       、メ

lo 50

I5 ㍉、

50 iLo}

       ll

Cへ,

12 50 x,浜1区、メ

(50 /23 4S 678

第12図 各月の付着ヌ広量と小型付着生物重量の垂直変化

もたらし,生物はヌタの付着を助長しているとも考えられる.

 ヌタの付着には生物の作用が大きく影響するとしても,2・3ヵ月網での両者の季節変 化では1カ,月面の場合程には生物量の増加に比例してヌタ付着量は増大していない.

 そこで2・3ヵ月網での生物のヌタ付着に対する作用を検討した.

 2・3カ,月網の生物量は浸漬後1・2ヵ月間にすでに付着して成長した生物と最:後の月 にあらたに付着した生物とが加わり, 1ヵ月網におけるよりも著しく:増大している.第

4図でみると,春期のGammaridsの個体数は2カ,月網では1カ月網の2〜3倍に,3 カ月網では約10倍に増加している.また晩秋のシロボヤの重量では,2カ月網,3ヵ月網 では1ヵ月網のそれぞれ50倍,250倍になっている.そこで2・3ヵ月目にこのような生 物の増加がないとした時の2・3ヵ月目のヌタ増加量を推定し,これと実測量とを比較す     ヌ

実  o 量 一20  (cc)

*一 〉( ,

・   メ1 tXi

スー一一一x

N !  \  ..ズ ︑X

旅/ 一一一一

je一一一一)L.一一H.一..一一.一一.H一..一一一一一

    fi ]12 i b 3 4 56 7 89 io n i2     ts8 ,59

第13図 各月の2・3ヵ月網におけるヌタの予想付着量と実測量との差      ×…×2ヵ月網,○一〇3ヵ月網

(15)

海産汚損付着生物の生態学的研究 15

ることを試みた.方法は2・3ヵ月網において前月の1・2ヵ月網のヌタ量に最後の月の 1ヵ月網のヌタ量を加えた量を推定量とし,これと実測量との差を求めるものである.推 定量〉実測量なら2・3ヵ月目の生物の作用はヌタ付着に対して1ヵ,月日の生物よりも阻 止的であり,逆であるなら促進的であったといえる.各月の2・3ヵ,月日について計算し,

差の季節的変化を示したのが第13図である.

 これによると1〜2月は促進作用が大きく,他の月では阻止作用が大きい,阻止作用は 3㌣5月の問が6月以降よりも大きい.

 生物は各々の生態や形態によりヌタに対する作用の仕方が異なる.前記の代表的な三種 についてみると,Gammaridsはヌタを摂損しており,またこの種類の多くはヌタを材料 にしてtubeを作る. Tubeを作る種類ではヌタを固着させ, またtubeにより付着面 を拡大することでヌタの付着を助長させている.カンザシゴカイやシロボヤでは個体が小

さく密度も低い1ヵ月網では,これらにより付着面が拡大されヌタ付着を助長するようで ある.しかし第4図からでは,両者はGammaridsよりも助長作用は小さいと推定される.

カンザシゴカイやシロボヤが2・3ヵ月網における如く多量になるとこれらによる基盤面 の占有と県側や呼吸活動により,網に近づくDetritusはかなり阻止されるとみられる.

ただシロボヤでは個体間や体側にもヌタが付着しており,大型個体ではかかる付着面の拡 大による助長作用がある.秋から冬にかけての2・3カ,月網のヌタにはかかる場所に付着 したものがかなり含まれている.特に冬期にばシロボヤの活力の低下で4■),かかる場所 に付着したヌタ量が阻止された:量よりも大きかったものと考えられる.

 さらに海藻類(種名後述)はある程度生育するとヌタの付着を阻止するようになるとみ られる.3カ月網の3〜5月では海藻による阻止がかなりあったようである.

 以上を要約すると, 1ヵ月以上の浸潰網では付着ヌタ量の季節変化は風や海水中の Detritusのそれらよりも付着生物の種類や:量の変化との関連が大きい.生物との関係では 生物量の少ない1ヵ月網では,生物はヌタ付着を助長し,特に付着ヌタの季節的及び各月 の垂直的変化はGam血aridsやシロボヤのそれらと相関しておる.しかし生物量が多い 2・3カ月網では生物によるヌタ付着に対する阻止作用が働くようになる.かかる網での 2・3カ月目のヌタの増加量は,冬期の生物の活動力が低下した期間を除いては,同,月の 1ヵ月目網に付着したヌタ:量よりも少ない.

1−4 水平に浸漬した板上での付着ヌタと付着生物との関係

 板状の基盤を水平に浸漬すると垂直に浸漬した場合よりも付着ヌタは多くなり,水平板 では下面よりも上面に多い6s).生物との関係では,森63)は板上面のヌタは比較的発生期 間の遅いフジツボやフサコケムシ等の付着を阻害するだろうと述べている.

 筆者はDetritusの多い内湾で,付着ヌタの生物に及ぼす影響ヵ寝漬初期の生物量が少 ない時よりも,ある期間を経過し生物量が多くなった時期に大きくあらわれる現象を観察

した.

 崎辺浦におけるプラスチック透明板と木板の水平浸漬実験では,1カ月間浸漬ではヌタ 付着量は多くない.比較的ヌタの多かった一例として1960年4月から5月におこなったプ

ラスチック板水平浸漬の結果を示すと第1表の如くである.各水深ともヌタ量:は上面が下 面よb・も多いが,上面のヌタは生物の生育やあらたな付着を阻止するまでの量ではない.

(16)

第1表 1ヵ月間浸漬プラスチック板における上下面別の ヌタ:量と生物量(1960.IV〜V)

(cm)

50

150

250

Efbldroides

重量(9)

1.3 O.5 2.1 O.4 O.5 O.2

他の生物重:量(g)

O.5 O.3 O.6 O.2

O.1

ヌ タ量(cc)

23.5 1.0 8.5 1.5 1,5 1.0

 しかし浸漬期間が2カ,月以上になると1ヵ月目とはヌタの付着状態は変ってくる.同水 域で1960年5月より1961年2月の間におこなった,プラスチック板と木板の2カ月乃至3 ヵ月間浸漬した結果を第2表に示す.この実験中,最も付着量の多かったのはカンザシゴ カイであった.この期間のカンザシゴカイの生育は旺盛で,1カ月目の終わりになると板

第2表  2r3ヵ月間水平浸漬板の上下面におけるヌタ量と生物量

プラスチック板

(30 × 30cm)

木    板

 (20 × 20cm)

浸潰期間,月

(浸蓮辮月、

2

(1960. V−VI)

設置水深

(cm)

50 150 250

上下上下

上−

下1 1

ヌ タ量 (cc)

2

(1960. VIII−X)

50 150

3

(1960, VII−X)

 3

(1960.XI一  61 . ll )

250

50 150 250

400

00﹇○∩∠

1

51 0∩07︵∠ ︵07⊥

上下上下上下上下上下上下上下 0541← ロQlつ9︵∠ ∩◎01←﹁← 001占R︶

2

007Q9

1

∩︶︵UQ︶2

1,400

 50

Hydroides 重量(9)

0077﹂ 1 00βQβ0 1 00巨Qつ9 1

他の生物重量   (g)

∩︶01︹∠ 5︵U−つQ 00Q︵∠3

OQ5︵∠つ︶ 0︻D﹁←つQ 50 4 00﹇04 1 0ロQ44 ユ 慶﹂05Qμ0 2 ∩◎04ワ己 1 4.2︵O︵∠︵∠−占︵∠β04

∩◎51

17

1

︵︶0りQ鴨⊥ 1

(17)

海産汚損付着生物の生態学的研究 17 全面に付着し,板面に沿って管が伸長できなくなり管を板面に直角方向にのばし直立した 群となる.8〜10月の浸漬板では他の,月の板よりは少ないが,50cmと150cm層板の上 下面と250cm層板の下面では直立群となっていた.いずれの水深でも各浸漬板ではカン ザシゴヵイが優回するが,この種類も他の生物も上面の重量は下面の青またはそれ以下で ある.しかしヌタ量は逆に上面が下面の数倍から数十倍である.また特徴的なのは上面の ヵンザシゴヵイ群はほとんどヌタに埋まり,ヌタより管を出した少数が生残し,大部分は 死亡していたことである.下面ではヌ等量は少なく,ヌタに埋もれて死亡している生物は なかった.上面の死亡カンザシゴカイの管径は0.5mm以上の個体が大部分で,この大き さは後述の如く付着後1カ,月以上の生育個体である.このことから浸漬2ヵ月目になって 急速なヌタの沈積が始まり,これに埋まって死亡したことがわかる.

 水平板上のヌタはDetritusが一定期問内に単に重力によって板上に沈積したというの みではなく,板上の生物と関連をもって沈積付着したと考えられる.この両者の関係は,

板上の生物が少ない間はヌタは水の流動により取除かれる機会が多いが,生物量が多くな るとこれらがヌタの支柱となり流失を緩和するので,ヌタ:量は急速に増加するようになる,

生物量によって変化する関係であろう.また生物の形態によりヌタの麦柱効果の大きい種 類と小さい種類があり,ヵンザシゴヵイ、直立群やフジツボ等は効果が大きく,・フサコケム

シの如き叢状形態のものでは小さいし,ホヤ類では単独型のシロボヤは群体ボヤよりも大

きいであろう

 実験水域では海水中のDetritusは12〜6月が7〜11月よりも少ない(第11図).第2表 で5〜6月板上と8〜10,月板上とでは,前者にヌタ量が多いのはヵンザシゴヵイが前者に 多く,大きな麦柱となったことによるのであろう.5〜6月板上と7〜10月板上とでは,

カンザシゴヵイ量は前者がやや多いが,後者の浸漬期間が長いことと,Detritusが後者の 期間に多かったこと等により,後者でのヌタ量が大きかったと考えられる.1960年11月〜

1961年2月の木板上の異状に多いヌタ量は,カンザシゴカイの感心作用と同時期に多い Gammaridsによるヌタの固着作用の両作用によるものである.

 さらに第2表の水深別については,いずれの実験期間でもカソザシゴヵイ量は50cm層 板上が150cm,250cm板上よりも多いが,谷水深層板でのゴカイ量の垂直的な差は小さ い.しかしヌ麻田は上層程多く,この垂直的な差はカンザシゴカイのそれに比するとかな

り大きい.上層から中層までのDetritμsの垂直的な差は周年を通じて大きくない.50cm 層板上のヌタ量が150cm ,250cm板より多か・つたのは,カンザシゴカイ量やDetritus の垂直的な差よりも,表層の海水の流れが他の層よりも大きいことにより,50cm層では 単位時間に他出よりも,より多くのDetritusを受止めたことによるものであろう.

 水平板上の付着ヌタ量は付着生物の種類と量,海水中のDetritus量及び水の動き等に よりその付着量が左右されるものと思われる.

1−5  ヌ今道にみられたDiat・mについて

 佐藤79)は塩釜港における付着珪藻の季節的変化について報告している.しかし,付着珪 藻の生態に関する報告は少ないので,筆老は西日本海域における付着珪藻の生態の一例と して,崎辺浦に浸漬した網の付着ヌ.タ中にみられたDiatomについて,観察した結果を述

べる.

(18)

 ヌタ中にはDetritusに比すると量的には少ないがDiatomがみられる. これらの Diatomはヌタを付着基盤にしているようであり,Diatomと肉眼的大きさの付着生物の 問には顕著な生態的な関係は観察されなかった. これらのDiatomがヌタ中に増加して

くるのは,浸漬後どの位の時間を要するのか不明である,ここでは主として1ヵ月網にお けるヌタ中のDiatomの種類,季節変化及び一・二の生態について述べる.

 検鏡はヌタ0.1ccを濾過海水で稀釈して行ない,計測した細胞数を1cc当たりに換算

して示した.

i.種

 Pennalesでは21属がみられた.これらの多くは付着性種:で毎,月のDiatomの主体をな す.毎月最も多いのはNit!schiaである.この属には膠質:のtubeを作っているのが3種 あった(N.filiformis,他の2種は種名不詳).またN. closter・iumは毎月ほぼ一定数が 出現した. この水域に多い浮游性のN.seriatα, N. delioatissimaはヌタ中には出現し ない.この属に次いで多いのはNaviculaとDonhiaであったe一こゐ他の属の出現数は

少ない.

 上記3属以外の18属を次に示す.括孤内は同定し得た種名である.

A・ter加・11・(瓦ブ・P・ni・α)・5ツ忽…T・う・4・・i… Di・彦・脚・R励4・n・鵬C・…痛 くC. Pseudomarginata), Thal nema (T. nitzschiozaes), Thal x (T. fraaenfeldi・i, T.

longissima). LicomoPhora (L. abbreviata), Achnanthes (A. longiPes. A. breviPes),

RhoicosPhenia, DiPloneis(D. sPlenaiaa), Pleurosi8ma(P. a.がine, P.ノasciola),

AmPhiProra (A. gigantlea var. sulcata), AmPhora (A. hyalina), Cymbella,

TroPiaoneis, CymatoPleura (C. solea).

 Centralesの出現種はほぼ浮游魚種で, Sheletonemα及び.tylelosira borreriを除いて は出現数は少なかった.出現種は次の如くである.

 Sheletonema costatum, Chaetoceros comPressus, Ch. didymus, Rhigosolenia setigera.

Rh. alata, Cosinoaiscas sp., Meiosira borreri, M. salcata. M. nammuloides,

BiadalPhia mobilensis, EucamPia comuta.

 Ch. aiaymusではresting sporeも観察された.またこれらの種類の中には浮游して いたのがたまたま網にかかったと思われるものもあった.

 Diatom以外ではProtozoaのDict:yocha fibula, Ceratium fusus, Tintinnopsis subacuta, DistePhanus sPecul・umと藍藻類のLyngbya co nfer, Spirulin a sp.がいずれ

も少数出現した.また4〜11月にはHydroidaのCampanularidaeがみられた.

ii.季節変化

 5heletonema,その他のCentrales, Pennales及びProtozoaの4群に分けて.1カ月 浸漬め0−1m層網のヌタ1cc中における各月の出現細胞数を第3表に, また各群の季 節別水深別の細胞数を第4表に示す.

 O一一lm層網では出現細胞数の最大は3月と5月で約200万細胞である.水深別では最大 出現数は11月の2−3m層と4−5m層での300〜400万細胞である.

 表層網のPen旦alesは夏期に少なく,秋から冬にかけて増加して3〜5月に最大となる.

(19)

海産汚損付着生物の生態学的研究 19

第3表 1ヵ月間浸漬のO−lm層網のヌタlcc中における 月別Diatom細胞数(×103)

Skeleto一

ハe7ηα

Centrales.

Pennales Protozoa 付着ヌタ 沈澱量   (cc)

1958

vii 1 vm l ix l x 1 xi 1 xii

1959

1 ii 1 m l iv i v l vi ivii o

15 106 o

32.5 o 18 125 o

109.0

16 10 475 2

65.0 704

9 197 3

61.0 8 o 117 2

232 60

61 16

3311 585

2 1

31.0! 32.0 60,5 96 48 1,868 2

113.5 0 5 1,158 o

61.5 o 6 1,986 o

82 18 916 o

63.Oi 33.5 8 18 356

1

25.4

第4表 1ヵ月網のヌタlcc中における季節別水深別のDiatom細胞数(×103)

ff

      月 丞深(m)

ーム3塵Q7

嗣 嗣

0︵64︵◎

1958

VIII XI

1959

I

I v

Skeletonem(t

0068  704

3,580 2,896  578

60 120 126 940

0000

Centrales

1357

0︵∠4.R︶ ∩◎00∩041占35︵6 Q︶404 り021 β00︵∠8﹁⊥ロQ4つり ︵000︵U

Pennales

−←つり︻D7﹂

0︵∠4β0  125

 382  430 1,238

197 508 408 234

585 392 182 276

1,986  372  292  584 Protozoa

﹁⊥3四Q7一 一哨

0︵∠4︵◎ ∩︶﹇◎∩◎◎U  ︵∠︵∠ −占22︵0 ︵∪000

しかし各季節の垂直分布では,夏期には底層に多く,11,月には中層,2・5,月には表層が 多くなる.季節による最多出現数の垂直的移動は日射量の季節変化に対応した生態的現象 と考えられる6この類の上層から底層までの合計数の季節変化からでは,初夏に増殖が盛

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