い 次
一︑はじめに
二︑歴史的素描 三︑活動の実際 四︑おわりに
イ ギ リ ス の 当 番 弁 護 士 制 度
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ぽ 町
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7-3•4-389 (香法'88)
ら見てみることにしよう︒
刑事訴訟法の発展の歴史は弁護士の発展の歴史だといわれる︒それほどに弁護人の存在は刑事訴訟にとって貴重で ある︒にもかかわらずわが国においては捜査段階における国選弁護の制度は存在しない︒憲法三七条三項の解釈論か
ら国選弁護人の制度を公判前手続にまで広げることは十分可能だと思われるが︑学説の発展もはかばかしくない︒
他方︑一九八三年から八四年にかけて著名な死刑三事件に相ついで再審無罪の判決が出され︑国民をびっくりさ せた︒世界的な注目を浴びたと言ってよい︒これら三事件の誤判原因は多岐にわたるが︑捜査段階における弁護の欠 如なしい不備が大きな原因のーつであることは誰も否定できない︒捜査段階の国選弁護制度が確立されていれば︑右 三事件もあのような展開にはならなかったであろう︒誤判が生じてから正すよりも︑誤判を生じさせないてだてを講
じる方がコスト的にもはるかに安上りのはずである︒
護制
度﹂
以上の問題意識からここ
1 0
年来イギリスの動向に注目してきたが︑ごく最近遂に﹁公判前手続における準国選弁
(3
)
ともいうべきものが樹立された︒イギリスにおける弁護人依頼権の保障は]層の充実を見たわけである︒捜
査の弾劾化はさらに一歩を進めたと言ってもよい︒このような進展の原動力はなにか︒
は じ め に
まず当番弁護士制度の沿吊か
(l
)
憲法
ミ七
条一
二
1項では国選弁護人を付されるのは﹁被告人﹂とされているが︑被告人を拡張解釈して被疑者を含むとすることは刑甜 法レベルではしばしば行われているところである︒
7 ‑ 3・4 ‑390 (香法'88)
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イギリスの当番弁護士制度(庭山)
ればならない︒
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︵死刑事件では四件め︶が静岡地裁で再審公判中であり︑
( 2 ) その後徳島ラジオ商︑梅田と再審無罪事例が相つぎ︑現在では島田事件
無罪判決が言い渡される公算大と言われる︒
( 3 )
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︒同条は﹁警察署における法律扶助﹂と名づけられる︒
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19
84
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5,
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106︒この止な伊扶助の基金がすべて国から出されていれば完全な国選弁護 制度と言えるであろう︒かつてこの点についての認識が不十分であったことをお詫びしなければならない︒参照︑拙稿﹁イギリス
.九七四年法律扶助法し法律時報.九ヒヒ年.月号. q
: 貞 ゜
歴史的素描
当番弁護士制度というのは同制度に賛同する弁護士の名簿を治安判事裁判所や警察署に備えておき︑依頼があった ときには直ちに駈けつけて相談にのるという制度である︒この制度はイギリスの各地で自然発生的に生まれたもので
(2
)
あるが︑最初に同制度を発足させたのは一九七二年︑ブリストルの治安判事裁判所だったという︒
イギリスでは被疑者︑被告人の弁護人依頼権を強化する動きは戦後間もなくからずっと続いていたが︑当番弁護士 制度を最初に提唱したのは有名な法改革団体ジャスティスであった︒
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1
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︒ジャスティスには地方の有力なソリシターも多数属していたから︑彼らが必要に迫られ て提唱の気運を作り出したのであろう︒事実︑ブリストルで最初の導入があったのちも各地でソリシターが同制度拡 大のため精力的に動いている︒もっとも当時導入が提唱されたのは治安判事裁判所のそれであったことに注意しなけ
7 ‑3•4 ‑391 (香法'88)
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) ︑法律センター
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と連係している︒
そこにはいつでも
まかなわれるにせよ︑ 裁判所で弁論を行い︑ときに減軽の申立をも行う︒
ある程度は法律扶助て
ニ四〇カ所︵八年で五倍近く︶ に大きく貢献したと思われる 討して同制度が確立されるべきだと主張した
一九七四
(3
)
︱九
七
0
年代に当番弁護七制度発展の気運は急速に高まっていく︒
への第 1
回出頭時とかにソリシターに相談できる︒
ソリシター協会はさきのブリストルの試みを検
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1973)
︒
年︑大法官府もこの動きを支持した︒その翌年公刊されたソリシター協会編﹁当番弁護士制度案内﹂
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1975)
︒
地方ソリシター協会はその地の治安判事︑治安判事書記︑警察その他関係者と相談して当番弁護士制度を作り︑几七五年段階ですでに一こ
0
をこえる同制度が実際に運営されていた︒その後さらに発展を続け
1九八↓ご年には全国で
に達した︒当時の当番弁護上はどんな活動をしていたか︒まず治安判事裁判所に出頭 して拘禁されている被告人に会い︑同人が助力を欲するなら︑審理の延期を望むかどうか︑法律扶助や保釈を申請す るつもりがあるかどうかなどについて助言を与え︑あと希惰に応じて法律扶助の申請書を作成し︑保釈問題に?いて
これら弁護業務実施にさいしての難点は︑
は同制度の普及 それが基本的に私的業務であるので報酬の確保が困難だという点であった︒
難点はあるにせよ当番弁護じ制度は以下の長所をもっていた︒山被告人はごく初期の段階︑逮捕の叫百朝とか裁判所
たとえ夜間であっても取調べが行われるときなら同様である︒② 保釈申請のときにも相談てきる︒被告人が有罪白認を行うときでもソリシターがついていれば減軽がえられるかもし れない︒③制度に賛同するソリシターなら誰でも当番弁護七になれる︒実際多くのソリシターが登録している︒
そ0
結果とくに若いソリシターの仕事が増えている︒門番弁護
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制度がなければ通常の人はあまりの無知もしくは驚愕で誰 に も 相 談 せ ず に そ の ま ま 起 訴 と い う こ と に も な り か ね な い
︒
① あ る 地 区 で は 甘 番 弁 護 七 は 市 民 相 談 局
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︑勧告センター
四
7~- 3·4~-392 (香法'88)
イギリスの甘番弁護!:制 度 ( 庭ilJ)
とを結びつけるものであった︒ 二1i
係員がいるいで︑弁護卜を見↓け易い︒
したがってこの制度が全国に広まることが学者や実務家によって望まれた︒
さきの報酬の問題も法律扶助とい連係 ここまでくれば残された間趙は渭番弁護上制度を捜西段陪にまで広げることであった︒
五
ミ上エルズは単リ直人に﹁警察留置場にいて弁護人のついていない人達にも当番ソリシターがじかに接近できるよう 大法官は内務大臣や首席警察官と相談すべきである﹂と主張した︒彼は当番弁護士制度の有用性を確信していたので あった︒有名なヘルシャム卿も次のように述べた︒﹁理論的にいえば警察留置場は治安判事書記の管轄であるが︑実際 には警察官の管理にゆだねられている︒私は警察が被告人との当番弁護士の接触の重要性を認識してくれることを望 む﹂﹁大切なことは依頼人と相談するため当番弁護士が警察留置場に行けることだ︒﹂
さきに挙げたアレック・サミュエルズによれば︑被告発人には当番弁護士に会う権利があり︑当番弁護士にも被告
発人に会う権利がある︑
したがって警察には当番弁護上制度について知らせる義務があるのであって︑同制度は法律 扶助制度の安上がりの代替物と考えられるべきではない︑
期的な進展を見るに至った︒
ので ある
︒ これら学界・実務双方の情勢をふまえ中央のソリシター協会は政府と積極的に交渉した︒
その結果一九八四年に画 まず政府は警察および刑事証拠法案に手を加えて五九条を追加した︒それは治安判事裁 判所の当番弁護士制度
( L e g a l
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1982
にもとづく︶
と警察署における二四時間当直制度
(24
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s )
この改定の結果︑当番ソリシターが治安判事裁判所だけでなく警察にも行けることと
まだそい法律化い見通しは立っていなかった︒ を推化することによってほぼ解決されよう︒
{Xい
する②裁判所が事件ごとに担甘弁護士に支払うようにする︑
.九
八一
. .
年 ︑
のいずれかの採択を必要としたが︑
アレック・サ 九八
. .
年 段 階 で は
抜本的には①ソリシター協会が有給のソリシターを派遣できるように
7 ‑‑3•4 ‑‑393 (香法'88)
人とは法律書記
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︑
ソリシター見習
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その他の補助職員
︵法律センターで雇われた
今回の改正で
用すべきだとのソリシター協会の主張を容れたのであった
のみならず施行規則
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6. 1)
は︑被疑者がソリシターに相談したいが適当な人を知らないときには警察は 当番ソリシターが利用できることを伝え︑同リストを交付すべしと定めている︒政府はこのため年間六
00
万ポンド
( 1 1 )
の予算を用意すると国会審議の過程で公表した︒
他方一九八一年法律扶助法一条六号にもとづいて当番弁護士利用者援助の規則も作られた︒
相談と助言とを警察でも緑色書式制度
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Fo rm Sc
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) のもとで受けられることとなった︒被疑者に受給資格
︵通常行われる︶はない︒したがって望む者すべてが当番弁護士だけでなく通常弁護上 の援助も無料で受けられることとなった︒ただし法律扶助委員会
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きる限度は七五ポンドである︒
豆 ︶
しないという点である︒
の事前の許可なしに受給で
︵ソリシターから見て︶依頼人のサインがあるまで緑色書式が発効 さらに留意すべきは︑右の両手続とも逮捕されていない者にも利用可能な点である︒政府は結局任意出頭者にも適
社会福祉司も含まれよう︶をさす︒
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︒また政府は拘束延長の審理にも適用拡大を認めた︒ただし財産テストと法律扶助委員会の許可
( 1 3 )
とは必要である︒
( 1 4 )
﹁ソリシター代理人﹂に法律扶助利用が可能になった点にも注目しておこう︒
ところで施行規則
( p a r
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6. 6)
は﹁書記もしくは法律書記については警部以上の者 が犯罪捜査の妨げとなると判断するときはこれを代理人と認めない﹂
ここでソリシター代理
と制約を付している︒しかしこの条項は︑
( 1 5 )
シターが自分の代りに代理人を派遣しても被拘束者は不利に扱われないことを意味する︒イギリスではパラリーガル
ソリ
この制度の難点は
があるかどうかの財産テスト な
った
︒
これで被疑者は無料の
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7~3·4~394 (香法'88)
イギリスの昔番弁護士制度(庭山)
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の活動の余地が日本よりはるかに大きいから代理問題の直要性はきわめて大きいと言えよう︒
酋番弁護士制度をめぐる今回の改正は大方の賛同をえて行われたので歓迎の雰囲気は強い︒しかし一部に批判がな
( 1 6 )
いではない︒もっとも批判といっても建設的なものではある︒その第一は報酬に関してである︒現行制度のもとでは
所定時間外の超過勤務手崎はない︒
7,
(1
はこれらを改善する必要があるという︒その第^[は法律家供給に関してである︒この問題を解決するため一九八四年
にロンドン︑バーミンガム︑ノーザンプトンシャーの三地区で実験が行われ︑それをもとにして
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1 98
5が作げられた︒これはソリシター協会が大法官府と大蔵省との承認をえて作ったものであるが︑
制度の枠組のみであり︑実行の細部は地方当番弁護士委員会
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)
( 1 8 )
かされている︒同委員会の適切な運用が強く期待されるところである︒
( 1 9 )
最後に当番弁護士制度と相補関係にある緑色書式制度︵前出︶をとりあげる︒なんらかの法律問題をかかえている 人で経済的に一定の条件をみたす者は同制度に参加しているソリシター 書面による助言を依頼することができる︒全国一律に定められた範囲内でどんな仕事をソリシターが引きうけるかは 全く同ソリシターの裁量の範囲内にある︒彼は手紙を書き︑調停し︑文書を作成し︑または法廷もしくは審判所
( t r i
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l ) に出頭する依頼人のために準備書面を作成する︒唯一の制約は︑法律扶助事務所の許可なしに五
0
ポンドをこえる仕事を引きうけてはならないという点である(‑九八四年段階で五
0
ポンドの仕事とは通常のソリシターの
( 2 0 )
二時間相当の仕事とされる︶︒
この制度は一九七三年四月に実施に移された︒これはかつての法的助言および請求証明制度
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︵大部分がそうである︶
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に代わるものであった︒現行制度は最初一九七二年法的助言および援助法
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に対し口頭もしくは
こま
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一定時間待機のときの保障もない︒当番弁護七をより魅力あるものにするために
7 ‑ 3・4 ‑395 (香法'88)
依頼人との面接にどれ位時間を要するか︑ が夜間もしくは週末に%るなら︑
その仕事が終ってからでぎるだけ早くでよい︒
ここに﹁できるだけ早く﹂
って八
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ポンドの仕市︑ の記入内容で決まる︒I )
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1972)
とは 一ご 日
で導入されたが︑現在は一九じ四年法律扶助法第二部
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( 2 1 )
に定められている︒同制度の適用範囲はその後若
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拡大されている︒この制度においては法律扶助の要件の
1
つである功績テスト
と判断すれば足りる︒
事務所でも入手できる︒
され る︒
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は ない
︒ ソリシターが扱う価値がある しかしもう^つの財産テストはある︒収入と資本とが評価対象であり︑
( 2 2 )
出金
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) が要求される︒限度をこえているかどうかは緑色書式︵書式はグリーンのほか種々に色わけさ
( 2 3 )
れて いる
︶
一定限度をこえると拠 ソリシターは依頼人との最初の面接時に右書式を完成する︒用紙はどこの法律扶助
( , 2 4 )
ロンドンで開業している糾名なソリシター︑ジェームス・モートンによれば︑多くの友人が緑色書式制度の存在を 知らないという︒彼の親友の.人はその存在を知ってはいるが︑
る︒しかし彼の実体験では記人はきわめて簡単であり︑
えていると思われるので少し長いがそのまま引用する︒﹁緑色菖式制度の大きな利便は︑それがほとんど無限に拡張で るようなそれにも確実に適用される︒
記人が面倒だといって利用していないとのことであ
( 2 5 )
しかも次のような大きな利点があるという︒大方の予想をこ きる点である︒詐欺罪のように数百ポンドに値するような複雑な事件や依頼人が警察署でかなり長時間取調べを受け
また最初の面接で
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ポンドの仕事︑次に依頼人を人定のため警察に連れてい
さらに
. .
週間後の出頭付添いで四
0
ポントの仕事といった異なった仕事をした場合にも適用
むろんこれらはできるだけ事前に地区古記
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)
の承認を受けなければならない︒
後の手紙でもよいということを息味しない︒とりあえず屯話をしておき︑の両四時間以内に書面で確認する必要がある︒
その限度はいくらかについて説明できるよう
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め準備しておかなければな
しかし仕ボ 八
7~- 3·4~396 (香法'88)
イギリスの当番弁護七制度(庭山)
人はグリーンフォームをほとんど知らないとも言うが︑
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)
( 2
)
( 4 ) ( 5 )
九
そ の 承 認 書 は 検 行 の た め 毎 月 ま と め て 協 会 に 送 ら れ る 緑 色 書 式
売れっ
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の ソ リ シ タ ー が グ リ ー ン フ ォ ー ム を 知 ら な い こ と は
かつて﹁ソリシター中ー直制度﹂としてこのことに占及したことがある︒庭山・五十嵐︳︳栗ぶ八用監獄制度と市民的自由﹄
.).四五貞︒
R. M. Ja ck so n, h T e M ac hi ne ry
︒ こ
u s t i c e i n En gl an d
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7t h e d . , 1 9 7 7 , p . 5 5 7 . ( 3 ) I b i d
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.p . 2 5 0 f . Al ec Sa mu el s. r C im in al Le ga l A id : T
he Is s u e s of P r i n c i p l e .
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9 0 0 竺
Cr im .L .
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2 3
2 . R. M. Ja ck so ns , i b i d . , p . 2 5 1 .
( 6
)
Al ec Sa mu el s, b i i d .
( 7
)
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2 4 ho ur s s ch em e"
に加盟しているソリシターが引き受けてくれる︒同制度は現在でも健在である︒
Le ga Al id He ad
0
f f i c e , L eg al Ai d G ui de A p r i l 1 9 8 7 , p . 2 1 ° ( 8 ) Al ce Sa mu el s, ib i d . ,
p . 2 3 3 .
( 9
)
I b i d .
( 1 0 )
I b
i d .
( 1 1 )
M
ic ha el Za nd er , T he Po l i c e an d C ri mi na l E vi de nc e A ct 19 8 4 , 1 9 8 5 , p .
7 4 .
む し ろ 同 制 度
︵その起源は救貪制度にまでさかのぼる︶
にとって仕合わせと弓口うべきであろう︒
( 1
九八
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1
ームい本旨に合致しないのではないか︑
との懸念なしとしない︒
し た が っ て ジ ェ ー ム ス
・ モ ー ト ン は 自 分 の 友
か つ 裕 福 な ソ リ シ タ ー
︵甘番弁護じ制度に加盟していない︶
に 安 易 な 利 用 を 許 す の は 法 律 扶 助 の [ 環 と し て の グ リ ー
こ の 叙 述 が 本 甘 だ と す れ ば グ リ ー ン フ ォ ー ム は 確 か に 簡 便 か つ 有 用 で あ る が
︑
記入
済︶
に添付されなければならない︒﹂
)、人~。
︑ し
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ソリシター協会が延長を認めたなら︑
ジ ェ ー ム ス
・ モ ー ト ン の よ う な 著 名
︵要
件 7 ‑3•4 ‑397 (香法'88)
10
心)Ibid.
(~) Ibid., p. 75.
(;::;) Ibid., p. 76.
ぼ)M.D.A. Freeman, The Police and Criminal Evidence Act 1984, 1985, p. 106.
('.:e) V. Bevan and K. Lindstone, A Guide to the Police and Criminal Evidence Act 1984, 1985, p. 254f.
心)Ibid., p. 255.
(~) Ibid.
ぼ)The Law Society, Legal Aid Handbook, 6th ed.、1984,p. 6f.
(~) Michael Zander. Cases and Materials on the English Legal System, 4th ed .. 1984, p. 472.
ば)Ibid.
(科)Ibid., p. 4 73.
ぼ)James Morton, Handling Criminal Cases, 1st ed., 1986, p. 17.
(苫)Ibid.
(哀)Ibid.
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イギリスの当番弁護士制度(庭山)
ベ およびハイジャック
さらに待てない理由を書きとめる︒ その警察官の名前︑認識
警察に備えつけられている﹁当番弁護士勤務名簿﹂にもとづいて依頼人から電話が入ったら当番弁護上は事件内容
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護士報告書
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) を準備する︒一般的に言って︑依頼人が重大逮捕可能犯罪
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で逮捕されている時には出頭が必要である︒
右の重大逮捕可能犯罪は.九八四年警察および刑事証拠法
( S
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1 1 6
( 2 ) )
で新たに創設された概念で q定の強制
処分の前提条件とされる︒内容は二種にわかれる︒第一種には叛逆罪︑謀殺︑故殺︑強姦︑
三歳以下の少女との︶︑
以下の少女との性交 と相談し︑警察への出頭が必要かどうか決める︒出頭すると決めたら当番弁
共同強盗︵一六歳以下の少年との︶︑不同意共同強盗およびワイセツ罪がある︒そして第二種
には︑生命もしくは財産に危険を及ぼす可能性ある爆発惹起
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883) ︑
一三
歳
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956)︑直吻害の故意ある火器所持
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1968)
︑ 海
Q坤gを免れるための火器もしくはそのモデルの使用
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17
( 1
) )
︑故意ある火器携帯
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18
)︑不注
意運転による致死
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972) ︑人質をとること
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1982)
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1982)
警察署に行くと決めたならできるだけ早く行く︒あらかじめ何時頃着くかを電話で伝え︑自分が到着するまで取調
( q u e
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)
を開始しないようにとの約束をとりつける︒もしも待てないと言うなら︑
番号および位階を聞き出し︑
②遅延すれば直ちに人への危害もしくは物への損害が発生するおそれがあるか︑ いずれにしても言うべきことははっきり言う︒
(6
)
ところで警察官は以下の理由なしには取調べへの弁護人の立会を拒めない︒①容疑事実が重大逮捕可能犯罪である︑
または弁護人の到着が遅れれば不当
に捜査が遅れる可能性があると︑警視
( S
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t e
n d
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t )
以上の者が信ずるに足りる合理的根拠が存在する︑③依頼
について留置管理官
( c
u s
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c e r )
があ
る︒
子供誘拐︑近親相姦︵
7 ‑3•4 ‑399 (香法'88)
よいとすすめてもよい︒
そのことをどこかですでに述へているか︑
ま た は な ん ら か の 形 で 面
ときに盗品回復に協力するよう助はしてもよいが︑
偵重になされなければならない︒多くの被疑者がただ外へ出たいがために自供したがっているからである︒
容疑事実については依頼人からの説明を間き︑
接に応じているか否かを確かめる︒
それまての面接や質疑応答について知っておく方が賢明だからである︒
降の取調べや質疑応答には必ず立会ないし臨席する︒
なお法律扶助の実際や限界についても説明しておく︒
そして以
いずれにしてもこの種の助言はきわめて 警察に据られている証拠い証明力について説明する︒
会なしに会って種々助;
1す
る︒
めて重要︒
のちに証拠の許容性︑身柄拘束の延長︑拘束記録の正確性などが問題となるとき︑
‑9
}
果すからである︒
接見室に人ったら依頼人に白己紹介する︒
p r i v
a t e )
を 持 っ て い る こ と を 伝 え る
︒ 必 要 な ら そ の 内 容 に つ い て 詳 し く 述 べ る
︒ 取 調 べ か 始 ま る 前 に 必 ず 依 頼 人 に 立
そ れ が 決 定 的 な 役 割 を
警察署に着いたら︑
̲8 l
書 式
︵これに接見記録を記人するはず︶
人が同意している︒
そ れ が 依 頼 人 に と っ て 決 定 的 に 不 利 な ら 早 期 に 自 認 す る 方 が
もし立会を拒まれたなら︑その理由を記録しておく︒いろいろな申立は︑六時間以内では留置管理官に対して行い︑
六 時 間 経 過 後 な い し 告 発 後 に お い て は 上 級 警 察 官
( s e n
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に
対 し て 行 う
︒ 右 の 申 立 は つ ね に 書 面 に し て な る べく早く警察署に届ける︒加えて口頭でも伝える︒もし警察が待てないと言うなら︑代りの弁護士に行ってもらう︑
(7
ー
︶
少なくとも所属事務所宛には情況説明をしておく︒
ま ず 自 分 の 身 分 を 明 ら か に す る
︒ 所 属 事 務 所 の 名 前
︑ 同 事 務 所 で の 地 位 を も 含 む
︒ 次 い で 緑 色 と 当 番 弁 護 士 報 告 書 と を 持 っ て き て い る か 確 か め る
︒ 右 報 告 書 の 記 人 は き わ そ
れ が 終 っ た ら 貞 先 に お 互 い が 秘 密 交 通 権
( a r i
g h t
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7 ‑3•4 ‑400 (香法'88)
' ・ ' ", "
'''"'""'"""""""""""''""""''''•
イギリスの当番弁護七制度(庭山)
身柄拘束の継続の可否が警察レベルでも審肖されるが︑
れるかを確かめ︑
それに対しても準備の必要がある︒次回の審査がいつ行わ その審査に間に合うように電話を人れて申し人れを行う︒身柄拘束が
1↓1六時間をこえて延長される
告発︑人定
(I
D)
︑捜索︑指紋採取についてもあらかじめ助ばしておく︒弁護に役立つと思われる証拠収集にも気を 配る︒将来お世話になるかも知れない保釈保証人や公判廷証人
0名前と住所とを控えておノ\翌日にでも呼び出され
依頼人の健康状態に注意する︒もし必要なら医者を呼ぶよう要求する︒依頼人の身体に傷害があったらメモしてお
く︒依頼人がどのような拘束状態にあるか︑外的条件を点検する︒食事︑休息︑衣服︵私服が許されない場合︶
依頼人の要請があれば彼の居所を家族に知らせる︒知らせるときにあいまいな伝言をしないよう注意する︒依頼人 に対し彼が取調べを受けている間いて欲しいか否か確かめる︒そのさい法律扶助がどうなっているか注意する︒なお
取調べに立ち会う前に依頼人の弁明をよく理解しているかどうか点検する︒
( 1 0 )
次に取調べにさいしての留意点を挙げる︒警察には誰に対しても質問を発する権利
( a r i
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)
これに対し誰にも沈黙を守る権利がある︒右の質問を受ける者が任意出頭者︵参考人︶であるとしても︑
があ
る︒
警察が犯罪 を犯したと疑っているときには彼は権利告知
( c a u
t i o n
) を与えられなければならない︒したがって依頼人が今どんな
被逮捕者は当然に権利告知を受ける︵逮捕には告発が含まれている︶︒逮捕されたのち︑同人は質問される前︑告発
され
る時
︑
さらに告発後において他人の供述書を見せられる時︑ 状況にあるかを確かめる必要がある︒ 定どおり与えられているかもチェックする︒
それぞれにさいし権利告知されなければならない︒ ないとも限らないからである︒ か否かの決定に関しては︑その申し人れは担当警視に対して行う︒
が所
7 ‑3•4 ‑‑401 (香法'88)
警察との面接が始まるときに︑すでに依頼人の傍らに弁護人がいる場合︑必ず弁護人の立会が許されなければならな
警察による面接の目的は﹁事実関係について説明を求めること﹂であって︑自供を求めることではない︒
て︑警察官としては告発するに足る証拠があると考えるや否や質問をやめるべきである︒
依顆人が警察に対し︑もし自分が質問に答えたり︑供述をしたりしなかったりした時にはどうなるかを訊ねたら︑
警察はそのあとどうなるかについて答えてもよい︒
とも八時間の休息︵しかも継続的なそれ︶
三時の被疑者尋問
( t o
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きで
ある
︒
なら異議を申し立て︑ したがっ
しかしその返答は慎重を要する︒二四時間以内に依頼人は少なく を与えられなければならない︒この休息は夜間に与えられるべきで︑午前 などは認められない︒もしそれが要求されたなら︑理由説明を求めるべ 面接にさいしてはその開始時︑終了時︑休憩時間を含むすべての関連事項を記録する︒面接のやり方に疑義がある
その事実についての証拠を残しておくよう警察に要求する︒自らも適当な記録を残しておく︒
面接の終了時には依頼人が面接記録を読みかつサインする機会を与えられたかどうかチェックする︒必ず警察官が 依頼人に対し読み聞かせる︒決して依頼人自身に朗読させてはならない︒同人は字を知らないかもしれないし︑警察
官の手書き文字を読めないかもしれないからである︒立会すると弁護人もサインを求められる︒
される可能性があるのでサイン前にその内容の正確性につきチェックする︒
問への異議申立がきちんと記されているかどうかに注意する︒
うか 見守 り︑
ヽ4 0
し
のちに証言台に立た
とりわけ法的助言のための休憩や不当質 依頼人の面接時そばについていて助言する︒黙っていてはならない︒立会弁護人の任務は助言し︑面接が公正かど
かつ依頼人にとって必要な事項を説明することである︒不当な扱いがなされていないか注意し︑もし不
一 四
7 ‑3•4 ‑402 (香法'88)
イギリスの当番弁護士制度(庭山)
一 五
当と考えるなら依頼人に退席させる︒しかし警察官に対しては礼儀正しく振るまわなければならない︒
もう少し具体的に述べる︒警察官の質問が明確で依頼人もよく理解しているかどうか確かめる︒非常に簡単な言葉 さえわかっていないことがしばしばある︒質問は威圧︑侮辱もしくは強制にわたってはならないことはもちろん︒同
︱つの質問中にいくつもの枝質問を含ませてはならない︒弁護人としては事実関係
を十分には把握していない段階なので実行は困難かも知れないが︑質問の関連性に留意する︒警察官に誘導尋問を許 してはならない︒誤解が生じていると思ったら訂正させる︒依頼人に返答拒否をすすめてもよいが︑不利となるおそ れがあるので注意する︒弁護人はいつでも面接を中止させて依頼人に助言できるが︑このことは記録に残される︒弁 護人として認められない質問を警察官が続けるなら︑依頼人に答えさせるな︒しかしそうすると警察官はときになん どでも質問をくり返すが︑これは強制となることがある︒異議申立については自分でメモを残しておく︒弁護人とし
て不当な行動ありと判断されると退席を求められる︒この判断は警視以上ができるだけであるが︑
時間的に相前後するが︑ここで拘束開始時の警察側の措置を見てみよう︒所定の警察署で身柄拘束された者は留置
管理官のもとに出頭するが︑その管理官が被拘束者の拘束継続と福祉関係とに責任を持つ︒
留置管理官にはまず︑被拘束者の告発か釈放か︑ むろん反論は許さ
さらに拘束︵告発されている場合とされていない場合とがある︶
を続けるか否かを決める︒その決定のあったときから拘束記録がつけられる︒次に︑被拘束者が告発されたなら︑警 察による保釈
( r e l e a s e
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b a
i l )
が検討されなければならない︒
被拘束者に対しては留置管理官は拘束理由をできるだけ速やかに伝えなければならない︒また被拘束者は①第三者
に自分が拘束されていることを伝えてもらう権利②弁護人に相談する権利③施行規則を見せてもらう権利︑ れ
る︒
時には一っの質問にかぎられる︒
を伝えら
7 ‑3•4 ‑403 (香法'88)
.
.
● "'● , .. , . . ,
被拘束者は自分の要請が拒否される理由を迅速に伝えられ︑ き
。
期を正当と判断するとき のことを予め伝えられなければならない︶︒かつこのことは拘束記録に記されなければならない︒ 一定の条件下では︑これらの権利の行使が遅らせられることがある︒
留置管理官は被拘束者に対し①右に記した三つの権利②拘束記録の写しをもらう権利③逮捕されているなら逮捕時 に告知される権利︑について記した文書を手渡さなければならない︒それを手渡されたなら︑被拘束者は拘束記録に
﹁受
領﹂
のサインをする︒
さきに触れた﹁逮捕事実を知らせてもらう権利﹂についてもう少し詳しく記そう︒被拘束者には自分の逮捕につい て第三者に伝えてもらう一般的権利があるが︑警察側には一定の条件
F
でその権利の行使を遅らせる権限がある( s e c
,
t i o n
56)︒留置管理官はこの権利を被拘束者に伝える義務があるが︑告知の相手方は一人のみである︒その相手方と連
絡がとれないときにはあとこ人まで試みる義務がある︒それ以上については留置管理官の裁量にゆだねられる︒被拘 束者は自分の費用で電話することができる︒誰かに文書を託してもよい︒現金の持ち合わせがないことを理由に︑右 の権利行使を否定してはならない︒しかし連絡の事実と内容とを警察側はのちに証拠として利用できる
三﹂ハ時間経過後であっても被拘束者の他に知らせてもらう権利は制約されない︒このぞ六時間は拘束延長を求めて
警察が治安判事に対し請求をしなければならない期限と同じである︒しかし三六時間経過後においては︑右の連絡依 頻権行使は次の理由で延期されることもある︒①被拘束者が重大逮捕可能犯罪と関係あるとき②警視以上の者が右延
︵ただしそのことは拘束記録で確認されなければならない︶③依頼された連絡が重大逮捕可
能犯罪の証拠の収集を妨けるか︑他の人に害を与えるか︑他の人の逮捕を妨げるか︑ れなければならないが︑
または物の回復を困難にすると
一 六
︵被 疑者 はこ
7 ‑ 3・4 ‑‑404 (香法'88)
,,,,,, 山''''"""'"""'"'"'"'""""'""""'''"'''"'"
イギリスの当番弁護七制度(庭山)
速に行われているかどうか︑ ので︑右の書面は二四時間経過後は当該警視宛とする︒
一 七
ときに手続の促進 今度の審査がいつかをたずねて︑ 連絡依頼権行使の延期はいかなる状況ドでも三六時間をこえてはならず︑延期事由が消滅するか︑被拘束者が告発さ
︵そのときには誰かに連絡される︶
4)
さて最後に身柄拘束の審査
( r e v
i e w s
) その後については拘束令状
( a w a
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i o n )
続けられる︒最初の一.四時間では留置管理官が取り扱い︑
意味
する
︶︒
が必要なことについては先に触れたが︑令状以前にも
右の審査毎に必要な申立をなすことは弁護人にとって必須の仕事である︒留置管理官に当該拘束がいつ認められ︑
それらをメモしておく︒留置管理官に電話でたずねてもよい︒必要なら次回の審査 が行われる時刻の少なくとも
1五分前に書面を届ける︒
ニ四時間以降三六時間までの拘束は警視の管理ドに移される 弁護人は現在の身柄拘束が証拠収集に必要かどうか︑重大逮捕可能犯罪で依頼人は逮捕されたのか否か︑捜査が迅
さらに次はなんの捜査かなどについて点検しなければならない︒
各審査時毎に︑依頼人が告発されてもいないのになぜ拘束されているのかを訊ねる必要がある︒
をうながす必要もあろう︒依頼人を取りもどすため保釈申請をしてもよい︒
( l ) An na u T r n b u l l
︑W
a l k e r .
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G u i d e f o r D u t y S o l i c i t o r s ,
1976
によ
る︒
( 2
)
I b i d . ,
p .
1. その後は警視が取り扱う︵ここに示された時間は最大限を 制約がないわけではない︒これが
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である︒こい審脊は拘束開始後まず六時間後に行われる︒次いで几時間毎に について記す︒
一九八四年法で告発なしに.こハ時間まで身柄拘束が可能で︑ れるかするときには延期は中止となる︒
7 ‑ 3・4 ‑405 (香法'88)
ご︑
︐
(M) Michael Zander. The Police and Criminal Evidence Act 1984, ibid., p. 15lf.
(‑.:!') Anna Turnbull‑Walker, ibid., p. 23f.
(u‑:,) Ibid. p. 1.
("°) Ibid. p. lf.
(r‑‑) Ibid. p. 2.
(00)りりやS甘lil窟竺La/Rep/12や埒炉起忌~.,Q,+:;~;心La/Rep/6A竺1兵ぐ冨I
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1 rnふ心圧こ心,+:;‑0'v匂ぐ文゜GreenFormKey Card (No. 18) effective from 28th July 1986 Q N.B. 旦サ心゜
(0‑,)益¥.LA Guide for Duty Solicitors. ibid., Chapter 2旦弓ゃ゜
ぼ)A Guide for Duty Solicitors, ibid., Chapter 4.
(::1)~\L-ibid., Chapter 5旦サ心゜
心)A Guide for Duty Solicitors. ibid .. Chapter 9.
(こ)Ibid., Chapter 13.
(;::!;) Ibid., Chapter 14.
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(Crininal Legal Aid) 如丑醗や的心゜や二芯巽え心~~さ器弄吉壬螢芸
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忌匂心己旦益巡84
匂冤十壽庄心埠俎ミ屯忘し)\--J-v~ 心゜醤畷い弘姿醒で如梵沢こ心押豆苦毎8~蕪旦合るよ心
1°''
単這区ミ迅赳正蓋沿訊似:t)1-0~Jよ全や的肉゜り二竺茫声イギリスの当番弁護士制度(庭山)
一 九
どこの国にもその国固有
であるので財産テストはない︒取調べが警察の中で行われると否とを問わない︒場合により警察は被疑者と弁護人と の接見を遅らせることができる︒それはともかく被疑者は自分の知っているソリシターか︑当番弁護士
( t h e
2 4 , h ou r du ty o s l i c i t o r )
か︑署に備えつけてあるリストの中のソリシターかを自由に選んでよい︒
刑事事件で治安判事裁判所に出頭した者はそこに詰めているソリシターか電話で頼んだソリシターに無料の法律相
談か弁護︵第1回出頭時にかぎる︶を依頼できる︵ここでも財産テストはない︶︒裁判所職員に当番弁護七を要求すれ
ばよい︒とにかく可能なかぎり出廷前に弁護士に相談する機会をもつべきである︒
刑事問題で法律相談を必要とする者は法律相談および援助制度のもとでソリシターに会うことができる︒裁判所に 出頭しなければならない場合でも同制度のもとで訴訟の準備をしてもらうことができる︒
以上のイギリスの制度の方が日本のそれよりもすぐれている︒まず確実に弁護人をつけてもらえるからであり︑
いで法律扶助ないし当番弁護士制度によって費用をまかなってもらえるからである︒このような学ぶに値するシステ ムを実現できるのは︑治安維持と人権保障との対立という問題を裁くにさいし︑イギリス国民がバランス感覚に富ん
(3
)
でいるからであろう︒この国民全体のバランス感覚こそが改革の原動力となっていると思われる︒
(4
)
わが国で本稿で述べたような制度が採用されれば誤判原因は確実に減ると考えられるが︑
の事情︵歴史的伝統や社会構造の違いなど︶があって改革実現は一朝一夕のものではない︒しかし刑訴法学者として 手を棋いていていい問題とも思えない︒本稿が捜査段階での弁護の充実に少しでも貢献できれば幸いである︒
( l ) Le ga l A id Gu i d e , i b i d . , S e c t i o n
5.
( 2
)
特集﹁世界の法律扶助﹂自由と正義一九八五年五月号三頁によれば︑日本の法曹収入に占める扶助収人︵狭義の法律扶助のほか無
つ
7 ‑3•4 ‑‑407 (香法'88)
意を表したい︒ ︿
付記
﹀ ( 3 )
( 4
) ( 5
) ロンドンのソリシター事務所に勤める弁護七山﹇修
r i J 氏には文献の点で大変おせわになった︒
法律扶助︵相談︑国選を含む︶のための社会的資金斌は数百な
J口□.L\
, , ,
・ , :
﹈ ︶
ご廿禾
f)flt
︵/几じ八・
' 0 .
;:
稿︶
記して感謝い
料相談日当︑国選弁護料を含む︶の割合は先進諸国り数十分の.︑
いし数千分の.だという︒
海外法曹事情田﹁転機に立つ英国の法律扶助制度﹂自由と正義1九八七年.
0
月局八.三貝によれば︑イギリスの制度は世界で最も充実しているとされる︵政府は年間四億ポンド約.千億円を支出し︑専従スタッフは/五
00
人にのぽる︶にもかかわらずさらに
改善が計画されているとのことである︒
大阪弁護七会人権擁護委員会﹃刑事裁判の誤起訴・誤判原囚の実態調査﹄
偽自白だとする︒同旨の指摘をする文献は枚挙にいとまがない︒
その他の問題にゾいては庭山﹃民衆刑事可法の動態﹄
( 1
九ヒ
八作
︶︒
は︑最大の誤判原因は捜査段階い中 二
0
7·~3·4 -~408 (香法'88)