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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 環 境 科 学 ) 奥 田 武 弘

     学 位 論 文 題 名

Spatial scale variability of latitudinal gradient of species diversity in rocky intertidal sessile animal assemblages

     ( 岩 礁 潮間 帯 固着 動 物 群集 に おけ る 種多様性の緯度勾配の空間スケール変異性)

学位論文内容の要旨

1章 :General introduction

    地 域 レ ベ ル の 種 多 様 性 の 緯 度 勾 配 は 様 々 な ハ ピ タ ッ ト や 分 類 群 で 見 ら れ る 一 般 的 な パタ ー ンで ある が 、 種 多 様 性 の 緯 度 勾 配 の 空 間 ス ケ ー ル に 伴 う 変 化と そ の決 定機 構 はよ くわ か って いな い 。種 多様 性 の緯 度勾 配 の 空 間 ス ケ ー ル 変 異 性 は 、 ラ ン ダ ム プ 口 セ ス ( 地域 の 種の プー ル から のラ ン ダム な抽 出 )と 生態 プ ロセ ス( 相 互 作 用 、 ニ ッ チ 分 割 、 分 散 制 限 な ど ) の 両 方 の 影 響 を 受 け る と 考 え ら れる 。こ の2つ の プ口 セス が どの よう に 種 多 様 性 の 決 定 に 影 響 を 与 え て い る の か を 明 ら か に す る た め の 有 効 な アプ 口ー チ とし て、pattern based appro achとprocess based approachが あ る 。 前 者 は 、群 集やf固々 の 種の 非ラ ン ダム な分 布 の程 度か ら 、生 態プ ロ セ ス の 純 効 果 ( 種 多 様 性 に 対 す る 全 て の 生 態 プ 口セ ス の影 響の 総 和) を推 定 する 方法 で ある 。後 者 は、 群集 構 造 や 種 多*r生 の 空 間 変 異 に 対す る環 境 要因 や空 間 要因 の説 明 カを 直接 算 出す るこ と で、 種多 様r生 に 対す るニ ッ チ 分 割 や 分 散 制 限 の 影 響 を 評 価 す る 方 法 で あ る 。 こ の2つ の 方 法 を 用 いる こ とで 、種 多 様性 の緯 度 勾配 の空 間 ス ケ ー ル 変 異 性 の 原 因 と し て 、1) 低 緯 度 ほ ど 地 域レ ベル の 相対 優占 度 曲線 の傾 き が緩 い、2)低 緯 度ほ ど生 態 プ 口 セ ス のnet effectが 大 き い 、 の2つ の プ 口 セ ス が ど の よ う に 働 い て い る の か を 検 証 す る こ と が 出 来 る 。     本 研 究 で は 、 日 本 列 島 太 平 洋 岸 の 岩 礁 潮 間 帯 固 着 動 物 群 集 を 対 象 に 、 種 多 様 性 の 緯 度 勾 配 の 空 間 ス ケ ー ル 変 異 性 と そ の 決 定 プ 口 セ ス を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た 。2章 で は、 種多 様 性の 緯度 勾 配の 空間 ス ケ ー ル 変 異J陸 と 、 地 域 レ ベル の 相対 優占 度 曲線 の緯 度 に伴 う変 化 を明 らか に した 。次 に 、種 多様 性 の緯 度勾 配 に 対 す る 生 態 プ 口 セ ス の 純 効 果 の 役 割 をpattern based approach( ラ ン ダ マ イ ゼ ー シ ョ ン テス ト と集 中分 布 の 指 標 ) を 用 い て 検 証 し た 。3章 で は 、process based approach (variation partitioningを用 い て、 種多 様 性 の 緯 度 勾 配 に 対 す る ニ ッ チ 分 割 と 分 散 制 限 の 役割 を 検証 した 。4章 で は、 多変 量 解析 侃I)AとP( 瑚を 用い て 、 2章 と3章 で 得 ら れ た 生 態 プ 口 セ ス の 強 さ の 指 標の 空 間変 異を 明 らか にし た 。ま た、 生 態プ ロセ ス の純 効果 の 地 域 間 変 異 に 対 す る ニ ッ チ 分 割 と 分 散 制 限 の 相 対 的 貢 献 度 を 明 ら か に し た 。

2章: Latitudinal gradient of species diversity血rocky intertidal sessile animal assemblages: mechanisms determinin g multiscale variabiliぢ

日 本列 島 太平 洋岸 の6地 域 (31°〜43°恥 で階 層 的な 空間 配 置を 用い た 調査 を行 っ た結 果、 岩 礁潮 間帯 固 着動 物 群 集 は 低 緯 度 ほ ど 種 数 が 多く なる 緯 度勾 配を 示 し、 その 勾 配は 空間 ス ケー ルの 減 少に 伴っ て 緩や かに な って い     ―1332―

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た 。 ま た 、地 域 レ ベ ル の相 対 優 占 度 曲 線は 低 緯 度 ほ ど傾 き が 緩 や かに な っ て い た。 種 多様性 の決定 に対 する生 態 プ 口 セ スの 純 効 果 を 検証 す る た め に ラン ダ マ イ ゼ ーシ ョ ン テ ス トを 行 っ た 結 果、 実 際の群 集はラ ンダ ム群集 と 有 意 に 異な っ て い た が、 群 集 レ ベ ル の非 ラ ン ダ ム 分布 の 程 度 は 緯度 に 伴 っ た 変化 を してい なかっ た。 また、

集 中 分 布 の程 度 の 指 標 を用 い た 解 析 の 結果 、 岩 礁 潮 間帯 固 着 動 物 群集 は 各 種 が 集中 分 布をし ている が、 種レベ ル の 非 ラ ンダ ム 分 布 の 程度 は 緯 度 に 伴 った 変 化 を し てい な か っ た 。こ れ ら の 結 果は 、 生態プ 口セス の純 効果は 種 多 様 性 の決 定 に 影 響 を与 え て い る が 、生 態 プ 口 セ スの 純 効 果 は 緯度 に 伴 っ た 変化 を してい ないこ とを 示して い る 。 こ のこ と は 、 種 多様 性 の 緯 度 勾 配の 空 間 ス ケ ール 変 異 性 は 、生 態 プ ロ セ スの 純 効果の 影響は ほと んど受 け ず 、 地 域レ ベ ル の 相 対優 占 度 曲 線 の 緯度 に 伴 う 変 化が ラ ン ダ ム プ口 セ ス を 介 して 主 に反映 されて いる ことを 示 唆 し て いる 。

3章: The role of niche differentiation andmSp鵠m】imi切60nmde缸miDingla伽】d.ina1ダa出entofp司iverSiぢ血m CkymtemddSeSSneanima】aSsam)lageS

種 多 様 陸 の 緯 度勾 配 に 対 す るニ ッ チ 分 割 と分 散 制 限 の 役割 を 検 証 する ために 、vadationpar齔io血1gを用 いて 、 群 集 構 造 の 空 間変 異 ( ロ 多 様性 ) に 対 す る環 境 要 因 の 独立 し た 説 明 力 (二 ッ チ 分 割 の影 響カ の指標 )と 空間要 因 の 独 立 し た 説明 力 ( 分 散 制限 の 影 響 カ の指 標 ) を 求 めた 。 環 境 要 因 とし て 、 岩 礁 潮間 帯固 着動物 の群 集構造 の 決 定 に 影 響 を与 え る こ と が知 ら れ て い る環 境 (16種類 ) を 、 空 間要 因 と し て 各局 所 群 集の空 間的 位置を 用い た 。umationpartiboningの 結 果 、 環 境 要 因 と 空 間 要 因 共 に 群 集 構 造 の 空 間 変 異 に対 す る 有 意 な説 明 カ を 示 し 、 そ の 説 明 カは 地 域 間 で 異な っ て い た 。し か し 、 環 境要 因 と 空 間 要 因の 説 明 カ と 、環 境の 異質性 の程 度は緯 度 に 伴 っ て 変 化し て い な か った 。 こ れ ら の結 果 は 、 二 ッチ 分 割 や 分 散 制限 は 種 多 様 性の 決定 には影 響を 与えて い る が 、 そ の 影響 の 強 さ や 生態 的 特 性 ( ニッ チ 幅 や 分 散能 力 ) は 緯 度 に伴 っ た 変 化 をし てい ないこ とを 示して い る 。 こ れ ら のこ と か ら も 、生 態 プ ロ セ スの 強 さ の 緯 度に 伴 う 変 化 で はな く 、 地 域 レベ ルの 相対優 占度 曲線の 緯 度 に 伴 う 変 化 が 種 多 様 性 の緯 度 勾 配 の 空間 ス ケ ー ル 変 異性 の 主 な 原 因と な っ て い るこ と を 示 唆 して い る 。

4章 : General discussion

共 通 のデ ー タ か ら 算 出し た 複 数 の 指標 に 対 し て 単変 量 の 解 析 を繰 り 返 し 行 う 場合 、 正 確な 解釈 ができ ない可 能 性 が ある 。 そ こ で 、2章 と3章 で得 ら れ た 生 態 プ口 セ ス の 強 さの 指 標 が ど のよ う な 空 間 変異 を示す かを明 らかに す る た め に 、RDAとPCAを 用 い た 多 変 量 解 析 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、2章 ・3章 と同 様 に 、 生 態プ ロ セ ス の 純 効 果 、 二 ッ チ 分 割 と 分 散 制 限 の 影 響 の全 て が 地 域 間で 変 異 し て い るが 、 緯 度 に 伴っ た 変 化 を して い な か っ た。

    生 態 プ 口 セ ス の 純 効 果 の 地 域 間 変 異 に 対 す る ニ ッ チ 分 割 と 分 散 制 限 の 相 対 的 貢献 度 を 明 ら かに す る た め に 、純 効 果 を 応 答 変数 、 二 ッ チ 分割 と 分 散 制 限の 強 さ の 指 標を 説 明 変 数 と する 重 回 帰分 析を 行った 。その 結 果 、 群集 間 の 種 構 成 の違 い に 関 し ては 分 散 制 限 の方 が 、 群 集 間の 現 存 量 の 違 いに 関 し ては ニッ チ分割 の方が 生 態 プ 口 セ ス の 純 効 果 の 地 域 問 変 異 に 対 し て 相 対 的 に 重 要 な 影 響 を 与 え て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。     本 研 究 の 結 果 か ら 、1) 空 間 ス ケ ー ル の 縮 小 に 伴 っ て 種 多 様 性 の 緯 度 勾 配 は 緩や か に な る 、2) 低 緯 度 ほ ど 相 対 優占 度 曲 線 の 傾き が 緩 や か にな る 、3) 生態 プ 口 セ ス の 純効 果 、 二 ッ チ分 割 の 強 さ 、分 散 制 限 の 強さ は そ 捫 ぞ れ地 域 間 で 変 化を す る が 、 緯度 に 伴 っ た 変 化を し な い 、 の3点 が 明 ら かと な っ た 。 これ ら の 結 果 は、

空 間 スケ ー ル の 縮 小 に伴 っ て 種 多 様性 の 緯 度 勾 配が 緩 や か に なる の は 、 相 対 優占 度 曲 線の 緯度 に伴う 違いが 主 な 原 因で あ る こ と を 示唆 し て い る 。本 研 究 で 得 られ た 結 果 は 、「 ど の よ う な 進化 的 ・ 歴史 的プ 口セス が地域 ス ケ ー ルの 相 対 優 占 度 曲線 が 低 緯 度 で緩 や か に す るの か ? 」 嚠 嚠群 集 間 で 種 多 様性 維 持 機構 がど のよう に違い 、 何 が そ の 違 い を 作 り 出 す の か ? 」 と い う 種 多 様 性 に 関 す る 根 源 的 な 疑 問 に 繋 が る も の で あ る 。     ―1333ー

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査    准教授    野田隆史 副査    教授   東    正剛 副査    教授   齋藤    隆 副査    教授   岩熊敏夫 副査    教授   甲山隆司

副査    准教授    仲岡雅裕(千葉大学大学院理学      研究科)

     学位論文題名

Spatial scale variability of latitudinal gradient of species diversity in rocky intertidal sessile animal assemblages

     ( 岩 礁 潮 間 帯 固 着 動 物 群 集 に お け る 種多 様性 の緯 度勾 配の 空間 スケ ール 変異性)

   低緯度ほど生物群集内の種数が多くなるという種多様性の緯度勾配は、様々なハピタット や分類群に共通して認められる現象である。このような種多様性の緯度勾配は、大空間スケ ールでは顕著であるのに対し、小スケールでは勾配は緩やかかつ曖味になる傾向があること が 知 ら れ て い る 。 し か し 、 そ の 原 因 に つ い て は よ く わ か っ て い な い 。    申請者は、このような種多様性の緯度勾配の空間スケール変巽l 生を生じさせるメカニズム として、1 )低緯度ほど地域レベルの相対優占度曲線の傾きが緩くなる、2 )低緯度ほど小ス ケールでの共存種数を制限する各種生態プ口セス(相互作用、二ッチ分割、分散制限など)

が強く働く、という相互排他的ではない2 つの仮説を提示し、これらを検証する方法を示し た(1 章)。これらの仮説と検証方法は、他のさまざまな生物群集にも適用可能であること から、学術的な意義は大きいと評価できる。

そして、この検証方法を日本列島太平洋岸の6 地域(31 °〜43 °m の岩礁潮間帯固着動物

群集に適用し、種多様性の緯度勾配の空間スケール変異I 生とその決定プ□セスを明らかにし

た(2 〜4 章)。まず、種多様性の緯度勾配の空間スケール変異性と、地域レベルの相対優占

度曲線の緯度に伴う変化を明らかにした(2 章)。ついで低緯度ほど小スケールでの共存種

数を制限する各種生態プ口セス(相互作用、二ッチ分割、分散制限など)の純効果が強く働

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いているかをランダム抽出群集と実際の群集の種多様性の比較と各種の分布集中分布の指標 を用いて検証した(2 章)。さらに生態プロセスのうち、二ッチ分割と分散制限が種多様性 の緯度勾配に及ぼす影響を、16 種類の環境要因、調査地点の位置情報、および地点間の種組 成の違いをもとにvariation partitioning を用いて評価した(3 章)。最後に、各種生態プ

□セスの純効果に対するニッチ分割と分散制限の相対的貢献度を多変量解析(RDA とPCA) を 用いて明らかにした(4 章)。

   その結果、日本列島太平洋岸の岩礁潮間帯固着動物群集では、1 )低緯度ほど種数が多くな るという種多様性の緯度勾配が認められ、その勾配は空間スケールの減少に伴って緩やかに なる、 2 )地域群集の相対優占度曲線の傾きは低緯度ほど緩やかになる、3 )局所共存種数を 制限する機構(生態プ口セスの純効果)の働きには緯度に伴う明瞭な変化は認められない、

4 )二ッチ分割や分散制限の強さには緯度に伴った明瞭な変化は認められない、ことが明ら かになった。これらの事実は、岩礁潮間帯固着動物群集では、空間スケールが縮小するほど 種多様性の緯度勾配が緩やかになるのは、低緯度ほど地域レベルの相対優占度曲線の傾きが 緩くなることが主な原因であり、小スケールでの共存種数を制限する生態プ口セス(相互作 用、二ッチ分割、分散制限など)が低緯度ほど強く働くからではないことを示唆している。

   得られた結果から、種多様性の緯度勾配の形成と維持を理解するために本質的かつ重要な 問いが新たに2 つ提示されたとみなせる。いかなる進化的歴史的プ口セスによって地域スケ ールの相対優占度曲線が緩やかになるのか?低緯度では、どうして局所共存種数を制限する 機構(生態プ口セス)の働きが強くならないにも関わらず、多数の種が共存できるかマであ る。

   審査 委員 一同 は、 これ らの成果を高く評価し、また研究者として誠実かつ熱心であ

り 、 大学 院博 士課 程に おけ る研 鑚や 修得 単位 など もあわ せ、 申請 者が 博士 (環 境科

学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。

参照

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   よって、審査員一同は、McL ToaZZa ]

   よ って 著者 は、 北海 道大 学博 士( 理学 )の 学位 を 授与 され る資 格が ある もの と認める。.

   よっ て, 著者 は, 北海 道大 学博 士( 理学 )の 学 位を 授与 される資格あるものと認める..

  

  

  

   よ って 著者 は、 北海 道大 学博 士(工学)の学位を授与され る資格あるものと認める。. ―