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MAPK ホ ス フ ァ タ ー ゼ , MKP − 7 の 機 能と      生 理 的 意 義 に 関 す る 研 究

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Academic year: 2021

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全文

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博 士 ( 理 学 ) 片 桐 千 秋

学 位 論 文 題 名

MAPK ホ ス フ ァ タ ー ゼ , MKP − 7 の 機 能と      生 理 的 意 義 に 関 す る 研 究

学位論文内容の要旨

  細胞内シグナル伝達経路は、外界からの様々な刺激を認識し、細胞内あるい弦核内にシグナルと して伝達するための仕組みであり、その伝達系は精緻な制御により成り立っている。シグナル伝達 調節機構の多くは、可逆的修飾であるタンパクのりン酸化/脱リン酸化により制御されている。リ ン酸化触媒酵素がプロテインキナーゼ、脱リン酸化触媒酵素がプロテインホスファターゼである。

MAPKカスケードl蜘胞の増殖・分 化・ストレス応答・免疫応答・細胞死などの多様な細胞 応答 に関わる細胞内シグナル伝達系である。Mitogen‑activatedpl.OteinMnaSe(MAPIく)カスケード には 主に細胞増殖に作用するERKと、ストレス応答に関与するp38、恥くが存在する。MAP・Kの 活 性化 は シグ ナル の強 度、 時間 、細 胞内 のど こで 活性 化す るか に より 細胞 応答が異なる。

  皿岨くを特異的に脱リン酸イ匕/不活性化するMAPK Phosphatase−7(MIくP→7)は、当研究室に お いて単離された。MKP−7はMKPファミリーに共通なドメインに加え、C末端側に伸張領域(Cト lerminal Stretch;CTS)を 有し てい る。 このCTSに は2つの 核移行シグナルくNLSl/2)・核外 移 行 シグナル(NES).夕ンパクの分解に関与すると予測されている2つのPEST配列(PESTl/2) モチーフが存在し、MlくP 一7分子の細胞内局在と安定性を規定することが予想された。これまでに NLS1お よ びNESが 機 能 性 で あり 細胞 質― 核を シャ トル する こと 、さ らにPEST2配列 内446番 目のSerがERK活性化依存的にりン酸化されることが報告された。

  本研究では、MKP―7の機能およ びMAPKカスケードにおける役割の解明を目的として、以下の 第1章 から第4章に述べる新たな知 見を得た。

  第1章では、MIくP−7の安定性に ついて検討した。MKP‑7は、MKPファミリーの中でも半減 期 の短いタンパク質であり、ユピキチン/プロテアソーム分解系により分解されることが明らかにな った。MIくP・−7のCTSの2つのアミノ酸領域463−511(領域1)と5691604(領域2)がこの 分 解 に必 要な 領 域で あっ た。領域1と領域2はそれぞれ独立してMKP‐7の分解に関わっていた 。 MIくP一7のSer146のりン酸化は分解を抑制しMKP―7夕ンバクの 寿命を伸長させた。以上の結果 か ら 、MIくP岬 を 介 し たERK活 性 化 に よ る 恥 く の 不 活 性 化 機 構 の 存 在 を 見 い だ し た 。

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  第2章 では 、ERKカ ス ケ ード ヘ のMKP―7の 影 響 を検 討 し た。MKP一7はERKの活性 化機構 に おいて一過性の強いERKの活性化を持続させることを見出した。これは、変異体を用いた実験か ら 、MKP‑7がERKと 結合 す る こと で 、 活性 化ERKの 核 移行 を 阻 害し 、ERKの 不 活 性化 を 阻 害 し て い るた め で ある と 示 唆 され た 。ERKの 持続 的 活 性化 に はMKPー7のMAPKド メ イ ンとCTS の2カ 所 に おける 結合が必 要であ った。MKP−7による 活性化ERKの核 移行阻害 は、ERKの転写 活性を 抑制す ることを 明らか にした。 以上の ことから、MKP−7がERKの細胞質アンカーリング タンパク質のーつであることを明らかにした。

  第3章では、ストレス応答シグナル伝達におけるMKP―7の機能制御について検討した。MKP・−

7は、ストレス刺激のうち高浸透圧刺激であるソルピトール処理により経時的に限定分解された。

限定分解はカルパイン/システインプロテアーゼ阻害剤により抑制された。この限定分解により 55kDaのMIくP.―7断片が産生されたが、その後経時的に分解された。このMKP―7限定分解産物は p38に対して脱リン酸化能を有した。従って、MKP−7限定分解産物の産生から消失までの一定時 間p38の活性は抑制されることカ派唆された。また、MIくP‑7が浸透圧刺激依存的に凝集体を形成 す る こ と 、 およ びMKP・ ―7に浸 透 圧 依存 的 に アク チ ン が結 合 す るこ と を 明 らか に し た。

  第4章では、MKP一7がMAPIくシグナルコンプレックスの構成因子として働いているかどうかを 検 討 し た。MKP‑7はJNKの 上 流MAPB:J:くで あるMKK7とJNIく を介した 複合体を 形成す ること が 示 唆 され た。MKP‑7はMKK7と 細胞の伸 長末端 において 共局在し ていた 。MIくP‑7は、p38の 上 流MAPKKで あ るMKK3と は 活 性 化MKK3と の み 結 合 し 、Mぬ く6と は 不 活 性 化MKK6と の み 結合し た。MAPKKとMIくP・―7の複合体にはp38は含まれなかった。活性化MKK3およてぶ不活 性 化MB:K6と の結 合 はMKP−7のCTSで 結合し ていた 。MKK6はMIくP・−7と共 に凝集 体に共局 在 したが 、このMKP−77MKK6凝 集体はソ ルピト ール刺激依存的に消失し、MIくP―7およびMKK6 は細胞質に均一に分布した。以上の結果から、lvnくP‑7の新たな機能を示唆するMAPIくシグナルコ ンプレックスヘの関与を見出した。

  以上、本研究はMKP―7の安定性の制御機構、アンカーリングタンパク質機能、ストレス応答に よる限 定分解 およびMAPKシ グナル コンプレックスヘの関与を明らかにし、MIくP‑7の新たな生 理的意義を解明した。

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教授 教授 教授 教授 教授

菊池 矢澤 坂口 及川 畠山

学 位 論 文 題 名

九二三 道生 和靖 英秋 昌則

MAPK ホスファターゼ,MKP ―7 の機能と      生 理 的 意 義 に 関 す る 研 究

   本研究 は、MAPK‑7 の機能を 解析し、そ のMAPK カスケードにおける役割を 明らかにしたものである。

1 . MKP −7 は、ユピキチン/プロテアソーム分解系により分解され、この分解 に 、 MKP ―7 の2 つのアミノ 酸領域463 − 511 ( 領域1 ) と 569 一 604 (領域2 ) が必要 な領域であ った。 MKP −7 の Ser446 の りン酸化は分解を抑制し MKP 亠7 夕ンパクの寿命を伸長させた。

2 .MKP ―7 は ERK の活 性 化 機構 に おい て 一過 性 の強 い ERK の 活性 化 を持 続 さ せた 。 MKP − 7 が ERK と 結合 し 、 活性 化ERK の核移行を 阻害した。 MKP ー7 に よ る 活 性 化 ERK の 核 移 行 阻 害 は 、 ERK の 転 写 活 性 を 抑 制 し た 。 3 . MKP17 は、ストレス刺激のうち高浸透圧刺激であるソルピトール処理によ り経時的に限定分解された。また、MKP17 が浸透圧刺激依存的に凝集体を形成 すること、およびMKP −7 に浸透圧依存的にアクチンが結合することを明らかに した。

4 . MKP ― 7 は JNK の 上 流 MAPKK で あ る MKK7 と JNK を 介 し た 複 合 体 を 形 成する ことが示唆 された。MKP ― 7 は MKK7 と細胞の伸長末端において共局在 し て い た 。 MKP ― 7 は 、 MKK3 と は り ン酸 化 MKK3 との み 結合 し 、MKK6 と は 脱 リン 酸化 MKK6 と のみ結合し た。これら の結合はMKP ―7 の CTS を介 した。

   これを要するに、著者は、MKP − 7 の安定性の制御機構、アンカーリングタン パク質機能、ストレス応答による限定分解およびMAPK シグナルコンプレック

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スヘの関与を明らかにし、MKP ー7 の機能について新しい知見を加えた。よって、

著者は、北海道大学博士(理学)の学位を授与させる資格あるものと認める。

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参照