編集:日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン[追補2017]委員会
[追補2017]
ここに公開する『脳卒中治療ガイドライン2015[追補2017]』の25項目を、
『脳卒中治療ガイドライン2015』第 1 版の該当項目と差し換えます。
2017年 9 月26日
一般社団法人日本脳卒中学会 理事長
宮本 享
脳卒中ガイドライン[追補2017]委員会 委員長
森 悦朗
【[追補2017 ]作成のための文献検索】
◆
2015年版(〜2013年12月末)以降の2014年 1 月〜2015年12月末の文献を検索した。
◆
言語は日本語と英語に限定した(Cochraneデータベースは多言語も含む)。
◆
2016年 1 月以降に発表された論文でも、特に重要と認めた論文はハンドサーチ文献として引用した。
【[追補2017 ]作成の原則】
◆
レベル 1 のエビデンスを追補した。
◆
レベル 3 以下だったエビデンスがレベル 2 となっていて、特に重要と考えられるものを追補した。
【[追補2017 ]引用文献の表示の原則】
◆
追補に当たり追加した引用文献の番号は「追●)」と表示した。
◆
追補作成に当たり削除した引用文献の番号は欠番とした。
【COI申告】
日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン[追補2017]委員会の構成員は、日本医学会が定める診療ガイド
ライン策定参加資格基準ガイダンスに則り、conflict of interest(COI)に関する自己申告を行っていま
す。
COI自己申告は、日本脳卒中学会ホームページ(http://www.jsts.gr.jp/)の〈脳卒中治療ガイドライ
ン〉で公開しています。
【転載許諾、二次利用】
『脳卒中治療ガイドライン2015[追補2017]』の内容を無断で複製・転載することを禁じます。転載許
諾、二次利用などの申請については、日本脳卒中学会ホームページ〈http://www.jsts.gr.jp/〉を参照
してください。
〔 1 〕
脳卒中の evidence level に関する本委員会の分類(2015)
Oxford Centre for Evidence-Based Medicine 2011 Levels of Evidence ― 和訳
質問 (レベル 1ステップ 1*) (レベル 2ステップ 2*) (レベル 3ステップ 3*) (レベル 4ステップ 4*) (レベル 5)ステップ 5 その問題はどの程度 よくあるのか? 特定の地域かつ最新の ランダム化サンプル調査 (または全数調査) 特定の地域での照合が 担保された調査のシステ マティックレビュー** 特定の地域での非ラン ダム化サンプル** 症例集積** 該当なし この診断検査または モニタリング検 査は 正確か? (診断) 一貫した参照基準と盲検 化を適用した横断研究の システマティックレビュー 一貫した参照基準と盲検 化を適用した個別の横断 的研究 非連続的研究、または 一貫した参照基準を適 用していない研究** 症例対照研究、また は質の低いあるいは非 独立的な参照基準** メカニズムに 基づく推論 治療を追加しなければ どうなるのか? (予後) 発端コホート研究のシス テマティックレビュー 発端コホート研究 コホート研究またはラン ダム化試験の比較対 照群* 症例集積研究または 症例対照研究、また は質の低い予後コホー ト研究** 該当なし この介入は役に立つ のか? (治療利益) ランダム化 試 験または n-of-1 試 験 のシステマ ティックレビュー ランダム化試験または劇 的な効果のある観察研究 非ランダム化比較コホー ト/追跡研究** 症例集積研究、症例 対照研究、またはヒ ストリカルコントロール 研究** メカニズムに 基づく推論 よくある被害はどのよ うなものか? (治療被害) ランダム化試験のシステ マティックレビュー、ネス ティッド・ケース・コントロー ル研究のシステマティック レビュー、問題が提起さ れている患者でのn-of-1 試験、または劇的な効 果のある観察研究 個別のランダム化試験 または(例外的に)劇的 な効果のある観察研究 一般にみられる被害を 特定するのに十分な症 例数がある場合、非ラ ンダム化比較コホート /追跡研究(市販後調 査)(長期的被害につい ては、追跡期間が十分 でなければならない)** 症例集積研究、症例 対照研究、またはヒス トリカルコントロール研 究** メカニズムに 基づく推論 まれにある被害はどの ようなものか? (治療被害) ランダム化 試 験または n-of-1 試 験 のシステマ ティックレビュー ランダム化 試 験または (例外的に)劇的な効果 のある観察研究 この(早期発見)試験 は価値があるか? (スクリーニング) ランダム化試験のシステ マティックレビュー ランダム化試験 非ランダム化比較コホー ト/追跡研究** 症例集積研究、症例 対照研究、またはヒ ストリカルコントロール 研究** メカニズムに 基づく推論 * 試験間での不一致、または絶対的な効果量が極めて小さいと、レベルは試験の質、不正確さ、間接性(試験のPICOが質問のPICOに合致していない)に基づい て下がることがある。効果量が大きいか、または極めて大きい場合には、レベルは上がることがある。 ** 従来通り、一般にシステマティックレビューのほうが個別試験よりも好ましい。 http://www.cebm.net/wp-content/uploads/2014/06/12LPM0488_CEBM-LofE-2-1_和訳.pdf http://www.cebm.net/explanation-2011-ocebm-levels-evidence/ 引用文献 1)http://www.cebm.net/wp-content/uploads/2014/06/CEBM-Levels-of-Evidence-Introduction-2.1.pdf 2)http://www.cebm.net/wp-content/uploads/2014/06/CEBM-Levels-of-Evidence-Background-Document-2.1.pdf
『脳卒中治療ガイドライン 2015』の evidence level と recommendation grade
脳卒中のrecommendation gradeに関する本委員会の分類(2015)
推奨のグレード
Grades of recommendations
Type of recommendations
内 容
A
( 1 つ以上のレベル1の結果)行うよう強く勧められる
B
( 1 つ以上のレベル2の結果)行うよう勧められる
C1
行うことを考慮しても良いが、十分な科学的根拠がない
C2
科学的根拠がないので、勧められない
D
行わないよう勧められる
なお、エビデンスのレベル、推奨のグレードの決定にあたって人種差、民族差の存在は考慮していない。〔 2 〕
委員長
森 悦朗
(東北大学名誉教授、日生病院特任顧問)副委員長
黒田 敏
(富山大学医学部脳神経外科/教授)峰松 一夫
(国立循環器病研究センター/病院長)臨床疫学担当
森 悦朗
(東北大学名誉教授、日生病院特任顧問)事務局
小笠原邦昭
(岩手医科大学医学部脳神経外科/教授) ………●
脳卒中一般
委員
卜部 貴夫
(順天堂大学医学部附属浦安病院脳神経内科/教授)小笠原邦昭
(岩手医科大学医学部脳神経外科/教授)松本 昌泰
(独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)星ケ丘医療センター/院長)実務担当者
南波 孝昌
(岩手医科大学医学部脳神経外科/助教)細見 直永
(広島大学大学院医歯薬保健学研究科脳神経内科学/准教授) ………●
脳梗塞・TIA
委員
坂井 信幸
(神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科/部長)豊田 一則
(国立循環器病研究センター脳血管部門/部門長)峰松 一夫
(国立循環器病研究センター/病院長)実務担当者
井上 学
(国立循環器病研究センター脳血管内科/医長)猪原 匡史
(国立循環器病研究センター脳神経内科/部長)今村 博敏
(神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科/医長)岡﨑 周平
(国立循環器病研究センター脳神経内科/医長)梶本 勝文
(国立循環器病研究センター脳神経内科)古賀 政利
(国立循環器病研究センター脳卒中集中治療科/医長)斎藤こずえ
(国立循環器病研究センター脳神経内科)坂井 千秋
(兵庫医科大学脳神経外科/臨床准教授)佐藤祥一郎
(国立循環器病研究センター脳血管内科/医長)園田 和隆
(国立循環器病研究センター脳卒中集中治療科)田中 智貴
(国立循環器病研究センター脳神経内科)藤堂 謙一
(大阪大学医学部附属病院神経内科・脳卒中科/助教)早川 幹人
(筑波大学医学医療系脳卒中予防治療学/講師)宮下光太郎
(宮下医院/院長)山上 宏
(国立循環器病研究センター脳卒中集中治療科/医長)山口 佳剛
(山形県立中央病院神経内科/医長)横田 千晶
(国立循環器病研究センター脳血管リハビリテーション科/医長)吉村 壮平
(国立循環器病研究センター脳血管内科)日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン[追補2017]委員会─委員・実務担当者一覧
(所属は2017年 8 月現在のものです)〔 3 〕
………
●
脳出血
委員
北園 孝成
(九州大学大学院病態機能内科学/教授)黒田 敏
(富山大学医学部脳神経外科/教授)実務担当者
吾郷 哲朗
(九州大学病院腎・高血圧・脳血管内科/講師)秋岡 直樹
(富山大学医学部脳神経外科/助教)黒田 淳哉
(九州大学大学院病態機能内科学/講師)脇坂 義信
(九州大学大学院病態機能内科学/講師) ………●
くも膜下出血
委員
大熊 洋揮
(弘前大学医学部脳神経外科/教授)木内 博之
(山梨大学医学部脳神経外科/教授)実務担当者
吉岡 秀幸
(山梨大学医学部脳神経外科/講師) ………●
無症候性脳血管障害
委員
寺山 靖夫
(岩手医科大学医学部神経内科・老年科/教授)実務担当者
石橋 靖宏
(岩手医科大学医学部神経内科・老年科/講師) ………●
その他の脳血管障害
委員
小笠原邦昭
(岩手医科大学医学部脳神経外科/教授)実務担当者
千田 光平
(岩手医科大学医学部脳神経外科/助教) ………●
リハビリテーション
委員
園田 茂
(藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅱ講座/教授)実務担当者
川上 途行
(慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室/専任講師)児玉 三彦
(東海大学医学部専門診療学系リハビリテーション科学/准教授)下堂薗 恵
(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科リハビリテーション医学/教授)藤原 俊之
(順天堂大学大学院医学研究科リハビリテーション医学/教授) (五十音順に掲載)編集協力
一般財団法人国際医学情報センター
〔 4 〕
Japanese Guidelines for the Management of Stroke 2015
脳卒中治療ガイドライン 2015[追補2017]
C O N T E N T S
Ⅰ 脳卒中一般
1 管理
1- 3 対症療法
( 2 )嚥下障害
……… p.16-17─── 6
3 発症予防
3- 1 危険因子の管理
( 1 )高血圧
……… p.24-26─── 8
( 2 )糖尿病
……… p.27-28─── 11
( 4 )心房細動
……… p.32-35─── 13
3- 2 ハイリスク群の管理
( 3 )慢性腎臓病(CKD)
……… p.44-45─── 17
Ⅱ 脳梗塞・TIA
1 脳梗塞急性期
1- 3 血栓溶解療法
………p.61-63 ─── 19
1- 4 急性期抗血小板療法
………p.64-65 ─── 23
1- 8 脳動脈:血管内再開通療法
(機械的血栓回収療法、局所線溶療法、その他)
………p.69-70 ─── 25
1-10 脳保護療法
………p.72-73 ─── 28
1-11 血液希釈療法
………p.74 ──── 30
1-14 低体温療法
………p.77 ──── 31
1-15 高圧酸素療法
………p.78 ──── 32
2 TIAの急性期治療と再発予防
………p.81-87 ─── 33
3 脳梗塞慢性期
3- 1 脳梗塞再発予防ほか(抗血小板療法、無症候性脳梗塞は除く)
( 1 )高血圧症
………p.88-90 ─── 40
3- 2 再発予防のための抗血小板療法
( 1 )非心原性脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞など)
………
p.101-112 ── 43
3- 3 再発予防のための抗凝固療法
………p.115-122 ── 55
Ⅲ 脳出血
1 脳出血の予防
………p.140-141
── 63
2 高血圧性脳出血の急性期治療
2- 2 血圧の管理
………p.143-144 ── 65
5 高血圧性脳出血の手術適応
開頭手術、神経内視鏡手術
………p.155-159 ── 67
6 高血圧以外の原因による脳出血の治療
6- 1 脳動静脈奇形
………p.160-164 ── 72
6- 6 抗血栓療法に伴う脳出血
………p.173-176 ── 77
6- 7 CKD患者における脳出血
………p.177-178 ── 82
Ⅳ くも膜下出血
6 脳動脈瘤-保存的治療法
6- 2 遅発性脳血管攣縮の治療
………p.205-208 ── 84
Ⅴ 無症候性脳血管障害
3 無症候性頚部・脳内血管狭窄・閉塞
3- 2 無症候性頚部動脈狭窄・閉塞
………p.223-224
── 88
Ⅶ リハビリテーション
1 脳卒中リハビリテーションの進め方
1- 4 急性期リハビリテーション
………p.277-278 ── 90
〔 5 〕
16
Ⅰ 脳卒中一般
推 奨
〔 6 〕
1
1.患者が飲食や経口的服薬を開始する前に嚥下評価することが推奨される。ベッドサイドでの簡
便なスクリーニング検査として、水飲みテストが有用であるが、さらに精密な検査が必要な場合
には嚥下造影検査(VF検査)や内視鏡検査(FE検査)を実施するよう勧められる
(グレードB)
。
2.検査の結果、誤嚥リスクが高いと判断されれば、嚥下機能回復のためのリハビリテーションを実
施する一方で、経鼻胃管(NGチューブ)や経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)チューブによる栄養補
給をするよう勧められる
(グレードB)
。
3.脳卒中後嚥下障害を有する患者に対する、誤嚥性肺炎の予防を目的とした抗菌薬投与は十分な
科学的根拠がないので、勧められない
(グレードC2)
。
1-3 対症療法
(2)嚥下障害
管理
◉エビデンス
脳幹梗塞、多発性梗塞、巨大半球病変やうつ状態は誤
嚥の大きなリスクである
1)。嚥下障害は肺炎の高リスク
と関連し
2)、また、転帰不良と死亡のリスクを増加させる
ため
1、3)、経口摂取開始に際しては適切な評価が必要であ
る
(レベル3)
。嚥下反射異常、自発的咳嗽の障害、発声障
害、口唇閉鎖不全、National Institutes of Health Stroke
Scale(NIHSS)高値や脳神経麻痺は嚥下障害の警告要因
である
4)(レベル4)
。
ベッドサイドで実施する水飲みテストは簡便で有益な
スクリーニング検査である
5、6)(レベル3)
。より精密な嚥
下機能評価が必要な場合には、嚥下造影検査(videofluor-oscopic evaluation of swallow:VF検査)
7)や内視鏡検査
(fiberoptic endoscopic evaluation of swallow:FE検査)
8)を適宜実施する
(レベル4)
。なお、嚥下障害の評価にお
いては、医師、看護師のほかに言語療法士、管理栄養士
を含めた多職種からなるチームとしての介入が適当であ
る
9)(レベル4)
。
検査の結果、誤嚥リスクが高いと評価されれば、適切
な食物形態もしくは摂取方法を考慮することが必要であ
る。一般に脳卒中では経中心静脈性高カロリー輸液が必
要となることは稀であり、重度の嚥下障害患者に対して
は、栄養補給と内服薬処方の目的で経鼻胃管(nasogastric
tube:NGチューブ)が挿入され
10)、長期間のNGチューブ
留置が必要であれば経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutane-ous endoscopic gastrostomy:PEG)によるチューブ栄養
が試みられる
11)(レベル4)
。急性期脳梗塞におけるシロ
スタゾール内服が嚥下機能の改善と誤嚥性肺炎を予防す
る効果が本邦での小規模な臨床試験
12)で示されている
(レベル4)
。
また、海外における脳卒中後嚥下障害患者1,217人を対
象に、予防的抗菌薬投与の肺炎予防効果をクラスター無
作為化試験で検証を行ったUKにおけるProphylactic
an-tibiotics after acute stroke for reducing pneumonia in
pa-tients with dysphagia(STROKE-INF)試験では、抗菌薬
+通常ケア群と通常ケア単独群で、脳卒中後肺炎の発症
率に差はなかった
追1)(レベル2)
。
Feed or Ordinary Diet(FOOD)試験によると、嚥下可
能な脳卒中患者の栄養補助食品摂取は転帰に影響せず必
要無かったこと、脳卒中後早期(発症7日以内)のNG
チューブ栄養開始はそれ以降での開始と比較し軽度なが
ら死亡リスクを低下させること、および早期NGチューブ
栄養はPEGチューブ栄養より機能転帰が良かったことが
示された
13、14)が、栄養補給手段としてNGチューブ患者を
長期的に受け入れる介護設備は十分に整っていない現状
にある
(レベル4)
。
[引用文献]1)Jauch EC, Saver JL, Adams HP, Bruno A, Connors JJ, Demaerschalk BM, et al. Guidelines for early management of patients with acute ischemic stroke. A guideline for healthcare prfessionals from the American Heart Assosciation/American Stroke Association. Stroke 2013;44:870-947.
17
脳卒中治療ガイドライン 2015[追補 2017]Ⅰ
脳卒中一般
〔 7 〕
intervention and comprehensive dysphagia care. Nestle Nutr Inst Workshop Ser 2012;72:19-31.
10)O’Mahony D, McIntyre AS. Artificial feeding for elderly patients after stroke. Age Ageing 1995;24:533-535.
11)Wijdicks EF, McMahon MM. Percutaneous endoscopic gastros-tomy after acute stroke:complications and outcome. Cerebrov-asc Dis 1999;9:109-111.
12)Osawa A, Maeshima S, Tanahashi N. Efficacy of cilostazol in preventing aspiration in acute pneumonia in acute cerebral infarction. J Stroke Cerebrovasc Dis 2013;22:857-861. 追1)Kalra L, Irshad S, Hodsoll J, Simpson M, Gulliford M,
Smithard D, et al. Prophylactic antibiotics after acute stroke for reducing pneumonia in patients with dysphagia (STROKE-INF):a prospective, cluster-randomised, open-label, masked endpoint, controlled clinical trial. Lancet 2015;386:1835-1844.
13)Dennis M, Lewis S, Cranswick G, Forbes J; FOOD Trial Collaboration. FOOD:a multicentre randomised trial evaluating feeding policies in patients admitted to hospital with a recent stroke. Health Technol Assess 2006;10:ⅲ-ⅳ, ⅸ-ⅹ, 1-120.
14)Dennis MS, Lewis SC, Warlow C; FOOD Trial Collaboration. Effect of timing and method of enteral tube feeding for dysphagic stroke patients(FOOD):a multicentre randomised controlled trial. Lancet 2005;365:764-772.
Teasell R. Dysphagia after stroke:incidence, diagnosis, and pulmonary complications. Stroke 2005;36:2756-2763. 3)Mann G, Hankey GJ, Cameron D. Swallowing function after
stroke:prognosis and prognostic factors at 6 months. Stroke 1999;30:744-748.
4)Daniels SK, Ballo LA, Mahoney MC, Foundas AL. Clinical predictors of dysphagia and aspiration risk:outcome measures in acute stroke patients. Arch Phys Med Rehabil 2000;81: 1030-1033.
5)Martino R, Silver F, Teasell R, Bayley M, Nicholson G, Streiner DL, et al. The Toronto Bedside Swallowing Screening Test(TORBSST):development and validation of a dysphagia screening tool for patients with stroke. Stroke 2009;40:555-561.
6)Osawa A, Maeshima S, Tanahashi N. Water-swallowing test: screening for aspiration in stroke patients. Cerebrovas Dis 2013;35:276-281.
7)Singh S, Hamdy S. Dysphagia in stroke patients. Postgrad Med J 2006;82:383-391.
8)Warnecke T, Teismann I, Oelenberg S, Hamacher C, Ringelstein EB, Schäbitz WR, et al. The safety of fiberoptic endoscopic evaluation of swallowing in acute stroke patients. Stroke 2009;40:482-486.
9)Kaspar K, Ekberg O. Identifying vulnerable patients:role of the EAT-10 and the multidisciplinary team for early
24
Ⅰ 脳卒中一般
推 奨
〔 8 〕
3
1.高血圧患者では降圧療法を行うよう強く勧められる
(グレードA)
。
2.降圧目標として、140/90mmHg未満が強く勧められる
(グレードA)
。糖尿病や蛋白尿合併例に
は130/80mmHg未満、後期高齢者には150/90mmHg未満を目標とすることを考慮しても良
い
(グレードC1)
。
3.降圧薬の選択としては、カルシウム拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)などが強く勧められる
(グレードA)
。特に、糖尿病、慢
性腎臓病、および発作性心房細動や心不全合併症例、左室肥大や左房拡大が明らかな症例などで
は、ACE阻害薬、ARBが勧められる
(グレードB)
。血圧変動性の点からはカルシウム拮抗薬が勧
められる
(グレードB)
。
3-1 危険因子の管理
(1)高血圧
発症予防
◉エビデンス
高血圧は脳出血と脳梗塞に共通の最大の危険因子であ
る
1、2)(レベル2)
。血圧値と脳卒中発症率との関係は直線
的な正の相関関係にあり、血圧が高いほど脳卒中の発症
率は高くなる
3)(レベル4)
。したがって、高血圧治療は脳
卒中の予防にきわめて有効である
3、4)(レベル1~4)
。14
件の降圧薬の介入試験をメタアナリシスにより解析した
成績によれば、3 ~ 5 年間の 5 ~ 6 mmHgの拡張期血圧の
下降により脳卒中の発症率は42%減少する
5)(レベル1)
。
同様に、高血圧患者を含む、すべての降圧治療に関する
68件のrandomized controlled trial(RCT)のメタアナリシ
スでは、冠動脈イベント、心血管イベントよりも脳卒中
の発症率は減少する(-36%)
追1)(レベル1)
。また、高齢
者の収縮期高血圧の治療により脳卒中の発症率は30%減
少する
6)(レベル1)
。
また、降圧薬に関して、世界保健機関(WHO)/国際高
血圧学会(ISH)によるメタアナリシス
7)では利尿薬ある
いはβ遮断薬とカルシウム拮抗薬およびACE阻害薬の心
血管イベント抑制効果が比較されたが、利尿薬あるいは
β遮断薬に比してカルシウム拮抗薬は脳卒中発症リスク
の低減効果が有意に13%優れていた。しかし、ACE阻害
薬は有意差がなかった
(レベル1)
。さらに、The
Antihy-pertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent
Heart Attack Trial(ALLHAT)
8)では利尿薬(クロルタリ
ドン)とカルシウム拮抗薬(アムロジピン)およびACE阻
害薬(リシノプリル)の心血管系イベント抑制の効果が比
較されたが、アムロジピン群では脳卒中発症率がクロル
タリドン群に比して有意差はなかったものの7%低く、
リシノプリル群はクロルタリドン群に比して有意に15%
高かった
(レベル2)
。また、Losartan Intervention For
Endpoint reduction in hypertention study(LIFE)
9)ではβ
遮断薬(アテノロール)とARB(ロサルタン)が比較された
が、ロサルタン群はアテノロール群に比して脳卒中発症
率が有意に25%低かった
(レベル2)
。
一般的な降圧目標としては、これまでの介入試験の成
績より140/90mmHg未満を目標とする
10-13)。糖尿病合併
例にはより厳格な130/80mmHg未満を目標とし
11、14)、降
圧薬としてはインスリン抵抗性の改善が報告されている
ACE阻害薬、ARBが推奨される
15-18)。慢性腎臓病合併例
では140/90mmHg未満を目標とするが、糖尿病あるいは
蛋白尿を有する場合は130/80mmHg未満を目標とする。
降圧薬としては腎保護効果が報告されているACE阻害
薬、ARBが推奨される
14、19)。また、発作性心房細胞や心
不全合併例に、左室肥大や左房拡大が明らかな症例など、
心房細動発症リスクが高い症例において、ACE阻害薬、
ARBの投与により新規心房細動の発症を有意に抑制する
という報告がある
20-22)。血圧変動性という点からみれば、
カルシウム拮抗薬と降圧利尿薬が、他のクラスの降圧薬
よりも血圧変動性が少なく、脳卒中予防効果に優れる
23)(レベル1)
。
降圧薬の併用療法に関しては、冠動脈疾患の危険因子
を有する高血圧患者を対象としたAnglo-Scandinavian
25
脳卒中治療ガイドライン 2015[追補 2017]Ⅰ
脳卒中一般〔 9 〕
は、高齢高血圧患者(65~85歳)4,418例を、SBP(systolic
blood pressure)140mmHg未満を目標とする厳密な治療群
とSBP140mmHg以上160mmHg未満を目標とする穏やか
な治療群に無作為化し、長時間作用型カルシウム拮抗薬
(エホニジピン)を基礎薬とした降圧治療を 2 年間行っ
た。その結果、厳密治療群と穏やかな治療群との間に脳
卒中を含めイベントの発生に差は認められなかった。
[引用文献]1)Kannel WB, Wolf PA, McGee DL, Dawber TR, McNamara P, Castelli WP. Systolic blood pressure, arterial rigidity, and risk of stroke. The Framingham study. JAMA 1981;245: 1225-1229.
2)Tanaka H, Ueda Y, Hayashi M, Date C, Baba T, Yamashita H, et al. Risk factors for cerebral hemorrhage and cerebral infarction in a Japanese rural community. Stroke 1982;13: 62-73.
3)MacMahon S, Peto R, Cutler J, Collins R, Sorlie P, Neaton J, et al. Blood pressure, stroke, and coronary heart disease. Part 1, Prolonged differences in blood pressure:prospective observational studies corrected for the regression dilution bias. Lancet 1990;335:765-774.
4)Staessen JA, Wang JG, Thijs L. Cardiovascular protection and blood pressure reduction:a meta-analysis. Lancet 2001;358: 1305-1315.
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追1)Thomopoulos C, Parati G, Zanchetti A. Effects of blood pressure lowering on outcome incidence in hypertension. 1. Overview, meta-analyses, and meta-regression analyses of randomized trials. J Hypertens 2014;32:2285-2295. 6)Staessen JA, Gasowski J, Wang JG, Thijs L, Den Hond E,
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12)Liu L, Zhang Y, Liu G, Li W, Zhang X, Zanchetti A;FEVER
Cardiac Outcomes Trial- Blood Pressure Lowering Arm
(ASCOT -BPLA)
24)が発表され、β遮断薬(アテノロー
ル)とサイアザイド系利尿薬の併用群と、カルシウム拮
抗薬(アムロジピン)とACE阻害薬(ペリンドプリル)の併
用群の間で効果を比較したところ、後者では脳卒中発症
が23%有意に少なかった
(レベル2)
。
高リスク高血圧患者を対象としたCandesartan
Antihy-pertensive Survival Evaluation in Japan(CASE-J)
25)で
は、ARB(カンデサルタン)内服群とカルシウム拮抗薬(ア
ムロジピン)内服群とで心血管イベント抑制効果を比較
したが、両群間で脳卒中発症率に差を認めなかった
(レ
ベル2)
。また、心血管疾患あるいは糖尿病を有する高リ
スク患者を対象としたOngoing Telmisartan Alone and in
combination with Ramipril Global Endopint Trial
(ONTARGET)
17)では、ACE阻害薬(ラミプリル)単独群
とARB(テルミサルタン)単独群との非劣性、両者併用群
とACE阻害薬(ラミプリル)単独群との優越性を検討し
た。その結果、ACE阻害薬(ラミプリル)単独群とARB(テ
ルミサルタン)単独群では脳卒中発症率に差を認めず、
併用群とACE阻害薬(ラミプリル)単独群においても同様
の結果であった
(レベル2)
。しかし、このONTARGETを
含むACE阻害薬とARBに関するrandomized controlled
trial(RCT)のメタアナリシスによれば
26)、脳卒中の発症
はARB内服群でACE阻害薬内服群と比べ 8 %有意に低
下した(p=0.036)
(レベル1)
。日本人高血圧患者を対象
に、カルシウム拮抗薬(ベニジピン)を基礎薬として、併
用薬ごとの心血管イベント発生率を検討したCombina-tion Therapy of Hypertension to Prevent Cardiovascular
Events trial(COPE試験)では、β遮断薬に比し、利尿薬
で脳卒中の、ARBで糖尿病新規発症のリスク抑制効果が
示されている
27)(レベル2)
。高齢者においても降圧療法
により脳卒中発症の抑制が期待できるが、150/90mmHg
未満と一般の降圧目標に比し緩やかなものが望ましい。
80歳以上の高齢者で収縮期血圧が160mmHg以上である
ものを対象に150/80mmHg未満を降圧目標とする介入試
験で、脳卒中の年間発症率が30%減少している
28)(レベル
2)
。ただし、その降圧目標は慎重に考慮する必要がある。
Framingham研究では、高齢者においては加齢に伴い心血
管病のリスクの右方シフトが認められており
29)、National
Integrated Project for Prospective Observation of
Non-communicable Disease And its Trends in the Aged 80
(NIPPON DATA 80)でも61歳以上の高齢者では、収縮
期血圧140~160mmHg群の心血管病死亡率が最低である
ことがわかっている
30)。また、わが国で行われたThe
Japanese Trial to Assess Optimal Systolic Blood
Pres-sure in Elderly Hypertensive Patients(JATOS)研究
31)で
26
〔 10 〕
22)Schmieder RE, Kjeldsen SE, Julius S, McInnes GT, Zanchetti A, Hua TA. Reduced incidence of new-onset atrial fibrillation with angiotensin Ⅱ receptor blockade:the VALUE trial. J Hypertens 2008;26:403-411.
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27
脳卒中治療ガイドライン 2015[追補 2017]Ⅰ 脳卒中一般
推 奨
Ⅰ
脳卒中一般〔 11 〕
3
1.糖尿病患者では血糖のコントロールが勧められるが、脳卒中予防効果に関する十分な科学的根
拠がない
(グレードC1)
。
2.2型糖尿病患者では血圧の厳格なコントロールが強く勧められる
(グレードA)
。
3.2型糖尿病患者ではHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)の投与による脂質管理が強く勧められ
る
(グレードA)
。
3-1 危険因子の管理
(2)糖尿病
発症予防
◉エビデンス
糖尿病は脳梗塞の確立された危険因子である
1-4)(レベ
ル2)
。最近のメタアナリシスでは、糖尿病は虚血性脳卒
中の発症リスクを2.27倍高めるのみならず、出血性脳卒
中のリスクも1.56倍に高めることが示された
5)(レベル
1)
。2 型糖尿病では血糖のコントロールにより細小血管
症(網膜症、腎症、末梢神経障害)は減少する
6)。一方、
Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes
(ACCORD)試験ではHbA1cを6.0%以下にコントロール
することを目標とした厳格な治療は脳卒中発症を抑制せ
ず、死亡率を有意に上昇させた
7)(レベル2)
。これには低
血糖発作の増加が関連していたと考えられる。脳梗塞の
発症予防には、糖尿病を含む危険因子(高血圧、脂質異常
症、肥満、喫煙)を包括的にコントロールすることが必要
である
8)。また、糖尿病と脳卒中発症リスクに関連する
64件のコホート研究のメタアナリシスにおいて、他の主
要な心血管リスク因子における性差とは無関係に、糖尿
病を有する患者の脳卒中発症の相対危険度は、男性と比
較して女性のほうが27%増加するという結果が示され
た
追1)(レベル2)
。
大血管症である脳梗塞は、血圧の厳格な管理により糖
尿病患者の脳梗塞発症率を減少させることができる
9)(レ
ベル2)
。United Kingdom Prospective Diabetes Study
(UKPDS)38では、血糖のコントロールに加えて、血圧を
厳格にコントロールした群(平均144/82mmHg)は、緩や
かなコントロール群(平均154/87mmHg)に比べて、致死
的・非致死的脳卒中が44%減少した
9)。さらにHyperten-sion Optimal Treatment(HOT)研究
10)などから糖尿病患
者においては、より厳格な降圧目標が望ましく、130/80
mmHg未満が推奨される。
なお、高血圧を合併する 2 型糖尿病患者を対象とした
10件のrandomized controlled trial (RCT)のメタアナリ
シスでは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬もし
くはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)にて治療を
行った場合と、その他の降圧薬を用いて治療を行った場
合の比較において、前者のほうが有意に心血管イベント
の発症を抑えたが、脳卒中については発症率に差はな
かった
追2)(レベル1)
。
Medical Research Council(MRC)/British Heart
Foundation(BHF)Heart Protection Study(HPS)
11)のサブ
解析では、糖尿病患者においてシンバスタチン40mg投与
群で全脳卒中発症の相対危険度が24%低下、虚血性脳卒
中では28%の低下を認めた
(レベル2)
。冠動脈疾患の既
往を有さない 2 型糖尿病患者を対象としたCollaborative
Atorvastatin Diabetic Study(CARDS)
12)では、アトルバ
スタチン10mg投与群でLDL-コレステロールの低下に伴
い、脳卒中発症相対危険度は48%減少した
(レベル2)
。
Cholesterol Treatment Trialists(CTT研究)
13)によると、
14件の試験データによる18,686例の糖尿病患者における
メタアナリシスでは、血管病変の有無や試験開始時の
LDLコレステロールの値に関係なく、スタチンは脳卒中
を含む血管イベントの発生を低下させた
(レベル1)
。こ
れらの結果から、糖尿病患者における脳卒中発症予防に
は、スタチンによる脂質管理が有効である。
PROspective pioglitAzone Clinical Trial In macro
Vascular Events(PRO active)Study
14)では、心血管疾患
の既往を有する 2 型糖尿病患者を対象とし、インスリン
抵抗性改善薬ピオグリダゾンの心血管イベント発症予防
効果を検討した。全死亡、非致死的心筋梗塞(無症候性心
筋梗塞を除く)、脳卒中を含む主要二次エンドポイント
28
〔 12 〕
828.
8)Gaede P, Lund-Andersen H, Parving H-H, Pedersen O. Effect of a multifactorial Intervention on mortality in type 2 diabetes. N Engl J Med 2008;358:580-591.
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の発生リスクは、ピオグリダゾン内服群で16%と有意に
低下した
(レベル2)
。PRO active Studyの脳卒中発症サ
ブ解析
15)では、脳卒中の既往のある患者のみでピオグリ
ダゾンによる脳卒中発症抑制効果が明らかとなった。脳
卒中の既往のない患者における脳卒中発症予防効果は認
められなかった。
また、メトフォルミンで治療中の 2 型糖尿病患者にお
いて、スルホニル尿素薬であるグリメピリドもしくはジ
ペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬であるリナグ
リプチンを追加することによるHbA1c改善効果を検討し
た研究において、脳卒中を含む心血管イベント発生率に
ついても検討されている
16)(レベル2)
。リナグリプチン
を追加した群ではグリメピリドを追加した群に比し、
HbA1c値低下効果は非劣性であり、低血糖発作、心血管
イベント発生率は有意に低いことが示されている。特に
非致死性脳卒中発症の相対危険度は27%と有意に低かっ
た。
[引用文献]1)Kannel WB, McGee DL. Diabetes and cardiovascular disease. The Framingham study. JAMA 1979;241:2035-2038. 2)Abbott RD, Donahue RP, MacMahon SW, Reed DM, Yano K.
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