クイック スタート マニュアル 11g リリース 1(11.1.1) 部品番号 : B57064-01
Oracle Business Process Architect Quick Start Guide, 11g Release 1 (11.1.1) 原本著者 : Sheela Vasudevan
原本協力者 : Jon Russel, Meera Srinivasan, Vishal Saxena, Aditya Dasgupta, David Lam Copyright © 2007, 2009, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved.
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Oracle は Oracle Corporation およびその関連企業の登録商標です。その他の名称は、それぞれの所有者の 商標または登録商標です。 このソフトウェアおよびドキュメントは、第三者のコンテンツ、製品、サービスへのアクセス、あるいはそ れらに関する情報を提供することがあります。オラクル社およびその関連会社は、第三者のコンテンツ、製 品、サービスに関して一切の責任を負わず、いかなる保証もいたしません。オラクル社およびその関連会社 は、第三者のコンテンツ、製品、サービスへのアクセスまたは使用によって損失、費用、あるいは損害が発 生しても、一切の責任を負いかねます。
はじめに
... v 対象読者 ... vi ドキュメントのアクセシビリティについて ... vi 関連ドキュメント ... vi 表記規則 ... vi サポートおよびサービス ... vii1 ビジネス プロセス管理の概要
1.1 用語 ... 1-2 1.1.1 ビジネス プロセス ... 1-2 1.1.2 ビジネス プロセス モデル ... 1-2 1.1.3 ビジネス プロセス管理 ... 1-2 1.1.4 Business Process Management Suite ... 1-2 1.1.5 ビジネス プロセス モデリング記法(BPMN) ... 1-2 1.1.6 ビジネス プロセス実行言語(BPEL) ... 1-2 1.2 ビジネス プロセス管理のメリット ... 1-3 1.3 ビジネス プロセス管理のモデリング手法 ... 1-3 1.4 ビジネス プロセス管理のライフ サイクル ... 1-3 1.5 ビジネス プロセス管理の関係者 ... 1-5 1.6 Global Company の販売プロセスの事例 ... 1-5 1.6.1 「Quote」プロセスのフロー ... 1-6 1.6.2 「Order Booking」および「Shipment」プロセスのフロー ... 1-7 1.6.3 「Invoice」プロセスのフロー ... 1-72 Oracle BPA ソリューションの概要
2.1 Oracle SOA Suite ... 2-2 2.1.1 Oracle BPEL Process Designer(実装およびデプロイ) ... 2-2 2.1.2 Oracle BPEL Process Manager(実行) ... 2-2 2.1.2.1 ヒューマン インタラクション ... 2-3 2.1.2.2 コンテンツ インタラクション ... 2-3 2.1.2.3 システム インタラクション ... 2-3 2.1.3 Oracle Business Activity Monitoring(BAM) ... 2-3 2.1.4 Oracle Business Rules ... 2-4 2.2 Oracle BPM ソリューション ... 2-4 2.3 主要な概念および用語 ... 2-5
3.1 計画および戦略的分析 ... 3-3 3.2 現在のプロセス フローのモデル化(プロセス検出) ... 3-4 3.3 現在のプロセス モデルのシミュレーションおよび分析 ... 3-6 3.4 プロセス モデルの公開および参照 ... 3-7 3.5 プロセス ブループリントの生成および IT との共有 ... 3-8 3.6 JDeveloper でのブループリントの表示 ... 3-8 3.7 実行可能 BPEL プロセスの作成 ... 3-8 3.8 新しいバージョンのプロセス ブループリントとのマージ ... 3-9 3.9 BPA リポジトリへの BPEL 実行可能プロセスの保存 ... 3-9 3.10 継続的なプロセスの展開 ... 3-9 3.11 デプロイおよびテスト ... 3-9 3.12 監視および管理 ... 3-9
4 Oracle BPA メソッド フィルタ
4.1 Oracle BPA メソッドの概要 ... 4-2 4.1.1 BPMN モデルの作成 ... 4-3 4.1.1.1 自動アクティビティ ... 4-3 4.1.1.2 ヒューマン タスク ... 4-4 4.1.1.3 通知アクティビティ ... 4-5 4.1.1.4 ビジネス ルール ... 4-6 4.1.1.5 XSD からのデータ構造のインポート ... 4-7 4.2 BPEL プロセスへのビジネス プロセスの変換 ... 4-75 BPA Suite クイック スタート サンプルの使用
5.1 クイック スタート サンプル BPA プロジェクトの理解 ... 5-2 5.2 OBPA リリース 11 クイック スタート サンプルの設定 ... 5-2 5.2.1 製品のインストール ... 5-2 5.2.1.1 Oracle Database XE(Universal 版)のインストール ... 5-2 5.2.1.2 Oracle Business Process Analysis Suite のインストール ... 5-3 5.2.1.3 Oracle Business Process Architect 11gR1 のインストール ... 5-3 5.2.1.4 Oracle JDeveloper のインストール ... 5-3 5.2.1.5 クイック スタート サンプルのダウンロード ... 5-3 5.2.2 データベース スキーマの作成 ... 5-3 5.2.3 Oracle JDeveloper でのデータベース接続の作成 ... 5-4 5.3 BPA クイック スタート サンプル プロジェクトの開始 ... 5-6 5.3.1 Oracle Business Process Architect の起動 ... 5-6Oracle BPA Architect でのサービスの関連付け ... 5-24 5.5.1 WSDL ファイルのインポート ... 5-24 5.5.2 UDDI 接続の作成 ... 5-27 5.5.3 WSIL 接続の作成 ... 5-30 5.6 プロセス モデルのシミュレーション ... 5-30 5.6.1 シミュレーションのメリット ... 5-31 5.6.2 シミュレーションのパラメータ ... 5-31 5.6.3 「Order Booking As-Is Process」モデルのシミュレーション ... 5-32 5.6.3.1 すべてのアクティビティの処理時間の設定 ... 5-32 5.6.3.2 すべてのアクティビティのコスト パラメータの設定 ... 5-35 5.6.3.3 プロセスの頻度の設定 ... 5-36 5.6.3.4 条件付きブランチおよび決定点における確率の設定 ... 5-37 5.6.3.5 プロセス参加者に対するシミュレーションのパラメータの指定 ... 5-38 5.6.3.6 シミュレーションの実行オプションの構成 ... 5-40 5.6.3.7 シミュレーションの実行 ... 5-43 5.6.3.8 「Order Booking As-Is Process」のシミュレーションの結果の分析 ... 5-44 5.6.3.9 様々なバージョンの「Order Booking As-Is Process」の管理 ... 5-46 5.6.3.9.1 様々なバージョンの「Order Booking As-Is Process」モデルの表示 ... 5-47 5.6.3.9.2 新しいバージョンの「Order Booking As-Is Process」モデルの作成 ... 5-49 5.6.3.9.3 古いバージョンの「Order Booking As-Is Process」モデルへの移動 ... 5-50 5.6.4 シミュレーション レポートの生成 ... 5-51 5.7 将来のプロセスのモデル化 ... 5-53 5.7.1 既存の「Order Booking As-Is Process」モデルからの将来のモデルの作成 ... 5-54 5.7.2 条件付きブランチおよび決定点における確率の設定 ... 5-55 5.7.3 シミュレーションの実行 ... 5-58 5.7.4 「Order Booking To-Be Process」のシミュレーションの結果の分析 ... 5-58 5.8 シミュレーション実験の実行 ... 5-60 5.9 BPEL プロセスへのビジネス プロセスの変換 ... 5-67
6 Oracle JDeveloper でのビジネス プロセス モデルの使用
6.1 前提条件 ... 6-2 6.2 BPEL 実装モデルの表示 ... 6-2 6.3 「Order Booking」プロセスの入力メッセージの設定 ... 6-2 6.4 「Create Order」プロセスの BPEL 実装の理解 ... 6-7 6.4.1 「Create Order」プロセスの表示 ... 6-7 6.4.2 一意の Order ID の取得 ... 6-8 6.4.3 「Order」の処理 ... 6-13 6.4.4 「Create_Order」スコープ内での「Get_Order_Id」埋込みスコープの作成 ... 6-15 6.4.5 「Set_order_id」割当てアクティビティの作成 ... 6-16 6.4.6 データベースへの「Order」情報の挿入 ... 6-20 6.4.7 変換アクティビティの作成 ... 6-21 6.5 「Get Customer Information」プロセスの BPEL 実装の理解 ... 6-27 6.5.1 「Invoke_Get_Customer_Information」起動アクティビティ ... 6-28 6.5.2 「Assign_Get_Customer_Information_Input」割当てアクティビティ ... 6-28 6.6 「Get Credit Information」プロセスの BPEL 実装の理解 ... 6-28 6.6.1 「Invoke_Get_Credit_Information」起動アクティビティ ... 6-29 6.6.2 「Assign_GetCredit_Input」割当てアクティビティ ... 6-306.7.1.1 「Approve Order」ヒューマン タスクの表示 ... 6-32 6.7.1.2 「Approve Order」ヒューマン タスク定義の表示および理解 ... 6-33 6.7.2 「はい」スイッチまたは「いいえ」スイッチ ... 6-36 6.7.2.1 「Cancel_Order」スコープ ... 6-37 6.7.2.2 「End」スコープ ... 6-39 6.8 「Fulfill Order」アクティビティの BPEL 実装の理解 ... 6-40 6.8.1 「initiateTask_Fulfill_Order_1」起動アクティビティ ... 6-41 6.8.2 「Fulfill_Order_1_AssignTaskAttributes」割当てアクティビティ ... 6-41 6.8.3 「receiveCompletedTask_Fulfill_Order_1」受信アクティビティ ... 6-45 6.9 「Update_Order」スコープの理解 ... 6-45 6.9.1 「UpdateOrder」起動アクティビティ ... 6-45 6.9.2 「Assign_UpdateOrder_Input」割当てアクティビティ ... 6-46 6.10 「End_2」スコープの理解 ... 6-48 6.10.1 「Invoke_End」起動アクティビティ ... 6-48
7 JDeveloper でのプロセス ブループリントの使用
7.1 ブループリントを使用した BPEL プロセスの作成 ... 7-2 7.1.1 Oracle BPA 接続の作成 ... 7-2 7.1.2 アプリケーションおよび SOA プロジェクトの作成 ... 7-5 7.1.3 ブループリントおよび生成される BPEL アーティファクトの理解 ... 7-8 7.1.4 BPEL コードへの実装の詳細の追加 ... 7-13 7.2 新しいバージョンのプロセス ブループリントとのマージ ... 7-13 7.2.1 ビジネス プロセス モデルの変更およびプロセス ブループリントの再生成 ... 7-13 7.2.2 新しいバージョンのプロセス ブループリントとのマージ ... 7-148 「Order Booking As-Is Process」のモデル化
8.1 「Order Booking As-Is Process」フローの理解 ... 8-2 8.2 「Order Booking As-Is Process」モデルの作成 ... 8-3 8.2.1 モデルのビジネス プロセス図の作成 ... 8-3 8.2.2 「Order Booking As-Is Process」のアクティビティの作成 ... 8-4
索引
このマニュアルでは、Oracle Business Process Architect Suite の概要および使用方法について説 明します。
このマニュアルは、Oracle Business Process Architect をインストールして使用するユーザーを 対象としています。
ドキュメントのアクセシビリティについて
オラクル社は、障害のあるお客様にもオラクル社の製品、サービスおよびサポート・ドキュメ ントを簡単にご利用いただけることを目標としています。オラクル社のドキュメントには、 ユーザーが障害支援技術を使用して情報を利用できる機能が組み込まれています。HTML 形式 のドキュメントで用意されており、障害のあるお客様が簡単にアクセスできるようにマーク アップされています。標準規格は改善されつつあります。オラクル社はドキュメントをすべて のお客様がご利用できるように、市場をリードする他の技術ベンダーと積極的に連携して技術 的な問題に対応しています。オラクル社のアクセシビリティについての詳細情報は、Oracle Accessibility Program の Web サイト http://www.oracle.com/accessibility/ を参照し てください。 ドキュメント内のサンプル・コードのアクセシビリティについて スクリーン・リーダーは、ドキュメント内のサンプル・コードを正確に読めない場合がありま す。コード表記規則では閉じ括弧だけを行に記述する必要があります。しかし JAWS は括弧だ けの行を読まない場合があります。 外部 Web サイトのドキュメントのアクセシビリティについて このドキュメントにはオラクル社およびその関連会社が所有または管理しない Web サイトへの リンクが含まれている場合があります。オラクル社およびその関連会社は、それらの Web サイ トのアクセシビリティに関しての評価や言及は行っておりません。 聴覚に障害があるお客様の Oracle サポート・サービスへのアクセス Oracle サポート・サービスに連絡するには、テレコミュニケーション・リレー・サービス (TRS)を使用して Oracle サポート(+1-800-223-1711)までお電話ください。Oracle サポート・ サービスの技術者が、Oracle サービス・リクエストのプロセスに従って、技術的な問題を処理 し、お客様へのサポートを提供します。TRS の詳細は、 http://www.fcc.gov/cgb/consumerfacts/trs.html を参照してください。電話番号の 一覧は、http://www.fcc.gov/cgb/dro/trsphonebk.html を参照してください。関連ドキュメント
詳細は、Oracle Other Product One Rlease 7.0 のマニュアル・セットまたは Oracle Other Product Two Release 6.1 のドキュメント・セットの次のマニュアルを参照してください。
■ 『Oracle BPA Suite 10.1.3 Method Guide』 ■ 『Oracle BPA Suite 10.1.3 Installation Guide』
次の各項に、各サービスに接続するための URL を記載します。 Oracle サポート・サービス オラクル製品サポートの購入方法、および Oracle サポート・サービスへの連絡方法の詳細は、 次の URL を参照してください。 http://www.oracle.com/lang/jp/support/index.html 製品マニュアル 製品のマニュアルは、次の URL にあります。 http://www.oracle.com/technology/global/jp/documentation/index.html 研修およびトレーニング 研修に関する情報とスケジュールは、次の URL で入手できます。 http://education.oracle.com/pls/web_prod-plq-dad/db_pages.getpage?page_id=3 その他の情報 オラクル製品やサービスに関するその他の情報については、次の URL から参照してください。 http://www.oracle.com/lang/jp/index.html http://www.oracle.com/technology/global/jp/index.html 注意 : ドキュメント内に記載されている URL や参照ドキュメントには、 Oracle Corporation が提供する英語の情報も含まれています。日本語版の 情報については、前述の URL を参照してください。
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ビジネス プロセス管理の概要
企業では、ビジネス プロセス管理(BPM)テクノロジを使用して、繰り返し実行される重要な ビジネス プロセスを設計、シミュレーション、自動化、統合、監視および最適化し、最適なビ ジネス プロセスを実現できます。これによって、コストを削減しながら、生産性を上げて業務 の全体的なパフォーマンスを向上させることができます。このマニュアルでは、BPM の概念お よび Oracle BPM のライフ サイクルについて説明します。また、ビジネス プロセスのモデル 化、シミュレーション、実装およびデプロイについて説明する事例も示します。 この章の内容は次のとおりです。 ■ 1.1 項「用語」 ■ 1.2 項「ビジネス プロセス管理のメリット」 ■ 1.3 項「ビジネス プロセス管理のモデリング手法」 ■ 1.4 項「ビジネス プロセス管理のライフ サイクル」 ■ 1.5 項「ビジネス プロセス管理の関係者」 ■ 1.6 項「Global Company の販売プロセスの事例」1.1 用語
ここでは、BPM テクノロジで使用されている主要な用語およびその定義について説明します。 この項の内容は次のとおりです。 ■ 1.1.1 項「ビジネス プロセス」 ■ 1.1.2 項「ビジネス プロセス モデル」 ■ 1.1.3 項「ビジネス プロセス管理」■ 1.1.4 項「Business Process Management Suite」
■ 1.1.5 項「ビジネス プロセス モデリング記法(BPMN)」 ■ 1.1.6 項「ビジネス プロセス実行言語(BPEL)」
1.1.1 ビジネス プロセス
ビジネス プロセスとは、入力をより有益な出力に変換することによって価値を生成する一連の 関連アクティビティおよびタスクのことです。ビジネス プロセスはプロセス フローにリンクさ れています。プロセスのアクティビティは、自動化するか、または手動で実行できます。ビジ ネス プロセスで他のサブプロセスを参照できます。また、他のプロセスでビジネス プロセスを 参照することもできます。ビジネス プロセスは、管理プロセス(コンプライアンス、戦略的管 理など)、コア プロセス(購入、製造、販売、マーケティングなど)およびサポート プロセス (人事など)で構成されています。1.1.2 ビジネス プロセス モデル
ビジネス プロセス モデルは、ビジネス プロセスのグラフィカルな表現です。これによって、 ビジネス プロセスの開始から完了までに行う必要のある一連のタスクが段階的に表示されま す。明確に示されるプロセス マップは、ビジネス プロセスの本質をグラフィカルに表現するこ とを目的にしています。これを参照するだけで、プロセスの目的およびフロー全体を判断でき ます。1.1.3 ビジネス プロセス管理
ビジネス プロセス管理(BPM)は、ビジネス プロセスをそのライフ サイクル全体にわたりモ デル化、開発、デプロイおよび管理してビジネス戦略を実装することによって、ビジネスの革 新および最適化を行います。BPM は、戦略的な業務目標を定義および実装し、それらの目標に 対して、企業の財務上および経営上の業績を測定して管理します。1.1.4 Business Process Management Suite
Business Process Management Suite は統合ツールセットです。プロセスのモデル化、実行可能 ファイルの実装、およびビジネスと IT の提携の強化や刻々と変わるビジネス要件に迅速に対応 するための BAM が含まれています。
1.2 ビジネス プロセス管理のメリット
ここでは、ビジネス プロセス管理(BPM)のメリットについて説明します。 ビジネス プロセス管理のメリットは、次のとおりです。 ■ BPM は、業務を遂行するためのプロセスを明確にし、ビジネス プロセス モデルを迅速に 設計するツールを提供します。これによって、新しい業務上の価値を創出するビジネス プ ロセス モデルまたは業務効率を高めるビジネス プロセス モデルを簡単に作成および変更 できます。 ■ BPM は、ビジネス プロセスをそのライフ サイクル全体にわたってモデル化、開発、デプ ロイおよび管理してビジネス戦略を実装することによって、ビジネスの革新および最適化 を実現します。 ■ これによって、ビジネス情報をより迅速に取得し、市場の動向または競合他社の脅威によ り短時間で対応して、業務効率を高めることができます。 ■ BPM によって、共通のビジネス用語およびプロセス リポジトリが確立されるため、業務に おけるすべての関係者がモデリング手法を共有し、同じ言語を使用できます。これによっ て、プロセスの継続的な改善を目的としたビジネスと IT の間の提携が可能になります。 ■ ビジネス モデルを計画する場合は、そのビジネス モデルを実際に実行して顧客またはパー トナに影響を及ぼす前に、実装フェーズで処理する必要があります。ビジネスと IT の間に はギャップがあり、このギャップを解消して新しいビジネス モデルを実装する機能は簡単 には実現できません。BPM を使用すると、ビジネスと IT の提携が可能になるため、ビジ ネス プロセス モデルで示されているビジネス要件を実行可能なビジネス プロセスで満た すことができます。 ■ 今日の環境において、コンプライアンスは継続的イニシアチブの 1 つです。ビジネス プロ セスを手動で文書化および管理するには、コストがかかります。BPM ツールを使用する と、管理に必要な文書およびレポートを自動的に生成できます。 ■ 同じビジネス プロセスが様々な部門で多少異なる形で実行されている場合、BPM を使用す ると、ビジネス プロセス間およびサポート プロセス間での差異を特定して軽減できます。 ■ ベスト プラクティスの再利用を促進し、企業全体におけるプロセスのイニシアチブに一貫 性を保証します。 ■ プロセス図は静的な描画より優れています。プロセス図は動的であり、変化するビジネス 条件に応じて変更できます。 ■ 既存のプロセスおよびリソースに対する変更について、影響分析を実行できます。 ■ シミュレーションによってリソースのボトルネックを特定し、ビジネス プロセスを最適化 するのに役立ちます。 ■ ビジネス プロセス モデルから実行可能な BPEL モデルへの有意義かつ自動的な変換によっ て、迅速な開発を促進します。 ■ プロセス ポータルを通じて、業務における様々な関係者が共同作業できます。1.3 ビジネス プロセス管理のモデリング手法
Oracle BPA では、ビジネス プロセス モデリングに ARIS モデリング手法が使用されています。 このモデリング手法の詳細は、『Oracle BPA Suite 10.1.3 Method Guide』を参照してください。
1.4 ビジネス プロセス管理のライフ サイクル
企業の競争力を維持するには、ビジネス プロセスを効率的に管理する必要があります。この場 合、ビジネス プロセス管理(BPM)のライフ サイクル全体にわたる体系的な取組みが必要とな ります。Business Process Analysis(BPA)は、ビジネス プロセスのモデル化およびシミュレー ションを行う BPM ライフ サイクルの主要コンポーネントです。プロセス実行ツールおよび監 視ツールとともに BPA を使用すると、ビジネス プロセスのライフ サイクル全体を管理できま す。
図 1-1に、BPM ライフ サイクルを示します。 図 1-1 BPM ライフ サイクル 一般的な BPM のライフ サイクルは、次に示す 3 つのフェーズで構成されています。 ■ ビジネス プロセスの分析 ■ ビジネス プロセスの実行 ■ ビジネス プロセスの監視 ビジネス プロセスの分析 ビジネス プロセスの分析では、モデル化およびシミュレーションを行います。最初の手順はモ デル化です。モデル化では、ビジネス プロセス モデルを取得し、設計します。モデル化は、ビ ジネス主導のアクティビティであり、独自の反復されるライフ サイクルを持ちます。業務関係 者は協力してプロセスを設計し、プロセスおよびポリシー、キー パフォーマンス インディケー タ、ビジネス イベントおよびビジネス アクティビティなど、ビジネスにとって重要な要素を特 定します。モデルを最適化してリスクの軽減と柔軟性の向上を実現するために、モデル化に続 いてモデルのシミュレーションおよび分析を行います。シミュレーションでは、コストおよび 時間に関するヒューリスティックまたは典型的なデータを使用して、現在のモデルのパフォー マンスを測定できます。仮定のシナリオを分析することもできます。 ビジネス プロセスの実行 次のフェーズは、実装および実行で構成されています。ビジネス プロセス モデルは抽象的であ り、ランタイム プラットフォームにデプロイして実行できる具体的な実行可能プロセスに変換 する必要があります。BPM を使用すると、ビジネスと IT の提携が可能になるため、ビジネス プロセス モデルで示されているビジネス要件を実行可能なビジネス プロセスで満たすことがで きます。 ビジネス プロセスの監視
1.5 ビジネス プロセス管理の関係者
BPM ライフ サイクルには、業務と IT の両方の関係者が存在します。これらの関係者は、最適 なビジネス プロセスを実現するために継続的に協力する必要があります。 図 1-2 BPM の関係者 表 1-1は、図 1-2を説明しています。1.6 Global Company の販売プロセスの事例
この章では、1 つの事例を使用して、ビジネス プロセスの開発プロセスについて説明します。 この事例では、Global Company の販売プロセスを取り上げています。Global Company では、Web ベースのクライアント アプリケーションを使用して、MP3 プレー ヤやテレビなどの電気製品を顧客に販売しています。「Sales」コア プロセスは、「Quote」プロ セス、「Order Booking」および「Shipping」プロセス、「Invoice」プロセスで構成されていま す。ビジネス プロセスは簡略化され、様々なメソッド オブジェクトについて理解することに焦 点が当てられていますが、ビジネス プロセスに特有のすべての複雑さを本当に表しているわけ ではありません。 表 1-1 BPM の関係者の説明 関係者 説明 LOB プロセス所有者 ビジネス プロセスを所有し、目標およびビジネス要件を設定しま す。 ビジネス アナリスト ビジネス プロセス モデルの作成および分析を担当します。ビジネ ス アナリストは、シミュレーションを行って、最適なビジネス プ ロセス モデルを特定します。 業務エンド ユーザー ビジネス プロセスの日常のユーザーです。 IT 開発者 抽象プロセス モデルからデプロイおよび監視が可能な実行可能プロ セスへの変換および QA を担当します。 プロセス管理者 本番における実行可能プロセスの管理および監視を担当します。 プロセス アーキテクト / ビジ ネス アナリスト 業務組織と IT 組織の接点となり、ビジネスと IT が効率的に提携で きるようにします。
最初の手順では、Global Company 販売組織のコアビジネス プロセスを特定します。2 番目の 手順では、コアビジネス プロセスの業務目標を定義します。付加価値連鎖図を使用して、企業 の付加価値の創出に直接関与している企業内の機能を特定します。これらの機能は、付加価値 連鎖を構成する機能のシーケンスを作成することによって相互に連結できます。Global Company の「Sales」コア プロセスは、次のとおりです。 ■ 「Quote」プロセス ■ 「Order Booking」および「Shipment」プロセス ■ 「Invoice」プロセス この項の内容は次のとおりです。 ■ 1.6.1 項「「Quote」プロセスのフロー」 ■ 1.6.2 項「「Order Booking」および「Shipment」プロセスのフロー」 ■ 1.6.3 項「「Invoice」プロセスのフロー」
1.6.1 「Quote」プロセスのフロー
見積りシステムの全体的なプロセス フローは、次のとおりです。 1. 顧客の引合いを検証して新規見積り資料に変換します。この資料には、顧客の情報および 要件が含まれています。見積り資料に販売担当者が割り当てられます。この販売担当者が、 見積りプロセスの間、見積り資料の所有者となります。 2. 顧客の要件を満たす製品ソリューションを特定します。ソリューションの詳細を見積り資 料に追加します。この手順では、販売担当者は販売コンサルタントおよび製品管理者と協 力して作業を行います。また、販売担当者は、製品カタログ システムを使用して、利用可 能な製品ソリューションを特定します。 3. ソリューションの価格情報を見積り資料に追加します。販売担当者は、価格管理システム を参照してこれを実行します。 4. 取引の規模および顧客の優先ステータスに応じて、割引を適用します。プラチナ顧客には、 ゴールド顧客またはシルバー顧客より高い割引率が適用されます。販売担当者は、割引マ トリックス システムにアクセスしてこれを実行します。 表 1-2 プロセスおよび目標の説明 プロセス名 目標 「Quote」プロセス 過大見積りおよび過小価格設定を最小限に抑えます。 「Order Booking」および 「Shipment」プロセス サイクル時間を削減し、品質を向上させます。 「Invoice」プロセス 適切なキャッシュ フローを維持し、売掛金回収期間を 改善します。1.6.2 「Order Booking」および「Shipment」プロセスのフロー
顧客から注文要求を受け取ると、次の処理が行われます。1. 「Purchase Order」が作成されて注文処理システムに挿入されます。Order の状態は、 「Pending」に設定されます。入力は Quote Document で、出力は Purchase Order です。
2. 顧客情報(ID、名前、住所、クレジットカード情報)が CRM システムから取得されます。
入力は顧客名で、出力は顧客データです。
3. 顧客の信用が確認され、信用格付けサービスによって信用格付けが戻されます。信用が承
認されなかった場合、注文の取消しを知らせる通知が顧客および販売担当者に送信され、 「Order Booking」プロセスは終了します。入力は Customer で、出力は Credit Rating で
す。 4. 信用が承認された場合は、ビジネス ルールが評価され、注文に役員の承認が必要かどうか が判断されます。ビジネス ルールでは、次のように規定されています。 a. 顧客がプラチナ顧客の場合、手動承認は必要ありません。 b. 顧客がゴールド顧客の場合、$1000 を超える注文に対してのみ手動承認が必要です。 c. 顧客がシルバー顧客の場合、注文額に関係なく、すべての注文に対して手動承認が必 要です。 5. 手動承認が必要な注文では、役員にメッセージをルーティングするヒューマン ワークフ ローの手順が必要となります。 6. 注文が承認されると、注文の処理に送信されます。注文が処理されると、プロセスによっ て注文状態が完了に設定され、電子メールを介して通知が注文書とともに顧客に送信され ます。
1.6.3 「Invoice」プロセスのフロー
請求書が必要になると、次の処理が行われます。 1. 顧客から注文承諾通知を受信したら、商品の引出しが記帳され、インベントリが修正され ます。 2. 支払いのために請求書が生成され、顧客に送信されます。2
Oracle BPA ソリューションの概要
Oracle Business Process Analysis Suite には、詳細なプロセス分析を実行するための手段が備え られています。また、業界をリードする ARIS プラットフォームで動作する、ビジネス プロセ スのモデル化、シミュレーションおよび公開を行うための包括的な統合ツールセットが提供さ れています。Oracle BPA によって、エンタープライズ アーキテクチャ、プロセスの改善および 変更管理の取組みが促進され、ビジネス プロセス モデリング(BPM)イニシアチブと SOA イ ニシアチブのとの連携が実現されます。また、Oracle BPA は、Oracle SOA Suite、BPEL Process Manager および BAM と統合され、閉ループの BPM 機能を実現しています。 Oracle BPA Suite には、次のコンポーネントが含まれています。
■ Oracle Business Process Architect: Oracle Business Process Architect は、モデル化および
シミュレーションを行うためのコンポーネントです。これによって、組織の境界を越えた ヒューマン ステップ、自動の手順およびルール手順で構成されるプロセス マップおよび詳 細なプロセス フローを定義するために、グラフィカルな表現豊かで直感的なモデル化のた めの環境が業務ユーザーに提供されます。Oracle Business Process Architect では、ビジネ ス プロセス モデリングに加えて、データのモデル化(UML モデルの優れたサポート)、組 織のモデル化、IT システム ランドスケープ、影響分析およびリッチ レポートの生成がサ ポートされています。このコンポーネントを使用して様々なシナリオに基づくシミュレー ションを行うと、現在および将来のプロセスについて分析することができます。シミュ レーションを使用すると、スループット分析、アクティビティベースのコスト計算および 平均サイクル期間の分析を行うことができます。Oracle Business Process Architect は、プ ロセスについて、クリティカル パス、リソースのボトルネック(人とシステムの両方を含 む)および構造上の問題を検出するための診断ツールです。シミュレーションを通じて、 特定の仮定条件におけるプロセスのパフォーマンスを迅速に確認できます。
Oracle Business Architect は多用途のツールであるため、様々なスキルを持つ業務ユーザー がこれを使用できます。このツールを使用すると、フィルタとも呼ばれる事前定義された 一連の視点が提供されますが、新しい視点を作成することもできます。
■ Oracle Business Process Publisher: このツールは、プロセス ポータルにビジネス プロセス
モデルを公開するために使用され、プロセスのコンテンツに対するロールベースのセキュ アなアクセスを提供します。これによって、様々なチーム メンバー間での協力が助長され たり、企業規模でのプロセス モデルの共有や再検討が推進されます。
■ Oracle Business Process Repository: Oracle Business Process Repository は、プロセスのメ タデータの格納に使用されます。
■ Oracle Business Process Repository Server: 共有リポジトリを使用してプロセス モデルを 共同開発するマルチユーザー シナリオで使用されます。また、ロールベースのアクセス、 ロールベースのバージョニング、チェックイン、チェックアウトおよびロード バランシン グの各機能を備えた、一元的プロセス管理ストアの役割も果たします。
この項の内容は次のとおりです。
■ 2.1 項「Oracle SOA Suite」
■ 2.2 項「Oracle BPM ソリューション」
2.1 Oracle SOA Suite
Oracle SOA Suite を使用すると、既存のアプリケーションやその他の IT 資産を活用する相互運 用可能なモジュール型インフラストラクチャ上に、サービスおよびイベントのアーキテクチャ を構築できます。開発の重点をコーディングからコンポーネントの組立てに移行することに よって、実装が簡略化され、開発生産性が向上し、デプロイ時間が短縮されます。また、業務 上の見通しと適応可能なビジネス プロセスとを継続的に融合させることによって、企業の機動 性が向上します。SOA Suite は、幅広い機能を備えた包括的な製品であり、効率的に統合され、 統一された標準ベースのアーキテクチャ、ガバナンスおよび経験価値を提供することによって、 顧客の総所有コスト(TCO)を削減します。
Oracle SOA Suite は、サービス指向アプリケーションを構築して任意のミドルウェア プラット フォームにデプロイすることを可能にする標準ベースの最善のスイートです。このスイートは 次のもので構成されています。
■ サービスを開発するための Integrated Service Environment(ISE)
■ アプリケーションを統合するためのマルチプロトコル Enterprise Service Bus(ESB)
■ サービスのライフ サイクルを検出および管理するためのサービス レジストリ ■ サービスをビジネス プロセスに結び付けるための BPEL ベースの編成エンジン ■ ビジネス ポリシーの取得および自動化を可能にするビジネス ルール エンジン ■ サービスに対して認証ポリシーおよび認可ポリシーを適用し、SLA の順守に関してサービ スとプロセスを監視する、Web サービスの管理とセキュリティのソリューション ■ ビジネス エンティティおよびビジネス エンティティ間のインタラクションをリアルタイム
に可視化してサービスを最適化できる Business Activity Monitoring(BAM)
■ 従業員、顧客およびパートナが、コンテンツへのアクセス、関連するパフォーマンス メト
リックへのアクセス、およびビジネス プロセスとのインタラクションによって協力と対処 を行うためのエンタープライズ ポータル
Oracle SOA Suite は、次の項で説明するコンポーネントで構成された、標準ベースの最善のテ クノロジ スイートです。
■ 2.1.1 項「Oracle BPEL Process Designer(実装およびデプロイ)」
■ 2.1.2 項「Oracle BPEL Process Manager(実行)」 ■ 2.1.3 項「Oracle Business Activity Monitoring(BAM)」 ■ 2.1.4 項「Oracle Business Rules」
2.1.1 Oracle BPEL Process Designer(実装およびデプロイ)
BPEL ベースの実行可能プロセスを開発およびデプロイする場合に使用されます。Oracle Business Process Repository と統合され、BPEL による高品質なアーティファクトを生成するた めの開始点として、Oracle Business Process Architect で開発されたビジネス プロセス モデルを 使用します。サービスを開発し、複合アプリケーションおよびビジネス プロセスにサービスを
Oracle Application Server の最上位に構築することによって、BPEL Process Execution エンジン では、Oracle Application Server が提供する成熟した機能(クラスタリング、高可用性、埋込 みメッセージ、トランザクション管理など)を利用できます。
Oracle BPEL Process Manager では、次の項で説明するインタラクションがサポートされていま す。 ■ 2.1.2.1 項「ヒューマン インタラクション」 ■ 2.1.2.2 項「コンテンツ インタラクション」 ■ 2.1.2.3 項「システム インタラクション」
2.1.2.1 ヒューマン インタラクション
Oracle Process の実行コンポーネントでは、エンドツーエンドのプロセスへの手動による参加 が包括的にサポートされています。ヒューマン ワークフローの機能には、ロールベースでカス タマイズ可能なワークリスト アプリケーション、高度なルーティングや割当てにすぐに使用で きるワークフロー パターン、広範なサポートの通知とエスカレーション ポリシー、使いやすい 宣言型のモデル化などが含まれます。作成されるタスク サービスは、複数のビジネス プロセス で再利用できます。ワークリスト アプリケーションでは、作業の実行を監視および最適化する ための様々なレポートが生成されます。レポートに含まれる可能性のあるものには、注目する 必要のある作業項目、現在の作業負荷と分散、サイクル期間および生産性があります。レポー トには、ユーザー プロファイルに基づくデータが含まれています。たとえば、監督者のレポー トにはスタッフに関するデータが含まれています。プロセス図でモデル化されるルーティング に加え、Oracle BPM では、ヒューマン対ヒューマンのワークフローに適したルーティングのパ ターンもサポートされています。このようなサポートには、ある参加者が他の参加者を招待す る機能、他の参加者から情報を要求する機能、他の参加者にタスクを委任または再割当てする 機能が含まれます。実行時に使用可能なこれらの機能は、場合によっては、プロセス モデルで 制限を受けることがあります。2.1.2.2 コンテンツ インタラクション
Oracle BPM では、参加者の間で構造化されたインタラクションと構造化されていないインタラ クションの両方を使用できます。参加者によってタスクに追加されたコメントおよび添付ファ イルは、他のすべての参加者も使用できるようになります。コンテンツ管理システムのドキュ メントは、構造化された通信にも使用できます。Oracle BPM には、ディスカッション フォー ラムや他の構造化されていない通信手段(チャット、IP 電話など)も導入されています。2.1.2.3 システム インタラクション
Oracle Process の実行コンポーネントでは、エンドツーエンドのプロセスにおけるシステム統 合が包括的にサポートされています。このコンポーネントによって、サービスとしてシステム を公開し、そのサービスを変更の容易なプロセス フローに編成するための標準ベースのプラグ アンドプレイ インフラストラクチャが提供されます。このコンポーネントは、複合アプリケー ション(Web サービスの編成、J2EE プロセス フロー)と 300 を超える接続ソリューションを 経由するデータ統合アプリケーションの両方を配信するために使用され、B2B コネクタを介し てパートナと統合します。2.1.3 Oracle Business Activity Monitoring(BAM)
BAM は、サービスや様々なイベントを監視して、企業、ビジネス プロセス、人およびシステ ムの状態をリアルタイムで可視化するために使用されます。BAM コンポーネントを使用する と、企業幹部は、企業内の様々なサービスやビジネス プロセスにわたる品質保証契約(SLA) を監視し、キー パフォーマンス インディケータ(KPI)を実際のビジネス プロセス自体に関連 付け、さらに、業務環境が変化した場合に修正措置を実施するためにビジネス プロセスをより 迅速かつ効率的に変更できます。業務ユーザーは、非常に効率的なダッシュボードとレポート を迅速に作成できます。これらは、数回のクリックのみで詳細情報にドリルダウンする機能を 持ち、リアルタイムで更新される重要な業務の測定値や KPI を示します。また、ユーザーは警 告を発生させる条件およびルールをモデル化できます。
2.1.4 Oracle Business Rules
Oracle Business Rules は、ビジネス ポリシーを取得するためのルール設計ツールおよび推論エ ンジンです。Oracle BPM プラットフォームの Business Rules コンポーネントは、高パフォーマ ンスの推論に基づくルール エンジンであり、業務ユーザーが宣言的な方法(文対手続き型ロ ジック)でビジネス ルールを明示的に指定および管理できるようにします。ルール エンジン は、業界標準である Rete アルゴリズムに基づいています。このアルゴリズムの詳細は、 http://en.wikipedia.org/wiki/Rete_algorithm を参照してください。
2.2 Oracle BPM ソリューション
Oracle BPA Suite を Oracle SOA Suite と組み合せて使用すると、ビジネス プロセスを継続的に 改善するための包括的な閉ループの BPM ライフ サイクルが提供されます。Oracle BPM ソ リューションは、Oracle BPA Suite および Oracle SOA Suite で構成されています。
図 2-1 Oracle SOA Suite のアーキテクチャ
Oracle BPM ソリューションは、次のもので構成されています。
■ モデル化 : Oracle Business Process Architect は、モデル化を行うコンポーネントです。この
ツールを使用して、プロセス、業務データ、IT システムおよび組織構造をモデル化できま す。ビジネス プロセス モデリング記法(BPMN)モデル、イベント プロセス チェーン (EPC)モデルなどの 50 を超えるモデル タイプがサポートされています。
■ シミュレーション : Oracle Business Process Simulation は、シミュレーションを行うコン
ポーネントです。これによって、モデリング担当者は、様々なシナリオに基づいてシミュ レーションを実行してプロセスを分析できます。シミュレーションを使用して、タイミン グやコストの分析を行ったり、プロセスやリソースのボトルネックを検出できます。この
■ デプロイおよび実行 : Oracle BPEL Process Manager は、サービスや様々なイベントを監視
して、企業、ビジネス プロセス、人およびシステムの状態をリアルタイムで可視化するた めに使用されます。このツールは、自動タスクおよびヒューマン タスクの両方を作成する 場合に使用されます。業務ユーザーまたはビジネス アナリストが管理できる、実行時の動 的決定には、Oracle Business Rules が使用されます。
■ 管理 : Oracle Application Server Control は、サービス、プロセスおよびシステムを管理す
る場合に使用されます。
■ 監視 : Oracle Business Activity Monitoring(BAM)は、サービスや様々なイベントを監視
して、企業、ビジネス プロセス、人およびシステムの状態をリアルタイムで可視化するた めに使用されます。
2.3 主要な概念および用語
ここでは、ビジネス プロセス管理で使用される主要な概念および用語について説明します。 ■ ビジネス プロセス モデル : 抽象的なビジネス プロセスを表します。ビジネス プロセス モ デルには、業務に関する定義が含まれています。ビジネス プロセスとは、特定の業務要件 を実現するための一連の関連アクティビティおよびタスクのことです。ビジネス プロセス モデルは、業務のサポートに必要な技術的アーキテクチャから基本的には独立しています。 ビジネス プロセス モデルにプロセスやアクティビティが含まれていることがありますが、 これらは、通常、文書化の目的でのみ含まれています。 ■ 実行可能プロセス : IT によって抽象的なビジネス プロセスに実装の詳細が追加され、ビジ ネス モデルが物理的な実行可能プロセスに変換されます。この実行可能プロセスはデプロ イおよび監視できます。 ■ プロセス ブループリント : このモデルは、ビジネス プロセス モデルと実行可能プロセスで 共通のメタデータが含まれている接点となります。プロセス ブループリントには、業務と IT の両方に関連するアーティファクトのみが含まれています。プロセス ブループリントで は、業務レベルが要件として使用され、それらの要件を満たすための概念的で技術的な手 段が示されます。設計は抽象的であるため、様々なテクノロジによる実装が可能です。 図 2-2 Oracle BPM ソリューションの概念注意 : 現在、Oracle BPM ソリューションは、Oracle SOA Suite 11g と組み 合されて Oracle BPA Suite 11g として販売されています。
3
Oracle BPM のライフ サイクル
この章では、Oracle BPM のライフ サイクルについて説明します。
Oracle BPM には、ビジネスと IT の両方の領域を他に類のない深さでサポートする最適なツー ルが含まれています。Oracle BPA Suite は、業務ユーザーを対象とするモデル化ツールです。 Oracle SOA Suite は、IT 開発者を対象とする、実行および監視を行うためのプラットフォーム です。以前は、アナリストおよび IT にとって最適なツールをまとめる試みは、モデル化と実装 間におけるラウンドトリップの不具合が原因で失敗していました。プロセス モデルは、ビジネ スから IT への一回限りのハンドオフ用に作成された、ビジネス要件の単純な仕様ではありませ ん。プロセス モデルは頻繁に変化するビジネス要件に伴って変化し、ビジネス プロセス モデ ルは実装を継続的に表示する必要があります。ビジネス プロセス モデルに対する変更は迅速に 実装に反映される必要があり、実装の変更がビジネス フローに影響する場合は、その変更を再 びビジネス プロセス モデルに反映させる必要があります。ビジネス プロセスのライフ サイク ル全体でビジネスと IT を同期させるために、アナリストのツールと開発者のツールの間にプロ セス ブループリントという共有メタモデルが定義されました。この独特の方法を使用すると、 ビジネスと IT の共有プロセス定義が不要になります。 図 3-1に示すように、Oracle BPM のライフ サイクルは次のフェーズで構成されています。 図 3-1 Oracle でのプロセスのアクティブなモデリング手法 BPM のライフ サイクルには、次の手順が含まれています。 ■ 3.1 項「計画および戦略的分析」 ■ 3.2 項「現在のプロセス フローのモデル化(プロセス検出)」 ■ 3.3 項「現在のプロセス モデルのシミュレーションおよび分析」 ■ 3.4 項「プロセス モデルの公開および参照」 ■ 3.5 項「プロセス ブループリントの生成および IT との共有」
■ 3.8 項「新しいバージョンのプロセス ブループリントとのマージ」 ■ 3.9 項「BPA リポジトリへの BPEL 実行可能プロセスの保存」 ■ 3.10 項「継続的なプロセスの展開」
■ 3.11 項「デプロイおよびテスト」 ■ 3.12 項「監視および管理」
3.1 計画および戦略的分析
多くの場合、企業の戦略的計画が定義されるレベルと各部門が日常業務を行うレベルの間には ギャップがあります。戦略的計画は上級管理職の担当であり、通常は、上級管理職に直属の計 画部門が策定します。 戦略マップは、企業の目的を、企業レベルから明確に定義された業務上の目的にまで反映させ る場合に役立ちます。その後、業務上の目的を業務機能およびビジネス プロセスにマッピング できます。戦略マップによって、ビジネスの戦略的目標に沿った作業の優先順位付け、意思決 定の調整および BPM プロジェクトの進行状況の追跡が可能になるため、ビジネスと IT の連携 が強化されます。戦略マップを使用すると、現在どのプロセスが企業の戦略にとって最も重要 であるか、どのプロセスを最適化すると最高の投資回収率(ROI)を得ることができるか、お よびどのサービスが最もビジネス戦略に沿ったものであるかを明確に理解できるため、BPM イ ニシアチブで非常に有効です。 図 3-2は、企業の戦略的計画の定義の通常のレベルを示しています。 図 3-2 企業の戦略的計画の定義図 3-3に示すように、多くの場合、戦略マップでは、機能のモデル化(業務機能とコア プロセ スのセットとしての業務領域の分解)が行われます。 図 3-3 戦略マップの定義
3.2 現在のプロセス フローのモデル化(プロセス検出)
BPM プロセスの候補を特定したら、次に、関連する業務機能およびコア プロセスを詳細なプロ セス フローに分解します。この手順はプロセス検出と呼ばれます。この手順では、ビジネス ア ナリストが、業務ユーザーや業務所有者などの様々な関係者と協力してプロセスの多様な側面 を把握し、ビジネス プロセス モデルを設計します。 コア プロセスを複数のサブプロセスに分解して、プロセスの境界を決定します。あるサブプロ セスの出力が他のサブプロセスの入力となるように、サブプロセスを相互にリンクさせます。 トップダウン手法とボトムアップ手法を組み合せて使用し、エンドツーエンドのプロセス全体 を詳細に計画します。ビジネス プロセスで再利用する共有ライブラリを作成するために、ロー ル、データおよびサービスをモデル化および編成します。図 3-4に、プロセスの分解方法を示します。 図 3-4 プロセスの分解 プロセスがアクティビティに分解されると、アクションを実行するロール、(データが手動で入 力されるかコンピュータによって取得されるかに関係なく)アクティビティに関連する入力 データや出力データなど、各アクティビティについて詳細を定義する必要があります。プロセ スの詳細レベルでは、次の側面が取得されます。 プロセス フロー 相互に依存し関連性を持つ、開始から終了までの一連のアクティビティ。 アクティビティの説明 プロセス手順の説明。 ヒューマン対システム データが手動で入力されるかコンピュータによって取得されるか。 フォーム 業務ユーザーがヒューマン ステップを実行するために必要。 データ フロー アクティビティ フローの一部としてマップされる各アクティビティの入力および出力。 ビジネス ルール ビジネス プロセスのフローを制御するビジネス ポリシーおよび条件。 参加者 アクティビティに参加する人、グループまたはシステム。
メッセージ フロー 他のプロセスに対して送受信されるメッセージ。 シミュレーション 様々なアクティビティに関する処理時間、コスト、リソース割当てなどのパラメータ。 ビジネス例外および代替タスク プロセスが中断すると、ビジネス例外が作成されます。例外に対処しないと、業務の収益性が 低下し、迅速かつ効率的でエラーのないプロセスという構想を組織が実現する際の障害となる 可能性があります。このため、プロセスでビジネス例外が発生した場合にトリガーされる代替 タスクをモデル化しておくことが重要です。 図 3-5に、プロセスをアクティビティに分解する方法を示します。 図 3-5 アクティビティへのプロセスの分解 BPM の反復プロセスが展開されるにつれて、作業者はビジネス プロセスについてより詳しく理 解できるようになります。同様に、IT はサポートしているビジネス プロセスについてより高度 な理解を持つようになります。一方、業務管理者は、自身のニーズをサポートするためのテク ノロジの使用方法について理解を深め、そのニーズをサポートしている複合アプリケーション の機能に対して、目標とする変更をより適切に提案できるようになります。 注意 : プロセスのコンテンツは、ビジネス リポジトリに格納されます。複 数のユーザーが同時にプロセスのコンテンツにアクセスして作業することが できます。同じモデルに対する複数のユーザーの同時アクセスは、暗黙的な チェックインおよびチェックアウト機能によって提供されています。
動画およびグラフィックを使用したシミュレーションによって、業務ユーザーは次の内容を確 認できます。 ■ 平均サイクル時間 一連のインスタンスに対して算出される平均時間。 ■ スループット分析 特定の時間内に処理されるインスタンスの数。 ■ アクティビティ ベースのコスト計算 製品またはサービスの生産および保持にかかる総費用。 ■ クリティカル パス 最も時間のかかるパス。 ■ ウィーク ポイント リソースの競合が原因でインスタンスがキューに入れられるタスク。 ■ リソース使用率 プロセス参加者の使用率。 図 3-6に、シミュレーションの結果を示します。 図 3-6 シミュレーションの結果
3.4 プロセス モデルの公開および参照
参照用に作成されたビジネス プロセス モデルは、セキュアなポータルに公開できます。この ポータルによって、地理的に様々な場所に分散された業務コミュニティに、(シミュレーション の結果を含む)プロセスのコンテンツへのロールベースのアクセスが提供されます。様々な業 務関係者がプロセスのコンテンツを参照してフィードバックを提供できます。それらのフィー ドバックは、ビジネス アナリストによってプロセス モデルに反映されます。 「計画および戦略的分析」および「現在のプロセス フローのモデル化(プロセス検出)」はビジ ネス主導のアクティビティであり、本質的に反復されることに注意してください。3.5 プロセス ブループリントの生成および IT との共有
最適なビジネス プロセス モデルを作成した後、そのモデルを IT と共有して実行可能プロセス に変換できます。ビジネス プロセス モデルに対して IT との共有準備完了というマークを付け ると、プロセス ブループリントが自動的に生成されます。ビジネス プロセス モデルおよびプ ロセス ブループリントは、両方とも Oracle BPA リポジトリに保存されます。ビジネス プロセ スのプロセス ブループリントは、BPEL ベースのメタデータ形式であり、BPEL 言語の「注釈」 サポートが追加されています。プロセス アクティビティは、IT が指定する必要がある BPEL ス コープに変換されます。 図 3-7に、ブループリントの生成プロセスを示します。 図 3-7 ブループリント プロセス3.6 JDeveloper でのブループリントの表示
プロセス ブループリントは、Oracle JDeveloper で開始点として使用されます。Oracle JDeveloper では、プロセス ブループリントが Oracle SOA ランタイム プラットフォーム上にデ プロイ可能な実行可能 BPEL プロセスに変換されます。IT 開発者は、BPA Repository Server に 接続することによって、既存のプロセス ブループリントから実行可能 BPEL プロセスを作成で きます。BPEL スケルトンが作成された後、IT 開発者はその BPEL スケルトンに実行の詳細を 追加して具体化できます。
3.7 実行可能 BPEL プロセスの作成
IT 開発者は、ビジネス リポジトリに接続することによってブループリントにアクセスし、IT ツール(Oracle JDeveloper の BPEL Designer コンポーネント)内から実行可能な BPEL モデル を作成するための開始点としてブループリントを使用します。IT 開発者には、BPMN に基づく
3.8 新しいバージョンのプロセス ブループリントとのマージ
通常、ビジネス プロセス モデルの改良は継続的に行われているため、対応する実行可能 BPEL プロセスとの同期を取る必要があります。改良は、開発中に頻繁に行われますが、プロセスが 本番環境に移行されると頻度が低くなります。IT 開発者は、BPA Repository Server に接続する ことによって、現在使用している既存の BPEL プロセスと新しいバージョンのブループリント プロセス モデルをマージできます。マージされたモデル内のすべてのアクティビティの実行の 詳細は、マージ前のものと同じであり、IT によって行われた実装の変更は保存されます。
3.9 BPA リポジトリへの BPEL 実行可能プロセスの保存
IT 開発者は、Oracle JDeveloper から BPA リポジトリに実装の詳細を追加した後、BPEL プロセ スを保存できます。IT 開発者は、構造全体に対して最小限の変更を行うことができます。既存 のスコープ間に新しいスコープを追加することはできますが、業務ユーザーによって作成され たスコープを削除することはできません。削除を試行すると、Oracle Business Process Architect で改善提案として業務ユーザーに示されます。業務ユーザーは、これらの提案を承認 または拒否できます。
3.10 継続的なプロセスの展開
IT 開発者とのビジネス プロセス モデルの共有は、一回限りのハンドオフではなく、本質的に 反復されます。共有メタデータ(プロセス ブループリント)によって業務と IT の提携を保持 すると同時に、業務はプロセス モデルを継続的に改良および拡充します。プロセスの全ライフ サイクルにわたり、実行可能なプロセスはビジネス プロセス モデルと同時に進行します。IT 開発者は、新しいバージョンのプロセス ブループリントの作成時にリアルタイムで警告を受け 取り、Oracle SOA Suite の BPEL Process Designer コンポーネントを使用しながらプロセスを参 照および変更できます。実装されるプロセスが業務ユーザーの予想に確実に一致するように、 業務レベルの変更は開発者によって行われたすべての変更に自動的にマージされます。IT に よって行われた有意義な実装作業は、マージ プロセス中に保持され、迅速な開発とプロトタイ プの作成を促進します。また、IT 開発者はブループリント ビュー内でビジネス フローに変更 を加えることができ、これらの変更はビジネス リポジトリに実行可能な BPEL モデルが保存さ れる際に Business Architect ツールに反映されます。業務ユーザーは、これらの変更を参照し て、新しいバージョンを作成するためにビジネス プロセス モデルに組み込むことができます。3.11 デプロイおよびテスト
IT 開発者は、Oracle BPEL Process Manager 上で実行可能プロセスをデプロイおよびテストで きます。
3.12 監視および管理
デプロイ済で実行中のプロセスは、Oracle Application Server Control を使用して管理し、 Oracle BAM を使用して監視することができます。Oracle BAM は、可視性を確保しパフォーマ ンスを分析するために、リアルタイムの可視性を提供し、ビジネス プロセス、システムおよび 他のソースからリアルタイムにビジネス メトリックを取得します。これによって、企業幹部 は、実際のパフォーマンスを定期的に測定し、企業の様々なサービスおよびビジネス プロセス にわたる品質保証契約(SLA)を監視できるようになります。このツールによって、必要に応 じて、キー パフォーマンス インディケータ(KPI)に実際のビジネス プロセスにドリルダウン するオプションを関連付けることができます。業務管理者は、ダッシュボードを使用してプロ セスのボトルネックおよび遅延を効率的に把握し、業務環境が変化した場合に修正措置を取る ことができます。
図 3-8に、BPA モデルの監視方法および管理方法を示します。