中間水含有ポリマーを用いた
細胞機能操作技術
○山形大学大学院理工学研究科 プロジェクト教員(准教授) 干場隆志 山形大学大学院理工学研究科 教授 田中賢バイオ産業の例
・医療産業(医療器具の開発) 例1)ステント:血管等の閉塞に対する治療 例2)人工臓器:人工血管等 ・製薬産業(新薬の開発、製造) 例3)細胞を用いた薬効、副作用の試験 ・医療産業(再生医療産業) 薬の薬効判定 薬の副作用評価 癌細胞、肝細胞 例4)バイオリアクター 有用タンパク質の産生 (アルブミン、 血液凝固因子)バイオ産業は大きな広がりを見せている
体外循環型 人工臓器 (人工心肺、 人工肝臓等)バイオ産業における細胞機能制御の重要性
細胞増殖 (産業化に向けた 細胞数の確保) 細胞接着 (人工血管等の 医療器具開発、 再生医療への 応用) 薬物応答能 (薬剤試験への応用) タンパク質産生能 (バイオリアクター への応用) その他の細胞特異的 機能発現バイオ産業の確立には様々な細胞機能の制御が重要
主な細胞機能制御の方法
1)遺伝子操作 遺伝子導入 機能発現 (利点) (欠点) ・強力に機能誘導 ・臨床応用が困難 ・複雑な機能発現は 困難な場合もある 2)液性因子(ホルモン等)の利用 液性因子 機能発現 (利点) (欠点) ・強力に機能誘導 ・液性因子が困難 ・機能発現が一過的培養基板の重要性
培養基板=細胞が付着するための単なるの足場? 形態変化 臓器特異的な 機能発現 増殖 培養基板 生存 細胞死 接着脱離 液性因子への応答細胞機能を制御できる培養基板の開発は重要
接着従来の高分子培養基板
○細胞機能を強く誘導できる ○生体内の細胞を囲む微小環境に 近づけることができる ○大量調製が可能 ○安価で安定した質が期待できる ○ロット差が小さい ○生理活性物質の修飾が容易 ×高価・保存が困難 ×大量調製が困難 ×ロット差が大きい ・タンパク質の塗布 ・生理活性物質の修飾 ・組織培養用 ポリスチレン (TCPS) ・ポリ-L-リシン ×細胞機能を強く誘導できない ×生理活性物質の修飾は合成 に手間、高価 ポリスチレン 生体高分子 合成高分子 例 利点 欠点合成高分子の利点を生かしながら、細胞機能を強く誘導したい
中間水含有ポリマー
吸着/ 細胞接着 脱離 吸着タンパク質 高分子鎖 タンパク質 表面 中間水 高分子鎖 に弱く結合 独自の「中間水理論」
により、タンパク質の 吸着挙動、血小板粘着を制御できることを見出した 中間水含有ポリマー ポリ(2-メトキシエチルアクリレート) ポリ(2-メトキシエチルアクリレート) (PMEA) 細胞-培養基板間界面の模式図 人工心肺へのフルコーティング材として利用 (世界シェアNo.1)中間水含有ポリマーの優位性
・優れた血液適合性
・低毒性
・簡便、低コストに合成
・粘着性・透明性
・水不溶性
・医療器具へのフルコーティング可能
・厚生労働省、FDA認可(PMEA)
医療デバイスへの応用に大きな利点
PMEAをもとにした中間水含有ポリマーによる細胞機能の
制御例を紹介しながら、応用の可能性をご説明いたします。
中間水含有ポリマーによる細胞機能制御の例①
~血液中の細胞の接着制御・問題点~
問題点①: 血液接触環境において、特定の細胞を接着させるには、 細胞接着部位の提示が必須(→作製に手間、コスト上昇) ポリエチレン グリコール等 ポリエチレン グリコール等 Y Y Y Y 接着部位 血液細胞 非血液 細胞 期待されるシーン① ・血液接触環境下での細胞の利用 (血液中からの希少細胞の単離、細胞センシング、細胞を用いた医療機器) ポリエチレン テレフタレート等 従来の培養基板はすべての細胞を接着させるか、 完全に接着を抑制させるものだけ 血液細胞 非血液細胞 従来の 解決方法中間水含有ポリマーによる細胞機能制御の例①
~血液中の細胞の接着制御~
中間水含有ポリマーの利点①: 細胞接着部位の提示をしなくても、血液細胞は接着させずに 非血液細胞を接着できる(作製が簡便) 応用例① バイオ人工血管、バイオ人工肝臓 血中循環癌細胞/血管内皮前駆細胞の採取デバイス開発 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 PE T を 1 とし た時の 細胞接着数PET PMEA PTHFA PHEMA 白:癌細胞 青:血小板 中間水含有ポリマー 従来の細胞接着抑制基板 従来の細胞接着基板 干場隆志、田中賢ら 特願2012-123228 原理等: T. Hoshiba, et al.,
Adv Healthcare Mater, 2014