• 検索結果がありません。

気管支腺に発生した腺様嚢胞癌の1例 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "気管支腺に発生した腺様嚢胞癌の1例 利用統計を見る"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

気管支腺に発生した腺様嚢胞癌の1例

原仁 木村正博 石井恵理 千葉成宏 高相和彦 横山宏 須田耕一 山梨県立中央病院 検査科D 外科2)内科3) 山梨医科大学  病理4) 要約: 気管支腺から発生する腺様嚢胞癌はきわめて稀である。今回、我々はこの稀な1例を経 験したので臨床細胞学的所見を中心に報告する。症例は39歳男性で、咳噺、血慶を主訴と して入院。気管支鏡で右中幹内に粘膜下腫瘍が認められ、気管支擦過細胞診と生検により 腺様嚢胞癌と診断された。右肺全別、心外膜合併切除術が行われた。気管支擦過では細胞 学的に腺様嚢胞癌の特徴である粘液様球体mucoid globulesと充実性に増殖する小型の腫 瘍細胞が認められ、その優勢度により充実型に亜分類された。病理組織学的には定型的な 腺様嚢胞癌で、箭管型と充実型が同程度に認められた。 1.はじめに 腺様嚢胞癌adenoid cystic carci㎜aはBi!lroth’)(1859)eこより円柱腫cylindr㎝aと して初めて記載された腫瘍で2)、唾液腺、気管・気管支、喉頭、副鼻腔、食道、乳腺、子 宮、バルトリン腺などに発生する。本腫瘍は通常ゆっくりと増殖するが悪性度の高いこと が知られている3)。 気管支由来の円柱腫はHesch l 4)(1877)により初めて報告されへそれは極めて稀で、全原 発性肺腫瘍の1%以下5)、また全原発性気管支腫瘍の0.2似下である6)。 我々はこの稀な1例を経験したので臨床細胞学的所見を中心に報告する。

L症例

39歳 男性、メッキ工

主訴:咳轍、血慶

現病歴:10年前から咳が多く禁煙していた。3∼4年前から時々血壊が出現し、昭和59年 5月、当院内科を受診した。内科初診時の胸部X線正面像では明らかな異常が認められな かったが(図1)、側面像では右中葉に無気肺が認められた(図2)。肺結核の疑いで投 薬を受けるも症状の改善はみられなかった。昭和60年2月28日 気管支鏡で右中幹内に粘 膜下腫瘍が認められ(図3)、気管支擦過細胞診と生検により腺様嚢胞癌と診断された。 同年3月27日 右肺全跡心外膜合併切除{勧㌣予われた。 皿.細胞所見(気管支擦過) 1j型の腫瘍細胞が強い結合性をもって充実性に出現し(図4)、部分的には基底様細胞 がシート状で規購に配列してし、た。これらはMay−Grunua l d G i emsa(M.G.G。)染色でみる といずれも裸核状の細胞からなっており(図5)、核は円∼卵円形で径5∼8μであった。 核異型の強いところでは好酸性核小体とクロマチンの不均等分布がみられた。

      −8一

(2)

 稀であったか腫瘍細胞の集団の中央に核と核小体の著しい、また細胞質の厚い好酸性の 細胞、すなわち腺管細胞が認められた(図6)。  一部に、Papanicolaou染色で半透明、 M.G.G染色で赤く染まる粘液様球体刷coid globulesがみられた(図7)。球体の辺縁の核は長円形で、その長軸は球体の境界面に 沿っていた。  以上の所見から腺様嚢胞癌の細胞診断を得た。なお、気管支鏡施行前の喀痩には腫瘍細 胞が得られていない。 IV.病理所見  生検:腫瘍の大部分は基底細胞様の小楕円形細胞が充実性に配列し、一部では筋管構造 も存在した。核は卵円形で分裂像がほとんどなく、異型性は軽度であった。  手術:腫瘍は4.5×3×3c血大で、主として右主気管支幹から中葉支にかけて拡がって いた。気管支壁は腫瘍により著しく肥厚し、このためB−4とB−5は中葉支の分岐部近くで 狭窄していた(図8、9)。腫瘍は同時に気管支の壁外性にも増殖して気管分岐部や心外 膜にも浸潤していた。  組織学的には生検と同様な定型的な腺様嚢胞癌で、筋管型と充実型がほぼ同程度に認め られた(図10)。なお、リンパ節には転移はなかったが(0/19)、別の1個に腫瘍からの 連続浸潤iが認められた。

V.考察

 本例の細胞学的な検索は生検後の気管支擦過から得られている。気管支腺由来の腺様嚢 胞癌は粘膜下で膨張性ないし漫潤性に気管支壁、またはその周囲に拡がるので、細胞学的 材料は気管支擦過5−8)や気管支洗浄液9)から得られ、喀擾からはほとんど得られないと考 えられる。本例も気管支ファイバーの施行数日前に採られた喀痩には腫瘍細胞は認められ なかった。 細胞学的に本例はノ」型の細胞が充実性に増殖し、その中に部分的に腺管細胞を示すとこ や粘液様球体が認められた。腺様嚢胞癌は組織学的にEbyiO)、Perzinm、長尾12》に より優勢な組織形態から籏管型、管状型、および充実型に分けられ、その中で管状型は予 後が良く、逆に充実型は予後が不良で、籏管型がその中間とされている。今回、細胞像で 締管型、管状型、および充実型の分類を試みると組織像と同様に分けることができた。す なわち、籏管型はPapanicola(ru染色で半透明、 M。G.G.染色で赤色に染まる円∼卵円形の粘 液様球体が多数出現しているものである。充実型は径5∼8μの円∼卵円形で裸核状の腫 瘍細胞が強い結合性を持ち軽度重積、またはシー一 5状に出現したものである。核異型の強 いところでは好酸性の核小体、クロマチンの不均等分布、および核膜の肥厚等がみられて いる。管状型は2層構造の細胞からなり、外側は充実型と同じノ∫・型の腫瘍細胞であるが、 内側のそれは核と核小体がより大型化し、細胞質も厚く好酸性を示しているものである。 各型の占める割合を手術時の病理所見と比較してみると、細胞像では前述のように、充 実型が多く、蹄管型は少なく、また管状型は僅かであったのに対し、病理組織像では充実 型と筋管型がほぼ同程度に多くみられへ管状型は少なかった。Perzini i)によれば充実型 が3磯以上を占める時は予後が悪いという。また2つの型が同程度に存在する時はより低        一9一

(3)

分化の方がその腫瘍のbiologic behaviorを決定するといわれているので、本例は充実型 とみることができ、腺様嚢胞癌としては予後の余り良い方に属していない。

VLまとめ

気管支腺に発生した腺様嚢胞癌の1例(39歳、男)を細胞像を中心に報告した。

1) Bi11 roth T: Beobachtung Uber Geschwii 1 ste der Speicheldrdsen・Arch Pathol  Ana t 17: 357−375, 1859 2) Spies JW: Adenoid cystic ca lrc i n㎝a. Arch Surg 21: 365「404, 1930 3)Koss LG:Aspi rati on biopsy. Cytologic intelpretati㎝and histologic bases・P・  204−209, lgakurshoin, Neω York, Tokyo, 1984 4) Heschl R: Ueber ein Cylindroifi der Lung. IA)e i n Med Wochenschr 27: 385−390,

 1877

5)藤田 彬、他:異型扁平上皮化生を伴った肺の腺様嚢胞癌の1例日臨細胞誌22:  4006,1983 6)古川敦子、他:気管支鏡下擦過細胞診で診断し得たノ」型Adenoid cystic carcin㎝aの

 哨日臨細胞誌21:854,1982

7)関口礼子、他:気管・気管支に発生した腺様嚢胞癌の細胞所見日臨細胞誌22:40

 7,1983

8)山田哲司、他: Adenoid cystic carcinomaの細胞像と臨床像日臨細胞誌22:4□,

 1983

9)Lozoωski lvfS :Cy to1 ogic features of adenoid cystic carcin(xRa. Case祀port and  literature review. Acta Cytologica 27: 317−322 , 1983 10) Eby LG, Johnoso DC, Baker 刑: Adeno i d cyst i c ca rc i㎜a of the head and neck◆  Cancer 29: 11〔n−1168儂 1972 11) Perzin KH, Gul lane P, Claimont AC:Adenoid cystic carcino皿as arising in  salivary glands. Cancer 42: 265−282, 1978 12)長尾孝一一:唾液腺腫瘍の鑑別診断.病理と臨床5:467−470,1987 一10一

(4)

図1,胸部X腺正面像 図2.側面像

  右中葉に無気肺を認める

図3.気管支鏡

  右中幹内に粘酬動易を認める。

(5)

購    9ぴ 図4.気管支ブラノソング細胞診   ノ1哩の腫瘍細胞が強い結合性を持、r   出現している(いわゆる充実型)。   Papanicolaoti染色、×400 灘 雛・

図6ノ」型の腫瘍細胞の集団の中央にいわゆる   管状型の腺管細胞(核と核小体が肥大し、   細胞質が厚く好酸性を示す)がみられる。   Papar〆丈01aou難、 ×400 織

欝灘難

      sぽ , ぷ灘 彩

b 驚

騰難ll

聲蘂鞘難

  , 懸

      ☆  e

・騨鍵羅

     紗

灘灘

図5 強い結合性を示す裸核状の腫瘍細胞

  の集団HGG染色、×400

蘂ジ 灘 図7粘液様球体   いわゆる諦管型で、球体は半透明である。   PapaEKxola(氾絶  ×400 一12一

(6)

難譲

1...x・ 三鷺、 :/’v棄!・ 図8.腫瘍の肉眼像   腫瘍は右主気管支壁を中心にし、壁外性   にも増嚇している。

ぺや

l“

  N.

  1纐パ

麟ヌ

   麟

膏潮ぴ・    霧i ・綱攻謬索滞

 ii{ひバ

蘂Mlぷぷ

図9.右肺の再構靱   腫瘍は4.5×3×3cm大で右気管支幹から   中葉支にかけて拡がっている。

91i ぷ 図10.手術病理組織像. a.節管型 b.充実型 H.E.染色 b〈100 一13一

参照

関連したドキュメント

 内部構造(Fig.3-D2-4, Plate 2):花被の腺毛(D2)は(7. virgatumのものと同様で,頭細胞は球形または軸方向

本研究は、tightjunctionの存在によって物質の透過が主として経細胞ルー

 6.結節型腫瘍のCOPPとりこみの組織学的所見

しかしながら生細胞内ではDNAがたえず慢然と合成

の多くの場合に腺腫を認め組織学的にはエオヂ ン嗜好性細胞よりなることが多い.叉性機能減

今回completionpneumonectomyを施行したが,再

添付)。これらの成果より、ケモカインを介した炎症・免疫細胞の制御は腎線維

 1)血管周囲外套状細胞集籏:類円形核の単球を