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(1)

コバルトプロトポルフィリンの抗腫瘍作用について

      II.コバルトプロトポルフィリンの体内分布

金沢大学医学部第二病理学教室(主任 石川大刀雄教授)

     佐  古  英  二

      (昭和36年9,月27日受付)

 コバルトプロトポルフィリン(以下COPPと略)

が担腫瘍動物の生命延長,腫瘍縮少,腫瘍再発抑制な どの効果を多少ともしめすことを前報1)でのべた.こ の効果の機作の解析に役立てるために,動物に投与し たCOPPの体内分布及び腫瘍への分布を定量的及び 形態学的にしらべた.

        実験材料と方法

 実験動物には正常家兎(体重3.5〜4.Okg 6)及び dd系ハツカネズミ(体重18〜20g)を用いた.腫瘍

・臓器・血液のコバルト定量はSaltzman 2)法によっ

た.

形態学的検索には,10%中性フォルマリン固定,

パラフィン切片,ヘマトキシリン・エオジン染色を用

いた.

        実 験 成績  1.正常家兎流血中のCOPPの消長

 家兎2匹ずつにCOPPをそれぞれ静脈内・筋肉・

皮下投与し,流血中のCOPPの消長をしらべた. CO PP投与量は耳静脈内投与の場合は20mg/kg,背部筋 肉内と背部皮下投与の場合は10g真ng/kg:とレて,そ れぞれ1回投与した.なお対照群2匹には1/15M燐 酸緩衝液(pH 7.4)20m1を静脈注射した.採血に

表 1 正常家兎流血中のCOPPの消長

被検物質

コ バル ト

プロト・ポル フィリン

コプロ ・ポノレ フィリン

ウロ・ポルフ ィリン

COPP

投与部位

静雨皮対 梅肉下学

静面皮対 脈肉詰照

血筋皮対 脈肉下照

静筋皮対 脈肉下照

被検物質の流血中における量μg/ml

離無幽1日2日3日4日5日6日7日1・日

0.3  9.5  6.2 0.2  1.3 2.0 0.0 0.4  0.6 0.3 0.2 0.3

6.0  1.8     0.9

1.1 1.0  1.2  1.1 0.8  0.6  1.1  1.6  1.6 0.6 0.6  0.7  0.7  0.6  0.6  1.1 0。4  0.6 0.5 0.3  0.5  0.1     0.1

6.3 8.5 5.0 5.0 3,8 4.5 5.0

8.513.1 4.5 4.5   6.3 3.5 5.9

9.7    5.6

6.0     6.2 5.0 5.1 4.8 3.9 7.0 6.3 6.5 6.3     5.6     5.0

6.5  5.4  6.8 5.0 5.0 4.8   6.0

0000︵U 10ーユΩ4

00召ーエ0

000 00

3

1 1

1

0召9召00 0000

0.3    0.0

0.8     0.7  0.2  1.2 1.3  0.6  0.6  1.2  1.7 0.8  0.9  1.3  1.0  0.5

2.2  1.1  1.0 1.3  0.9  1.3

9召80﹃0 4024

3.3  6.7 5.1

3.0  5.2  6.8

    4.0

5.5 6.8 6.2

3.1 2.0 2.0

4.2     3.6     6.5 4.4 3.8 4.5 3.2 2.2 5.3 4.8 5.0     2、0     1.8

5.1 4.7 4.7 5.1 2.8

On the Anti−tumor Ef〔ect of Cobaltiprotoporphyrine. II. Distributioll of Cobaltiprotopor−

phyrin in Organs and Tumors.:Eiji Sako, Department of Pathology(Director:Prof. T.

Ishikawa), School of Medicine, University of Kanazawa,

(2)

は,耳静脈を切り,圧を加えることなく血液を滴下さ せた.1回の採血量は2.0〜5.Om1である.

 COPP投与直前から,投与後10日までのコバルト及 び各ポルフィリン体の測定値は,2匹の平均値が表1 のようになった.COPPの量はコバルト定量値で示さ れる.COPPが体内で分解し,プロトポルフィリンあ るいはさらにその代謝産物として当プロポルフィリ ン,ウロポルフィリンとなる可能性もあるので,それ らのものも別々にSchwartzら3)に従って定量した が,結果は対照との蘭に認あられるような差異がな い.従って投与されたCOPPは体内でコバルトとポ ルフィリンに分解するものとは考えられない.COPP を静脈内に投与した場合,流血中のコバルト量は投与 2時間後にピークを示し,その後急速に低下するが,

筋肉・皮下投与の場合はそのようなピークを示すこと なく消長する(図1).

 2.正常家兎に投与したCOPPの臓器分布  家兎4匹の耳静脈からCOPP 10mg/kgを役与し,

2日後生理的食塩水で十分に灌流して血液をのぞいた 後,各臓器を摘出してコバルト定量を行い,COPPの 臓器分布をしらべた.結果は表2のようになった.射

撃919 10

5

図1 正常家兎流血中のCOPPの消長

   COPP耳静脈内投与 = 20mg瓜9    COPP背部筒肉内投与書100mg!kg 一罵一COPP背部皮下投与  31001ng!kg

一+一1!15盟燐酸緩衝液(pH 7.35)耳静脈内投与320ec!R3bb託

へのCOPP分布が最:も高かった.

 3.COPPの肝における消長*

 ついで,肝におけるCOPPの消長をdd系ハツカ

ネズミについて測定した.18匹のネズミにCOPP投 与後,一定の時間ごとに3匹ずつ肝を摘出し,ホモジ ネートとして混合し,コバルト量を測定した,結果は 図2のようである.なお対照として同様にプロトポル フィィリン,硫酸コバルト,燐酸緩衝液投与群をつく り,それぞれの肝についてプロトポルフィリン,コバ ルト量を測定した.結果は図3,4,5のようである.

 COPPの肝における消長は投与プロトポルフィリン

io

5

   x         矧

 ロ ロ

0

 ↑ 1 2 3 4

 2時後間

図2 肝におけるCOPPの消長

0     

6

/\

  

@ 

O

\\卿. .//

    ●

O

o

メ      x

    κ

5678910日

縦軸:全血1g中のコバルト量(μg)

横軸=コップ投与後の日数(日)

  0      5

 COPP 20mg/kg投与,コバルト定量 一・一=静脈内投与

一〇一=:筋肉内投与

縦軸3

    (μ9)

横軸:投与後の経過日数

10

肝1・09(湿量)あたりの被検物質量

表 2一正常家兎に投与したCOPPの臓器分布

動物番号

 1  2  3  4

(平均)

 5  6

(平均)

処  置

COPP

10mg/kg 投 与

的水与

理説 生叢

臓器湿量19中のコバルト量(μ9)

0.20 0。00 0.15 0.00

(0.09)

0.10 0.05

(0.08)

骨髄

0.00 0.15 0.00 0.00

(0.04)

0.00 0.00

(0.00)

筋肉瞬

0.00 0.00 0.00 0.00

(0.00)

0.00 0.00

(0.00)

0.00 0.10 0.00 0.00

(0.03)

0.00 0.00.

(0.00)

田目

0.01 0.40 0.01 0.40

(0.21)

0.00 0.00

(0.00)

小腸

0.40 0.40 0.42 0.00

(0.31)

0.10 0.05

(0.08)

大劇臓

0,13 0.45 0.15 0.20

(0.23)

0.01 0.00

(0.01)

7.15 8,30 7.40 1.40

(6.06)

0,10 0.05

(0.08)

腎臓

0.30 0.40 0.35 0.45

(0.38)

0.04 0.02

(0.03)

肺臓 0.25 0.35 0.30 0.20

(0.28)

0.10 0.05

(0.08)

(3)

15

図3 プロトポルフィリンの消長

10

5

o

10一

図5 COPP投与後のプロトポル

    フィリンの消長

 。1o\

。/  o

o

5

箕〆阪藤一一×

x

0 5 10

プロトポルフィリン18.O mg/kg投与,プロトポ ルフィリン定量.

他は図2に同じ.

  0      5         10 COPP 20.Omg/kg投与,1/15M燐酸緩衝液0・25 ml/一匹投与.プロトポルフィリン定量.

他は図4に同じ.

10

5 0

図4 コバルトの消長

     ●X︵

   O  ●X

 O  ●X \ ! /\︒\ 遍!r

  0      5      10 硫酸コバルト2.Omg(コバルトとして)/kg投与,

コバルト定量.

一×一:緩衝液静脈投与.

他は図2に同じ.

の消長と全く一致しているが,コバルトイオンの消長 とは全く異っている.このことはやはりCOPPが体 内で安定であり,コバルトを遊離しないことを物語っ ている.COPP投与後プロトポルフィリンの消長を 測定した結果もこのことを支持する.

 (*本実験は中央鉄道病院病理検査部,高橋正宣  博士との協同実験による.)

 4.COPP投与家兎臓器の組織学的所見

 家兎5匹に1カ月をCOPP連続投与した後の各臓

器の所見を組織学的にしらべた.1日投与量を1例

20mg/kg,2例に10mg/kg,2例に5mg/kgとして

耳静脈より投与した.対照として2例に緩衝液のみを 投与した.所見を総括すると以下のようである.

 COPP投与全例の肝において,:Kupffer細胞は肥大 し,細胞質に微細な黄色穎粒が高度に密に負食されて いる(写真1).肝実質細胞にもかなり黄色穎粒の存 在が見られるが,分布は散在性である.肝細胞その他 に変性や炎症性変化などは認められない.COPP貧食 の高度な臓器または細胞としては,肝についで脾の脾 髄細胞と細網細胞(写真2),全身の淋巴腺の細網細 胞(写真3)があげられる.ついで副腎皮質とくに糸 毬層における血管内皮などが陽性である.腎・膵・心

・脳・唾液腺・甲状腺・睾丸などにはほとんどCOPP の負食顧粒を見ることはないが.肺大貧食細胞,腸管 淋巴節や固有層の細網細胞にはCOPP投与量の多い 場合,穎粒貧食が認められた.

 肺は1日10mg/kg以上COPPを投与したもので

は多少ともうつ血及び水腫の像が認められた.他の臓 器ではしかしCOPP貧食細胞の出現以外にほとんど 何らの病変も見られなかった.

(4)

表3ハツカネズミの肝と腫瘍におけるCOPPの分布

投与物質  COPP  COPP

プロト・ポル フィリン 硫酸コバルト 生理的食塩水

1回の投与量  mg/kg

COPP(コバルトとして)F9/9

腫 瘍

50 40 45.5 22.5 0.5

16.0 14.6 5.0 6.5 5.2

画 面

12.4 9.2

跡2 痕1

痕跡

 以上の所見を総括すると,静脈内に投与されたCO PPは所謂細網内皮系統にほとんど選択的に立食され るが,肝においてのみ肝実質細胞内にもとりこまれる ものと結論できる.

 5.結節型腫瘍におけるCOPPの分布

 エールリッヒ癌細胞106個をハツカネズミ背部皮下 に移植後,24時間直よりCOPPあるいは対照物質の 腹腔内投与をはじめ,以後10日間1日1回投与を続け た.腫瘍移植後12日目にネズミを殺し,腫瘍と対照臓 器として選んだ肝のコバルト量を測定した.対照物質 としては硫酸コバルト,プロトポルフィリン,生理的 食塩水を使用した.結果は表3である.これから,

COPPが比較的よく腫瘍に移行することが明らかであ

る.

 6.結節型腫瘍のCOPPとりこみの組織学的所見  前報でのべたように1),8×106個の吉田肉腫細胞を ダイコクネズミ背部皮下に接種し,移植後3時間で

COPP投与をはじめ,以後1日1回連続7〜14日間投

与し,最終投与より24時間後に摘出した腫瘍を組織学

的にしらべると,1日50mg/kg以上投与のものに

は,壊死巣周辺または細血管に近い腫瘍細胞の細胞質 内に微細な黄色穎粒を認めることができたが(写真 4),そのような細胞は散在性であった.COPP穎粒 が粗大穎粒状に出現する細胞もたしかに存在するよう に見えるが,腫瘍細胞核の破壊による粗大頬粒状のク チロマン物質の存在がその鑑別を著しく困難にしてい

る.

        結     語

 投与したコバルトプロトポルフィリン(COPP)の 正常家兎臓器内分布をしらべた.

 静脈内投与では2時間目に流血中の量が最大となる が,筋肉・皮下投与ではそのようなピークをつくらず に消長する.

 臓器ではしらべた範囲では肝に最も高いとりこみが 認あられた.

 COPPは体内では分解することなく消長するよう

に見える.

 組織学的には,COPPは肝細胞に若干とりこまれる 以外は専ら細網内皮系細胞を高度に充填した.肺には 大量投与例に水腫・うつ血などが見られたが,他に記 載するべき病的変化はどの臓器にも認められなかっ

た.

 エールリッヒ癌(結節型)にCOPPがかなりとり こまれることが,定量的に示された.

 吉田肉腫(結節型)へのCOPPとりこみは組織学 的にも認あられた.

 終りに御指導を戴いた石川教授,倉田助教授に感謝する・

文 献

1)佐古英=3十全医会誌,印刷中.

2)Saltzman, B. E.3AnaL Chem。,27,284

(1955).   3)Schwartz, S.&Wiko仕, H.

M.3 J.Bio1. Chem.,194,563(1952).     .

       Abstract

 The distribution in normal rabbit organs of cobaltiprotoporphyrine(COPP)administered has been investigated with chemical and histological methods. COPP was remarkably in−

corporated into the liver, spleen,1ympatic glands etc., especially into the reticuloendothelial system・

 The uptake of COPP l)y solid tumor cells(Ehrlich tumor and Yoshida sarcoma)was shown by determination and morphological investigation.

 It was suggested that the splitting of COPP into cobalt and protoporphyrine in the body system does not occur.

(5)

轍、・       無講

1.COPP投与家兎肝

騨謙欝欝

2.COPP投与家兎脾

欝鞍壷鱗灘

3.COPP投与家兎淋巴腺(膵附属淋巴腺) 4.吉田肉腫(結節型)細胞のCOPP     とりこみ(矢印)

参照

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る、というのが、この時期のアマルフィ交易の基本的な枠組みになっていた(8)。

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