博士(理学) 井坂政裕
学 位 論 文 題 名
Hypernuclear structure modified and probed by theA
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hyperon as anlmpurity
(A 粒子が不純物として加わることで変化・プローブされるハイパー核構造)
学位論文内容の要旨
近 年、 大強 度陽 子加 速 器施 設(J‑PARC)の本格稼働や米国Jefferson研究所(JLab) に おける実験により、原子核にsクォークを含むバリオン(ハイペ口ン)を束縛させた ハ イパー核の研究は、これまで 以上に大きく進展しつっある。ハイパー核物理の研究 は 、 バリオン間相互作用の理 解 と バリオン多体系の性質理解 を大きな目的と し て いる。 従来は、質量数10程度までのs'p殻Aハイパー核の研究が 中心になされ、
A粒 子・核子間(AN)相互作用の理解が大いに進展した。今後は、質量数がより大きな、
10‑40程度のp‑sd殻領域や中性子過剰領域等、様々なハイパー核の生成が可能になる。
そ のため、A粒子が加わること で引き起こされる核構造の変 化を調べ、バリオン多体 系 の性質を明らかにすることが 可能になりつっある。特に、p‑sd殻領域では、元の原 子 核に平均場やクラスター(分子的構造)等、様々な核構造が現れるため、A粒子によ る 様々な核構造の変化が期待で きる。
しかし、従来の多くの理論研 究では、ハイパー核の構造をあらかじめ仮定している た め 、A粒子 が引き起こす構造変化を調 べることが困難である。sd殻 領域におけるA 粒 子による構造変化の研究は1980年代にも先駆的な研究がなされているが、当時は相 互 作用が明らかでなく、また核 構造を記述する模型も限定されたものであった。した が って、A粒子が引き起こす構 造変化を明らかにするために は、近年のハイパー核物 理 の進展を取り入れ、sd殻核の 様々な構造を記述可能な理論模型を用いて、ハイパー 核 の系統的・定量的研究を行う 必要がある。
本研究の目的は、p‑sd殻Aハ イパー核の構造を明らかにし 、州立子がもたらす核構 造 の変化を解明することである 。そのために本研究では、平均場やクラスター等の核 構 造 を仮 定し ない 微視 的 模型 である反 対称化分子動力学(AMD)をハ イパー核に拡張 し たGIyperAMD)。AMDは通 常核 の 構造 研究 で成 功を 収 めて おり 、平 均 場や クラ ス タ ー 等の 様々 な核 構造 や 、そ の動 的変 化 を記 述可 能で ある。HyperAMDでは、近年 明 ら かにさ れたAN相互作用を用いること で、ハイパー核構造の系統 的・定量的研究 を 行うことが可能である。具体 的には、A粒子がもたらす核 構造の変化として、以下 の3点にっいて議論する。
1,8軌道及びp軌道のA粒子による 原子核の変形の変化
多く の 原子 核は 球形 で はな く、様々な変形をしてい る。本研究では、HyperAMD を9ABe、13AC、20ANe、21ANeハイ パー核に適用し、A粒子による原子核の変形の変化 ―907―
を 調 べ た 。
そ の 結 果 、 加 わ るA粒 子 の1粒 子 軌 道の 違 い に よ って 変 形 の 変 化 の仕 方 が 異 な るこ と を 明 ら か に し た 。 具 体 的 に は 、
● ( 核 内 の1粒 子 軌道 が )s軌 道のA粒 子 が 加わ る こ と で 、原 子 核 の 変 形は 小 さ く な る こ と
●p軌 道 のA粒 子 が 加 わ る と 、s軌 道 の 場 合 と は 反 対 に 、 原 子 核 の 変 形が 大 き く な る こ と
を 示 し た 。
2. 21ANeの 平 均 場 状 態 と ク ラ ス タ ー 状 態 に お け る 構 造 変 化 の 違 い 20Neは 典 型 的 なsd殻 原 子 核 の ― っ で あ り 、 同 じエ ネ ル ギ ー 領域 に 平 均 場 構造 と ク ラ ス タ ー 構 造 と が 共 存 し て い る 。 両者 の 構 造 は 大 きく 異 な る た め、A粒 子 が 加わ る こ と で 引 き起 こ さ れ る 構造 変 化 は 、 元の 構 造 に よ って 大 き く 異 な ると 期 待 で き る。 そ こ で 、21ANe (20Ne十A)にHyperAMDを 適 用 し 、 そ の 基 底 ・ 低 励 起 状 態 の 構 造 を 、A粒 子 の 束 縛 エ ネ ル ギ ー やA粒 子 の 付 加に よ る 核 半 径の 収 縮 度 合 い の違 い に 着 目 して 調 べ た 。
そ の 結 果 、 以 下 の 点 を 明 ら か に し た 。
●A粒 子 の 束 縛 エ ネ ル ギ ー は 、 平 均 場 状 態 の 方 が ク ラ ス タ ー 状 態 よ り も 大 きい こ と
● 核 半 径 の 収 縮 度 合 い は 、 ク ラ ス タ ー 状 態 の 方 が 平 均 場 状 態 より も 大 き く 、そ の 違 い が21ANeの 励 起 ス ペ ク ト ル や 電 磁 遷 移 確 率 の 変 化 と し て 現 れ る こ と
3.三 軸 非 対 称 核25AMgに お け る 励 起ス ペ ク 卜 ル の 変化
多 く の 原 子 核は 軸 対 称 変 形を し て い る (ま たは、 軸対称 クラ スター 構造を 持つ) のに 対 し 、24Mgは 三 軸 非 対 称 変 形 を し て お り 、 さ ら に 励 起 回転 帯 ご と に 特徴 的 な 構 造 を 持 っ て い る と 考 え ら れ て い る 。 そ の ため 、A粒 子 によ る 励 起 ス ベク 卜 ル の 変 化が 通 常 の 核 と は 異 な る と 予 想 さ れ る 。 そ こ で 本 研 究 で は 、HyperAMDを 用 い る こ と で 、 核 の 変 形 の 軸 対 称 性 を 仮 定 せ ず に25AMgの 励 起 ス ペ ク ト ル の 変 化 を 明 ら か に し た 。 そ の 結 果 、 以下 の 点 を 明 らか に し た 。
●A粒 子 の 付 加 に よ り 、 励 起 ス ペ ク ト ル は 回 転 帯 ご と に 異 な る 変 化 を す る こ と
● 上 記 のA粒 子 に よ る 変 化 の 違 い は 、24Mgに お い て 回 転 帯 ご と に 三 軸 非 対 称 変 形 へ の 依 存 性が 異 な る こ とが 原 因 で あ るこ と
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学位論文審査の要旨 主査 准教授 木村真明 副 査 教 授 羽 部朝 男 副 査 教 授 鈴 木久 男 副 査 教 授 合 川正 幸 副査 准教授 平林義治
学 位 論 文 題 名
Hypernuclear structure modified and probed by theA
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hyperon as anlmpurity
(A 粒子が不純物として加わることで変化・プローブされるハイパー核構造)
博士学位論文審査等の結果について(報告)
近年大型加速器施設
J‑PARCが稼働を開始したことによって、ストレンジクォークを含む 物質(ハイパー核)の実験研究が飛躍的に進展しつっあり、中性子星内部などに現れるストレ ンジクォークを含む物質の知見が大きく広がりつっある。これに対し、ハイパー核の理論 研究の多くは、比較的軽い質量数の系にのみ限定されており、より広範なハイパー核を研 究可能な理論模型が切望されている状況である。
こうした状況に対し本申請論文では、ハイパー核の構造を記述するための新しい理論模 型が開発・提唱され、質量数の大きなハイパー核の理論研究の道が開拓されている。またそ の模型を用いることで、種々のハイパー核の構造が詳細に調べられ、ハイペロンが原子核 構造に及ぼす様々な影響が明らかにされた。本申請論文で示された結果は、既存の観測デ ータを精度よく再現しつつ、同時に今後行われる実験に対する重要な理論的予言を含んで いる。また、その予言に基づき「ハイペロンの不純物効果を用いる事で原子核構造の詳細 を明らかにする」という新しい研究の可能性を示すなど、非常に高い研究水準にある。よ って、本論文は、北海道大学博士(理学)の学位申請論文として審査に値するものと認め ます。
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