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博 士( 理 学 )光 畑 裕司
学位論文題名
Two andaHalf‑Dimensional lVIodeling and Inversion of Controlled‑Source Electromagnetic Exploration Data
(人工信号源電磁探査法データの2.5 次元モデリングおよぴインバージョン)
学位論文内容の要旨
電気・電磁探査法 は資源探査、土木・環境調査、地震・火山防災調査さら に地殻構造 調 査と 幅広 く用 いら れている探査法である。特に電気探査 比抵抗法データの2次元解析 は 、100m以 浅の 浅部 調査 に一 般に 利用 さ れ、 地下水探査や岩盤評価に貢献している。
さらに電磁探査法のr種であるMagnetotelluric (MT)法は、我が国において地熱探査目的 に 精力 的に 技術 開発 が行われ、データの2次元解析は恒常的に実施されており、深度数 kmから 数十krnの 深部 調査 に適 して いる 。し かし 、MT法は 自然 の電 磁 場変動を信号源 としているために、 市街地近郊や電車等の人工ノイズ源が存在する場合、良 質なデータ の 取得 が困 難に なり 、一 観測 点の 測点 に 数日 を費やしてしまう。地下数kmの資源探査 や 放射 性廃 棄物 の地 層処 分に 関連 した 深 部地 質環境調査には、MT法の代わりに、人工 信号源を利用したControlled‑source audio‑frequency MT (CSAMT)法やLong‑offset transient electromagnetic (LOTEM)法の 適用 が考 えら れるが、CSAMT法にはニアフイールドの問 題 、LOTEM法 に は1次元 解析 しか 実用 化さ れて いな いと い った 技術 的問 題点 があ る。
本 研 究 で は 、CSAMT法 やLOTEM法 の そ れ ら 問 題 点 を 克 服 す る た め に 、 人 工信 号源 電磁探査(Controlled‑source electromagnetic,CSEM)法データの周波数領域における2.5次 元モデリングおよび インバージョン技術の開発、また時間領域データを周波 数領域に変 換 する イン バー ジョ ンによるフーリエ変換法の技術開発を 実施した。2.5次元とは人工 信 号源 を3次 元、 比抵 抗構 造を 走向 方向 には 一定であると した2次元構造であるとする 仮定である。開発し たデー夕解析手法の実測データヘの適用事例として、秋 田県由利原 地 域で 取得 され たLOTEMデ ータ につ いて 、イ ンバ ージ ョン によ るフ ー リエ変換法の適 用 、2.5次 元 イン バージョン法 の適用を実施し、その有効性を確認した。以下に本論文 の各章の要約を示す。
第1章で は 、岩 石の比抵抗、 電気・電磁探査法の基礎的な事項について解説し、特に 人 工 信 号 源 を 利 用 し たCSAMT法 とLOTEM法 に お け る ソ ー ス 効 果 に つ い て 説 明し た。
そして、その影響を 評価するために信号源を組み込んだ測線配置と、探査対 象領域を挟 み 込む よう にニ つの 信号源を設置する新しい配置を考案し 、さらに取得データを2.5次 元解析することを提案した。
第2章 で は 、CSEMデ ータ の2.5次元 解析 に必 要と なる フ ァワ ード モデ リン グ手 法を 有限要素法により開 発した。モデリングにソース項を組み込むとそこは特異 点となり、
周辺域での数値解の 精度が低下する。そこで、ソース項を空間的に分配させ 、特異性を 緩和し、精度向上を 図った。また、アイソパラメトリック要素を採用するこ とで任意の 地形を表現できるよ う工夫した。さらに、開発したモデリング手法の信頼性 を、他の既 存結果と比較することにより確認した。
第3章で は 、イ ンバ ージ ョン によ るフ ーリ エ変換法及び2.5次元インバージョン法の
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開発に必要にを る、経験的ベイズ法による不適切逆問題の正則化技術に 関する基礎的研 究成果を解説す る。どちらのインバージョン法においても、本研究では 、解に平滑化拘 束 条 件 を 課 し て お り 、 そ の 拘 束 条 件 と デ ータ ヘの 当て はめ のバ ラン ス をAkaike s Bayesian Information Criterion (ABIC)により調節している。経験的ベイズ法はABICの基 礎となる技術で あり、この章ではその特性を簡単な事例、数値実験例を 通して詳細に調 査研究している 。
第4章 では 、インバー ジョン法により時間領域データを周波数領域データにフ ーリエ 変換する手法の 研究開発について説明する。本手法は、データに含まれ るノイズの影響 や、ノイズの相 互相関の影響を考慮できるだけでをく、インパルス応答 だけでなくフラ ックスゲート磁 力計で測定されるステップ応答もフーリエ変換できるな ど、高速フーリ エ 変換 では 対処 でき ない こと が 可能 とな って いる 。さ らに 、実 際のLOTEM法デ ータに 適用し、ノイズ が大きなデータに対しても高速フーリエ変換に比べて、 安定した結果が 得られることを 示した。
第5章 で は 、CSEM法デ ータ の2.5次 元イ ン バー ジョ ン法 の研 究開 発結 果に つい て説 明する。数値実 験の結果、平滑化拘束条件の採用により解析結果の初期 モデルの依存性 が低下し、また データノイズのレベルに応じて平滑化が調節されること が明らかになっ た。また、一つ の信号源を用いただけでは、解析結果は信号源の位置に 大きく依存し、
真のモデルに近 い結果を得るのは難しいことが理解された。そして調査 対象領域を挾み 込むようにニつ の信号源を設置することで、インバージョンの収束過程 は安定し、満足 の 行く 解析 結果 を得ることができた。さらに、実際 のLOTEMデータに本手法を適 用し、
深 度 約1kmま で はMT法 の 調 査 結 果 と 調 和 す る結 果が 得ら れた 。調 査地 域の 比抵 抗が 非常に低いため 、より深部の探査にはさらに低周波数のデータが必要で あることが示唆 された。
第 6章 で は 、 本 研 究 の 結 論 と 、 今 後 の 展 望 に つ い て 記 述 す る 。 最後 に、 本研 究により人工信号源電磁探査法デー タの2.5次元解析が可能とな り、こ れ まで の電 気探 査比 抵抗 法やMT法に 加え て、この新しい探査手法の利用が実用 化され ることとなるで あろう。
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学 位 論 文 審 査 の 要旨 主査 教授 西田泰典 副査 教授 蓬田 清 副査 助教授 茂木 透 副査 教授 小川康雄
(東京工業大学火山流体研究センター)
.学位 論文題 名
Two andaHalfDimensional Modeling and Inversion of Controlled‑Source Electromagnetic Exploration Data
(人工信号源電磁探査法データの2.5 次元モデリングおよびインバージョン)
近年、地震・火山活動に関連する地殻構造調査に電磁探査法が適用されてきている。電 磁探査法はこれまで、金属鉱床や地熱資源の探査を中心に、開発・.適用されてきたが、結果 として得られる地下の比抵抗分布は、地震活動に関連する深部流体の存在を捉え、また比抵 抗不連続部として活断層の存在を抽出することができる。しかしその多くは、電磁探査法と して、自然界の電磁場変動を利用したMT(MagnetoteUuric法が中心に適用されている。MT 法には、デー夕解析は容易であるが、鉄道ぬどの人工的なノイズ源がある場合、良質なデ一
夕の取得は困難であるといった問題がある。一方、接地電線などを送信源とした人工信号源 電磁探査(Controlled‑source electromagnetlc,略してCSEM)法は、ノイズに強く、また迅速な
現場調査が可能であるとった利点がある。しかし、そのデータの解析は地下を水平多層構造 と仮定した1次元解析が中心であり、送信源から十分に離れた受信点においてのみ、平面波 入射を仮定し、従来の2次元解析が実施されている。実際、送受信点間に異常体が存在する 場合、リパーサルと呼ばれる極性反転を示すデ一夕が生じ、それは1次元解析では説明でき ない。また平面波近似の制約から低周波データの解析ができないといった問題が生じている。
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本 論 文 は 、 こ の よ う なCSEM法 デ ー 夕 解 析 の 問 題 点 を 克 服 す る た め に 、 ま ずCSEM法 デ ータの 周波数 領域に おける2.5次元 モデリ ングおよ びイン パージ ョン技 術を開 発している。
2,5次 元 と は 人工 信 号 源 を3次元 、 比 抵 抗構 造 を 走 向方 向 に は 一定 で あ ると した2次 元構造 で あ る と する 仮 定 で ある。 著者は 、有限 要素法に よるモ デリン グを実 施し、 任意の 地形が 表 現 でき る よ う アイ ソ パ ラヌト リック 要素を 採用し ている 。さらに 任意の 場所に 送信源 を配置 で き るよ う 、 擬 似デ ル夕 関数に 従い送信 源を空 間的に 配分す るよう 工夫し ている 。また イン パ ージョ ンの不 安定性 を避け るため にモデ ルパラ ヌータの 平滑化 を拘束 条件と して考慮し、
デ ー タ ヘ の当 て は め と拘束 条件の バラン スを経 験的ベイ ズ法に 基づく 情報量 規準に より調 節 し て いる 。 さ らに時 間領域 デ一夕 を周波 数領域 に変換す るイン パージ ョンに よるフ ーリ工 変 換 法 を考 案 し 、 開発 を 実施し ている 。そし て、送 信源か ら受信 点問全て の地下 領域を 解析対 象 と する こ と で 、平 面波近 似を必 要とせ ず、リ パーサ ルデータ も説明 できる ことを 示して い る 。 また 、 送 信源 を今ま でのー つでは なく、さ らに追 加する ことで 、イン バージ ョンが 安定 化し、信頼性の高bゝ解析結果が得られることを示してbゝる。
こ れ を 要 する に 、 著 者は 、 人 工 信号 源 電 磁 探査 法 の デー 夕解析 につい て、特 に送信 源も 考慮 した多 次元解 析の必 要性お よび多重 信号源 配置の 必要性 という 新知見 を得た ものであり、
今 後 の人 工 信 号 源電 磁 探 査 法の 地 球 科 学への 適用さ らには 資源探査 ・土木 ・環境 問題へ の適 用 に 対 し て 、 そ の 技 術 開 発 に お い て 貢 献 す る と こ ろ 大 な る も の が あ る 。 よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を 授与 さ れ る 資格 あ る も のと 認 め る 。
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