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博 士 ( 理 学 ) 保 坂 晴 美

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 保 坂 晴 美

     学位論文題名

Structural studies ofaprotein at ribosome decoding site      (リボソーム解読領域に位置するタンパク質の構造学的研究)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  生体内において生命維持に必須であるタンパク質を合成する機構は,多くの反応段階から成り立ってい る,この一連の反応には数多くの分子が関与しているが,中心的な役割を担っているのはりボソームである.

リポソームはmRNAを介してDNAの遺伝情報の翻訳を行しゝ,アミノ酸を重合させてタンパク質を合成する 細胞内小器官であり,生物の細胞中に普遍的に存在する.真正細菌や古細菌のりボソームは,50Sと30S 大 小 各 一 個 づ っ の サ ブ ュ ニ ッ 卜 か ら 構 成 さ れ る り ボ 核 酸 夕 ン バ ク質 の 複 合体 粒 子 であ る .   リボソームサブュニットの構造解析に先行して,これまでに約4割のりボソームタンバク質の立体構造 が解明された.リボソームタンパク質の多くがRNA結合夕ンバク質であり,リポソームの活性中心である RNAの構造形成の役割を担っている.解析されたりボソームタンバク質には,新規あるいは既知の核酸結 合モチーフが見られ,核酸結合夕ンバク質の進化に関して多くの知見が得られた.また,真正細菌のりポソ ームタンバク質には,リポソームタンバク質オベ口ンより転写されるmRNAと結合することで翻訳を抑制 するものがいくっか確認されている.生命維持に必須なりボソームの構成成分であるりボソームタンパク質 は,あらゆる生物種間で非常によく保存されている.リボソームは現存生物の共通の祖先の頃から保存され たRNA‑夕ンバク質コアを持っていると考えられる.その構成成分であるりボソームタンパク質の構造を解 析することは,核酸結合夕ンパク質の原点,夕ンパク質―核酸認識の基本的な機構についての知見が得られ ることが期待できる.

  地球上の生命は,真正細菌・古細菌・真核生物と大きく3つに分類することができる.古細菌は,全て の生命に共通な祖先に最も近い現存の生物であると考えられている.古細菌由来のルボソームタンバク質の 構 造 を 解 析 す る こ と は , 核 酸 結 合 夕 ン パ ク 質 の 進 化 を 追 う 上 で 必 要 不 可 欠 で あ る .   S7はりボソームの30Sサブユニッ卜のへッドを構成するタンパク質である.16S rRNAの3|大ドメインと 結合することによって,30Sサブュニットのヘッド領域の初期段階会合における中心的役割を果たす,また,

Eサイトに結合したtRNAとコンタクトする位置にあり,遺伝暗号解読にも何らかの役割を果たしているこ とが期待されている.真正細菌由来S7はフレキシブルなN末領域を中心にして16S rRNAと結合すること がわかっている.しかし,古細菌S7ではN末の領域が真正細菌S7に比べて約50残基長く,またPyrococcus horikoshii由来S7ではrRNA結合ループに20残基の挿入があることなど,構造上の重要な違いが存在する.

  そこで本研究では,X線結晶構造解析によって中度好熱細菌Bacillus stearothermophilusおよび超高度好熱 古 細 菌Pyrococcus horikoshii由 来 リ ボ ソ ー ム タ ン バ ク 質S7の 立 体 構 造 決 定 を 行 っ た .     −13 ‑

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第1章中度好熱細菌Bacillus stearothermophilus由来S7のX線結晶構造解析

  8ロcillus steロrother′竹ophiluぷ由来リボソームタンパク質S7 (BstS7)の構造解析は,セレノメチオニン置換体 を用いた多波長異常分散法により行った,最終的に,8.0−2.sAのデータにおいてR‑factor=22.5ゲ。,free尺―

factor=27.3 010の構造を得た.構造解析の結果,S7は5本のへりックスからなる疎水コアドメインと,この疎 水コアドメイン から突出したロリボンのアー ムからなる構造をとってい た.進化上保存された塩基性残基,

芳 香族 残基 は分 子の 片 面に 集中 して おり ,ロルボンのアーム を中心としたその領域が16S rRNAとの結合部 位であると考えられる.

2章 超高 度 好熱 古細 菌Pyrococcus horikoshii由来S7のX線結晶構造解析   Pyrococcus horikoshii由来 リボ ソー ム タン パク 質S7

(PhoS7)の 構造 解析 は ,分 子置換法により行った,BstS7 の 構造 をサ ー チモ デル とし て回転および並進関数を 計算 し ,初 期位 相 を得 た. 構造 解析の結果,真正細菌と 一次 構 造の 保存 性 がな いN末(1‑65残基 )の う ち,1842 基 はaヘリ ック スが 形 成す る疎 水コ アと 疎 水コ ンタ クト を保ち,44‑62残基は見えなかった(図1).既に解析され て い る 真 正 細 菌 由 来30Sサ ブ ュニ ット ,70Sリ ボソ ーム の 構造 に重 ね 合わ せる こと で,真正細菌由来S7と古 細菌 由 来S7と のrRNA結 合 様式 の違 いを 明ら か にす るこ とが できた,

3ribosomal protein S7RNAの 複 合体 結晶 解析 に 向 け た 研 究

  S7は翻 訳制 御を行う りボソームタンパク質のー つであり,自分自身をコード する遺伝子を含むstrオペロ ンに 結合 し, 翻 訳を 抑制 する . S7mRNAに おけ る結 合部 位は 生化学的研究 により明らかになっている.

結合 領域 であ るmRNAフラ グメ ント とS7と の複 合体 の 結晶 構造 を解 析す る こと を目 的と し,その前段階と し て , 結 晶 化 に 適 し たmRNAフ ラ グ メ ント の調 製及 びmRNAフラ グメ ン卜 とS7の 結合 能の 確認 を 行っ た,

RNAは 一 般的 にruno仟 加vitro transcriptionによ り合成する.しかし,この方 法で合成されるRNAは末端の 長さ が不 揃い と なり 結晶 化に は適 さ ない .従 って セ ルフ スプ ライシング活性 をもつribozymeを目的RNA 両 端 に も つ RNAを 合 成 す る こ と で , 両 端 の 揃 っ た 均 一 な サ ン プ ル を 調 製 し た .

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学位論文審査の要旨

主査  教授  田中  勲 副査  教授  新田勝利 副査  助教授

  

渡邉信久

副査  教授  木村  誠(九州大学大学院農学研究院)

    

学 位 論 文 題 名

Structural studies ofaprotein at ribosome decoding site     

( リ ボ ソ ー ム 解 読 領 域 に 位 置 す る タ ン パ ク 質 の 構 造 学 的 研 究 )

  

生体内において生命維持に必須であるタンパク質を合成する機構は,多くの 反応段階から成り立っている,この一連の反応には数多くの分子が関与してい るが,中心的な役割を担っているのはりボソームである.リボソームはmRNAを 介して

DNA

の遺伝情報の翻訳を行い,アミノ酸を重合させてタンパク質を合成 する細胞内小器官であり,生物の細胞中に普遍的に存在する.真正細菌や古細 菌のりボソームは,

50S

と30Sの大小各一個づっのサブュニットから構成され るりボ核酸タンパク質の複合体粒子であり,両方のサブュニットを合計すれば,

計3種のRNAと約50個のタンパク質から構成されている.

  

リボソームタンパク質

S7

は30Sサブュニットの^ッドを構成するタンパク質 である,  16S rRNAの

3

大ドメインと結合することによって,30Sサブュニット の^ッド領域の初期会合において中心的役割を果たす,また,Eサイトに結合し たtRNAとコンタクトする位置にあり,遺伝暗号解読部位に唯一存在するタンパ ク質であり,遺伝暗号解読にも何らかの役割を果たしていることが期待されて い る.真正細 菌由来

S7

と比べて古細菌

S7

ではN末の領域が約

50

残基長く,ま たrRNA結合ループに挿入があることなど,構造上の重要な違いが存在する,本 研 究 で は ,

X

線 結 晶 構 造 解 析 に よ っ て 中 度 好 熱 真 正 細 菌

Bacillus stearothermophilus

およぴ超高度好熱古細菌Pyrococcus horikoshii由来リポ ソ ームタンパ ク質

S7

の立体 構造解析を ,それぞれ2.5A,

2

.1Aで行った.

  Bacillus stearothermophilus

由来リポソームタンパク質S7(ぬtS7)は5本 のヘリックスからなる疎水コアドメインと,その疎水コアドメインから突き出 た8アームからなる構造をとっていた.進化上保存された塩基性残基,芳香族 残基は分子の片面に集中しており,その領域が

16S rRNA

との結合部位であると 推定された.  Pyrococcus horikoshii由来リボソームタンパク質S7 (PhoS7)の 構造解析では,真正細菌と一次構造の保存性がないN末(1―65残基)のうち,

(4)

18

―42残基はQヘリックスが形成する疎水コアと疎水コンタクトを保ち,疎水コ アーの安定化に寄与すること,44−62残基はフレキシブルな構造をとることが示 された,また,両タンパク質と

70S

リボソームの構造を重ね合わせるニとで,

真正細菌由来

S7

と古細菌由来S7との

rRNA

結合様式の違いを明らかにし,リボ ソ ー ム の 進 化 と タ ン パ ク 質 の 役 割 に っ い て 重 要 な 知 見 を 得 た .

  

以上,本研究は,リポソームの解読領域にあるタンパク質の構造を原子分解 能ではじめて明らかにし,翻訳粒子であるりボソームの中でのタンパク質の働 きについて重要な知見を与えた,本研究が生物科学に及ぼす貢献には多大なも のがあると考えられ,よって審査員一同は申請者が博士(理学)の学位を得る 十分の資格があるものと認めた,

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参照

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