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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 工 学 ) ケ イ ノ ヾ ニ ソ メ エ ア ブド ラ

    学位論文題名

    Corrosion‑Protection of Reinforced Concrete     h/Iembers by GalVanlZedSteelFiberS

(亜鉛めっき鋼繊維による鉄筋コンクリート部材の防食に関する研究)

学位論文内容の要旨

  コンクリート構造物は、社会資本の根幹をなし、快適で高性能な生活・産業 空間を造るために、その一翼を担ってきたが、近年コンクリートの腐食が社会 の重大な関心事となっている。スパイクタイヤの禁止による融氷剤の使用、海 洋などの厳しい環境への進山による海水作用、さらに海砂の利用などによって コンクリート構造物は腐食環境に晒される機会が多くなってきた。コンクリー 卜巾の鉄筋が腐食すると、鉄筋の周囲の腐食生成物の膨張によってコンクリー トと鉄筋との問にひび割れを生じ、コンクリートのかぶりの剥落、っいには崩 壊に至る。腐食は自然に起こる電気化学的反応であり、腐食生成物はもとの鋼 の体積の3倍以上に達すると言われている。この体積変化がコンクリートの縦 ひび割れ発生の主な原囚となる。塩化物は鉄筋表面の不動態皮膜を破壊し、鉄 筋コンクリート部材巾の鉄筋の腐食を促進する。腐食により鉄筋コンクリート 部柑が劣化すると補修または場合によっては架け換えが必要となる。こうした 劣 化 か ら 橋 梁 や港 湾 施設 を 守る た めに 莫 大な 費 用が 費 やさ れ て いる 。   この腐食問題に対する対策のーっとして、本研究ではコンクリートに亜鉛め っき鋼繊維を混合し、塩化物イオンの侵入による腐食を抑える防食方法を捉案 する。亜鉛めっき鋼繊維が鉄筋と接触している場合には、亜鉛めっき鋼繊維は 犠牲陽極として働き、亜鉛めっき鋼繊維はコンクリート中の鉄筋の腐食を抑制 し、さらにひび割れの成長を遅らせる。一方、コンクリート中ではアルカリ性 が高いため、亜鉛の溶解による水素ガス発生が問題となる。本研究では炭酸水 素ナトリウムおよびクロム化合物を用い、亜鉛めっき鋼繊維からの水素ガス発 生抑制効果を調べた。

  本論は第1章から第13章で成り立っている。

  第1章〜4章ではコンクリート巾の鉄筋の腐食にっいての既往の研究を調べ たもので、セメント成分、塩素イオン、酸素などによる要因および防食方法と して、コンクリーートに対しては水密性、混和樹半k鉄筋に対してはコーティン グ、カソード防食、亜鉛めっき鉄筋の効果などを調べ、腐食の測定法として自 然電位法、分極法、電気抵抗法などを述べたもので次章からの研究の背景をな すものである。

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(2)

  第5章 〜7章では 鋼繊維コ ンクリー トのカ学的 特性につ いて実験およびカ¥析 によ って調べ たもので 、鋼繊維 による変形 靭性性能 、強度特性にっいて明らか にし ている。 またりサ イクル繊 維を用いた 補強コン クリートの引張強度、曲げ 強度、せん断強度についても明らかにしている。

  第8章は コン クリートマ トリック ス中の鉄 筋の腐食 、鋼繊維 の防食効 果など を可 規的にシ ミュレー トするた めに、改良 フェロオ キシルテストを用い、透剛 な寒天グル中の鋼繊維および鉄筋の電気化学的腐食過程を肉II艮で観察した。こ の手法は鋼繊維ならびに鉄筋の腐食の初!明段階を理解するのに有効であり、苛 酷な 腐食条件 下での鉄 筋の腐食 プロセスに おける鋼 繊維の役割を理解するのに 有効であることが判った。

  第9章は35℃の 乾 燥と 塩 水 噴霧 の 繰り 返 し 腐食 促 進試 験 に よっ て 、亜 鉛め っき 鋼繊維を 混入した 鉄筋コン クリート部 材の腐食 挙動を表面の亜鉛めっき鋼 繊 維 に注 目 して 訓 べ た。 そ の 結果 コ ンク リート表 面から数mm程度に亜 鉛めっ き鋼 繊維の腐 食が認め られ、そ の内部では ほとんど 腐食は認められなかった。

  第10章 は腐 食 促進 試 験 によ る 主鉄 筋 の腐食 状態を調 べたもの で、主鉄 筋に は亜 鉛めっき 鋼繊維に よる薄い 錆が残って いたが、 明らかな腐食は認められな く 、 亜 鉛 め っ き 鋼 繊 維 の 犠 牲陽 極 作用 に よ る防 食 効 果が 明 らか と な った 。   第11章 はコ ン クリ ー ト 中に お いて 亜 鉛めっ き鋼繊維 が鉄筋と 接触する と亜 鉛め っき部分 が犠牲陽 極として 働くメカニ ズムにっ いて、不動態条件、一般の 腐 食 状態 、 ピッ チ ン グ腐 食 状 態、 定 電位 条件の場 合にっい て明らか にした。

  第12章 は炭 酸 水素 ナ ト リウ ム を用 い 、また 種々のク ロム化合 物を用い て、

亜鉛 めっき鋼 繊維から の水素ガ ス発生抑制 率を調べ た。その結果、炭酸水素ナ 卜リ ウムある いは、ク ロム化合 物の種類お よび量に よって水素ガス発生抑制率 は異 なること 、これら の抑制剤 を適量用い ることに より水素ガス発生を抑制出 来ることが)|!I亅った。クロム化合物を用いる場合にはコンクリート構造物からク ロム が溶山し 、自然環 境に悪影 響を与える ことを考 え、降雨モデル試験を行っ た。その結果溶f」.i量は水道水質基準に定められている六価クロム量より少ない ことが確認された。

  第13章は結諭である。

(3)

学位論文審査の要旨

    学位論文題名

    Corrosion‑Protection of Reinforced Concrete     Members by GalvanlZedSteelFiberS

(亜鉛めっき鋼繊維による鉄筋コンクリート部材の防食に関する研究)

  近年スパイクタイヤの禁止による融氷剤の使用、海洋などの厳しい環境への 構造物の進出、さらに海砂の利用などによってコンクリート構造物は腐食環境 に晒される機会が多くなり、鉄筋コンクリートの腐食が社会の重大な関心事と なっている。

  本論文ではコンクリートに亜鉛めっき鋼繊維を混入し、塩化物イオンの浸入 による腐食を抑える防食方法を提案している。亜鉛めっき鋼繊維が鉄筋と接触 している場合には、亜鉛めっき鋼繊維は犠牲陽極として働き、コンクリート中 の鉄筋の腐食を抑制し、さらに鋼繊維の作用によりひび割れの成長を遅らせる。

一方、コンクリート中ではアルカリ性が高いため、亜鉛の溶解による水素ガス 発生が問題となる。本論文では炭酸水素ナトリウムおよびク口ム化合物を用い ることによる、亜鉛めっき鋼繊維からの水素ガス発生抑制効果を調べている。

  本論文は第1章から第13章で成り立っている。

  第1章〜4章ではコンクリート中の鉄筋の腐食にっいての既往の研究を調べ たもので、セメント成分、塩素イオン、酸素などの腐食要因、防食方法として、

コンクリートに対しては水密性の向上、混和材料の使用、鉄筋に対してはコー ティング、カソード防食、亜鉛めっき鉄筋の効果などを調べ、腐食の測定法と して自然電位法、分極法、電気抵抗法などにっいてまとめたもので次章からの 研究の背景をなすものである。

  第5章〜7章では鋼繊維コンクリートのカ学的特性について実験および解析 によって調べたもので、鋼繊維による靭性および強度特性について明らかにし ている。

  第8章はコンクリートマトリックス中の鉄筋の腐食、亜鉛めっき鋼繊維の防

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昇治 志雄

   

   

英博 達 伯田 沼川 佐鎌 大石 授授 授授 教教 教教 査査 査査 主副 副副

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食効果などを可視的にシミュレートするために、改良フェロオキシルテストを 用い、透明な寒天グル中の鋼繊維および鉄筋の電気化学的腐食過程を肉眼で観 察している。この手法は鋼繊維ならびに鉄筋の腐食の初期段階を容易に観察で き、苛酷な腐食条件下での鉄筋の腐食プロセスにおける亜鉛めっき鋼繊維の役 割を理解するのに有効である。

  

9

章は35℃の乾燥と塩水噴霧の繰り返し腐食促進試験によって、亜鉛めっ き鋼繊維を混入した鉄筋コンクリート部材の腐食挙動を表面の亜鉛めっき鋼繊 維に注目して調べている。その結果コンクリート表面から数mm程度に腐食が認 められ、それ以上の内部では腐食は起こっていないことなどの防食挙動にっい て明らかにしている。

  

第10章は腐食促進試験によるコンクリート中の主鉄筋の防食状態を調べた もので、主鉄筋には亜鉛めっき鋼繊維による薄い錆が残るが、顕著な腐食は認 められなく、亜鉛めっき鋼繊維の犠牲陽極作用による防食効果が明らかにされ ている。

  

第11章はコンクリート中において亜鉛めっき鋼繊維が鉄筋と接触すると亜 鉛めっき部分が犠牲陽極として働くメカニズムにっいて、不動態条件、一般の 腐食状態、ピッチング腐食状態、定電位条件の場合にっいて考察している。

  

第12章は炭酸水素ナトリウムを用い、また種々のク口ム化合物を用いて、

亜鉛めっき鋼繊維からの水素ガス発生抑制率を調べている。その結果、炭酸水 素ナ卜リウムあるいは、ク口ム化合物の種類および量によって水素ガス発生抑 制率は異なること、これらの抑制剤を適量用いることにより水素ガス発生を抑 制できることを明らかにしている。またク口ム化合物を用いる場合には自然環 境に及ばす影響を考慮し、降雨モデル試験を行って、その安全性にっいて明ら かにしている。

  

13

章は結諭である。

    

これを要するに、著者は、亜鉛めっき鋼繊維によるコンクリー卜構造物の 鉄筋の防食法にっいての新知見を得たものであり、コンクリート工学に貢献す るところ大なるものがある。

  

よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと 認める。

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