• 検索結果がありません。

学位論文内容の要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文内容の要旨"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 農 学 ) 小 西 和 彦

学 位 論 文 題 名

Systematic study on the genus Netelia Gray from Japan       (Hymenoptera, Ichneumonidae)

(日本産アメバチモドキ属の体系学的研究(膜翅目:ヒメバチ科))

学位論文内容の要旨

  アメパチモド キ属は鱗翅目幼虫の外部寄 生蜂で、多くの種が森林性であることから森林害虫の 生物的防除に有 効な種が多いと考えられて おり、また、畑作物の重要害虫であるタパコガ類の天 敵として研究さ れている種も含まれ、農林 業害虫の天敵として極めて重要な昆虫群である。本属 はヒメバチ科の 中でも最も種数の多い属の ーつであり、ほとんどの種で体色が一様に黄褐色を呈 し種の識別が困 難なことから、誤同定や不 適切な類縁解析に起因する分類上の混乱がしばしば生 じていた。雄交 尾器形態が本属の種の識別 に有効であることが1938年に明らかにされて以来、北 米やヨーロッバ などの種については分類学 的再検討が行われてきたが、雄交尾器形態を使わずに 同定され記録さ れてきた日本産の種につい ては未検討のままであり、記録の際に用いられた標本 の 再調 査を 含む 分類学的再 検討が必要とされていた。 アメバチモドキ属には現在ま でに11亜属 が認められてい るが、後脚の爪の形態で特 徴づけられているApa tagium亜属を除いてはいずれも その単系統性に 疑義が生じていた。

  本研究では日 本産アメパチモドキ属を対 象に分類学的再検討を行い、種レベルでの同定を可能 にするとともに 、成虫の外部形態形質を用 いて種間の系統解析を行い、亜属の単系統性を検討し た。

1.分類

  ア メパ チ モド キ属 はこ れま で 日本 から6亜 属24種が知られていたが 、その記録に用いられた 標本 はも と より 、全 国から新たに採集さ れた標本をも検討した結果、1復活亜属、1日本新記録 亜 属 、26新 種 お よ び19日 本 新 記 録 種 を 含 む 、8亜 属64種が 認め ら れた 。ま た、 従来 日 本か ら記録されていた種の 内5種についてその記録が誤 同定に基づくことを明らか にし、日本産種の りストから削除した。

  種 分類 日 本産64種 全種 につ い て記 載あ るい は 再記 載を 行っ た。 記 載に際して新たな種分類 形質の探索を行った結 果、Prosthodocis亜属およ びParophel tes亜属の卵巣成熟卵の形、卵殻表 面構造および卵柄の位 置、Apa tagium亜属の後脚爪の櫛歯の間隔、Pros thodocis亜属における中 胸背 板と 後 体節 の色 彩、Netelia亜属にお ける後体節第1節の長さと幅 の比が有効な形質である

‑ 122

(2)

ことを見いだした。ま た、雄交尾器形態に関して も、従来よりも立体構造に留 意しながら比較し た結果、Bessoba tes亜属において把握器内面の帯 状の硬化部がねじれる位置や、把握器内面のオ ーバーハングの有無が種の識別に有効であることを明らかにした。

  数種について分類学 的変更を行った。Paniscusロigr ino toをPaniscus melanuraの同物異名と した。Parabates亜属 からBessoba tes亜属へ移さ れていたishiharaiをParaba tes亜属へ戻した。

ま た 、Ne telぬ 亜 属 の 一 員 と し て 記 載 さ れ たsavchenkoiをParophel tes亜 属 へ 移 し た 。   従来日本から記録されていたNetelia亜属の5種、dilatata、r uscicornis、 gr umi、nigriventris.

orientalisは、記録さ れた際に使われた標本を再 調査した結果全て誤同定であ り、全国より採集 さ れ た 標 本 の 中 か ら も 見 い だ さ れ な か っ た こ と か ら 、 日 本 産 種 の り ス ト か ら 削 除 し た 。   種の識別に重要な雄 交尾器を日本産全種につい て図示した。亜属毎に、雄交 尾器以外の形質を も多く用いた種への検索表を作成した。

  亜 属 分 類Ne telia亜 属 の 同 物 異 名 と さ れ て い たAmebachia亜 属 を 独 立し た亜 属と した 。 Amebachia亜属のタイ プ種であるねibar anaはこれ までNetelia (Netelia) laevisの同物異名とさ れて いた が、舶ibaranaのタイプ標本を調査し たところ別種であることが 明らかとなった。その 頭部 の形 質や雄交 尾器の把握器や陰茎の形質 がNetelia亜属のそれとは一 致せず、また、陰茎の 形 質 は ど の 亜 属 とも 異な っ てい るこ とか らAmebachぬ を 独立 した 亜属 と すべ きと 判断 レた 。   従 来記 録がなか ったParabates亜属を日本か ら記録し、本亜属が陰茎瓣 基甲の形状で特徴づけ られることを明らかにした。

  以上の変更点を反映した日本産8亜属への検索表を作成した。

2.系統

  亜属 の単 系統 性を 検討するために、成虫の形 態形質を用いて日本産アメバ チモドキ属8亜属6 4種 間の 系 統推 定を 行っ た。 形 態デ ータ には雌 雄より計52形質を抽出して用 い、雄交尾器の細 部構造や卵巣卵 の形態などこれまでほとん ど注目されたことの無い形質も含めた。アメバチモド キ属と同族のPhytodietus属から2種と、同 じ亜科内の別族のTr yphon属 から1種を外群として加 えた。形質の重 み付け方法を変えて、以下 の6通りの最節約法による解 析、すなわち、形質を重 み付けしない解 析、一致指数または修正一 致指数を用いたsuccessive weightingによる解析、K=

1、3または5を 用いたimplied weightingに よる解析を行った。これらによって得られた樹形より 以下の点が明ら かとなった。

  1)全ての解 析で、Bessoba tes亜属、Parabates亜属、Toxochiloides亜属、Apa tagiumZIE属の tristrigata種 群、Apa tagium亜属のobesis種群は単系統群になり、Apa tagium亜属tristrigata 種群とAmebachia亜属は姉妹群関係になった 。

  2)これまで 単系統と考えられてきたApa tagiuruZE属は全ての解析で多系統群になり、この亜 属の共有派生形 質と考えられていた後脚爪 の形質は種群毎に独立に進化したことが示された。こ の こ と か らApa tagium亜 属 は 種 群 毎 に 別 亜 属 に 分 け る べ き で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。   3)形質に重 み付けをした全ての解析で、 上記に加えて、Parophel tes亜属が単系統群になり、

Paraba tes亜属 とParophel tes亜属は姉妹 群関係になった。

123 ‑

(3)

4)以上のことから、Bessobates丶Parabates丶Toxochiloides丶Parophelteの各亜属が単系統 群である可能性の高い ことが示されたが、Netelぬ亜属とPr os thodocis亜属の単系統性と Apa tagium亜属obesis種群の系統的位置についてはさらに検討が必要である。

124 ‑

(4)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Systematic study on the genus Netelia Gray from Japan     (Hymenoptera ,Ichneumonidae)

(日本産アメバチモドキ属の体系学的研究(膜翅目:ヒメバチ科))

  本 論 文 は 図580、 表1を 含 む 総 頁 数251の 英 文 論 文 で あ り 、 他 に 参 考 論 文8編 が 添 え ら れ てい る。

  アメパチモドキ属は麟 翅日幼虫の外部寄生蜂で、 農林業害虫の天敵として極め て重要な昆虫 群 である。本属はヒメパ チ科の中でも最も種数の多 い属のーつである上、種の識 別が困難なこ と から、分類上の混乱が しぱしば生じていた。雄交 尾器形態が本属の種の識別に 有効であるこ と が明らかにされて以来 、北米やヨーロッパなどの 種については分類学的再検討 が行われてき た が、日本産の種につい ては未検討のままであった 。また、アメパチモドキ属に は現在までに 11亜 属 が 認 め ら れ て い る が 、 そ れ ら の 単 系 統 性 に は 疑 義 が 生 じ て い た 。   本研究では日本産アメ パチモドキ属を対象に分類 学的再検討を行い、種レベル での同定を可 能 にするとともに、成虫 の形態形質を用いて種間の 系統解析を行い、亜属の単系 統性を検討し た 。

1.分類

  本 属 は こ れ ま で 日 本 か ら6亜 属24種 が 知 ら れ て い た が 、1復活 亜属 、1日本 新記 録亜 属 、 26新 種 お よ び19日 本 新 記 録 種 を 含 む 、8亜 属64種 が 認 め ら れ た 。 ま た 、 従 来 日 本 か ら 記 録 さ れ て い た 種 の 内5種 に つ い て そ の 記 録 が 誤 同 定 に 基 づ く こ と を 明 ら か に し た 。   種 銓 類 日 本 産64種 全 種 に つ い て記 載あ るい は 再記 載を 行っ た。 新 たな 種分 類形 質の 探 索 を行った結果、Prosthodociお亜属およびParopheltes亜属の卵巣成熟卵の形態、雄交尾器の立体構 造など、いくつ かの有効な形質を見いだし た。

  数種について分類学的変更を行った。Paniscus蝋grinotaをPanf蛔 ,縦細脚の同物異名とした。

, ぬ跏 ぬ畑 亜属 へ移 されて いた紬訊洲fを勵mぬ舩亜属へ 戻した。また、肌をぬ亜属 の一員とし

125 ‑

明 裕

一 宏

正  

  信

訪 藤

元 原

諏 齋

秋 大

授 授

授 授

   

   

教 教

教 教

助 助

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

て記載されたsavchenkoiをParop触舩亜属へ移した。

  従来日本から記録され ていた舵胞ぬ亜属の5種、め 轟ぬ幻、血虻をDMむ、ゲ鮒f丶冖けfvP門艢、

。rをn紅ぬは、記録され た際に使われた標本を再調 査した結果全て誤同定であり、全国より採集 さ れ た 標 本 の 中 か ら も 見 い だ さ れ な か っ た こ と か ら 、 日 本 産 種 の り ス ト か ら 削 除 し た 。   亜 属 銓 類 舵 紹 施 亜 属 の 同 物 異 名 と さ れ て い たAmめ ロ 曲 血 亜 属 を 独 立 し た 亜 属 と し た 。 舶Pぬ出血亜属の頭部の 形質や雄交尾器の把握器や陰 茎の形質が脆をぬ亜属のそれとは一致せず、

また 、陰 茎の 形 質は どの 亜属 とも異なってい ることから舳め鋤ぬを独立し た亜属とすぺきと判 断し た。 従来 記 録が なか ったPロmぬ妨亜属を 日本から記録し、本亜属が陰 茎瓣基甲の形状で特 徴づ けら れる こ とを 明ら かに し た。 以上 の変 更点 を 反映した日本産8亜属 への検索表を作成し た。

2.系統

  亜 属の 単系 統性 を 検討 する ため に、 成 虫の 形態 形質を用いて日本産アメパ チモドキ属8亜属 64種 聞の 系統 解 析を 、6通り の形 質重 み付 け 方法 で最 節約 法 を用 いて 行っ た。 こ れら の結 果 から以下の点が明らかとなった。

  1)全ての解析で、Bessobates亜属、Parabates亜属、Toxochiloides亜属、Apatagium亜属tristrigata 種群、Apatagi 虹匝属obesis種群は単系統群にぬり、Apatagium亜属tristrigata種群とAmebachia亜 属は姉妹群関係になった。

  2) これ ま で単 系統 と考 えられてきたApatagium亜属は全ての解析で多系統群 になり、この亜 属 の 固有 派生 形質 と 考え られていた後脚爪の形質 は種群毎に独立に進化したこ とが示された。

  3) 均一 に 形質 重み 付け をした解析を除く全ての 解析で、上記に加えて、Paropカロ舩亜属が 単 系 統 群 に な り 、 朋 mぬ 畑 亜 属 と 勵 ヤ p舷 ぬ 甜 亜 属 倣 姉 妹 群 関 係 に な っ た 。   4) 以 上の こと から 、 馳鉛Dぬ 觚、 勵m施 鰤 、Zb聞曲 洳む 加 、ぬ 卿加 ぬの 各亜 属 が単 系統 群 である可能性の高いことが示された。

  以上のように 、本研究は農林業害虫の重 要な天敵である日本産アメバ チモドキ属に関する総 合的な基礎情報 を明らかにしており、その 成果は学術的・応用的に高く 評価される。よって審 査員 一同 は 小西 和彦 が博 士( 農 学) の学 位を 受 けるのに十分な資格を 有するものと認めた。

126

参照

関連したドキュメント

突然そのようなところに現れたことに驚いたので す。しかも、密教儀礼であればマンダラ制作儀礼

チューリング機械の原論文 [14]

Scival Topic Prominence

熱が異品である場合(?)それの働きがあるから展体性にとっては遅充の破壊があることに基づいて妥当とさ  

本論文での分析は、叙述関係の Subject であれば、 Predicate に対して分配される ことが可能というものである。そして o

①配慮義務の内容として︑どの程度の措置をとる必要があるかについては︑粘り強い議論が行なわれた︒メンガー

発するか,あるいは金属が残存しても酸性あるいは塩

SFP冷却停止の可能性との情報があるな か、この情報が最も重要な情報と考えて