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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 上 野 健 一

     学位論文題名

    Study of iron ― bentonite interaction affected for long 一 term stability of engineerlngbarrierofHLWdiSpOSal      ( 高 レ ベ ル 放 射 性 廃 棄 物 の 地 層 処 分 に お け る      緩衝材長期安定性に与える鉄―ベントナイト相互作用の研究)

学位論文内容の要旨

  高 レベ ル放 射性 廃 棄物(HLW)の地層処 分において設置が予定されて いる緩衝材には、周辺から の地下水の浸透や緩衝材中 での地下水の流れを抑制する機能、地下水に溶出した核種を収着するこ とで 放射 性核 種の 移 行を遅延させる機能 次どが期待されている。し かしをがらHLWの地層処分に おける性能評価は、評価期 間が数万年を超える長期期間であり、この様顔長期においては緩衝材に 変化が生じ、緩衝材に期待されている性能にも影響カヾ生ずることが予想される。緩衝材の性能に影 響を与える可能性のある相 互作用のーっとして、緩衝材の主成分鉱物であるスヌクタイトと、炭素 鋼オーバーパックの腐食生成物(鉄)との相互作用が想定されている。特に、近年、Fe(III)を有す るスメクタイトが金属鉄と 共存するてとにより、急速にスメクタイトが非膨張性鉱物である鉄含有 フイロ珪酸塩に変質すると の報告もあり、処分環境における鉄と共存したスメクタイトの長期安定 性の確認が重要教課題のー つに教っている。

  そこで本研究では、鉄と べントナイトの相互作用が緩衝材性能に与える影響について評価するこ とを目的として、低酸素雰 囲気下において10年間炭素鋼 試験片と接触した圧縮ベン トナイトにつ いて調査を行った。この調 査では、炭素鋼試験片と接触した圧縮ベントナイトについて、ベントナ イトを構成する粘土鉱物で あるスメクタイトの変化について調査を行うとともに、圧縮ベントナイ ト試 料中 にお ける 鉄 濃度 プロ ファ イ ルを 電子 線マイクロアナライザ(EPMA)により測定し、鉄の 移行 挙動 につ いて 調 べた。そして結果に ついて、地球化学コード(PHREEQC for Windows)を用い て熱力学的顔検討を行った 。さらに、てれらの結果を含め、最近の鉄とべントナイト相互作用につ いて知見の整理を行い、鉄 とべントナイトの相互作用が 緩衝材性能に与える影響に ついて評価を 行った。

本論文は、6章で構成されて いる。

  第1章は序論であり、研究 の背景、目的について示し た。

  第2章では、緩衝材性能に 対する影響を評価する手法 について整理するとともに、鉄とべントナ イト の相 互 作用 に関 する 最 新の 知見 につ いて 整 理を 行い 、そ の影 響 につ いて 評価 を 行っ た。

  第3章 では 、低 酸素 雰囲気下において10年間炭素鋼試験片と接触し た圧縮ベントナイトについ て、スメクタイトの変質の 状況について調査を行った。 その結果、人工海水を試験 溶液とした80

℃の試験で、圧縮ベントナ イトと炭素鋼試験片接触部から採取した試料において、一部にイオン型 の変化およびスメクタイト /イライト混合層鉱物への変化が認められたものの、試料の大部分にお     ー771―

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いては大き教変化が認められ顔かった。さらに、圧縮ベントナイト試料中における鉄濃度プロフア イルの測定により、腐食生成物と考えられる顕著教鉄の濃集層の存在や圧縮ベントナイト試料の内 部への鉄の移行が認められ、その見かけの拡散係数は既報の値より遅いことが明らかと顔った。

  第4章では、地球化学コード(PHREEQC for Windows)を用いて、3章で調査を行った10年間 炭素鋼試験片と接触した圧縮ベントナイトについて、スメクタイトの安定性と鉄の移行挙動につい て熱力学的数検討を行った。その結果、圧縮ベントナイト中においては、スメクタイトの鉱物学的 を変質は発生せず、鉄腐食生成物は水酸化第一鉄として熱力学的に安定で存在するとの解析結果を 得た。この結果は、上述の実験結果と調和的であった。

  第5章では、地球化学計算コード等で用いる粘土鉱物熱力学データの基と社る標準生成ギプス自 由エネルギーについて5つの推定手法の比較を行い、それぞれの手法から求めた標準生成ギプス自 由エネルギーの計算値および鉱物溶解反応平衡定数にどの程度の誤差が生じるのかを検討した。そ の結果、これらの誤差独無視できるほど小さくは教いが、緩衝材の長期安定性に対して顕著顔影響 を与え顔い程度であることが明らかとをった。

  第6章は、本研究全体の結論であり、得られた知見を総括し、鉄とべントナイトの相互作用が緩 衝材性能に与える影響について、評価を行った。その結果、処分システムを構成する人工バリアと しての緩衝材を考えた場合、鉄とべントナイトの相互作用は緩衝材に求められる機能に対して、顕 著顔影響は無いことを示した。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査    准 教 授    佐 藤    努 副 査    教 授    米 田 哲 朗 副 査    教 授    名 和 豊 春

     学位論文題名

    Study of iron ― bentonite interaction affeCtedfor long ー termStabilityofengineerlngbarrierofHLWdiSpOSa1      ( 高 レ ベ ル 放 射 性 廃 棄 物 の 地 層 処 分 に お け る      緩衝材長期安定性に与える鉄―ベントナイト相互作用の研究)

  高 レベ ル放 射性廃棄物(HLW)の地層 処分において設置が予定され ている緩衝材には、周辺か ら の地下水の浸透や緩衝材中 での地下水の流れを抑制する機能、地下水に溶出した核種を収着するこ とで 放射 性核 種の移行を遅延させる機 能橡どが期待されている。 しかし橡がらHLWの地層処分 に おける性能評価は、評価期 間が数万年を超える長期期間であり、この様教長期においては緩衝材に 変化が生じ、緩衝材に期待 されている性能にも影響が生ずることが予想される。緩衝材の性能に影 響を与える可能性のある相 互作用のーつとして、緩衝材の主成分鉱物であるスメクタイトと、炭素 鋼オーバーパックの腐食生成物(鉄)との相互作用が想定されている。特に、近年、Fe(III)を有す るスメクタイトが金属鉄と 共存することにより、急速にスメクタイトが非膨張性鉱物である鉄含有 フイロ珪酸塩に変質すると の報告もあり、処分環境における鉄と共存したスメクタイトの長期安定 性の確認が重要教課題のー つにをっている。

  そこで本研究では、鉄と べントナイトの相互作用が緩衝材性能に与える影響について評価するこ とを目的として、低酸素雰 囲気下において10年間炭素鋼 試験片と接触した圧縮ベン トナイトにつ いて調査を行った。この調 査では、炭素鋼試験片と接触した圧縮ベントナイトについて、ベントナ イトを構成する粘土鉱物で あるスメクタイトの変化について調査を行うとともに、圧縮ベントナイ ト試 料中 にお ける 鉄 濃度 プロ フん イ ルを電子線マイクロアナライ ザ(EPMA)により測定し、鉄 の 移行 挙動 につ いて調べた。そして結果 について、地球化学コード(PHREEQC for Windows)を用 い て熱力学的極検討を行った 。さらに、これらの結果を含め、最近の鉄とべントナイト相互作用につ いて知見の整理を行い、鉄 とべントナイトの相互作用が 緩衝材性能に与える影響に ついて評価を 行った。

  本論文は、6章で構成され ている。

  第1章は序論であり、研究 の背景、目的について示し た。

  第2章では、緩衝材性能に 対する影響を評価する手法 について整理するとともに、鉄とべントナ イト の相 互作 用に 関 する 最新 の知 見 につ いて 整理 を行 い 、そ の影 響に つい て 評価 を行った 。

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  第3章では、低酸素雰囲気下において10年間炭素鋼試験片と接触した圧縮ベントナイトについ て、スメクタイトの変質の状況について調査を行った。その結果、人工海水を試験溶液とした80

℃の試験で、圧縮ベントナイトと炭素鋼試験片接触部から採取した試料において、一部にイオン型 の変化およびスメクタイト/イライト混合層鉱物への変化が認められたものの、試料の大部分にお いては大き改変化が認められ教かった。さらに、圧縮ベントナイト試料中における鉄濃度プロファ イルの測定により、腐食生成物と考えられる顕著教鉄の濃集層の存在や圧縮ベントナイト試料の内 部への鉄の移行が認められ、その見かけの拡散係数は既報の値より遅いことが明らかと教った。

  第4章では、地球化学コード(PHREEQC for Windows)を用いて、3章で調査を行った10年間 炭素鋼試験片と接触した圧縮ベントナイトについて、スメクタイトの安定性と鉄の移行挙動につい て熱力学的誼検討を行った。その結果、圧縮ベントナイト中においては、スメクタイトの鉱物学的 を変質は発生せず、鉄腐食生成物は水酸化第一鉄として熱力学的に安定で存在するとの解析結果を 得た。この結果は、上述の実験結果と調和的であった。

  第5章では、地球化学計算コード等で用いる粘土鉱物熱力学データの基とをる標準生成ギブス自 由エネルギーについて5つの推定手法の比較を行い、それぞれの手法から求めた標準生成ギプス自 由エネルギーの計算値および鉱物溶解反応平衡定数にどの程度の誤差が生じるのかを検討した。そ の結果、これらの誤差絃無視できるほど小さくは顔いが、緩衝材の長期安定性に対して顕著顔影響 を与えをい程度であることが明らかとをった。

  第6章ば、本研究全体の結諭であり、得られた知見を総括し、鉄とべントナイトの相互作用が緩 衝材性能に与える影響について、評価を行った。その結果、処分システムを構成する人工バリアと しての緩衝材を考えた場合、鉄とべントナイトの相互作用は緩衝材に求められる機能に対して、顕 著教影響は無いことを示した。

  以上を要するに、筆者は、世界的に懸念されている放射性廃棄物処分場での鉄ーベントナイト相 互作用によるべントナイトの性能劣化について、10年に及ぶ反応実験と地球化学計算コードによ る反応・輸送モデル計算により定量的に検討し、緩衝材に求められている性能に対して顕著顔影響 が無いことを示した。これらの研究成果は、資源工学や廃棄物処分工学の発展に寄与するところ大 教るものがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格があるものと認 める。

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