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学位論文審査結果の報告書

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Academic year: 2022

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(1)学位論文審査結果の報告書 氏. 名. 生 年 月 日. 竹 田. 平成 元年 10月 10日. 本 籍(国籍) 学位の種類. 静岡県 博. 士 ( 薬 学 ). 学位記番号 学位授与の条件 (博士の学位). 翔 伍. 第. 179 号. 学位規程第5条該当. 論 文 題 目 乾皮症治療薬シーズとなる皮膚バリア機能を維持する 食品由来成分の探索. 学位論文受理日. 令和3年 11月 30日. 学位論文審査終了日. 令和4年. 2月. 5日. 審 査 委 員. 指 導 教 員. (主 査). 森 川. 敏 生. (副主査). 田. 升 三. (副主査). 中 山. 隆 志. 森 川. 敏 生.

(2) 論 文. 内 容. の 要. 旨. ヒトの皮膚の最外層に位置する表皮は,皮内からの水分蒸散の抑制や,外界からの異物侵 入あるいは紫外線からの防御などのバリア機能を果たしている.表皮バリア機能が破綻する と,水分保持機能が低下することによって皮膚が乾燥し,非特異的な刺激に対する影響を受 けやすくなる.実際,乾皮症などの皮膚疾患を生じた皮膚において,表皮バリア機能の悪化 が確認されており,このような皮膚の角層では細胞間脂質の中でも特にセラミド量の減少が 報告されていることから,表皮バリア機能を保つためには角層セラミド量を維持することが 重要である.乾皮症の治療には外用剤が使用されることが多いが,広範囲あるいは全身性の ドライスキン症状の改善には,食品由来成分のような安全性に優れた経口適用物の日常的な 摂取によるバリア機能の維持が望まれる.そこで本研究では,乾皮症に代表されるドライス キン症状の治療薬シーズとなりうる食品由来化合物を見いだすため,角層セラミド合成を指 標とした探索研究を行った.. イチゴ (Fragaria ananassa) 種子に含有される PPARα 発現増加作用を有するアシル化フラ ボノイド配糖体の tiliroside について,ヒト表皮三次元培養 (RHEK) モデルの角層セラミド量 に及ぼす影響を評価した結果,tiliroside は角層セラミドの中で最も含有量の多いセラミド種 (セラミド[NS,NDS]) を増加させることが明らかとなった.そこで,角層セラミドの合成に関 与 す る 酵 素 の mRNA 発 現 に 及 ぼ す 影 響 を 評 価 し た 結 果 , tiliroside に よ る serine palmitoyltransferase (SPT) -2, ceramide synthase (CerS) -3, glucosylceramide synthase (GCS) および β-glucocerebrosidase (GBA) の mRNA 発現増加が認められた.さらに,これらの酵素のタンパ ク発現に及ぼす影響を評価した結果,tiliroside による GCS および GBA のタンパク発現増加 が確認された.これらの結果より,tiliroside は GCS および GBA の発現を促進することでセラ ミド[NS,NDS] 量を増加させることが明らかとなった.(第一章). 機能性表示食品で保湿作用の表示が認められている米由来グルコシルセラミドの含有分画 に,副成分として共存している β-sitosterol 3-O-glucoside (BSG) について,バリア機能の可能 性を調べた.RHEK モデルの角層セラミド量に及ぼす影響を評価した結果,保湿能の高いア シル化セラミドであるセラミド[EOS] 量を増加させることが明らかとなった.そこで角層セ ラミド合成関連酵素の mRNA 発現に及ぼす影響を評価した結果,BSG による SPT2, CerS3, GCS および acid sphingomyelinase の mRNA 発現増加が確認されたが, その一方で sphingomyelin synthase-2 の mRNA 発現減少も確認された.そこで,確認のため充分な細胞量が得られるヒト 表皮角化細胞 (HaCaT) における角層セラミド合成関連酵素の mRNA およびタンパク発現に 及ぼす影響を評価した結果,CerS3 および GCS において一貫した BSG による発現増加が認め られた.これらの結果より,BSG は CerS3 および GCS の発現を促進することでセラミド[EOS] 量を増加させることが明らかとなった. (第二章).

(3) 皮膚弾力性増加作用を有するトマト (Solanum lycopersicum) 種子の成分研究を行った 結果,主要成分としてソラノカプシン型サポニンである lycoperoside H を単離同定した. Lycoperoside H について,アトピー性皮膚炎 (AD) モデルマウスである IL-33 トランスジ ェニック (IL-33Tg) マウスを用いて経口投与による有効性を評価した.その結果, lycoperoside H は皮膚炎症状の悪化および経皮水分蒸散量 (TEWL) の上昇を抑制し,好酸 球や肥満細胞の浸潤を抑制,さらには皮膚組織中の Th2/Th1 サイトカインバランスを改 善することが明らかとなった. (第三章) 含有成分について,さらに研究を進めた結果,lycoperoside H の他にスピロソラン型サ ポニン 2 種,プレグナン型サポニン,フロスタン型サポニン 2 種,スピロスタン型サポ ニン,およびフラボノイド 4 種を単離同定した.HaCaT 細胞を用いた評価の結果,これ らの化合物の中で全てのサポニンが表皮保湿関連タンパクの mRNA 発現を増加させるこ とが明らかになった.また,RHEK モデルを用いた評価の結果より,トマト種子サポニン のうち,プレグナン型サポニン以外のサポニンに TEWL 減少作用が認められた.これら の中で,lycoperoside H のみが角層セラミド (セラミド[NP]) 量を増加させ,その作用が CerS3, GCS および GBA の mRNA 発現増加によるものであることを明らかにした.さら に lycoperoside H の IL-33Tg マウスにおける AD 改善作用の作用機序を検討した結果, lycoperoside H (3) はグルココルチコイド受容体へ部分アゴニストとして結合することに よって抗炎症作用を示すことが明らかになった.これらの結果より,lycoperoside H は角 層セラミド合成作用およびグルココルイチコイド様の抗炎症作用によって,表皮バリア 機能の改善に寄与しうることを明らかにした.(第四章) 以上,イチゴ種子に含有される tiliroside, 米由来 BSG およびトマト種子に含有される lycoperoside H が,角層セラミドの合成促進作用を介して表皮バリア機能の改善作用を有 した乾皮症治療薬シーズになりうることを示した.今後,本研究結果を基にした乾皮症に 代表されるドライスキンの改善のための医薬シーズあるいは機能性食品原料として活用 されていくことが期待される..

(4) 論 文. 審 査. 結 果. の. 要 旨. 竹田翔伍氏の博士論文「乾 皮 症 治 療 薬 シ ー ズ と な る 皮 膚 バ リ ア 機 能 を 維 持 す る 食 品 由 来 成 分 の 探 索 」について審査した結果の詳細を記述する. ヒトの皮膚の最外層に位置する表皮は,皮内からの水分蒸散の抑制や,外界からの異物侵 入あるいは紫外線からの防御などのバリア機能を果たしており,表皮バリア機能が破綻する と,水分保持機能が低下することによって皮膚が乾燥し,非特異的な刺激に対する影響を受 けやすくなる.乾皮症などの皮膚疾患を生じた皮膚においては表皮バリア機能の悪化が確認 されており,このような皮膚の角層では細胞間脂質のなかでもセラミド量の減少が報告され ていることから,表皮バリア機能を保つためには角層セラミド量を維持することが重要であ る.乾皮症の治療には外用剤が使用されることが多いが,広範囲あるいは全身性のドライス キン症状の改善には,食品由来成分のような安全性に優れた経口適用物の日常的な摂取によ るバリア機能の維持が望まれる.そこで,乾皮症に代表されるドライスキン症状の治療薬シ ーズとなりうる食品由来化合物を見いだすため,角層セラミド合成を指標とした探索研究を 実施し,その成果を博士論文としてまとめている.. 第一章では,イチゴ (Fragaria ananassa) 種子に含有される PPARα 発現増加作用を有するア シル化フラボノイド配糖体の tiliroside について,ヒト表皮三次元培養 (RHEK) モデルの角層 セラミド量に及ぼす影響を評価した結果,tiliroside は角層セラミドの中で最も含有量の多いセ ラミド種 (セラミド[NS,NDS]) を増加させることを明らかにした.そこで,角層セラミドの合 成に関与する酵素の mRNA 発現に及ぼす影響を評価した結果,tiliroside による serine palmitoyltransferase (SPT) -2, ceramide synthase (CerS) -3, glucosylceramide synthase (GCS) および β-glucocerebrosidase (GBA) の mRNA 発現増加を認めるとともに,GCS および GBA のタンパ ク発現増加も確認した.これらの結果より,tiliroside は GCS および GBA の発現を促進するこ とでセラミド[NS,NDS] 量を増加させることを明らかにしている. 第二章では,機能性表示食品で保湿作用の表示が認められている米由来グルコシルセラミ ドの含有分画に,副成分として共存している β-sitosterol 3-O-glucoside (BSG) について,バリ ア機能の可能性を検証している.すなわち,RHEK モデルの角層セラミド量に及ぼす影響を 評価した結果,保湿能の高いアシル化セラミドであるセラミド[EOS] 量を増加させることが 明らかにした. そこで角層セラミド合成関連酵素の mRNA 発現に及ぼす影響を評価した結果, BSG による SPT2, CerS3, GCS および acid sphingomyelinase の mRNA 発現増加を確認している が,その一方で sphingomyelin synthase-2 の mRNA 発現減少も確認された.そこで,ヒト表皮 角化細胞 (HaCaT) における角層セラミド合成関連酵素の mRNA およびタンパク発現に及ぼ す影響を評価した結果,CerS3 および GCS において一貫した BSG による発現増加が認められ た.これらの結果より,BSG は CerS3 および GCS の発現を促進することでセラミド[EOS] 量 を増加させることを明らかにしている..

(5) 第三章では,皮膚弾力性増加作用を有するトマト (Solanum lycopersicum) 種子の成分研 究を行った結果,主要成分としてソラノカプシン型サポニンである lycoperoside H を単離 同定した.Lycoperoside H について,アトピー性皮膚炎 (AD) モデルマウスである IL-33 トランスジェニック (IL-33Tg) マウスを用いて経口投与による有効性を評価した.その 結果,lycoperoside H は皮膚炎症状の悪化および経皮水分蒸散量 (TEWL) の上昇を抑制 し,好酸球や肥満細胞の浸潤を抑制,さらには皮膚組織中の Th2/Th1 サイトカインバラ ンスを改善することが明らかにした.また,第四章ではトマト種子の含有成分をさらに詳 細に探索した結果,lycoperoside H のほかにスピロソラン型サポニン 2 種,プレグナン型 サポニン,フロスタン型サポニン 2 種,スピロスタン型サポニン,およびフラボノイド 4 種を単離同定した.HaCaT 細胞を用いた評価の結果,これらの化合物の中で全てのサポ ニンが表皮保湿関連タンパクの mRNA 発現を増加させることが明らかとなった.また, RHEK モデルを用いた評価の結果より,トマト種子サポニンのうち,プレグナン型サポニ ン以外のサポニンに TEWL 減少作用が認められた.これらのなかで,lycoperoside H のみ が角層セラミド (セラミド[NP]) 量を増加させ,その作用が CerS3, GCS および GBA の mRNA 発現増加によるものであることを明らかにした.さらに lycoperoside H の IL-33Tg マウスにおける AD 改善作用の作用機序を検討した結果,lycoperoside H (3) はグルココ ルチコイド受容体へ部分アゴニストとして結合することによって抗炎症作用を示すこと が明らかになった.これらの結果より,lycoperoside H は角層セラミド合成作用およびグ ルココルイチコイド様の抗炎症作用によって,表皮バリア機能の改善に寄与しうること を明らかにした. 以上,本論文ではイチゴ種子に含有される tiliroside, 米由来 BSG およびトマト種子に 含有される lycoperoside H が,角層セラミドの合成促進作用を介して表皮バリア機能の改 善作用を有した乾皮症治療薬シーズになりうることが示されている.今後,本研究結果を もとにした乾皮症に代表されるドライスキンの改善のための医薬シーズあるいは機能性 食品素材として活用されていくことが期待されるなど,実用性価値に優れた質の高い研 究成果であると考えられ,博士論文として価値ある内容であるものと判断する..

(6) (課程・論文). 博士学位論文最終試験結果の報告書 令和4年 2月5日. 審. 査. 委. 員. 学位申請者氏名 論. 文. 題. 目. 主 査. 森 川. 敏 生. 副主査. 田. 升 三. 副主査. 中 山. 隆 志. 竹 田. 翔 伍. 乾皮症治療薬シーズとなる皮膚バリア機能を 維持す食品由来成分の探索. 申請者の博士学位論文に関する最終試験は,令和4年2月5日に行われた. 同発表および関連事項の質疑応答に対する申請者の応答はおおむね適切であ り,論文内容およびその周辺知識においても相応の理解を示す的確な応答が できた.. よって,申請者は最終試験に合格したものと判定する..

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参照

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