氏
生年月日
本籍(国籍) 学位の種類
学位論文審査結果の報告書
川久保善宏
名
学位授与の条件 (博士の学位)
文題目
Repetition of activation in Usefulness of
昭和認年9
佐賀県
博士(医学)
医第 1294 号
学位規程第5条該当
月 11
(言語流暢性課題の繰り返しが左前頭葉の血流の賦活に及ぽす影響)
VeTbal fluency task attenuates the hemodynamic the ]eft pl'eftontal cortex: Enhancing the clinical near‑inftared spectToscopy
日
学位論文受理日 学位論文審査終了日
審 査 委
2018年 2019年
(主査)
(副主査)
(副主査)
(副査)
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本邦における精神疾患の鑑別診断補助に用いられる ne釘・infraredspeC廿Oscopy (NIRS)検査では、
分間に課題切り替えを 3 回おこなう修正型言語流暢性課題(modi6ed verba1丑Uency test: m・VFT)に よって生じる前頭部の血流変化を指標にする。言語流暢性課題(VFT)は効率的に想起単語を切り替え るSMtchingという能力を要し、これは主に前頭葉の機能に位置づけられる。そのため課題切り替えをお こなう m、VFTでは、前頭葉がより深く関わることが推測される。そこで本研究では、 m・VFTの反復が 前頭葉機能を鋭敏に反映するかを調ベるために、一連のm・VFTを反復することによる健常者における賦 活血流の変化過程を解析した。
【方法】
健常男性20人を対象とし、52チャンネルのN凪S検査システムを用い、鑑別診断補助に用いられる m、VFTを3分間の休憩を挟みながら3セット繰り返した。前頭部の血流変化は酸素化へモグロビンを指 標として測定した。
【結果1
3セットのm、VFT において、課題による想起語数に有意差は認めなかった。一方、 m・VFT による脳 血流の賦活は、 3 セット目で 1セット目に比ベ、チャンネル27,28,29および38で有意に減弱した。この 4つのチャンネルは、左前頭葉の背外側部を中心とする領域に位置する。つまり、m・VFTの反復によって、
左前頭葉における血流賦活は有意に減衰することが示された。
【考察】
m、VFTの反復により左前頭葉で賦活血流が減衰したことは、 m・VFTの反復が前頭葉機能を鋭敏に反 映することを示唆する。 KlumpP らは、多くの Switching を必要とする VFT は、少ないSwitching しか 必要としないVFTに比ベ、左前頭葉の機能的欠損に対してより鋭敏であるとの仮説を述ベている①。本
研究では、 m、VFTの反復により左前頭葉の脳血流賦活が減衰する結果を得たが、これはSwitchingがよ り効率的に処理されるようになったためと考えられる。このことは左前頭葉がm・VFTの遂行過程、とり わけSwitching に重要な領域であることを示唆している。
【結論】
本研究では、 m、VFTによる脳血流の賦活が、課題の反復によって左前頭葉で減少することを見出した。
我々の結果は、 KlumpPらの仮説を支持し、 m、VFTを反復測定することがm・VFT単独より鋭敏な左前 頭葉機能検査であることを示している。本検査法は、左前頭葉の機能不全が報告されているうつ病、双極 性障害や統合失調症などの脳機能の評価法になり得ると考えられた。
論文内容の要
( 1 ) Klumpp H, Deldin p.1nt J psychophysi01.2010;75:フフ‑85
旨
ノ弌、
2018年3月21日 onⅡne掲載 (D01:10.1371/joumal.pone.0193994)
表
Repetition of verb址且Uency task a杜enuates the hemodynamic activation in the left prefrontal Cortex: Enhandng the clinical usefulness of near、
infrared spectroscopy
年 月 日 出版物の種類及び名称
博士学位論文
PLos one
2018 Mar 21;13(3):e0193994
2018年3月21月 online掲載
博士論文の印刷公表
川久保園広氏の博士判立論文に対する取終試験は、平'30年稔月27日後部、から門 1陥第7 講義室で実施された。
まず、川久保氏が本研究を行うに至った背景、対象と方法、結果と考察を口頭で発表し、それに 対して主査である小山、副主査である石井教授、稲瀬教授がいくつかの疑問点を質した。
石井教授からは、鋤Nと比較しての鞭RSのメリット・デメリット、血流低下を賦活音酎立としてひ ろってぃる理由、左前頭葉と言語野との関係が質問された。炊に稲瀬教授からは、脳血流の賦活化 に関わってぃるのは釧北血ingの機能だけとは限らないのではないか、という質問があり、さらに 解析法にうぃて、また言語流暢性課題の繰り返しによる左前頭葉の血流賦活の変化は、単独課題よ
りも鋭敏で、疾患の鑑別診断に役立っのか、という点が質された。最後に小山からは今後の臨床応 用にっいて質問した。まず、従来のln‑V町単独よりも反復測定する本法を用いることで大うっ病、
双極性感情障害、統合失調症の波形にどのような影響、差異が出るか、そのことで鑑別診断の精度 が上がるのか、という点と、利き手、性別、年齢による結果の差異について先行研究からの見解
と、今後の軽度認知機能低下者ヘの応用の可能性について問うた。
これらの質問に対して著者はこれまでの先行研究の結果とその問題点を踏まえたうえで、具体的 な例を挙げながら極めて適確に応答した。先行研究の吟味、臨床的見地からの研究デザイン、実験 の遂行、結果の統計的解析と考察、今後の展望と一連の研究活動が著者自身の熱意をもった努力で 成し遂げられたことを十分に確認した。
したがって、主査・副主査は合議のうえ、提出された論文が確かに川久保善宏氏の研究成果であ ること、学位授与にふさわしい技量や能力も合わせ持っものと判断し、最終試験を合格と判定し
た。
1)学位論文の要旨
【目的】
本ヂ蹴こおける精神疾患の鑑別診断補助に用いられるne註一inh鮎ed 叩eC捻船⑳W (NRS)検査で は、一分間に課題切り替えを3回おこなう修正型言語流暢性課題(modified W北a]豊Uencytest m‑VFT)によって生じる前頭部の血流変化を指標にする。言語流暢性課題(VFT)は効率的に想起単 語を切り替える部北OM昭という能力を要し、これは主に前豆頁葉の機ぢ凱こ位置づけられる。そのた め課題切り替えをおこなうm‑V町では、前頭葉がより深く関わることが推測される。そこで本研究 では、m‑V町の反復が前頭葉機能を鋭敏に反映するかを調ベるために、一連のm‑V町を反復すること による健常者における賦活血流の変化過程を解析した。
【方法1
健常男陛20人を対象とし、認チャンネルのNⅡ鵜検査システムを用い、鑑別診断補助に用いられるm‑
VFTを3分間の休憩を挟みながら3セット繰り返した。前頭部の血流変化は酸素化へモグロビンを指
標として測定した。
{結果】、,.,
3セットのm‑VFTにおいて、課題による想起語数に有意差は認めなかった。一方、辻VFTによる脳血 流の賦活は、 3セット目で1セット目に比ベ、チャンネル27,28,29および38で有意に減弱した。この 4つのチャンネルは、左前頭葉の背外侵倍3を中心とする領域に位置する。つまり、m‑V町の反復に
よって、左前頭葉における血流賦活は有意に減衰することが示された。
【考察】
m‑VFTの反復により左前頭葉で賦活血流が減衰したことは、m‑V町の反復が前豆頁葉機能を鋭毎気こ反映 することを示唆する。 KlumpPらは、多くのSW北Chi1壌を必要とするVFTは、少ないSW北ohingしか必 要としないV町に比ベ、左前頭葉の機能的欠損に対してより鋭敏であるとの仮説を述ベている(D。
本研究では、m‑V町の反復により左前頭葉の脳血流賦活が減衰する結果を得たが、これは飾北CM1熔 がより効率的に処理されるようになったためと考えられる。このことは左前頭葉がm‑V町の遂行過 程、とりわけSW北OMngに重要な領域であることを示唆している。
【結論】
本研究では、m‑VFTによる脳血流の賦活が、課題の反復によって左前頭葉で減少するととを見出し た。我々の結果は、 K1血即らの仮説を支持し、 m‑V町を反復測定することがm‑VFT単独より鋭敏な左 前頭葉機能検査であることを示してぃる。本検査法は、左前頭葉の機能不全が報告されているうつ 病、双極陛障害や統合失調症などの脳機能の評価法になり得ると考えられた。
(1) KlumpP 豆, Deldin p.1nt J psychophysi01,2010;75:フフ・舗
論 文 1'ー゛ 査結 の 要 E二t
本論文では健吊を対として、'ロネ'矢一の鑑別診断助に用いられ,るne釘一inhared Spectτ船0OW (N鼠S)検査で、一分間に課題切り替えを3回おこなう修正型言語流暢性課題
(modified vex'bal flU飢Cy test: m‑VFT)によって生じる前頭部の変化過程を角羣析したものであ る。その結果、拠一V町による脳血流の賦活は、課題の反復によって左前頭葉で減少することが見出 され、m‑VFT単独よりも鋭敏な左前頭葉機能検査であるととが示された。本検査法は、左前頭葉の 機能不全が報告されているうつ病、双極性障害や統合失調症などの脳機能の評価法になり得ると考
えられた。 NIRS検査はすでに保険収載されており、簡便で侵襲性が少ない、コストが安いなどの利 点もあるが、診断一致率は50 70%以下にとどまるために、より鋭敏な検査法の開発が求められて いる。今後、本論文の基礎データを応用するととによって、精神疾患の鑑別診断に役立っような臨 床的に発展性のある成果である。
2)論文審査結果の要旨
本論文に対する最終試験は、平成30年12月27日午後部寺から専門棟1階第7講'義室で実施された。
日常臨床で多忙である中で、申請者は本領域における診療上、検査上の問題点を日頃から意識し、
その中から特に必要とされるテーマを選んで地道に研究成果を積み重ねていって、臨床的に有意義 な研究を行った。まず、この点に対して敬意を表したい。
最終試験では著者から本研究を行うに至った背景、対象と方法、結果と考察が発表され、それに 対して主査である小山、副主査である石井教授、稲泳頁教授がいくっかの疑問点をただした。
石井教授からは、釧Nと比較してのNRSのメリット・デメリットが質問された。これに対して、
メリットとしては簡便、侵襲性が少ない、ニストが安い点、デメリットとしては空間分解能が低 い、脳の表層の血流しかひろえないこととの返答がなされた。また、血流低下を賦活音聨立としてひ ろっている理由、左前頭葉と言語野との関係も質問されたが、 m‑V町の反復により血流が有意に低 下したこと、また今回は被験者が全員右利きであったことという実験内容に即した回答が得られ
た。
次に稲瀬教授からは、脳血流の賦活化に関わっているのはSW北山i始の機能だけとは限らないの ではないかという質問がなされた。これに対しては、確かにN北Ching単独とは言い切れないが音 韻は切り替えるが同じ課題を与えている点、PルとPostで基線を引いて課題と比較してぃることか ら評価に値するとの回答が得られた。次に解析法についての質問があり、他の角聨斤法を使うと有意 差が出ない可お謝生にも言及L、今回は3つのパラメーターのうち、積分値を使用して有意差が出た が、重心値で検討しなおすと有意差はなかったとの見解を示した。さらに言語流暢性課題の繰り返 しによる左前頭葉の血流賦活の変化は、単独課題よりも鋭敏で、疾患の鑑別診断に役立っのか、と いう質問に対しては、今回は健常者のみを対象としているが、1回目と2回目では有意差はなかった が、1回目と3回目の比較で有意差があったことから、課題の繰り返し刺激が有用である事実を示し た。また、被検者間でのバラツキについては、想起語数の少ない人ほど血流賦活が大きくなる傾向 があるといわれているが、今回はN*20なので、もっとN数が大きくないと差異は出ないと回答され た。
最後に小山からは今後の臨床応用について質問した。まず、従来のm‑VFT単独よりも反復測定す る本法を用いることで大うつ病、双極陛感情障害、統合失調症の波形にどのような影響、差異が出 るか、そのことで鑑別診断の精度が上がるか、との問いに対しては、双極性障害では積分値が大き くなることが予想され、鑑別診断の精度向上にもつながる可ヨ獣生が示唆された。また、利き手、性 別、年齢による結果の差異について先行研究からの見解を問うと、利き手による差異の報告はない が、女性よりも男性、中高年者よりも若年者でより積分値が増加する傾向があるという報告事項を 回答された。今後の軽度認知機能低下者ヘの応用の可^獣生にっいては、想起語数が減少するという ことがなければ応用も可能という回答を得た。
これらの質問に対して著者はとれまでの先行研究の結果とその問題点を踏まえたうえで、具体的 な例を挙げながら極めて適確に応答した。先行研究の吟味、臨床的見地からの研究デザイン、実験 の遂行、結果の統計的解析と考察、今後の展望と一連の研究活動が著者自身の熱意をもった努力で 成し遂げられたことを十分に確認した。また、論文内容からは侵襲性の少ないMRS検査の精度を高 め、本研究を基礎として精神疾患の鑑別診断に役立っような臨床的に発展性のある成果であること が確認された。したがって、主査・副主査は合議のうえ、提出された論文が確かに川久保善宏氏の 研究成果であるとと、学位授与にふさわしい技量や能力も合わせ持っものと判断し、最終試験を合 格と判定した。
3)最終試験の結果 合格