PE 管光ファイバセンサによる地盤変形計測の基礎的実験
大阪産業大学 フェロー 中野 雅弘 クボタシーアイプラテック(株) 正会員 ○片桐 信
1.目的
光ファイバひずみ計測は,斜面変状の観測などに用いられて きた1).筆者らは,広域的な地盤の変形を観測するための技術 として,ポリエチレン管(以下「PE管」と称す)に複数の光 ファイバを融着した「PE 管光ファイバセンサ」を開発した.
本法は,B-OTDR 技術 2)を活用することにより,埋設された PE管の軸ひずみ・曲げひずみを検出し,埋設されている地盤 の変形とその進行状況をモニタすることを目的としている.
本研究では,段差状地盤変位を模擬した埋設実験を行い,PE 管光ファイバセンサの計測精度について検証した.
2.PE 管光ファイバセンサの構造
提案する PE管光ファイバセンサの構造を 写真-1 に示す.高密度 PE 管の表面に溝加 工を施し,その中にポリエチレン被服を有す る光ファイバを設置した後に,光ファイバの 表面と PE 管表面とを溶融したポリエチレン 樹脂により融着した構造となっている.
光ファイバはPE管の上下,上下・左右に設 置されており,地盤の変形によるPE管の曲 げ・引張りひずみの分布を計測する.
3.埋設段差沈下実験 1)実験方法
実験方法の概要を図-1に示す.φ50mm のPE 管の上下に光ファイバを貼付する.ま た,図に示すように50cm間隔で管の上下に ひずみゲージを貼付する.この状態で,長さ 4m×幅2mの埋設ピット内にPE管2本を並 列で埋設する.埋設ピットの底部には電動の 沈下テーブル(2m×2m)が2台設置されて おり,その片側1台を沈下させることで,模 型地盤内に段差状の地盤沈下を発生させる.
PE 管には,図に示すように管路の中央位
置から 50cm間隔でワイヤー変位計を設置
し,PE管の沈下量を計測する.またPE管埋 設深さ位置で,PE管から60cm離れた場所
キーワード:光ファイバ,PE管,B-OTDR,地盤変状,モニタリング,埋設実験 連絡先 〒574-8530 大阪府大東市中垣内3-1-1,大阪産業大学工学部, Tel :072-875-3001
写真-1 PE 管光ファイバセンサの構造
図-1 段差沈下実験
ひずみゲージ
ワイヤー変位計
6-082 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)
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に5点の地盤沈下計測器(ワイヤー変位計)を設置し,管路埋設深さ位置での地盤変形量を計測する.
2)実験結果
図-2は段差沈下量=10mmの際のB-OTDRによる計測ひずみとひずみゲージによる計測ひずみを比較し ている.図に示すように,管No.1,管No.2ともに,B-OTDRによる計測結果とひずみゲージによる計測結 果は概ね一致している.一方,図-3は段差沈下量=50mmの際の計測ひずみを比較しているが,段差境界 部近傍で,ひずみゲージによる計測値と B-OTDR による計測値に齟齬が生じている.計測の結果,沈下量 20mm までは,十分な精度で計測できることが明らかとなった.段差沈下のような局部的な地盤変状を受け た場合には,地盤変位量の増加に伴ってひずみの集中が生じるが,そのような場合には,B-OTDR方式では十 分な精度で計測できないものと考えられる.
しかし,通常の地盤変形では,段差状沈下のような局部的な変形は希である.また,上記のように,変位量 が小さい段階での計測精度が高いことは,斜面の滑りや軟弱地盤での沈下など,大規模な地盤変位の発生を予 測するための計測として,有効であると考える.
4.まとめ
B-OTDR による PE 管光ファイバセンサは,微小な地盤変位を検知することに適しており,地滑りの発生
検知・推定等に適用できる可能性がある.今後は,実用研究を推進する計画である.
参考文献:
1)奥村,久保,比佐,永井,佐々木,恒岡,加藤:光ファイバセンシング(B-OTDR)技術を用いたパイプひずみ計 の性能実験,土木学会第 56 回年次学術講演会,2001., 2)高橋,呉,須藤:光ファイバセンサによるひび割れモ ニタリングに関する実験,土木学会第 56 回年次学術講演会,2001.
No.1管路 -1000
-500 0 500 1000
-150 -100 -50 0 50 100 150 段差境界からの距離(cm)
ひずみ(×10-6 )
光センサー管頂 光センサー管底
ひずみゲージ管頂 ひずみゲージ管底
沈下部
No.2管路 -1000
-500 0 500 1000
-150 -100 -50 0 50 100 150 段差境界からの距離(cm)
ひずみ(×10-6 )
光センサー管頂 光センサー管底
ひずみゲージ管頂 ひずみゲージ管底
沈下部
No.1管路 -6000
-4000 -2000 0 2000 4000 6000
-150 -100 -50 0 50 100 150 段差境界からの距離(cm)
ひずみ(×10-6 )
光センサー管頂 光センサー管底
ひずみゲージ管頂 ひずみゲージ管底
沈下部
No.2管路 -6000
-4000 -2000 0 2000 4000 6000
-150 -100 -50 0 50 100 150 段差境界からの距離(cm)
ひずみ(×10-6 )
光センサー管頂 光センサー管底
ひずみゲージ管頂 ひずみゲージ管底
沈下部 a)管 No.1 a)管 No.1
b)管 No.2 b)管 No.2
図-2 10m沈下時のひずみ分布 図-3 50m沈下時のひずみ分布
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